JP2011105842A - 化合物および組成物、有機電界発光素子 - Google Patents

化合物および組成物、有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン化ポテンシャルが適切な値を有する、正孔注入(輸送)・電子阻止材料を提供する。
【解決手段】下記一般式に示される化合物。
Figure 2011105842

【選択図】なし

Description

本発明は、高分子を用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す)素子に用いられる化合物に関し、さらに詳しくは、耐熱性、電荷注入・輸送能に優れ、塗布型で積層製膜に対応することができる有機EL素子に用いられる化合物に関する。
有機EL素子は、自発光型で視野角依存性がなく、面発光、薄型化が可能であり、さらに、固体素子であるため耐衝撃性に優れることから、テレビや携帯電話などのディスプレイに代表される表示装置や、面発光の照明などへの応用が検討されている。
有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極を基本構成とし、陽極から正孔が、陰極から電子が注入され、発光層で正孔と電子が再結合することにより発光する。有機EL素子の発光効率は、電子と正孔の注入・輸送比率および再結合効率などによって決まるため、有機EL素子の構成としては、陽極と発光層の間に正孔注入・輸送層を、陰極と発光層の間に電子注入・輸送層を適宜設けたもの、例えば、陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極などが知られている。
有機EL素子に用いられる材料は、低分子系と高分子系に大きく分けられ、これらの材料系にはそれぞれ一長一短がある。
低分子系材料は、カラム精製、再結晶精製、および昇華精製などの方法により材料の純度を高めることができ、有機EL素子の不純物による影響を最小限に抑えることができる。また、一般に低分子系の材料は、真空蒸着法による製膜が可能であるため、有機EL素子を前述したような積層構造にすることができる。このことから、材料の特性を引き出し、有機EL素子の特性を高めることが比較的容易に行える。しかし、真空蒸着法は、材料の利用効率が極端に低く、また、シャドーマスクのたわみの問題から、大型基板への蒸着が難しいという大きな問題点がある。つまり、大型の有機EL基盤を用いた表示装置の作製が非常に困難となる。また、製造コストが高いという問題点がある。
一方、高分子系材料は、有機溶剤に溶かし込んだその溶液を、塗布することにより均一な膜を形成することが可能であり、これを利用して、インクジェット法や印刷法に代表される塗布法を用いることができる。そのため、材料の利用効率を100%近くまで高めることができ、さらに小型基盤から、大型基板まで、さまざまな形状の基盤に容易に対応できるため、素子の製造コストを大幅に削減することができる。しかし、一般的に塗布法は前述したような積層型の素子には適さず、素子の高性能化が容易ではないという問題点もある。塗布法が積層型に適さない理由としては、層を重ねる際に、先に形成してあった膜を溶かしてしまうことが挙げられる。
このように、低分子系材料を用いた素子は、性能は良いが製造コストが高い、また、高分子系材料を用いた素子は、製造コストは安いが性能が良くないという、それぞれ一長一短がある。
低分子系材料と高分子系材料のそれぞれの問題点を解決することを目的に、オリゴマー系材料が検討されている。オリゴマー系材料は、どちらかと言えば低分子系に分類されるが、モノマー体を任意の数だけ連結させることにより、高分子のように分子量分布がなく、カラム精製などの精製法を用いることで純度を高めることができ、さらに塗布製膜が可能となる材料である。ただし、オリゴマー系材料は、合成法が複雑化し、材料コストが高くなる問題点がある。また、オリゴマー系材料を用いる場合、高分子系材料と同じように、積層製膜に対する問題点も解決しなければならない。
有機EL素子の各層に用いられる材料には、耐熱性の高さと、電荷輸送性能の高さなどの性能が求められる。耐熱性の高さはすべての層に共通して求められ、ガラス転移温度Tgが高いほど良いが、一般的には100℃以上の値が求められる。電荷輸送性能については、各層によって求められる性能が違う。正孔注入・輸送層は、正孔注入・輸送能が高く、電子を通しにくい材料が望まれ、電子注入・輸送層は、逆に、電子注入・輸送能が高く、正孔を通しにくい材料が望まれる。また、発光層は、正孔と電子が再結合する場所であるため、正孔および電子が注入・輸送されやすく、さらに発光効率が高い材料が望まれる。
有機EL素子の発光効率は、次の式(i)で示される。
Φext=a×Φrec×Φspin×Φem ・・・ (i)
式(i)において、Φextは有機EL素子の発光効率(外部量子効率)、aは外部取り出し効率、Φrecは注入された正孔と電子が再結合する確率、Φspinは一重項および三重項の生成確率、Φemは発光材料の発光効率を示す。
このうちa(外部取り出し効率)は、発光材料から発生する光を、どれだけ外部に取り出せるかを示す値で、一般に材料の膜や、ガラス基板などの透明基盤による光の屈折により、数十%といわれている。
Φspinは、一重項および三重項の生成確率であるから、蛍光材料の場合は最大で25%、燐光材料の場合は最大で75%となる。Φemは、励起状態から熱失活することなく、どれだけ光に変換されたかという、発光効率を示す。つまり、ΦspinおよびΦemは発光材料の能力を表す値である。
一方、Φrecは、注入された正孔と電子が再結合する確率を示す値であるから、発光材料の能力が優れていても、再結合効率が悪ければ、発光効率も悪くなってしまう。
再結合効率を高めるためには、発光層が正孔と電子の両電荷を流す必要があり、さらに、有機EL素子全体として、正孔と電子の輸送バランスを調整し、発光層内で両電荷が効率良く再結合する必要がある。電荷輸送バランスを調整するには、正孔注入・輸送層の正孔移動度や、電子注入・輸送層の電子移動度、層界面での電荷注入障壁、またそれぞれの膜の厚さなど、多くのファクターを考慮した上でバランスを調整する必要がある。
しかし、材料自身がもつ正孔と電子の輸送性は、大抵の場合同一ではなく、また層界面では、ほぼ確実に電荷注入障壁が生じるため、発光層内で正孔と電子がバランスよく再結合することは容易ではない。電荷注入・輸送バランスが悪い場合としては、正孔または電子のどちらかが少ない場合、あるいはどちらかが極端に多く、再結合せずに通り抜けてしまう場合などが考えられるが、電荷が対極へ流れ出てしまう場合には、電荷をブロックする層を設けて、電荷を発光層内に閉じ込め、再結合効率を高める方法もある。
有機EL素子の再結合効率を高めるために用いられる正孔注入(輸送)・電子阻止材料に求められる特性は、正孔輸送性が高く、電子輸送性が低いことに加え、バンドギャップやイオン化ポテンシャル、電子親和力の値が適切な値を有することが重要である。イオン化ポテンシャルは、陽極の仕事関数と発光材料のイオン化ポテンシャルとの間の値となることが望ましく、これにより発光層への正孔注入障壁を小さくできる。電子親和力は、発光材料の電子親和力よりも大きくなることが望ましく、これにより電子ブロック効果を得ることができる。
有機EL素子の再結合効率を高めるために用いられる電子注入(輸送)・正孔阻止材料に求められる特性は、電子輸送性が高く、正孔輸送性が低いことに加え、バンドギャップやイオン化ポテンシャル、電子親和力が適切な値を有することが重要である。電子親和力は、陰極の仕事関数と発光材料の電子親和力の間の値となることが望ましく、これにより発光層への電子注入障壁を小さくできる。イオン化ポテンシャルは、発光材料のイオン化ポテンシャルよりも小さくなることが望ましく、これにより正孔ブロック効果を得ることができる。
素子全体として電子輸送性が高い場合は、陽極側に正孔注入(輸送)・電子阻止層を設けるのが良い。正孔が発光層に注入されるのを促すとともに、発光層から流出してしまう電子をブロックすることで、発光層内での正孔と電子の再結合を促進する効果が得られるからである。
正孔注入(輸送)・電子阻止材料を用いて有機EL素子の効率を上げるためには、前述したように正孔注入(輸送)・電子阻止材料のイオン化ポテンシャルと電子親和力が適切な値を有することが必要である。一般に陽極として用いられる材料は、酸化インジウムスズ(ITO)であり、仕事関数は4.8〜5.0eVである。また、例えば、現在開発途上である青色有機EL素子に関して言えば、青色発光材料のイオン化ポテンシャルは材料によって違うが、一般に用いられるものの多くは−5.6〜−6.0eV付近にある。このように、ITO電極と発光材料のエネルギー障壁は非常に大きいため、このエネルギー障壁を緩和するために正孔注入(輸送)材料が用いられる。また、電子阻止効果も同時に得るためには、材料のバンドギャップは広いほうが良く、電子親和力の値が大きいほど良い。
前述したように正孔注入・輸送材料のイオン化ポテンシャルの値は、陽極(ITO)の仕事関数と発光材料のイオン化ポテンシャルの値の間となることが求められる。具体的にはイオン化ポテンシャルの値が−5.2〜−5.4eVの範囲にあることが好ましい。イオン化ポテンシャルの値は正孔注入・輸送材料においては非常に重要な値であり、この値は大きすぎても小さすぎても有用な効果は得られない。この値が、大きすぎたり、小さすぎたりする場合は、正孔注入の効果が得られないばかりか、正孔の注入をブロックしてしまうことになるため、イオン化ポテンシャルには適切な値が求められている。
塗布型の正孔注入材料として一般に広く用いられている材料には、(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。PEDOT:PSSは電荷輸送性に優れ、イオン化ポテンシャルが−5.2eV付近にあり、さらに製膜後に処理することで、有機溶剤に対し不溶となるため、塗布型の正孔注入材料としての要求性能を幅広くカバーしているといえる。
しかし、PEDOT:PSSはバンドギャップが狭く(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)、発光層から流出する電子をブロックする効果はほとんどない。また、PEDOT:PSSは製膜の際に水を使用しており、水は少なからず有機EL素子に悪影響を及ぼす。さらに、酸や硫黄の拡散など、多くの問題が指摘されており、代替材料が求められている。
特開2004−228002号公報
Chem.Mater.2008,20,413. Appl.Phys.Lett.1999,75,1679
本発明は、有機EL素子の電界発光の効率を向上するために好適に用いられ、正孔輸送性を有し、イオン化ポテンシャルが適切な値を有する、正孔注入(輸送)・電子阻止材料である化合物、および化合物を含有する組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の化合物を含む有機層を備える電力効率に優れた有機EL素子を提供することを課題とする。
前記した目的を達成するため、研究を重ねた結果、本発明者らは以下に示す化合物が、適切なイオン化ポテンシャルを有し、正孔注入・輸送能に優れ、安定性が高く、さらに塗布型の積層製膜に対応することを見出した。また、本発明者らは、これらの化合物を有機EL素子に用いることで、電界発光の効率の向上が可能であることを見出した。
より具体的には、本発明者らは、正孔輸送性のポリカルバゾール骨格に、電子供与性の窒素が置換したベンゼン環を導入し、さらに、窒素が置換したベンゼン環のユニットを分子内に適切に配置することで、ポリマー主鎖と側鎖との相乗効果が得られ、適切なイオン化ポテンシャルと、電子ブロック効果の得られる化合物を実現できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わるものである。
下記一般式(1)に示される化合物である。
Figure 2011105842
一般式(1)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、ArからArは、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、ArからAr上の置換基、およびRからRは、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、電荷注入・輸送基、または架橋性置換基から選ばれることを特徴とする。また、RからRの置換基は隣接する置換基同士が連結し環を形成しても良い。EおよびEは、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
下記一般式(2)に示される化合物である。
Figure 2011105842
一般式(2)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、ArからAr10は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、炭素数2〜30の芳香族環式基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、ArからAr10上の置換基、RおよびR10は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
下記一般式(3)で示される化合物である。
Figure 2011105842
一般式(3)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、Ar11およびAr12は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、Ar11およびAr12上の置換基、R11、12およびR13は、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
下記一般式(4)で示される化合物である。
Figure 2011105842
一般式(4)中のAr13〜Ar16は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、Ar13〜Ar16上の置換基、R14およびR15は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
下記一般式(5)で示される化合物である。
Figure 2011105842
一般式(5)中のAr17およびAr18は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、Ar17およびAr18上の置換基、R16〜R18は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。EおよびE10は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
一般式(1)に記載の架橋性置換基は、触媒の有る無しに関係なく、光あるいは熱によりクロスリンクが可能な置換基であり、ビニル基、トリフルオロビニル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、あるいはエポキシ基を有する、置換されていても良いアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されていても良い芳香族環式基である化合物とすることができる。
一般式(1)〜(5)に記載の電荷注入・輸送性基は、電子供与性基で置換された芳香族環式基、置換基を有していても良いアリールアミン、または置換基を有していても良いカルバゾール誘導体であることを特徴とする化合物とすることができる。
本発明によれば、有機EL素子の材料として用いた場合に、耐熱性、正孔注入・輸送性に優れ、さらに塗布型の積層製膜に対応できる高分子材料である化合物を提供することができる。また、本発明の化合物は、正孔注入・輸送性に優れるだけでなく、電子を流さない性質を有するため、本発明の化合物および本発明の化合物を含有する組成物を有機EL素子に用いることで、正孔と電子の再結合を促し、有機EL素子の電界発光の効率を向上できる。
本発明の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。
「化合物」
まず、本発明の化合物について、詳細に説明する。
本発明の上記一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Y〜Y上の置換基、Ar〜Ar18上の置換基、R〜R18は、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、電荷注入・輸送基から選ばれる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、または環状のいずれでも良く、直鎖または分岐状のアルキル基としては炭素数1〜15のものが好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。環状のアルキル基としては炭素数3〜10が好ましい。
炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の代表的なアルキル基としては、具体的に、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘネイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−n−プロピルプロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−プロピルブチル、1−n−ブチルブチル、1−メチルペンチル、1−エチルペンチル、1−n−プロピルペンチル、1−n−ペンチルペンチル、1−メチルヘキシル、1−エチルヘキシル、1−n−プロピルヘキシル、1−n−ブチルヘキシル、1−n−ペンチルヘキシル、1−n−ヘキシルヘキシル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘプチル、1−n−プロピルヘプチル、1−n−ブチルヘプチル、1−n−ペンチルヘプチル、1−n−ヘプチルヘプチル、1−メチルオクチル、1−エチルオクチル、1−n−プロピルオクチル、1−n−ブチルオクチル、1−n−ペンチルオクチル、1−n−ヘキシルオクチル、1−n−ヘプチルオクチル、1−n−オクチルオクチル、1−メチルノニル、1−エチルノニル、1−n−プロピルノニル、1−n−ブチルノニル、1−n−ペンチルノニル、1−n−ヘキシルノニル、1−n−ヘプチルノニル、1−n−オクチルノニル、1−n−ノニルノニル、1−メチルデシル、iso−プロピル、t−ブチル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−n−プロピルペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−n−プロピルヘキシル、2−n−ブチルヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−n−プロピルヘプチル、2−n−ブチルヘプチル、2−n−ペンチルヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−n−プロピルオクチル、2−n−ブチルオクチル、2−n−ペンチルオクチル、2−n−ヘキシルオクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−n−プロピルノニル、2−n−ブチルノニル、2−n−ペンチルノニル、2−n−ヘキシルノニル、2−n−ヘプチルノニル、2−メチルデシル、2,3−ジメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルペンチル、3―エチルペンチル、4−メチルペンチル、4−エチルヘキシル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,3,3,4−テトラメチルペンチル、3−メチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、4−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、3,7−ジメチルオクチル、6−メチルオクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、アダマンチル等が挙げられ、このうち、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、アダマンチル等が好ましく、特にメチルが好ましい。ただし、ここに挙げたものは代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基のアルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖状、または分岐状のいずれでも良く、直鎖または分岐のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられ、このうちメトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が好ましく、特にメトキシ基あるいは2−エチルヘキシルオキシ基が好ましい。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基のアルケニル基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、または環状のいずれでも良く、直鎖または分岐状のアルケニル基としては炭素数1〜15のものが好ましく、炭素数1〜5のものがより好ましい。炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状の代表的なアルケニル基としては、前述のアルキル基に対し、いずれか一部分以上の不飽和結合を有するものをいう。このうち、ビニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、ブタジエニル、シクロヘキセニルが好ましく、特に1−ペンテニルが好ましい。ただし、ここに挙げたものは代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基としては、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、炭素数2〜30の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、6π電子系、10π電子系、12π電子系、14π電子系の芳香族炭化水素環基が挙げられ、具体的には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、アンスリル、アズレニル、フルオレニル、ピレニル、フェナンスリル、ナフスリル等が挙げられ、このうち特にフェニル、ナフチルが好ましい。
また、炭素数2〜30の芳香族複素環基としては、6π電子系、10π電子系、12π電子系、14π電子系の芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキゾリル、ピリジル、ピリダジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアジル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾセレナジアゾリル、チエノ[2,3−b]チエニル、チエノ[3,2−b]チエニル、チエノ[3,4−b]チエニル、9−オキソフルオレニル、カルバゾリル、シラフルオレニル、セレノフルオレニル、キサンテニル、フェナントロリル、フェナジリル、フェニキサジリル等が挙げられ、このうち、チエニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル等が好ましい。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示されるハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素原子が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
一般式(1)〜(5)に示される化合物においてR〜R18で示される置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基は、当該アルキル基に対し、一部あるいはすべてが置換されていても良く、例えばメチル基にフッ素原子がすべて置換したトリフルオロメチル基が挙げられる。ただし、ここに挙げたものは、代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルコキシ基に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基は、当該アルコキシ基に対し、一部あるいはすべてが置換されていても良い。ただし、ここに挙げたものは、代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基は、当該アルケニル基に対し、二重結合以外の一部あるいはすべてが置換されていても良い。ただし、ビニル基など置換位置が二重結合以外にないものはこれに含まれない。また、ここに挙げたものは、代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基に置換される置換基としては、当該芳香族炭化水素環基の一部、あるいは置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されたものであり、アルキル基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、アルケニル基としては、前記R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18で示される電荷注入・輸送基とは、ポリマー主鎖への電荷注入・輸送を促進する、あるいは、ポリマー分子間での電荷注入・輸送を促進するための官能基であり、正孔注入・輸送基と電子注入・輸送基が包含される。
正孔注入・輸送基としては、例えば電子供与基が置換した芳香族環、アリールアミン、カルバゾール類等を含有する官能基が挙げられる。
ここで、芳香族環としては、例えばベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、アズレン、フルオレン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チエノ[2,3−b]チオフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、9−オキソフルオレン、カルバゾール、シラフルオレン、セレノフルオレン等が挙げられ、これに置換する電子供与基としては、アルキル基(例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、iso−プロピル、t−ブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチルヘプチル、2−エチルオクチル、2−エチルノニル、2−エチルデシル等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシ、n−デシルオキシ、n−ドデシルオキシ、2−エチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、2−エチルヘプチルオキシ、2−エチルオクチルオキシ、2−エチルノニルオキシ、2−エチルデシルオキシ等)、アミノ基等が挙げられる。
また、アリールアミンとしては、トリフェニルアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(α−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(β−ナフチル)ベンジジン、4,4’,4’’−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[2−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[ビフェニル−4−イル−(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン、1,3,5−トリス{4−メチルフェニル(フェニル)アミノ]フェニル}ベンゼン、N,N’−ジ(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(9,9−ジメチル−2−フルオレニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等が挙げられ、カルバゾール類としては、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−3−メチルビフェニル、4,4’,N,N’−ジフェニルカルバゾール、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン等が挙げられる。
正孔注入・輸送基としては、好適には、アルコキシフェニル、トリフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(β−ナフチル)ベンジジン、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−2−メチルビフェニル、4,4’,N,N’−ジフェニルカルバゾール等の主要骨格を有する基が挙げられる。
電子注入・輸送基としては、電子吸引基が置換した芳香族環や、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を核内にもつ複素環を含有する官能基が挙げられる。
ここで、芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、テルフェニル、アントラセン、アズレン、フルオレン、ピレン、フェナントレン、ナフタセン等が挙げられ、これに置換する電子吸引基としては、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アルデヒド基、エステル基(例えばメチルエステル、エチルエステル、iso−プロピルエステル、n−ブチルエステル、t−ブチルエステル、フェニルエステル等)、カルボキシル基等が挙げられる。
複素環としては、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリダジン、オキサジアゾール、イミダゾール、トリアジン、トリアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾセレナジアゾール、チエノ[2,3−b]チオフェン、チエノ[3,2−b]チオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、9−オキソフルオレン、カルバゾール、シラフルオレン、セレノフルオレン、キサンテン、フェナントレン、フェナジン、フェノキサジン等が挙げられ、このうち、ピリミジン、オキサジアゾール、トリアゾール、トリアジン、イミダゾール等が挙げられる。
電子注入・輸送基としては、好適には、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、パーフルオロベンゼン、ナフタレン、フルオロナフタレン、フルオロピリジン、パーフルオロピリジン、フェニルナフタレン、フェニルピリミジン、1−フェニル−2−フェニル−ビフェニル−2,3,4−トリアゾール、1−ナフチル−2−フェニル−フェニル−2,3,4−トリアゾール、2−フェニル−5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−(ビスフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(ナフチル)−5−(フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニル−アントラセン、2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(N−フェニル−ベンゾイミダゾリル)ベンゼン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等の主要骨格を有する基が挙げられる。
また、当該電荷注入・輸送基は、その一部または置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されても良く、アルキル基としては、R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としてはR〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、アルケニル基としては、R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、R〜R18が水素以外の置換基を有する場合、主鎖部位が適度にねじれるため、分子同士の相互作用が適度に弱まり、有機溶媒に対する溶解性を向上させることができる。また同時に安定性の向上や、カルバゾール主鎖の電気的な特性を任意に変化させることも可能となる。従って、R〜R18は、(1)〜(5)の化合物内のいずれか一つ、あるいは二つが水素以外の置換基であることが好ましく、当該水素原子以外の置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8のアルケニル基であるのが好ましく、薄膜状態での安定性を特異的に強めることができる点で、特にメチル基、あるいは薄膜状態を固定化し、安定性を高めることができる点において、1−ペンテニル基であるのが好ましい。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Ar〜Ar18は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Ar〜Ar18で示される炭素数2〜30の芳香族環式基としては炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、炭素数2〜30の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、6π電子系、10π電子系、12π電子系、14π電子系の芳香族炭化水素環基が挙げられ、具体的には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、アンスリル、アズレニル、フルオレニル、ピレニル、フェナンスリル、ナフスリル等が挙げられ、このうち特にフェニル、ナフチルが好ましい。
また、炭素数2〜30の芳香族複素環基としては、6π電子系、10π電子系、12π電子系、14π電子系の芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキゾリル、ピリジル、ピリダジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアジル、チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾセレナジアゾリル、チエノ[2,3−b]チエニル、チエノ[3,2−b]チエニル、チエノ[3,4−b]チエニル、9−オキソフルオレニル、カルバゾリル、シラフルオレニル、セレノフルオレニル、キサンテニル、フェナントロリル、フェナジリル、フェニキサジリル等が挙げられ、このうち、チエニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル等が好ましい。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Ar〜Ar18で示される置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基としては、炭素数6〜30の置換基を有しても良い芳香族炭化水素環基、炭素数2〜30の置換基を有しても良い芳香族複素環基が挙げられる。
炭素数6〜30の置換基を有しても良い芳香族炭化水素環基の芳香族炭化水素環としては、一般式(1)〜(5)中の前記Ar〜Ar18で示される炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基と同様のものが挙げられる。
当該芳香族炭化水素環基の一部、あるいは置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されたものであり、アルキル基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、アルケニル基としては、前記R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
炭素数2〜30の置換基を有しても良い芳香族複素環基の芳香族複素環基としては、一般式(1)〜(5)中の前記Ar〜Ar18で示される炭素数2〜30の芳香族複素環基と同様のものが挙げられる。
当該芳香族複素環基の一部、あるいは置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されたものであり、アルキル基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、アルケニル基としては、前記R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Ar〜Ar18で示される電荷注入・輸送基とは、ポリマー主鎖への電荷注入・輸送を促進する、あるいは、ポリマー分子間での電荷注入・輸送を促進するための官能基であり、正孔注入・輸送基と電子注入・輸送基が包含される。
この電荷注入・輸送基としては一般式(1)〜(5)に示される化合物の、R〜R18で示される電荷注入・輸送基と同様のものが挙げられる。
また、当該電荷注入・輸送基は、その一部または置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されても良く、アルキル基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、アルケニル基としては、前記R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、Ar〜Ar18は炭素数2〜30の芳香族環式基が好ましく、このうち、フェニル基、ナフチル基、あるいはフェニル基とナフチル基が分子内に同時に存在することがより好ましい。
一般式(1)〜(3)に示される化合物において、Y〜Yは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示す。
一般式(1)〜(3)に示される化合物において、Y〜Yで示される置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基としては、置換基を有しても良い2価の炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、置換基を有しても良い2価の炭素数2〜30の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、一般式(6)〜(19)に示すものが挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(6)〜(19)に示す2価の芳香族炭化水素環基において、結合部位はこの組み合わせに限られない。また、ここに示したものは、代表的なものであり、これに限定されるものではない。
炭素数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、一般式(20)〜(51)に示すものが挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(20)〜(51)に示す2価の芳香族複素環基において、結合部位はこの組み合わせに限られない。また、ここに示したものは、代表的なものであり、これに限定されるものではない。
一般式(1)から(3)に示される化合物において、Y〜Yで示される置換基を有していても良い芳香族環式基としては、カルバゾール誘導体が好ましく、例えば、一般式(52)に示すものが挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(52)に示される化合物において、R19およびR20で示される置換基は、同一でも、異なっていても良く、一般式(1)〜(5)中の前記R〜R18と同様の置換基が挙げられる。
一般式(52)に示される化合物において、Ar19で示される置換基は、一般式(1)〜(5)中の前記Ar〜Ar18と同様の置換基が挙げられる。
一般式(1)から(3)に示される化合物において、Y〜Yで示される2価の電荷注入・輸送基とは、ポリマー主鎖の電荷注入・輸送を促進する、あるいは、ポリマー分子間での電荷注入・輸送を促進するための官能基であり、正孔注入・輸送基と電子注入・輸送基が包含される。
この電荷注入・輸送基としては一般式(1)〜(5)に示される化合物の、R〜R18で示される電荷注入・輸送基と同様のものである。当該電荷注入・輸送基は2価であり、ポリマーの主鎖を構成する成分である。
一般式(1)から(3)で示される化合物におけるY〜Yとしては、主鎖のエネルギーレベルを均一にするために、カルバゾール誘導体が好ましく、電荷注入・輸送基として使用する目的から、カルバゾール誘導体の置換基Ar19には電荷注入・輸送基が導入されていることが好ましい。電荷注入基としては、4−(4’,4’’−ビスジフェニルアミノ)トリフェニルアミンまたは、4−(4‘,4’‘−ビス(ナフチルフェニルアミノ))トリフェニルアミンが好ましい。また、カルバゾール誘導体のR19およびR20は、薄膜状態での安定性を特異的に強めることができる点で、特にメチル基、あるいは薄膜状態を固定化し、安定性を高めることができる点において、1−ペンテニル基であるのが好ましい。
一般式(1)〜(5)で示される化合物におけるE〜E10は、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。
一般式(1)〜(5)で示される化合物におけるE〜E10で示される置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基としては、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、および炭素数2〜30の芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、一般式(1)〜(5)中の前記R〜R18で示される炭素数2〜30の芳香族環式基と同様のものである。
一般式(1)〜(5)で示される化合物におけるE〜E10で示される置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基に置換する置換基としては、当該芳香族炭化水素環基の一部、あるいは置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されたものであり、アルキル基としては、一般式(1)〜(5)中の前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、炭素数2〜20アルケニル基としては、前記R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、E〜E10で示される電荷注入・輸送基とは、ポリマー主鎖への電荷注入・輸送を促進する、あるいは、ポリマー分子間での電荷注入・輸送を促進するための官能基であり、正孔注入・輸送基と電子注入・輸送基が包含される。
この電荷注入・輸送基としては一般式(1)〜(5)中の前記R〜R18で示される電荷注入・輸送基と同様のものが挙げられる。
また、当該電荷注入・輸送基は、その一部または置換し得るすべてがアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基で置換されても良く、アルキル基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルキル基と同様のものが挙げられ、アルコキシ基としては、前記R〜R18で示される炭素数1〜20のアルコキシ基と同様のものが挙げられ、また、アルケニル基としては、R〜R18で示される炭素数2〜20のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
一般式(1)〜(5)に示される化合物において、E〜E10は、主にポリマー化反応を停止する目的と、ポリマーの安定性および、電気的性能を高める目的で導入する。選ばれる置換基は、炭素数2〜30の芳香族環式基、あるいは電荷注入・輸送基が好ましく、ポリマーの安定性をより高めるためには芳香族環式基のうち、フェニル基が好ましい。また、ポリマーの電気的性能を高めるためには電荷注入・輸送基を選択するのが好ましく、特にトリフェニルアミンが好ましい。
一般式(1)に示される化合物において、R〜Rの置換基は隣接する置換基同士が連結し環を形成しても良い。
また、一般式(1)に示される化合物において、R〜Rで示される架橋性置換基は、触媒の有る無しに関係なく、光あるいは熱によりクロスリンクが可能な重合性官能基(重合基)をもった置換基であり、ビニル基、トリフルオロビニル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、あるいはエポキシ基などを有する、置換されていても良いアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されていても良い芳香族環式基であることが好ましい。置換されていても良い芳香族環式基としては、置換されていてもよい芳香族炭化水素環基、または置換されていてもよい芳香族複素環基が挙げられる。具体的には、一般式(1)に示される化合物において、R〜Rで示される架橋性置換基としては、例えば、一般式(53)〜(58)に示すものが挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(53)〜(58)中、XおよびZはおのおの独立に単結合、酸素、窒素、硫黄、あるいは置換されても良い芳香族炭化水素基、置換されても良い芳香族複素環基を示し、fは0〜10を示す。
また、一般式(1)に示される化合物において、R〜Rで示される架橋性置換基としては、一般式(59)で表される重合性官能基をもった置換基が挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(59)において、Zは単結合、酸素原子を示し、fは0〜10を示す。具体的には、例えば、一般式(60)〜(66)に示すものが挙げられる。
Figure 2011105842
一般式(1)〜(5)に示される化合物は、ポリマーであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCという)により測定した分子量は、溶解性、製膜性、安定性の観点から、1,000,000〜10,000程度が好ましく、800,000〜100,000程度がより好ましい。一般式(1)〜(5)に記載のnは、GPCにより測定した分子量をモノマーの分子量で割ったもので表わされるため、モノマーの分子量によっても異なるが、10〜1000の整数であり、前記分子量に相当する重合度を示す。
一般式(1)から(3)の化合物は、ランダム共重合体であり、一般式(1)から(3)に記載されたlとmはポリマーを形成する成分比を表している。この成分比に関しては特に制限はなく、lは1〜100モル%の範囲とすることができ、lが100%のときはホモポリマーであることを意味する。最良の形態で選ばれる化合物に関してはlを30〜70モル%含有するのが好ましい。
本発明における(1)〜(5)の化合物を供給するための中間体である、カルバゾール誘導体の合成における反応式の一例を一般式(67)に示す。
Figure 2011105842
一般式(67)に示すように、鈴木−宮浦カップリング反応により、4−クロロフェニルボロン酸と1−ブロモ−4クロロ−2−ニトロベンゼンを反応させ、1−クロロ−4−(4’−クロロフェニル)−3−ニトロベンゼンを合成した後、亜リン酸トリエチルを用いた還元的閉環反応を行うことにより2,7−ジクロロカルバゾールが合成できる。その後、N−ブロモスクシンイミド(NBS)により2,7−ジクロロカルバゾールの3,6位をブロモ化し、さらにグリニャール反応により2,7−ジクロロ−3,6−ジアルキルカルバゾールが合成できる。この際、グリニャール試薬あるいはボロン酸、ボロン酸エステルとして目的の化合物を用いれば、種々のアルキル基、芳香族環式基等をカルバゾールの3,6位に導入することができる。この2,7−ジクロロ−3,6−ジアルキルカルバゾールを用いてN位に任意の化合物を導入することにより、目的とする化合物を得ることができる。例えば、2,7−ジクロロ−3,6−ジアルキルカルバゾールと4−ブロモトリフェニルアミンを用いて、N−アリール化反応を行えば、2,7−ジクロロ−3,6−ジアルキル−N−(4−トリフェニルアミン)カルバゾールが得られる。この中間体あるいは2,7−ジクロロ−3,6−ジアルキルカルバゾールを用いて、任意のモノマー体へ誘導化できる。
「組成物」
本発明の組成物は、本発明の化合物を含有するものである。本発明の組成物は、本発明の化合物の他に、例えば、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化アンチモンなどのルイス酸、2,6−ナフトキノン、ジフェノキノンなどのキノン誘導体、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、TCNE(テトラシアノエチレン)、TNAP(11,11,12,12−テトラシアノナフト−6−キノジメタン)、F4TCNQ(2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−ヘキサシアノキノジメタン)などのテトラシアノキノジメタン誘導体、フッ化ホウ素、トリフェニルボラン、フラーレン誘導体、あるいは酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウムなどの金属酸化物などから選択される電子受容性ドーパントなどを含むものとすることができる。ただし、これに限定されるものではない。また、本発明の組成物は、本発明の化合物の他に前記などの化合物を2種類以上含むものであってもよい。
「有機EL素子」
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。図1に示す有機EL素子は、基板7上に、陽極6と、正孔注入層5と、正孔輸送層4と、発光層3と、電子注入・輸送層2と、陰極1とが、この順で設けられたものであり、図1に示すように、陽極6と陰極1とからなる一対の電極間に、正孔注入層5と正孔輸送層4と発光層3と電子注入・輸送層2とからなる複数の有機層が形成されてなるものである。
基板7としては、例えば、ガラス基板などの透光性基板が用いられ、陽極6としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)などの光透過導電膜が用いられ、陰極1としては、例えば、アルミニウムなどの金属膜が用いられている。
正孔注入層5としては、本発明の(1)〜(5)のいずれかの化合物が用いられている。正孔注入層5は、例えば、塗布法を用いて形成することができる。
また、正孔輸送層4としては、例えば、ジフェニルナフチルジアミン(α−NPD)層を用いることができる。
電子注入・輸送層2は、外部電源から負電極を介して発光層3に注入される電子の輸送を効率よく行うために設けられている。電子注入・輸送層としては、例えば、アルミキノリノール錯体(Alq3)やCsFからなる層を用いることができる。
発光層3としては、例えば、良好な青色発光が得られるBDAVBiを、アダマンタンアントラセン(Ad−Ant)ホスト中に3wt%ドープしたものや、ポリ−9,9−ジオクチルフルオレンなどを用いることができる。
図1に示す有機EL素子は、陽極6を正側、陰極1を負側にして電圧を印加して電流を流すことにより、発光層3が発光し、陽極6および基板7を透過して外部に光が出射されるものとされている。
図1に示す有機EL素子は、正孔注入層5が本発明の(1)〜(5)のいずれかの化合物を含むものであるので、優れた正孔注入能が得られ、電力効率に優れたものとなる。
なお、本実施形態の有機EL素子においては、基板側から光を出力する構造を例に挙げて説明したが、電極の構成を逆にして基板と反対側の電極を光透過導電膜からなるものとし、基板と反対側から光を出力するものとしてもよい。
また、本実施形態の有機EL素子においては、正孔注入層5を、本発明の化合物からなるものとした場合を例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子は、有機層の少なくとも1層が本発明の化合物を含んでいればよく、図1に示す例に限定されるものではない。例えば、正孔注入層だけでなく、正孔輸送層も本発明の化合物からなるものとしてもよいし、正孔輸送層のみ本発明の化合物からなるものとしてもよい。また、本実施形態においては、正孔注入層5を、本発明の化合物からなるものとしたが、本発明の化合物以外のものを含む本発明の組成物からなるものとしてもよい。
また、本発明の化合物からなる有機層の少なくとも1層以外の各部材については、一般に用いられている材料を用いることができ、特に限定されない。
具体的には、例えば、正孔輸送層のみ本発明の化合物からなるものとした場合、正孔注入層として、PEDOT:PSSを用いることできる。
以下に、本発明の実施例と物質特性を示す。
製造例1:
Figure 2011105842
四つ口フラスコに15.23g(30.0mmol)の2,7−ジクロロ−3,6−ジメチル−N−トリフェニルアミンカルバゾールを入れ、容器をアルゴン置換した後、トルエン300mLを加え、溶解させた。0℃に冷却し、そこに10.68g(60.0mmol)のNBSを100mLのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)に溶かした溶液を滴下し、すべて滴下し終わってから、温度を室温まで昇温させ、18時間攪拌した。水を加え、沈殿を析出させ、吸引濾過で沈殿物を濾取した。沈殿物を熱湯で洗浄し、メタノールで洗浄して、17.78g(26.73mmol)の一般式(68)に示す目的物を得た(収率89.09%)。
一般式(68)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.85(s,2H),7.42(d,J=8.28Hz,4H),7.35(s,2H),7.31(d,J=8.68Hz,2H),7.22(t,J=8.48Hz,2H),7.05(d,J=8.72Hz,4H),2,51(s,6H).13CNMR(CDCl)δ(ppm):146.23(2C),140.27(1C),132.66(6C),132.36(2C),127.60(3C),126.09(6C),124.50(2C),121.52(4C),116.23(2C),110.14(2C),20.27(2C)
製造例2:
Figure 2011105842
シュレンクに5.836g(8.77mmol)の製造例1で得た一般式(68)に示す化合物と3.376g(18.42mmol)の3−メチルジフェニルアミンおよび、0.197g(0.877mmol)の酢酸パラジウムを入れ、容器をアルゴン置換した後、200mLのトルエンを、攪拌し溶解させた。そこに、温めて液体状態とした0.335g(1.775mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンを滴下し、さらに2.166g(19.30mmol)のtetr−ブトキシカリウムを加えた後、加熱し、アルゴン気流中で24時間還流した。冷却した後、水を加え、トルエンで抽出した。トルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過により硫酸ナトリウムを取り除き、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=3/1)により精製し、6.219g(7.149mmol)の一般式(69)に示す目的物を得た(収率81.48%)。
一般式(69)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.87(s,2H),7.36−7.05(m,32H),2.53(s,6H),2.26(s,6H)
製造例3:
Figure 2011105842
四つ口フラスコに25.40g(100.0mmol)のp−ジブロモベンゼンと35.53g(210.0mmol)のジフェニルアミン、および2.245g(10.00mmol)の酢酸パラジウムを入れ、容器をアルゴン置換した後、400mLのトルエンを加え、攪拌し溶解させた。そこに、温めて液体状態とした4.046g(20.00mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンを滴下し、さらに24.69g(220mmol)のtetr−ブトキシカリウムを加えた後、加熱し、アルゴン気流中で24時間還流した。冷却した後、水を加え、反応を停止させた。反応溶液をナスフラスコに移し、エバポレーターにより濃縮し、トルエンを除去した。エバポレーターでの濃縮により、トルエンが先に除去され、水層が後に残ったため、水層を分液ロートに移し、水層だけを捨てた。残った沈殿物にメタノールを加え、懸濁洗浄した後、吸引濾過を行い、固体を濾取した。この個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン=4/1)により精製し、39.74g(96.35mmol)の一般式(70)に示す目的物を得た(収率96.35%)。
製造例4:
Figure 2011105842
シュレンクに9.708g(23.53mmol)の製造例3で得た一般式(70)に示す化合物を入れ、容器をアルゴン置換した後、300mLのN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を入れ、溶解させた。0℃まで冷却した後、4.188g(23.53mmol)のN−ブロモスクシンイミド(NBS)を100mLのNMPに溶かした溶液を少しずつ滴下し、すべて滴下し終わった後に室温まで昇温させて、24時間攪拌した。反応溶液に水を1000mL加え、白色の沈殿を析出させ、この懸濁溶液をろ過した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、水を加えて分液操作を行った。ジクロロメタン層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過して乾燥剤を除き、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン=4/1)により精製し、6.827g(13.89mmol)の一般式(71)に示す目的物を得た(収率59.04%)。
製造例5:
Figure 2011105842
シュレンクに0.5283g(2.0mmol)の2,7−ジクロロ−3,6−ジメチルカルバゾール、0.9828g(2.0mmol)の製造例4で得た一般式(71)に示す化合物、触媒量のヨウ化銅、および1.274g(6.0mmol)のリン酸カリウムを入れ、容器をアルゴン置換した後、40mLの1,4−ジオキサンを加え、攪拌した。そこに0.228g(0.2mmol)のtrans−1,2−シクロヘキサンジアミン(以下、CHDA)を加え、加熱し、48時間還流した。冷却後、水を加え、エバポレーターを用いて溶媒を留去した。水とエーテルを加え、分液ロートに移し、エーテル抽出を行った。エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン=4/1)により精製し、1.099g(1.629mmol)の一般式(72)に示す目的物を得た(収率81.43%)。
一般式(72)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.87(s,2H),7.44−6.94(m,25H),2.52(s,6H).13CNMR(CDCl)δ(ppm):140.53(4C),132.31(4C),129.46(2C),129.23(2C),129.14(2C),127.37(6C),126.58(4C),125.17(2C),121.51(8C),110.26(6C),20.28(2C)
製造例6:
Figure 2011105842
シュレンクに1.740g(2.00mmol)の製造例2で得た一般式(69)に示す化合物を入れ、容器をアルゴン置換した後、トルエン200mLを加え、溶解させた。0℃に冷却し、そこに1.424g(8.00mmol)のNBSを10mLのDMFに溶かした溶液を滴下し、すべて滴下し終わってから、温度を室温まで昇温させ、24時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、沈殿物を吸引濾過により、濾取し、沈殿物をエーテル洗浄した後、沈殿物を回収した。水を加え、沈殿を析出させ、吸引濾過で沈殿物を濾取した。沈殿物を熱湯で洗浄し、メタノールで洗浄して、2.105g(1.776mmol)の一般式(73)に示す目的物を得た(収率88.79%)。
製造例7:
Figure 2011105842
シュレンクに0.4862g(20.0mmol)のマグネシウムを入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、少量のヨウ素を加えた。20分ほど攪拌した後、2.981g(20.0mmol)の5−ブロモ−1−ペンテンを20mLのテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶かした溶液を、還流が止まらない程度に少しずつ滴下し、すべて加え終わった後、さらに5時間還流し、グリニャール試薬を調整した。別のシュレンクに1.778g(1.50mmol)の製造例6で得た一般式(73)に示す化合物を入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、45mLのTHFを加え、溶解させた。さらにPdCl(dppf)を触媒量加え、−10℃まで冷却し、そこに先に調整したグリニャール試薬を少しずつ滴下した。すべて加え終わった後、80℃まで加熱し、72時間還流した。冷却した後、水を加え、エバポレーターによりTHFを除去した後、エーテルで抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去した後、エバポレーターにより濃縮した。MS(質量分析)スペクトルにより一般式(74)に示す目的物を確認した。
製造例8:
Figure 2011105842
シュレンクに2.610g(3.00mmol)の製造例2で得た一般式(69)に示す化合物を入れ、容器をアルゴン置換した後、トルエン200mLを加え、溶解させた。0℃に冷却し、そこに1.068g(6.00mmol)のNBSを18mLのDMFに溶かした溶液を滴下し、すべて滴下し終わってから、温度を室温まで昇温させ、24時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、沈殿物を吸引濾過により、濾取し、沈殿物をエーテル洗浄した後、沈殿物を回収した。水を加え、沈殿を析出させ、吸引濾過で沈殿物を濾取した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=3/1)により精製し、一般式(75)に示す目的物を得た。
製造例9:
Figure 2011105842
シュレンクに1.485g(60.0mmol)のマグネシウムを入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、少量のヨウ素を加えた。20分ほど攪拌した後、8.941g(60.0mmol)の5−ブロモ−1−ペンテンを60mLのテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶かした溶液を、還流が止まらない程度に少しずつ滴下し、すべて加え終わった後、さらに5時間還流し、グリニャール試薬を調整した。別のシュレンクに1.028g(1.00mmol)の製造例8で得た一般式(75)に示す化合物を入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、50mLのTHFを加え、溶解させた。さらにPdCl(dppf)を触媒量加え、−10℃まで冷却し、そこに先に調整した5.0mLのグリニャール試薬を少しずつ滴下した。すべて加え終わった後、80℃まで加熱し、72時間還流した。冷却した後、水を加え、エバポレーターによりTHFを除去した後、エーテルで抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去した後、エバポレーターにより濃縮した。MSスペクトルにより一般式(76)に示す目的物を確認した。
製造例10:
Figure 2011105842
シュレンクに0.7105g(1.05mmol)の製造例5で得た一般式(72)に示す化合物を入れ、容器をアルゴン置換した後、トルエン40mLを加え、溶解させた。0℃に冷却し、そこに0.572g(3.21mmol)のNBSを20mLのDMFに溶かした溶液を滴下し、すべて滴下し終わってから、温度を室温まで昇温させ、24時間攪拌した。水を加え、トルエンをエバポレーターで留去した後、ジクロロメタンを用いて抽出した。ジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を濾過して取り除いた後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン=4/1)により精製し一般式(77)に示す目的物を得た。
製造例11:
Figure 2011105842
シュレンクに1.216g(50.0mmol)のマグネシウムを入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、少量のヨウ素を加えた。20分攪拌した後、7.452g(50.0mmol)の5−ブロモ−1−ペンテンを50mLのテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶かした溶液を、還流が止まらない程度に少しずつ滴下し、すべて加え終わった後、さらに5時間還流し、グリニャール試薬を調整した。別のシュレンクに0.6835g(0.75mmol)の製造例10で得た一般式(77)に示す化合物を入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、5mLのTHFを加え、溶解させた。さらにPdCl(dppf)を触媒量加え、−10℃まで冷却し、そこに先に調整した11.25mLのグリニャール試薬を少しずつ滴下した。すべて加え終わった後、80℃まで加熱し、72時間還流した。冷却した後、水を加え、エバポレーターによりTHFを除去した後、エーテルで抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去した後、エバポレーターにより濃縮した。MSスペクトルにより一般式(78)に示す目的物を確認した。
製造例12:
Figure 2011105842
シュレンクに2.661g(4.00mmol)の製造例1で得た一般式(68)に示す化合物と1.842g(8.40mmol)のN−フェニル−1−ナフチルアミンおよび、0.090g(0.40mmol)の酢酸パラジウムを入れ、容器をアルゴン置換した後、100mLのトルエンを、攪拌し溶解させた。そこに、温めて液体状態とした0.162g(0.80mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンを滴下し、さらに0.987g(8.80mmol)のtetr−ブトキシカリウムを加えた後、加熱し、アルゴン気流中で24時間還流した。冷却した後、水を加え、エーテルで抽出した。エーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過により硫酸ナトリウムを取り除き、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=3/1)により精製し、2.157g(2.290mmol)の一般式(79)に示す目的物を得た(収率57.25%)。
一般式(79)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.98(d,J=8.28Hz,2H),7.86(d,J=9.16,2H),7.84(s,2H),7.44(t,J=7.32,4H),7.37−7.12(m,28H),7.00(brs,2H),2.50(s,6H)
製造例13:
Figure 2011105842
シュレンクに2.661g(4.00mmol)の製造例1で得た一般式(68)に示す化合物と1.842g(8.40mmol)のN−フェニル−1−ナフチルアミンおよび、0.090g(0.40mmol)の酢酸パラジウムを入れ、容器をアルゴン置換した後、100mLのトルエンを、攪拌し溶解させた。そこに、温めて液体状態とした0.162g(0.80mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンを滴下し、さらに0.987g(8.80mmol)のtetr−ブトキシカリウムを加えた後、加熱し、アルゴン気流中で24時間還流した。冷却した後、水を加え、エーテルで抽出した。エーテル溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過により硫酸ナトリウムを取り除き、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=3/1)により精製し、2.0573g(2.184mmol)の一般式(80)に示す目的物を得た(収率54.60%)。
一般式(80)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.86(s,2H),7.74(d,J=8.24,2H),7.59(s,2H),7.40−7.10(m,32H),2.52(s,6H)
製造例14:
Figure 2011105842
シュレンクに5.119g(210.6mmol)のマグネシウムを入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、少量のヨウ素を加えた。20分攪拌した後、31.39g(210.6mmol)の5−ブロモ−1−ペンテンを210mLのテトラヒドロフラン(以下、THF)に溶かした溶液を、還流が止まらない程度に少しずつ滴下し、すべて加え終わった後、さらに5時間還流し、グリニャール試薬を調整した。別のシュレンクに46.70g(70.20mmol)の製造例1で得た一般式(68)に示す化合物を入れ、容器を十分に乾燥させた後、アルゴン置換をし、350mLのTHFを加え、溶解させた。さらにPdCl(dppf)を触媒量加え、−10℃まで冷却し、そこに先に調整した210mLのグリニャール試薬を少しずつ滴下した。すべて加え終わった後、80℃まで加熱し、72時間還流した。冷却した後、水を加え、エバポレーターによりTHFを除去した後、エーテルで抽出した。エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して乾燥剤を除去した後、エバポレーターにより濃縮した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=4/1)により精製し、38.10g(59.19mmol)の一般式(81)に示す目的物を得た(収率84.32%)。
一般式(81)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):7.83(s,2H),7.35(s,2H),7.22−7.21(m,12H),5.90−5.79(m,2H),5.01(dd,J=23Hz,J=12Hz,4H),2.60(t,J=7.56Hz,4H),2.50(s,6H),2.12(q,J=6.87Hz,4H),1.73(quin,J=7.45,4H).13CNMR(CDCl)δ(ppm):147.85(1C),145.06(2C),140.53(2C),138.56(2C),137.86(2C),132.25(2C),129.44(6C),127.25(4C),125.10(4C),122.55(2C),121.38(3C),114.72(2C),110.23(2C),34.72(2C),33.32(2C),30.57(2C),20.25(2C)
製造例15:
Figure 2011105842
アルゴン置換したシュレンクに8.252g(30.00mmol)のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、4.686g(30.00mmol)の2,2’−ビピリジルをアルゴン気流中で入れ、25mLのDMFを加えた後、室温で30分間攪拌した。そこに、8.046g(12.50mmol)の製造例14で得た一般式(81)に示す化合物を、62.5mLのTHFで溶かした溶液を加え、容器を密閉し、65℃で72時間攪拌した。反応液をメタノール2000mL、濃塩酸50mLの混合溶媒に滴下し、4時間攪拌した。沈殿物を濾取して減圧乾燥を4時間行った。その後20mLのTHFに溶解させ、メタノール2000mL中に滴下し、再沈澱を行った。沈殿物を濾取し、真空中で十分に乾燥させた後、600mLのトルエンに溶かし、500mLの2M−塩酸を加え、強く攪拌した。1時間ほど攪拌した後、静置し、2層に分離させ、塩酸の層を取り除いた。トルエン溶液に500mLの超純水を加え、攪拌した後、水層を取り除いた。この水洗操作を3回繰り返した。続いてトルエン溶液に100mLのアンモニア水を加え、強く攪拌し、整地した後、アンモニア層を取り除いた。アンモニア処理を3回繰り返した。トルエン溶液に500mLの超純水を加え、攪拌した後、水層を取り除いた。水層が中性になるまでこの操作を繰り返した。トルエン溶液を5μm、1μm、0.22μmのフィルターでそれぞれ濾過し、濾液を濃縮し、トルエンを除去した後、50mLのTHFに溶かし、2000mLのメタノール中に再沈澱を行った。その後、濾取し、真空中で乾燥させ、4.449gの一般式(82)に示すポリマーを得た(回収率55.30%)。
一般式(82)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):8.05(s,2H),7.35−6.92(m,14H),5.87−5.73(m,2H),5.05−4.92(m,4H),2.54(brs,6H),2.35−2.22(m,4H),2.09−2.05(m,4H),1.67(s,4H)
実施例1:
Figure 2011105842
アルゴン置換したシュレンクに1.320g(4.80mmol)のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、0.750g(4.80mmol)の2,2’−ビピリジルをアルゴン気流中で入れ、2mLのDMFを加えた後、室温で30分間攪拌した。そこに、1.740g(2.00mmol)の製造例2で得た一般式(69)に示す化合物を、12mLのTHFで溶かした溶液を加え、容器を密閉し、65℃で72時間攪拌した。反応液をメタノール1000mL、濃塩酸20mLの混合溶媒に滴下し、4時間攪拌した。沈殿物を濾取して減圧乾燥を4時間行った。その後20mLのTHFに溶解させ、アンモニア/水/メタノール(50mL/250mL/500mL)に再沈澱させ、16時間攪拌した後、濾取した。得られた固体を減圧乾燥し、1.460gの一般式(83)に示すポリマーを得た。
一般式(83)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):8.01(s,2H),7.26−6.92(m,32H),2.35−2.16(m,12H)
さらに、ここで得られた一般式(83)に示すポリマーの分子量を移動相にTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、標準ポリスチレン換算値で、重量平均分子量(Mw)68,677、数平均分子量(Mn)32,195、分子量分布(Mw/Mn)2.13であった。
実施例2:
Figure 2011105842
アルゴン置換したシュレンクに0.2641g(0.960mmol)のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、0.1499g(0.960mmol)の2,2’−ビピリジルをアルゴン気流中で入れ、2mLのDMFを加えた後、室温で30分間攪拌した。そこに、0.2699g(0.40mmol)の製造例3で得た一般式(70)に示す化合物を、7mLのTHFで溶かした溶液を加え、容器を密閉し、65℃で72時間攪拌した。反応液をメタノール500mL、濃塩酸20mLの混合溶媒に滴下し、4時間攪拌した。沈殿物を濾取して減圧乾燥を4時間行った。その後20mLのTHFに溶解させ、アンモニア/水/メタノール(50mL/250mL/500mL)に再沈澱させ、16時間攪拌した後、濾取した。得られた固体を減圧乾燥し、0.1950gの一般式(84)に示すポリマーを得た。
一般式(84)に示す化合物を核磁気共鳴分光法(NMR)により解析した。その結果(1H−NMRスペクトル)を以下に示す。
HNMR(CDCl)δ(ppm):8.02(s,2H),7.51−6.98(m,25H),2.21(s,6H).
さらに、ここで得られた一般式(84)に示すポリマーの分子量を移動相にTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、標準ポリスチレン換算値で、重量平均分子量(Mw)45,000、数平均分子量(Mn)17,000、分子量分布(Mw/Mn)2.65であった。
実施例3:
Figure 2011105842
アルゴン置換したシュレンクに2.641g(9.60mmol)のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、1.499g(9.60mmol)の2,2’−ビピリジルをアルゴン気流中で入れ、4mLのDMFを加えた後、室温で30分間攪拌した。そこに、1.740g(2.00mmol)の製造例2で得た一般式(69)に示す化合物と、0.9588g(2.00mmol)の2,7−ジクロロカルバゾール−N−トリフェニルアミンを、24mLのTHFで溶かした溶液を加え、容器を密閉し、65℃で24時間攪拌した。その後、0.2251g(2.00mmol)のモノクロロベンゼンを加え、さらに24時間攪拌した。反応液をメタノール500mL、濃塩酸20mLの混合溶媒に滴下し、4時間攪拌した。沈殿物を濾取して減圧乾燥を4時間行った。その後20mLのTHFに溶解させ、アンモニア/水/メタノール(50mL/250mL/500mL)に再沈澱させ、16時間攪拌した後、濾取した。得られた固体を減圧乾燥し、1.795gの一般式(85)に示すポリマーを得た。
さらに、ここで得られた一般式(85)に示すポリマーの分子量を移動相にTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、標準ポリスチレン換算値で、重量平均分子量(Mw)287,000、数平均分子量(Mn)153,000、分子量分布(Mw/Mn)1.87であった。
実施例4:
Figure 2011105842
アルゴン置換したシュレンクに0.2641g(0.960mmol)のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、0.1499g(0.960mmol)の2,2’−ビピリジルをアルゴン気流中で入れ、2mLのDMFを加えた後、室温で30分間攪拌した。そこに、0.4570g(0.40mmol)の製造例7で得た一般式(74)に示す化合物を、7mLのTHFで溶かした溶液を加え、容器を密閉し、65℃で72時間攪拌した。反応液をメタノール500mL、濃塩酸20mLの混合溶媒に滴下し、4時間攪拌した。沈殿物を濾取して減圧乾燥を4時間行った。その後20mLのTHFに溶解させ、アンモニア/水/メタノール(50mL/250mL/500mL)に再沈澱させ、16時間攪拌した後、濾取した。得られた固体を減圧乾燥し、0.2742gの一般式(86)に示すポリマーを得た。
さらに、ここで得られた一般式(86)に示すポリマーの分子量を移動相にTHFを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果、標準ポリスチレン換算値で、重量平均分子量(Mw)56,000、数平均分子量(Mn)22,000、分子量分布(Mw/Mn)2.55であった。
実施例1および2、製造例15で製造された化合物の特性を下記表1に示す。
なお、イオン化ポテンシャルは光電分光法を用いて測定した。バンドギャップは膜状態のUVスペクトルの吸収端から算出した。電子親和力はイオン化ポテンシャルとバンドギャップの差から算出した。電極の仕事関数との差は、ITO電極の仕事関数を5.0eVとしたときの値と、実施例1および2、製造例15で製造された化合物のイオン化ポテンシャルとの差から求めた。
Figure 2011105842
表1に示すように、製造例15のような化合物の構造では、電極の仕事関数との差は約0.7eVであり、大きな差が生じる(0.1eVの差でも非常に大きい)。イオン化ポテンシャルと電極の仕事関数との差が小さいほど正孔は注入されやすくなるが、実施例1および2の化合物のような電子供与性の基を増やした、電子リッチ構造にすることで、電極の仕事関数との差が0.1〜0.2eV以内となった。
実施例5:本発明の化合物を用いて図1に示す有機EL素子を作成し、特性を評価した。
実施例5の有機EL素子の構成は、基板7側から順に、「陽極6」ITO/「正孔注入層5」実施例1の一般式(83)に示すポリマー/「正孔輸送層4」α−NPD(40nm)/「発光層3」AdAnt:BDAVBi3wt%(30nm)/「電子注入・輸送層2」Alq3(40nm)/LiF(1nm)/「陰極1」Al(100nm)である。なお、正孔注入層5は塗布法の一つであるスピンコート法で製膜し、正孔輸送層4、発光層3、電子注入・輸送層2および陰極1は真空蒸着法で製膜した。
比較例1:正孔注入層を設けないこと以外は実施例5と同様の有機EL素子を作成し、特性を評価した。
比較例1の有機EL素子の構成は、基板側から順に、「陽極」ITO/「正孔輸送層」ジフェニルナフチルジアミン(α−NPD)(40nm)/「発光層」AdAnt:BDAVBi3wt%(BDAVBiを、アダマンタンアントラセン(Ad−Ant)ホスト中に3wt%ドープしたもの)(30nm)/「電子注入・輸送層」アルミキノリノール錯体(Alq3)(40nm)/LiF(1nm)/「陰極」Al(100nm))である。正孔輸送層、発光層、電子注入・輸送層および陰極はすべて真空蒸着法で製膜した。
比較例2:正孔注入層の材料を従来の材料にしたこと以外は実施例5と同様の有機EL素子を作成し、特性を評価した。
比較例2の有機EL素子の構成は、基板側から順に、「陽極」ITO/「正孔注入層」PEDOT:PSS/「正孔輸送層」α−NPD(40nm)/「発光層」AdAnt:BDAVBi3wt%(30nm)/「電子注入・輸送層」Alq3(40nm)/LiF(1nm)/「陰極」Al(100nm))である。なお、正孔注入層は塗布法の一つであるスピンコート法で製膜し、正孔輸送層、発光層、電子注入・輸送層および陰極は真空蒸着法で製膜した。
実施例5、比較例1および比較例2の有機EL素子は、陽極を正側、陰極を負側にして電圧を印加して電流を流すことにより、発光層が発光し、陽極および基板を透過して外部に光が出射された。得られた発光の色度座標は、(x,y)=(0.16,0.20)であった。
比較例1、比較例2および実施例5の有機EL素子について、100cd/m時の特性評価の結果を下記表2に示した。
Figure 2011105842
表2に示すように、比較例1で示した電界発光素子は正孔注入層を設けていないため、ITOと正孔輸送層との間のバンドギャップが広く、正孔の注入が不十分となった。その結果が電力効率にあらわれている。つまり、電力に対する十分な発光が得られていないといえる。
比較例2で使用したPEDOT:PSSは、一般に広く用いられる正孔注入材料である(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。PEDOT:PSSは比較的良い初期特性を示すが、酸が遊離するため、電荷発光素子の寿命特性に問題があることが指摘されており、代替が望まれる材料である。電力効率や外部量子効率は、正孔注入層を設けない比較例1と比べると、効率は大幅に改善されており、正孔注入層を導入することによる効果が得られているといえる。
実施例5には実施例1で製造した本発明の化合物を正孔注入材料として正孔注入層に用いた。その結果、正孔注入層を設けない比較例1と比べると2倍以上の電力効率が得られ、外部量子効率も2倍程度の改善が見られた。また、一般に広く用いられ、優れた正孔注入材料として知られるPEDOT:PSSを正孔注入層に用いた比較例2の素子と比べても、電力効率および外部量子効率において明らかな改善が確認された。
実施例6:実施例4で製造された一般式(86)に示すポリマーを用いて積層膜の検証を行った。
一般式(86)に示すポリマーをキシレンに溶解して調整した塗布溶液をガラス基板上にスピンコート法で成膜し、20分間の減圧乾燥の後、膜厚20nmのポリマー薄膜を得た。その後、紫外線ランプ(波長365nm、照度15mW/cm)により90分間紫外線照射することで、ポリマー薄膜を硬化させた。次いで、ポリマー塗布溶液の一般的な溶剤であるトルエンをポリマー薄膜状に滴下し、リンスを行った。リンス後のポリマー薄膜の膜厚を測定した結果、20nmであった。
この結果より、一般式(86)に示すポリマーは、塗布法により製膜して光硬化させることで、溶剤に対して難溶性の薄膜となることが確認でき、さらにこの薄膜上に塗布法による積層製膜が可能であることが示された。
実施例7:本発明の化合物を用いて図1に示す有機EL素子を作製し、特性を評価した。
実施例7の有機EL素子の構成は、基板7側から順に、「陽極6」ITO/「正孔注入層5」PEDOT:PSS(80nm)/「正孔輸送層4」実施例4の一般式(86)に示すポリマー/「発光層3」ポリ−9,9−ジオクチルフルオレン(65nm)/「電子注入・輸送層2」CsF(2nm)/「陰極1」Al(100nm)である。なお、正孔注入層5、正孔輸送層4、発光層3は塗布法の一つであるスピンコート法で製膜し、電子注入・輸送層2および陰極1は真空蒸着法で製膜した。
詳しくは、ITO電極がパターニングされたガラス基板上に、PEDOT:PSSの水溶液をスピンコート法で成膜し、200℃、10分の加熱処理を行うことにより正孔注入層を形成した。その後、実施例4のポリマーのキシレン溶液をスピンコート法で成膜し、20分間減圧乾燥させた後、紫外線ランプ(波長365nm、照度15mW/cm)により90秒間紫外線を照射することで硬化させて、正孔輸送層を形成した。さらに、正孔輸送層上に、ポリオクチルフルオレンのトルエン溶液をスピンコート法で製膜し、60分間減圧乾燥させることにより発光層を形成した。その後、真空蒸着法で電子注入・輸送層であるCsFおよび陰極であるAlを製膜した。
比較例3:正孔輸送層を設けないこと以外は実施例7と同様の有機EL素子を作製し、特性を評価した。
比較例3の有機EL素子の構成は、基盤側から順に、「陽極」ITO/「正孔輸送層」PEDOT:PSS(80nm)/「発光層」ポリ−9,9−ジオクチルフルオレン(65nm)/「電子注入・輸送層」CsF(2nm)/「陰極」Al(100nm)である。なお、正孔注入層、正孔輸送層、発光層は塗布法の一つであるスピンコート法で製膜し、電子注入・輸送層および陰極は真空蒸着法で製膜した。
比較例3および実施例7の有機EL素子の特性評価の結果を下記表3に示した。
Figure 2011105842
表3に示すように、実施例7は本発明の化合物からなる正孔輸送層を備えているので、正孔輸送層を備えていない比較例3と比較して、最大電流効率および最大輝度が大きく、良好であった。
1:陰極、2:電子注入・輸送層、3:発光層、4:正孔輸送層、5:正孔注入層、6:陽極、7:基板。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)に示される化合物。
    Figure 2011105842
    一般式(1)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、ArからArは、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、ArからAr上の置換基、およびRからRは、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、電荷注入・輸送基、または架橋性置換基から選ばれることを特徴とする。また、RからRの置換基は隣接する置換基同士が連結し環を形成しても良い。EおよびEは、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
  2. 下記一般式(2)に示される化合物。
    Figure 2011105842
    一般式(2)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、ArからAr10は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、炭素数2〜30の芳香族環式基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、ArからAr10上の置換基、RおよびR10は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
  3. 下記一般式(3)で示される化合物。
    Figure 2011105842
    一般式(3)中のYは置換基を有していても良い2価の炭素数2〜30の芳香族環式基、または2価の電荷注入・輸送基を示し、Ar11およびAr12は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。また、Y上の置換基、Ar11およびAr12上の置換基、R11、12およびR13は、同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。l、mは成分比を表し、lは1モル%〜100モル%である。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
  4. 下記一般式(4)で示される化合物。
    Figure 2011105842
    一般式(4)中のAr13〜Ar16は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、Ar13〜Ar16上の置換基、R14およびR15は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。EおよびEは、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
  5. 下記一般式(5)で示される化合物。
    Figure 2011105842
    一般式(5)中のAr17およびAr18は、それぞれ同一であっても異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示し、Ar17およびAr18上の置換基、R16〜R18は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。EおよびE10は、それぞれ同一でも異なっていても良く、水素、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数2〜30の芳香族環式基、または電荷注入・輸送基を示す。nは10〜1000の整数であり、重合度を示す。
  6. 請求項1記載の架橋性置換基が、触媒の有る無しに関係なく、光あるいは熱によりクロスリンクが可能な置換基であり、ビニル基、トリフルオロビニル基、アクリル基、メタクリル基、オキセタン基、あるいはエポキシ基などを有する、置換されていても良いアルキル基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されていても良い芳香族環式基であることを特徴とする一般式(1)の化合物。
  7. 請求項1〜5記載の電荷注入・輸送基が、電子供与基で置換された芳香族環式基、置換基を有していても良いアリールアミン、または置換基を有していても良いカルバゾール誘導体であることを特徴とする一般式(1)〜(5)の化合物。
  8. 請求項1〜7記載のいずれか1項の化合物を含有することを特徴とする組成物。
  9. 一対の電極間に複数の有機層を形成してなる有機電界発光素子において、前記有機層の少なくとも1層が請求項1〜7記載のいずれか1項の化合物または請求項8記載の組成物を含んでなる有機電界発光素子。
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