JP2011086464A - リチウム二次電池用負極活物質、それを用いたリチウム二次電池及びリチウム二次電池用負極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウム二次電池10は、リチウムを吸蔵・放出可能な正極活物質12を含む正極シート13と、負極活物質17を含む負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水電解液20とを備えている。ここでは、負極活物質17は、スピネル型構造を有し、一般式LiM0.5Ti1.5O4(MはFe,Co,Ni,Mn及びZnのうちいずれか1以上の元素)で表され、リチウムイオンを吸蔵・放出するリチウムチタン複合酸化物が含まれている。この負極活物質17は、一般式[Li1/2M1/2][Li1/2Ti3/2]O4で表される構造を有し、リチウムイオン伝導トンネルを形成する立方密充填酸素配列中の4配位位置とこの4配位位置に隣接する6配位位置とをMが移動することによりリチウムイオンを吸蔵・放出する。
【選択図】図1
Description
Ti金属粉末を用いたLiM0.5Ti1.5O4(M=Fe)を合成した。このLiFe0.5Ti1.5O4の合成には、Li2CO3、Ti金属粉末及びMの原料としてFe2O3を出発原料として用いた。これら出発原料を上記組成となるように配合した。この配合した原料を乳鉢で混合し、混合した粉末を直径2cm、厚さ5mm程度のペレットに加圧成型した。成形したペレットをアルゴン雰囲気下1000℃で16時間焼成することにより合成したLiM0.5Ti1.5O4を実施例1の負極活物質とした。
Ti金属粉末を用いたLiM0.5Ti1.5O4(M=Mn)を合成しこれを実施例2の負極活物質とした。実施例2は、Mの原料をMnO2とした以外は実施例1と同様の工程を経て、得られたLiMn0.5Ti1.5O4とした。また、Ti金属粉末を用いたLiM0.5Ti1.5O4(M=Co)を合成しこれを実施例3の負極活物質とした。実施例3は、Mの原料をCo3O4とした以外は実施例1と同様の工程を経て、得られたLiCo0.5Ti1.5O4とした。
Ti金属粉末を用いないLiM0.5Ti1.5O4(M=Zn)を合成しこれを実施例4の負極活物質とした。実施例4は、リチウム原料をLiOH・H2Oとし、チタン原料をTiO2(ルチル型)とし、Mの原料をZnOとした以外は実施例1と同様の工程を経て、得られたLiZn0.5Ti1.5O4とした。
Ti金属粉末を用いないLiM0.5Ti1.5O4(M=Fe,Mn及びCo)を合成しそれぞれを実施例5〜7の負極活物質とした。実施例5は、リチウム原料をLiOH・H2Oとし、チタン原料をTiO2(ルチル型)とし、Mの原料をFeOとした以外は実施例1と同様の工程を経て得られたLiFe0.5Ti1.5O4とした。実施例6は、リチウム原料をLiOH・H2Oとし、チタン原料をTiO2(ルチル型)とし、Mの原料をMnOとした以外は実施例2と同様の工程を経て得られたLiMn0.5Ti1.5O4とした。実施例7は、リチウム原料をLiOH・H2Oとし、チタン原料をTiO2(ルチル型)とし、Mの原料をCoOとした以外は実施例3と同様の工程を経て得られたLiCo0.5Ti1.5O4とした。
Ti金属粉末を用いないLiM0.5Ti1.5O4(M=Mg)を合成し比較例1の負極活物質とした。比較例1は、リチウム原料をLiOH・H2Oとし、チタン原料をTiO2(ルチル型)とし、Mの原料をMg(OH)2とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られたLiMg0.5Ti1.5O4とした。
実施例1〜4及び比較例1の粉末X線回折測定を行った。X線回折測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用したX線回折装置(RINT2200、リガク社製)を用いて行った。X線回折測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定して測定を行った。また、X線回折測定は、3°/minの走査速度で10°から100°(2θ)の角度範囲の条件で行った。
上記手法で作製した実施例1〜7,比較例1の負極活物質を85重量%、導電材としてカーボンブラックを5重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを10重量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて、実施例1〜7,比較例1の円盤状の電極を準備した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比で30:70の割合で混合した非水溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記実施例1〜7,比較例1の電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東燃タピルス)を挟んで実施例1〜7,比較例1の二極式評価セルを作製した。
作製した二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.1C(0.3mA)で0Vまで還元(充電)したのち、0.1C(0.3mA)で3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ1red、酸化容量をQ1oxiとし、初期充放電時の可逆率(%)をRrev=[Q1oxi/Q1red×100]と定義した。また、この充放電操作を30回繰り返したときの30回目の還元容量をQ30redとし、Q1redに対するQ30redの割合である容量維持率Rcyc(%)=[Q30red/Q1red×100]を用いて充放電サイクル挙動を評価した。
実施例1〜4及び比較例1の二極式評価セルを20℃の温度環境下、0.1C(0.3mA)で0Vまで還元(充電)した。その後、アルゴン雰囲気中のグローブボックスでセルを解体して還元状態の電極を取り出し、ポリエチレン袋に密閉した。そのようにして作製した密閉電極をX線回折装置に設置し、還元状態の電極のX線回折測定を行った。また、上記二極式評価セルを20℃の温度環境下、0.1C(0.3mA)で0Vまで還元(充電)したあと、3.0Vまで再酸化(放電)し、同様の方法でX線回折測定を行った。
図2は、実施例1〜4の負極活物質のX線回折測定結果である。図3は、実施例1の負極活物質、還元及び再酸化状態の電極のX線回折測定結果である。図4は、実施例2の負極活物質、還元及び再酸化状態の電極のX線回折測定結果である。図5は、実施例3の負極活物質、還元及び再酸化状態の電極のX線回折測定結果である。図6は、実施例4の負極活物質、還元及び再酸化状態の電極のX線回折測定結果である。図7は、比較例1の負極活物質及び還元状態の電極のX線回折測定結果である。図8は、実施例1〜4の二極式評価セルの充放電測定結果である。図9は、実施例1〜4の二極式評価セルの充放電サイクル試験結果である。図10は、比較例1の負極活物質を用いた二極式評価セルの充放電試験結果である。また、実施例1〜7及び比較例1の初期充電容量Q1red(mAh/g)、繰返充電容量Q30red、可逆率Rrev(%)、容量維持率Rcyc(%)をまとめて表1に示す。
Claims (7)
- 非水系のリチウム二次電池に用いられる負極活物質であって、
スピネル型構造を有し、一般式LiM0.5Ti1.5O4(MはFe,Co,Ni,Mn及びZnのうちいずれか1以上の元素)で表され、リチウムイオンを吸蔵・放出するリチウムチタン複合酸化物を含む、
リチウム二次電池用負極活物質。 - 前記リチウムチタン複合酸化物は、一般式[Li1/2M1/2][Li1/2Ti3/2]O4で表される構造を有し、リチウムイオン伝導トンネルを形成する立方密充填酸素配列中の4配位位置と該4配位位置に隣接する6配位位置とを前記Mが移動することによりリチウムイオンを吸蔵・放出する、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
- 前記リチウムチタン複合酸化物は、前記MがFeである、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
- 前記リチウムチタン複合酸化物は、チタン金属を原料として製造されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
- リチウムを吸蔵・放出可能な正極活物質を含む正極と、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極活物質を含む負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム二次電池。 - 非水系のリチウム二次電池に用いられる負極活物質の製造方法であって、
一般式LiM0.5Ti1.5O4(MはFe,Co,Ni,Mn及びZnのうちいずれか1以上の元素)の組成で表されるリチウムチタン複合酸化物となるようにチタン金属を原料として各元素を配合する配合工程と、
前記配合した原料を焼成する焼成工程と、を含む、
リチウム二次電池用負極活物質の製造方法。 - 前記焼成工程では、900℃以上の焼成温度で前記配合した原料を焼成し、スピネル型構造を有する前記リチウムチタン複合酸化物を作製する、請求項6に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
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