JP2015207538A - 非水電解液リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】非水電解液リチウム二次電池の出力特性及び高温耐久性を、より向上させる手段の提供。
【解決手段】非水電解液リチウム二次電池20は、充電状態が100%である正極22を5℃/分の昇温速度でDSC測定したときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置する。また、この非水電解液リチウム二次電池20では、充電状態が60%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲、より好ましくは1℃以上10℃以下の範囲で高温側にある。正極22は、リチウム複合酸化物として、基本組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2(但し、0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9を満たす)を含む。
【選択図】図1
【解決手段】非水電解液リチウム二次電池20は、充電状態が100%である正極22を5℃/分の昇温速度でDSC測定したときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置する。また、この非水電解液リチウム二次電池20では、充電状態が60%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲、より好ましくは1℃以上10℃以下の範囲で高温側にある。正極22は、リチウム複合酸化物として、基本組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2(但し、0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9を満たす)を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液リチウム二次電池に関する。
従来、非水電解液リチウム二次電池としては、例えば、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含む層構造の酸化物において、LiNiO2(x)−LiMnO2(y)−LiCoO2(z)系三角相図において、所定の5点を頂点とする五角形領域に含まれる材料について提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電池では、リチウム金属を対極に用いたコイン型電池において4.4Vで充電したあと10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったとき、200℃以下に実質的な発熱ピークが現れないことが好ましいとしている。また、非水電解液リチウム二次電池としては、正極活物質を含有する正極、負極活物質として炭素材料を含有する負極、耐熱性微粒子を主成分として含み、厚みが3μm以上の耐熱多孔質層とポリオレフィン製の樹脂膜とを有するセパレータ、および非水電解液を有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この電池では、正極をDSC測定したときに、DSCにより求められる発熱の総量が1.2kJ/g以下であることが好ましいとしている。また、非水電解液リチウム二次電池としては、正極材料として、一般式LiNix(Mn,Co)1-xO2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いるものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。この電池では、正極をリチウム基準4.5Vまで定電流定電圧(CCCV)方式で充電したあと正極を取り出し、昇温速度10℃/分で室温から400℃までDSC測定による発熱挙動を測定したとき、300J/g以下の発熱量を示すことを特徴としている。また、非水電解液リチウム二次電池としては、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含む酸化物であり、リチウム基準で4.5Vまで充電した状態でDSC測定を行った場合に、270℃以上390℃以下の温度領域に発熱ピークを有する正極活物質を用いたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、上述の特許文献1〜4では、反応熱量はより小さいことが好ましいなど、DSC測定を行うことによって安全性をより向上することについて検討しているが、出力特性や高温耐久性を向上することは十分検討されていなかった。非水電解液リチウム二次電池では、出力特性及び高温耐久性について更なる向上が望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、出力特性及び高温耐久性をより向上することができる非水電解液リチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、所定の正極活物質と所定の添加剤を含む非水電解液とを備えるものにおいて、所定の充電状態で正極を示差走査熱量測定したときの発熱ピークが特定の範囲にあるものとすると、出力特性及び高温耐久性をより向上することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水電解液リチウム二次電池は、
リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含み六方晶に帰属される層構造を有するリチウム複合酸化物を含有する正極と、
リチウムを吸蔵、放出する負極と、
LiPO2F2と支持塩とカーボネートの溶媒とを含みリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備え、
前記正極は、充電状態が100%である該正極を5℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行ったときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置し、充電状態が60%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲にあるものである。
リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含み六方晶に帰属される層構造を有するリチウム複合酸化物を含有する正極と、
リチウムを吸蔵、放出する負極と、
LiPO2F2と支持塩とカーボネートの溶媒とを含みリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備え、
前記正極は、充電状態が100%である該正極を5℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行ったときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置し、充電状態が60%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲にあるものである。
本発明の非水電解液リチウム二次電池は、出力特性及び高温耐久性をより向上することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、リチウム複合酸化物内の遷移金属イオンと酸化物イオンとの結合力や、正極と非水電解液との界面反応は、DSC測定の発熱ピーク温度と密接な関係があると考えられる。非水電解液リチウム二次電池を充電させると正極内のリチウム複合酸化物からリチウムイオンが引き抜かれ、正極活物質は酸化状態となる。ここで、正極の充電生成物は、150〜300℃程度の高温で非水電解液の酸化分解の要因となり、非水電解液の燃焼に相当する発熱反応を引き起こす。複雑な相互作用などのため原因は定かではないが、充電状態60%での正極のDSC測定の発熱ピーク温度に対して充電状態100%の発熱ピーク温度は、通常、負側(−11℃など)にある。ここで、所定の塑性を有する正極活物質を用い、非水電解液にLiPO2F2を添加すると、この発熱ピーク温度の関係がよりプラス側に変化し、上述した非水電解液の酸化分解の際に正極上へより好ましい保護皮膜が生成するものと考えられる。このため、出力特性及び高温耐久性をより向上することができるものと推察される。
本発明のリチウム二次電池は、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含み六方晶に帰属される層構造を有するリチウム複合酸化物を含有する正極と、リチウムを吸蔵、放出する負極と、LiPO2F2と支持塩とカーボネートの溶媒とを含みリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備えている。
本発明のリチウム二次電池の正極は、充電状態が100%であるこの正極を5℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置する。また、正極は、充電状態が60%である正極のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である正極のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲にある。なお、充電状態が60%である正極のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度と充電状態が100%である正極のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度との差を、以下、「DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texo」(℃)と称する。この△Texoが−10℃以上14℃以下の範囲にあると、充放電特性、特に高温耐久性をより向上することができる。この△Texoは、1℃以上10℃以下の範囲で高温側であることが好ましい。この範囲では、充放電特性、特に高温耐久性を更に向上することができる。ここで、「充電状態100%」とは、リチウム金属に対する電位で正極を4.2Vまで充電した状態をいうものとする。また、DSC測定は、充電した電池を解体したあと、正極に付着した非水電解液を有機溶媒などで洗浄することなく得た正極を用いて行うものとする。
本発明のリチウム二次電池の正極は、リチウム複合酸化物として、基本組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2(但し、0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9を満たす)を含むことが好ましい。このリチウム複合酸化物では、LiPO2F2を含む非水電解液と組み合わせたときに、△Texoを好ましい範囲にすることができる。なお、この基本組成式を満たすリチウム複合酸化物を含む正極では、100%の充電状態においてこの正極を5℃/分の昇温速度でDSC測定を行うと、発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置する。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。この正極は、100%の充電状態である正極をDSC測定したときに、DSC測定の発熱ピーク頂点における熱流量(Heat Flow;HF)が酸化物1gあたり3W以上の発熱ピークを示すことが好ましい。即ち、発熱ピークが比較的高いことが好ましい。このように、DSC測定の発熱ピークが高いと、六方晶に帰属される層構造が多く存在することを意味し、充放電特性が高く、好ましい。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えばリチウム複合酸化物の正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム二次電池の負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料が好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池の非水電解液は、支持塩をカーボネートの溶媒に溶解し、更にLiPO2F2とを添加したものとしてもよい。カーボネートの溶媒としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類が挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。
非水電解液は、LiPO2F2が0.5質量%以上2.0質量%未満の範囲で含まれていることが好ましく、0.7質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれていることがより好ましい。この添加剤が0.5質量%以上2.0質量%未満の範囲で含まれていると、充放電特性、特に高温耐久性を向上することができ好ましい。また、非水電解液は、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBoB)を更に含むことが好ましい。LiPO2F2とLiBoBとを電解液に含むと、充放電特性、特に高温耐久性をより一層向上することができ、好ましい。非水電解液は、LiBoBが0.2質量%以上0.8質量%以下の範囲で含まれていることが好ましく、0.3質量%以上0.6質量%以下の範囲で含まれていることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明の非水電解液リチウム二次電池20の一例を示す模式図である。図1に示すように、非水電解液リチウム二次電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。この非水電解液リチウム二次電池20は、電池ケース21内にLiPO2F2と支持塩とカーボネートの溶媒とを含みリチウムイオンを伝導する非水電解液27を収容する。この非水電解液リチウム二次電池20では、充電状態が100%である正極22を5℃/分の昇温速度でDSC測定したときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置する。また、この非水電解液リチウム二次電池20では、充電状態が60%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である正極22のDSC測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲、より好ましくは1℃以上10℃以下の範囲で高温側にある。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜14、19〜26、28〜33が本発明の実施例に相当し、実験例15〜18、27が比較例に相当する。
[実験例1]
(正極活物質の合成)
予め不活性ガスを通気させて溶存酸素を取り除いたイオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトを、Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比になるように溶解させ、これら金属元素の合計モル濃度が2mol/Lとなるように混合水溶液を調整した。同様に溶存酸素を取り除いたイオン交換水を用いて2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.352mol/Lのアンモニア水をそれぞれ調整した。溶存酸素を取り除いたイオン交換水を槽内温度50℃に設定された反応槽に入れ、800rpmで撹拌させた状態で、そこに水酸化ナトリウム水溶液を滴下して液温25℃を基準としたときにpHが12となるように調整した。反応槽に混合水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をpH12に制御しつつ加え、共沈生成物の複合水酸化物を得た。水酸化ナトリウム水溶液のみ適宜加えてpHを12に保ち、2時間撹拌を継続した。その後、50℃で12時間以上静止することで複合水酸化物を粒子成長させた。反応終了後、複合水酸化物をろ過、水洗して取り出し、120℃のオーブン内で一晩乾燥させて複合水酸化物の粉末試料を得た。得られた複合水酸化物粉末と水酸化リチウム粉末とを、リチウムのモル数Lと遷移金属元素(Ni,Mn,Co)の総モル数Mとの比L/Mが1.15となるように混合した。この混合粉末を6MPaの圧力で直径2cm、厚さ5mmのペレットに加圧成型し、空気雰囲気の電気炉にこのペレットを入れ900℃まで2時間で昇温し、その温度で13時間焼成することによりリチウム複合酸化物を得た。焼成後ヒーターの電源を切り、自然放冷した。約8時間後、炉内温度が100℃以下になっていることを確認してペレットを取り出した。誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)にて組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.07、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。上記手法で合成した試料について、以下の検討を実施した。
(正極活物質の合成)
予め不活性ガスを通気させて溶存酸素を取り除いたイオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトを、Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比になるように溶解させ、これら金属元素の合計モル濃度が2mol/Lとなるように混合水溶液を調整した。同様に溶存酸素を取り除いたイオン交換水を用いて2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.352mol/Lのアンモニア水をそれぞれ調整した。溶存酸素を取り除いたイオン交換水を槽内温度50℃に設定された反応槽に入れ、800rpmで撹拌させた状態で、そこに水酸化ナトリウム水溶液を滴下して液温25℃を基準としたときにpHが12となるように調整した。反応槽に混合水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をpH12に制御しつつ加え、共沈生成物の複合水酸化物を得た。水酸化ナトリウム水溶液のみ適宜加えてpHを12に保ち、2時間撹拌を継続した。その後、50℃で12時間以上静止することで複合水酸化物を粒子成長させた。反応終了後、複合水酸化物をろ過、水洗して取り出し、120℃のオーブン内で一晩乾燥させて複合水酸化物の粉末試料を得た。得られた複合水酸化物粉末と水酸化リチウム粉末とを、リチウムのモル数Lと遷移金属元素(Ni,Mn,Co)の総モル数Mとの比L/Mが1.15となるように混合した。この混合粉末を6MPaの圧力で直径2cm、厚さ5mmのペレットに加圧成型し、空気雰囲気の電気炉にこのペレットを入れ900℃まで2時間で昇温し、その温度で13時間焼成することによりリチウム複合酸化物を得た。焼成後ヒーターの電源を切り、自然放冷した。約8時間後、炉内温度が100℃以下になっていることを確認してペレットを取り出した。誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)にて組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.07、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。上記手法で合成した試料について、以下の検討を実施した。
(電池の作製)
得られた試料を正極活物質とし、活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて正極シートを作製した。その後、正極シートをロールプレスに通して高密度化させ、120mm幅×100mm長の形状に切り出して正極電極とした。負極活物質として黒鉛を用い、活物質を95質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、正極と同様にスラリー状合材とした。これらスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて負極シートを作製した。その後、負極シートをロールプレスに通して高密度化させ、122mm幅×102mm長の形状に切り出して負極電極とした。上記正極シートと負極シートとを25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで対向させ、積層型電極体を作製した。この電極体をアルミラミネート型袋に封入し、非水電解液を含侵させた後に密閉してリチウム二次電池を作製した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で30:70で混合した溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解し、LiPO2F2を0.8質量%添加したものを用いた。
得られた試料を正極活物質とし、活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて正極シートを作製した。その後、正極シートをロールプレスに通して高密度化させ、120mm幅×100mm長の形状に切り出して正極電極とした。負極活物質として黒鉛を用い、活物質を95質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、正極と同様にスラリー状合材とした。これらスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて負極シートを作製した。その後、負極シートをロールプレスに通して高密度化させ、122mm幅×102mm長の形状に切り出して負極電極とした。上記正極シートと負極シートとを25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで対向させ、積層型電極体を作製した。この電極体をアルミラミネート型袋に封入し、非水電解液を含侵させた後に密閉してリチウム二次電池を作製した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で30:70で混合した溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解し、LiPO2F2を0.8質量%添加したものを用いた。
(正極の示差走査熱量測定(DSC測定))
リチウム金属に対する電位で4.1V(正極4.2Vに相当)まで電池を充電し、グローブボックス中でラミネート型電池を開封した。電池から微量の正極を切り出し、有機溶媒等で洗浄することなくステンレス製DSCパンに密閉した。DSC測定は測定系にアルゴンガスをフローさせた状態で行い、上限温度400℃まで5℃/分で昇温させたときの発熱挙動を測定した。その後、グローブボックス中で開封したラミネート型電池を再び封入し、電池を3.0Vまで放電後、4.1V充電時の容量の60%に相当する充電容量まで充電し、この充電した電極を用いて同様のDSC測定を行った。図2は、実験例1の充電状態60%及び100%でのDSC測定結果である。この実験例1では、充電状態100%の発熱ピーク頂点における熱流量が9.9W/g、そのピーク温度が307℃であり、充電状態60%の発熱ピーク温度に対する充電状態100%の発熱ピーク温度のシフト量(発熱ピーク温度シフト量△Texo)は5℃高温側であった。
リチウム金属に対する電位で4.1V(正極4.2Vに相当)まで電池を充電し、グローブボックス中でラミネート型電池を開封した。電池から微量の正極を切り出し、有機溶媒等で洗浄することなくステンレス製DSCパンに密閉した。DSC測定は測定系にアルゴンガスをフローさせた状態で行い、上限温度400℃まで5℃/分で昇温させたときの発熱挙動を測定した。その後、グローブボックス中で開封したラミネート型電池を再び封入し、電池を3.0Vまで放電後、4.1V充電時の容量の60%に相当する充電容量まで充電し、この充電した電極を用いて同様のDSC測定を行った。図2は、実験例1の充電状態60%及び100%でのDSC測定結果である。この実験例1では、充電状態100%の発熱ピーク頂点における熱流量が9.9W/g、そのピーク温度が307℃であり、充電状態60%の発熱ピーク温度に対する充電状態100%の発熱ピーク温度のシフト量(発熱ピーク温度シフト量△Texo)は5℃高温側であった。
(充放電サイクル試験)
グローブボックス中で開封したラミネート型電池を再び封入し、1対の対向したステンレス製板で挟んで電極を拘束した。充放電サイクル試験は、電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で、充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行った。サイクルごとに、放電容量を測定した。
グローブボックス中で開封したラミネート型電池を再び封入し、1対の対向したステンレス製板で挟んで電極を拘束した。充放電サイクル試験は、電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で、充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で、放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行った。サイクルごとに、放電容量を測定した。
(容量維持率の評価)
充放電サイクル試験の初回放電容量を初期放電容量として、(500サイクル後の放電容量/初期放電容量×100%)という式を用いて、容量維持率を計算した。
充放電サイクル試験の初回放電容量を初期放電容量として、(500サイクル後の放電容量/初期放電容量×100%)という式を用いて、容量維持率を計算した。
(内部抵抗上昇率の評価)
電池容量の60%の充電状態(SOC=60%)に調整した後に、測定温度25℃において0.2A、0.5A、1A、1.5A、3Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧を直線近似し、その傾きからIV抵抗、即ち、電池の内部抵抗を求めた。内部抵抗上昇率は、{(500サイクル後の抵抗―初期抵抗)/初期抵抗×100%}という式を用いて計算した。
電池容量の60%の充電状態(SOC=60%)に調整した後に、測定温度25℃において0.2A、0.5A、1A、1.5A、3Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧を直線近似し、その傾きからIV抵抗、即ち、電池の内部抵抗を求めた。内部抵抗上昇率は、{(500サイクル後の抵抗―初期抵抗)/初期抵抗×100%}という式を用いて計算した。
[実験例2、3]
Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例2とした。実験例2では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.05となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例3とした。実験例3では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.025、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+9℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例2とした。実験例2では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.05となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例3とした。実験例3では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.025、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+9℃であった。
[実験例4〜6]
Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.15となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例4とした。実験例4では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.07、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+4℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.07となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例5とした。実験例5では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.035、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+5℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.05となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例6とした。実験例6では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.025、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.15となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例4とした。実験例4では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.07、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+4℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.07となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例5とした。実験例5では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.035、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+5℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.05となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例6とした。実験例6では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.025、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
[実験例7、8]
Ni,Mn,Coの各元素が0.35:0.3:0.35のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例7とした。実験例7では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.17、X+Y=0.65であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+8℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.5:0.4:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例8とした。実験例8では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.25、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+5℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.35:0.3:0.35のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例7とした。実験例7では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.17、X+Y=0.65であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+8℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.5:0.4:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例8とした。実験例8では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.25、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+5℃であった。
[実験例9、10]
Ni,Mn,Coの各元素が0.45:0.35:0.2のモル比、L/Mが1.06となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例9とした。実験例9では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.03、X/Y=1.29、X+Y=0.8であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+6℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.0質量%とした以外は実験例9と同様とした試料を実験例10とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.45:0.35:0.2のモル比、L/Mが1.06となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例9とした。実験例9では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.03、X/Y=1.29、X+Y=0.8であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+6℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.0質量%とした以外は実験例9と同様とした試料を実験例10とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
[実験例11〜14]
非水電解液へのLiPO2F2の添加量を0.6質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例11とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−2℃であった。図3は、実験例11の充電状態60%及び100%でのDSC測定結果である。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.1質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例12とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+12℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を0.6質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例13とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−3℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.1質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例14とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
非水電解液へのLiPO2F2の添加量を0.6質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例11とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−2℃であった。図3は、実験例11の充電状態60%及び100%でのDSC測定結果である。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.1質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例12とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+12℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を0.6質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例13とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−3℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を1.1質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例14とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
[実験例15〜18]
非水電解液へのLiPO2F2の添加量を2.0質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例15とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+16℃であった。非水電解液へLiPO2F2を添加量しなかった以外は実験例2と同様とした試料を実験例16とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−11℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を2.0質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例17とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+15℃であった。非水電解液へLiPO2F2を添加量しなかった以外は実験例5と同様とした試料を実験例18とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−12℃であった。
非水電解液へのLiPO2F2の添加量を2.0質量%とした以外は実験例2と同様とした試料を実験例15とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+16℃であった。非水電解液へLiPO2F2を添加量しなかった以外は実験例2と同様とした試料を実験例16とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−11℃であった。非水電解液へのLiPO2F2の添加量を2.0質量%とした以外は実験例5と同様とした試料を実験例17とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+15℃であった。非水電解液へLiPO2F2を添加量しなかった以外は実験例5と同様とした試料を実験例18とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−12℃であった。
[実験例19〜21]
Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.2となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例19とした。実験例19では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.09、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−2℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.17となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例20とした。実験例20では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.08、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−3℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.03となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例21とした。実験例21では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.015、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.4:0.3:0.3のモル比、L/Mが1.2となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例19とした。実験例19では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.09、X/Y=1.33、X+Y=0.7であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−2℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.17となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例20とした。実験例20では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.08、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−3℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.33:0.33:0.34のモル比、L/Mが1.03となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例21とした。実験例21では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.015、X/Y=1.0、X+Y=0.66であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
[実験例22、23]
Ni,Mn,Coの各元素が0.52:0.38:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例22とした。実験例22では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.37、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+12℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.6:0.3:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例23とした。実験例23では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=2.0、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+13℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.52:0.38:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例22とした。実験例22では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.37、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+12℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.6:0.3:0.1のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例23とした。実験例23では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=2.0、X+Y=0.9であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+13℃であった。
[実験例24〜26]
Ni,Mn,Coの各元素が0.55:0.45:0.0のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例24とした。実験例24では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.22、X+Y=1.0であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−6℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.5:0.45:0.05のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例25とした。実験例25では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.11、X+Y=0.95であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−4℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.3:0.3:0.4のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例26とした。実験例26では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.0、X+Y=0.6であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.55:0.45:0.0のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例24とした。実験例24では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.22、X+Y=1.0であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−6℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.5:0.45:0.05のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例25とした。実験例25では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.11、X+Y=0.95であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−4℃であった。Ni,Mn,Coの各元素が0.3:0.3:0.4のモル比、L/Mが1.08となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例26とした。実験例26では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.04、X/Y=1.0、X+Y=0.6であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+11℃であった。
[実験例27]
Ni,Mn,Coの各元素が0.35:0.25:0.4のモル比、L/Mが1.03となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例27とした。実験例27では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.015、X/Y=1.4、X+Y=0.6であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−13℃であった。
Ni,Mn,Coの各元素が0.35:0.25:0.4のモル比、L/Mが1.03となるように調整した以外は実験例1と同様の工程により合成した試料を実験例27とした。実験例27では、組成分析を行った結果、組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2において、Z=0.015、X/Y=1.4、X+Y=0.6であった。また、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは−13℃であった。
(結果と考察)
表1に合成材料の組成式及びZ、X/Y、X+Yの値、非水電解液へのLiPO2F2の添加量、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量(ΔTexo)、高温耐久試験後の抵抗上昇率及び容量維持率をまとめた。表1に示すように、充電状態60%の発熱ピーク温度に対する充電状態100%の発熱ピーク温度のシフト量(ΔTexo)と高温耐久試験後の抵抗上昇率・容量維持率とに対応関係があることが分かった。ΔTexoが−10〜+14℃であるとき、抵抗上昇率が50%以下を示し、容量維持率が65%以上を示すなど、好ましい結果を示すことが分かった。特にΔTexoが1〜10℃高温側にあるときに、抵抗上昇率が35%以下を示し、容量維持率が80%以上を示すなど、その傾向が顕著であった。この傾向は、合成材料の組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2、及び非水電解液へのLiPO2F2の添加量に関係しており、合成材料の組成式が0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9の範囲に含まれ、かつLiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれている実験例で抵抗上昇率、容量維持率が好ましい結果を示した。特に、LiPO2F2も添加量の影響が顕著であり、LiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれるときの性能向上が顕著であった。このように、ΔTexoが−10〜+14℃であり、且つLiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれるときに抵抗上昇率、容量維持率が好ましい結果を示し、ΔTexoが1〜10℃高温側であるときに電池の高温耐久後の抵抗上昇率、容量維持率が優れていることが分かった。
表1に合成材料の組成式及びZ、X/Y、X+Yの値、非水電解液へのLiPO2F2の添加量、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量(ΔTexo)、高温耐久試験後の抵抗上昇率及び容量維持率をまとめた。表1に示すように、充電状態60%の発熱ピーク温度に対する充電状態100%の発熱ピーク温度のシフト量(ΔTexo)と高温耐久試験後の抵抗上昇率・容量維持率とに対応関係があることが分かった。ΔTexoが−10〜+14℃であるとき、抵抗上昇率が50%以下を示し、容量維持率が65%以上を示すなど、好ましい結果を示すことが分かった。特にΔTexoが1〜10℃高温側にあるときに、抵抗上昇率が35%以下を示し、容量維持率が80%以上を示すなど、その傾向が顕著であった。この傾向は、合成材料の組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2、及び非水電解液へのLiPO2F2の添加量に関係しており、合成材料の組成式が0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9の範囲に含まれ、かつLiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれている実験例で抵抗上昇率、容量維持率が好ましい結果を示した。特に、LiPO2F2も添加量の影響が顕著であり、LiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれるときの性能向上が顕著であった。このように、ΔTexoが−10〜+14℃であり、且つLiPO2F2の添加量が0.7〜1.0質量%の範囲に含まれるときに抵抗上昇率、容量維持率が好ましい結果を示し、ΔTexoが1〜10℃高温側であるときに電池の高温耐久後の抵抗上昇率、容量維持率が優れていることが分かった。
[実験例28]
非水電解液へ更にリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBoB)を0.4質量%添加した以外は実験例2と同様とした試料を実験例28とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
非水電解液へ更にリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBoB)を0.4質量%添加した以外は実験例2と同様とした試料を実験例28とした。このDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoは+7℃であった。
[実験例29〜33]
非水電解液へ更にLiBoBを0.4質量%、0.3質量%、0.6質量%、0.2質量%、0.7質量%添加した以外は実験例5と同様とした試料をそれぞれ実験例29〜33とした。実験例29〜33のDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoはそれぞれ、+4℃、+4℃、+5℃、+3℃、+6℃であった。
非水電解液へ更にLiBoBを0.4質量%、0.3質量%、0.6質量%、0.2質量%、0.7質量%添加した以外は実験例5と同様とした試料をそれぞれ実験例29〜33とした。実験例29〜33のDSC測定の発熱ピーク温度シフト量△Texoはそれぞれ、+4℃、+4℃、+5℃、+3℃、+6℃であった。
(結果と考察)
表2に合成材料の組成式及びZ、X/Y、X+Yの値、非水電解液へのLiPO2F2の添加量、LiBoBの添加量、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量(ΔTexo)、高温耐久試験後の抵抗上昇率及び容量維持率をまとめた。表2に示すように、LiBoBを電解液へ添加した場合、高温耐久試験後の抵抗上昇率・容量維持率の性能向上がさらに顕著となることがわかった。特に、LiBoBが0.3〜0.6質量%の範囲に含まれている場合に優れた抵抗上昇率・容量維持率を示すことがわかった。
表2に合成材料の組成式及びZ、X/Y、X+Yの値、非水電解液へのLiPO2F2の添加量、LiBoBの添加量、DSC測定の発熱ピーク温度シフト量(ΔTexo)、高温耐久試験後の抵抗上昇率及び容量維持率をまとめた。表2に示すように、LiBoBを電解液へ添加した場合、高温耐久試験後の抵抗上昇率・容量維持率の性能向上がさらに顕著となることがわかった。特に、LiBoBが0.3〜0.6質量%の範囲に含まれている場合に優れた抵抗上昇率・容量維持率を示すことがわかった。
本発明は、二次電池の製造分野に利用可能である。
20 非水電解液リチウム二次電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 非水電解液。
Claims (7)
- リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを含み六方晶に帰属される層構造を有するリチウム複合酸化物を含有する正極と、
リチウムを吸蔵、放出する負極と、
LiPO2F2と支持塩とカーボネートの溶媒とを含みリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備え、
前記正極は、充電状態が100%である該正極を5℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定を行ったときの発熱ピーク頂点が250℃以上330℃以下の温度領域に位置し、充電状態が60%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度に対して、充電状態が100%である前記正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点の温度が−10℃以上14℃以下の範囲にある、
非水電解液リチウム二次電池。 - 前記正極は、前記充電状態が60%である正極の発熱ピーク頂点の温度に対して、前記充電状態が100%である正極の発熱ピーク頂点の温度が1℃以上10℃以下の範囲で高温側にある、請求項1に記載の非水電解液リチウム二次電池。
- 前記正極は、前記リチウム複合酸化物として、基本組成式Li1+Z(NiXMnYCo1-X-Y)1-ZO2(但し、0.02<Z<0.08、1.0≦X/Y≦1.34、0.65≦X+Y≦0.9を満たす)を含む、請求項1又は2に記載の非水電解液リチウム二次電池。
- 前記非水電解液は、前記LiPO2F2が0.7質量%以上1.0質量%以下の範囲で含まれている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液リチウム二次電池。
- 前記非水電解液は、リチウムビス(オキサラト)ボレートを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液リチウム二次電池。
- 前記非水電解液は、前記リチウムビス(オキサラト)ボレートが0.3質量%以上0.6質量%以下の範囲で含まれている、請求項5に記載の非水電解液リチウム二次電池。
- 前記正極は、充電状態が100%である該正極の前記示差走査熱量測定の発熱ピーク頂点における熱流量が酸化物1gあたり3W以上の発熱ピークを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液リチウム二次電池。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017179395A1 (ja) * | 2016-04-14 | 2017-10-19 | 株式会社デンソー | 非水電解質二次電池及びその製造方法 |
CN110942928A (zh) * | 2018-09-25 | 2020-03-31 | 太阳诱电株式会社 | 电化学器件用电解液和电化学器件 |
CN114384112A (zh) * | 2020-10-22 | 2022-04-22 | 清华大学 | 一种锂离子电池电极表面sei膜的检测方法 |
US11784342B2 (en) | 2017-08-10 | 2023-10-10 | Mitsubishi Chemical Corporation | Nonaqueous electrolyte secondary battery |
-
2014
- 2014-04-23 JP JP2014089329A patent/JP2015207538A/ja active Pending
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WO2017179395A1 (ja) * | 2016-04-14 | 2017-10-19 | 株式会社デンソー | 非水電解質二次電池及びその製造方法 |
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