JP2011097737A - 回転電機、発電機、電動機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転電機は、略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える回転電機において、上記分割された複数の上記固定子ティースの上記端面の回転子回転方向の弧の長さが不均等であり、上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の上記端面の回転子回転方向の弧の長さが、最も短い。
【選択図】図1
Description
また、固定子鉄心は積層鋼板により形成されているため、端部のティースは軸方向に振動する恐れがあり、フィンガーと呼ばれる金属部材でティースを軸方向に押さえている。スリットを設けた場合、スリットの両側を押さえる必要がある。なお、フィンガーはスリットの両側に設置するか、スリットを跨いで設置するケースが多い(例えば、特許文献1参照)。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施に形態1に係る回転電機の固定子鉄心の平面図である。
この発明の実施の形態1に係る回転電機の固定子鉄心1は、電気鉄板を扇形に打ち抜くことによって得られた複数の鉄心用抜板を環状に配置して構成された単位層鉄板を複数層に積層して構成されている。固定子鉄心1には回転子2に対面する面に開口し、径方向に空けられたスロット3が設けられている。そして、回転子2の回転方向に隣接するスロット3に挟まれた部分を固定子ティース4と称する。
固定子鉄心1のスロット3内に上下2層の固定子コイル5を収納する。
最初に、回転電機として発電機を取り上げ、その発電機の負荷時の磁束ベクトルを説明する。図2は、発電機の負荷時の磁束ベクトルの概念図である。
負荷時には回転子2が作る界磁磁束と固定子電流が作る電機子反作用磁束との合成磁束が合成主磁束となる。界磁磁束と合成主磁束のなす角度が内部相差角δである。また、合成主磁束と固定子電流(固定子起磁力)のなす角度が力率角θである。発電機の負荷運転時には、力率角θが正であるところの遅れ力率(図1に示すような方向)や進み力率(θが負)など存在するが、おおよそ合成主磁束は図示のように紙面手前側に流れる電流が存在する方向に向く。
図示のような向きに合成主磁束がある場合、スロット3に格納された固定子コイル5には、図2に図示するように主に紙面手前側に電流が流れるため、この固定子コイル5に流れる電流が作る固定子スロット漏れ磁束は、図3に図示するようにスリット6により2分割された固定子ティース4の内回転子回転方向に向いて前側(すなわち進み側)の部分では、合成主磁束を増磁し、逆に回転子回転方向に向いて後ろ側(すなわち遅れ側)の部分では、合成主磁束を減磁する。
固定子ティース4の端面においても、上記の関係はそのままであり、固定子ティース4の端面に径方向に鎖交する磁束も、合成主磁束と固定子スロット漏れ磁束とを合成したものであり、スリット6により2分割された固定子ティース4の端面ののうち回転子回転方向に向いて前側の部分では、合成主磁束を増磁し、逆に回転子回転方向に向いて後ろ側の部分では、合成主磁束を減磁する。
そのため、回転子回転方向に向いて前側の部分での渦電流損失が大きくなり、逆に、回転子回転方向に向いて後ろ側の部分では、小さくなり、渦電流損失に偏りが発生する。
この発明の実施の形態1に係る固定子ティース4は、回転子2に対面する端面の回転子回転方向の弧を回転子回転方向に向いて前側の弧の長さが回転子回転方向に向いて後ろ側の弧の長さより短くなるように2分割する位置から径方向にスリット6が設けられているので、回転子回転方向に向いて前側の固定子ティース4の部分の流路が狭くなり、増磁された径方向に鎖交する磁束による渦電流を減少し、渦電流損失が小さくなる。一方、回転子回転方向に向いて後ろ側の固定子ティース4の部分の流路が広くなるが、減磁された径方向に鎖交する磁束による渦電流を増加することが少ないので、渦電流損失はさほど増加しない。
図6は、この発明の実施に形態2に係る固定子ティースの拡大平面図である。
この発明の実施の形態2に係る回転電機の固定子鉄心は、この発明の実施の形態1に係る回転電機の固定子鉄心と、固定子ティース4Bに設けられたスリット6の数が2個になったことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
このような位置にスリットを設けることにより、スリットにより4分割以上された固定子ティースの最も前側の部分での渦電流損失がスリットにより均等に分割された固定子ティースの最も前側の部分での渦電流損失より小さくなる。また、不均等に分割された固定子ティース全体での渦電流損失が均等に分割された固定子ティース全体での渦電流損失よりも小さくなる。
図7は、この発明の実施に形態3に係る固定子ティースの拡大平面図である。
この発明の実施の形態3に係る回転電機の固定子鉄心は、この発明の実施の形態2に係る回転電機の固定子鉄心と、固定子ティース4Cに設けられたスリット6a、6bの深さが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
この発明の実施の形態3に係る固定子ティース4Cは、回転子回転方向に向かって最も前側と中間の部分が深さが深いスリット6aで分割され、中間と最も後ろ側の部分が深さが浅いスリット6bで分割されている。
しかし、スリット6aのように深さが深いと、固定子ティース4Cの回転子2に対面する先端部の強度の減少、固定子ティース4Cの幅の減少による磁気飽和など悪影響があり、深さの深いスリット6aを多く設けるのは難しい場合がある。これまでに述べたように、渦電流は発電機の場合、回転子回転方向に向かって前側の固定子ティース4Cで大きくなるため、渦電流損失も大きくなる。よって、回転子回転方向の前側のスリット6aのみを深くすれば、効果的に渦電流発熱を低減することができる。
図8は、この発明の実施に形態4に係る固定子ティースの拡大平面図である。
この発明の実施の形態4に係る回転電機の固定子鉄心は、この発明の実施の形態2に係る回転電機の固定子鉄心に、フィンガー7を設けたことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
このようにフィンガー7を固定子ティース4Bの両側に構成すれば、積層鋼板の振動を抑えることができ、信頼性の高い回転電機を提供することができる。
なお、フィンガー7がスリット6に重なる場合、フィンガー7によりスリット6により分割された隣接する固定子ティース4Bが溶接部8を介して電気的に導通するために、隣接する固定子ティース4の間に渦電流ループが発生する。これにより、スリット6による渦電流低減効果が弱まり、発熱が大きくなる。このため、固定子ティース4Bに対するフィンガー7の数はスリット数+1であることが望ましい。
図9は、この発明の実施に形態5に係る固定子ティースの拡大平面図である。
この発明の実施の形態5に係る回転電機の固定子鉄心は、この発明の実施の形態4に係る回転電機の固定子鉄心に設けるフィンガー7の数が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する。
1本の固定子ティース4Bに対してスリット数+1本のフィンガー7を設置する場合、フィンガー7の本数が増大することでコスト増となり、かつフィンガー7の溶接など製造コストも増大する。
固定子ティース4Bの渦電流発熱は、合成主磁束と固定子コイル漏れ磁束の合成磁束により発生するため、発電機の場合、回転子回転方向に向かって前側で増磁、後ろ側で減磁となり、前側の発熱が大きくなる。このため、フィンガー7の本数を減らし、コスト低減を図る場合、前側でスリット6を跨ぐフィンガー7を設置した場合、渦電流損失の増加が顕著となるが、後ろ側では比較的渦電流損失増加が抑えられる。このため、前側のスリット6を跨ぐフィンガー7は設置せず、後ろ側のスリット6を跨ぐフィンガー7を設置すると、固定子ティース4Bの先端部を機械的に押さえ、かつ効果的にコスト低減が可能となる。
また、回転子2が両方向に回転する場合には、図11に示すように、2個のスリット6で固定子ティース4の回転子2に対面する端面の回転子回転方向の弧を回転子回転方向に向かって最も前側の弧、中間の弧、最も後ろ側の弧の3つの弧に分ける。最も前側の弧の長さが中間の弧の長さより短く、最も後ろ側の弧の長さを中間の弧の長さより短くすれば良い。
また、回転子2が両方向に回転する場合には、図12に示すように、深さが深い回転子回転方向に向かって最も前側のスリット6と最も後ろ側のスリット6、深さが浅い中間のスリット6の3個のスリット6で固定子ティース4を4分割しても良い。
Claims (12)
- 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える回転電機において、
上記分割された複数の上記固定子ティースの上記端面の回転子回転方向の弧の長さが不均等であり、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の上記端面の回転子回転方向の弧の長さが、最も短いことを特徴とする回転電機。 - 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える回転電機において、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分を分割するスリットの深さが最も深いことを特徴とする回転電機。 - 上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記分割された固定子ティースの先端部を全て軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
- 上記固定子ティースが少なくとも2個のスリットで分割され、
上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の先端部を上記スリットを跨がずに軸方向に押さえるとともに残りの分割された部分の先端部を上記スリットを跨いで軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。 - 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える発電機において、
上記分割された複数の上記固定子ティースの上記端面の回転子回転方向の弧の長さが不均等であり、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の上記端面の回転子回転方向の弧の長さが、最も短いことを特徴とする発電機。 - 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える発電機において、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分を分割するスリットの深さが最も深いことを特徴とする発電機。 - 上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記分割された固定子ティースの先端部を全て軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項5または6に記載の発電機。
- 上記固定子ティースが少なくとも2個のスリットで分割され、
上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の先端部を上記スリットを跨がずに軸方向に押さえるとともに残りの分割された部分の先端部を上記スリットを跨いで軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項5または6に記載の発電機。 - 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える電動機において、
上記分割された複数の上記固定子ティースの上記端面の回転子回転方向の弧の長さが不均等であり、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の上記端面の回転子回転方向の弧の長さが、最も短いことを特徴とする電動機。 - 略円筒状の積層鉄心から構成され、内周側に固定子コイルを格納するスロットが設けられ、上記スロットにより挟まれた固定子ティースを有し、上記固定子ティースを内周側の端面から径方向に延びて複数に分割するスリットが少なくとも軸方向端部において設けられる固定子鉄心と、上記固定子鉄心の内周側に回転自在に取り付けられた回転子と、を備える電動機において、
上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分を分割するスリットの深さが最も深いことを特徴とする電動機。 - 上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記分割された固定子ティースの先端部を全て軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項9または10に記載の電動機。
- 上記固定子ティースが少なくとも2個のスリットで分割され、
上記固定子鉄心の端面に配置されるとともに上記回転子に対面する端面から鎖交する主磁束がスロット漏れ磁束により増磁される上記固定子ティースの分割された部分の先端部を上記スリットを跨がずに軸方向に押さえるとともに残りの分割された部分の先端部を上記スリットを跨いで軸方向に押さえるフィンガーを有することを特徴とする請求項9または10に記載の電動機。
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