JP2011094032A - 微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表されるブロック共重合体からなる微粒子であって、前記微粒子の平均粒子径が100nm以下である。
【選択図】なし
Description
<1> 下記一般式(1)で表されるブロック共重合体からなる微粒子であって、前記微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする微粒子である。
<2> 光酸発生剤の存在下、一般式(1)で表されるブロック共重合体に光照射することにより得られる前記<1>に記載の微粒子である。
<3> 光酸発生剤が、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物である前記<2>に記載の微粒子である。
<4> 光酸発生剤の存在下、一般式(1)で表されるブロック共重合体に光照射することを特徴とする微粒子の製造方法である。
<5> 光酸発生剤が、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物である前記<4>に記載の微粒子の製造方法である。
<6> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の微粒子からなることを特徴とする高分子分散剤である。
<7> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の微粒子を含むことを特徴とする光記憶材料である。
本発明の微粒子は、下記一般式(1)で表されるブロック共重合体からなる。
R2は、ラジカル重合制御剤残基を表し、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル基、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜6が特に好ましい。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記エーテル基としては、例えば、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、ベンジルエーテル、アリルエーテルなどが挙げられる。
前記エステル基としては、例えば、脂肪族エステル、芳香族エステルなどが挙げられる。
前記アミド基としては、例えば脂肪族アミド、芳香族アミドなどが挙げられる。
前記カルボニル基としては、例えばケトン基、カーボネート基、ウレタン基などが挙げられる。
前記アルキル基、エステル基、及びカルボニル基としては、前記R3と同様なものが挙げられる。
前記フッ素原子を除くハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、スチリル基、メシチル基、シンナミル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基などが挙げられる。
前記重合度mは33〜330の整数であり、45〜200の整数であることがより好ましい。前記重合度mが、33未満であると、微粒子の形成効率が低下することになり、330を超えると、微粒子の沈殿が生じることになる。
前記重合度nは250〜2,000の整数であり、280〜960の整数であることがより好ましい。前記重合度nが、250未満であると、微粒子の沈殿が生じることになり、2,000を超えると、微粒子の形成効率が低下することになる。
前記重合度mと前記重合度nの比(m/n)は、0.02〜0.3であり、0.03〜0.25であることが好ましい。前記重合度比(m/n)が、0.02未満であると、微粒子の形成効率が低下することになり、0.3を超えると、微粒子の沈殿が生じることになる。
また、前記一般式(1)で表されるブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30,000〜500,000であることが好ましく、30,000〜450,000であることがより好ましい。
ここで、前記数平均分子量及び重量平均分子量は、例えばゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
ここで、前記微粒子の平均粒子径は、例えばレーザー光散乱により測定することができる。
本発明の微粒子の製造方法は、光酸発生剤の存在下、上記一般式(1)で表されるブロック共重合体に光照射するものである。
前記光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物のいずれかを用いることができる。これらの中でも、反応性が高い点から、下記一般式(2)で表されるヨードニウム塩が特に好ましい。
X―は、ヨードニウムカチオンの対アニオンであり、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、及びテトラフルオロボレートのいずれかを表す。
前記ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
X―は、スルホニウムカチオンの対アニオンであり、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、及びテトラフルオロボレートのいずれかを表す。
前記光照射の際の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高圧水銀ランプであることが好ましく、400W以上の出力を持つ超高圧水銀ランプであることがより好ましい。
本発明の微粒子の製造方法における前記一般式(1)で示されるブロック共重合体の重合に用いられる重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
本発明の微粒子の製造方法における前記一般式(1)で表されるブロック共重合体の前記溶媒中の濃度は、0.3g/L〜10g/Lであることが好ましく、0.7g/L〜7g/Lであることがより好ましい。
前記濃度が、0.3g/L未満であると、微粒子の形成が困難になることがあり、10g/Lを超えると、微粒子形成後に沈殿を生じることがある。
ポリ(4−ピリジンメトキシメチルスチレン)−block−ポリスチレンジブロック共重合体は、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルをメディエーターとするリビングラジカル重合により合成したポリ(4−ビニルベンジルクロリド)とポリスチレンとからなるポリ(4−ビニルベンジルクロリド)−block−ポリスチレンのジブロック共重合体と、4−ピリジンメタノールとを反応させることにより得ることができる。
前記ポリスチレンセグメントの重合度nは、250〜2,000であり、280〜960であることが好ましい。
前記ポリ(4−ピリジンメトキシメチルスチレン)セグメントの重合度mと、前記ポリスチレンセグメントの重合度nとの重合度比(m/n)は、0.02〜0.3であり、0.03〜0.25であることが好ましい。
本発明の微粒子及び本発明の微粒子の製造方法により製造された微粒子は、光照射によって脱離成分を伴わずに凝集体からなる微粒子を形成でき、かつ凝集体からなる微粒子の形成によって高分子の空間的構造を固定化できるので、例えば脱離成分を伴わないクリーンな高分子分散剤として、建築用塗料やインクジェット用インクの分散剤;光記憶材料に応用した場合には情報記憶時に体積変化が小さく、かつ不可逆的な光反応を用いているので記憶が消失する心配のない画期的な高分子光記憶材料、などの用途に好適に用いられる。
<ポリ(4−ビニルベンジルクロリド)の合成>
4−ビニルベンジルクロリド(以下、「VBC」と略記する)を5質量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留することによって、ラジカル重合禁止剤を除去して精製した。この精製したVBC単量体の32.5g、過酸化ベンゾイルの0.650g、及び4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルの0.600gをアンプルに入れ、内容物を脱気封管した。その内容物が入ったアンプルをオイルバス中、125℃で130分間重合を行った。重合後、アンプルを液体窒素中に投入し重合を停止した。アンプル中の固体を70mLの塩化メチレンに溶解させたのち、その塩化メチレン溶液を10Lのメタノール中に注いでポリマーを沈澱させた。その生成ポリマーを真空中で7時間乾燥させて、ポリ(4−ビニルベンジルクロリド)の26.8gを得た。
得られたポリ(4−ビニルベンジルクロリド)の重合度は、核磁気共鳴スペクトル(商品名:300 FT NMR スペクトロメーター、Varian社製)による解析により78.6、数平均分子量(Mn)は12,000と算出された。また、分子量分布(Mw/Mn)はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により標準スチレン換算で、1.29と算出された。
<ポリ(4−ビニルベンジルクロリド)−block−ポリスチレンの合成>
スチレン単量体(和光純薬工業株式会社製)を、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留することによって、ラジカル重合禁止剤を除去して精製した。この精製したスチレンの27.3gと、上記方法で合成したポリ(4−ビニルベンジルクロリド)の6.00gをアンプルに入れ、内容物を脱気封管した。その内容物が入ったアンプルをオイルバス中、125℃で38時間重合を行った。重合後、アンプルを液体窒素中に投入し重合を停止した。アンプル中の固体を220mLの塩化メチレンに溶解させたのち、その塩化メチレン溶液を12Lのメタノール中に注いでポリマーを沈澱させた。その生成ポリマーを真空中で9時間乾燥させ、ポリ(4−ビニルベンジルクロリド)−block−ポリスチレンの25.7gを得た。
得られたブロック共重合体のポリスチレンの重合度は、1H NMR解析により467.2、数平均分子量(Mn)は48,700であった。また、分子量分布(Mw/Mn)はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により1.88と算出された。
ここで、ポリマーの分子量分布の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって以下の条件で測定した。
<GPCによる分子量の測定条件>
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.5%の試料を1mL注入
以上の条件で測定したポリマーの分子量分布から、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)として算出した。
<ポリ(4−ピリジンメトキシメチルスチレン)−block−ポリスチレンジブロック共重合体の合成>
4−ピリジンメタノールの1.42gをN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する)の20mLに溶解させた。このDMF溶液に水素化ナトリウムの468mgを窒素気流中、0℃で懸濁させた。この混合物を室温で1時間反応させたのち、この混合物に、上記方法で合成したポリ(4−ビニルベンジルクロリド)−block−ポリスチレンの2.00gをDMFの20mLに溶解させた溶液を、窒素気流中、0℃で加え、0℃で2時間攪拌した。その後、この混合物を室温で17時間攪拌した後、メタノールの2Lに投入し、ポリマーを沈澱させた。このポリマーの沈澱物をろ過後、真空中で6時間乾燥させ、ポリ(4−ピリジンメトキシメチルスチレン)−block−ポリスチレンジブロック共重合体(以下、「PPySt−b−PSt」と略記する)の2.00gを得た。
得られたブロック共重合体の1H NMR解析により4−ピリジンメトキシ基の導入率は100%であることを確認した。得られた「PPySt−b−PSt」の数平均分子量(Mn)は、17,700−b−48,700であった。
−微粒子(高分子凝集体)の製造−
以下、合成した「PPySt−b−PSt」を用いた凝集体の形成について述べる。
得られた「PPySt−b−PSt」の286mg、及びジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートの43mgを、1,4−ジオキサンの100mLに溶解させ、シリンジを用いてミクロポーラスフィルターを通してナスフラスコに入れた。この溶液に500Wの超高圧水銀ランプ(ワコム社製)を用いて室温で7時間光照射した。その結果、光散乱解析(大塚電子株式会社製、ELS−8000)により測定した平均粒子径が68.9ナノメートルの球状の高分子凝集体からなる微粒子が生成したことが分かった。また、1H NMR解析により高分子凝集体からの脱離成分はないことが明らかになった。
得られた高分子凝集体の形成を確認した光散乱強度分布図を図1A及び図1Bに示す。図1A及び図1Bの結果から、流体力学的直径の分布が、微粒子形成前の約25nmから約70nmにシフトしており、微粒子が形成されたことが分かった。
なお、実施例1において、光酸発生剤としてジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートの代わりに、上記一般式(3)で表される化合物(例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)を用いても同様の結果が得られた。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されるブロック共重合体からなる微粒子であって、前記微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする微粒子。
- 光酸発生剤の存在下、一般式(1)で表されるブロック共重合体に光照射することにより得られる請求項1に記載の微粒子。
- 光酸発生剤が、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物である請求項2に記載の微粒子。
- 光酸発生剤の存在下、一般式(1)で表されるブロック共重合体に光照射することを特徴とする微粒子の製造方法。
- 光酸発生剤が、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表される化合物である請求項4に記載の微粒子の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の微粒子からなることを特徴とする高分子分散剤。
- 請求項1から3のいずれかに記載の微粒子を含むことを特徴とする光記憶材料。
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