JP2011114300A - 円柱状ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

円柱状ボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 円柱状ボンド磁石において高い磁力と低コギング性を実現させる。
【解決手段】 本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法は、磁性粉末と樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、配向磁場を印加しながら上記コンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形する工程と、を有する、軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石の製造方法において、上記配向磁場は、同種の磁極が対向するように複数の磁石を接合させた配向用磁石により形成され、その配向用磁石が、上記円柱状ボンド磁石を成形するキャビティを囲むように配置されており、上記配向用磁石の磁化方向は、上記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に傾いていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石の製造方法に関する。
モータ用途のボンド磁石には、高い磁力が求められる他、脈動を抑制してモータの動作を滑らかにするため、低コギング性が要求される。
このようなボンド磁石の製造方法において、高い磁力と低コギング性とを両立させるために、ボンド磁石を成形するキャビティの周囲に配置される配向用永久磁石の一極を構成する磁石を、磁化方向の異なる複数の磁石を組み合わせて構成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法は、ボンド磁石を成形する金型に配置された配向用永久磁石を、磁化方向が異なる複数の永久磁石を組み合わせることで一極として構成し、且つ隣接する異極間の磁化方向を限りなく平行にしている。
一極を単体磁石で構成すると、隣接する異極との界面において閉回路を構成し、磁束は隣接する異極へ戻ってしまい、結果的にボンド磁石を成形するキャビティの中には磁束が出てこないこととなる。
そこで、特許文献1に開示された発明は、上述したような方法とすることにより、異極間同士の界面における磁気回路を無くして、高い効率で配向用永久磁石の磁束をキャビティの中に導くことができる。
特開2002−367844号公報
しかしながら、上述した方法は、リング状ボンド磁石の側面の円周方向にN極とS極とを交互に多極磁化させるための製造方法に関するものであり、円柱状ボンド磁石の軸方向にN極とS極とを交互に多極磁化させるための製造方法に関するものではない。
特に、円柱状ボンド磁石を構成部材とするリニアモータの分野において、軸方向にN極とS極を交互に多極磁化させた円柱状ボンド磁石における高い磁力と低コギング性とを両立させることが望まれている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、軸方向の各点において一周積算した磁束のフラックス量が大きく、かつ、軸方向の表面磁束密度分布が滑らかな曲線を描く円柱状ボンド磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る円柱状ボンド磁石の製造方法は、磁性粉末と樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、配向磁場を印加しながら上記コンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形する工程と、を有する、軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石の製造方法において、上記配向磁場は、同種の磁極が対向するように複数の磁石を接合させた配向用磁石により形成され、その配向用磁石が、上記円柱状ボンド磁石を成形するキャビティを囲むように配置されており、上記配向用磁石の磁化方向は、上記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に傾いていることを特徴とする。
上記配向用磁石の一つの極を構成する磁石が、さらに2個以上10個以下の磁石に分割され、その分割された各磁石の磁化方向が、上記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に傾いていることが好ましい。
上記配向用磁石の磁化方向は、上記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に5°以上85°以下傾いていることが好ましい。
本発明の円柱状ボンド磁石の製造方法によれば、円柱状ボンド磁石の軸方向の各点において一周積算した磁力のフラックス量を大きくすることができる。そのため、リニアモータとして十分な推力を発生させることができる。また、円柱状ボンド磁石の軸方向の表面磁束密度分布が正弦波に近い。そのため、円柱状ボンド磁石を部品としてリニアモータを構成した際に、リニアモータを制止させようとするコギングトルクの発生を著しく抑制できる。したがって、可動子推力のリップル(脈動)を小さくすることができる。
図1は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の第一の製造方法における射出成形機を示す模式的な断面図である。 図2は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の第一の製造方法における配向用磁石を示す模式的な斜視図である。 図3は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における射出成形機を示す模式的な断面図である。 図4は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における配向用磁石を示す模式的な斜視図である。 図5は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法におけるキャビティの内部で発生する磁力線の様子を説明するための模式的な断面図である。 図6は、本発明にかかる製造方法により成形された円柱状ボンド磁石の正面図である。 図7は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における別の配向用磁石を示す模式的な斜視図である。 図8は、本発明にかかる実施例および比較例における配向用磁石を示す模式的な上面図である。 図9は、本発明の一実施例にかかる製造方法において成形された円柱状ボンド磁石の側面の表面磁束密度の分布を示す図である。 図10は、本発明との比較のために示す円柱状ボンド磁石の側面の表面磁束密度の分布を示す図である。 図11は、本発明の実施例および比較例における円柱状ボンド磁石の側面の表面磁束密度の分布を示す図である。
以下、本発明にかかる実施の形態について詳述するが、本発明の技術思想を具体化するための一例であり、本発明はこの実施の形態および実施例に限定されるものではない。
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
以下、高い磁力と低コギング性とを両立させる本形態の円柱状ボンド磁石の製造方法について詳述する。
まず、磁性粉末と樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、配向磁場を印加しながらコンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形する工程と、を有する円柱状ボンド磁石の製造方法について、配向磁場を、同種の磁極が対向するように複数の磁石を接合させた配向用磁石により形成するとともに、その配向用磁石を、円柱状ボンド磁石を成形するキャビティを囲むように配置することにより、高い磁力を有する円柱状ボンド磁石が得られる方法(以下、「第一の製造方法」と呼ぶ。)を見出した。
図1は、第一の製造方法にかかる円柱状ボンド磁石を製造するための装置を示す模式的な断面図である。図2は、図1の装置を構成する金型に配置された配向用磁石の模式的な斜視図を示す。なお、図2では、簡単のため、図1で示したエジェクターピン103や金型104に配置された隔壁107は図示していない。図10は、第一の製造方法により成形した円柱状ボンド磁石の軸方向に測定した表面磁束密度分布のグラフを示す。
第一の製造方法にかかる柱状ボンド磁石の製造方法により、従来よりも高い磁力で、円柱状ボンド磁石の側面の軸方向にN極とS極とを交互に発生させることができる。
すなわち、図1に示されるように、磁性粉末と樹脂からなるコンパウンドをゲート106からキャビティ105の内部に充填し、配向用磁石101、102により囲まれたキャビティ105の内部で成形する。これにより、コンパウンド中の磁性粉末は、配向用磁石101、102によってキャビティ105の内部に形成される磁力線によって配向され、柱状ボンド磁石の軸方向の側面にN極とS極が交互に形成された柱状の交互多極磁石が得られる。
図1および図2に示されるように、これらの配向用磁石101、102は、金型104の内部で同種の磁極が対向するように配置されているので、キャビティ内部には、磁性粉末を十分に配向させるだけの強い磁場が発生している。
この第一の製造方法における配向用磁石について、本発明の比較例として、より詳細に説明する。図2に示されるように、配向用磁石101、102は、少なくとも複数の小磁石101a、101b、102a、102bの集合体からなる。これらの小磁石は、それぞれキャビティ105の外周を形作る半円形状の切り欠き部を有しており、全体の外形がほぼ直方体である。これらの小磁石101a、101b、102a、102bは、小磁石101a(102a)と小磁石101b(102b)の同種の磁極が対向するように配列され、固定された一対の接合体として構成される。さらに、配向用磁石101は、配向用磁石102と、同種の磁極が対向するように向かい合わせに配置されて、切り欠き部の形状によりキャビティ105の形状が形作られる。
このような配向用磁石を利用して、上述したような第一の製造方法により、円柱状ボンド磁石の軸方向にN極とS極とが交互に、高い磁力で多極磁化された円柱状ボンド磁石が得られることを見出した。
この第一の製造方法は、円柱状ボンド磁石の軸方向の配向ピッチを狭くしようと思うと、必然的に配向用磁石を構成する小磁石の厚みが小さくなる。そのため、配向用磁石による磁場が小さくなってしまい、最終的な円柱状ボンド磁石の磁力が小さくなる。よって、配向ピッチを狭くしようとしたときでも、さらなる磁力の向上が望まれる。
本発明者は、さらに高い磁力と低コギング性とを両立させるため、上述の第一の製造方法について種々の検討を行い、以下に詳述する本発明の第二の製造方法を見出した。
すなわち、本発明にかかる第二の製造方法は、円柱状ボンド磁石の軸方向の表面磁束密度の分布パターンを、第一の製造方法によって得られた円柱状ボンド磁石の分布パターンよりも滑らかなパターンとすることを目的とするものである。もし仮に、表面磁束密度の分布パターンが滑らかでなく、軸方向の表面磁束密度の分布が急激に変わる部位があると、円柱状ボンド磁石を部品としてリニアモータを構成した場合に、リニアモータを制止させようとするコギングトルクが発生することがある。さらに、可動子推力のリップル(脈動)が起こることがある。また、軸方向の各点において、1周分の表面磁束を積算した総フラックス量が小さいと、ロッドモータとして用いた場合に、十分な推力を発生させられないという問題が生じる。本発明は、これらの問題を解決することを目的とする。
図3は、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における射出成形機の内部を示す模式的な断面図である。また、図6は、本発明にかかる製造方法により成形された円柱状ボンド磁石の正面図である。なお、図6中に、本発明にかかる製造方法により成形される円柱状ボンド磁石の「軸方向」および「径方向」を示す。
本発明の円柱状ボンド磁石は、図3に示されるような射出成形機によって成形される。つまり、一回の成形工程で、溶融状コンパウンドのキャビティへの充填、コンパウンド中の樹脂の固化、成形体である円柱状ボンド磁石の取り出しが行われる。図3に示されるように、射出成形機の内部には、成形体の型枠となるキャビティ105と、キャビティ105を囲むように設けられた配向用磁石201、202と、キャビティ105と配向用磁石201、202とを隔てる隔壁107と、固化された成形体を押し出すだめのエジェクターピン103が設けられている。ここで、配向用磁石201、202は、キャビティの内部に充填された溶融状のコンパウンドに含まれる磁性粉末を配向させる役割を有する。
図5は、配向用磁石によってキャビティの内部で発生する磁力線を説明するための模式的な断面図である。配向用磁石201と配向用磁石202との間に描いた矢印は、配向用磁石201、202からそれぞれ発生した磁力線の様子を示す。図3に示すキャビティ105の内部に充填されたコンパウンド中の磁性粉末は、図5に示されるような磁力線の影響を受けて配向する。そして、図6に示されるように、本発明の製造方法により成形された円柱状ボンド磁石100は、その表面から磁力線を発生する。
本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における装置は、配向用磁石の構成が異なる他は、第一の製造方法における円柱状ボンド磁石の製造方法における装置と同じである。図4は、本発明にかかる配向用磁石201、202の全体像を示す模式的な斜視図である。以下、本発明にかかる円柱状ボンド磁石の製造方法における配向用磁石について説明する。
図4に示されるように、本発明にかかる配向用磁石201、202は、上述した第一の製造方法における配向用磁石101、102と同様に、端部から見てコ字状である、小磁石201a、201b、202a、202bの集合体であるが、第一の製造方法における配向用磁石101、102と異なる点として、各小磁石の磁化方向が、成形体である円柱状ボンド磁石の径方向に対して、円柱状ボンド磁石の軸方向に傾いている。この傾きは、5°以上85°以下とすることが好ましい。さらに、30°以上85°以下とすることが好ましく、60°以上85°以下とすることがより好ましい。高い磁束を効率良くキャビティの方向に導くことができるからである。
図4中の小磁石201a、201b、202a、202bの各上面に描いた矢印は、第二の製造方法における配向用磁石201、202の磁化方向を示しており、矢印の先端側がN極、根元側がS極を示している。上述した第一の製造方法における配向用磁石を構成する小磁石の磁化方向は、円柱状ボンド磁石の軸方向に平行であるが、第二の製造方法における配向用磁石を構成する小磁石は、図4に示されるように、その上面の略矩形(長方形)の対角線に平行な方向に斜めに磁化されている。さらに、小磁石201a、202aは、小磁石201b、202bと同種の磁極が対向するように互いに接着されて固定されており、一対の接合体を構成している。このように構成された一対の接合体は、同種の磁極が対向するように配置される。
図8(a)は、本発明との比較のために示す配向用磁石を構成する小磁石101a、101bの上面図であり、図8(b)は、本発明の一実施例にかかる配向用磁石を構成する小磁石201a、201bの上面図である。また、図8(c)は、本発明の別の一実施例にかかる配向用磁石を構成する小磁石201a、201bの上面図である。さらに、各上面図(a)乃至(c)に描かれた矢印は、図4中に描かれた矢印と同様に、磁化方向を示しており、各上面図(b)および(c)に描かれた矢印は、各小磁石の上面矩形の対角線に平行な方向を向いている。
本発明の別の実施例にかかる配向用磁石を構成する小磁石201a、201bは、その厚み(成形される円柱状ボンド磁石の軸方向に測定した長さ:t)を、図8(b)の小磁石201a、201bを基準にして1.5倍(図8(c))に仮想的に変更して磁化方向を規定したものである。すなわち、図8(c)中に描かれた点線は、それぞれ小磁石の厚み方向の仮想的な増加分を示す。そして、図8(c)に示される小磁石201a、201bは、実際の小磁石の厚みは一定にして、仮想的に厚みを増加させた上面矩形の対角線に平行な方向に磁化方向が向けられるように形成させたものである。
図8(a)に示される小磁石101a、101bでは、互いに向き合った磁化方向が円柱状ボンド磁石の軸方向に平行であり、配向用磁石101を構成したときに、キャビティの方向に導かれる磁束が不十分である。一方、図8(b)および図8(c)に示される小磁石201a、201bとすることにより、すなわち、小磁石の厚みの1.0倍以上1.5倍以下の範囲で上面矩形の対角線方向に磁化方向を形成することにより、配向用磁石201を構成したときに、キャビティの方向に磁束を十分に導くことができる。したがって、円柱状ボンド磁石を配向させる高い磁場が得られるとともに、効率よくキャビティの方向に磁束を導くことができる。
図3に示されるように、それぞれの配向用磁石201、202は、射出成形機の金型104の内部に収容され、キャビティ105を取り囲むように設置される。キャビティ105を囲むように配向用磁石201、202を配置させることで、円柱状ボンド磁石の全側面を軸方向に多極磁化させることができる。また、配向用磁石に用いられる個々の磁石の幅によって、作製される円柱状ボンド磁石の配向ピッチが決まる。
ここで、本明細書中における「配向ピッチ」とは、N極の表面磁束密度が最大となる位置と、それと隣り合うS極の表面磁束密度が最大となる位置との距離とする。すなわち、配向ピッチとは、異なる磁極の間隔のことである。円柱状ボンド磁石の配向ピッチは、実用性や製造の容易性の面から、0.5mm以上、30mm以下であることが好ましい。配向ピッチが0.5mmより小さいと、それにあわせて配向用磁石を構成する小磁石の厚みも薄くする必要があり、加工および、金型内部への配向用磁石の組みつけが非常に困難になるため、現実的ではない。また、各磁極における磁力も弱くなる。また、配向ピッチが30mmより大きい場合、本発明による方法でなく、複数の焼結磁石を繋げる方法によっても容易に製造できるので、手早く容易に製造できるという本発明の利点が生かされない上に、磁極間の距離が大きくなるため、円柱状磁石をリニアモータの構成部材として使用した場合に、動作の精密さに悪影響を与えることになる。
配向用磁石を構成する磁石の材料は、残留磁束密度Brが1T以上のものが好ましく、例えば、NdFeB焼結磁石とすることが好ましい。磁力の大きい磁石を使うと、キャビティ内部に発生する磁力が強くなり、円柱状ボンド磁石の磁力も強くなるからである。
図7は、本発明の円柱状ボンド磁石の製造方法における別の形態の配向用磁石を示す模式的な斜視図である。図7中における矢印の方向は、図4と同様に配向用磁石の磁化方向を示す。なお、簡単のため、配向用磁石301(302)を構成する各小磁石301a、301b(302a、302b)のうち、小磁石301bについてのみ磁化方向を示す。
図7に示されるように、配向用磁石301(302)を構成する各小磁石301a、301b(302a、302b)をさらに分割して、分割されたそれぞれの磁石の磁化方向を円柱状ボンド磁石の軸方向に傾くように綿密に計算しながら加工し、配向用磁石として組み立てをすることもできる。この場合、分割数は実用性や製造の容易性の面から、2個以上10個以下であることが好ましい。分割数を増やすほど、最終的に成形される円柱状ボンド磁石の軸方向の各点における、円周方向の表面磁束密度の総和が大きくなるため好ましい。しかし、分割数が極端に増えると、配向用磁石を加工する時の寸法精度と磁化方向の制御が困難になる上に、配向用磁石を金型の内部に組み込む作業が、寸法精度の問題から、および、磁石の磁化方向に逆らって組み込む本発明の性質上困難になるため、現実的ではない。
また、配向用磁石の異極間の境界を円柱状ボンド磁石の軸方向に対して傾けることにより、円柱状ボンド磁石のN極とS極の境目を斜めにスキューさせても良い。このスキューさせることにより、極ごとにわずかに生じる磁力のばらつきを吸収でき、円柱状磁石の表面に生じる磁力分布を均一なものとすることができる。特に、リニアモータの構成部材としたときに、モータの動作を滑らかなものとすることができる。
また、本発明の製造方法により得られた円柱状ボンド磁石は、成形後、必要に応じて、着磁処理を行ってもよい。この着磁処理を行うことで、円柱状ボンド磁石の磁力をより強力なものとすることができる。
本発明の配向用磁石を用いた成形法及び成形材料については、特に限定されないが、成形法としては、射出成形、圧縮成形または押出成形が好ましい。
本発明で用いられる磁性粉末は、異方性又は等方性の磁性粉末が適用可能である。例えば、異方性磁性粉末としては、フェライト系、SmCo系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系などが挙げられる。等方性磁性粉末としては、Sm−Co系、Nd−Fe−B系などが挙げられる。磁力の強い円柱状ボンド磁石を作製する必要がある場合には、異方性磁性粉末を用いることが好ましい。特に、成形性を考慮するとSmFeN系が好ましい。これは、異方性磁性粉末は、配向の際に印加される磁場によって、磁化方向が非常に揃いやすく、結果的に円柱状ボンド磁石の磁力が強くなるためである。上記の磁性粉末は一種類単独でも二種以上を混合物としても使用可能である。また必要に応じて耐酸化処理やカップリング処理を施しても良い。
本発明で用いられる樹脂としては、上述の成形法に使用可能な材料であれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、エステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマーを使用することができる。また、これらを適宜混合して使用することも可能である。
磁性粉末と樹脂の配合比率は、樹脂の種類にもよるが、円柱状ボンド磁石全体に対する磁性粉末の割合が45〜65vol%とすることが望ましい。また、酸化防止剤、滑剤等をさらに混合することもできる。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
1.円柱状ボンド磁石の作製
<実施例1>
(磁性粉末の準備)
磁性粉末には、異方性のSm−Fe−N系磁性粉末(平均粒子径3μm)を用いた。
(コンパウンドの作製)
上記のSm−Fe−N系磁性粉末を、エチルシリケートおよびシランカップリング剤で表面処理をした。表面処理を行ったSm−Fe−N系磁性粉末9137gと12ナイロン863gをミキサーで混合した。得られた混合粉を、2軸混練機を用いて220℃で混練し、冷却後適当な大きさに切断しコンパウンドを得た。
(円柱状ボンド磁石の作製)
射出成形機の金型のキャビティには、内径5mm、全長70mmの円柱状のものを使用した。配向用磁石には、市販のNdFeB焼結磁石(Br=1.35T)を使用した。配向用磁石を構成する個々の小磁石として、幅が2.5mmのものを使用した。図4に示すように、各小磁石の磁化方向を、成形される円柱状ボンド磁石の径方向に対して、軸方向に76°だけ傾けて加工した小磁石同士を接着させ、配向用磁石を作製した。そして、図3に示すように、キャビティ105を囲むように配向用磁石201、202を設置した。射出成形機の金型内部に配置した配向用磁石201、202により、コンパウンドに磁場を印加させながら、コンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形した。
射出成形機の条件として、コンパウンドを溶融させるシリンダーの温度を230℃、キャビティ温度を90℃に設定した。さらに、射出成形時の条件について、射出圧を100MPa、射出速度を80mm/s、冷却時間を8秒とした。このように条件を設定した一回の射出成形によって、直径が5mm、全長が70mm、配向ピッチが5mmの円柱状ボンド磁石を得た。
<実施例2>
本実施例は、図7に示すように、各小磁石301a、301b、302a、302bをそれぞれ5個に分割して、磁石の磁化方向を円柱状ボンド磁石の軸方向に傾けた複数の磁石を接着させたものを配向用磁石とした。その他は、実施例1と同様にして、直径5mm、全長70mm、配向ピッチ5mmの円柱状ボンド磁石を得た。
<比較例1>
本発明の比較例は、図2に示すように、同種の磁極が対向するように磁石同士を接着させたものを配向用磁石とした。ここで、配向用磁石の磁化方向は、円柱状ボンド磁石の径方向に垂直であり、円柱状ボンド磁石の軸方向に平行である。配向用磁石を構成する個々の小磁石として、幅が5mmのものを使用した。それ以外は、実施例1と同様にして、直径が5mm、全長が70mm、配向ピッチが5mmの円柱状ボンド磁石を得た。
2.磁気特性の評価
各実施例および比較例で成形した円柱状ボンド磁石の側面を、円柱状ボンド磁石の軸方向にガウスメーターで走査することにより、円柱状ボンド磁石の長さ方向の表面磁束密度分布を測定した。その結果を、図9乃至図10に示す。
図9に示される実施例1および実施例2は、図10に示される比較例1と比較して、ピークの表面磁束密度が大きく、波形が正弦波により近い形状となっているのが分かる。
次に、成形した円柱状ボンド磁石の側面において、ピークトップの位置を径方向にガウスメーターで走査することにより、1周の表面磁束密度分布を測定した。図11は、円柱状ボンド磁石の円状断面の円周に沿って、反時計回りに角度を変化させて測定した結果を示す。図11に示されるように、比較例の円柱状ボンド磁石においては、配向用磁石101と配向用磁石102の合わさり目に相当する個所(二箇所)で磁力の低下が見られるが、実施例1、2は、比較例よりも略全ての個所で磁力が高くなっていることが分かる。また、実施例2では実施例1よりも磁力が高くなっていることが分かる。
また、表面磁束密度の平均値を計算し、以下の表1に示す。表1によると、実施例1および実施例2では、比較例1と比較して、表面磁束密度が高く、均一な磁力が得られ、表面磁束密度の平均値も高いことが分かる。
Figure 2011114300
本発明の円柱状ボンド磁石は、異物除去装置やリニアモータ用の永久磁石材料として利用することができる。
100・・・円柱状ボンド磁石、101、102、201、202、301、302・・・配向用磁石、103・・・エジェクターピン、104・・・金型、105・・・キャビティ、106・・・ゲート、107・・・隔壁。

Claims (3)

  1. 磁性粉末と樹脂を混練しコンパウンドを得る工程と、配向磁場を印加しながら前記コンパウンドを円柱状ボンド磁石に成形する工程と、を有する、軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化された円柱状ボンド磁石の製造方法において、
    前記配向磁場は、同種の磁極が対向するように複数の磁石を接合させた配向用磁石により形成され、その配向用磁石が、前記円柱状ボンド磁石を成形するキャビティを囲むように配置されており、
    前記配向用磁石の磁化方向は、前記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に傾いていることを特徴とする円柱状ボンド磁石の製造方法。
  2. 前記配向用磁石の一つの極を構成する磁石が、さらに2個以上10個以下の磁石に分割され、その分割された各磁石の磁化方向が、前記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に傾いている請求項1に記載の円柱状ボンド磁石の製造方法。
  3. 前記配向用磁石の磁化方向は、前記円柱状ボンド磁石の径方向に対して軸方向に5°以上85°以下傾いている請求項1または2に記載の円柱状ボンド磁石の製造方法。
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