JP2008303918A - 自動変速機の作動油冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動油の過加熱を防ぎ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる自動変速機の作動油冷却装置を提供する。
【解決手段】トランスミッションECU17によりATF通路61のATFの温度が所定のATF冷却開始温度に達すると、切り換えバルブ45の出力を切り換えて、オイルクーラ43にATFを冷却させる。次に、ATFの劣化度が所定の閾値を超えた場合には、上記ATF冷却開始温度を低い温度に補正し、補正したATF冷却開始温度に達した場合にオイルクーラ43にATFの冷却を開始させる。これにより、ATFが劣化して温度が上がりやすくなった場合には冷却開始温度を低くして、ATFが新しく温度が上がりづらいときには冷却開始温度を高く保ち、オイルクーラ43に余計なATFの冷却をさせず、ATFの異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動変速機の作動油を冷却する自動変速機の作動油冷却装置に関する。
従来、車両のエンジンおよび自動変速機には、往復運動や回転運動により、金属部品同士がこすれ合う部分がある。こうした部品同士が直接触れ合いながら相互に動くと、摩擦が発生する。このような摩擦は、部品の動きを悪くしたり、表面を摩耗させて部品を小さくしてしまったりなど弊害を招く。
このため、エンジンや自動変速機では、作動油(オイル)による潤滑が行われている。すなわち、固体同士の摩擦は大きいが、液体と固体の摩擦は小さいため、部品と部品との間に作動油を送り込むことで、摩擦を軽減するようにしている。
また、作動油は、エンジンや自動変速機における摩擦を軽減する潤滑作用のみならず、高温となった部品の冷却作用、燃焼ガスのガス漏れを防ぐ気密作用、摩擦や化学変化により発生した異物の洗浄作用、部品の急激な動作に対しての衝撃を和らげる緩衝作用、部品の表面を油膜で覆い酸素や水分と接触させずに錆を防ぐ防錆作用といった役割も担う。
ところが、この作動油は、上記冷却作用等のため、作動油自体が高温となってしまう。このように、作動油が高温となると、作動油による上記冷却作用が低下するのみならず、作動油の劣化を促進してしまう。そして、作動油の劣化は、上記作動油の役割を低下させてしまう。
そこで、作動油を冷却するオイルクーラを設けて、作動油の冷却を行い、作動油が高温となることを防止している。このような作動油冷却装置では、作動油は常にオイルクーラに送られ、冷却されている。ただし、このように低温の場合にも作動油をオイルクーラに通して冷却すると、作動油をオイルクーラに送り込むためのオイルポンプやオイルクーラの仕事量が無用に増え、燃費が悪化してしまう。
そのため、このような燃費悪化を改善するため、油温センサを設け、作動油の温度を検出し、油温が所定値以下であった場合には、切り換えバルブによりオイルクーラを通さずバイパスを通して送るようにして、油温が低い場合には、オイルクーラの圧損分だけ燃費を改善するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭61−033909号公報
しかしながら、作動油は劣化が進むと新油に比べて油温が上昇しやすい傾向にあり、作動油劣化時の冷却開始温度が高いと、エンジン室や変速機室内で高温になりすぎてしまい、作動油による冷却作用や潤滑作用等を十分に果たせなくなってしまう。
したがって、上述のような従来の作動油冷却装置にあっては、あらかじめ作動油冷却開始設定温度を、作動油劣化を考慮して低い温度に設定する必要があるが、作動油が劣化していない場合に、本来必要のない状態で作動油冷却手段へ作動油を送ることとなり、不必要に作動油冷却を行うこととなり、燃費の悪化につながってしまうという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、作動油の過加熱を防ぎ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる自動変速機の作動油冷却装置を提供することを課題とする。
本発明に係る自動変速機の作動油冷却装置は、上記課題を解決するため、(1)自動変速機に供給される作動油を貯留する作動油貯留手段と、前記作動油貯留手段に貯留された作動油を吸い上げ、前記自動変速機に供給する作動油供給手段と、前記作動油の冷却を行う作動油冷却手段と、前記自動変速機に供給される作動油の温度を検出する油温検出手段と、前記油温検出手段に検出された温度が、所定の作動油冷却開始温度に達したとき、前記作動油冷却手段に前記作動油を冷却させる作動油冷却制御手段と、前記作動油の劣化度を判定する作動油劣化度判定手段と、前記作動油劣化度判定手段により前記作動油が劣化したと判定されたとき、前記作動油冷却制御手段が前記作動油冷却手段に前記作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正する作動油冷却開始温度補正手段と、を備えたことを特徴とした構成を有している。
この構成により、作動油劣化度判定手段により判定された作動油の劣化度に応じて、作動油冷却手段に作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正するので、作動油の過加熱を防止しつつ、必要に即して作動油の冷却を行うことができ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
また、本発明に係る自動変速機の作動油冷却装置は、上記(1)に記載の自動変速機の作動油冷却装置において、(2)前記作動油の油温履歴を記憶する油温履歴記憶手段と、前記油温検出手段に検出された油温により、前記油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴を更新する油温履歴更新手段と、作動油劣化時用の前記作動油冷却開始温度を、前記作動油劣化度に応じて複数記憶する作動油冷却開始温度記憶手段と、を備え、前記作動油劣化度判定手段は、前記油温履歴更新手段により更新された前記油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴によって、前記作動油劣化度を判定し、前記作動油冷却開始温度補正手段は、前記作動油冷却開始温度記憶手段に記憶された前記複数の作動油冷却開始温度から、前記作動油劣化度判定手段によって判定された作動油劣化度に応じた前記作動油冷却開始温度を選択して、前記作動油冷却手段に前記作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正することを特徴とした構成を有している。
この構成により、油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴によって作動油劣化度を判定し、判定された作動油劣化度に応じて作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正するので、作動油劣化の複数の段階ごとに、作動油の冷却を開始させる温度を設定することができ、作動油の状態に応じたきめ細やかな制御を行うことができる。
さらに、本発明に係る自動変速機の作動油冷却装置は、上記(1)または(2)に記載の自動変速機の作動油冷却装置において、(3)前記作動油劣化度判定手段により前記作動油が劣化したと判定されたとき、前記作動油冷却制御手段が前記作動油冷却手段に冷却させる前記作動油の冷却量を補正する作動油冷却量補正手段を備え、前記作動油冷却制御手段は、前記油温検出手段に検出された温度が、前記作動油冷却開始温度に達したとき、前記作動油冷却量補正手段により補正された冷却量分の作動油を、前記作動油冷却手段に冷却させることを特徴とした構成を有している。
この構成により、作動油劣化度判定手段により判定された作動油の劣化度に応じて、作動油冷却手段に冷却させる作動油の冷却量を補正するので、作動油の過加熱を防止しつつ、必要な量の作動油の冷却を行うことができ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
さらに、本発明に係る自動変速機の作動油冷却装置は、上記(3)に記載の自動変速機の作動油冷却装置において、(4)作動油劣化時用の前記作動油冷却量を、前記作動油劣化度に応じて複数記憶する作動油冷却量記憶手段を備え、前記作動油冷却量補正手段は、前記作動油冷却量記憶手段に記憶された前記複数の作動油冷却量から、前記作動油劣化度判定手段によって判定された作動油劣化度に応じた前記作動油冷却量を選択して、前記作動油冷却手段に前記作動油を冷却させる作動油冷却量を補正することを特徴とした構成を有している。
この構成により、油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴によって作動油劣化度を判定し、判定された作動油劣化度に応じて冷却させる作動油の冷却量を補正するので、作動油劣化の複数の段階ごとに、冷却させる作動油の冷却量を設定することができ、作動油の状態に応じたきめ細やかな制御を行うことができる。
本発明によれば、作動油の劣化度に応じて、作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正するので、作動油の過加熱を防止しつつ、必要に即して作動油の冷却を行うことができ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる自動変速機の作動油冷却装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態においては、作動油として、ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)を用いるものとする。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における車両の制御装置の概略ブロック構成図である。
図1に示すように、車両1は、原動機であるエンジン2と、エンジン2により出力されたトルクを伝達させるトルクコンバータ3と、複数の遊星歯車および各歯車を締結あるいは固定するための摩擦要素により構成される変速機構4と、エンジン2を制御するためのエンジンECU13と、トルクコンバータ3および変速機構4を油圧により制御するための油圧制御回路15と、油圧制御回路15を制御するためのトランスミッションECU17と、を備えており、変速機構4から出力されるトルクは、図示しないディファレンシャルギアを介して駆動輪に伝達されるようになっている。
エンジン2は、ガソリンあるいは軽油などの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置により構成されている。また、トルクコンバータ3と、変速機構4とは、自動変速機5を構成している。
トルクコンバータ3は、エンジン2と変速機構4との間に配置されており、エンジン2に連結されたポンプ翼車と、変速機構4の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチによって一方向の回転が阻止されているステータ翼車とを有している。ポンプ翼車とタービン翼車とは、流体を介して動力を伝達するようになっている。
さらに、トルクコンバータ3は、ポンプ翼車とタービン翼車との間を直結するためのロックアップクラッチを備えており、車両1の高速走行時において、ポンプ翼車とタービン翼車とを機械的に直結することにより、エンジン2から変速機構4への動力の伝達効率を上げるようになっている。ここで、トルクコンバータ3は、ロックアップクラッチを所定の滑り率でスリップさせるフレックスロックアップを実行するようにしてもよい。
変速機構4は、第1遊星歯車装置と、第2遊星歯車装置および第3遊星歯車装置と、を備えている。また、変速機構4は、入力軸、出力軸、上記それぞれの遊星歯車装置のサンギヤS、リングギヤR、キャリアCAおよびハウジングを、選択的に連結するクラッチC1〜C4、回転を阻止するブレーキB1〜B4、一方向の回転を阻止する一方向クラッチF1〜F4により締結あるいは固定するようになっている。
また、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4および一方向クラッチF1〜F4(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキB、一方向クラッチFという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置により構成されている。また、クラッチC、ブレーキBおよび一方向クラッチFは、後述する油圧制御回路15のトランスミッションソレノイドS1〜S4、およびリニアソレノイドSL1、SL2の励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブの作動状態によって切り換えられる油圧回路に応じて、係合状態および解放状態の何れか一方の状態をとるようになっている。したがって、変速機構4は、これらのクラッチC、ブレーキBおよび一方向クラッチFの係合状態および解放状態の組み合わせに応じた変速段をとるようになっている。本実施の形態に係る変速機構4は、1速〜6速により構成される6つの前進変速段および1つの後進変速段のうちの何れかの変速段をとるようになっている。
エンジンECU13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)および入出力インターフェースを有しており、アクセルペダル32の操作量に応じてエンジン2が制御されるよう、エンジン2に対してエンジン制御信号を出力するようになっている。
油圧制御回路15は、トランスミッションソレノイドS1〜S4や、リニアソレノイドSLT、SLUおよびATFの油温を測定するための油温センサ31を有している。
また、トランスミッションソレノイドS1は、1速から2速への変速時に作動するようになっている。トランスミッションソレノイドS2は、2速から3速への変速時および5速から6速への変速時に作動するようになっている。トランスミッションソレノイドS3は、3速から4速への変速時に作動するようになっている。トランスミッションソレノイドS4は、4速から5速への変速時に作動するようになっている。
また、リニアソレノイドSLTは、ライン圧制御および図示しないアキュムレータの背圧制御を行うようになっている。リニアソレノイドSLUは、ロックアップ機構の制御を行うようになっている。
トランスミッションECU17は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)および入出力インターフェースを有している。トランスミッションECU17のROMには、車速およびスロットル開度と変速機構4の変速段とを対応させたマップが記憶されている。
また、トランスミッションECU17は、トランスミッションソレノイドS1〜S4およびリニアソレノイドSLT、SLUの作動状態を変化させ、ライン圧を元圧とするATF圧により変速機構4の摩擦要素を選択的に締結あるいは解放させるようになっている。これらの摩擦要素の締結および解放の組み合わせによって、変速機構4の入力軸と出力軸との回転数の比が変更され、変速段が構成されるようになっている。
車両1は、さらに、エンジン2の回転数を計測するエンジン回転数センサ21と、エンジン2の吸入空気量を測定する吸入空気量センサ22と、エンジン2に吸入される空気の温度を測定するための吸入空気温度センサ23と、スロットルバルブ30の開度を検知するためのスロットルセンサ24と、変速機構4の出力軸の回転速度に基づいて車速を測定するための車速センサ25と、エンジン2の冷却水温を測定するための冷却水温センサ26と、ブレーキペダルに対する踏力を測定するブレーキセンサ27と、シフトレバー28の操作位置(ポジション)を検出するための操作位置センサ29と、を備えている。
エンジン回転数センサ21は、不図示のクランクシャフトの回転に基づいて、エンジン2の回転数を計測するようになっている。
スロットルセンサ24は、例えば、スロットルバルブ30のスロットル開度に応じた出力電圧が得られるホール素子により構成されており、スロットルバルブ30のスロットル開度を表す信号をエンジンECU13に出力するようになっている。
車速センサ25は、変速機構4の出力軸回転数に基づいて、車速を表す信号をエンジンECU13に出力するようになっている。
冷却水温センサ26は、例えば、水温に応じて抵抗値が変化するサーミスタにより構成されており、エンジン2の冷却水温に応じた信号をエンジンECU13に出力するようになっている。
ブレーキセンサ27は、車両1に搭載されたブレーキペダルに対する運転者の操作踏力に応じたマスタシリンダ圧の変化あるいは操作ストロークを測定するようになっており、測定された踏力に応じた電気信号をブレーキ踏力信号として、トランスミッションECU17に出力するようになっている。
次に、図2に自動変速機5のATF冷却装置を、ATFの経路を表した回路図とともに示し、説明する。なお、ATF冷却装置40は、自動変速機5内に設けられるが、図中では、説明を分かりやすくするため、自動変速機5内の潤滑や冷却等が行われる各部と分離して示した。以下では、この自動変速機5内の潤滑や冷却等が行われる各部を総称して、潤滑部とする。
なお、ATFは、エンジンや自動変速機における摩擦を軽減する潤滑作用、高温となった部品の冷却作用、燃焼ガスのガス漏れを防ぐ気密作用、摩擦や化学変化により発生した異物の洗浄作用、部品の急激な動作に対しての衝撃を和らげる緩衝作用、部品の表面を油膜で覆い酸素や水分と接触させずに錆を防ぐ防錆作用といった役割とともに、下記に示すように、油圧制御回路15を動作させる作動油としても用いられる。
図2に示すように、自動変速機5のATF冷却装置40は、オイルパン41と、オイルポンプ42と、オイルクーラ43と、供給ATF温度センサ44と、切り換えバルブ45と、を備えている。さらに、ATF冷却装置40は、ストレーナ51と、リリーフバルブ52と、チェックバルブ53と、オイルフィルタ54と、を備えている。
また、オイルパン41と自動変速機5の潤滑部との間には、切り換えバルブ45を介して、ATF通路61とATF通路62と、が設けられ、オイルパン41に貯留されているATFが、自動変速機5の潤滑部に供給されるようになっている。自動変速機5とオイルパン41との間には、戻り通路63が設けられ、自動変速機5の潤滑部に供給されたATFは、オイルパン41に戻るようになっている。この戻り通路63は、実際に全ての通路が設けられているというものではなく、ATFが、自動変速機5内のすき間を落下したり、内壁に沿って流れ落ちたりして、オイルパン41に戻るものである。
切り換えバルブ45とオイルクーラ43との間には、冷却用通路64が設けられ、オイルクーラ43とATF通路62との間には、冷却用通路65が設けられている。また、ATF通路61とオイルパン41との間には、保護通路66が設けられている。
さらに、ATFは、油圧制御回路15によって油圧により自動変速機5の各部を制御するための作動油や、トルクコンバータ3内の作動油としても用いられる。したがって、上記通路の他に、図示しないこれらの通路も有している。
このような通路により、オイルパン41に貯留されているATFは、オイルポンプ42によって吸い上げられ、自動変速機5の潤滑部に送られ、自動変速機5の潤滑部を潤滑したATFは、オイルパン41に戻るという循環を繰り返すことができる。
また、自動変速機5のATF冷却装置40の他に、エンジン2とラジエータ55との間には、冷却水通路71、冷却水通路72および冷却水通路73が設けられている。エンジン2には、冷却水が充填されるウォータジャケットが形成されている。ラジエータ55は、車両1の前部に設けられ、走行風により冷却水が冷却されるようになっている。また、エンジン2は、ラジエータ55により冷やされた冷却水が、冷却水通路71、冷却水通路72を介してウォータジャケットに入力され、冷却される。エンジン2を冷却した冷却水は、冷却水通路73を介してラジエータ55に戻り、再び冷やされる。
ATF冷却装置40のオイルパン41は、自動変速機5の下部に設けられ、自動変速機5に供給されるATFを貯留するものである。なお、本実施の形態において、オイルパン41は、本発明に係る作動油貯留手段を構成している。
オイルポンプ42は、オイルパン41に貯留されたATFを吸い上げ、自動変速機5に供給するものである。また、オイルポンプ42は、トルクコンバータ3の出力軸に直結され、エンジン2の力で駆動している。より詳しく説明すると、オイルポンプ42は、内歯噛み合い式(内接式)歯車ポンプ、いわゆるギヤポンプである。オイルポンプ42は、内側に歯車を持つアウターギヤと、その内側に一回り小さな歯車でトルクコンバータ3の出力軸とつながっているインナーギヤと、を有している。オイルポンプ42は、インナーギヤとアウターギヤとが偏心していて、一部が噛み合うように構成されている。また、オイルポンプ42は、インナーギヤとアウターギヤとが噛み合っている部分の回転方向に、ATFの吸入口が設けられ、逆方向にATFの吐出口が設けられている。
このようなオイルポンプ42では、インナーギヤが回転すると、アウターギヤも同じ方向に回転する。インナーギヤとアウターギヤとが回転し、インナーギヤとアウターギヤとが噛み合っている部分からATFの吸入口付近まで回転すると、吸入口付近でインナーギヤとアウターギヤとの噛み合いが分かれ、いままですき間のなかったギヤの谷間にすき間ができる。このすき間に吸入口からATFが吸い込まれる。ATFの吐出口付近では、吸入口付近とは逆に、インナーギヤとアウターギヤとが噛み合っていき、ギヤのすき間が狭まるため、ATFが吐き出される。このようにして、オイルポンプ42は、ATFを吸い上げることとなる。
また、オイルポンプ42は、内歯噛み合い式(内接式)歯車ポンプとしたが、外接式歯車ポンプやベーン式ポンプであっても構わない。例えば、外接式歯車ポンプは、2個の外歯歯車の組み合わせで構成されている。さらに、オイルポンプ42を2つ備え、一つはトルクコンバータ3の出力軸に、もう一つは変速機構4の出力軸とつなげるようにしても構わない。この場合、エンジン2の回転につれて増える油量と、車速に応じた油量を別々に利用することができるという利点があるが、構造が複雑になりコストが高くなるとともに、馬力ロスが生じやすいという短所もある。なお、本実施の形態において、オイルポンプ42は、本発明に係る作動油供給手段を構成している。
オイルクーラ43は、ATFの冷却を行うものである。このオイルクーラ43は、冷却用通路64から入力され冷却用通路65より出力されるATFと、冷却水通路71から入力され冷却水通路72より出力される冷却水と、の間で熱交換を行うことで、自動変速機5のATFを冷却することができる。ここで、オイルクーラ43は、エンジン2の冷却水を用いた水冷式のものを用いたが、空冷式のものであっても構わない。なお、本実施の形態において、オイルクーラ43は、本発明に係る作動油冷却手段を構成している。
供給ATF温度センサ44は、切り換えバルブ45の上流に設けられ、自動変速機5に供給されるATF通路61内のATFの温度を検出するものである。なお、本実施の形態において、供給ATF温度センサ44は、本発明に係る油温検出手段を構成している。
切り換えバルブ45は、オイルポンプ42に吸い上げられ、ATF通路61から入力されたATFを、ATF通路62に出力し、直接自動変速機5に供給するのか、冷却用通路64に出力し、オイルクーラ43に供給してATFの冷却を行わせるのか、をトランスミッションECU17の制御により切り換えるものである。
ここで、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度が、所定のATF冷却開始温度に達したとき、切り換えバルブ45の出力を冷却用通路64に切り換えさせるものである。また、トランスミッションECU17は、後述する油温履歴によりATFの劣化度を判定し、ATF劣化度が所定の閾値を超えた場合には、上記ATF冷却開始温度を補正するものである。ATF冷却開始温度を補正するか否かを切り換えるATF劣化度の判定閾値は、トランスミッションECU17のROMに記憶されている。また、ATF冷却開始温度の初期値およびATF劣化時用のATF冷却開始温度も、トランスミッションECU17のROMに記憶されている。このATF劣化時用のATF冷却開始温度は、ATF冷却開始温度の初期値よりも低く設定されている。なお、本実施の形態において、トランスミッションECU17は、本発明に係る作動油冷却制御手段、作動油劣化度判定手段および作動油冷却開始温度補正手段を構成している。
また、トランスミッションECU17のRAMは、ATFの油温履歴を記憶するものである。トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度により、トランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴を更新する。そして、トランスミッションECU17は、更新されたトランスミッションECU17のRAMの油温履歴によって、ATF劣化度を判定するものである。
なお、本実施の形態において、トランスミッションECU17のRAMは、本発明に係る油温履歴記憶手段を構成している。また、トランスミッションECU17は、本発明に係る油温履歴更新手段を構成している。
また、自動変速機5のATF冷却装置40の説明に戻り、ストレーナ51は、オイルパン41からオイルポンプ42でATFを吸い上げるときに、ATF中の異物を同時に吸い込まないために、除去するためのものである。ストレーナ51は、網目の粗い金網により、ATFを流す抵抗は小さくして、異物を除去するようにしている。また、ストレーナ51は、オイルパン41の底に近いような低い位置に設置してしまうと、沈殿物を撹拌してしまうおそれがあり、ATFの油面より高くなる位置に設置してしまうと、空気を巻き込んでしまう。したがって、オイルパン41の許容最低油面より低い所定の高さとなる位置に設置するようにする。また、ストレーナ51は、金網の他、ノッチワイヤで作られたものであってもよい。
リリーフバルブ52は、所定の圧力まではバルブが閉じたままで、所定の圧力になるとバルブが開いて、ATFを逃がし、圧力が高くなったときに、装置を破壊から守るためのものである。したがって、所定の圧力まではリリーフバルブ52が閉じたままで、ATFは全てATF通路61を通って切り換えバルブ45側へ送られるが、所定の圧力になると、リリーフバルブ52が開き、余分のATFは保護通路66を通ってオイルパン41に逃がされる。このリリーフバルブ52により、最高圧力を決めて、回路の保護を行うことができる。
チェックバルブ53は、ATFを一定の方向にのみ流すものである。すなわち、逆流を防止するためのものである。したがって、オイルクーラ43に冷却されたATFは、冷却用通路65を通ってATF通路62へは流れるが、ATF通路62側からは冷却用通路65側にATFが流れることはなく、逆流が防止される。
オイルフィルタ54は、オイルポンプ42で吸い上げられたATFの細かい異物を取り除くためのものである。オイルフィルタ54は、金属製のケースの中に特殊な繊維で作った目の細かいろ紙を収めたもので、細かい異物をろ紙でこし取るものである。また、オイルフィルタ54のろ紙は、例えば、フェルトを用いることができる。また、オイルフィルタ54のろ紙として、燒結金属、セラミック、フェノール樹脂で処理された紙を用いてもよい。
このように構成された自動変速機5のATF冷却装置40は、エンジン2が駆動し、トルクコンバータ3の出力軸に回転が伝達されると、オイルポンプ42が駆動する。オイルポンプ42が駆動すると、オイルパン41に貯留されたATFは、ストレーナ51によって異物が取り除かれ、ATF通路61に吸い上げられる。オイルポンプ42に吸い上げられたATFの圧力が所定の圧力より高くなっている場合には、リリーフバルブ52が開き、所定量のATFが保護通路66を通って、オイルパン41に戻る。
オイルポンプ42によってATF通路61に吸い上げられたATFは、オイルフィルタ54によって、ストレーナ51により取り除かれなかった細かい異物が取り除かれ、切り換えバルブ45に供給される。切り換えバルブ45は、当初、ATFの出力をATF通路62側に設定しており、供給されたATFを、ATF通路62に出力し、自動変速機5の潤滑部に供給する。自動変速機5の潤滑部に供給されたATFは、各部の潤滑や冷却等を行って、戻り通路63を通って、オイルパン41に戻ってくる。
一方、ATF通路61を通り、切り換えバルブ45に供給されるATFの温度は、供給ATF温度センサ44によって検出される。供給ATF温度センサ44は、検出したATF通路61内のATFの温度に対応する信号を、トランスミッションECU17に出力する。トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出されたATFの温度に対応する信号を入力すると、トランスミッションECU17のRAMに油温履歴として、ATFの温度を記憶する。このトランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44から検出されたATFの温度に対応する信号を入力するたびに、トランスミッションECU17のRAMに油温履歴として、ATFの温度を記憶する。
図3に、トランスミッションECU17のRAMに記録されたATFの油温履歴を示す。図3に示すように、ATFの油温履歴は、測定時間ごとにATF通路61のATFの温度が記録される。この油温履歴において、サンプリング時間間隔は、短ければ短いほど後述するATF劣化度の算出精度を向上させることができる。一方、上記サンプリング時間間隔は、長ければその分記憶容量が小さくて済み、ATF劣化度の算出処理等の処理量も削減することができる。したがって、サンプリング時間間隔は、この双方のバランスにより決定することとなるが、本実施の形態においては、10秒間隔とした。
トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度によって更新されたこの油温履歴により、ATF劣化度を算出する。ここで、トランスミッションECU17におけるATF劣化度算出方法について、説明する。トランスミッションECU17は、後述する10℃2倍則を用いて、ATFの油温履歴から基準温度におけるATF経過時間を算出し、基準温度におけるATF経過時間にしたがった劣化度曲線を参照して、ATF劣化度を算出する。
図4に、基準温度におけるATF経過時間にしたがった劣化度のグラフを示す。図4に示すように、ATFは、ある一定温度の状態で時間が経過すると、劣化度が増し、その上昇率も増加する。この関係を利用してATF劣化度を算出するため、ATF劣化度を示すデータとして、ある一定温度状態で経過時間に対する劣化度を測定し、これをトランスミッションECU17のROMに記憶しておく。トランスミッションECU17は、ATFの油温履歴から、10℃2倍則を用いて、このデータの前提となっている基準温度における相当時間を算出し、劣化度を求める。本実施の形態においては、基準温度を150℃として、10℃2倍則に基づいて150℃での相当時間に換算し、劣化度を求めるものとする。
ここで、10℃2倍則について述べる。10℃2倍則とは、140℃の状態が10秒続くことは、1/2の5秒間150℃の状態が続くのと同等の劣化具合となり、130℃の状態が10秒続くことは、1/4の2.5秒間150℃の状態が続くのと同等の劣化具合となるといった具合に、温度が10℃上がると半分の時間で同等の劣化が生じる、つまり、劣化度が2倍になる、というものである。すなわち、a℃の状態が10秒続くことは、150℃の状態が10/(2^(150−a)/10))秒続くことに相当する、ということになる。
上述のATFの油温履歴の例において、10秒間の油温をその前後でより高い方を取ることとすると、それぞれ10秒間の温度は以下のようになる。すなわち、0:10'00〜0:10'10は、80.2℃、以下順に、80.2℃、80.0℃、82.0℃、87.2℃となり、0:10'50〜0:11'00は、92.5℃となる。そして、各10秒における150℃での相当時間を換算すると、0:10'00〜0:10'10は、10/(2^(150−80.2)/10))=0.0792秒、以下順に、0.0792秒、0.0781秒、0.0897秒、0.1287秒となり、0:10'50〜0:11'00は、10/(2^(150−92.5)/10))=0.1858秒となる。したがって、上記0:10'00〜0:11'00の1分間は、150℃で0.6407秒間に相当することとなる。このように、10℃2倍則を用いて算出した時間を積算して、150℃の状態における積算時間からATFの劣化度を求めるようにしている。
トランスミッションECU17は、上記油温履歴によって算出したATF劣化度が、トランスミッションECU17のROMに記憶されたATF劣化度の判定閾値を超えているか否かを判定し、判定閾値を超えている場合には、ATF冷却開始温度を初期値からトランスミッションECU17のROMに記憶されたATF劣化時用のATF冷却開始温度に補正する。
したがって、ATF劣化度が判定閾値を超えるまでは、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度が、ATF冷却開始温度の初期値に達するまでは、切り換えバルブ45の出力を冷却用通路64に切り換えさせない。一方、ATF劣化度が判定閾値を超えると、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度が、ATF冷却開始温度の初期値に達する前に、ATF劣化時用のATF冷却開始温度に達し、切り換えバルブ45の出力を冷却用通路64に切り換えさせる。
切り換えバルブ45は、上記のようにトランスミッションECU17により制御されるため、ATFの劣化度に応じて設定されたATF冷却開始温度に達したとき、ATFの出力を冷却用通路64に切り換えられる。切り換えバルブ45は、ATFの出力が冷却用通路64に切り換えられたとき、ATF通路61から入力したATFを、冷却用通路64に出力させ、冷却用通路64を通して、オイルクーラ43に供給させる。
オイルクーラ43では、冷却用通路64から入力されたATFを、冷却水通路71から入力されたエンジン2の冷却水によって、熱交換を行い、冷却する。オイルクーラ43は、冷却したATFを冷却用通路65より出力させ、冷却に用いたエンジン2の冷却水を冷却水通路72より出力させる。オイルクーラ43から出力されたATFは、チェックバルブ53により一方向に経路を限定されて、冷却用通路65からATF通路62を通って、自動変速機5の潤滑部に供給される。これにより、自動変速機5の潤滑部に供給されるATFは、冷却される。
次に、図5に本発明の第1の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順のフローチャートを示す。なお、以下のATF冷却制御処理は、トランスミッションECU17を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
まず、トランスミッションECU17は、ATF冷却開始温度の初期値として、"T"を設定しておく。次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度を取得する(ステップS11)。次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44より取得したATFの温度により、トランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴を更新する(ステップS12)。そして、トランスミッションECU17は、更新されたトランスミッションECU17のRAMの油温履歴によって、ATFの劣化度を算出する(ステップS13)。このATFの劣化度の算出は、前述のようにトランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴により、基準温度において相当するATF経過時間を算出し、この経過時間からATF劣化度を求める。例えば、トランスミッションECU17は、150℃の状態で経過した時間に換算した値を積算して、この積算時間に対応する劣化度を求める。
次に、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えたか否かを判定する(ステップS14)。このATF劣化度が判定閾値を超えたか否かの判定では、上記ATFの劣化度の算出により求められたATF劣化度により判定される。したがって、トランスミッションECU17は、150℃の状態で経過した時間に相当する積算時間が、所定の経過時間以上となったとき、ATF劣化度が判定閾値に達したと判断する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えていれば、ステップS15に移行し、ATF劣化度が判定閾値を超えていなければ、ステップS16に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えている場合(ステップS14の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、ATF劣化時用の温度"T"(T>T)に補正する(ステップS15)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"(設定済みのATF冷却開始温度)より高くなっているか否かを判定する(ステップS16)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていれば、ステップS17に移行し、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていなければ、ステップS11に戻る。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっている場合(ステップS16の判定でYes)には、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45の出力先を、ATF通路62から冷却用通路64に切り換えて、ATFをオイルクーラ43に流し、冷却させる(ステップS17)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりまだ高いか否かを判定する(ステップS18)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりも高いままであれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなったら、ステップS19に移行する。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなった場合(ステップS18の判定でNo)には、トランスミッションECU17は、ATFの冷却を終了させるため、切り換えバルブ45の出力先を、冷却用通路64からATF通路62に切り換えて、ATFを、オイルクーラ43を通さずに自動変速機5の潤滑部に供給させ(ステップS19)、ステップS11に戻る。
以上のように、本発明の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40においては、トランスミッションECU17により判定されたATFの劣化度が所定の閾値を超えると、ATFの冷却を開始させるATF冷却開始温度を補正し、ATFの温度が補正したATF冷却開始温度に達した場合にオイルクーラ43にATFの冷却を開始させるので、ATFが劣化して温度が上がりやすくなった場合には冷却開始温度を低くしてATFが高温となってしまうことを防止し、ATFが新しく温度が上がりづらいときには冷却開始温度を高く保ち、オイルクーラ43に余計なATFの冷却をさせないようにして、ATFの過加熱を防止しつつ、必要に即したATFの冷却を行うことができ、ATFの異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置について、説明する。本実施の形態は、ATF冷却開始温度を複数有し、ATF劣化度に応じて切り換えるものである。
なお、本実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置の構成は、上述した第1の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40の構成と同様であり、トランスミッションECU17のROMにATF劣化度に対するATF冷却開始温度を規定した対応表を設けたこと、および、ATF冷却制御プログラムについてのみ相違する。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成および処理については、同一の符号を用い、相違点を中心に詳述する。
図6に、トランスミッションECU17のROMに記憶されたATF劣化度に対するATF冷却開始温度を規定した対応表を示し、説明する。
図6に示すように、この対応表には、ATFの劣化度の範囲ごとに、ATF冷却開始温度が規定されている。ここで、ATF劣化度A<B<Cであり、ATF冷却開始温度T>T>T>Tである。ATFの劣化度が"A"未満であるときには、ATF冷却開始温度は"T"である。ATFの劣化度が"A"以上で"B"未満であるときには、ATF冷却開始温度は"T"である。ATFの劣化度が"B"以上で"C"未満であるときには、ATF冷却開始温度は"T"である。ATFの劣化度が"C"以上であるときには、ATF冷却開始温度は"T"である。なお、本実施の形態において、トランスミッションECU17のROMは、本発明に係る作動油冷却開始温度記憶手段を構成している。
上記のように、ATF劣化度A、B、Cは、ATF冷却開始温度を決定する判定閾値(判定閾値A、判定閾値B、判定閾値C)となる。また、ATF劣化度A、B、Cは、150℃の状態に換算して積算時間がそれぞれ第1経過時間、第2経過時間、第3経過時間に対応するATF劣化度とする。また、ATF冷却開始温度Tは、ATF冷却開始温度の初期値である。さらに、上記ATF劣化度A、B、CおよびATF冷却開始温度T、T、T、Tの具体的数値は、劣化度に対する温度の上がり具合等を精査した上で最適値を検討することとなるが、例えば、ATF劣化度AをPOV40(POVはオイル劣化度を表す指標であり、値が高いほど劣化が進んでいることを示す)、劣化度BをPOV60、劣化度CをPOV80とし、ATF冷却開始温度Tを110℃、Tを100℃、Tを95℃、Tを85℃とすることができる。
また、トランスミッションECU17は、トランスミッションECU17のROMに記憶された複数のATF冷却開始温度から、トランスミッションECU17のRAMの油温履歴によって判定したATF劣化度に応じたATF冷却開始温度を選択して、ATF冷却開始温度を補正するものである。これにより、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44に検出された温度が、ATFの劣化度に応じて選択されたATF冷却開始温度に達したとき、切り換えバルブ45の出力を冷却用通路64に切り換えさせ、オイルクーラ43にATFを冷却させる。
次に、図7、図8に本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順のフローチャートを示す。なお、以下のATF冷却制御処理は、トランスミッションECU17を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
まず、トランスミッションECU17は、上述した実施の形態と同様に、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度を取得し(ステップS11)、取得したATFの温度により、トランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴を更新する(ステップS12)。そして、トランスミッションECU17は、ATFの劣化度を算出する(ステップS13)。
次に、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満であるか否かを判定する(ステップS31)。このATF劣化度が判定閾値A未満であるか否かの判定では、上記ATFの劣化度の算出により求められたATF劣化度により判定される。したがって、トランスミッションECU17は、150℃の状態に換算して積算時間が第1経過時間以上とならなければ、ATF劣化度が判定閾値Aに達していないと判断する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値A以上であれば、ステップS32に移行し、ATF劣化度が判定閾値A未満であれば、ステップS34に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満である場合(ステップS31の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"(ATF冷却開始温度の初期値)に補正する(ステップS34)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A以上である場合(ステップS31の判定でNo)には、ATF劣化度が判定閾値B未満であるか否かを判定する(ステップS32)。この場合、トランスミッションECU17は、150℃の状態に換算して積算時間が第2経過時間以上とならなければ、ATF劣化度が判定閾値Bに達していないと判断する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値B以上であれば、ステップS33に移行し、ATF劣化度が判定閾値B未満であれば、ステップS35に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B未満である場合(ステップS32の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS35)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B以上である場合(ステップS32の判定でNo)には、ATF劣化度が判定閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS33)。この場合、トランスミッションECU17は、150℃の状態に換算して積算時間が第3経過時間以上とならなければ、ATF劣化度が判定閾値Cに達していないと判断する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値C以上であれば、ステップS37に移行し、ATF劣化度が判定閾値C未満であれば、ステップS36に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C未満である場合(ステップS33の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS36)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C以上である場合(ステップS33の判定でNo)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS37)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"(設定済みのATF冷却開始温度)より高くなっているか否かを判定する(ステップS16)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていれば、ステップS17に移行し、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていなければ、ステップS11に戻る。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっている場合(ステップS16の判定でYes)には、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45の出力先を、ATF通路62から冷却用通路64に切り換えて、ATFをオイルクーラ43に流し、冷却させる(ステップS17)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりまだ高いか否かを判定する(ステップS18)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりも高いままであれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなったら、ステップS19に移行する。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなった場合(ステップS18の判定でNo)には、トランスミッションECU17は、ATFの冷却を終了させるため、切り換えバルブ45の出力先を、冷却用通路64からATF通路62に切り換えて、ATFを、オイルクーラ43を通さずに自動変速機5の潤滑部に供給させ(ステップS19)、ステップS11に戻る。
以上のように、本発明の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40においては、トランスミッションECU17により判定されたATFの劣化度の段階に応じて、ATFの冷却を開始させるATF冷却開始温度を複数のATF冷却開始温度から選択して補正し、ATFの劣化度の段階に応じて異なるATF冷却開始温度でオイルクーラ43にATFの冷却を開始させるので、ATFが新しく温度が上がりづらいときには冷却開始温度を高く、ATFが劣化して温度が上がりやすい場合には、ATFの劣化度の段階に応じて徐々に冷却開始温度を低くして、オイルクーラ43に余計なATFの冷却をさせず、ATFの過加熱を防止しつつ、ATFの状態に応じたきめ細やかな制御を行うことができ、ATFの異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置について、説明する。本実施の形態は、ATFが劣化した場合に、ATF冷却開始温度の補正に加え、ATF冷却量を補正するものである。
なお、本実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置の構成は、上述した第1の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40の構成と同様であり、ATF冷却制御プログラムについてのみ相違する。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成および処理については、同一の符号を用い、相違点を中心に詳述する。
図9に、本発明の第3の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順のフローチャートを示す。なお、以下のATF冷却制御処理は、トランスミッションECU17を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
まず、トランスミッションECU17は、上述した実施の形態と同様に、ATF冷却開始温度の初期値として、"T"を設定しておく。また、トランスミッションECU17は、ATF冷却量の初期値として、"Q"を設定しておく。次に、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度を取得し(ステップS11)、取得したATFの温度により、トランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴を更新する(ステップS12)。そして、トランスミッションECU17は、ATFの劣化度を算出する(ステップS13)。
次に、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えたか否かを判定する(ステップS14)。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えていれば、ステップS15に移行し、ATF劣化度が判定閾値を超えていなければ、ステップS16に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値を超えている場合(ステップS14の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、ATF劣化時用の温度"T"(T>T)に補正する(ステップS15)。続いて、トランスミッションECU17は、ATF冷却量を、ATF劣化時用の冷却量"Q"(Q<Q)に補正する(ステップS51)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"(設定済みのATF冷却開始温度)より高くなっているか否かを判定する(ステップS16)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていれば、ステップS17に移行し、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていなければ、ステップS11に戻る。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっている場合(ステップS16の判定でYes)には、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45の出力先を、ATF通路62から冷却用通路64に切り換えて、ATFをオイルクーラ43に流し、冷却させる(ステップS17)。
次に、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45を切り換えてからオイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"(設定済みのATF冷却量)以下であるか否か判定する(ステップS52)。トランスミッションECU17は、冷却用通路64を介してオイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"以下であれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、オイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"を超えたら、ステップS18に移行する。
オイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"を超えた場合には、トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりまだ高いか否かを判定する(ステップS18)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりも高いままであれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなったら、ステップS19に移行する。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなった場合(ステップS18の判定でNo)には、トランスミッションECU17は、ATFの冷却を終了させるため、切り換えバルブ45の出力先を、冷却用通路64からATF通路62に切り換えて、ATFを、オイルクーラ43を通さずに自動変速機5の潤滑部に供給させ(ステップS19)、ステップS11に戻る。
以上のように、本発明の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40においては、トランスミッションECU17により判定されたATFの劣化度が所定の閾値を超えると、ATFを冷却させるATF冷却量を補正し、ATFの冷却量が補正したATF冷却量に達した場合にオイルクーラ43にATFの冷却をさせないようにするので、ATFが新しく温度が上がりづらいときにはATF冷却量を少なく、ATFが劣化して温度が上がりやすくなった場合にはATF冷却量を多くしてATFが高温となってしまうことを防止し、オイルクーラ43に余計なATFの冷却をさせず、ATFの過加熱を防止しつつ、必要に即したATFの冷却を行うことができ、ATFの異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置について、説明する。本実施の形態は、ATFが劣化した場合に、ATF冷却開始温度の補正に加え、ATF冷却量を複数有し、ATF劣化度に応じて切り換えるものである。
なお、本実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置の構成は、上述した第3の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40の構成と同様であり、トランスミッションECU17のROMにATF劣化度に対するATF冷却開始温度およびATF冷却量を規定した対応表を設けたこと、および、ATF冷却制御プログラムについてのみ相違する。以下の説明では、第3の実施の形態と同様の構成および処理については、同一の符号を用い、相違点を中心に詳述する。
また、トランスミッションECU17のROMに記憶されたATF劣化度に対するATF冷却開始温度およびATF冷却量を規定した対応表は、図示しないが、図6に示したATF劣化度に対するATF冷却開始温度を規定した対応表に、ATF劣化度に対するATF冷却量を追加したものである。また、ATF劣化度A未満に対応するATF冷却量をQ(ATF冷却量の初期値)、ATF劣化度A以上B未満に対応するATF冷却量をQ、ATF劣化度B以上C未満に対応するATF冷却量をQ、ATF劣化度C以上に対応するATF冷却量をQとし、Q<Q<Q<Qとする。なお、本実施の形態において、トランスミッションECU17のROMは、本発明に係る作動油冷却量記憶手段を構成している。
トランスミッションECU17は、このATF劣化度に対するATF冷却開始温度およびATF冷却量を規定した対応表により、供給ATF温度センサ44に検出された温度が、ATFの劣化度に応じて選択されたATF冷却開始温度に達したとき、切り換えバルブ45の出力を冷却用通路64に切り換えさせ、オイルクーラ43にATFを冷却させるとともに、ATF冷却量が、ATFの劣化度に応じて選択されたATF冷却量に達したとき、切り換えバルブ45の出力をATF通路62に切り換えさせ、オイルクーラ43によるATFの冷却を終了させる。
図10、図11に、本発明の第4の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順のフローチャートを示す。なお、以下のATF冷却制御処理は、トランスミッションECU17を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
まず、トランスミッションECU17は、上述した実施の形態と同様に、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度を取得し(ステップS11)、取得したATFの温度により、トランスミッションECU17のRAMに記憶された油温履歴を更新する(ステップS12)。そして、トランスミッションECU17は、ATFの劣化度を算出する(ステップS13)。
次に、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満であるか否かを判定する(ステップS31)。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値A以上であれば、ステップS32に移行し、ATF劣化度が判定閾値A未満であれば、ステップS34に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A未満である場合(ステップS31の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"(ATF冷却開始温度の初期値)に補正する(ステップS34)。続いて、トランスミッションECU17は、ATF冷却量を、"Q"(ATF冷却量の初期値)に補正する(ステップS61)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値A以上である場合(ステップS31の判定でNo)には、ATF劣化度が判定閾値B未満であるか否かを判定する(ステップS32)。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値B以上であれば、ステップS33に移行し、ATF劣化度が判定閾値B未満であれば、ステップS35に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B未満である場合(ステップS32の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS35)。続いて、トランスミッションECU17は、ATF冷却量を、"Q"に補正する(ステップS62)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値B以上である場合(ステップS32の判定でNo)には、ATF劣化度が判定閾値C未満であるか否かを判定する(ステップS33)。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C未満でない、すなわち、ATF劣化度が判定閾値C以上であれば、ステップS37に移行し、ATF劣化度が判定閾値C未満であれば、ステップS36に移行する。トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C未満である場合(ステップS33の判定でYes)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS36)。続いて、トランスミッションECU17は、ATF冷却量を、"Q"に補正する(ステップS63)。
一方、トランスミッションECU17は、ATF劣化度が判定閾値C以上である場合(ステップS33の判定でNo)には、ATF冷却開始温度を、"T"に補正する(ステップS37)。続いて、トランスミッションECU17は、ATF冷却量を、"Q"に補正する(ステップS64)。
次に、トランスミッションECU17は、供給ATF温度センサ44により検出されたATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"(設定済みのATF冷却開始温度)より高くなっているか否かを判定する(ステップS16)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていれば、ステップS17に移行し、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっていなければ、ステップS11に戻る。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなっている場合(ステップS16の判定でYes)には、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45の出力先を、ATF通路62から冷却用通路64に切り換えて、ATFをオイルクーラ43に流し、冷却させる(ステップS17)。
次に、トランスミッションECU17は、切り換えバルブ45を切り換えてからオイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"(設定済みのATF冷却量)以下であるか否か判定する(ステップS52)。トランスミッションECU17は、冷却用通路64を介してオイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"以下であれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、オイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"を超えたら、ステップS18に移行する。
オイルクーラ43に供給したATFの量が、ATF冷却量"Q"を超えた場合には、トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりまだ高いか否かを判定する(ステップS18)。トランスミッションECU17は、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"よりも高いままであれば、ステップS17に戻り、そのままATFを冷却させ続け、ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなったら、ステップS19に移行する。
ATF通路61内のATFの温度が、ATF冷却開始温度"T"より高くなくなった場合(ステップS18の判定でNo)には、トランスミッションECU17は、ATFの冷却を終了させるため、切り換えバルブ45の出力先を、冷却用通路64からATF通路62に切り換えて、ATFを、オイルクーラ43を通さずに自動変速機5の潤滑部に供給させ(ステップS19)、ステップS11に戻る。
以上のように、本発明の実施の形態に係る自動変速機5のATF冷却装置40においては、トランスミッションECU17により判定されたATFの劣化度の段階に応じて、ATFを冷却させるATF冷却量を複数のATF冷却量から選択して補正し、ATFの劣化度の段階に応じてオイルクーラ43に冷却させるATF冷却量を異ならせるので、ATFが新しく温度が上がりづらいときにはATFの冷却量を少なく、ATFが劣化して温度が上がりやすい場合には、ATFの劣化度の段階に応じて徐々に冷却量を多くして、オイルクーラ43に余計なATFの冷却をさせず、ATFの過加熱を防止しつつ、必要に即したATFの冷却を行うことができ、ATFの状態に応じたきめ細やかな制御が行え、ATFの異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができる。
なお、本実施の形態では、作動油をATFとし、自動変速機5における潤滑作用や冷却作用を行うものとしているが、これに限らず、エンジン2における潤滑作用や冷却作用を行うもの、いわゆるエンジンオイルとしてもよい。この場合も、エンジンオイル冷却装置として、上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、オイルクーラ43において、ATFを冷却する冷却水として、エンジン2の冷却水を用いているが、これに限らず、自動変速機5の冷却水を用いるようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、オイルクーラ43の冷却を、冷却水により行う水冷式のものを用いているが、これに限らず、空冷式のオイルクーラを用いるようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATFの冷却手段として、オイルクーラ43を用いているが、これに限らず、他の冷却方法を用いるようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATFの温度検出のために、ATF通路61内のATFの温度を検出する供給ATF温度センサ44を用いているが、これに限らず、油温センサ31を用いて自動変速機5内のATFの温度を検出するようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATFの劣化度を油温履歴によって検出するようにしているが、これに限らず、他のオイル劣化検出装置、例えば、窒素酸化物量に基づいてオイル劣化度を検出する装置等によりATF劣化度を検出するようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATF冷却開始温度を複数有し、ATF劣化度に応じて切り換える場合に、ATF劣化度が判定閾値A未満のとき、ATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qをそれぞれの初期値であるATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qに補正するようにしているが、これに限らず、オイル交換時にのみATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qに補正するようにして、ATF劣化度が判定閾値A未満のときには、ATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qを変更しないようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATF劣化度が判定閾値を超えた場合、また、ATF冷却開始温度を複数有し、ATF劣化度に応じて切り換える場合には、ATF劣化度の判定後に、毎回補正するATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qを代入するようにしているが、これに限らず、ATF劣化度の範囲が前回と同じ場合には、ATF冷却開始温度TおよびATF冷却量Qの補正処理を行わないようにしてもよい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、ATF冷却量によってオイルクーラ43によるATF冷却の終了判定を行う場合において、ATFの温度についてもチェックして終了判定を行うようにしているが、これに限らず、ATFの温度によるATF冷却終了判定を行わないようにしてもよい。このとき、ATF冷却量は、十分にATFの温度が下がるような値に設定しておくことが望ましい。この場合も上述した自動変速機のATF冷却装置と同様の効果が得られる。
以上のように、本発明に係る自動変速機の作動油冷却装置は、作動油の劣化度に応じて、作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正するので、作動油の過加熱を防止しつつ、必要に即して作動油の冷却を行うことができ、作動油の異常劣化を防止するとともに、燃費の向上を計ることができるという効果を有し、自動変速機の作動油を冷却する自動変速機の作動油冷却装置等として有用である。
本発明の第1の実施の形態における車両の制御装置の概略ブロック構成図である。 本発明の第1の実施の形態における自動変速機のATF冷却装置を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態におけるトランスミッションECUのRAMに記録されたATFの油温履歴を示す図である。 基準温度におけるATF経過時間にしたがった劣化度を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態におけるトランスミッションECUのROMに記憶されたATF劣化度に対するATF冷却開始温度を規定した対応表である。 本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る自動変速機のATF冷却装置におけるATF冷却制御プログラムの概略処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 車両
2 エンジン
3 トルクコンバータ
4 変速機構
5 自動変速機
13 エンジンECU
15 油圧制御回路
17 トランスミッションECU(作動油冷却制御手段、作動油劣化度判定手段、作動油冷却開始温度補正手段、油温履歴記憶手段、油温履歴更新手段、作動油冷却開始温度記憶手段、作動油冷却量記憶手段)
21 エンジン回転数センサ
22 吸入空気量センサ
23 吸入空気温度センサ
24 スロットルセンサ
25 車速センサ
26 冷却水温センサ
27 ブレーキセンサ
28 シフトレバー
29 操作位置センサ
30 スロットルバルブ
31 油温センサ
32 アクセルペダル
40 ATF冷却装置
41 オイルパン(作動油貯留手段)
42 オイルポンプ(作動油供給手段)
43 オイルクーラ(作動油冷却手段)
44 供給ATF温度センサ(油温検出手段)
45 切り換えバルブ
51 ストレーナ
52 リリーフバルブ
53 チェックバルブ
54 オイルフィルタ
55 ラジエータ
61 ATF通路
62 ATF通路
63 戻り通路
64 冷却用通路
65 冷却用通路
66 保護通路
71 冷却水通路
72 冷却水通路
73 冷却水通路

Claims (4)

  1. 自動変速機に供給される作動油を貯留する作動油貯留手段と、
    前記作動油貯留手段に貯留された作動油を吸い上げ、前記自動変速機に供給する作動油供給手段と、
    前記作動油の冷却を行う作動油冷却手段と、
    前記自動変速機に供給される作動油の温度を検出する油温検出手段と、
    前記油温検出手段に検出された温度が、所定の作動油冷却開始温度に達したとき、前記作動油冷却手段に前記作動油を冷却させる作動油冷却制御手段と、
    前記作動油の劣化度を判定する作動油劣化度判定手段と、
    前記作動油劣化度判定手段により前記作動油が劣化したと判定されたとき、前記作動油冷却制御手段が前記作動油冷却手段に前記作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正する作動油冷却開始温度補正手段と、
    を備えたことを特徴とする自動変速機の作動油冷却装置。
  2. 前記作動油の油温履歴を記憶する油温履歴記憶手段と、
    前記油温検出手段に検出された油温により、前記油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴を更新する油温履歴更新手段と、
    作動油劣化時用の前記作動油冷却開始温度を、前記作動油劣化度に応じて複数記憶する作動油冷却開始温度記憶手段と、
    を備え、
    前記作動油劣化度判定手段は、前記油温履歴更新手段により更新された前記油温履歴記憶手段に記憶された油温履歴によって、前記作動油劣化度を判定し、
    前記作動油冷却開始温度補正手段は、前記作動油冷却開始温度記憶手段に記憶された前記複数の作動油冷却開始温度から、前記作動油劣化度判定手段によって判定された作動油劣化度に応じた前記作動油冷却開始温度を選択して、前記作動油冷却手段に前記作動油の冷却を開始させる作動油冷却開始温度を補正することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の作動油冷却装置。
  3. 前記作動油劣化度判定手段により前記作動油が劣化したと判定されたとき、前記作動油冷却制御手段が前記作動油冷却手段に冷却させる前記作動油の冷却量を補正する作動油冷却量補正手段を備え、
    前記作動油冷却制御手段は、前記油温検出手段に検出された温度が、前記作動油冷却開始温度に達したとき、前記作動油冷却量補正手段により補正された冷却量分の作動油を、前記作動油冷却手段に冷却させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の作動油冷却装置。
  4. 作動油劣化時用の前記作動油冷却量を、前記作動油劣化度に応じて複数記憶する作動油冷却量記憶手段を備え、
    前記作動油冷却量補正手段は、前記作動油冷却量記憶手段に記憶された前記複数の作動油冷却量から、前記作動油劣化度判定手段によって判定された作動油劣化度に応じた前記作動油冷却量を選択して、前記作動油冷却手段に前記作動油を冷却させる作動油冷却量を補正することを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の作動油冷却装置。
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