JP6676280B2 - リチウムイオン二次電池及びその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池及びその使用方法に関する。
非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、高電圧・高エネルギー密度が得られ小型軽量化が図れるので、パソコンや携帯電話等の情報通信機器の関連分野では既に実用化されている。また資源問題や環境問題から電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される電源への展開が期待されている。こうした電池は、一般に正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物、負極活物質として炭素材料を用い、有機溶媒にリチウム塩を溶かした非水系電解液と組み合わせて構成されている。
正極活物質としては、LiCoO2のように層状構造を有するもの、LiMn24のようにスピネル構造を有するもの、LiFePO4のようにオリビン構造を有するもの、それらの誘導体などが知られている。また、正極活物質としては、例えば、Li2MnO3(Li[Li1/3Mn2/3]O2)で安定化させたLiMO2(M=Mn,Ni,Co)などが提案されている(非特許文献1)。非特許文献1では、この正極活物質を高電位リチウムイオン電池(4.5−3.0V)の電極に用いた場合に、極めて高い容量(>200mAhg-1)が得られるとしている。
Journal of Materials Chemistry, 2007, 17, 3112-3125
しかしながら、非特許文献1のリチウムイオン電池では、高容量化が可能であるものの、充放電回数が増えるにつれて、容量が低下したり電池の内部抵抗が増大してしまうことがあり、充放電サイクル特性の向上が課題であった。このため、充放電サイクル特性をより高めることができるリチウムイオン二次電池が望まれていた。
上述した課題を解決するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Li[(Li1/3Mn2/30.6(Ni0.33Mn0.33Co0.340.4]O2などの特定の酸化物を正極活物質とし、特定の構造を有するアニオン化合物を含む添加化合物をイオン伝導媒体へ添加することに想到した。そして、こうしたものでは、充放電サイクル特性をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウムイオン二次電池は、
一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2(但し、MeはNi、Co、Al、Cr、Fe、Mgからなる群より選ばれる1以上であり、zは0<z<1を満たす)で表される正極活物質を有する正極と、
負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、一般式(1)で示されるアニオン化合物を含む添加化合物とリチウムイオンを含む電解質とを含有する非水系イオン伝導媒体と、
を備えたものである。
Figure 0006676280
(但し、Mは、遷移元素、周期表の13族、14族又は15族元素を表す;bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す;R1は、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン、炭素数6〜20のアリーレン又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またqが1でmが2〜4のときにはm個のR1はそれぞれが結合していてもよい)を表す;R2は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またnが2〜8のときにはn個のR2はそれぞれが結合して環を形成してもよい)又は−X33を表す;X1,X2及びX3は、それぞれが独立でO,S又はNR4を表す;R3及びR4は、それぞれが独立で水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、R3又はR4は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい)を表す)
また、本発明のリチウムイオン二次電池の使用方法は、上述したリチウムイオン二次電池を、正極がリチウム基準で4.5V以上の電位となるまで充電するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池によれば、充放電サイクル特性をより高めることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2(但し、MeはNi、Co、Al、Cr、Fe、Mgからなる群より選ばれる1以上であり、zは0<z<1を満たす)で表される正極活物質は、初期充電時に酸素放出を伴いながら変質する。その変質した正極活物質が高容量を示すため、リチウムイオン二次電池を高容量化できる。このとき、一般式(1)で示されるアニオン化合物がイオン伝導媒体に含まれている場合には、正極活物質の酸素放出を伴う変質とアニオン化合物の分解とが正極活物質表面で同時に起こり、正極活物質表面が安定化する。その効果により、充放電サイクル特性をより高めることができると考えられる。
リチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図。 添加化合物の濃度と容量維持率及び抵抗上昇率との関係を示すグラフ。 添加化合物の割合と容量維持率及び抵抗上昇率との関係を示すグラフ。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムを吸蔵・放出し得る正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。
本発明のリチウムイオン二次電池において、正極は、正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。
正極に含まれる正極活物質は、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2(但し、MeはNi、Co、Al、Cr、Fe、Mgからなる群より選ばれる1以上であり、zは0<z<1を満たす)で表されるものである。この正極活物質は、Li(Li1/3Mn2/3)O2で表される相とLiMeO2で表される相とで固溶体を形成していると考えられる。この正極活物質は、MeとしてNi及びMnを含むものであることが好ましく、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(NisMntCouz]O2(但し、zは0.1≦z≦0.5、s,t,uは0<s≦0.5、0<t≦0.5、0≦u≦0.35、s+t+u=1.0を満たす)で表されるものであることがより好ましい。こうしたものでは、充放電サイクル特性をより高めることができる。また、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(NisMntCouz]O2 において、s及びtはs=tを満たすことがより好ましい。こうしたものでは、充放電サイクル特性を更に高めることができる。なお、s=tを満たすものでは、MeとしてのNiの価数が全て2価、Mnの価数が全て4価となると考えられる。これに対して、s=tからずれると、Niの価数が一部3価になることなどによって、充放電サイクル特性を高める効果が弱まると考えられる。一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2は、各元素の一部が他の元素で置換されていてもよいし、化学量論組成のものだけでなく、一部の元素が欠損または過剰となる非化学量論組成のものであってもよい。また、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2としたのは、(Li1/3Mn2/3)相とMe相との固溶体を形成させることを目的として材料化したものであることを示すためであり、Li(Li1(1-z)/3Mn2(1-z)/3Mez)O2で示してもよい。
正極活物質は、共沈法によって合成したものであることが好ましい。金属元素を原子レベルで均一に混合させることができ、より好適な性能が得られるからである。共沈法では、金属イオンを一粒子中に共存させた前駆体を作製し、これにリチウム塩を混合、焼成するものとしてもよい。共沈法により金属イオンが均一に分布した前駆体を得る際、水溶液中に不活性ガスを通気させることにより溶存酸素を除去することが好ましい。前駆体およびリチウム塩は、原子レベルで元素が均一に混合した難溶性塩であればよく、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩などとしてもよい。また、前駆体を得る際には、錯化剤を用いてより高密度の前駆体を作製してもよい。前駆体の原料としては、塩基性水溶液を形成するものであれば形態に依存するものではなくどのような形態のものでも使用することができるが、好ましくは溶解度の高い金属塩を用いるとよい。水酸化物前駆体を得る場合、その原料、例えばニッケル源として、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル等を用いることができる。また、コバルト源として、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、塩基性炭酸コバルト等を用いることができる。また、マンガン源として、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン、酸化マンガン、炭酸マンガン等用いることができる。前駆体と混合するリチウム塩としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることができる。
正極に含まれる導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池において、負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池において、非水系イオン伝導媒体は、正極と負極との間に介在し、リチウムイオンを伝導するものであり、有機溶媒に電解質を含んだ非水系電解液や非水系ゲル電解質などとすることができる。この非水系イオン伝導媒体は、一般式(1)で表されるアニオン化合物を含む添加化合物と、リチウムイオンを含む電解質と、を含んでいる。
Figure 0006676280
一般式(1)において、Mは、遷移元素、周期表の13族、14族又は15族元素であり、このうちAl、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf又はSbであることが好ましく、Al、B又はPであることがより好ましい。MがAl、B又はPの場合には、アニオン化合物の合成が比較的容易になり、製造コストを抑えることができる。アニオンの価数bは1〜3の整数であり、このうち1であることが好ましい。価数bが3より大きい場合には、アニオン化合物の塩が混合有機溶媒に溶解しにくくなる傾向があるので好ましくない。また、定数m,nは、配位子の数に関係する値であり、Mの種類によって決まってくるものであるが、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数である。定数qは、0又は1である。qが0の場合には、キレートリングが五員環となる。
また、一般式(1)において、R1は、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン、炭素数6〜20のアリーレン又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレンを表す。これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。具体的には、アルキレン及びアリーレン上の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、アルキレン及びアリーレン上の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。またqが1でmが2〜4のときには、m個のR1はそれぞれが結合していてもよい。そのような例としては、エチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。R2は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール又は−X33(X3,R3については後述)を表す。ここでのアルキル及びアリールも、R1と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またnが2〜8のときにはn個のR2はそれぞれが結合して環を形成していてもよい。R2としては、電子吸引性の基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。フッ素原子の場合には、アニオン化合物の塩の溶解度や解離度が向上し、これに伴ってイオン伝導度が向上するからである。また、耐酸化性が向上し、これにより副反応の発生を抑制することができるからである。X1,X2及びX3は、それぞれが独立でO,S又はNR4を表す。つまり、配位子はこれらのヘテロ原子を介してMに結合することになる。R3及びR4は、それぞれが独立で水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリールを表す。これらのアルキル及びアリールも、R1と同様に、その構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。また、R3又はR4は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい。
一般式(1)で表されるアニオン化合物は、リチウムイオン二次電池を少なくとも1回充電することにより、アニオン化合物のすべて又は一部が分解して、正極及び/又は負極の表面や、正極活物質及び/又は負極活物質の表面に被覆して被膜を形成すると考えられる。この被覆物は、例えばX線光電子分光分析(XPS)やIR分析等により検出することができる。一般式(1)で表されるアニオン化合物としては、式(2)で示されるPF2(C242 -(PFOとも称する),式(3)で示されるPF4(C24-(PTFOとも称する),式(4)で示されるP(C243 -(POとも称する),式(5)で示されるBF2(C24)(BFOとも称する)-からなる群より選ばれる1種以上であること好ましい。その理由は、アニオン化合物の塩の溶解度や解離度が向上するため非水系電解液のイオン伝導度が向上するうえ、耐酸化性が向上するからである。なお、PFO,PTFO,PO及びBFOがリチウムイオン二次電池において同様の作用効果を奏することは、例えば特開2007−18945の実施例(特に表1,2)から推察される。
Figure 0006676280
一般式(1)で表されるアニオン化合物の合成方法としては、例えば、PFOの場合には、非水系溶媒中でLiPF6と4倍モルのリチウムアルコキシドとを反応させた後、シュウ酸を添加して、リンに結合しているアルコキシドをシュウ酸で置換する方法等がある。また、PTFOの場合には、非水系溶媒中でLiPF6と2倍モルのリチウムアルコキシドを反応させた後、シュウ酸を添加して、リンに結合しているアルコキシドをシュウ酸で置換する方法等がある。また、POの場合には、非水系溶媒中でLiPF6と6倍モルのリチウムアルコキシドとを反応させた後、シュウ酸を添加して、リンに結合しているアルコキシドをシュウ酸で置換する方法等がある。また、BFOの場合には、非水系溶媒中でLiBF4と2倍モルのリチウムアルコキシドとを反応させた後、シュウ酸を添加して、ホウ素に結合しているアルコキシドをシュウ酸で置換する方法等がある。これらの場合には、アニオン化合物のリチウム塩を得ることができる。
一般式(1)で表されるアニオン化合物を含む添加化合物は、アニオン化合物と対をなすカチオンを含むものとしてもよい。アニオン化合物と対をなすカチオンとしては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セシウム、ルビジウム、銀、亜鉛、銅、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、チタン、鉛、クロム、バナジウム、ルテニウム、イットリウム、ランタノイド、アクチノイドなどのカチオンが挙げられるほか、テトラアルキルアンモニウム(アルキルはメチル、エチル、ブチルなど)、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムなどのアンモニウムカチオン、プロトン等が挙げられる。このうち、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン又はカリウムカチオンが好ましい。添加化合物は、非水電解液中の濃度が0.01M以上であることが好ましく、0.03M以上がより好ましく、0.04M以上がさらに好ましく、0.05M以上が一層好ましい。また、0.12M以下であることが好ましく、0.1M以下がより好ましく、0.09M以下がさらに好ましく、0.08M以下が一層好ましい。こうした範囲では、充放電サイクル特性をより高めることができる。
非水系イオン伝導媒体に含まれる電解質(リチウムイオンを含む電解質)としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水電解液中の濃度が0.1M以上5M以下であることが好ましく、0.5M以上2M以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1M以上では、十分な電流密度を得ることができ、5M以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
非水系イオン伝導媒体において、添加化合物とリチウムイオンを含む電解質との全体に対する添加化合物の割合は、0.1mol%以上であることが好ましく、1mol%以上がより好ましく、2mol%以上がさらに好ましく、3mol%以上が一層好ましい。また、45mol%以下であることが好ましく、11mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましく、9mol%以下が一層好ましい。こうした範囲では、充放電サイクル特性をより高めることができる。
非水系イオン伝導媒体に含まれる有機溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極がリチウム基準で4.5V以上の電位となるまで充電したものであることが好ましく、4.8V以上となるまで充電したものであることが好ましく、5.0V以上となるまで充電したものであることがより好ましい。4.5V以上となるまで充電すると、正極活物質の表面で酸素放出を伴う変質が生じるが、これと同時に一般式(1)で示されるアニオン化合物の分解が正極活物質の表面で起こり、それらの相互作用によって正極活物質の表面が安定化すると考えられる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、例えば、本発明のリチウムイオン二次電池を複数直列に接続するなどして電気自動車やハイブリッド電気自動車などに用いる大型の電気自動車用電源などとしてもよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、携帯端末、携帯電子機器、小型電力貯蔵装置などに用いることができる。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水系電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シート18に接続された負極端子26とを配設して形成されている。ここでは、正極シート13には正極活物質12として一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2(但し、MeはNi、Co、Al、Cr、Fe、Mgからなる群より選ばれる1以上であり、zは0<z<1を満たす)で表される酸化物が含まれている。また、非水系電解液20には、上述した式(1)に示すアニオン化合物を含む添加化合物とLiPF6などの電解質とが含まれている。
本発明の使用方法は、上述した本発明のリチウムイオン二次電池を、正極がリチウム基準で4.5V以上の電位となるまで充電するものである。このうち、4.8V以上まで充電することが好ましく、5.0V以上まで充電することがより好ましい。4.5V以上となるまで充電すると、正極活物質で酸素放出を伴う変質が生じるが、これと同時に一般式(1)で示されるアニオン化合物の分解が正極活物質の表面で起こり、それらの相互作用によって正極活物質の表面が安定化すると考えられる。なお、4.5V以上までの充電は、初回の充電時に行うことが好ましいが、初回以外の充電時に行ってもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池及びその使用方法によれば、充放電サイクル特性をより高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、リチウムイオン二次電池を具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、実験例1〜7,9〜11,13〜19,25が本発明の実施例に相当し、実験例8,12,20〜24,26が比較例に相当する。
[実験例1]
(正極活物質の合成)
予め不活性ガスを通気させて溶存酸素を取り除いたイオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトを、Ni,Mn,Coの各元素が0.132:0.532:0.136のモル比になるように溶解させ、これら金属元素の合計モル濃度が2mol/Lとなるように混合水溶液を調整した。同様に溶存酸素を取り除いたイオン交換水を用いて2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.352mol/Lのアンモニア水をそれぞれ調整した。溶存酸素を取り除いたイオン交換水を槽内温度50℃に設定された反応槽に入れ、800rpmで撹拌させた状態で、そこに水酸化ナトリウム水溶液を滴下して液温25℃を基準としたときにpHが12となるように調整した。反応槽に混合水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水をpH12に制御しつつ加え、共沈生成物の複合水酸化物を得た。水酸化ナトリウム水溶液のみ適宜加えてpHを12に保ち、2時間撹拌を継続した。その後、50℃で12時間以上静止することで複合水酸化物を粒子成長させた。反応終了後、複合水酸化物をろ過、水洗して取り出し、120℃のオーブン内で一晩乾燥させて複合水酸化物の粉末試料を得た。得られた複合水酸化物粉末と水酸化リチウム粉末とを、リチウムのモル数Mol(Li)と遷移金属元素(ここではNi,Mn,Co)の総モル数Mol(Me)との比(Mol(Li)/Mol(Me))が1.5となるように混合した。この混合粉末を6MPaの圧力で直径2cm、厚さ5mmのペレットに加圧成型し、空気雰囲気の電気炉にこのペレットを入れ900℃まで2時間で昇温し、その温度で12時間焼成したのち、液体窒素中にクエンチし、目的組成Li[(Li1/3Mn2/30.6(Ni0.33Mn0.33Co0.340.4]O2のリチウム複合酸化物を得た。
(電池の作製)
得られたリチウム複合酸化物を正極活物質とし、活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、分散媒としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて正極シートを作製した。その後、正極シートをロールプレスに通して高密度化させ、52mm幅×450mm長の形状に切り出して正極電極とした。負極活物質として黒鉛を用い、活物質を95質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、正極と同様にスラリー状合材とした。これらスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて負極シートを作製した。その後、負極シートをロールプレスに通して高密度化させ、54mm幅×500mm長の形状に切り出して負極電極とした。上記正極シートと負極シートとを56mm幅で25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状電極体を作製した。この電極体を18650型円筒ケースに挿入し、非水電解液を含浸させた後に密閉して円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で30:70で混合した溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解し、一般式(1)で示される添加化合物としてLiPF2(C242(式(2))を0.05Mの濃度で添加したものを用いた。
(充放電サイクル試験)
充放電サイクル試験は、電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で、充電上限電圧5.0Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で、放電下限電圧2.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計100サイクル行った。サイクルごとに、放電容量を測定した。
(容量維持率の評価)
充放電サイクル試験の初回放電容量を初期放電容量として、(100サイクル後の放電容量/初期放電容量)×100%という式を用いて、容量維持率を計算した。
(内部抵抗上昇率の評価)
電池容量の60%の充電状態(SOC=60%)に調整した後に、測定温度25℃において0.5A、1A、2A、3A、5Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧を直線近似し、その傾きからIV抵抗、即ち、電池の内部抵抗を求めた。抵抗上昇率は、{(100サイクル後の内部抵抗―初期の内部抵抗)/初期の内部抵抗}×100%という式を用いて計算した。
[実験例2,3]
一般式(1)で示される添加化合物としてLiPF2(C242に代えてLiPF4(C24)(式(3))を用いた以外は、実験例1と同様に実験例2の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物としてLiPF2(C242に代えてLiP(C243(式(4))を用いた以外は、実験例1と同様に実験例3の電池を作製し評価を行った。
[実験例4,5]
LiPF2(C242の添加量を0.05Mから0.01Mとした以外は、実験例1と同様に実験例4の電池を作製し評価を行った。LiPF2(C242の添加量を0.05Mから0.1Mとした以外は、実験例1と同様に実験例5の電池を作製し評価を行った。
[実験例6,7]
正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.033:0.633:0.034のモル比になるようにしたことと、Mol(Li)/Mol(Me)が13/7となるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例6の電池を作製し評価を行った。また、正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.165:0.498:0.170のモル比になるようにしたことと、Mol(Li)/Mol(Me)が1.4となるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例7の電池を作製し評価を行った。
[実験例8]
一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例1と同様に実験例8の電池を作製し評価を行った。
表1に、実験例1〜8の容量維持率及び抵抗上昇率を示す。
Figure 0006676280
[実験例9〜11]
正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.2:0.6:0のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例9の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物としてLiPF2(C242に代えてLiPF4(C24)(式(3))を用いた以外は、実験例9と同様に実験例10の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物としてLiPF2(C242に代えてLiP(C243(式(4))を用いた以外は、実験例9と同様に実験例11の電池を作製し評価を行った。
[実験例12]
一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例9と同様に実験例12の電池を作製し評価を行った。
表2に、実験例9〜12の容量維持率及び抵抗上昇率を示す。
Figure 0006676280
[実験例13〜19]
正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.16:0.56:0.08のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例13の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.18:0.52:0.10のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例14の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.150:0.542:0.075のモル比になるようにしたことと、Mol(Li)/Mol(Me)が37/23となるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例15の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.24:0.48:0.08のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例16の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.16:0.48:0.16のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例17の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.12:0.62:0.06のモル比になるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例18の電池を作製し評価を行った。正極活物質の合成に際し、Ni,Mn,Coの各元素が0.2475:0.4650:0.1375のモル比になるようにしたことと、Mol(Li)/Mol(Me)が23/17となるようにしたこと以外は、実験例1と同様に実験例19の電池を作製し評価を行った。
[実験例20〜24]
一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例14と同様に実験例20の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例16と同様に実験例21の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例17と同様に実験例22の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例18と同様に実験例23の電池を作製し評価を行った。一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例19と同様に実験例24の電池を作製し評価を行った。
表3に、実験例13〜24の容量維持率及び抵抗上昇率を示す。
Figure 0006676280
[実験例25]
正極活物質の合成に際して、イオン交換水に、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトを溶解させるのに代えて、イオン交換水に硫酸クロム、硫酸マンガンを、Cr,Mnの各元素が0.4:0.4のモル比になるように溶解させた以外は、実験例1と同様に実験例25の電池を作製し評価を行った。
[実験例26]
一般式(1)で示される添加化合物を添加しなかったこと以外は、実験例25と同様に実験例26の電池を作製し評価を行った。
表4に、実験例25,26の容量維持率及び抵抗上昇率を示す。
Figure 0006676280
[考察]
一般式(1)で示される添加化合物を添加した実験例1〜7,9〜11,13〜19,25では、添加しなかった実験例8,12,20〜24,26に比して、容量維持率が高く抵抗上昇率が小さくなった。なお、各実験例では、容量維持率の測定に際して、60℃という高温条件下で繰り返し充放電を行っていることから、容量維持率が高いものは、高温耐久性に優れているとも言える。
一般式(1)で示される添加化合物の種類について、実験例1〜3,9〜11に基づいて検討したところ、LiPF2(C242やLiPF4(C24)などのようなフッ化物では、容量維持率をより高め抵抗上昇率をより低減できるため好ましいことがわかった。このうち、LiPF2(C242が特に好ましいことがわかった。
一般式(1)で示される添加化合物の濃度について、実験例1,4,5に基づいて検討した。図2は、添加化合物の濃度と容量維持率及び抵抗上昇率との関係を示すグラフである。図2より、添加化合物の濃度が0.01M以上0.12M以下の範囲では、容量維持率をより高め抵抗上昇率をより低減することができ、好ましいことがわかった。なかでも、添加化合物の濃度は、0.03M以上0.10M以下の範囲がより好ましく、0.04M以上0.09M以下の範囲がさらに好ましく、0.05M以上0.08M以下の範囲が一層好ましいことがわかった。
また、一般式(1)で示される添加化合物の割合、すなわち、添加化合物とリチウムイオンを含む電解質との全体に対する添加化合物の割合について、実験例1,4,5に基づいて検討した。図3は、添加化合物の割合と容量維持率及び抵抗上昇率との関係を示すグラフである。図3より、添加化合物の割合が1mol%以上11mol%以下では、容量維持率をより高め抵抗上昇率をより低減でき、好ましいことがわかった。このうち、2mol%以上10mol%以下がより好ましく、3mol%以上9mol%以下がより好ましいことがわかった。
正極活物質の組成について検討した。一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2において、MeがCrである実験例25に対して、MeがNiとMnを含む実験例1〜7,9〜11,13〜19では、いずれも容量維持率が高く抵抗上昇率が低かった。このことから、MeはNiとMnを含むことが好ましく、Coを含んでも含まなくてもよいことがわかった。また、MeがNiとMn(とCo)を含むもの(一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(NisMntCouz]O2)において、0<z≦0.5、0<s≦0.5、0<t≦0.5、0≦u≦0.35の全てを満たす実験例1〜7,9〜11,13〜15では、これらのうちの少なくとも1つを満たさない実験例16〜19よりも容量維持率が高く抵抗上昇率が低かった。このことから、0<z≦0.5、0<s≦0.5、0<t≦0.5、0≦u≦0.35の全てを満たすことが好ましいことがわかった。また、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(NisMntCouz]O2において、s=tを満たす実験例1〜7,9〜11,13では、s=tを満たさない実験例14〜19よりも容量維持率が高く抵抗上昇率が低かった。このことから、s=tを満たすことが好ましいことがわかった。
本発明は、電池産業の分野に利用可能である。
10 リチウムイオン二次電池、11 集電体、12 正極活物質、13 正極シート、14 集電体、17 負極活物質、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (7)

  1. 一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(Me)z]O2(但し、MeはNi、Co、Al、Cr、Fe、Mg、Mnからなる群より選ばれる1以上であり、zは0<z<1を満たす)で表される正極活物質を有する正極と、
    負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在し、一般式(1)で示されるアニオン化合物を含む添加化合物とリチウムイオンを含む電解質とを含有し、フッ素化エーテル及びビススルホニルイミド構造を有するリチウム化合物の一方又は両方を含まない非水系イオン伝導媒体と、
    を備え
    前記添加化合物は、前記非水系イオン伝導媒体中の濃度が0.04M以上である、
    リチウムイオン二次電池。
    Figure 0006676280
    (但し、Mは、Pを表す;bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す;R1は、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン、炭素数6〜20のアリーレン又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またqが1でmが2〜4のときにはm個のR1はそれぞれが結合していてもよい)を表す;R2は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またnが2〜8のときにはn個のR2はそれぞれが結合して環を形成してもよい)又は−X33を表す;X1,X2及びX3は、それぞれが独立でO,S又はNR4を表す;R3及びR4は、それぞれが独立で水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、R3又はR4は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい)を表す)
  2. 前記正極活物質は、一般式Li[(Li1/3Mn2/31-z(NisMntCouz]O2(但し、zは0.1≦z≦0.5、s,t,uは0<s≦0.5、0<t≦0.5、0≦u≦0.35、s+t+u=1.0を満たす)で表される、請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 一般式Li[(Li 1/3 Mn 2/3 1-z (Ni s Mn t Co u z ]O 2 (但し、zは0.1≦z≦0.5、s,t,uは0<s≦0.5、0<t≦0.5、0≦u≦0.35、s+t+u=1.0,s=tを満たす)で表される正極活物質を有する正極と、
    負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在し、一般式(1)で示されるアニオン化合物を含む添加化合物とリチウムイオンを含む電解質とを含有し、フッ素化エーテル及びビススルホニルイミド構造を有するリチウム化合物の一方又は両方を含まない非水系イオン伝導媒体と、
    を備えたリチウムイオン二次電池。
    Figure 0006676280
    (但し、Mは、Pを表す;bは1〜3の整数、mは1〜4の整数、nは0〜8の整数、qは0又は1を表す;R1は、炭素数1〜10のアルキレン、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン、炭素数6〜20のアリーレン又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またqが1でmが2〜4のときにはm個のR1はそれぞれが結合していてもよい)を表す;R2は、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、またnが2〜8のときにはn個のR2はそれぞれが結合して環を形成してもよい)又は−X33を表す;X1,X2及びX3は、それぞれが独立でO,S又はNR4を表す;R3及びR4は、それぞれが独立で水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数6〜20のハロゲン化アリール(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよく、R3又はR4は複数個存在する場合にはそれぞれが結合して環を形成してもよい)を表す)
  4. 前記非水系イオン伝導媒体は、前記アニオン化合物として、式(2)で示されるPF2(C242 -,式(3)で示されるPF4(C24-,式(4)で示されるP(C243 -から成る群より選ばれる1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
    Figure 0006676280
  5. 前記非水系イオン伝導媒体は、前記添加化合物と前記電解質との全体に対して、前記添加化合物を2mol%以上45mol%以下の割合で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記正極活物質がリチウム基準で4.5V以上の電位となるまで充電したものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池を、前記正極がリチウム基準で4.5V以上の電位となるまで充電する、リチウムイオン二次電池の使用方法。
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