本発明の半導体装置の製造方法は、図63のフローチャート図に示すように、単結晶半導体基板または単結晶半導体層の上に少なくとも第1絶縁層を有する積層体を形成する工程(ステップS1)と、前記積層体に、前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層が露出する孔を形成する工程(ステップS2)と、前記孔の底面に露出している前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層を種結晶領域とすることにより、前記第1絶縁層の上にゲート電極となる単結晶半導体部を形成する工程(ステップS3)と、前記孔内に埋められた前記単結晶半導体部を除去することで、前記孔の底面に露出していた前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層を再び露出させる工程(ステップS4)と、前記単結晶半導体部の前記孔の側面に露出している部分にゲート絶縁膜を形成する工程(ステップS5)と、前記孔にチャネル形成用半導体部を形成する工程(ステップS6)と、を有する。
なお、ステップS5で形成される前記ゲート絶縁膜の少なくとも一部は、前記単結晶半導体部の一部を用いて形成されてもよい。チャネル形成用半導体部とは、チャネルが形成される半導体部のことである。
以下、本発明により実現される実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図面中、同一の材料で形成され、同一の処理がなされた同一の構成の部分(層、膜など)については、同様の模様を付し、適宜、符号での指示を省略する。これらの前提は、以下のすべての実施形態において同様である。
<実施形態1>
本実施形態の半導体装置の製造方法の場合、前記積層体を形成する工程(ステップS1)は、前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層に形成された不純物領域の上に、前記第1絶縁層を形成し、前記第1絶縁層の上に前記第1絶縁層よりも平面積が小さい第2絶縁層を形成し、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の上に第3絶縁層を形成することにより前記積層体を形成する工程を有する。また、前記孔を形成する工程(ステップS2)は、前記積層体に、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層および前記第3絶縁層を貫通し、前記不純物領域が露出する前記孔を形成する工程を有する。また、前記単結晶半導体部を形成する工程(ステップS3)は、前記第2絶縁層を除去する工程と、前記孔の底面に露出している前記不純物領域を種結晶領域とし、少なくとも前記孔を形成した後の前記第2絶縁層が占めていた空間を埋めるように前記単結晶半導体部を成長させる工程を有する。また、前記孔内に埋められた前記単結晶半導体部を除去する工程(ステップS4)は、前記第3絶縁層をマスクとしたドライエッチングにより、前記孔に埋められている前記単結晶半導体部を除去する工程を有する。
以下、図1から図24を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図1から図24は、本実施形態の縦型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図であり、各図の(a)が上面図、(b)が断面図である。各図の断面図は、各図の上面図のA−A'線に沿った断面を示している。本実施形態の製造方法は、n型MISFETにも、p型MISFETにも適用可能であるが、ここでは、図1から図24を用い、n型MISFETの製造方法を一例として説明する。
まず、図1に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。本実施形態の半導体基板1は、単結晶半導体のバルク基板(以下、「単結晶半導体基板」という)であってもよいし、表面に単結晶半導体層が形成された基板、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板であってもよい。例えば、半導体基板1は、バルクSi(100)基板のほか、(110)、(111)などの面方位をもつバルクSi基板、または、任意の材料で形成された基板の表面に(100)、(110)、(111)などの面方位をもつSiが形成された基板とすることができる。しかし、本実施形態の場合、半導体基板1は、バルクSi(100)基板、または、基板の表面に(100)の面方位をもつSiが形成された基板であるのが好ましい。この理由は、以下で述べる。その他、本実施形態の半導体基板1のオリフラ(ノッチ)方向、ドーピングの型および量においては、特段制限されない。半導体基板1に形成される素子分離絶縁膜2は、単結晶半導体基板または単結晶半導体層に形成される。素子分離絶縁膜2の形成は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法、または、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて実現することができる。なお、以下では、半導体基板1をp型のバルクSi(100)基板として説明する。
次に、図2に示すように、n型拡散層(不純物領域)3を形成する。具体的には、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、イオン注入後、熱処理により、これらのドーパントを活性化する。例えば、1価のAsイオンを注入し、窒素雰囲気もしくは、窒素雰囲気に微量の酸素が混入された雰囲気で、1050℃のスパイクアニールを行う。スパイクアニールは、例えば、目的の温度まで、装置の最大もしくは最大に近い昇温レートで昇温して、目的の温度での維持時間を0秒とし、装置の最大もしくは最大に近い降温レートで降温する処理であってもよい。
次に、ステップS1に移る。すなわち、半導体基板1の上に少なくとも第1絶縁層4を有する積層体を形成する。具体的には、まず、図3に示すように、半導体基板1上に、第1絶縁層4、第2絶縁層5をこの順に成膜する。例えば、第1絶縁層4として、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法でNSG(Non−doped Silicate Glass)膜を成膜してもよいし、または、プラズマCVD法でプラズマ酸化膜を成膜してもよい。第2絶縁層5としては、例えば、減圧CVD法を用いて、Si窒化膜を成膜してもよい。後述するように、第2絶縁層5は、第1絶縁層4に対して選択エッチングを行う。そのため、第2絶縁層5の膜種は、第1絶縁層4の膜種に対して、選択エッチングが可能なものとする。
第2絶縁層5の形成後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、所望のゲート層部分のレジストが残るようなレジストパターン(未図示)を第2絶縁層5の上に作製する。その後、第1絶縁層4に対して、第2絶縁層5のエッチングが選択性を持つような条件で、ドライエッチングを行う。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、図4に示すように、第1絶縁層4の上に第1絶縁層4よりも平面積が小さい第2絶縁層5を形成した形状が得られる。
この後、第1絶縁層4と第2絶縁層5の上に、第1絶縁層4と第2絶縁層5と接するように、第3絶縁層6を成膜する。成膜後、必要に応じて表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)で平坦化すると、図5に示すような構造が得られる。第3絶縁層6の膜種は、後工程で、第2絶縁層5に対して選択エッチングを行うため、第2絶縁層5の膜種に対して、選択エッチングが可能なものとする。例えば、第1絶縁層4の膜種と同じであってもよい。すなわち、第3絶縁層6として、減圧CVD法でNSG膜を成膜してもよいし、または、プラズマCVD法でプラズマ酸化膜を成膜してもよい。
次に、ステップS2に移る。すなわち、半導体基板1の上に形成された積層体(例:第1絶縁層4/第2絶縁層5/第3絶縁層6)に、半導体基板1が露出する孔7を形成する。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、図6の孔7が形成される領域にレジストが存在しないようなレジストパターン(未図示)を、図5に示す構造の第3絶縁層6の上に作製する。その後、このレジストパターン(未図示)をマスクとしてエッチング(ドライエッチング)を行い、第3絶縁層6、第2絶縁層5、第1絶縁層4を貫き、半導体基板1のn型拡散層3にいたる孔7を形成する。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、図6のように、孔7が形成された構造が得られる。なお、この状態の孔7の底面にはn型拡散層3が露出している。また、孔7の側面の一部には、第2絶縁層5が露出している。
次に、ステップS3に移る。すなわち、孔7の底面に露出している半導体基板1を種結晶領域とすることにより、第1絶縁層4の上にゲート電極となる単結晶半導体部9を形成する。具体的には、まず、図6に示す状態の第2絶縁層5を、孔7の側面に露出している部分から、ウエットエッチングにより除去する。この時、各層の膜種およびウエットエッチングに用いるエッチング液を適当に選択することで、第1絶縁層4及び第3絶縁層6はエッチングされないようにする。例えば、第1絶縁層4がNSG、もしくはプラズマ酸化膜であれば、第2絶縁層5のSi窒化膜を除去するのに、熱りん酸を用いてウエットエッチングを行ってもよい。こうして、孔7を形成した状態において第2絶縁層5が占めていた空間(図6参照)が、図7に示すように、空隙8となる。なお、上記ではウエットエッチングにより第2絶縁層5を除去する例を示したが、ドライエッチングにより除去しても構わない。
この後、孔7の底面に露出しているn型拡散層3すなわち単結晶半導体を種結晶領域として、少なくとも孔7を設けた後の第2絶縁層5(図6参照)が占めていた空間を埋めるように、単結晶Siを選択成長させることで、図8に示すように、単結晶半導体部9を形成する。
例えば、まず、選択成長前の前処理として、硫酸:過酸化水素の混合液で、図7に示す状態の基板を洗浄する。その後、アンモニア:過酸化水素:水の混合液で、n型拡散層3の表面部分に存在する孔7形成時の損傷層を除去する。さらに、n型拡散層3の表面の自然酸化膜を、希フッ酸で除去する。この後、ただちに単結晶Siの選択成長を行う。なお、選択成長前の自然酸化膜除去は、必ずしもこのような溶液による前処理でなくてもよく、例えば、ドライ前処理に置き換えることも可能である。ドライ前処理としては、特許文献5(段落[0033]〜[0046])に記載された方法や気相HF処理がある。
その後、単結晶半導体部9となる単結晶Siの選択成長を行う。この単結晶Siの選択成長は、孔7の底面に露出しているn型拡散層3を種結晶として、最初は、半導体基板1に対して垂直な方向に進む。その後、成長した単結晶Siが空隙8の高さに達すると、単結晶Siの成長は、空隙8を埋めるように、半導体基板1に対して水平な方向に進行する。そして、成長した単結晶Siが空隙8を埋めると、再び、単結晶Siの成長は、半導体基板1に対して垂直な方向に進む。このまま単結晶Siの成長を続けた場合、最後は孔7をすべて埋めて、横方向に進行し、図8に示すように、第3絶縁層6の上部にも単結晶Siが成膜される。ここで、このようなSiの選択成長では、(110)、(111)などの(100)以外の他の面方位の基板を用いると、結晶成長中に特定方向の面が形成されやすくなり、空隙8を埋め込みにくくなることがある。このため、本実施形態の場合、半導体基板1は、バルクSi(100)基板、または、基板の表面に(100)の面方位をもつSiが形成された基板であるのが好ましい。(100)の面方位をもつ基板を用いると、成長が進行する際には、その先端面が(111)の面方位をもつファセット面となるため、比較的、空隙8を埋め込みやすい。なお、図8に示す状態まで結晶成長させた単結晶半導体部9はあくまで一例であり、少なくとも孔7を設けた後の第2絶縁層5(図6参照)が占めていた空間を埋めるように、単結晶Siを選択成長させた単結晶半導体部9であればよい。図8に示すような単結晶半導体部9を形成した場合、その後、単結晶半導体部9の表面をCMPで平坦化してもよい。
次に、ステップS4に移る。すなわち、孔7内に埋められた単結晶半導体部9を除去することで、孔7の底面に露出していた単結晶半導体基板または単結晶半導体層を再び露出させる。具体的には、単結晶半導体部9を構成する単結晶Siのエッチングが、第3絶縁層6に対して選択性を持つ条件で、単結晶半導体部9のドライエッチングを行う。このとき、空隙8に埋め込まれている単結晶半導体部9は、上部の第3絶縁層6がマスクとなり、エッチングされない。一方、孔7に埋め込まれた単結晶半導体部9は、上部にマスクとなるものがないので、エッチングされる。この処理により、図9に示す形状が得られる。
次に、ステップS5に移る。すなわち、単結晶半導体部9の孔7の側面に露出している部分にゲート絶縁膜11を形成する。具体的には、孔7が形成された後、例えば、熱酸化を行うことで、図10に示すように、孔7の側面に露出していた単結晶半導体部9(単結晶Si)の上に、ゲート絶縁膜11としてSi酸化膜を形成する。この工程によれば、孔7の底面となっている半導体基板1のn型拡散層3の表面にも、ゲート絶縁膜11と同じ絶縁膜10が形成される。このように、本実施形態では、特許文献2、3の製造方法と異なり、単結晶Si上に、Si酸化膜などのゲート絶縁膜11を形成できる。そのため、特許文献2、3の製造方法よりも、良質なゲート絶縁膜を形成できる。
ここで、ゲート絶縁膜11としては、Si酸化膜に限らず、Si酸窒化膜を用いてもよい。この場合、酸窒化膜の窒素プロファイルは、窒素の多い部分が、孔7側にこないようにする。これは、縦型MISFETの移動度を低下させないためである。
次に、ステップS6に移る。すなわち、孔7にチャネル形成用半導体部13を形成する。具体的には、まず、ゲート絶縁膜11の形成後、図11に示すように、ドーピングされていない非晶質Si12を、孔7の側壁にそってコンフォーマルに成膜する。例えば、減圧CVD法で非晶質Si12を成膜してもよい。非晶質Si12の成膜後、ドライエッチングで孔7の底面に形成された非晶質Si12を異方性エッチングする。これにより、図12に示すように、孔7の側壁に沿った非晶質Si12の側壁が形成される。このとき、孔7の底面では、ゲート絶縁膜11と同時に形成された絶縁膜10が露出した状態となる。
その後、図13に示すように、絶縁膜10を除去する。例えば、希フッ酸処理を行う。この希フッ酸処理は、孔7の底面に露出しているn型拡散層3の表面に形成された絶縁膜10を除去するとともに、後工程である非晶質Si成膜の前処理を兼ねる。すなわち、非晶質Si12の側壁表面の自然酸化膜を除去し、水素終端する。このとき、ゲート絶縁膜11は、非晶質Si12の側壁に保護されているため、除去されない。この希フッ酸処理時に、膜種により、第3絶縁層6がエッチングされることがある。例えば、第3絶縁層6がNSGやプラズマ酸化膜である場合には、エッチングされ膜減りが生じる。よって、希フッ酸処理の時間は、単結晶半導体部9上の第3絶縁層6が消失しない処理時間に限定される。
希フッ酸処理後、図14に示すように、直ちに、UHV(Ultra High Vacuum)−CVD法で非晶質Si12を成膜し、孔7を非晶質Si12で埋める。なお、ここでは、成膜前の前処理として希フッ酸処理を行って、UHV−CVD法により非晶質Si12を成膜する例を示したが、図13において、ウエット処理の希フッ酸処理ではなく、特許文献5(段落[0033]〜[0046])に記載された方法や気相HF処理のようなドライ前処理を用いてもよい。この場合は、孔7の底面の絶縁膜10の除去後、ドライ前処理行い、大気にさらすことなく真空中を搬送し、UHV−CVD法の成膜装置に送り込み、非晶質Si12の成膜をただちに行う。
非晶質Si12の成膜後は、CMP法により、非晶質Si12の表面を平坦化した後、エッチングを行い、第3絶縁層6の上面で停止させる。こうして、図15に示すように、孔7に非晶質Si12が埋め込まれた形状が得られる。さらに、孔7に埋め込まれた非晶質Si12と接する半導体基板1のn型拡散層3を種結晶領域として、固相エピタキシャル成長を行うことで、図16に示すように、孔7内に埋め込まれた非晶質Si12を単結晶Siに結晶化させる。このとき、図12の工程を経て、孔7の側壁沿いに形成された非晶質Si12の側壁と、図15の工程を経て孔7に埋め込まれた非晶質Si12と、を同じ処理により、単結晶Siに結晶化させる。固相エピタキシャル成長の熱処理としては、例えば、窒素雰囲気、600℃の条件で行うことができる。この結晶化により、単結晶Siで構成されたチャネル形成用半導体部13が形成される。
以下、ステップS6に続いて行われる処理の一例を示す。
固相エピタキシャル成長後、チャネル形成用半導体部13に、p型のドーパントをイオン注入する。これは、チャネル形成用半導体部13が、後工程のプロセスを経て、縦型MISFETのチャネルとなるため、縦型MISFETのしきい値電圧調整を行うものである。例えば、チャネル形成用半導体部13に、p型のドーパントとして、1価のBをイオン注入してもよい。
チャネル形成用半導体部13へのイオン注入後、図17に示すように、第3絶縁層6の上に、多結晶Si14とSi窒化膜15を、この順に成膜する。例えば、多結晶Si14を減圧CVD法で成膜した後、Si窒化膜15を減圧CVD法で成膜する。この多結晶Si14は、後工程を経て、縦型MISFETの上部電極となる。
この後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、縦型MISFETの上部電極となる領域にレジストが残るようなレジストパターン(未図示)をSi窒化膜15の上に形成する。そして、このレジストパターン(未図示)をマスクとして、Si窒化膜15、多結晶Si14、第3絶縁層6を上から順にエッチングし、単結晶半導体部9の上面で、エッチングを停止させる。エッチング後、レジスト(未図示)を除去すると、図18に示す形状が得られる。
この後、n型のドーパントのイオン注入を行い、縦型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9と、上部電極となる多結晶Si14に、n型のドーパントを導入する。具体的には、まず図18に示す状態で、n型のドーパントのイオン注入を行い、ゲート電極となる単結晶半導体部9にイオン注入する。このとき、上部電極となる多結晶Si14は、Si窒化膜15にマスクされ、ドーピングされない。次に、Si窒化膜15を熱りん酸で除去し、n型のドーパントをイオン注入する。このとき、n型のドーパントは、上部電極となる多結晶Si14とゲート電極となる単結晶半導体部9の両方にドーピングされる。このように、Si窒化膜15は、縦型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9と、上部電極となる多結晶Si14に、異なる濃度、異なる深さのn型のドーパントを導入するために、用いられる。この後、導入したドーパントの活性化のために、窒素雰囲気、もしくは窒素雰囲気にわずかな酸素が混入された雰囲気で、1050℃のスパイクアニールを行う。この際、チャネル形成用半導体部13にしきい値電圧調整用のためにイオン注入されたp型のドーパントも同時に活性化される。また、n型拡散層3、上部電極となる多結晶Si14に導入されたドーパントが、チャネル形成用半導体部13中を拡散しながら活性化され、縦型MISFETのチャネル形成用半導体部13のゲート電極近傍にまで達するようにする(図19中、n型拡散層3と同じ模様が付された領域)。
それから、第3絶縁層6と第1絶縁層4を、Siに対して選択性を持つ条件で、ドライエッチングし、半導体基板1のn型拡散層3の表面で停止させる。そうすると、図20に示す形状が得られる。
この次に、後工程のシリサイド形成時に、ゲート電極と上部電極との短絡、および、ゲート電極と半導体基板1に形成される下部電極との短絡を防ぐため、SW(side wall)を形成する。このために、まずSW絶縁膜16を成膜し、エッチバックする。すると、図21に示す形状が得られる。
SW形成後、図22に示すように、縦型MISFETの上部電極となる多結晶Si14、ゲート電極となる単結晶半導体部9、下部電極となる半導体基板1のn型拡散層3に、シリサイド17を形成する。シリサイド17としては、Niシリサイド、Tiシリサイド、Coシリサイド、Pdシリサイド、Ptシリサイド、Erシリサイドなどが用いられるが、NiPtシリサイドのような金属合金のシリサイドでもよい。
シリサイド17の形成後、図23に示すように、ストッパー絶縁膜18と層間絶縁膜19をこの順に成膜する。例えば、ストッパー絶縁膜18として、減圧CVD法によりSi窒化膜を成膜し、層間絶縁膜19として、プラズマCVD法により、プラズマ酸化膜を成膜する。ストッパー絶縁膜18と層間絶縁膜19の成膜後、CMP法を用いて、層間絶縁膜19の表面を平坦化すると、図23に示す形状が得られる。
次に、図24に示すコンタクト20を形成するため、図23に示す形状を得た後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行うことで、縦型MISFETのコンタクト20となる領域にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を層間絶縁膜19の上に形成する。その後、このレジストパターン(未図示)をマスクとして、層間絶縁膜19をエッチングし、ストッパー絶縁膜18で一度停止させる。その後、層間絶縁膜19のエッチングにより形成された孔の底面に位置するストッパー絶縁膜18のエッチングを行い、層間絶縁膜19の上に形成されたレジスト(未図示)を剥離する。この後、前記エッチングにより層間絶縁膜19に形成された孔内に金属を埋め込んで、コンタクト20を形成する。具体的には、TiとTiNをスパッタして熱処理し、その後、CVD法によりWを埋め込んで、CMPを行う。このようにして、図24のような形状が得られる。その後、必要に応じて、従来からの方法で配線層や電極パッドがさらに形成される。
なお、図7および図9に示されるように、孔7の断面形状としては円が最も一般的であるが、楕円、正方形、長方形、三角形、菱形などでもよく、さらにその他の断面形状であってもよい。また、半導体基板1上に、本実施形態の半導体装置の製造方法で製造される半導体装置を複数個製造してもよい。半導体基板1上に、縦型MISFETを複数個製造する場合には、断面形状の異なる孔7を形成しても構わない。さらに、同じ形状の孔7であって、大きさ(断面積)が異なる孔7が混在していてもかまわない。その際には、図8に示すように孔7を単結晶半導体部9で充填する際と、図14に示すように孔7を非晶質Si12で充填する際には、最も内部容量の大きい孔7が完全に埋まるように成膜処理を行うのがよい。このようにすれば、すべての孔7に対して所望の埋め込み処理を十分に行うことが可能となる。
その他、上記に説明したプロセスで、縦型MISFETのしきい値電圧調整用のチャネルドーピングは、図16においてイオン注入で行っているが、図11で成膜する非晶質Si12、図14で成膜する非晶質Si12のどちらか、あるいは両方に、しきい値電圧調整用のp型のドーパントをドーピングすることで実現してもよい。
以上の説明では、n型MISFETの製造方法を説明した。本実施形態の製造方法では、同様にp型MISFETを製造することも可能である。その際には、半導体基板1が例えばp型のバルクSi(100)基板であるとすると、まず、図2において、n型拡散層3の代わりに、nウェルとp型拡散層を形成する。さらに図16で、しきい値電圧調整用にp型のドーパントをイオン注入するかわりに、n型のドーパントをイオン注入する。もしくは、図11で成膜する非晶質Si12、図14で成膜する非晶質Si12のどちらか、あるいは両方に、しきい値電圧調整用のn型のドーパントをドーピングする。さらに、図18と図19で、n型のドーパントをイオン注入してアニールする代わりに、p型のドーパントをイオン注入して、アニールする。以上のように工程を変更することで、p型MISFETの製造が可能である。
また、上記説明では、半導体装置としてMISFETを製造する例を示したが、図10において、ゲート絶縁膜11として酸化膜と窒化膜の積層膜(ONO膜)を形成することで、記憶素子として用いることができる。
以上説明してきたように、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ゲート電極となる単結晶半導体部9の形成を、単結晶半導体基板または単結晶半導体層の一部を種結晶領域とした結晶成長により形成する。そして、このように形成した単結晶半導体部9の一部を利用して、ゲート絶縁膜11を形成する。このため、多結晶半導体の一部を利用してゲート絶縁膜を形成する場合(特許文献2、3)に比べて、良質なゲート絶縁膜11を形成することができる。
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、単結晶半導体部9を形成する工程において、半導体基板1を種結晶領域として結晶成長が進む経路となる孔は、縦型MISFETのチャネル形成用半導体部13を形成するために設けられる孔と、同じ位置に設ける。
なお、半導体基板1を種結晶領域として結晶成長が進む経路となる孔を、前記とは異なる位置、例えば、半導体基板1上の図24に示すような縦型MISFETが形成される領域の隣りの領域に設けることも考えられる。かかる手段の場合、図2に示す状態から半導体基板1の上に第1絶縁層4を形成したのち、この第1絶縁層4を貫通し、半導体基板1が露出する孔を図24に示すような縦型MISFETが形成される領域の隣りの領域に設ける。そして、この孔の底に露出している半導体基板1を種結晶領域として単結晶Siを結晶成長させることで、第1絶縁層4の上にゲート電極となる単結晶Siからなる層を形成することとなる。しかし、かかる手段のように、単結晶Siを結晶成長させるための孔を図24に示すような縦型MISFETが形成される領域の隣りの領域に設けた場合、素子面積が増加し、その結果、この縦型MISFETで集積回路を構成した際に、チップ面積が増加してしまうという不都合がある。
また、この手段の場合、結晶成長した単結晶Siの中のゲート絶縁膜11を形成する単結晶Si領域と、半導体基板1の種結晶領域との距離(特に半導体基板1に平行な方向をXY方向、半導体基板1に垂直な方向をZ方向としたときの、XY方向の距離)が遠いため、ゲート絶縁膜11を形成する単結晶Si領域の結晶品質が必ずしも良くないことがある。このため、ゲート絶縁膜11の品質が低下してしまう。一般に、横方向成長では、最初に、種結晶として用いられる半導体基板に通じた開口部において、結晶成長が基板と垂直方向に進む。その後、開口部が埋まった後、絶縁膜上を横方向に結晶成長が進んでいく。このとき、欠陥や転移という面から評価した結晶品質は、種結晶領域(種結晶領域から垂直方向に結晶成長が進んだ領域)からの距離(XY方向の距離)が遠くなるにしたがって、低下する。
なお、単結晶Siを結晶成長させるための孔を、図24に示すような縦型MISFETが形成される領域内であって、縦型MISFETのチャネル形成用半導体部13を形成するために設けられる孔とは異なる位置に設けることはできない。かかる場合、製造した半導体装置の構成が、図24に示すような所望の縦型MISFETの構成とは異なってしまう。
しかし、本実施形態の半導体装置の製造方法の場合、半導体基板1を種結晶領域として結晶成長が進む経路を、縦型MISFETのチャネル形成用半導体部13を形成するために設けられる孔と、同じ位置に設けるので、素子面積が増加し、その結果チップ面積が増加するという不都合を回避することができる。また、結晶成長した単結晶Siの中のゲート絶縁膜11を形成する単結晶Si領域の位置を、半導体基板1の種結晶領域から比較的近い位置にすることができる。このため、ゲート絶縁膜11を形成する単結晶Si領域を、結晶品質の良い単結晶Siで構成することができ、その結果、良質なゲート絶縁膜11を形成することができる。さらに、製造される半導体装置の構成が、所望の構成と異なったものになるという不都合も生じない。
<実施形態2>
本実施形態の半導体装置の製造方法は、実施形態1の製造方法を基本とし、単結晶半導体部9を作製する方法が異なる。具体的には、単結晶半導体部9を作製する方法を、選択成長から固相エピタキシャル成長に変更したものである。本実施形態の製造方法によれば、図7の空隙8を単結晶半導体部9で充填する手段として選択成長を利用した際に生じうる、成長時に現れる特定の面方位をもつ結晶面によって空隙8を充填しにくくなるという問題が発生しない。これにより、デバイス作製の確実さが向上する。また、本実施形態のように固相エピタキシャル成長を利用する場合、半導体基板1の表面における単結晶半導体の面方位について特段制限されなくなり、設計の幅が広がる。
このような本実施形態の半導体装置の製造方法を実現するため、積層体を形成する工程(ステップS1)は、前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層に形成された不純物領域の上に、前記第1絶縁層、非晶質半導体層、第3絶縁層、をこの順に積層することにより前記積層体を形成する工程を有する。また、孔を形成する工程(ステップS2)は、前記積層体に、前記第1絶縁層および前記非晶質半導体層および前記第3絶縁層を貫通し、前記不純物領域が露出する前記孔を形成する工程を有する。また、単結晶半導体部を形成する工程(ステップS3)は、前記孔の底面に露出している前記不純物領域と、前記孔の側壁に露出している前記非晶質半導体層と、を繋ぐ非晶質半導体部を形成する工程と、前記非晶質半導体層と前記非晶質半導体部を単結晶に結晶成長させることで前記単結晶半導体部を形成する工程を有する。また、前記孔内に埋められた前記単結晶半導体部を除去する工程(ステップS4)は、前記第3絶縁層をマスクとしたドライエッチングにより、前記孔に埋められている前記単結晶半導体部を除去する工程を有する。
以下、図25から図28および実施形態1の半導体装置の製造方法の説明で利用した図を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図25から図28は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図であり、各図の(a)が上面図、(b)が断面図である。各図の断面図は、各図の上面図のA−A'線に沿った断面を示している。本実施形態の製造方法は、n型MISFETにも、p型MISFETにも適用可能であるが、ここでは、図25から図28を用い、n型MISFETの製造方法を一例として説明する。
まず、ステップS1、S2について説明する。このステップでは、実施形態1の製造方法と同様に、図1から図6を用いて説明した製造工程を行う。ただし、図2の状態の後、図3に示す第2絶縁層5の代わりに、例えば非晶質Siなどの非晶質半導体層21を成膜する。この非晶質半導体層21は、後工程で単結晶Siなどの単結晶半導体に変化し、単結晶半導体部9となる。その後、実施形態1で説明した図4から図6を用いて説明した処理を行う。すると、本実施形態では図25に示す形状が得られる。すなわち、この段階において、実施形態1(図6)と本実施形態(図25)とでは、第1絶縁層4と第3絶縁層6に挟まれる領域の膜種が異なる。具体的には、実施形態1(図6)では第2絶縁層5が存在するのに対し、本実施形態(図25)では非晶質半導体層21が存在する。
次に、ステップS3に移る。すなわち、孔7の底面に露出している半導体基板1を種結晶領域とすることにより、第1絶縁層4の上にゲート電極となる単結晶半導体部9を形成する。具体的には、まず、図26に示すように、孔7を埋めるように非晶質Siを成膜することで、孔7の底面に露出していた不純物領域3と、孔7の側壁に露出していた非晶質半導体層21と、を繋ぐ非晶質半導体部を形成する。具体的には、まず成膜前の前処理として、硫酸:過酸化水素の混合液で図25に示す状態の基板を洗浄し、その後、アンモニア:過酸化水素:水の混合液で、n型拡散層3の表面部分に存在する孔7形成時の損傷層を除去する。さらに、n型拡散層3の表面の自然酸化膜を、希フッ酸で除去する。この後、ただちに、非晶質半導体部となる非晶質Siの成膜を行う。この非晶質Siの成膜は、UHV−CVD法で行うのがよい。なお、成膜前の自然酸化膜除去処理は、必ずしもこのような溶液による前処理でなくてもよく、例えば、ドライ前処理に置き換えることも可能である。
非晶質Siの成膜後、CMPで非晶質Siの表面を平坦化する。それから、非晶質Siを、第3絶縁層6に対して選択性を持つ条件で、ドライエッチングし、第3絶縁層6の上面で、エッチングを停止させる。そうすると、図27に示す形状が得られる。
この後、図28に示すように、固相エピタキシャル成長を行う。具体的には、孔7の底面に露出していたn型拡散層3を種結晶として、固相エピタキシャル成長を行い、孔7内に埋め込まれた非晶質Siおよび、第1絶縁層4と第3絶縁層6に挟まれた非晶質半導体層21(非晶質Si)を、単結晶Siに結晶化させる。これにより、単結晶半導体部9が形成される。固相エピタキシャル成長の熱処理条件としては、例えば、窒素雰囲気、600℃の条件で行ってもよい。
次に、ステップS4に移る。すなわち、孔7内に埋められた単結晶半導体部9を除去する。具体的には、固相エピタキシャル成長後、孔7に埋まっている単結晶半導体部9を、第3絶縁層6に対して選択性をもつ条件でドライエッチングを行い、n型拡散層3の表面でエッチングを停止させる。そうすると、実施形態1の図9に示す形状が得られる。この後は、実施形態1において図9から図24を用いて説明した工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
<実施形態3>
本実施形態の半導体装置の製造方法は、実施形態2を基本とし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を作製できるようにしたものである。
以下、図29から図36を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図29から図36は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図であり、各図の(a)が上面図、(b)が断面図である。各図の断面図は、各図の上面図のA−A'線に沿った断面を示している。なお、各図の右側にn型の縦型MISFET、左側にp型の縦型MISFETを図示する。また、図29から図36用いた説明では、CMOSの製造工程の一例として、インバータを作製する場合を示す。
まず、図29に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。素子分離絶縁膜2の形成は、STI法を用いる。また、STI法の代わりに、LOCOS法を用いてもよい。
次に、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、p型MISFETを作製する領域(図中左側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を半導体基板1の上に作製する。さらに、p型MISFETを作製する領域(図中左側)に、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、nウェルとなる注入層を作製する(未図示)。次に、p型のドーパント(Bなど)をイオン注入し、p型ドーパント注入層を作製する。その後、レジスト(未図示)を剥離する。さらに、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、n型MISFETを作製する領域(図中右側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を半導体基板1の上に作製し、n型MISFETを作製する領域(図中右側)に、p型のドーパント(Bなど)をイオン注入し、pウェルとなる注入層を作製する(未図示)。次に、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、n型ドーパント注入層を作製する。その後、レジスト(未図示)を剥離する。この後、スパイクアニールを行い、注入したドーパントを活性化させ、p型MISFETを作製する領域(図中左側)に、nウェル(未図示)およびp型拡散層22を形成し、n型MISFETを作製する領域(図中右側)に、pウェル(未図示)およびn型拡散層3を形成する(図30)。
次に、ステップS1に移る。すなわち、単結晶半導体基板または単結晶半導体層の上に少なくとも第1絶縁層を有する積層体を形成する。具体的には、まず、半導体基板1上に、第1絶縁層4、非晶質半導体層21を成膜する。その後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、非晶質半導体層21の上に所望のレジストパターン(未図示)を作製する。そして、第1絶縁層4に対して、非晶質半導体層21のエッチングが選択性を持つような条件で、ドライエッチングを行い、第1絶縁層4の上面で停止させる。さらに、第1絶縁層4と非晶質半導体層21に接するように、第3絶縁層6を成膜する。第3絶縁層6を成膜後、表面をCMPで平坦化すると、図31のような積層体が得られる。
この後、実施形態2の製造方法と同様の工程を行うことで、図32の状態が得られる。ここで、n型MISFETとp型MISFETとでは、チャネル形成用半導体部13に異なるドーピングを行わなければならない。そこで、例えば以下のような手段を用いる。
まず、図32の構造が形成された後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、p型MISFETを作製する領域(図中左側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製し、p型MISFETを作製する領域に、n型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入する。その後、レジスト(未図示)を剥離する。再度、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、n型MISFETを作製する領域(図中右側)にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製し、n型MISFETを作製する領域に、p型のドーパント(Bなど)をイオン注入する。その後、レジスト(未図示)を剥離する。
しきい値電圧調整用のイオン注入後、図33に示すように、第3絶縁層6の上に、多結晶Si14とSi窒化膜15を、この順に成膜する。例えば、多結晶Si14を減圧CVD法で成膜した後、Si窒化膜15を減圧CVD法で成膜する。
この後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、縦型MISFETの上部電極となる領域にレジストが残るようなレジストパターン(未図示)の作製を行い、このレジストパターン(未図示)をマスクとして、Si窒化膜15、多結晶Si14、第3絶縁層6を上から順にエッチングし、単結晶半導体部9の上面で、エッチングを停止させる。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、図34に示す形状が得られる
この後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、n型MISFETを形成する領域(図中右側)に、レジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を作製する。それから、n型のドーパント(P、Asなど)のイオン注入を行い、n型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9にイオン注入する。イオン注入後、レジスト(未図示)を剥離する。次に、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、p型MISFETを形成する領域(図中左側)に、レジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を形成する。それから、p型のドーパント(Bなど)のイオン注入を行い、p型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9にイオン注入する。イオン注入後、レジスト(未図示)を剥離する。
次に、Si窒化膜15を熱りん酸で除去する。その後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、n型MISFETを形成する領域(図中右側)に、レジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を形成する。それからn型のドーパント(P、Asなど)をイオン注入し、n型MISFETの上部電極となる多結晶Si14とn型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9の両方をドーピングする。イオン注入後、レジスト(未図示)を剥離する。次に、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、p型MISFETを形成する領域(図中左側)に、レジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を形成する。それから、p型のドーパント(Bなど)のイオン注入を行い、p型MISFETの上部電極となる多結晶Si14とp型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9の両方をドーピングする。イオン注入後、レジスト(未図示)を剥離する。この後、導入したドーパントの活性化のために、窒素雰囲気、もしくは窒素雰囲気にわずかな酸素が混入された雰囲気で、例えば1050℃のスパイクアニールを行う。この際、チャネル形成用半導体部13にしきい値電圧調整用のためにイオン注入されたドーパントも同時に活性化される。また、n型拡散層3、p型拡散層22、上部電極となる多結晶Si14に導入されたドーパントが、チャネル形成用半導体部13中を拡散し、縦型MISFETのチャネル部のゲート近傍にまで達するようにする(図35)。
この後は、実施形態1において図20から図24を用いて説明した工程と同様の処理を行うことで、図36に示すようなインバータが作製される。
なお、本実施形態の製造方法では、実施形態2の製造方法をもとにCMOSを作製する場合について説明したが、実施形態1の製造方法をもとにCMOSを作製することも可能である。この場合は、まず、図29、図30に示す工程を行う。その後、図31に示す工程で、非晶質半導体層21の代わりに、実施形態1の製造方法のように、第2絶縁層5を成膜する。この後、実施形態1の製造方法の図5から図16の工程を行うと、図32に示す状態となる。図32から後の工程は、上記説明と同様である。
<実施形態4>
本実施形態の半導体装置の製造方法は、実施形態2を基本とし、n型MISFETもしくは、p型MISFETを基板と垂直方向に複数積層するものである。n型MISFETの上にp型MISFETを積層したり、p型MISFETの上にn型MISFETを積層したりすることはない。
このような本実施形態の半導体装置の製造方法を実現するため、積層体を形成する工程(ステップS1)は、前記単結晶半導体基板または前記単結晶半導体層に形成された不純物領域の上に、絶縁層に挟まれた非晶質半導体層を複数積層することにより前記積層体を形成する工程を有する。また、孔を形成する工程(ステップS2)は、前記積層体に、すべての前記絶縁層および前記非晶質半導体層を貫通し、前記不純物領域が露出する前記孔を形成する工程を有する。また、単結晶半導体部を形成する工程(ステップS3)は、前記孔の底面に露出している前記不純物領域と、前記孔の側壁に露出している複数の前記非晶質半導体層と、を繋ぐ非晶質半導体部を形成する工程と、前記非晶質半導体層と前記非晶質半導体部を単結晶に結晶成長させることで前記単結晶半導体部を形成する工程と、を有する。また、前記孔内に埋められた前記単結晶半導体部を除去する工程(ステップS4)は、前記積層体の最上層である前記絶縁層をマスクとしたドライエッチングにより、前記孔に埋められている前記単結晶半導体部を除去する工程を有する。
以下、図37から図62を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例についてより詳細に説明する。図37から図62は、本実施形態の縦型MISFETの製造工程における各段階の状態の一例を示す模式図であり、各図の(a)が上面図、(b)および(c)が断面図である。各図の(b)の断面図は、各図の上面図のA−A'線に沿った断面を示している。各図の(c)の断面図は、各図の上面図のC−C'線に沿った断面を示している。本実施形態の製造方法は、n型MISFETにも、p型MISFETにも適用可能であるが、ここでは、n型MISFETの製造方法を一例として説明する。また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、2個以上の複数の縦型MISFETを積層したものを作製できるが、ここでは、最も基本的な場合として、2個の縦型MISFETを積層する場合の製造方法を説明する。
まず、図37に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2を形成する。半導体基板1は、単結晶半導体基板もしくは単結晶半導体層が表面に設けられた基板であり、実施形態1で説明した構成と同様である。なお、半導体基板1の表面における単結晶半導体の面方位についても実施形態1および2での説明と同様である。すなわち、単結晶半導体部9を結晶成長させる手段として選択成長を利用する場合には、実施形態1で説明したとおり、特段制限されないが(100)の面方位とするのが好ましい。また、単結晶半導体部9を結晶成長させる手段として固相エピタキシャル成長を利用する場合には、実施形態2で説明したとおり、特段制限されない。素子分離絶縁膜2の形成は、STI法を用いる。また、STI法の代わりに、LOCOS法を用いてもよい。その後、図38に示すように、実施形態1の場合と同様の手段により、n型拡散層3を形成する。
次に、ステップS1に移る。すなわち、半導体基板1の上に少なくとも第1絶縁層を有する積層体を形成する。具体的には、図39に示すように、半導体基板1上に、第1絶縁層として、例えばPSG(Phosphorous Silicate Glass)23およびNSG24を減圧CVD法で成膜する。その後、NSG24の上に、非晶質半導体層21として、例えば非晶質Siを減圧CVD法で成膜する。PSG23は、後工程で単結晶Siからなるチャネル形成用半導体部13にドーパントをドーピングする際の、ドーパントの供給源である。また、NSG24は、下側の縦型MISFETのソース電極・ドレイン電極と、ゲート電極と、の重なりを調整するスペーサーである。
ここで、本実施形態のようにゲート電極となる単結晶半導体部9を複数積層する構成の場合、ゲート電極となる単結晶半導体部9へのドーピングの手段として、実施形態1で図を用いて説明したものと同様の手段を用いるのは好ましくない。実施形態1で図を用いて説明した手段とは、非晶質半導体層21の段階ではドーピングせず、非晶質半導体層21を単結晶に結晶化させた単結晶半導体部9を形成し、図18に示すような形状を形成した後に、図中上方からのイオン注入によりドーピングする手段である。この手段の場合、本実施形態のようにゲート電極となる単結晶半導体部9を複数積層する構成の場合、下側にある単結晶半導体部9ほどドーピングしにくくなり、十分なドーピングが行えなくなる恐れがある。そこで、本実施形態の製造方法では、この問題を解決するため、非晶質半導体層21の成膜段階でドーピングする。本例の場合、n型の縦型MISFETを製造するので、図39に示すように、PSG23およびNSG24の上に非晶質半導体層21を形成した後、この非晶質半導体層21にn型のドーパントをイオン注入でドーピングする。もしくは、非晶質半導体層21の成膜時にin−situドーピングする。
その後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、下側の縦型MISFETのゲート電極部分のレジストが残るようなレジストパターン(未図示)を、非晶質半導体層21の上に作製する。その後、NSG24に対して、非晶質半導体層21のエッチングが選択性を持つような条件で、ドライエッチングを行う。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、非晶質半導体層21をゲートパターンに加工した図40に示す形状が得られる。
非晶質半導体層21をゲートパターンに加工した後、NSG24と非晶質半導体層21に接するように、これらの上に絶縁層としてNSG24を成膜する。成膜後は、表面をCMPで平坦化する。そして、NSG24の上に、絶縁層としてPSG23、NSG24を、非晶質半導体層21として非晶質Siをこの順に成膜する(図41)。PSG23は、後工程で単結晶Siからなるチャネル形成用半導体部13にドーパントをドーピングする際の、ドーパントの供給源である。また、NSG24は、下側の縦型MISFETのソース電極・ドレイン電極と、ゲート電極と、の重なりを調整するスペーサーである。また、PSG23上のNSG24は、上側の縦型MISFETのソース電極・ドレイン電極と、ゲート電極と、の重なりを調整するスペーサーである。この後、図41の最上層の非晶質半導体層21に対して、n型のドーパントをドーピングする。
その後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、上側の縦型MISFETのゲート電極部分のレジストが残るようなレジストパターン(未図示)を、非晶質半導体層21の上に作製する。その後、NSG24に対して、非晶質半導体層21のエッチングが選択性を持つような条件で、ドライエッチングを行う。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、非晶質半導体層21をゲートパターンに加工した図42に示す形状が得られる。
非晶質半導体層21をゲートパターンに加工した後、NSG24と非晶質半導体層21に接するように、これらの上に絶縁層としてNSG24を成膜する。成膜後は、表面をCMPで平坦化する。さらに、NSG24の上に、絶縁層としてPSG23を成膜する(図43)。PSG23は、後工程で単結晶Siからなるチャネル形成用半導体部13にドーパントをドーピングする際の、ドーパントの供給源である。また、非晶質半導体層21上のNSG24は、上側の縦型MISFETのソース電極・ドレイン電極と、ゲート電極と、の重なりを調整するスペーサーである。
次に、ステップS2に移る。すなわち、半導体基板1の上に形成された積層体(例:PSG23/NSG24/非晶質半導体層21/NSG24/PSG23/NSG24/非晶質半導体層21/NSG24/PSG23、をこの順に積層した積層体)に、半導体基板1が露出する孔7を形成する。具体的には、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、図44の孔7が形成される領域にレジストが存在しないようなレジストパターン(未図示)を、図43に示す構造の最上層のPSG23の上に作製する。その後、エッチング(ドライエッチング)を行い、PSG23、NSG24、非晶質半導体層21、NSG24、PSG23、NSG24、非晶質半導体層21、NSG24、PSG23を貫き、半導体基板1のn型拡散層3にいたる孔7を形成する。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離すると、図44のように、積層体に孔7が形成された構造が得られる。
次に、ステップS3に移る。すなわち、孔7の底面に露出している半導体基板1を種結晶領域とすることにより、第1絶縁層の上にゲート電極となる単結晶半導体部9を形成する。具体的には、まず成膜前の前処理として、硫酸:過酸化水素の混合液で図44に示す状態の基板を洗浄し、その後、アンモニア:過酸化水素:水の混合液で、n型拡散層3の表面部分に存在する孔7形成時の損傷層を除去する。さらに、n型拡散層3の表面の自然酸化膜を、希フッ酸で除去する。この後、ただちに、非晶質半導体部となる非晶質Siの成膜を行うことで、孔7の底面に露出していたn型拡散層3と、孔7の側壁に露出していた複数の非晶質半導体層21と、を繋ぐ非晶質半導体部を形成する(図45)。非晶質Siの成膜は、UHV−CVD法で行うのがよい。また、このとき成膜する非晶質Siは、後工程で除去されるので、成膜時にドーピングは行わない。なお、成膜前の自然酸化膜除去処理は、必ずしもこのような溶液による前処理でなくてもよく、例えば、ドライ前処理に置き換えることも可能である。
非晶質Siの成膜後、CMPで非晶質Siの表面を平坦化する。それから、非晶質Siを、PSG23に対して選択性を持つ条件で、ドライエッチングし、PSG23の上面で、エッチングを停止させる。そうすると、図46に示す形状が得られる。
この後、図47に示すように、固相エピタキシャル成長を行い、非晶質Siを単結晶Siに結晶化させる。具体的には、孔7の底面に露出していたn型拡散層3を種結晶として、固相エピタキシャル成長を行い、孔7内に埋め込まれた非晶質Siおよび、NSG24に挟まれた複数の非晶質半導体層21(非晶質Si)を、単結晶Siに結晶化させる。固相エピタキシャル成長の熱処理条件としては、例えば、窒素雰囲気、600℃の条件で行ってもよい。
次に、ステップS4に移る。すなわち、孔7内に埋められた単結晶半導体部9を除去する。具体的には、固相エピタキシャル成長後、孔7に埋まっている単結晶半導体部9を、PSG23に対して、選択性をもつ条件でドライエッチングを行い、n型拡散層3の表面でエッチングを停止させる。そうすると、図48に示す形状が得られる。
次に、ステップS5に移る。すなわち、単結晶半導体部9の孔7の側面に露出している部分にゲート絶縁膜11を形成する。具体的には、孔7が形成された後、例えば、熱酸化を行うことで、図49に示すように、孔7の側面に露出していた単結晶半導体部9(単結晶Si)の上に、ゲート絶縁膜11としてSi酸化膜を形成する。この工程によれば、孔7内の底面となっている半導体基板1のn型拡散層3の表面にも、ゲート絶縁膜11と同じ絶縁膜10が形成される。なお、ゲート絶縁膜11としては、Si酸化膜に限らず、Si酸窒化膜を用いてもよい。この場合、酸窒化膜の窒素プロファイルは、窒素の多い部分が、孔7側にこないようにする。
次に、ステップS6に移る。すなわち、孔7にチャネル形成用半導体部13を形成する。具体的には、まず、ゲート絶縁膜11の形成後、非晶質Si12を、孔7の側壁にそってコンフォーマルに成膜する。例えば、減圧CVD法で非晶質Si12を成膜する。非晶質Si12の成膜後、ドライエッチングで孔7の底面に形成された非晶質Si12を異方性エッチングする。これにより、図50に示すように、孔7の側壁に沿った非晶質Si12の側壁が形成される。このとき、孔7の底面では、ゲート絶縁膜11と同時に形成された絶縁膜10が露出した状態となる。
それから、図51に示すように、絶縁膜10を除去する。例えば、希フッ酸処理を行う。この希フッ酸処理は、孔7の底面に露出しているn型拡散層3の表面に形成された絶縁膜10を除去するとともに、後工程の非晶質Si成膜の前処理を兼ねる。すなわち、非晶質Si12の側壁表面の自然酸化膜を除去し、水素終端する。このとき、ゲート絶縁膜11は、非晶質Si12の側壁に保護されているため、除去されない。
図51の希フッ酸処理の後、図52に示すように、直ちに、UHV−CVD法で非晶質Si12を成膜し、孔7を非晶質Si12で埋める。なお、ここでは、成膜前の自然酸化膜除去処理として希フッ酸処理を行って、UHV−CVD法により非晶質Si12を成膜する例を示したが、図51において、成膜前の前処理として、ウエット処理の希フッ酸処理ではなく、特許文献5(段落[0033]〜[0046])に記載された方法や気相HF処理のようなドライ前処理を用いてもよい。この場合は、孔7の底面の絶縁膜10の除去後、ドライ前処理を行い、大気にさらすことなく真空中を搬送し、UHV−CVD法の成膜装置に送り込み、非晶質Si12の成膜をただちに行う。
なお、実施形態2の製造方法と異なり、縦型MISFETのしきい値電圧調整用のチャネルドーピングとして、図50で成膜する非晶質Si12、または図52で成膜する非晶質Si12、または両方に、しきい値電圧調整用のp型のドーパントを成膜時にドーピングする。これは、積層される縦型MISFETの数が多くなるほど、実施形態1や2の製造方法のようなイオン注入による方法では、各縦型MISFETのチャネル濃度を均一にしにくいためである。換言すれば、本実施形態のような手段を利用することで、各縦型MISFETのチャネル濃度を略均一にすることが可能となる。
非晶質Si12の成膜後は、CMP法により、非晶質Si12の表面を平坦化した後、エッチングを行い、PSG23の上面で停止させる。こうして、図53に示すように、孔7に非晶質Si12が埋め込まれた形状が得られる。さらに、孔7に埋め込まれた非晶質Si12と接する半導体基板1のn型拡散層3を種結晶領域として、固相エピタキシャル成長を行うことで、図54に示すように、孔7内に埋め込まれた非晶質Si12を単結晶Siに結晶化させる。このとき、図50の工程を経て、孔7の側壁沿いに形成された非晶質Si12の側壁と、図53の工程を経て、孔7に埋め込まれた非晶質Si12と、を同じ処理により、単結晶Siに結晶化させる。固相エピタキシャル成長の熱処理としては、例えば、窒素雰囲気、600℃の条件で行う。この結晶化により、単結晶Siで構成されたチャネル形成用半導体部13が形成される。
以下、ステップS6に続いて行われる処理の一例を示す。
固相エピタキシャル成長後、図55に示すように、PSG23の上に、多結晶Si14を成膜する。例えば、多結晶Si14を減圧CVD法で成膜する。この多結晶Si14は、後工程を経て、縦型MISFETの上部電極となる。ここで、実施形態1や2では、多結晶Si14の上に、Si窒化膜を成膜していたが、本実施形態の製造方法では、既に、縦型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9にドーピングしてあるため、Si窒化膜を成膜する必要はない。この後、n型のドーパントのイオン注入を行い、縦型MISFETの上部電極となる多結晶Si14に、n型のドーパントを導入する。
この後、導入したドーパントの活性化のために、窒素雰囲気、もしくは窒素雰囲気にわずかな酸素が混入された雰囲気で、1050℃のスパイクアニールを行う。この際、多結晶Si14中のn型のドーパント、チャネル形成用半導体部13にしきい値電圧調整用のためにイオン注入されたp型のドーパントや、単結晶半導体部9中のn型のドーパントが同時に活性化される。また、PSG23よりチャネル形成用半導体部13にりん(P)が供給され、チャネル形成用半導体部13中で拡散するとともに、活性化される。こうして、チャネル形成用半導体部13中に、n型拡散層3が形成される(図56)。
ドーパントを活性化させた後、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、縦型MISFETの上部電極となる領域にレジストが残るようなレジストパターン(未図示)を、多結晶Si14の上に作製する。そして、このレジストパターン(未図示)をマスクとして、多結晶Si14、PSG23、NSG24を上から順にエッチングし、単結晶半導体部9の上面で、エッチングを停止させる。エッチング後、レジスト(未図示)を剥離する。さらに、PSG23やNSG24のエッチングが、Siに対して選択性を持つ条件で、ドライエッチングを行い、NSG24、PSG23、NSG24、PSG23をエッチングし、半導体基板1のn型拡散層3の表面および単結晶半導体部9の表面で停止させる。そうすると、図57に示す形状が得られる。
この次に、後工程のシリサイド形成時に、上部電極(多結晶Si14)と上側の縦型MISFETのゲート電極(単結晶半導体部9)、および、上側の縦型MISFETのゲート電極(単結晶半導体部9)と下側の縦型MISFETのゲート電極(単結晶半導体部9)、および、下側の縦型MISFETのゲート電極(単結晶半導体部9)と半導体基板1に形成される下部電極(n型拡散層3)との短絡を防ぐため、SW(side wall)を形成する。このために、まずSW絶縁膜16を成膜し、エッチバックする。すると、図58に示す形状が得られる。
SW形成後、図59に示すように、縦型MISFETの上部電極となる多結晶Si14、および、上側の縦型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9、および、下側の縦型MISFETのゲート電極となる単結晶半導体部9、および、下部電極となるn型拡散層3に、シリサイド17を形成する。シリサイド17としては、Niシリサイド、Tiシリサイド、Coシリサイド、Pdシリサイド、Ptシリサイド、Erシリサイドなどが用いられるが、NiPtシリサイドのような金属合金のシリサイドでもよい。
シリサイド17の形成後、ストッパー絶縁膜18と層間絶縁膜19をこの順に成膜する。例えば、ストッパー絶縁膜18として、減圧CVD法によりSi窒化膜を成膜し、層間絶縁膜19として、プラズマCVD法により、プラズマ酸化膜を成膜する。ストッパー絶縁膜18と層間絶縁膜19の成膜後、CMP法を用いて、層間絶縁膜19の表面を平坦化すると、図60に示す形状が得られる。
それから、レジスト塗布、露光、現像という一連のリソグラフィー工程を行って、縦型MISFETのコンタクトとなる領域にレジストが残らないようなレジストパターン(未図示)を層間絶縁膜19の上に形成する。そして、このレジストパターン(未図示)をマスクとして、層間絶縁膜19をエッチングし、ストッパー絶縁膜18で一度停止させる。その後、層間絶縁膜19のエッチングにより形成された孔の底面に位置するストッパー絶縁膜18のエッチングを行い、層間絶縁膜19の上に形成されたレジスト(未図示)を剥離する。この後、前記層間絶縁膜19に設けた孔内に金属を埋め込んで、コンタクト20を形成する。具体的には、TiとTiNをスパッタして熱処理し、その後、CVD法によりWを埋め込んで、CMPを行う。このようにして、図61のような形状が得られる。その後、必要に応じて、従来からの方法で配線層や電極パッドがさらに形成される。
なお、図44および図48に示されるように、孔7の断面形状としては円が最も一般的であるが、楕円、正方形、長方形、三角形、菱形などでもよく、さらにその他の形状であってもよい。また、半導体基板1上に、本実施形態の半導体装置の製造方法で製造される半導体装置を複数個製造してもよい。半導体基板1上に、縦型MISFETを同時に複数個作製する場合には、断面形状の異なるものが混在していても構わない。また、同じ形状の孔7であって、大きさ(断面積)が異なる孔7が混在していてもかまわない。その際には、図45に示すように孔7を非晶質Siで充填する際と、図52に示すように孔7を非晶質Siで充填する際には、最も内部容量の大きい孔7が完全に埋まるように成膜処理を行うのがよい。
ここで、実施形態1から3の製造方法では、ノンドープの単結晶半導体部9上にゲート絶縁膜11が形成されるのに対して、本実施形態の製造方法では、ドーパントが導入された単結晶半導体部9上に、ゲート絶縁膜11が形成される。このため、ゲート絶縁膜11の信頼性が、必要な性能に対して不足する場合がある。このような場合には、図44のように孔7を形成した後、ウエット処理(例えば、アンモニア:過酸化水素:水の混合液を用いて、60−70℃の温度でウエット処理すること)で、孔7の側壁に露出している非晶質半導体層21の一部をエッチングして、図62のような形状にした後に、図45からの工程を行ってもよい。そうすると、孔7の側壁付近の単結晶半導体部9は、ノンドープの単結晶半導体部9となり、ドーピングに起因する信頼性の低下が改善される。
以上の説明では、n型MISFETの製造方法を説明した。本実施形態の製造方法では、同様にp型MISFETを製造することも可能である。その際には、半導体基板1がp型のバルクSi(100)基板であるとすると、まず、図38において、n型拡散層3の代わりに、nウェルとp型拡散層を形成する。そして、PSG23の代わりに、BSG(Boron Silicate Glass)を用いる。また、図39と図41で成膜する非晶質半導体層21にp型のドーパントを導入する。また、図50で成膜する非晶質Si12、または図52で成膜する非晶質Si12、または両方に、しきい値電圧調整用のn型のドーパントをドーピングする。また縦型MISFETの上部電極となる多結晶Si14(図55参照)に、p型のドーパントをイオン注入する。以上のように工程を変更することで、p型MISFETの製造が可能である。
なお、本実施形態の製造方法では、実施形態2の製造方法をもとにn型MISFETを基板と垂直方向に複数積層する場合について説明したが、実施形態1の製造方法をもとにCMOSを作製することも可能である。この場合は、まず、図37、図38に示す工程を行う。その後、図39に示す工程で、非晶質半導体層21の代わりに、実施形態1の製造方法のように、第2絶縁層5を成膜する。さらに、図40の工程で、第2絶縁膜層5を非晶質半導体層21と同様の形状に加工した後、図41に示す工程で、非晶質半導体層21の代わりに、実施形態1の製造方法のように、第2絶縁層5を成膜する。それから、図42の工程で、第2絶縁膜層5を非晶質半導体層21と同様の形状に加工した後、図43、44に示す工程を行う。この後、実施形態1の製造方法の図7のように、第2絶縁膜層5を除去する。次に、実施形態1の製造方法の図8のように、単結晶Siの選択成長を行い、実施形態1の製造方法の図9のように、最上層のPSG23をマスクに、孔7内の単結晶Siをエッチングする。そうすると図48に示す状態となる。図48から後の工程は、上記説明と同様である。
上記説明では、半導体装置としてMISEETを製造する例を示したが、図49において、ゲート絶縁膜11として酸化膜と窒化膜の積層膜(ONO膜)を形成することで、記憶素子として用いることができる。なお、実施形態2、3には明示していないが、本発明のすべての実施形態で、ゲート絶縁膜11として酸化膜と窒化膜の積層膜(ONO膜)を形成することで、記憶素子として用いることができる。