JP6252932B2 - ビニルエーテル基含有共重合体及び星型ポリマー並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、ラジカル重合性ビニルモノマーを原料として、星型ポリマーを1段階の工程で簡単に製造できる方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記製造方法により製造されたビニルエーテル基含有共重合体又は星型ポリマーを提供することにある。
で表される化合物、又は、下記式(1’)
で表される化合物である前記のビニルエーテル基含有共重合体の製造方法を提供する。
で表される化合物、又は、下記式(1’)
で表される化合物である前記の星型ポリマーの製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、ラジカル重合性ビニルモノマー、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、ラジカル開始剤、及びジビニルエーテル化合物を少なくとも含む反応液(通常、溶液である)を加熱して、ビニルエーテル基含有共重合体、又は、上記ラジカル重合性ビニルモノマーのポリマー鎖をアームとして有する星型ポリマー(単に「星型ポリマー」と称する場合がある)を生成させる工程を必須の工程として含む方法である。なお、本明細書においては、「本発明のビニルエーテル基含有共重合体の製造方法」及び「本発明の星型ポリマーの製造方法」を包括して、「本発明の製造方法」と称する。
本発明の製造方法において使用される可逆的付加開裂型連鎖移動剤は、RAFT剤とも呼ばれるものであり、公知乃至慣用のRAFT剤から適宜選択して使用できる。中でも、下記式(2)、式(3)、又は式(4)で表される化合物(トリチオカーボネート、ジチオエステル、ジチオカーボネート)が好ましい。
本発明の製造方法において使用されるジビニルエーテル化合物は、分子内にビニルエーテル基(ビニルオキシ基)を2つ有する化合物である。なお、本明細書において「ビニルエーテル基」(ビニルオキシ基)とは、CHR=CH−O−で表される基[Rは水素原子又はアルキル基を示す]を意味するものとする。ジビニルエーテル化合物としては、公知乃至慣用のジビニルエーテル化合物を使用でき、特に限定されないが、中でも、下記式(1)で表される化合物、又は下記式(1’)で表される化合物が好ましい。
本発明の製造方法において使用されるラジカル重合性ビニルモノマー(ラジカル重合可能なビニル系モノマー)としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を分子内に1つ以上有する化合物(但し、上記ビニルエーテル化合物を除く)であればよく、特に限定されない。中でも、ラジカル重合性ビニルモノマーとしては、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
本発明の製造方法において使用されるラジカル開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、任意の適切なラジカル開始剤を採用し得る。中でも、熱によりラジカルを発生する開始剤(熱ラジカル開始剤)が好ましい。熱ラジカル開始剤の代表的なものとして、種々のアゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、溶媒を使用してもよいし、溶媒を使用しなくてもよい。特に、効率よく星型ポリマーを得るためには、溶媒を使用することが好ましい。用いる溶媒の量は、用いるモノマー(ラジカル重合性ビニルモノマー及びジビニルエーテル化合物)の濃度が30重量%程度となるように設定することが好ましい。
本発明の製造方法により得られるビニルエーテル基含有共重合体(「本発明のビニルエーテル基含有共重合体」と称する場合がある)は、少なくとも1種のラジカル重合性ビニルモノマーと、少なくとも1種のジビニルエーテル化合物との共重合体であって、分子内に少なくとも1つのビニルエーテル基を有する共重合体である。本発明のビニルエーテル基含有共重合体は、三次元架橋構造を有しない直鎖又は分岐鎖状のポリマーであってもよいし、三次元架橋構造を有するポリマーであってもよい。中でも、取り扱い性の観点で、三次元架橋構造を有しない直鎖又は分岐鎖状のポリマーが好ましく、特に、ラジカル重合性ビニルモノマー由来の構成単位が全部又は大部分を占めるポリマー鎖(「ポリマー鎖A」と称する)と、ジビニルエーテル化合物の一方のビニルエーテル基が重合して形成される構成単位が比較的多くを占めるポリマー鎖(「ポリマー鎖B」と称する)とを有する直鎖又は分岐鎖状のブロックコポリマー乃至グラジエントコポリマーであることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる星型ポリマー(「本発明の星型ポリマー」と称する場合がある)は、上述のように、ラジカル重合性ビニルモノマーのポリマー鎖をアームとして有する星型ポリマーであり、より詳しくは、その反応性前駆体であるビニルエーテル基含有共重合体が有するビニルエーテル基による架橋構造部をコアとして有し、該コアに結合した上記ポリマー鎖をアームとして有する星型ポリマーである。なお、上記「ラジカル重合性ビニルモノマーのポリマー鎖」は、ラジカル重合性ビニルモノマー由来の構成単位を有するポリマー鎖であればよく、特に限定されないが、特に、上述のポリマー鎖Aが好ましい。本発明の星型ポリマーにおけるアームの数(本数)等の詳細な構造は、特に限定されない。
(1)数平均分子量(以下、Mnと略記)、重量平均分子量(以下、Mwと略記)、及び重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn;分子量分散度)は、ポリスチレンゲル換算のゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した[示差屈折率検出器、カラム(東ソー(株)製TSKgelカラムGHR−M×3)、溶離液(10mMの臭化リチウム入りジメチルホルムアミド)]。
(2)1H−NMRスペクトルは、JEOL社製JMN AL−300(500MHz)を使用し、サンプルを重クロロホルムに溶解させて測定した。
(3)星型ポリマーの粒子径(粒径)は、Malvern社製ゼータサイザーナノZSPを使用し、サンプルを水に溶解させて測定した。
(4)星型ポリマーの形状観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び走査型プローブ顕微鏡(AFM)による測定により行った。SEM測定は、サンプル水溶液をカーボンテープ上で乾燥させ、金−パラジウムをコーティングした後、日本電子(株)製JSM−6390を用いて加速電圧1.5kVで行った。また、AFM測定は、サンプル水溶液をマイカ上に載せて乾燥させた後、(株)島津製作所製SPM−9700を用いてダイナミックモードにて行った。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとするイソソルバイドジビニルエーテル由来の構成単位を含有する星型ポリマーの合成]
シュレンク管に、N−イソプロピルアクリルアミド(以下、NIPAMと略記)を0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物としてイソソルバイドジビニルエーテル(以下、ISB−DVEと略記)を0.66g(3.3ミリモル)と、3−[(ベンジルチオ)チオキソメチルチオ]プロピオン酸(以下、RAFT2と略記)を23.0mg(0.083ミリモル)と、ジメチル4,4’−アゾビス(2−シアノ吉草酸)(以下、V−501と略記)を9.3mg(0.033ミリモル)と、1,4−ジオキサン(以下、DOと略記)を3.25gとを入れ、このシュレンク管を脱気した後、窒素下で100℃に加温(加熱)して、重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は下記のように進行していることが確認された。まず、加温開始から10分でNIPAMだけが71%重合し、Mn=13000(ピークトップ11000)、Mw/Mn=1.70のポリマーが生成した。さらに重合を続けると、加温開始から約20分でNIPAMが97%重合し、Mn=13000(ピークトップ16000)まで成長すると同時に、ISB−DVEが重合し始めてMn=970000の星型ポリマーが生成した。さらに重合を続けると、星型ポリマー同士が一部カップリングし、Mn=4000000の高分子量体(星型ポリマー同士がカップリングして生成した高分子量体)が生成した。図1には、重合時間ごとのGPCによる分子量分布を示す図を示す。
上記で得られた星型ポリマーを含有する重合溶液を同重量の水に溶解させ、SPECTRA/POR社製の透析膜(分子量1000カット)中にいれ、25℃の水中で透析した。得られた水溶液を約0.5重量%に調製し、10℃の雰囲気で粒径測定した。その結果、星型ポリマーが約37nmの粒径を有し、星型ポリマー同士がカップリングした粒子(高分子量体)が約207nmの粒径を有することが確認された。
上記で得られた星型ポリマーを含有する重合溶液を同重量の水に溶解させ、SPECTRA/POR社製の透析膜(分子量1000カット)中に入れ、25℃の水中で透析した。得られた水溶液を約0.5重量%に調製し、20μLを1cm×1cmの大きさのマイカ上に滴下して、そのまま風乾させた。この風乾させたマイカ表面をAFMにてダイナミックモードで観察したところ、星型ポリマー同士がカップリングした粒子(高分子量体)を示す粒径平均約220nmの球状組織が観察された(図2参照)。
また、上記で調製した約0.5重量%水溶液をカーボンテープ上で風乾させ、さらに金−パラジウム蒸着して作製したサンプルをSEMにて観察したところ、粒径40nm程度の星型ポリマーが観察された(図3参照)。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとする2−(ビニルオキシ)−5−(ビニルオキシメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン由来の構成単位を含有する星型ポリマーの合成]
シュレンク管に、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物として2−(ビニルオキシ)−5−(ビニルオキシメチル)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下、ONB−DVEと略記)を0.65g(3.3ミリモル)と、RAFT2を23.0mg(0.083ミリモル)と、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、DOを3.23gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から5分でNIPAMだけが26%重合し、Mn=9300、Mw/Mn=1.50のポリマーが生成した。さらに重合を続けると、加温開始から10分でNIPAMが88%重合すると同時にONB−DVEが重合し始め、上記ポリマーがMn=14000となるまでNIPAMが重合すると共に、Mn=610000の星型ポリマーが生成した。さらに重合を続けると、NIPAMが100%重合し、Mn=750000の星型ポリマーが生成した。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとするジエチレングリコールジビニルエーテル由来の構成単位を含有する星型ポリマーの合成]
シュレンク管に、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物としてジエチレングリコールジビニルエーテル(以下、DG−DVEと略記)を0.52g(3.3ミリモル)と、RAFT2を23.0mg(0.083ミリモル)と、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、DOを2.90gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から10分でNIPAMだけが71%重合し、Mn=13000、Mw/Mn=1.70のポリマーが生成した。さらに重合を続けると、加温開始から約20分でNIPAMが97%重合し、Mn=14000まで成長すると同時に、DG−DVEが重合し始めてMn=65000の星型ポリマーが生成した。さらに重合を続けると、星型ポリマー部分だけが成長し、Mn=71000の星型ポリマーが生成した。
[N−イソプロピルアクリルアミドと1,4−ビス(ビニルオキシ)シクロヘキサンを用いた重合]
シュレンク管に、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物として1,4−ビス(ビニルオキシ)シクロヘキサン(以下、4CH−DVEと略記)を0.56g(3.3ミリモル)と、RAFT2を23.0mg(0.083ミリモル)と、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、DOを3.02gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から4時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から15分でポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)だけが得られ、その重合率は7%、Mn=8400、Mw/Mn=1.50であった。さらに重合を続けると、加温開始から4時間で系全体がゲル化し、溶媒には溶解しない共重合物が得られた。
この例では、まず、NIPAMの単独重合が進行し、その後、さらにNIPAMと4CH−DVEとの共重合の進行によるビニルエーテル基含有共重合体の生成を経て、さらに架橋反応が進行することで上述の共重合物が生成したものと考えられる。
この例で星型ポリマーが得られなかったのは、4CH−DVEがシクロヘキサン環に対してシス型に2つのビニルエーテル基が配置された構造を有しており、他の実施例で使用したジビニルエーテル化合物に比べてビニルエーテル基間の距離が近いためであると推測される。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとする3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン由来の構成単位を含有する星型ポリマーの合成]
シュレンク管に、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物として3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン(以下、OXT−DVEと略記)を0.56g(3.3ミリモル)と、RAFT2を23.0mg(0.083ミリモル)と、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、DOを1.28gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から60分でNIPAMだけが70%重合し、Mn=13000、Mw/Mn=1.69のポリマーが生成した。さらに重合を続けると、加温開始から4時間でNIPAMが97%重合し、Mn=15000まで成長すると同時に、OXT−DVEも重合してMn=87000の星型ポリマー及び星型ポリマー同士のカップリング反応によるMn=910000の高分子量体が生成した。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとするイソソルバイドジビニルエーテル由来の構成単位を含有する星型ポリマーの合成]
シュレンク管に、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物としてISB−DVEを0.66g(3.3ミリモル)と、2−[ドデシル(チオカルボニル)チオ]−2−メチルプロピオン酸(以下、RAFT1と略記)を30.0mg(0.083ミリモル)と、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、DOを3.25gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から10分でNIPAMだけが75%重合し、Mn=13000、Mw/Mn=1.70のポリマーが生成した。さらに重合を続けると、加温開始から約20分でNIPAMが98%重合し、Mn=14000まで成長すると同時に、ISB−DVEが重合し始めてMn=71000の星型ポリマーが生成した。さらに重合を続けると、星型ポリマーが成長し、Mn=88000の星型ポリマーが生成した。
[メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルと3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタンの共重合体(ビニルエーテル基含有共重合体)の合成]
シュレンク管に、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(以下、DMAEMAと略記)を3.0mL(0.2ミリモル)と、ジビニルエーテル化合物としてOXT−DVEを1.51g(8.9ミリモル)と、RAFT4を62mg(0.22ミリモル)と、V−501を25mg(0.089ミリモル)と、DOを9.9gとを入れ、このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で100℃に加温して重合させた。
加温開始から8時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。GPC測定により得られた重合結果を表1に示す。なお、表1における転換率とは、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルと3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタンを合わせた全モノマーのポリマーへの転換率を表す。表1に示される重合時間で得られた各ポリマーについて、1H−NMRスペクトル測定による構造決定をしたところ、下記式(6)で表される構造を有し、式(6)中のx及びyは各重合時間で表2に示すように求められた。これにより、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、溶媒、ラジカル開始剤、ラジカル重合性ビニルモノマー、及びジビニルエーテル化合物を含む反応液を加熱して、ビニルエーテル基含有共重合体が得られることが確認された。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとするN,N−メチレンビスアクリルアミド由来の構成単位を含有する星型ポリマーの2段階合成]
RAFT1を23.0mg(0.083ミリモル)と、DOを3.25gと、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)とを加熱し、30分後、重合率70%で、Mn=4700、Mw/Mn=1.34のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を合成した。
上記で得られたポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)溶液に含まれる溶媒類をエバポレートし、得られた残渣を水に溶解させた後、SPECTRA/POR社製の透析膜(分子量1000カット)中に入れ、25℃の水中で透析した。得られた水溶液を凍結し、凍結乾燥後、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の固体を得た。
次いで、得られたポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(以下、PNIPAM−CTAと略記)を0.4gと、N,N−メチレンビスアクリルアミドを0.038g(0.25ミリモル)と、V−501を5.6mg(0.020ミリモル)と、DOを3.37gとを秤量し、これら全てをシュレンク管に入れた。このシュレンク管中を脱気した後、窒素下で70℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
重合の間、内容物を経時でサンプリングしてGPC測定を行った。その結果、重合は以下のように進行していることが確認された。まず、加温開始から4時間でアームとなるMn=4700のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)よりも大きな分子量(Mn=135000)の星型ポリマーが生成した。さらに重合が進むと、星型ポリマー同士がカップリングしたMn=625000のポリマーが生成した。
[ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアームとするISB−DVE由来の構成単位を含有する星型ポリマーの2段階合成]
比較例1の方法で得たPNIPAM−CTAを0.40gと、ISB−DVEを0.35g(1.75ミリモル)と、V−501を4.6mg(0.016ミリモル)と、DOを2.8gとを秤量し、これら全てをシュレンク管に入れた。このシュレンク管を脱気した後、窒素下で70℃に加温して重合させた。
加温開始から24時間後、重合を停止させた。なお、重合の停止は、シュレンク管内を空気下とし、氷水で冷却することにより行った。
この重合により、加温開始から24時間でMn=950000の星型ポリマー、及び星型ポリマー同士が一部カップリングしたMn=2000000の高分子量体が生成した。得られた星型ポリマー及び高分子量体のAFM像を実施例1と同じ方法で得た(図4参照)。
[NIPAMとN,N−メチレンビスアクリルアミドを同時に入れて重合した場合]
RAFT1を23.0mg(0.083ミリモル)と、DOを3.25gと、V−501を9.3mg(0.033ミリモル)と、NIPAMを0.75g(6.6ミリモル)と、N,N−メチレンビスアクリルアミド0.038g(0.25ミリモル)とを、全てシュレンク管に入れた。このシュレンク管を脱気した後、窒素下で70℃に加温して重合させた。
その結果、重合直後から系全体がゲル化し、星型ポリマーは得られなかった。このように、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、溶媒、ラジカル開始剤、ラジカル重合性ビニルモノマー、及び、ジビニルエーテル化合物以外のラジカル重合可能なジビニル化合物を含む反応液を加熱した場合、化学ゲルが得られるのみで、ビニルエーテル基含有共重合体や星型ポリマーを得ることができないことが確認された。
Claims (10)
- (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−{(メタ)アクリロイルオキシプロピル}トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれるラジカル重合性ビニルモノマー、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、ラジカル開始剤、及びジビニルエーテル化合物を含む反応液を加熱してビニルエーテル基含有共重合体を生成させる工程を含むことを特徴とするビニルエーテル基含有共重合体の製造方法。
- (メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれるラジカル重合性ビニルモノマー、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、ラジカル開始剤、及びジビニルエーテル化合物(1,4−ビス(ビニルオキシ)シクロヘキサンを除く)を含む反応液を加熱して、前記ラジカル重合性ビニルモノマーのポリマー鎖をアームとして有する星型ポリマーを生成させる工程を含むことを特徴とする星型ポリマーの製造方法。
- 前記工程において、前記反応液中でラジカル重合性ビニルモノマーがジビニルエーテル化合物よりも先に重合し、次いで、ジビニルエーテル化合物がブロック状にラジカル重合する請求項2に記載の星型ポリマーの製造方法。
- (メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−{(メタ)アクリロイルオキシプロピル}トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれるラジカル重合性ビニルモノマー、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、ラジカル開始剤、及びジビニルエーテル化合物を含む反応液を加熱して得られるビニルエーテル基含有共重合体。
- (メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれるラジカル重合性ビニルモノマー、可逆的付加開裂型連鎖移動剤、ラジカル開始剤、及びジビニルエーテル化合物(1,4−ビス(ビニルオキシ)シクロヘキサンを除く)を含む反応液を加熱して得られる星型ポリマー。
- 前記星型ポリマーは、前記反応液から前記ジビニルエーテル化合物を除いた反応液を使用すること以外は同条件の方法により得られるポリマーの分子量に対して、5倍以上の分子量を有する星型ポリマーである請求項2又は3に記載の星型ポリマーの製造方法。
- 前記星型ポリマーは、原子間力顕微鏡にて球状粒子として観察される星型ポリマーである請求項2、3、及び6のいずれか1項に記載の星型ポリマーの製造方法。
- 前記ジビニルエーテル化合物が、下記式(1)
で表される化合物、又は、下記式(1’)
で表される化合物である請求項1に記載のビニルエーテル基含有共重合体の製造方法。 - 前記ジビニルエーテル化合物が、下記式(1)
で表される化合物、又は、下記式(1’)
で表される化合物である請求項2、3、6、及び7のいずれか1項に記載の星型ポリマーの製造方法。 - 前記ジビニルエーテル化合物が、式(1)で表される化合物であってR2が1つ以上の環状構造を含む2価の基(但し、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を除く)である化合物、又は、式(1’)で表される化合物であってR2が1つ以上の環状構造を含む2価の基である化合物である請求項9に記載の星型ポリマーの製造方法。
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