JP2008039117A - ベルト式無段変速機における油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油温が極低温状態である−20℃未満の場合には、セカンダリ圧設定値を高い油圧(2MPa)となるように制御する。これにより、オイルポンプの吐出圧が上昇するとともに軸受けへと供給される油量が増加するので、エンジンの回転数がオイルポンプの焼き付き限界回転数まで上昇した場合でも、オイルポンプの軸受けが十分に潤滑されて焼き付きの発生を防止することができる。
【選択図】図3
Description
このようなベルト式無段変速機は、入力トルクと変速比に応じてプーリの推力を求め、この推力をセカンダリプーリおよびプライマリプーリの受圧面積などの所定値に基づいて油圧に換算し、この油圧をプライマリ圧およびセカンダリ圧の目標値として変速機構に指示するものである。
このようなベルト式無段変速機として、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
このようなオイルポンプは、オイルパンから吸い上げた油を加圧し、加圧した油の一部を自身に備えられた回転軸を支持する軸受けに供給することによって、回転軸の焼き付きを防止している。
また、自身が吐出する油圧が高くなるにしたがって、軸受けに潤滑油として供給する油量が多くなるオイルポンプがある。
このようなオイルポンプとして例えば特許文献2に記載されたものがある。
図1は、本発明をベルト式無段変速機に適用した概略構成を示す。
図1において、前後進切り替え機構4を備えた変速機構部5、およびロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ2より構成されるベルト式無段変速機3がエンジン1に連結される。変速機構部5は一対の可変プーリとして入力軸側のプライマリプーリ10、出力軸13に連結されたセカンダリプーリ11を備え、これら一対の可変プーリ10、11はVベルト12によって連結されている。なお、出力軸13はアイドラギア14を介してディファレンシャル6に連結される。
さらに、エンジン1を冷却するための冷却水の温度を検出する水温センサ28を備え、水温センサ28による検出結果がCVTコントロールユニット20に入力される。
シフトレバーの操作位置を検出するインヒビタースイッチ23を備え、インヒビタースイッチ23によって検出されたシフトレバーの操作位置情報(以下、レンジ信号とも呼ぶ)がCVTコントロールユニット20に入力される。
セカンダリプーリ11は、出力軸13と一体となって回転する固定円錐板11bと、固定円錐板11bとの対向位置に配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧(以下、セカンダリ圧と呼ぶ)に応じて軸方向に変位可能な可動円錐板11aから構成される。
動力取り出しギヤ71の径方向外側位置に、ポンプ入力ギヤ73を備えたオイルポンプ7が配置されている。
オイルポンプ7は、自動変速機内の気中に配置されている。
動力取り出しギヤ71とポンプ入力ギヤ73との間にチェーン72が掛け渡され、エンジン1の回転がポンプインペラー2A、動力取り出しギヤ71、チェーン72を介してオイルポンプ7に入力される。
特にオイルポンプ7は、オイルパンから吸い込んだ油を、自身の構成要素である回転軸を支持する軸受け75に供給して、軸受け75の潤滑を行う。
CVTコントロールユニット20は、エンジンからの入力トルク情報等に基づいて、所定の変速比を維持するために必要なプライマリ圧およびセカンダリ圧を算出する。
またCVTコントロールユニット20は、算出したセカンダリ圧をライン圧とする。
油圧コントロールユニット100内には、オイルポンプ7より出力された油圧を調圧する調圧弁が備えられ、油圧コントロールユニット100はCVTコントロールユニット20によって算出されたライン圧となるように、オイルポンプ7より出力された油圧を調圧してライン圧を生成する。
油圧コントロールユニット100は、ライン圧を調圧することによってプライマリ圧およびセカンダリ圧を生成する。
そこでCVTコントロールユニット20は、まずエンジントルクからの入力トルク等より必要なセカンダリ圧を算出し、セカンダリ圧に基づいてライン圧を算出した後、算出したライン圧となるようにオイルポンプ7から出力された油圧を制御する。
なおエンジン始動直後はセカンダリ圧に基づいてライン圧が算出されるため、CVTコントロールユニット20によってセカンダリ圧を決定し、油圧コントロールユニット100によってセカンダリ圧の油圧を制御することによって、結果的にオイルポンプ7の吐出圧を制御することとなる。
図2のステップ100においてCVTコントロールユニット20は、低温始動時判定が成立したかどうかを判断する。
具体的には、油温センサ25によって検出された油温が所定値未満または水温センサ28によって検出された水温が所定値未満である場合、エンジン1の回転速度が所定値未満である場合、インヒビタースイッチ23によって検出されたシフトレバーの操作位置がP(駐車)レンジまたはN(中立)レンジである場合、油温センサ25および水温センサ28が故障でない場合、のすべての条件が成立したときに、低温始動時判定が成立したものとして判定する。
低温始動時判定が成立するとステップ101へ進む。低温始動時判定が成立しない場合は、ステップ109へ進み、油温が常温時の場合におけるセカンダリ圧制御を行う。
油温が−20℃未満である場合にはステップ102へ進み、そうでない場合にはステップ104へ進む。
ステップ102において、セカンダリ圧の極低温始動時制御を開始する。
なお極低温始動時制御は、図2に示す制御と平行して行われるものであり、極低温始動時制御中においても図2のステップ103の分岐判断が行われ、ステップ103の判断結果にもとづいて極低温始動時制御が終了、または継続されるものである。
図3に、CVTコントロールユニット20が油圧コントロールユニット100に対して指示するセカンダリ圧設定値の変化を油温状態ごとに分けて示す。また図4に極低温始動時制御の処理の流れを示す。
CVTコントロールユニット20はステップ200において、車両のイグニッションがオン(図3の時刻t1)となってから、エンジンが正常に始動したと判定できる回転数(以下、始動判定回転数と呼ぶ)となったかどうかを判断する。
エンジン回転数が始動判定回転数以上となった場合(時刻t2)にはステップ201へ進み、そうでない場合にはステップ204へ進む。
これによってエンジンの始動時に、オイルポンプ7が油圧を発生させる必要がなくなり、ポンプの負荷が減り、エンジンを効率よくクランキングさせることができる。
これは、エンジン回転数の上昇に合わせて所定値から徐々に大きくなるセカンダリ圧の値を油圧コントロールユニット100に対して指示するものである。
このセカンダリ圧設定値の上昇勾配は、油圧上昇に伴うオイルポンプ7の負荷によってエンジン1がストールを起こさないように設定されている。
またオイルポンプ7は、ポンプの吐出圧が低い場合、かつ、油温が−20℃未満の時には油の粘度が高いため、十分な量の油を自身に備えられた回転軸を支持する軸受け75に供給することができない。さらにオイルポンプ7は、軸受け75の潤滑が不十分な状態でエンジン1の回転数が1800rpm以上となったときに、軸受け部分での焼き付きが発生するものとする。
この所定の吐出圧は、本実施例におけるベルト式無段変速機3においては、たとえばセカンダリ圧として2MPaの油圧を生成するために必要な油圧をオイルポンプ7が吐出する場合の圧力となっている。
したがって、油温が−20℃未満の場合、エンジン回転数が1800rpmとなるときに、セカンダリ圧として2MPaの油圧を生成するために必要な油圧をオイルポンプ7が吐出している場合には、オイルポンプ7の軸受け75が焼き付くといった不具合が発生しない。
ステップ202において、セカンダリ圧設定値が2MPaとなったかどうかを判断し、セカンダリ圧設定値が2MPaとなった場合にはステップ203へ進み、2MPaとなっていない場合にはステップ201におけるエンジン回転数に応じたセカンダリ圧設定値の制御を続ける。
CVTコントロールユニット20は、セカンダリ圧設定値を2MPaまで上昇させた後、ステップ203において図3の時刻t4以降、セカンダリ圧設定値として2MPaの値を指示する。
この極低温始動時制御は、図2のステップ103において油温が−20℃未満でなくなったと判断されるまで続けられる。
油温が−20℃未満でなくなった場合には極低温始動時制御を終了してステップ105へ進む。一方、油温が−20℃未満である場合にはステップ102へ戻り、極低温始動時制御を続ける。
油温が0℃未満である場合にはステップ105へ進み、油温が0℃以上の常温である場合にはステップ109へ進む。
ステップ105において、セカンダリ圧の低温始動時制御を開始する。
なお低温始動時制御は、図2に示す制御と平行して行われるものであり、低温始動時制御中においても図2のステップ106〜108の分岐判断が行われ、ステップ106〜108の判断結果にもとづいて低温始動時制御が終了、または継続されるものである。
図5に、低温始動時制御の処理の流れを示す。
ステップ300、301、305における処理は、図4のステップ200、201、204における処理と同じであり、説明を省略する。
なおステップ301の制御においてエンジン回転数に応じて上昇させるセカンダリ圧設定値の上昇勾配は、ステップ201におけるセカンダリ圧設定値の上昇勾配と同じ上昇勾配を用いるものとする。
ステップ302において、セカンダリ圧設定値が1.3MPaとなったかどうかを判断し、セカンダリ圧設定値が1.3MPaとなった場合にはステップ303へ進み、1.3MPaとなっていない場合にはステップ301における処理を繰り返す。
CVTコントロールユニット20は、セカンダリ圧設定値を1.3MPaまで上昇させた後、ステップ303において図3の時刻t3以降、セカンダリ圧設定値として1.3MPaの値を指示する。
この低温始動時制御は、図2のステップ106〜108において、詳しくは後述するがPレンジ(またはNレンジ)からD(前進)レンジへの切り替わりがあった、または、油温が0℃以上となったと判断されるまで続けられる。
シフトレンジの切り替えが合った場合にはステップ109へ進み、切り替えがない場合にはステップ107へ進む。
シフトレンジの切り替えがあると低温始動時制御を終了し、詳しくは後述するがステップ109においてセカンダリ圧設定値を、油温が常温状態のときに指示するセカンダリ圧設定値(0.7MPa)とする。
したがって図3において、シフトレンジの切り替えが発生した時刻t5以降において、セカンダリ圧設定値として0.7MPaを指示する。
ステップ108において油温が0℃未満であるかどうかを判断し、油温が0℃未満である場合にはステップ105へ戻り、低温始動時制御を続ける。一方、油温が0℃未満でない場合にはステップ109へ進み、油温が常温状態の時におけるセカンダリ圧制御を行う。
常温時のセカンダリ圧制御中にアクセルが踏み込まれた場合には、CVTコントロールユニット20は、エンジンのトルク等に応じてセカンダリ圧設定値を上昇させる。
また低温始動時制御中にPレンジからDレンジへのシフト切り替えがあった場合には、常温時のセカンダリ圧制御に切り替わる。さらに、極低温始動時制御中は、油温が−20度未満でなくなったときに低温始動時制御に移行するものである。
また、油温が−20℃以上0℃未満の場合には、セカンダリ圧設定値を1.3MPaとし、油温が極低温状態、低温状態、常温状態の3パターンに分けてセカンダリ圧設定値を変化させることにより、油温の状態に応じてオイルポンプ7の吐出圧の増加量を適切なものとして、オイルポンプ7の軸受け75の潤滑を確実に行うことができる。
またイグニッションがオンとなった後(図3の時刻t1)、エンジン回転数が始動判定回転数となるまではセカンダリ圧設定値を上昇させないものとしたので、エンジン1の始動時にオイルポンプ7の駆動負荷がなくなり、エンジン1の始動性能を向上させることができる。
2 トルクコンバータ
3 ベルト式無段変速機
4 前後進切り替え機構
5 変速機構部
7 オイルポンプ
10 プライマリプーリ
11 セカンダリプーリ
12 Vベルト
20 CVTコントロールユニット
21 エンジンコントロールユニット(ECU)
23 インヒビタースイッチ
24 スロットル開度センサ
25 油温センサ
28 水温センサ
71 動力取り出しギヤ
72 チェーン
73 ポンプ入力ギヤ
75 軸受け
100 油圧コントロールユニット
Claims (4)
- ベルトを挟持するプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、
油圧を生成するとともに、自身の回転軸を支持する軸受けに自身が吐出する油の一部を潤滑油として供給し、吐出圧の増加に伴って前記潤滑油の量が増加するオイルポンプと、
前記プライマリプーリに供給するプライマリ圧および前記セカンダリプーリに供給するセカンダリ圧の基圧として前記オイルポンプの吐出圧より生成されるライン圧の設定値を算出し、さらに、前記プライマリ圧の設定値および前記セカンダリ圧の設定値を算出するCVTコントロールユニットとを備え、
該CVTコントロールユニットは、変速比が所定変速比となるまでは、前記セカンダリ圧の設定値より前記ライン圧の設定値を算出するベルト式無段変速機における油圧制御装置において、
前記オイルポンプが吸い込む油の温度を検出する油温センサと、
前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサとを備え、
前記CVTコントロールユニットは、
前記油温センサによって油温が第1の所定温度未満の極低温であることが検出されている場合に、
前記エンジンの始動後、前記オイルポンプの軸受けの潤滑が不十分な場合に焼き付が生じる限界回転数となるまでは、
前記エンジンの回転数に応じた所定の変化率で前記セカンダリ圧設定値を上昇させ、
前記セカンダリ圧設定値が前記極低温設定圧となった後は、前記セカンダリ圧設定値を前記極低温設定圧で維持し、
前記油温が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度以上の常温となったときに、前記セカンダリ圧設定値を油温が常温状態の場合におけるセカンダリ圧設定値とすることを特徴とするベルト式無段変速機における油圧制御装置。 - 前記CVTコントロールユニットは、
前記油温センサによって油温が、前記第2の所定温度未満であり、かつ、前記第1の所定温度以上の低温であることが検出されている場合に、
前記エンジンの始動後、前記油温が常温状態の場合におけるセカンダリ圧設定値よりも高く、かつ、前記極低温設定圧よりも低い低温設定圧となるように、前記エンジンの回転数に応じた所定の変化率で前記セカンダリ圧設定値を上昇させ、前記セカンダリ圧設定値が前記低温設定圧となった後は、前記セカンダリ圧設定値を前記低温設定圧で維持することを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機における油圧制御装置。 - 変速機のレンジ位置を検出するインヒビタースイッチを備え、
前記CVTコントロールユニットが、前記セカンダリ圧設定値として低温設定圧を設定している場合に、
前記インヒビタースイッチによって駐車レンジから前進レンジへのシフト切り替えが検出された場合、または中立レンジから前進レンジへのシフト切り替えが検出された場合に、
前記セカンダリ圧設定値を、前記油温が常温状態の場合におけるセカンダリ圧設定値とすることを特徴とする請求項2に記載のベルト式無段変速機における油圧制御装置。 - 前記CVTコントロールユニットは、
前記エンジン回転数が所定回転数以上となった後から、前記セカンダリ圧設定値を所定の変化率で上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のベルト式無段変速機における油圧制御装置。
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