JP5408435B2 - ハイパーブランチポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、スチリル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和結合基を含有するジチオカルバメート化合物を加熱することにより重合させる重合方法及びそれにより得られる生成物に関する。
ハイパーブランチポリマーは、線状および完全に分岐した繰り返し単位の混合物を含み、それに対して、理想的なデンドリマーは、いかなる線状の繰り返し単位も有さずに、完全に分岐した繰り返し単位のみを含む。
ハイパーブランチポリマーのデンドリマーに対する利点は、その合成の簡便さが挙げられ、特に工業的生産においては有利である。一般にデンドリマーが保護−脱保護を繰り返し合成されるのに対し、ハイパーブランチポリマーは1分子中に2種類の置換基を合計3個以上もつ、いわゆるABX型モノマーの1段階重合により合成される。
例えば、ジチオカルバメート基を有するスチレン化合物の光重合によるハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献1、2、3参照。)や、ジチオカルバメート基を有するアクリル化合物の光重合によるジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献4、5、6参照。)、ジチオカルバメート基を有するスチレン化合物と無水マレイン酸共存下で光重合することによる、主鎖内に酸無水物が導入された分子末端にジチオカルバメート基を有するハイパーブランチポリマーの合成法(非特許文献7参照。)が知られている。
また、このような光重合では、高圧水銀灯付近にゲル化物が大量に発生するという問題が生じる。この為、転化率50%程度しか重合させることができず、多量のモノマーが残存する為に繰り返し再沈殿精製を行うため、ハイパーブランチポリマーは40%程度しか取り出すことができない。また、ゲル化物の除去という煩雑な操作も必要となる。
さらに、反応のスケールアップにおいて、光反応の条件設定の難しさから、同一分子量、同一分岐度のものを製造することが困難であるという問題も有している。
このように、光重合によるハイパーブランチポリマーの製造方法は、工業的に実施困難であり、優れた工業的製造方法が望まれていた。
この方法では、スチリル基、アクリル基の二重結合部位で重合が進行し、直鎖状のポリマーが得られている。
この方法では、スチリル基の二重結合部位で重合が進行し、直鎖状のポリマーが得られている。
また、該非特許文献8には、4−ビニルベンジル−N,N−ジエチルジチオカルバメートを、AIBNの非存在下、30℃で加熱させた例があるが反応はほとんど全く進行していない(収率0.8%)。
Koji Ishizu,Akihide Mori,Macromol.Rapid Commun.21,665−668(2000) Koji Ishizu,Akihide Mori,Polymer International 50,906−910(2001) Koji Ishizu,Yoshihiro Ohta,Susumu Kawauchi,Macromolecules Vol.35,No.9,3781−3784(2002) Koji Ishizu,Takeshi Shibuya,Akihide Mori,Polymer International 51,424−428(2002) Koji Ishizu,Takeshi Shibuya,Susumu Kawauchi,Macromolecules Vol.36,No.10,3505−3510(2002) Koji Ishizu,Takeshi Shibuya,Jaebum Park,Satoshi Uchida,Polymer International 53,259−265(2004) Koji Ishizu,Akihide Mori,Takeshi Shibuya,Polymer Vol.42,7911−7914(2001) Takayuki Otsu,Keiji Yamashita,Kazuichi Tsuda,Macromolecules Vol.19,No.2,287−290(1986)
さらに、ジスルフィド化合物を添加することで、従来の光重合で得られるハイパーブランチポリマーと同等の分子量(絶対分子量)かつ同等の分岐の程度を有するハイパーブランチポリマーが得られることを見出し、本発明を完成した。
1.式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とするハイパーブランチポリマーの製造方法、
2.前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で表されることを特徴とする前記1.に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法、
3.前記A1が式(6)で表されることを特徴とする、前記1.又は2.に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法、
5.式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加することを特徴とする、前記1.ないし4.の何れか1つに記載のハイパーブランチポリマーの製造方法、
6.前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量が、前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする、前記5.に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法、
7.前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を、ラジカル開始剤の非存在下、50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とする重合方法、
8.前記式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加することを特徴とする前記7.に記載の重合方法、
9.前記ジスルフィド化合物の添加量が、前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする前記8.に記載の重合方法、
10.前記7.ないし9.の何れか1つに記載の重合方法で得られる生成物、
を提供する。
中でも本発明の好ましい態様は以下[1]〜[7]の態様である。
[1]添加物として式(8)で表されるジスルフィド化合物とともに、式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とし、該式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量は前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して0.1〜20質量%である、ハイパーブランチポリマーの製造方法。
立して、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表す。]
[2]前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で表されることを特徴とする[1]に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
[3]前記A 1 が式(6)で表されることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
[5]前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量が、[1]記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする、[1]ないし[4]の何れか1つに記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
[6]添加物として[1]記載の式(8)で表されるジスルフィド化合物とともに、[1]記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を、ラジカル開始剤の非存在下、50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とし、該式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量は前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して0.1〜20質量%である、重合方法。
[7]前記ジスルフィド化合物の添加量が、[1]記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする[6]に記載の重合方法。
また、光重合で問題となったゲル化物が発生しない為、重合転化率も90%程度まで向上させることができ、得量も光重合の約2倍となる。ゲル化物の除去も不要となり、工程の簡略化を図ることができる。
さらに本発明のハイパーブランチポリマーの製造方法では、重合速度が光重合の約2倍となるため、得量が光反応の約2倍であることを考慮すると、生産効率を約4倍に向上させることができる。
また、本発明のハイパーブランチポリマーの製造方法では、光重合と異なりスケールアップしても同様のハイパーブランチポリマーを製造できることから、大量生産に向いている。
以上のような特徴を有する本発明のハイパーブランチポリマーの製造方法は、実用的、工業的製法として極めて有用な方法である。
該ジスルフィド化合物を添加すると、ハイパーブランチポリマーの分子量及び分岐度を制御することが可能となり、光重合で得られるハイパーブランチポリマーの分子量及び分岐度と同様のものにすることが可能である。
一般に、該ジスルフィド化合物は、生成するポリマーの分子量を低下させる作用を有することが知られているが、本発明のハイパーブランチポリマーの製造法においては、ハイパーブランチポリマーの分岐度を高める効果も有している。
したがって、これらの製造方法を採用することにより、低平均分子量から高平均分子量の幅広い平均分子量及び分岐度を有するハイパーブランチポリマーを製造することができる。
本発明に係るハイパーブランチポリマーの製造方法は、分子内に、ジチオカルバメート基と、スチリル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和結合基とを含有する化合物を、加熱することにより重合させてハイパーブランチポリマーを得る製造方法である。
分子内に、ジチオカルバメート基と、スチリル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和結合基とを含有する化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物が用いられる。
炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環としては四乃至八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子または硫黄原子と、四乃至六個のメチレン基を含む環が挙げられる。R2とR3が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホモピペリジン環等が挙げられる。
式(2)及び式(3)中、A2はエーテル結合またはエステル結合を含んでいてもよい炭素原子数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基またはシアノ基を表す。
アルキレン基A2の具体例としては、メチレン、エチレン、ノルマルプロピレン、ノルマルブチレン、ノルマルヘキシレン等の直鎖状アルキレン、イソプロピレン、イソブチレン、2−メチルプロピレン等の分岐状アルキレンが挙げられる。また環状アルキレンとしては、炭素数3〜30の単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭素数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。例えば、下記に脂環式脂肪族基のうち、脂環式部分の構造例(a)〜(s)を示す。
また、式(1)のA1としては、前記式(6)または前記式(7)で表される構造であることが好ましい。式(7)中、mは2〜10の整数を表し、mとしては2または3が好ましい。
本求核置換反応は、通常上記2種類の化合物を両方溶解できる有機溶媒中で行なうことが好ましい。反応後、水/非水系有機溶剤による分液処理や、再結晶処理によって式(1)の化合物を高純度で得ることができる。
式(1)の化合物は、国際公開第2006/093050号パンフレット、Macromol. Rapid Commun. 21,665−668(2000)またはPolymer International 51,424−428(2002)に記載の方法を参照して製造することができる。
式(1)の化合物の具体例としては、N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン及びN,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレート等が挙げられる。
式(12)の繰り返し単位同士が連結した構造は、式(5)の分岐した構造になる場合と、式(13)の線状になる場合があるが、そのいずれをも包含する。すなわち、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーは、少なくとも1つの式(5)の構造を含有する。
式(4)で表されるハイパーブランチポリマーでは、その末端は、基本的にジチオカルバメート基である。
式(8)中、R4及びR5は、それぞれ、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基または炭素原子数7〜12のアリールアルキル基を表す。また、R4とR5は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよい。
炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基等が挙げられる。炭素原子数7〜12のアリールアルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基等が挙げられる。
R4とR5が互いに結合し窒素原子と共に形成する環としては四乃至八員環が挙げられる。そして、環としてメチレン基を四乃至六個含む環が挙げられる。また、環としては酸素原子または硫黄原子と、四乃至六個のメチレン基を含む環が挙げられる。R4とR5が互いに結合し窒素原子と共に形成する環の具体例としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びホモピペリジン環等が挙げられる。
本発明のハイパーブランチポリマーの製造法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの公知の重合形式により行なうことができる。なかでも溶液重合が好ましい。
ここで、本願では、分岐の程度を表す指標として、分岐度=絶対分子量Mw/相対分子量Mw、及び溶液粘度を用いることとする。
分岐度=絶対分子量Mw/相対分子量Mwは、「分岐ポリマーのナノテクノロジー 次世代高分子材料の戦略設計」(編著 石津浩二、発行者 株式会社アイピーシー)130頁の「ゲル浸透クロマトグラフィー分析において多くのハイパーブランチポリマーが同等の分子量をもつポリスチレンより遅く流出することが観察されている。これらはいずれもハイパーブランチポリマーが溶液中で直鎖高分子よりコンパクトな形状をとっていることを示唆している。」という記載から、絶対分子量Mwと相対分子量Mwの比の値を分岐度とし、分岐の程度を表す指標として本願では定義した。
なお、本願ではGPC−MALSで測定して得た重量平均分子量を絶対分子量Mwと、ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)で得た重量平均分子量を相対分子量Mwという。
また、一般的に同一の分子量では直鎖高分子よりハイパーブランチポリマーの溶液粘度が低いことがいわれている(該文献96頁)ことから、分岐の程度を表す指標の目安として本願でも測定して対比した。
すなわち、同一の絶対分子量Mwでは分岐度の値が大きく、溶液粘度が低いほど分岐が多く存在すると判断する。
溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、従来、有機合成で使用されている各種溶媒を用いることができ、式(1)の化合物を溶解可能な溶媒であれば特に制限はない。
具体例としては、非プロトン性極性有機溶媒類(N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アルコキシアルカン類(ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジグライム等)、などが挙げられ、これは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
具体的には、キシレン、o−ジクロロベンゼン、シクロヘキサノン、ジグライムが挙げられる。
溶媒としては、前記ジスルフィド化合物を添加しない場合と同様の溶媒を用いることができる。
これらの溶媒の中でも、原料となる基質及び添加物の溶解性、安全性、コスト、および単離精製の容易性などを考慮すると、芳香族炭化水素類、非プロトン性極性有機溶媒類、ケトン類、アルコキシアルカン類が好適である。
具体的には、キシレン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン(以下、NMPという)が挙げられる。
得られるハイパーブランチポリマーの分子量(相対分子量及び絶対分子量)、分岐度及び溶液粘度を考慮すると、1〜3質量%がより好ましい。
分子内に、ジチオカルバメート基と、スチリル基及び/又はアクリル基等の重合性不飽和結合基とを含有する化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物が用いられる。
また、本発明の重合方法は、前記式(8)で表されるジスルフィド化合物を添加してもよい。
本発明の重合方法の反応条件については、前記ハイパーブランチポリマーの製造方法の反応条件と同一である。
液体クロマトグラフィー
装置:Agilent製 1100Series
カラム:Inertsil ODS−2
カラム温度:40℃
溶媒:アセトニトリル/水=60/40(vol/vol)
検出器:UV−254nm、RI
ゲル浸透クロマトグラフィー
装置:東ソー(株)、HLC−8220GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−803L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV−254nm、RI
絶対分子量 GPC−MALS
装置:Wyatt DAWN HELEOS
測定温度:40℃
粘度測定
装置:東機産業(株)VISCOMETER TV−22 TV−L
1H−NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−LA400
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン
元素分析(炭素、水素、窒素)
装置:パーキンエルマー製 PE2400II
燃焼管温度:975℃
元素分析(硫黄)
装置:サーモフィニガン製 Flash EA1112
燃焼管温度:1000℃
熱重量分析
装置:セイコー電子工業(株)製 TG/DTA320
昇温速度:10℃/分
空気量:300ml/分
<N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1,400gを仕込み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、−20℃の冷凍庫内でトルエン層から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面積百分率値)は100%であった。融点56℃。
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン系ハイパーブランチポリマーHPSの合成>
例1:ジスルフィド化合物(二硫化テトラエチルチウラム(関東化学社製:以下DCDCと記載する。))を添加しない場合
100mLの反応フラスコにN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン(以下S−DC)6g、キシレン4gをいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が140℃になるまで加熱した。3時間後(フラスコ内の温度が、140±5℃に達した時点から計測した。)、反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後キシレン20gを入れた。この時の転化率は64%だった(下記、光重合(比較例1)の転化率と比較できるように、おおまかな目安として転化率5〜6割程度で反応を終了させた。)。この反応液を300gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPS)を3.6g得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPC)によるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは40,000、分散度Mw/Mnは2.4であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは78,000であった。
このとき分岐度は1.95であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で96mPa・sであった。
例1の重合温度140℃を表1に示す温度に変更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た。
例1の重合溶媒キシレンを表2に示す溶媒に変更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た。
100mLの反応フラスコに総重量が10gで表3に示す濃度になるようにS−DC、キシレンをいれて攪拌した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が140℃になるまで加熱し、140±5℃に達した時点で重合を開始とした。おおまかな目安として転化率5〜6割程度で反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後キシレン20gを入れた。この反応液を300gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPS)を得た。
100mLの反応フラスコにS−DC6g、キシレン4g、DCDC 0.06g(S−DCの質量に対して1質量%)をいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が140℃になるまで加熱し、140±5℃に達した時点で重合を開始とした。おおまかな目安として転化率5〜6割程度で反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後キシレン20gを入れた。この反応液を300gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末を3.6g得た。GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは21,000、分散度Mw/Mnは2.4であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは42,000であった。
このとき分岐度は2.00であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で46mPa・sであった。
実施例15のDCDCの添加量を表4に示す量に変更した以外同様の操作を行い、HPSを得た。
100mLの反応フラスコに総重量が10gで表5に示す濃度になるようにS−DC、キシレンを入れ、さらにS−DCの質量に対して1質量%になるようにDCDCをいれて攪拌した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が140℃になるまで加熱し、140±5℃に達した時点で重合を開始とした。おおまかな目安として転化率5〜6割程度で反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後キシレン20gを入れた。この反応液を300gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPS)を得た。
実施例15の重合溶媒のキシレンを表6に示した溶媒に変更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た。
実施例15の重合温度140℃を表7に示す温度に変更した以外は同様の操作を行い、HPSを得た。
5,000mLの反応フラスコにS−DC595g、キシレン255g、DCDC11.9g(S−DCの質量に対して2質量%)をいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が120℃になるまで加熱し、120±5℃に達した時点で重合を開始とした。12時間後反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後シクロヘキサノン5.1kgを入れた。この時の転化率は90%だった。この反応液を29.8kgのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をシクロヘキサノン4.5kgで再溶解し、メタノール25kgを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPS)を476g得た。得率は80%であった。GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは20,000、分散度Mw/Mnは2.4であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは39,000であった。
このとき分岐度は1.95であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で44mPa・sであった。
<N,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレートの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロエチルメタクリレート[ランカスター社製]100g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]178g、アセトン1,100gを仕込み、撹拌下、40℃で14時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末を1,2−ジクロロエタンに再溶解させ、1,2−ジクロロエタン/水系で分液後、1,2−ジクロロエタン層から1,2−ジクロロエタンを留去させて黄色液体の目的物171g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面積百分率値)は96%であった。
例30:ジスルフィド化合物(DCDC)を添加しない場合
100mLの反応フラスコにN,N−ジエチルジチオカルバミルエチルメタクリレート(以下EMA−DC)2g、NMP3gをいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が100℃になるまで加熱し、100±5℃に達した時点で重合を開始とした。5時間後反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後NMP5gを入れた。この時の転化率は66%だった。この反応液を100gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をNMP5gで再溶解し、メタノール100gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPEMA)を0.6g得た。GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは68,000、分散度Mw/Mnは2.6であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは110,000であった。
このとき分岐度は1.62であった。
粘度の測定を次のように行った。HPEMA0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で1,113mPa・sであった。
100mLの反応フラスコにEMA−DC6g、NMP9g、DCDC0.06g(EMA−DCの質量に対して1質量%)をいれて攪拌して完全に溶解した。攪拌しながら窒素置換を実施し反応フラスコをオイルバスに入れ、フラスコ内の温度が100℃になるまで加熱し、100±5℃に達した時点で重合を開始とした。16時間後反応フラスコをオイルバスから出し、室温まで冷却した後NMP45gを入れた。この時の転化率は50%だった。この反応液を600gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をNMP55gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的の白色粉末(HPEMA)を3g得た。GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは42,000、分散度Mw/Mnは2.5であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは65,000であった。
このとき分岐度は1.55であった。
粘度の測定を次のように行った。HPEMA0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で538mPa・sであった。
比較例1
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン系ハイパーブランチポリマーHPSの合成>
50mlの反応フラスコに、S−DC6g、キシレン4gを仕込み、反応系内を窒素置換した。この溶液を100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]から距離5cmの位置に固定し、外部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で7時間行なった。この時の転化率は55%だった(前記実施例の転化率と比較できるように、おおまかな目安として転化率5〜6割程度で反応を終了させた。)。この時フラスコ内部にキシレンへの不溶物(ゲル化物)が発生した為、キシレン20gをいれて希釈した後、ろ紙(桐山ろ紙5B)を用いて不溶物のろ別をおこなった。この反応液を300gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン20gで再溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的のHPSを2.4g得た。得率40%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは15,000、分散度Mw/Mnは4.0であった。元素分析は、炭素64.6%、水素7.4%、窒素5.0%、硫黄25.3%であった。熱重量分析より、5%重量減少温度は248℃であった。
絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは31,000であった。
このとき分岐度は2.07であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で32mPa・sであった。
比較例1の高圧水銀灯からの距離を表8に示す距離にした以外同様の操作を行い、HPSを得た。
1,500mlの反応フラスコに、S−DC800g、トルエン533gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真中から400Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−400B]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で7時間行なった。この時フラスコ内部にトルエンへの不溶物(ゲル化物)が発生した為、トルエン2.7kgをいれて希釈した後、ろ紙(桐山ろ紙5B)を用いて不溶物のろ別をおこなった。この反応液を80kgのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をトルエン1.6kgで再溶解し、メタノール40kgを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的のHPSを318g得た。得率40%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは20,000、分散度Mw/Mnは3.51であった。絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは32,000であった。
このとき分岐度は1.60であった。
粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で37mPa・sであった。
<1,2−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバミル)エタン EDC2の合成>
1,000mlの反応フラスコに、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]109g、アセトン400gを仕込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、トルエンを留去させて白色の粗結晶を得た。この粗結晶をトルエン180g用いて再結晶を行い、目的の白色結晶(EDC2)48g(収率75%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面積百分率値)は99%であった。
<直鎖状ポリクロロメチルスチレン LPS−Clの合成>
100mlの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]20g、トルエン20g、EDC2 0.24gを仕込み、反応系内を窒素置換した。この溶液を100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL−100]から距離5cmの位置に固定し、外部照射による光重合反応を、撹拌下、室温で5時間行なった。この時の転化率は20%だった。トルエン60gをいれて希釈した後、この反応液を1,000gのメタノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾過を行い、白色固体を得た。得られた固体をキシレン10gで再溶解し、メタノール1,000gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的のLPS−Clを2.8g得た。得率14%。
<ジチオカルバメート基を側鎖に有する直鎖状ポリスチレン LPSの合成>
100mlの反応フラスコに、比較例6にて合成したLPS−Cl2.0g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]4.0g、NMP48gを仕込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。反応後、反応溶液からNMPを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエン20gに再溶解させ、トルエン/水で分液後、トルエンを留去させて白色固体を得た。この白色固体をトルエン20g用いて溶解し、メタノール600gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を実施して目的のLPSを3.2g得た。得率91%。
GPCによるポリスチレン換算で測定される相対分子量の重量平均分子量Mwは35,000、分散度Mw/Mnは2.2であった。
絶対分子量を測定したところ重量平均分子量Mwは42,000であった。
このとき分岐度は1.20であった。
粘度の測定を次のように行った。LPS0.6g、トルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)とし、粘度を測定したところ、測定温度20℃で95mPa・sであった。
<TEM(透過型電子顕微鏡)観察>
例1及び比較例1で合成したハイパーブランチポリマーを0.01wt%となるようにTHF(関東化学社製)に溶解し、得られた溶液をカーボンメッシュグリッドに滴下、乾燥してTEM観察用サンプルを作製した。TEM観察(日立製作所H−8000)を行った結果、いずれのハイパーブランチポリマーも約1ないし2nmの粒径を有する球形状の粒子が観測された。例1及び比較例1で合成したハイパーブランチポリマーのTEM像を、それぞれ図1及び図2に示す。それらハイパーブランチポリマーは互いに同程度の形状及び粒径を有するものと認められる。
Claims (7)
- 添加物として式(8)で表されるジスルフィド化合物とともに、式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とし、該式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量は前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して0.1〜20質量%である、ハイパーブランチポリマーの製造方法。
- 前記ハイパーブランチポリマーが、式(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
- 前記A1が式(6)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
- 前記A1が式(7)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
- 前記式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量が、請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1つに記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
- 添加物として請求項1記載の式(8)で表されるジスルフィド化合物とともに、請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物を、ラジカル開始剤の非存在下、50〜250℃で加熱することにより重合させることを特徴とし、該式(8)で表されるジスルフィド化合物の添加量は前記式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して0.1〜20質量%である、重合方法。
- 前記ジスルフィド化合物の添加量が、請求項1記載の式(1)で表されるジチオカルバメート化合物の質量に対して1〜3質量%であることを特徴とする請求項6に記載の重合方法。
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