JP5630957B2 - ハイパーブランチポリマー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ハイパーブランチポリマー及びその製造方法に関する。すなわち、本発明は、光学的、熱的に安定であるという特徴を有するハイパーブランチポリマー、更に水溶性であるという特徴を有するハイパーブランチポリマーに関する。これらは、塗料、インキ、接着剤、樹脂フィラー、各種成形材料、ナノメートルサイズの多孔形成剤、化学的機械的研磨剤、機能物質の担時材料、ナノカプセル、フォトニック結晶、レジスト材料、光学材料、電子材料、情報記録材料、印刷材料、電池材料、医用材料、磁性材料などとして好適に利用される。
ハイパーブランチポリマーは、デンドリマーと共にデンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されている。従来の高分子が一般的に紐状の形状であるのに対し、これらのデンドリティックポリマーは、積極的に枝分かれを導入しているため、特異な構造を有する点、ナノメートルオーダーのサイズである点、多くの官能基を保持する表面を形成することができる点、線状ポリマーに比べて低粘度化できる点、分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示す点、非晶性になり溶媒溶解性を制御できる点などにおいて様々な特性を利用した応用が期待されている。
特に末端基数の多さは、デンドリティックポリマーの最も顕著な特徴であり、分子量が増加すれば枝分かれの数も増えるので、末端基の絶対数は高分子量のデンドリティックポリマーほど多くなる。このような末端基数の多いデンドリティックポリマーは、末端基の種類によって分子間相互作用が大きく左右されるので、ガラス転移温度や溶解性、薄膜形成性などが大きく変化し、一般の線状高分子にはない特徴を有する。また、末端基に反応性官能基を付与した場合には、非常に高密度に反応性官能基を有することになるため、例えば、機能物質の高感度補足剤、高感度な多官能架橋剤、金属や金属酸化物の分散剤又はコーティング剤としての応用が期待される。したがって、デンドリティックポリマーにおいては、末端基の種類をどのように設定するかが、そのポリマーの特性の発現に重要な因子となる。
ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する利点としては、その合成の簡便さが挙げられ、特に工業的生産においては有利である。一般にデンドリマーが保護−脱保護を繰り返し合成されるのに対し、ハイパーブランチポリマーは1分子中に2種類の置換基を合計3個以上もつ、いわゆるABx型モノマーの1段階重合により合成される。
光重合開始能を持ちかつビニル基を有する化合物のリビングラジカル重合によるハイパーブランチポリマーの合成方法が知られている。このような合成法としては、例えば、ジチオカルバメート基を有するスチレン化合物の光重合によるハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献1、2、3参照。)や、ジチオカルバメート基を有するアクリル化合物の光重合によるジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献4、5、6参照。)、ジチオカルバメート基を有するスチレン化合物と無水マレイン酸共存下で光重合することによる、主鎖内に酸無水物が導入された分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献7参照。)が知られている。
Koji Ishizu, Akihide Mori, Macromol. Rapid Commun. 21,665−668(2000) Koji Ishizu, Akihide Mori, Polymer International 50,906−910(2001) Koji Ishizu, Yoshihiro Ohta, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.35, No.9, 3781−3784(2002) Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Akihide Mori, Polymer International 51,424−428(2002) Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Susumu Kawauchi, Macromolecules Vol.36, No.10, 3505−3510(2002) Koji Ishizu, Takeshi Shibuya, Jaebum Park, Satoshi Uchida, Polymer International 53,259−265(2004) Koji Ishizu, Akihide Mori, Takeshi Shibuya, Polymer Vol.42, 7911−7914(2001)
しかしながら、これらのハイパーブランチポリマーは、脂溶性が高いため水溶性を必要とする分野への応用が困難である。また、光重合開始能を有するジチオカルバメート基を分子内に有しているので、光に対してはリビング状態のままであり、熱安定性も高くない。そのため水溶性であり、かつ光学的、熱的に安定なジチオカルバメート基を有さないハイパーブランチポリマーが望まれていた。
本発明の目的は、光学的、熱的に安定な新規なハイパーブランチポリマー、更に水溶性であり、光学的、熱的に安定な新規なハイパーブランチポリマーの提供、及びこれらの製造方法を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の観点に記載の発明に関するものである。
第1観点として、式(1):
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR1とR2は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成し、A1はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
第2観点として、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が500ないし5,000,000である、第1観点に記載のハイパーブランチポリマー。
第3観点として、式(2):
(式中、A1、X1、X2、X3、及びX4は前記式(1)の記載と同義であり、R3及びR4は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、又は、R3とR4は互いに結合して、それらと結合する窒素原子と共に環を形成することができる。)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3):
(式中、R1及びR2は前記式(1)の記載と同義である。)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合し、該重合によって得られるハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を、水素原子に還元することからなる、第1観点に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
第4観点として、前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンである、第3観点に記載の製造方法。
第5観点として、前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、第3観点に記載の製造方法。
第6観点として、前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンであり、かつ前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、第3観点に記載の製造方法。
第7観点として、前記還元が、水素化トリブチルスズの存在下、光照射することによって行なわれる、第3観点に記載の製造方法。
第8観点として、前記還元が、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを含有する有機溶剤溶液中で、水素化トリブチルスズの存在下、光照射することによって行なわれる、第3観点に記載の製造方法。
第9観点として、式(4):
(式中、R1、R2、A1、X1、X2、X3、及びX4は、前記式(1)の記載と同義であり、R5及びR6は、それぞれ、水素原子又は金属原子を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
第10観点として、第1観点に記載のハイパーブランチポリマーを、更に加水分解することからなる、第9観点に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
第11観点として、前記加水分解が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる第10観点に記載の製造方法。
第12観点として、前記加水分解が、水と有機溶剤の混合溶剤中で、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる第10観点に記載の製造方法。
第13観点として、式(5):
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1、X1、X2、X3、及びX4は前記式(1)、式(2)、式(3)、及び式(4)の記載と同義であり、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
第14観点として、第3観点に記載の式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と第3観点に記載の式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによって得られるジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを、加水分解することからなる、第13観点に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
第15観点として、前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンであり、かつ前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、第14観点に記載の製造方法。
第16観点として、前記加水分解が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる第14観点に記載の製造方法。
第17観点として、前記加水分解が、水と有機溶剤の混合溶剤中で、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる第14観点に記載の製造方法。
第18観点として、第13観点に記載のハイパーブランチポリマーを、第7観点又は第8観点に記載の還元方法によって、該ハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を水素原子に還元することからなる、第9観点に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
本発明により、交互共重合体で、かつ分子末端に水素原子を有する光学的、熱的に安定なハイパーブランチポリマーを得ることができる。更に、カルボキシル基を含有させることにより、水溶性となる特性を付加したハイパーブランチポリマーをも得ることができる。
また本発明の製造方法により、これらの特性を有したハイパーブランチポリマーを簡便に、効率よく得ることができる。
本発明のハイパーブランチポリマーは、前記式(1)、式(4)、及び式(5)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーである。
これらの式(1)、式(4)、及び式(5)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR1とR2は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成する。
1はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。
また、R3及びR4は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、また、R3とR4は互いに結合して、それらと結合する窒素原子と共に環を形成することができる。R5及びR6は、それぞれ、水素原子又は金属原子を表す。
これらの式中、R1及びR2の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基等が挙げられ、水素原子が好ましい。
また、A1のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、ノルマルプロピレン基、ノルマルブチレン基、ノルマルヘキシレン基等の直鎖状アルキレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等の枝分かれ鎖状アルキレン基が挙げられる。また環状アルキレン基としては、炭素原子数3ないし30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。
例えば、脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)〜(s)を下記に示す。
また、X1、X2、X3、及びX4の炭素原子数1ないし20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1ないし20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。
特にX1、X2、X3、及びX4としては、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基が好ましい。
3及びR4の炭素原子数1ないし5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、及びノルマルペンチル基等が挙げられる。
また、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
3とR4がそれらと結合する窒素原子と共に形成する環としては、四ないし八員環が挙げられる。そして、環としては、メチレン基を四ないし六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子又は硫黄原子と、四ないし六個のメチレン基を含む環が挙げられる。R3とR4がそれらと結合する窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、及びホモピペリジン環等が挙げられる。
5及びR6は、それぞれ、水素原子又は金属原子を表し、金属原子の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ベリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属を挙げることができる。
本発明の式(1)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーは、式(6)
で表されるビニル基を有する開始点部分の構造に、式(7)
で表される繰り返し単位構造が連結した構造をとる。
また、本発明の式(4)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーは、式(6)で表されるビニル基を有する開始点部分の構造に、式(8)
で表される繰り返し単位構造が連結した構造をとる。
本発明の式(5)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーも、式(6)で表されるビニル基を有する開始点部分の構造に、式(8)で表される繰り返し単位構造が連結した構造をとる。
そして、式(4)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーと式(5)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーの相違は、式(4)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーは、分子末端が水素原子であるのに対し、式(5)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーは、分子末端がジチオカルバメート基であることにある。
本発明の式(1)、式(4)、及び式(5)で表されるハイパーブランチポリマーの構造式の連結状態を一般式(9)で説明する:
[式中、Maは、式(10)
(式中、R1及びR2は、前記式(1)、(3)での記載と同義である。)又は式(11)
(式中、R1、R2、R5、及びR6は、前記式(4)での記載と同義である。)を表し、
Stは、式(12)
(式中、X1、X2、X3、及びX4は、前記式(1)での記載と同義である。)を表し、
Dは水素原子又はジチオカルバメート基を表す。]。
上記の一般式(9)において、本発明の式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、Maが式(10)を表し、Dが水素原子を表すものであり、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、Maが式(11)を表し、Dが水素原子を表すものであり、式(5)で表されるハイパーブランチポリマーはMaが式(11)を表し、分子末端Dがジチオカルバメート基を表すものである。
これらをもってすると、本発明のハイパーブランチポリマーは、式(6)で表されるビニル基を有する開始点部分の構造に一般式(13)
で表される繰り返し単位構造が連結した構造をとるものとして表すことができる。
そして、繰り返し単位構造の数nが2の場合には、その構造として式(14)と式(15):
が考えられる。本発明のハイパーブランチポリマーはそのどちらの構造も含む。
繰り返し単位構造の数nが3の場合には、その構造としては式(16)から式(20)
が考えられる。本発明のハイパーブランチポリマーはいずれの構造も含む。
繰り返し単位構造の数nが4以上の場合には、更に多数の構造が考えられ、本発明のハイパーブランチポリマーはそのいずれの構造も含む。
本発明の式(1)、式(4)、及び式(5)で表されるハイパーブランチポリマーの構造式の連結状態は、式(9)の一般式をもって説明したとおりである。すなわち、本発明の式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、式(6)で表される開始点部分の構造に式(7)で表される繰り返し単位構造を、式(4)及び式(5)で表されるハイパーブランチポリマーは、式(6)で表される開始点部分の構造に式(8)で表される繰り返し単位構造を二つ以上有するものを全て包含する。そして、繰り返し単位構造が規則的に3点で結合して枝分かれした構造になる場合と、2点で結合し、枝分かれせずに線状の構造になる場合があるが、そのいずれの場合も包含する。
なお、本発明のハイパーブランチポリマーとしては、その繰り返し単位構造は式(7)又は式(8)で表されるものが主体であるが、一部にジチオカルバメート化合物と無水マレイン酸類、又はジチオカルバメート化合物と無水マレイン酸類の加水分解物の配列様式がランダムである場合、あるいはそれぞれがブロックとして配列した場合を含んでいてもよい。また、式(4)及び式(5)で表されるハイパーブランチポリマーでは、一部無水マレイン酸類として残存していてもよい。
また、本発明の分子末端が水素原子を有する式(1)又は式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、分子末端の一部がジチオカルバメート基として残存していてもよい。
また、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、後記の製造方法で述べるように式(5)で表されるハイパーブランチポリマーから製造する場合は、分子末端の一部にジチオカルバメート基が残存していてもよい。
あるいは、式(2)で表される化合物が式(3)で表される無水マレイン酸類に対して過剰に存在する場合には、式(7)又は式(8)で表される繰り返し単位構造の終了後に、更に過剰分の式(21)
(式中、mは繰り返し単位構造の数であって、1ないし100までの整数を示す。)で表される繰り返し単位構造が結合した構造が考えられるが、これらを包含していてもよい。
なお、本発明のいずれのハイパーブランチポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwが500ないし5,000,000、好ましくは1,000ないし100,0000であり、より好ましくは2,000ないし500,000である。また、分散度Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、1.0ないし10.0、好ましくは1.1ないし9.0、より好ましくは1.2ないし8.0である。
更に、式(1)で表されるハイパーブランチポリマーの具体的な代表例として、式(22)
(式中、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表されるハイパーブランチポリマーを挙げることができる。
式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの具体的な代表例として、式(23)
(式中、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)及び式(24)
(式中、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表されるハイパーブランチポリマーを挙げることができる。
式(5)で表されるハイパーブランチポリマーの具体的な代表例として、式(25)
(式中、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)及び式(26)
(式中、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表されるハイパーブランチポリマーを挙げることができる。
次に、本発明のハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。
まず、本発明の式(1)
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR1とR2は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成し、A1はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。
式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによって得られるハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を、水素原子に還元することによって製造することができる。
まず、最初にジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの製造方法について説明する。
式(2)で表されるジチオカルバメート化合物は前述した下記の化合物
である。
式(2)中、A1、X1、X2、X3、及びX4は前述と同義である。
3及びR4は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。
また、R3とR4は互いに結合して、それらと結合する窒素原子と共に環を形成することができる。
炭素原子数1ないし5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、及びノルマルペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
3とR4がそれらと結合する窒素原子と共に形成する環としては四ないし八員環が挙げられる。そして、環としては、メチレン基を四ないし六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子又は硫黄原子と、四ないし六個のメチレン基を含む環が挙げられる。
3とR4がそれらと結合する窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、及びホモピペリジン環等が挙げられる。
式(2)で表される化合物は、式(27)
で表される化合物と式(28)
で表される化合物との求核置換反応により容易に得ることができる。
式(27)中、Yは脱離基を表す。脱離基としてはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メシル基、及びトシル基等が挙げられる。
式(28)中、Mはリチウム、ナトリウム又はカリウムを表す。
本求核置換反応は、通常上記2種類の化合物を両方溶解できる有機溶媒中で行なうことが好ましい。反応後、水/非水系有機溶剤による分液処理や、再結晶処理によって式(2)で表される化合物を高純度で得ることができる。また、式(2)で表される化合物は、Macromol. Rapid Commun. 21,665−668(2000)及びPolymer International 51,424−428(2002)に記載の方法を参照して製造することができる。
式(2)で表される化合物の具体例としては、N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン等が挙げられる。
式(3)で表される無水マレイン酸類も前述した下記のとおりのものである:
式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR1とR2は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成する。
式(3)で表される無水マレイン酸類の具体例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、2−エチル無水マレイン酸、2,3−ジエチル無水マレイン酸、2−イソプロピル無水マレイン酸、2,3−ジイソプロピル無水マレイン酸、2−n−ブチル無水マレイン酸、2,3−ジ(n−ブチル)無水マレイン酸、2−t−ブチル無水マレイン酸、2,3−ジ(t−ブチル)無水マレイン酸、2−フェニル無水マレイン酸、2,3−ジフェニル無水マレイン酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラハイドロフタル酸無水物等が挙げられる。
そして、式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによって、ジチオカルバメート基を分子末端に有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーを得ることができる。
リビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合形式により行なうことができる。特に溶液重合が好ましい。
溶液重合の場合は、式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類を溶解可能な溶剤中で、任意の割合で重合を行うことができる。例えば、式(2)で表される化合物に対して式(3)で表される無水マレイン酸類が0.1ないし2.0倍モル当量、好ましくは0.2ないし1.5倍モル当量、より好ましくは0.5ないし1.3倍モル当量、最も好ましくは0.8ないし1.1倍モル当量であればよい。また、溶液中における式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類の濃度は任意であるが、例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類の総量は、式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類と溶剤の総質量に対して1ないし80質量%、好ましくは2ないし70質量%であり、より好ましくは5ないし60質量%、最も好ましくは8ないし50質量%である。溶剤としては、式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類を溶解可能な溶剤であれば特に制限はない。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類などが挙げられる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類の共存下におけるリビングラジカル重合は、溶剤中で、加熱又は紫外線等の光照射によって行なうことができるが、紫外線等の光照射によって行なうことが好ましい。リビングラジカル重合においては、重合開始前に、反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。重合時間は、例えば0.1ないし100時間、好ましくは1ないし50時間、より好ましくは3ないし30時間である。通常、重合時間の経過と共にモノマー(式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類)の転化率は増加する。重合温度は特に制限されないが、例えば0ないし200℃、好ましくは10ないし150℃、より好ましくは20ないし100℃である。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類の共存下におけるリビングラジカル重合は、また、Polymer Vol.42, 7911−7914(2001)記載の方法を参照して行なうことができる。
該方法により、式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合により、ジチオカルバメート基を分子末端に有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーが得られる。
なお、リビングラジカル重合時に、ハイパーブランチポリマーとしての構造を損なわない範囲で分子量や分子量分布や枝分かれ度の調整を行うことができる。分子量や分子量分布を調整するために、メルカプタン類及びサルファイド類等の連鎖移動剤や、二硫化テトラエチルチウラム等のスルフィド化合物を使用することができる。更に所望により、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール類等の紫外線吸収剤、4−tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ピクリン酸、フェノチアジン、及びジチオベンゾイルジスルフィド等の重合禁止剤も使用できる。
次に、上述のようにして得られるジチオカルバメート基を分子末端に有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーの同ジチオカルバメート基を、水素原子に還元すること、すなわち、ジチオカルバメート基を水素原子に変換すること、によって本発明の式(1)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。
還元方法は、ジチオカルバメート基を水素原子に変換することができる方法であれば、特に制限はない。
水素、ヨウ化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリブチルスズ、トリス(トリメチルシリル)シラン、及びチオグリコール酸等の公知の還元剤を用いて還元反応を行なうことができる。還元剤の使用量は、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して1ないし20倍モル当量、好ましくは1.2ないし10倍モル当量、より好ましくは1.5ないし5倍モル当量であればよい。還元反応の条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択される。好ましくは反応時間0.05ないし50時間、反応温度10ないし100℃である。
還元は水又は有機溶剤中で行なうことが好ましい。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーと還元剤を溶解可能なものが好ましい。また、ジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーを製造する際に使用する溶剤と同じであると反応操作も簡便になり好ましい。
還元方法としては、有機溶剤溶液中、水素化トリブチルスズ等のラジカル反応条件での還元に使用される化合物を還元剤として使用し、光照射することによって行なう還元反応が好ましい。有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が使用できる。これらの溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
光照射は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、及びキセノンランプなどの紫外線照射ランプを使用して、反応系の内部又は外部から照射することによって行なうことができる。この還元反応では、ハイパーブランチポリマー内のジチオカルバメート基の数に対して水素化トリブチルスズ等の還元剤を1.0ないし20倍モル当量、好ましくは1.2ないし10倍モル当量、より好ましくは1.5ないし5倍モル当量使用することが好ましい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1,000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量、最も好ましくは10ないし50倍質量の有機溶剤を使用することが好ましい。また、この還元反応では反応開始前には反応系内の酸素を十分に除去する必要があり、窒素、アルゴンなどの不活性気体で系内を置換するとよい。反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度0ないし200℃から適宜選択されるが、好ましくは反応時間0.05ないし50時間、反応温度10ないし100℃、より好ましくは反応時間0.1ないし10時間、反応温度20ないし60℃である。
上述のような還元によって得られた本発明の式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶剤中へ加えることにより本発明のハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。
次に、本発明の式(4)
(式中、R1、R2、A1、X1、X2、X3、及びX4は、前記式(1)の記載と同義であり、R5及びR6は、それぞれ、水素原子又は金属原子を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。
上記式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、前記した式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによって得られるハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を、水素原子に還元した後、加水分解することによって製造することができる。
すなわち、上記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーを加水分解することによって製造することができる。
式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、先に述べた製造方法で得ることができる。
次に、前述のようにして得られた分子末端のジチオカルバメート基が水素原子に還元された酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマー(式(1)で表されるハイパーブランチポリマー)を加水分解すること、すなわち酸無水物をカルボキシル基に変換すること、によって本発明の式(4)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーを得ることができる。
加水分解の方法は、酸無水物をカルボキシル基に変換することができる方法であれば、特に制限は無い。
加水分解は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、水酸化ベリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物類の水溶性塩基類を用いたアルカリ加水分解反応、又は、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸等の水溶性酸類を用いた酸加水分解反応を用いて行うことができる。
水溶性塩基類及び水溶性酸類の使用量は、ハイパーブランチポリマー内の酸無水物基の数に対して、1.0ないし200倍モル当量、好ましくは1.5ないし100倍モル当量、より好ましくは2.0ないし50倍モル当量であればよい。加水分解反応の条件としては、反応時間0.01ないし200時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択されるが、好ましくは反応時間0.1ないし150時間、反応温度10ないし100℃である。
加水分解反応は、水又は水と有機溶剤の混合溶剤中で行うことができる。使用する溶剤は、前記のジチオカルバメート基を有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーと水溶性塩基類又は水溶性酸類を溶解可能なものが好ましい。
加水分解反応の方法としては、水、又は水と有機溶剤の混合溶剤中で、水溶性塩基類又は水溶性酸類等の加水分解反応に使用される塩基又は酸を使用する反応が好ましい。有機溶剤としては、テトラヒドロフラン及びエチルエーテル等のエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン系化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系化合物、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド、スルホラン系化合物等が使用できる。これらの溶剤は一種用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。溶剤としては、水に溶解する有機溶剤が好ましいが、特に制限は無い。
また、溶剤として、水と有機溶剤の混合溶剤を使用する場合が好ましく、この場合、水と有機溶剤は任意の割合で混合することができる。混合割合は、特に制限は無いが、水と有機溶剤の総質量中、有機溶剤の質量が例えば1ないし99質量%、好ましくは30ないし98質量%、より好ましくは50ないし95質量%であることが好ましい。この加水分解反応では、ハイパーブランチポリマー内の酸無水物の数に対して公知の水溶性塩基類、又は公知の水溶性酸類を1ないし200倍モル当量、好ましくは1.5ないし100倍モル当量、より好ましくは2ないし50倍モル当量使用することが好ましい。また、ジチオカルバメート基を分子末端に有する酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーの質量に対して0.2ないし1000倍質量、好ましくは1ないし500倍質量、より好ましくは5ないし100倍質量の水、あるいは水と有機溶剤の混合溶剤を使用することが好ましい。反応条件としては、反応時間0.01ないし200時間、反応温度0ないし200℃から、適宜選択されるが、好ましくは反応時間0.1ないし150時間、反応温度10ないし100℃である。
上述のような加水分解反応によって得られた本発明の式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶媒中へ加えることにより本発明のハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。
次に、本発明の式(5)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1、X1、X2、X3、及びX4は前記式(1)、式(2)、式(3)、及び式(4)の記載と同義であり、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーの製造方法を説明する。
上記式(5)で表されるハイパーブランチポリマーは、式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによってジチオカルバメート基を分子末端に有し、酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーを得た後、更に、このハイパーブランチポリマーを加水分解すること、すなわち、酸無水物をカルボキシル基に変換することによって得ることができる。
ジチオカルバメート基を分子末端に有し、酸無水物が導入されたハイパーブランチポリマーの製造方法は、前記式(1)の製造方法の箇所で述べたとおりの製造方法を用いることができる。
次に、このハイパーブランチポリマーを加水分解すること、すなわち、酸無水物をカルボキシル基に変換することは、前記式(4)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーを得る製法方法で述べた加水分解の方法を、用いることができる。
上述のような加水分解反応によって得られた本発明の式(5)で表されるハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶剤留去又は固液分離により溶剤と分離することができる。また、反応溶液を貧溶媒中へ加えることにより本発明のハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。
更に、式(5)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーのジチオカルバメート基を、水素原子に還元することによって、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーを製造することもできる。還元方法は式(1)で表されるハイパーブランチポリマーの製造方法で述べた還元方法を用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
以下の実施例において、試料の物性測定には下記の装置を使用した。
(1)液体クロマトグラフィー
装置:Agilent製 1100Series
カラム:Inertsil ODS−2
カラム温度:40℃
溶媒:アセトニトリル/水=60/40(体積比)
検出器:RI
(2)ゲル浸透クロマトグラフィー
装置:東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−805L+KF−804L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(3)FT−IR
装置:ニコレー・ジャパン株式会社製 NEXUS670
(4)熱重量分析
装置:(株)リガク製 TG8120
昇温速度:10℃/分
空気量:60ml/分
(5)融点分析
装置:(株)リガク製 DSC8230
昇温速度:2℃/分
窒素量:60ml/分
(6)元素分析(炭素、水素、窒素)
装置:パーキンエルマー製 PE2400II
燃焼管温度:975℃
(7)元素分析(硫黄)
前処理装置:株式会社ダイアンインスツルメンツ製 自動試料燃焼装置 AQF−100型
燃焼管温度:1000℃
分析装置:日本ダイオネクス株式会社製 ICS−1500
カラム:Dionex AS12A
溶離液:Na2CO3 2.7mM − NaHCO3 0.3mM
(8)元素分析(ナトリウム)
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 Vista−Pro
参考例1
<N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N、N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1400gを仕込み、撹拌下、温度40℃で1時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、零下20℃(−20℃)の冷凍庫内でトルエン相から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(相対面積百分率)は100%であった。融点は56℃であった。
参考例2
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン−無水マレイン酸系ハイパーブランチポリマーの合成>
1Lガラス製反応フラスコに、N、N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン25g、無水マレイン酸[関東化学(株)製]9.24g、酢酸エチル342gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、温度30±5℃で3時間行った。次にこの反応液をヘキサン2Lに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈した後、上澄み液をデカンテーションで除いた。更にこのポリマーを酢酸エチル100mLに再溶解した後、この溶液ヘキサン2Lに添加してポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、うす黄色粉末の目的物15.7gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは6,400、分散度Mw/Mnは2.93であった。元素分析は、炭素60.2質量%、水素5.2質量%、窒素3.4質量%、硫黄15.5質量%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は210℃であった。FT−IRの測定結果を図1に示した。1781cm-1に酸無水物に由来するピークが観測された。
実施例1
<ジチオカルバメート基の還元>
300mLガラス製反応フラスコに、参考例2で得たジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー8g、水素化トリブチルスズ[アルドリッチ社製]11.5g、テトラヒドロフラン72gを仕込み、撹拌してうす黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光反応を、撹拌下、温度30±5℃で5時間行った。次に、この反応溶液をヘキサン1.5Lに添加して、ハイパーブランチポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末のジチオカルバメート基が水素原子に置換されたハイパーブランチポリマー5.0gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは17,900、分散度Mw/Mnは5.16であった。元素分析は、炭素65.6質量%、水素5.9質量%、窒素0.5質量%以下、硫黄0.5質量%以下であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は250℃であった。FT−IRの測定結果を図2に示し
た。1781cm-1に酸無水物に由来するピークが観測された。これより得られたハイパーブランチポリマーは式(22)
で表される構造を有する。
実施例2
<分子末端のジチオカルバメート基が還元されたスチレン−無水マレイン酸系ハイパーブランチポリマーの加水分解>
50mLガラス製反応フラスコに、実施例1で得た分子末端のジチオカルバメート基が水素原子に還元されたハイパーブランチポリマー0.2g、テトラヒドロフラン8gに溶解してうす黄色透明溶液を調製した。この溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液4gに滴下し、スラリー状溶液を温度20±5℃で24時間攪拌した。次に、この反応液にメタノール20mLを添加してポリマーを粉末状態に析出させた後、濾過し、メタノール200mLで洗浄後、真空乾燥してうす黄白色粉末の目的物0.15gを得た。元素分析は、炭素50.0質量%、水素5.4質量%、窒素0.5質量%以下、硫黄0.5質量%以下、ナトリウム11.7質量%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は285℃であった。得られたハイパーブランチポリマーは純水に対して10質量%以上可溶であった。FT−IRの測定結果を図3に示した。1781cm-1の酸無水物に由来するピークが消失し、1560cm-1にカルボキシル基ナトリウム塩由来のピークが観測された。これより得られたハイパーブランチポリマーは式(24)
で表される構造を有する。
実施例3
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン−無水マレイン酸系ハイパーブランチポリマーの加水分解>
50mLガラス製反応フラスコに、参考例2で得たジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー1g、テトラヒドロフラン15gに溶解してうす黄色透明溶液を調製した。この溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液8gに滴下し、スラリー状溶液を温度20±5℃で18時間攪拌した。次に、この反応液にメタノール20mLを添加してポリマーを粉末状態に析出させた後、濾過し、メタノール200mLで洗浄後、真空乾燥してうす黄白色粉末の目的物1gを得た。元素分析は、炭素44.5質量%、水素5.0質量%、窒素2.3質量%、硫黄8.8質量%、ナトリウム8.7質量%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は222℃であった。得られたハイパーブランチポリマーは純水に対して10質量%以上可溶であった。FT−IRの測定結果を図4に示した。1781cm-1の酸無水物中に由来するピークが消失し、1560cm-1にカルボキシル基ナトリウム塩由来のピークが観測された。これより得られたハイパーブランチポリマーは式(25)
で表される構造を有する。
実施例4
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン−無水マレイン酸系ハイパーブランチポリマーの加水分解>
50mLガラス製反応フラスコに、参考例2で得たジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマー15g、1,4−ジオキサン300g、6N塩酸水溶液30gを仕込み、撹拌してうす黄色透明溶液を調製した。その後、温度80℃で10時間攪拌を行い、更に温度20±5℃で5日間攪拌した。次に溶媒を減圧留去し、アセトン50gに溶解した。この溶液を0.5N塩酸水溶液900gに添加してポリマーを粉末状態に析出させた後、濾過し、メタノール200mLで洗浄後、真空乾燥してうす黄白色粉末の目的物15.1gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは16,000、分散度Mw/Mnは5.44であった。元素分析は、炭素55.6質量%、水素5.6質量%、窒素3.1質量%、硫黄14.3質量%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は181℃であった。得られたハイパーブランチポリマーは2.4質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対して5質量%以上可溶であった。FT−IRの測定結果を図5に示した。1781cm-1の酸無水物に由来するピークが消失し、1718cm-1にカルボキシル基由来のピークが観測された。これより得られたハイパーブランチポリマーは式(26)
で表される構造を有する。
参考例2と実施例1との熱重量分析の対比からも明らかなように、分子末端をジチオカルバメート基から水素原子としたハイパーブランチポリマーは、5%重量減少温度が高く熱的に安定であった。このことは実施例2と実施例3の加水分解物の熱重量分析の対比からも言える。
また、参考例2及び実施例1は水溶液に不溶であったが、実施例2、3、及び4の加水分解物は水溶液に可溶であった。また、金属水酸化物類で加水分解したハイパーブランチポリマーは実施例1と実施例2の対比、参考例2と実施例3との対比からも明らかなように、熱重量分析の5%重量減少温度が高くなっている。
本発明のハイパーブランチポリマーは光学的、熱的に安定であり、更に水溶性という特性を付加されるので、塗料材料、接着剤材料、樹脂フィラー、各種成形材料、ナノメートルサイズの多孔形成剤、レジスト材料、電子材料、印刷材料、電池材料、及び医用材料等として利用することができる。
図1は参考例2で得たハイパーブランチポリマーのFT−IRスペクトルである。 図2は実施例1で得たハイパーブランチポリマーのFT−IRスペクトルである。 図3は実施例2で得たハイパーブランチポリマーのFT−IRスペクトルである。 図4は実施例3で得たハイパーブランチポリマーのFT−IRスペクトルである。 図5は実施例4で得たハイパーブランチポリマーのFT−IRスペクトルである。

Claims (18)

  1. 式(1):
    (式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR1とR2は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成し、A1はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
  2. ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量が500ないし5,000,000である、請求項1に記載のハイパーブランチポリマー。
  3. 式(2):
    (式中、A1、X1、X2、X3、及びX4は前記式(1)の記載と同義であり、R3及びR4は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、又は、R3とR4は互いに結合して、それらと結合する窒素原子と共に環を形成することができる。)で表されるジチオカルバメート化合物と式(3):
    (式中、R1及びR2は前記式(1)の記載と同義である。)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合し、該重合によって得られるハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を、水素原子に還元することからなる、請求項1に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
  4. 前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンである、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンであり、かつ前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、請求項3に記載の製造方法。
  7. 前記還元が、水素化トリブチルスズの存在下、光照射することによって行なわれる、請求項3に記載の製造方法。
  8. 前記還元が、ジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを含有する有機溶剤溶液中で、水素化トリブチルスズの存在下、光照射することによって行なわれる、請求項3に記載の製造方法。
  9. 式(4):
    (式中、 及びR は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR とR は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成し、A はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X 、X 、X 、及びX は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、及びRは、それぞれ、水素原子又は金属原子を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
  10. 請求項1に記載のハイパーブランチポリマーを、更に加水分解することからなる、請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
  11. 前記加水分解が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記加水分解が、水と有機溶剤の混合溶剤中で、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる請求項10に記載の製造方法。
  13. 式(5):
    (式中、 及びR は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1ないし10のアルキル基又はフェニル基を表すか、あるいはR とR は互いに結合して、それらと結合する炭素原子と一緒になって炭素原子数4ないし10のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を形成し、R 及びR は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表すか、又は、R とR は互いに結合して、それらと結合する窒素原子と共に環を形成することができ、R 及びR は、それぞれ、水素原子又は金属原子を表し、A はエーテル結合又はエステル結合を含んでいてよい炭素原子数1ないし20の直鎖状、枝分かれ鎖状又は環状のアルキレン基を表し、X 、X 、X 、及びX は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、又は炭素原子数1ないし20のアルコキシ基を表し、nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
  14. 請求項3に記載の式(2)で表されるジチオカルバメート化合物と請求項3に記載の式(3)で表される無水マレイン酸類とを共存下でリビングラジカル重合することによって得られるジチオカルバメート基を分子末端に有するハイパーブランチポリマーを、加水分解することからなる、請求項13に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
  15. 前記ジチオカルバメート化合物がN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンであり、かつ前記無水マレイン酸類が無水マレイン酸である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記加水分解が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる請求項14に記載の製造方法。
  17. 前記加水分解が、水と有機溶剤の混合溶剤中で、アルカリ金属水酸化物、又はアルカリ土類金属水酸化物の水溶性塩基を用いたアルカリ加水分解反応、あるいはハロゲン化水素酸、硝酸、又は硫酸の水溶性酸を用いた酸加水分解反応で行われる請求項14に記載の製造方法。
  18. 請求項13に記載のハイパーブランチポリマー又は該ハイパーブランチポリマーを含有する有機溶剤溶液を水素化トリブチルスズの存在下、光照射することによって行なわれる還元方法によって、該ハイパーブランチポリマーの分子末端のジチオカルバメート基を水素原子に還元することからなる、請求項9に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
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