JP2011089786A - 潤滑システム - Google Patents

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Shingo Maeda
真吾 前田
Yuichi Shimazaki
勇一 島崎
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Abstract

【課題】本発明は、潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の潤滑状態をより早い時期に判別することができる技術の提供を課題とする。
【解決手段】本発明の潤滑システムは、潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の温度データから基準温度以上の成分を抽出する周波数分析を実施することにより潤滑部位の温度変化度合を取得し、取得された温度変化度合と閾値とを比較することにより潤滑部位の潤滑状態を判別するようにした。この発明によれば、潤滑部位の潤滑状態が急速に変化した場合に、潤滑部位の潤滑状態を早期に判別することが可能になる。
【選択図】図6

Description

本発明は、軸受部や摺動部を流体潤滑する潤滑システムに関し、特に潤滑剤の状態を判定する技術に関する。
内燃機関において、クランクシャフトなどの回転体の軸受部やピストンとシリンダボア壁面などの摺動部は、オイルにより流体潤滑されている。流体潤滑される部位の潤滑状態の異常を検出する方法としては、軸受温度、油膜厚さ、軸振れの検出信号に基づいて潤滑状態の異常を検出する方法が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
特開平04−64034号公報 特開2004−301522号公報 特開昭61−206814号公報 特公昭62−031204号公報 特開2002−131188号公報
ところで、前述した従来の方法によると、検出信号の絶対値を許容限界値と比較して異常を判別しているため、軸受温度等が急激に変化するときは異常検出時期が遅れる可能性があった。
本発明は、上記したような種々の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の潤滑状態をより早い時期に判別することができる技術の提供にある。
本発明は、上記した課題を解決するために、流体潤滑される部位である潤滑部位の温度の変化度合に応じて、潤滑部位の潤滑状態を判定するようにした。
詳細には、本発明に係わる潤滑システムは、
潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の温度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された温度の変化度合を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された温度の変化度合に基づいて潤滑部位の潤滑状態を判別する判別手段と、
を備えるようにした。
潤滑部位において十分な厚さの潤滑剤の膜が形成されているとき(流体潤滑状態)は、潤滑部位で発生する摩擦熱が少なくなるため、潤滑部位の温度は適温に保たれる。しかしながら、潤滑部位の一部において潤滑剤の膜が形成されないとき(混合潤滑状態)や潤滑部位の大部分において潤滑剤の膜が形成されないとき(境界潤滑状態)は、潤滑部位において相対移動する部材が互いに接触するため、摩擦熱の発生量が増加する。その結果、潤滑部位の温度は適温より高くなる。
ここで、潤滑部位の温度の絶対値と判定基準値(たとえば、混合潤滑状態にあるときの
温度、或いは境界潤滑状態にあるときの温度に相当する温度)とを比較して潤滑状態を判定する方法が考えられる。
しかしながら、上記した方法によると、潤滑部位の検出温度が判定基準値以上となったときに潤滑状態が異常であると判別されるため、潤滑状態の異常を速やかに検出することができない場合がある。
たとえば、潤滑状態の変化が潤滑部位の検出温度に反映されるまでには応答遅れを生じる可能性がある。また、潤滑部位の温度検出が周期的に実施される場合は、潤滑部位の実際の温度が判定基準値に到達したタイミングと、潤滑部位の温度を検出するタイミングとが相違する可能性もある。よって、上記したような方法により潤滑状態が判別されると、潤滑状態が急激に変化したときにその変化を速やかに検出することができない可能性がある。
これに対し、本願発明は、潤滑部位の温度の変化度合に応じて潤滑状態を判別するため、潤滑部位の温度が急激に変化している場合においても潤滑部位の潤滑状態を速やかに判別することができる。たとえば、潤滑部位の温度が急激に上昇している場合は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判別することができる。一方、潤滑部位の温度が穏やかに上昇している場合は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判別することができる。
また、上記したような応答遅れが発生している場合は、潤滑部位の温度が判定基準値未満であっても、潤滑状態が混合潤滑状態又は境界潤滑状態に移行すると予測することが可能となる。
したがって、潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態や境界潤滑状態へ移行する前に、潤滑状態を流体潤滑状態に保つための処理(以下、「復旧処理」と称する)を実施することも可能となる。復旧処理の実行方法としては、潤滑剤の供給量を増量したり、潤滑剤の冷却度合を高めたりする方法を利用することができる。
また、本発明の潤滑システムにおいて、取得手段は、検出手段により検出された温度データから基準温度以上の成分を抽出する周波数分析を行うことにより潤滑部位の温度の変化度合を取得し、判別手段は、取得手段により抽出された成分と予め定められた閾値とを比較することにより潤滑部位の潤滑状態を判別するようにしてもよい。
このように周波数分析を利用して潤滑部位の温度変化度合が取得されると、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態又は境界潤滑状態へ移行し得る温度変化度合のみを取得することが可能になる。よって、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態又は境界潤滑状態へ移行し得ない範囲において潤滑部位の温度が変化した場合に、潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態又は境界潤滑状態へ移行すると誤判定される事態を回避することができる。
また、取得手段は、基準温度の異なる2種類の周波数分析を行うようにしてもよい。2種類の周波数分析のうち基準温度が相対的に低い第1の周波数分析によれば、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行し得る急激な温度変化を検出することができる。一方、2種類の周波数分析のうち基準温度が相対的に高い第2の周波数分析によれば、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行し得る穏やかな温度変化を検出することができる。
したがって、判別手段は、第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値より大き
い場合は潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判別し、第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値以下であり且つ第2の周波数分析により抽出された成分が第2閾値より大きい場合は潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判別することができる。
なお、本発明の潤滑システムは、潤滑部位の温度の変化度合が高い場合(潤滑部位が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行する場合)と潤滑部位の温度の変化度合が低い場合(潤滑部位が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行する場合)とにおいて相違する復旧処理を行うことも可能となる。
たとえば、潤滑部位の温度の変化度合が高い場合は、部材同士が直接接触する可能性が高い。そのため、部材の移動速度を低く制限するとともに、潤滑剤の冷却度合の増加と潤滑剤の供給量の増加との少なくとも一方を行うようにしてもよい。一方、潤滑部位の温度の変化度合が低い場合は、潤滑剤の冷却度合の増加と潤滑剤の供給量の増加との少なくとも一方を行うようにしてもよい。
このように潤滑部位の温度の変化度合に応じて異なる復旧処理を実行することにより、潤滑状態の悪化を抑制することができるとともに、潤滑部位における潤滑剤の膜厚が過度に厚くなることを抑制することができる。
なお、取得手段は、基準温度の低い周波数分析を基準温度の高い周波数分析に優先して実施するようにしてもよい。その場合、潤滑部位の温度が急激に変化する事態をより速やかに取得することが可能となる。
本発明を適用する潤滑部位としては、内燃機関のクランクジャーナルと軸受部との摺動面、カムジャーナルと軸受部との摺動面、ピストンとシリンダボアとの摺動面、などを例示することができる。
本発明によれば、潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の潤滑状態の変化を速やかに判別することが可能となる。
本発明を適用する内燃機関の潤滑システムの概略構成を示す図である。 オイルクーラの構成を模式的に示す図である。 油温センサの取り付け位置を示す図である。 第1の周波数分析の実施方法を示す図である。 第2の周波数分析の実施方法を示す図である。 潤滑状態判別処理ルーチンを示すフローチャートである。 潤滑部位が混合潤滑状態にあるか否かを判別する他の方法を示す図である。 油圧フィードバック制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明に係わる潤滑システムの概略構成を示す図である。本実施例では、内燃機関のクランクジャーナルと軸受部とを流体潤滑する潤滑システムについて述べる。
図1において、潤滑システムは、内燃機関1の潤滑剤としてのエンジンオイル(以下、「オイル」と称する)を貯蔵するためのオイル貯蔵タンク2を備えている。オイル貯蔵タンク2は、内燃機関1の下部に取り付けられたオイルパンであってもよく、内燃機関1から分離して配置されるタンクであってもよい。
オイル貯蔵タンク2に貯蔵されたオイルは、オイルポンプ3によって吸い上げられ、内燃機関1へ向けて吐出される。オイルポンプ3から吐出されたオイルは、オイルフィルタ4とオイルクーラ5を順次経由して内燃機関1に供給される。内燃機関1に供給されたオイルは、カムジャーナルやクランクジャーナル等を経由してオイル貯蔵タンク2へ戻るようになっている。
ここで、前記したオイルポンプ3は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)とベルト又はギアを介して連結され、クランクシャフトの回転エネルギにより駆動されるメカニカルポンプ、又は電動機の回転エネルギにより駆動される電動ポンプである。前記したオイルフィルタ4は、オイルに含まれる固体粒を取り除く濾過器である。
前記したオイルクーラ5は、オイルを冷却するための熱交換器である。本実施例のオイルクーラ5は、図2に示すように、内燃機関1の冷却水とオイルとの間で熱交換を行う熱交換器50と、熱交換器へ流入する冷却水の量を調整する流量調整弁51と、を備えている。流量調整弁51は、ステップモータやソレノイド等により開閉駆動される電動式の流量調整弁である。
なお、オイルクーラ5としては、空冷式の熱交換器と、熱交換器を迂回してオイルを流すバイパス通路と、熱交換器又はバイパス通路の何れか一方へオイルを流通させる切換弁と、を備えるオイルクーラを用いてもよい。切換弁は、ステップモータやソレノイド等により開閉駆動される電動式の弁であってもよく、又はオイルの温度に応じて切換動作するサーモスタット式の弁であってもよい。
このように構成された内燃機関の潤滑システムには、内燃機関1や上記した各機器を制御するためのECU6が併設されている。ECU6は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等を含む電子制御ユニットである。
ECU6には、水温センサ7、油圧センサ8、油温センサ9、クランクポジションセンサ10などの各種センサが電気的に接続されている。水温センサ7は、内燃機関1を循環する冷却水の温度を検出するセンサである。油圧センサ8は、内燃機関1を循環する潤滑油の圧力を検出するセンサである。油温センサ9は、図3に示すように、クランクジャーナル100の軸受部101に取り付けられ、クランクジャーナル100と軸受部101との間に位置するオイルの温度(又は、軸受部101の温度)を検出する。油温センサ9は、本発明にかかる検出手段に相当する。
ECU6は、上記した各種センサの出力信号に基づいてクランクジャーナル100と軸受部101との間(潤滑部位)の潤滑状態を判別する。以下、本実施例における潤滑状態判別処理について述べる。
潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態にあるときは、潤滑部位の全域にわたって十分な厚さの油膜が形成されるため、摩擦熱の発生量が少なくなる。これに対し、潤滑部位が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行したときは、潤滑部位の大部分の領域において油膜が形成されないため、摩擦熱の発生量が急激に増加する。
また、潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態にあるときは、潤滑部位において部分的又は
断続的に油膜が形成されない領域が発生するため、流体潤滑状態より多くの摩擦熱が発生する。なお、潤滑部位において油膜が形成されない領域は部分的又は断続的に発生するため、潤滑部位の温度は上昇と降下を交互に繰り返しながら上昇する。つまり、潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態にあるときは境界潤滑状態にあるときに比べ、潤滑部位の温度上昇度合が穏やかになる。
このように、潤滑部位が境界潤滑状態へ陥った場合と混合潤滑状態に陥った場合とでは、潤滑部位の温度変化度合(温度上昇度合)が相違する。そこで、ECU6は、油温センサ9が検出した温度の変化度合(上昇度合)に基づいて潤滑部位の潤滑状態を判別するようにした。
ただし、潤滑部位の温度は、クランクジャーナル100の回転速度(機関回転数)や潤滑部位に供給されるオイルの量(単位時間当たりに供給されるオイル量)等によっても変化する。よって、機関回転数やオイル供給量などに起因した温度変化と潤滑状態の変化による温度変化とを識別する必要がある。
これに対し、ECU6は、油温センサ9が検出した温度データから基準温度以上の成分を抽出する周波数分析を実施し、周波数分析により抽出された成分の変化度合に基づいて潤滑状態を判別する。
その際、ECU6は、周波数特性の相違する2種類の周波数分析(ハイパスフィルタ)を実施する。以下では、周波数特性が相対的に低い周波数分析を「第1の周波数分析」と称し、周波数特性が相対的に高い周波数分析を「第2の周波数分析」と称する。
先ず、ECU6は、図4に示すように、油温センサ9により検出された温度データ(図4中の(a)を参照)から第1基準温度Tb1以上の成分を抽出する第1の周波数分析(図4中の(b)を参照)を実施し、それにより抽出された成分が第1閾値Tl1を超えているか否かを判別する。
第1基準温度Tb1は、潤滑部位が流体潤滑状態にあるときの温度であって、機関回転数やオイル供給量の変化によって潤滑部位の温度が取り得る最高値より高い温度である。第1閾値は、潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態から境界潤滑状態へ切り換わるときの温度T0から前記第1基準温度Tb1と所定のマージン△T1との和を減算した値(=T0−(Tb1+△T1))である。
第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値Tl1を超えている場合は、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判別する。一方、第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値Tl1以下である場合は、ECU6は、第2の周波数分析を実施する。
第2の周波数分析では、ECU6は、図5に示すように、油温センサ9により検出された温度データ(図5中の(a)を参照)から前記第1基準温度Tb1より高い第2基準温度Tb2以上の成分を抽出する(図5中の(b)を参照)。そして、ECU6は、第2の周波数分析により抽出された成分が第2閾値Tl2を超えているか否かを判別する。
第2基準温度Tb2は、潤滑部位が流体潤滑状態にあるときの油温であって、第1基準温度Tb1より高い温度である。第2閾値Tl2は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ切り換わるときの温度T1から前記第2基準温度Tb2と所定のマージン△T2との和を減算した値(=T1−(Tb2+△T2))である。
第2の周波数分析により抽出された成分が第2閾値Tl2を超えている場合は、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判別する。一方、第2の周波数分析により抽出された成分が第2閾値Tl2以下である場合は、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態にあると判別する。
このように周波数特性の異なる2種類の周波数分析を利用することにより、潤滑部位の潤滑状態の変化を遅滞なく判別することができる。特に、第1の周波数分析の第1基準温度Tb1を第2の周波数分析の第2基準温度Tb2より低く設定することにより、潤滑部位が境界潤滑状態に陥る事態(潤滑部位の温度が急速に上昇する事態)を早期に判別することが可能となる。
なお、ECU6は、上記した方法により潤滑状態が判別されると、判別結果に応じた復旧処理を実行することも可能となる。たとえば、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判別した場合は、内燃機関1の運転状態をフェイルセーフモードに移行して油膜の厚さを増加させるための処理を実行する。
フェイルセーフモードでは、ECU6は、燃料噴射の停止や点火停止により機関回転数を所定回転数以下に制限する。所定回転数は、クランクジャーナル100と軸受部101の過度な摩耗や過昇温を抑制し得る機関回転数であり、予め実験的に求められている。
油膜の厚さを増加させるための処理としては、ECU6は、オイルの冷却効率を高めたり、オイルの供給量を増加させたりする。詳細には、ECU6は、流量調整弁51の開度を増加させることによりオイルクーラ5においてオイルと熱交換される冷却水を増量させたり、オイルポンプ3の吐出量(単位時間当たりの吐出量)を増加させたりする。
上記したような復旧処理が実施されると、潤滑部位の油膜切れによる過熱を抑制することができるとともにクランクジャーナル100や軸受部101の摩耗を抑制することができる。さらに、潤滑部位の潤滑状態を境界潤滑状態から流体潤滑状態へ復帰させること、又は潤滑部位の潤滑状態が境界潤滑状態に陥ることを予防することも可能となる。
また、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判別した場合は、内燃機関1の運転状態をフェイルセーフモードに移行せずに、油膜の厚さを増加させる処理のみを実行する。その場合は、潤滑部位の潤滑状態を混合潤滑状態から流体潤滑状態へ復帰させること、又は潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態に陥ることを予防することもができる。
以下、本実施例における潤滑状態判別処理について図6に沿って説明する。図6は、本実施例における潤滑状態判別処理ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、ECU6のROMなどに予め記憶されているルーチンであり、ECU6によって周期的に実行される。
潤滑状態判別処理ルーチンでは、ECU6は、先ずS101において、油温センサ9の検出信号(油温データ)を取得する。
S102では、ECU6は、前記S101で取得された油温データに対して第1の周波数分析を実施する。
S103では、ECU6は、前記S102で抽出された成分が第1閾値Tl1を超えているか否かを判別する。S103において肯定判定された場合は、ECU6は、S104へ進む。
S104では、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判定する。その場合、ECU6は、S105において、内燃機関1の運転状態をフェイルセーフモードへ移行させる。すなわち、内燃機関1の機関回転数が所定回転数に達したときに燃料噴射の停止と点火プラグの作動停止との少なくとも一方を実行することにより、機関回転数を所定回転数以下に制限する。さらに、ECU6は、S106において、潤滑部位の油膜を増厚させるための処理を実施する。すなわち、ECU6は、流量調整弁51の開度の増加とオイルポンプ3の吐出量増加との少なくとも一方を実施する。
一方、前記S103において否定判定された場合は、ECU6は、S107へ進み、前記S101で取得された油温データに対して第2の周波数分析を実施する。
S108では、ECU6は、前記S107で抽出された成分が第2閾値Tl2を超えているか否かを判別する。S108において肯定判定された場合は、ECU6は、S109へ進む。
S109では、ECU6は、潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判定する。その場合、ECU6は、S106へ進み、潤滑部位の油膜を増厚させるための処理を実施する。
また、前記S108において否定判定された場合(潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態にある場合)は、ECU6は、S110へ進み、油温上昇処理を実施する。油温上昇処理では、ECU6は、流量調整弁51の開度減少とオイルポンプ3の吐出量減少との少なくとも一方を実施する。このような油温上昇処理が実施されると、オイルの粘性が低下し、潤滑部位の油膜の厚さが減少する。その結果、潤滑部位のフリクションが低減される。さらに、本ルーチンの周期的な実行に伴いS110の処理が繰り返し実行されると、潤滑部位の油膜の厚さが可及的に薄くなるため、潤滑部位のフリクションを可及的に小さくすることも可能となる。
このようにECU6が図6の潤滑状態判別処理ルーチンを実行することにより、本発明にかかる取得手段及び判別手段が実現される。よって、潤滑部位の潤滑状態が急激に変化した場合であっても、潤滑部位の潤滑状態をより早い時期に判別することが可能となる。
なお、ECU6は、潤滑状態判別処理ルーチンのS109において、第2の周波数分析により抽出された成分(図7中の(a)を参照)のうち第2閾値Tl2を超える成分を積算(図7中の(b)を参照)し、その積算値が第2閾値Tl2より大きな第3閾値Tl3より大きければ潤滑部位の潤滑状態が混合潤滑状態に陥ると判定するようにしてもよい。その場合、潤滑状態の判別精度を高めることが可能となる。
ところで、上記した潤滑状態判別処理ルーチンにおいてS106,S109,又はS110の処理が実施されると、クランクジャーナル100と軸受部101の潤滑状態は適正に保たれるようになるが、他の潤滑部位の潤滑状態が変化する可能性がある。
これに対し、内燃機関1の各潤滑部位において必要な油圧の下限値のうち最も高い油圧(目標値)を予め求めておき、油圧センサ8の検出値が前記目標値と一致するように油圧のフィードバック制御を実行するようにしてもよい。
たとえば、ECU6は、図8に示すような油圧フィードバック制御ルーチンに従って油圧のフィードバック制御を実施するようにしてもよい。この油圧フィードバック制御ルーチンは、周期的に実行されてもよく、又は前記潤滑状態判別処理ルーチンのS106又は
S110が実行されたときに実行されてもよい。
油圧フィードバック制御ルーチンでは、ECU6は、先ずS201において、油圧センサ8の出力信号(油圧)を取得する。
S202では、ECU6は、前記S201において取得された油圧が前述した目標値と相違しているか否かを判別する。S202において否定判定された場合(油圧=目標値)は、ECU6は、本ルーチンの実行を終了する。一方、S202において肯定判定された場合(油圧≠目標値)は、ECU6は、S203へ進む。
S203では、ECU6は、前記S201で取得された油圧が目標値より高いか否かを判別する。S203において肯定判定された場合(油圧>目標値)は、ECU6は、S204へ進む。
S204では、ECU6は、油圧が過剰に高い(油圧過多)と判定する。その場合は、ECU6は、S205へ進み、油圧低減処理を実行する。油圧低減処理では、ECU6は、オイルポンプ3の吐出量を減少させる。
また、S203において否定判定された場合(油圧<目標値)は、ECU6は、S206へ進み、油圧が過剰に低い(油圧不足)と判定する。その場合は、ECU6は、S207へ進み、油圧上昇処理を実行する。油圧上昇処理では、ECU6は、オイルポンプ3の吐出量を増加させる。
以上述べたようにECU6が図8の油圧フィードバック制御ルーチンを実行することにより、クランクジャーナル100と軸受部101の潤滑部位以外の潤滑部位においても油圧を目標値に維持することが可能となる。言い換えれば、他の潤滑部位の潤滑状態を適正な状態に保ちつつクランクジャーナル100と軸受部101の潤滑状態も適正な状態にすることが可能となる。
1 内燃機関
2 オイル貯蔵タンク
3 オイルポンプ
4 オイルフィルタ
5 オイルクーラ
6 ECU
7 水温センサ
8 油圧センサ
9 油温センサ
10 クランクポジションセンサ
50 熱交換器
51 流量調整弁
100 クランクジャーナル
101 軸受部

Claims (3)

  1. 潤滑剤により流体潤滑される潤滑部位の温度を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された温度の変化度合を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された温度の変化度合に基づいて潤滑部位の潤滑状態を判別する判別手段と、
    を備えることを特徴とする潤滑システム。
  2. 請求項1において、前記取得手段は、前記検出手段により検出された温度データから予め定められた基準温度以上の成分を抽出する周波数分析を実施し、
    前記判別手段は、前記取得手段により抽出された成分と予め定められた閾値とを比較することにより潤滑部位の潤滑状態を判別することを特徴とする潤滑システム。
  3. 請求項2において、前記取得手段は、前記検出手段により検出された温度データから第1基準温度以上の成分を抽出する第1の周波数分析と、前記検出手段により検出された温度データから第1基準温度より高い第2基準温度以上の成分を抽出する第2の周波数分析とを実施し、
    前記判別手段は、第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値より大きい場合は潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から境界潤滑状態へ移行すると判別し、第1の周波数分析により抽出された成分が第1閾値以下であり且つ第2の周波数分析により抽出された成分が第2閾値より大きい場合は潤滑部位の潤滑状態が流体潤滑状態から混合潤滑状態へ移行すると判別することを特徴とする潤滑システム。
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