JP2008288049A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2008288049A
JP2008288049A JP2007132265A JP2007132265A JP2008288049A JP 2008288049 A JP2008288049 A JP 2008288049A JP 2007132265 A JP2007132265 A JP 2007132265A JP 2007132265 A JP2007132265 A JP 2007132265A JP 2008288049 A JP2008288049 A JP 2008288049A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolyte
positive electrode
active material
battery
ion secondary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007132265A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinari Makimura
嘉也 牧村
Madoka Hasegawa
円 長谷川
Hironori Kondo
広規 近藤
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Yuichi Ito
勇一 伊藤
Naruaki Okuda
匠昭 奥田
Osamu Hiruta
修 蛭田
Yoji Takeuchi
要二 竹内
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Shoichi Tsujioka
辻岡  章一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP2007132265A priority Critical patent/JP2008288049A/ja
Publication of JP2008288049A publication Critical patent/JP2008288049A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】高いエネルギー密度と共に、高温充放電サイクルにおける放電容量の低下及び内部抵抗の上昇を抑制できるリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池である。正極活物質としては、Li/Li+電極を基準電位とした、放電電位4.5V以上に放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質を少なくとも含有する。非水電解液においては、電解質として、Li塩からなる第1電解質と下記の一般式(1)で表される第2電解質とが非水溶媒に溶解されている。
Figure 2008288049

【選択図】なし

Description

本発明は、電解液として、有機溶媒等の非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液を含有するリチウムイオン二次電池に関する。
非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、高電圧でエネルギー密度が高く、小型化・軽量化が図れることから、パソコンや携帯電話等を中心に情報通信機器の分野で実用が進み、広く一般に普及するに至っている。また他の分野では、環境問題及び資源問題から電気自動車の開発が急がれる中、リチウムイオン二次電池をハイブリッド自動車用の電池として用いることが検討されている。車載用電池等の用途においては、例えば−30℃程度から60℃程度までの温度条件下において、繰り返し充放電しても、容量劣化が小さく、内部抵抗の増加率が小さいリチウムイオン二次電池が求められている。
リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、これらの正極及び負極間でリチウムイオンを移動させる非水電解液とを主要な構成としてなっている。具体的には、例えば正極には、正極活物質としてLiCoO2、LiNiO2、LiMn24、及びそれらの誘導体等のリチウム遷移金属複合酸化物を用い、負極に、負極活物質として黒鉛やコークス等の炭素材料を用いた電池がある。また、電解液としては、鎖状カーボネートと環状カーボネートとの有機混合溶媒にLiPF6等のLi塩を溶解した非水電解液が用いられている。
現行のリチウムイオン二次電池においては、4V付近に作動電圧を示す正極活物質が広く用いられている。より高いエネルギー密度を実現するために、4.5V以上の領域に作動電圧を有する所謂5V系材料からなる正極活物質を有するリチウムイオン二次電池が開発されている(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上記のごとく、5V系材料からなる正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池においては、高エネルギー密度を実現できる反面、耐久性が低下するという問題があった。即ち、充放電を繰り返し行ったときに、放電容量が低下し易くなり、さらに電池の内部抵抗が上昇し易くなるという問題があった。また、充放電を繰り返したときにおえる放電容量の低下や内部抵抗の上昇は、例えば60℃程度の高温で起こり易く、高温での使用が想定される自動車等の駆動電源として用いることが困難であるという問題があった。
特開平11−73962号公報 特開2001−319653号公報
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、高いエネルギー密度を発揮できると共に、高温で充放電を繰り返し行ったときにおける放電容量の低下及び内部抵抗の上昇を抑制できるリチウムイオン二次電池を提供しようとするものである。
本発明は、正極活物質として、少なくともリチウムと遷移金属とを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、
上記正極活物質としては、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に、放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質を少なくとも含有し、
上記非水電解液においては、上記電解質として、Li塩からなる第1電解質と、下記の一般式(1)で表される第2電解質とが上記非水溶媒に溶解されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池にある(請求項1)。
Figure 2008288049
{但し、Mは、遷移金属、周期律表のIII族、IV族、又はV族元素、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオン、aは1〜3、bは1〜3、pはb/a、mは1〜4、nは0〜8、qは0又は1をそれぞれ表し、R1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリーレン、又はC6〜C20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またm個存在するR1はそれぞれが結合してもよい。)、R2は、ハロゲン、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリール、又はX33(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またn個存在するR2はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)、X1、X2、X3は、O、S、又はNR4、R3、R4は、それぞれが独立で、水素、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリールをそれぞれ示す(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、また複数個存在するR3、R4はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)。}
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記正極活物質として、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に、放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質を少なくとも含有する。
そのため、上記リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を発揮することができる。
また、上記非水電解液中には、上記電解質として、Li塩からなる第1電解質と、上記の一般式(1)で表される第2電解質とが溶解している。該第2電解質は、その少なくとも一部が、充放電時に電極上で分解し、電極上に安定な被覆物を形成することができる。該被覆物は、高電圧領域においても形成されうる。その結果、充放電を繰り返し行ってもスムーズなリチウムイオンの挿入脱離が可能になり、高温で充放電を繰り返したときにおける容量の低下や内部抵抗の上昇を抑制することができる。また、上記高電圧正極活物質を用いた場合には、一般に、充放電を繰り返し行ったときに、リチウムイオンのスムーズな挿入脱離が妨げられやすくなるが、本発明においては、上記のごとく、上記第2電解質が高電圧領域においても安定な上記被覆物を形成することができるため、上記リチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返し行っても優れた放電容量及び出力を示すことができる。
また、一般に、リチウム塩としてLiPF6等のフッ素元素を含有する電解質を用いた場合には、非水電解液中に微量の水分が混入した際に、加水分解によってHFが生成するおそれがある。このHFは、電極を腐食し、容量や出力などの電池特性を劣化させてしまうおそれがある。本発明のリチウムイオン二次電池においては、上記一般式(1)で表される上記第2電解質を含有しており、該第2電解質がHFの発生を抑制することができると共に、例えHFが発生したとしてもHFを捕獲することができる。そのため、充放電を繰り返し行った場合においても、放電容量の低下や内部抵抗の上昇を抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、高いエネルギー密度を発揮できると共に、高温で充放電を繰り返し行ったときにおける放電容量の低下及び内部抵抗の上昇を抑制できるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極活物質として少なくともリチウムと遷移金属とを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液とを有する。
上記リチウムイオン二次電池は、例えば上記正極及び上記負極と、これらの正極と負極との間に狭装されるセパレータと、正極と負極との間でリチウムを移動させる上記非水電解液等とを主要構成要素として構成することができる。
まず、上記正極について説明する。
正極は、例えば正極集電体と、その表面に形成された正極活物質層とによって構成することができる。上記正極活物質層は、上記正極活物質に、結着材と、導電性を向上させるためのカーボン等の導電助剤とを混合し、分散材として適当な溶媒を加えてペースト状又はスラリー状にした正極合材を、上記正極集電体の表面に塗布、乾燥し、その後圧縮することにより形成することができる。
また、上記正極としては、上記正極合材をプレス成形して得られるペレット電極等を用いることもできる。
上記正極活物質としては、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に、放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質を少なくとも含有する。
ここで、「平坦部」は、上記高電圧正極活物質中に含まれるリチウムイオンを全て放出したと仮定し、そのときに算出される容量を理論容量とし、理論容量を放出するまでに10時間を要する電流値で電池を放電させたときに、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に正極活物質1gあたり20mAh以上の放電容量を示す状態を意味する。
具体的には、例えば次の電気化学試験を行うことにより、「平坦部」を有する高電圧正極活物質を特定することができる。
「電気化学試験」
即ち、まず、正極活物質を含有するペースト状又はスラリー状の正極合材を作製し、該正極合材を正極集電体に塗布し乾燥する。次いで、プレス成形し、所定の形状及び大きさに切断してシート状の正極を作製する。一方、リチウム金属シートを所定の形状及び大きさに切断してシート状の負極を作製する。次いで、正極と負極との間にセパレータを挟んでサンドイッチ状の電極体を作製し、この電極体を例えばコイン型等の電池ケースに配置する。電池ケース内に非水電解液を含浸させて電池ケースを密閉し、電池を形成する。
次いで、正極中に含まれる正極活物質の理論容量を算出し、さらにこの理論容量を10時間で放電する電流値を算出する。次に、この電流値(電流密度)で電池を放電させたときの容量と放電電位を測定し、放電電位4.5V以上に20mAh/g以上の放電容量を有するか否かの判定を行う。放電電位4.5V以上に20mAh/g以上の放電容量を有する正極活物質は、平坦部を有する高電圧正極活物質であると判定し、放電電位4.5V以上に20mAh/g以上の放電容量を有さない正極活物質は、平坦部を有さない活物質であると判定することができる。
上記高電圧正極活物質としては、一般式(6)Lix(AyMn2-y)O4(Aは、Li、Mg、及び遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素、0<x≦1.2、0<y≦1)で表されるスピネル型構造のリチウムマンガン系酸化物が採用されていることが好ましい(請求項7)。
上記一般式(6)で表される上記リチウムマンガン系酸化物は、4.5V以上で比較的安定に充放電反応を進行させることができる。そのためこの場合には、上記リチウムイオン二次電池の出力を向上させることができると共に、充放電を繰り返し行ったときにおける容量及び出力等の電池特性の劣化をより抑制することができる。
また、上記一般式(6)における金属元素Aは、Li、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、及びMoから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記一般式(6)で表される上記リチウムマンガン系酸化物の充放電挙動の安定性をより向上させることができる。そのためこの場合には、上記リチウムイオン二次電池の充放電をより一層安定に行うことができる。
上記導電助剤は、正極合材の導電性を向上させるために配合される添加物である。上記導電助剤としては、例えばカーボンブラック、グラファイト等のカーボン粉末を用いることができる。
上記結着材は、上記活物質粒子間を連結したり、例えば上記正極活物質層を上記集電体に繋ぎ止める役割を果たすものであり、高分子材料が用いられる。該高分子材料には、上記非水電解液に用いられる上記非水溶媒に対する耐性、電池反応が進行する電位に対する安定性、及び耐熱性等が要求される。そのため、上記結着材の高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、スチレン−ブタジエン系ゴム、ポリアクリロニトリル等を用いることができる。これらの高分子材料は、1種を単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
また、上記正極活物質及び上記結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
また、上記正極集電体としては、アルミニウム、チタン等の金属又はその合金等を用いることができる。好ましくは、アルミニウム又はその合金を用いることがよい。アルミニウム又はアルミニウム合金は軽量であるため、この場合には、エネルギー密度を向上させることができる。
上記正極合材は、上記正極活物質を50〜98重量%、上記導電助剤を30〜1重量%、上記結着材を20〜1重量%含有することが好ましい。上記正極活物質が50重量%未満の場合には、容量等の電池性能が低下するおそれがある。一方、98重量%を越える場合には、結着材量が不充分になって正極活物質の粒子が十分に結着されず、例えば上記正極活物質層を上記正極集電体上に形成して正極を構成する場合に、正極活物質の粒子が上記正極活物質層から滑落したり、導電助剤量が不充分になって導電性が低下するおそれがある。また、上記導電助剤が30重量%を超える場合には、正極活物質量が不十分になって容量等の電池性能が低下したり、結着材量が不十分になって正極活物質の粒子が滑落するおそれがある。一方、導電助剤が1重量%未満の場合には、導電性が不十分になるおそれがある。また、上記結着材が20重量%を越える場合には、正極活物質量が不十分になって容量等の電池性能が低下したり、導電助剤量が不充分になって導電性が低下するおそれがある。また、結着材が1重量%未満の場合には、正極活物質の粒子が十分に結着されず、滑落するおそれがある。
より好ましくは、上記正極合材は、上記正極活物質を70〜96重量%、上記導電助剤を15〜2重量%、上記結着材を15〜2重量%含有することがよい。
次に、負極について説明する。
負極は、例えば負極集電体と、その表面に形成された負極活物質層とによって構成することができる。上記負極活物質層は、負極活物質に必要に応じて導電助剤やバインダーを混合し、分散材として適当な溶媒を加えてペースト状又はスラリー状にした負極合材を、負極集電体の表面に塗布、乾燥し、その後に圧縮することにより形成することができる。
また、上記負極としては、上記負極合材をプレス成形して得られるペレット電極等を用いることもできる。
上記負極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物又は炭素系材料等を用いることができる。
上記炭素系材料としては、例えばハードカーボン、ソフトカーボン等を用いることができる。また、これらのカーボンと、天然又は人造の黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、気相法炭素化繊維、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等とを混合したものを用いることができる。
また、負極活物質としては、例えばチタン酸化物、スズ系合金、ケイ素系合金、及び金属酸化物微粒子等を用いることができる。
負極に用いられる上記導電助剤及び上記結着材としては、上記正極の場合と同様のものを用いることができる。また、負極活物質として導電性を有する炭素系材料を用いる場合には、必ずしも導電助剤を用いる必要はない。
また、負極合材中の負極活物質量については、例えば50〜99重量%にすることができる。また、上記導電助剤は例えば30〜0重量%の範囲で加えることができ、上記結着材は、例えば20〜1重量%の範囲で加えることができる。
また、負極集電体は、例えば金属等の導電性材料からなり、該導電性材料としては、電池反応が進行する電位において、リチウムと合金を形成しない材料を用いることが好ましい。具体的には、例えばニッケル、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス等を用いることができる。
また、負極としては、シート状の金属リチウムを用いることもできる。また、シート状の金属リチウムからなる負極活物質をニッケル又はステンレス等からなる負極集電体に圧着して形成した負極を用いることもできる。このときの負極活物質としては,金属リチウムの代わりにリチウム合金、又はLi4Ti512等のリチウム化合物を用いることもできる。
また、正極と負極との間に狭装される上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート、又は不織布等を用いることができる。
次に、上記非水電解液は、非水溶媒に、電解質として上記第1電解質と上記第2電解質とを溶解してなる。
上記非水溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を用いることができる。具体的には、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート類、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート、γ-ブチルラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)等のラクトン類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、ギ酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等を用いることができる。これらは単独で用いることもできるが、二種以上を混合して用いることもできる。
上記第1電解質は、Li塩からなる。
好ましくは、上記第1電解質としては,LiPF6,LiClO4,LiBF4,LiAsF6,及びLiSbF6から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が採用されていることがよい(請求項2)。
この場合には、上記非水電解液のイオン伝導度が比較的高くなり、電気化学的に安定化させることができる。もっとも好ましくは、上記第1電解質としては,LiPF6を用いることがよい。
また、上記第2電解質としては、上記一般式(1)で表される化合物が用いられている上記第2電解質は、上記非水電解液中では少なくとも部分的に電離しており、カチオン(一般式(1)におけるAa+)と、アニオン(一般式(1)におけるAa+以外の部分)とになっている。
上記一般式(1)におけるAa+としては、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、セシウムイオン、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、チタンイオン、鉛イオン、クロムイオン、バナジウムイオン、ルテニウムイオン、イットリウムイオン、ランタノイドイオン、アクチノイドイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、プロトン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン等が挙げられる。
また、上記一般式(1)において、Aa+のカチオンの価数aは1〜3である。aが3より大きい場合には、上記第2電解質の結晶格子エネルギーが大きくなるため、上記有機溶媒に溶解するのが困難になる。そのため、最も好ましくはa=1である。このようなカチオンAa+としては、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、プロトン等がある。
また、同様にアニオンの価数bも1〜3であり、b=1が最も好ましい。
また、カチオンとアニオンの比を表す定数pは、両者の価数の比b/aにより必然的に決まってくる。
上記第2電解質は、イオン性金属錯体構造をとっており、その中心となるMは、遷移金属、周期律表のIII族、IV族、又はV族元素から選ばれる。
上記一般式(1)で表される上記第2電解質において、Aa+は、Li+、Na+、K+から選ばれる少なくとも一種であり、Mは、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbのいずれかであることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記第2電解質の合成が容易となる。
より好ましくは、上記一般式(1)中のMは、Al、B、又はPがよい。この場合には、上記第2電解質の合成が容易になることに加えて、上記第2電解質の毒性を低くすることができ、また製造コストを低くすることができる。
次に、上記第2電解質(イオン性金属錯体)の配位子の部分について説明する。以下、ここでは上記一般式(1)において、Mに結合している有機又は無機の部分を配位子とよぶ。
一般式(1)中のR1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリーレン、又はC6〜C20のハロゲン化アリーレンから選ばれるものよりなる。これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよい。具体的には、アルキレン及びアリーレン上の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基、また、アルキレン及びアリーレン上の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造等を挙げることができる。
さらには、R1が複数存在する場合(q=1、m=2〜4の場合)には、それぞれが結合してもよく、例えばエチレンジアミン四酢酸のような配位子を挙げることができる。
2は、ハロゲン、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリール、又はX33から選ばれるものよりなる。これらもR1と同様に、アルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またR2が複数個存在する場合(n=2〜8の場合)R2はそれぞれが結合して環を形成してもよい。
好ましくは、R2としては、電子吸引性の基がよく、特にフッ素がよい。この場合には、上記第2電解質の溶解度や解離度が向上し、これに伴ってイオン伝導度が向上するという効果を得ることができる。さらにこの場合には、耐酸化性が向上し、これにより副反応の発生を防止することができる。
1、X2、X3は、それぞれ独立で、O、S、又はNR4であり、これらのヘテロ原子を介して配位子がMに結合する。ここで、O、S、N以外で結合することが、不可能ではないが、合成上非常に煩雑なものとなる。上記一般式(1)で表される化合物の特徴として、同一の配位子内におけるX1とX2によるMとの結合があり、これらの配位子はMとキレート構造を形成している。この配位子中の定数qは、0又は1である。q=0の場合には、キレートリングが五員環となり、上記第2電解質の錯体構造が安定化する。そのため、この場合には、上記第2電解質が上記被覆物の形成以外の副反応を起こすことを防止することができる。
3、R4は、それぞれが独立で、水素、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリールであり、これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またR3、R4が複数個存在する場合には、それぞれが結合して環を形成してもよい。
また、上述した配位子の数に関係する定数m及びnは、中心のMの種類によって決まってくるものであるが、mは1〜4、nは0〜8である。好ましくはnは1〜8がよい。
また、上述のR1、R2、R3、R4において、C1〜C10は炭素数が1〜10であることを示し、C6〜C20は炭素数が6〜20であることを示す。
次に、上記一般式(1)で表される上記第2電解質としては、下記の式(2)〜(5)で表される少なくとも1種の化合物が採用されていることが好ましい(請求項4)。
Figure 2008288049
Figure 2008288049
Figure 2008288049
Figure 2008288049
上記式(2)〜式(5)で表される化合物は、比較的容易に合成することができる。また、上記式(2)〜式(5)で表される化合物を上記第2電解質として用いることにより、上記リチウムイオン二次電池は、内部抵抗の上昇及び容量維持率の低下に対する上述の抑制効果をより顕著に発揮することができる。より好ましくは、上記第2電解質は、式(3)〜(5)のように、一般式(1)における元素MとしてPを含有する化合物であることが好ましい。
特に好ましくは、上記一般式(1)で表される上記第2電解質は、上記式(4)で表される化合物であることがよい(請求項5)。
上記式(4)で表される化合物においては、構造中のキレートリングが対象に配置されているため、錯体構造が安定化する。そのためこの場合には、上記リチウムイオン二次電池の充放電効率及び容量維持率をより向上させることができる。
また、上記第2電解質の合成方法としては、例えば上記式(2)に示した化合物の場合には、非水溶媒中でLiBF4と2倍モルのリチウムアルコキシドを反応させた後、シュウ酸を添加して、ホウ素に結合しているアルコキシドをシュウ酸で置換する方法等がある。
また、上記非水電解液中には、上記第1電解質と上記第2電解質とが、モル比で、第1電解質:第2電解質=98〜20:2〜80となるように添加されていることが好ましい(請求項7)。
上記第1電解質に対する上記第2電解質のモル比が2未満の場合、又は上記第2電解質に対する上記第1電解質のモル比が98を越える場合には、高温条件下で充放電を繰り返し行ったときにおける上記リチウムイオン二次電池の容量の低下に対する抑制効果が小さくなるおそれがある。一方、上記第1電解質に対する上記第2電解質のモル比が45を越える場合、又は上記第2電解質に対する上記第1電解質のモル比が55未満の場合には、リチウムイオン二次電池の初期出力が低下するおそれがある。より好ましくは、第1電解質:第2電解質=97〜80:3〜20がよく、さらに好ましくは、第1電解質:第2電解質=96〜90〜4〜10がよい。
また、上記リチウムイオン二次電池の形状としては、例えばシート状の電極(正極及び負極)及びセパレータをスパイラル状にした円筒型、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造の円筒型、ペレット電極及びセパレータを積層したコイン型等がある。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例においては、正極に上記高電圧正極活物質を含有し、非水電解液中に上記第1電解質及び上記第2電解質を含有するリチウムイオン二次電池を作製し、その特性を評価する。
まず、3種類の正極活物質を準備し、これらを用いて、図1に示すごとく、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製し、その放電電位と容量との関係を調べた。
具体的には、まず、正極活物質として、LiNi0.5Mn1.54を準備した。この正極活物質85重量部と、導電材(カーボンブラック)10重量部と、結着材(ポリフッ化ビニリデン)5重量部とを混合し、混合物に分散材(N−メチル−2−ピロリドン)を適量添加して分散させて、スラリー状の正極合材を作製した。この正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の片面に塗布し、加熱乾燥させた後、プレス機で圧縮して高密度化させ、シート状の電極板を作製した。この電極板から直径1.6cmの円盤状の電極を切り出し、これを正極71とした(図1参照)。また、シート状のリチウム金属から直径1.8cmの円盤状のリチウム金属を切り出し、これをステンレス製の集電体に圧着させることにより、負極72を作製した(図1参照)。次いで、図1に示すごとく、正極71と負極72との間に厚さ25μmのポリエチレン製のセパレータ73を狭持し、サンドイッチ構造の電極体75を作製した。次いで、コインセル用の電池ケース8を準備し、その本体部81内に電極体75を配置し、本体部81内に非水電解液を含浸させた。非水電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとをそれぞれ3:7(体積比)の混合比で混合してなる非水溶媒に、電解質LiPF6を1Mの濃度で溶解させた電解液を用いた。次いで、電池ケース8の本体部81の開口部を、キャップ部82で塞ぎ、本体部81とキャップ部82との間の隙間にガスケット74を配置して電池ケース8を密閉した。このようにして、コイン型のリチウムイオン二次電池7を作製した。これを電池X1とする。
次いで、電池X1の正極中に含まれる正極活物質LiNi0.5Mn1.54の理論容量147mAh/gを10時間で放電するのに必要な電流値(電流密度)を算出した。この電流値は、電池X1における正極中の正極活物質の重量が14mgであったことから、0.10mA/cm2となる。次に、この電流値0.10mA/cm2でコイン型のリチウムイオン二次電池(電池X1)を充放電させ、このときの容量と放電電位との関係を調べた。その結果を図2に示す。
また、本例においては、LiNi0.5Mn1.54の代わりに、LiFe0.5Mn1.54、及びLiCoMnO4をそれぞれ正極活物質として用いて2種類のコイン型のリチウムイオン二次電池(電池X2、及び電池X3)を作製した。電池X2及び電池X3は、正極活物質として、それぞれLiFe0.5Mn1.54、及びLiCoMnO4を用いた点を除いては、上記電池X1と同様のリチウムイオン二次電池である。これらの電池X2及び電池X3についても、電池X1の場合と同様にして、容量と放電電位との関係を調べた。その結果を図2に示す。
図2より知られるごとく、3種類の正極活物質LiNi0.5Mn1.54、LiFe0.5Mn1.54、及びLiCoMnO4は、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に正極活物質1gあたり20mAh以上の放電容量を示す。よって、これらの正極活物質は、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に、放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質であることがわかる。
次に、高電圧正極活物質を正極に含有するリチウムイオン二次電池を作製する。
図3に示すごとく、本例のリチウムイオン二次電池1は、正極2及び負極3を捲回してなるロール状電極体15を有し、このロール状電極体15を電池ケース6としての18650型円筒ケースに挿入してなる円筒型の電池である。ロール状電極体15において、正極2と負極3との間にはセパレータ4が狭装されており、セパレータ4は正極2と負極3との間に狭装された状態で捲回されている。電池ケース6内には、非水電解液が注入されている。
本例のリチウムイオン二次電池1において、正極2は、正極活物質として、高電圧正極活物質のLiNi0.5Mn1.54を含有し、負極3は、負極活物質として黒鉛を含有する。また、非水電解液は、電解質として、LiPF6からなる第1電解質と、式(4)で表される第2電解質を含有している。
Figure 2008288049
次に、本例のリチウムイオン二次電池1の製造方法につき、説明する。
まず、正極活物質として、LiNi0.5Mn1.54を準備し、この正極活物質85重量部と、導電剤としてのカーボンブラック10重量部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン5重量部とを混合した。この混合物に、分散剤としてのN−メチル−2−ピロリドンを適量添加し、分散剤に混合物を分散させてスラリー状の正極合材を作製した。
この正極合材を厚み20μmのアルミニウム箔集電体の両面に、均一に塗布し、加熱乾燥させた。その後、ロールプレスで高密度化し、シート状の正極を作製した。なお、正極活物質の付着量は、集電体の片面あたり約7mg/cm2とした。上記のようにして作製したシート状の正極を、幅52mm×長さ450mmのサイズに切り出し、ロール状電極体15用の正極2とした(図3参照)。
次に、負極活物質として黒鉛を準備した。この負極活物質95重量部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン5重量部とを混合し、分散剤としてのN−メチル−2−ピロリドンを適量添加し、分散させてスラリー状の負極合材を作製した。この負極合材を厚み10μmの銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥させた。その後、ロールプレスで高密度化し、幅54mm×長さ500mmの形状に切り出し、シート状の負極3を作製した。負極活物質の付着量は、集電体の片面あたり約5mg/cm2とした。
次に、以下のようにして、非水電解液を作製した。
即ち、まずエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した有機溶媒に、第1電解質としてのLiPF6を濃度1mol/Lとなるように加えて第1電解質溶液を作製した。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した有機溶媒に、上記の式(4)で表される第2電解質(LiPF2(C24)2)を濃度1mol/Lとなるように加えて第2電解質溶液を作製した。
次いで、上記第1電解質溶液と上記第2電解質溶液とを混合し、非水電解液を作製した。このとき、第1電解質と第2電解質とがそれぞれ95:5(モル比)となるように混合した。
次に、図3に示すごとく、上記のようにして得られたシート状の正極2及び負極3にそれぞれ正極集電リード28及び負極集電リード38を熔接した。
これらの正極2及び負極3の間に、幅56mm、厚さ25μmのポリエチレン製のセパレータ4を挟み、正極2、負極3、及びセパレータ4を捲回し、スパイラル状のロール電極体15を作製した。
続いて、このロール電極体15を、外装缶62及びキャップ61よりなる18650型の円筒形状の電池ケース6に挿入した。このとき、電池ケース6のキャップ61側に配置した正極集電タブ285に、正極集電リード28を熔接により接続すると共に、外装缶62の底に配置した負極集電タブ385に負極集電リード38を熔接により接続した。
次に、非水電解液を電池ケース6内に含浸させた。そして、キャップ61の内側にガスケット5を配置すると共に、このキャップ61を外装缶62の開口部に配置した。続いて、キャップ61にかしめ加工を施すことにより電池ケース6を密閉し、円筒型のリチウムイオン二次電池1を作製した。これを電池E1とする。
また、本例においては、上記電池E1とは正極活物質の種類及び/又は第2電解質の種類が異なる6種類のリチウムイオン二次電池(電池E2〜電池E7)を作製した。
電池E2は、電池E1とは異なる第2電解質(LiPF4(C24))を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E2は、第2電解質として下記の式3で表される物質(LiPF4(C24))を用いた点を除いては上記電池E1と同様にして作製した。
Figure 2008288049
また、電池E3は、電池E1とは異なる第2電解質(LiP(C24)3)を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E3は、第2電解質として下記の式5で表される物質(LiP(C24)3)を用いた点を除いては上記電池E1と同様にして作製した。
Figure 2008288049
電池E4は、電池E1とは異なる正極活物質(LiFe0.5Mn1.54)を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E4は、正極活物質としてLiFe0.5Mn1.54を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した。
また、電池E5は、電池E1とは異なる正極活物質(LiFe0.5Mn1.54)及び第2電解質(LiP(C24)3)を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E5は、正極活物質として(LiFe0.5Mn1.54)を用い、第2電解質として上記式(5)で表される物質(LiP(C24)3)を用いた点を除いては電池E1と同様に作製した。
電池E6は、電池E1とは異なる正極活物質(LiCoMnO4)を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E6、正極活物質としてLiCoMnO4を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した。
電池E7は、電池E1とは異なる正極活物質(LiCoMnO4)及び第2電解質(LiP(C24)3)を用いて作製したリチウムイオン二次電池である。電池E7は、正極活物質としてLiCoMnO4を用い、第2電解質として上記式(5)で表される物質(LiP(C24)3)を用いた点を除いては電池E1と同様に作製した。
また、本例においては、上記電池E1〜電池E7の優れた特性を明らかにするために、比較用のリチウムイオン二次電池(電池C1〜電池C3)を作製した。
電池C1は、第2電解質を含有しておらず、電池E1〜電池E3と同様の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池である。具体的には、電池C1は、正極活物質としてLiNi0.5Mn1.54を用い、上記第1電解質溶液、即ち、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した有機溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように加えて作製した溶液を非水電解液として用いたリチウムイオン二次電池である。したがって、電池C1は、第2電解質を含有しない非水電解液を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した電池である。
電池C2は、第2電解質を含有しておらず、上記電池E4及び電池E5と同様の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池である。具体的には、電池C2は、正極活物質としてLiFe0.5Mn1.54を用い、上記第1電解質溶液、即ち、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した有機溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように加えて作製した溶液を非水電解液として用いたリチウムイオン二次電池である。したがって、電池C2は、第2電解質を含有しない非水電解液を用い、さらに正極活物質としてLiFe0.5Mn1.54を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した電池である。
電池C3は、第2電解質を含有しておらず、上記電池E6及び電池E7と同様の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池である。具体的には、電池C3は、正極活物質として、LiCoMnO4を用い、上記第1電解質溶液、即ち、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した有機溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lとなるように加えて作製した溶液を非水電解液として用いたリチウムイオン二次電池である。したがって、電池C3は、第2電解質を含有しない非水電解液を用い、さらに正極活物質としてLiCoMnO4を用いた点を除いては、上記電池E1と同様にして作製した電池である。
次に、上記のようにして作製した10種類のリチウムイオン二次電池(電池E1〜電池E7及び電池C1〜電池C3)について、下記の充放電サイクル試験を行って、試験前後の容量維持率及び抵抗増加率を調べた。
「充放電サイクル試験」
電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、各電池(電池E1〜電池E7及び電池C1〜電池C3)を、電流密度2mA/cm2の定電流で、充電上限電圧5.1Vまで充電し、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計300サイクル行った。
「容量維持率」
充放電サイクル試験前後に、各電池の放電電流値(mA)を測定し、この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を、電池内の正極活物質の重量(g)で除することにより放電容量を算出した。そして、充放電サイクル試験前の放電容量を容量A(初期容量)、充放電サイクル試験後の放電容量を容量Bとしたとき、下記の式(a)により容量維持率を算出した。その結果を表1に示す。
容量維持率(%)=容量B/容量A×100 ・・・・(a)
「抵抗増加率」
各電池を20℃の温度条件で電池容量の50%(SOC=50%)に調整し、0.5A、1A、2A、3A、5Aの電流を流して10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧とを直線近似し、その傾きからIV抵抗、即ち電池の内部抵抗を求めた。
抵抗増加率は、充放電試験後のIV抵抗を抵抗B、充放電試験前のIV抵抗を抵抗A(初期IV抵抗)とすると、下記の式(b)にて算出することができる。その結果を表1に示す。
抵抗増加率(%)=(抵抗B−抵抗A)×100/抵抗A ・・・・(b)
Figure 2008288049
表1において、電池E1〜電池E3と電池C1、電池E4及び電池E5と電池C2、電池E6及び電池E7と電池C3とをそれぞれ比較して知られるごとく、正極活物質として高電圧正極活物質を用いた場合において、非水電解液中に、第1電解質(LiPF6)の他に第2電解質を添加すると、容量維持率を向上させることができる共に、抵抗増加率を抑制することができることがわかる。表1より知られるごとく、正極に高電圧正極活物質を用いた場合には、第2電解質を電解液中に添加することにより、容量維持率を2倍以上向上させることができると共に、抵抗増加率を1/2程度まで、場合によっては1/2未満にまで低下させることができる。したがって、正極に高電圧正極活物質を用いた場合には、第2電解質の添加による容量維持率の向上効果及び内部抵抗増加に対する抑制効果が非常に顕著であることがわかる。
したがって、本例によれば、高いエネルギー密度を発揮できると共に、高温で充放電を繰り返し行ったときにおける放電容量の低下及び内部抵抗の上昇を抑制できるリチウムイオン二次電池(電池E1〜電池E7)を提供することができる。
実施例1にかかる、リチウムイオン二次電池(コイン型)の構成を示す説明図。 実施例1にかかる、3種類の異なる正極活物質を含有するリチウムイオン二次電池(電池X1〜電池X3)における放電容量に対する放電電位の変化を示す線図。 実施例1にかかる、リチウムイオン二次電池(円筒型)の構成を示す説明図。
符号の説明
1 リチウムイオン二次電池
2 正極
3 負極

Claims (8)

  1. 正極活物質として少なくともリチウムと遷移金属とを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極と、負極活物質を含有する負極と、非水溶媒に電解質を溶解してなる非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池において、
    上記正極活物質としては、Li/Li+電極を基準電位とした放電電位4.5V以上に、放電曲線の平坦部を示す高電圧正極活物質を少なくとも含有し、
    上記非水電解液においては、上記電解質として、Li塩からなる第1電解質と、下記の一般式(1)で表される第2電解質とが上記非水溶媒に溶解されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
    Figure 2008288049
    {但し、Mは、遷移金属、周期律表のIII族、IV族、又はV族元素、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオン、aは1〜3、bは1〜3、pはb/a、mは1〜4、nは0〜8、qは0又は1をそれぞれ表し、R1は、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のハロゲン化アルキレン、C6〜C20のアリーレン、又はC6〜C20のハロゲン化アリーレン(これらのアルキレン及びアリーレンはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またm個存在するR1はそれぞれが結合してもよい。)、R2は、ハロゲン、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリール、又はX33(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、またn個存在するR2はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)、X1、X2、X3は、O、S、又はNR4、R3、R4は、それぞれが独立で、水素、C1〜C10のアルキル、C1〜C10のハロゲン化アルキル、C6〜C20のアリール、C6〜C20のハロゲン化アリールをそれぞれ示す(これらのアルキル及びアリールはその構造中に置換基、ヘテロ原子を持ってもよく、また複数個存在するR3、R4はそれぞれが結合して環を形成してもよい。)。}
  2. 請求項1において、上記第1電解質としては,LiPF6,LiClO4,LiBF4,LiAsF6,及びLiSbF6から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項1又は2において、上記一般式(1)で表される上記第2電解質において、Aa+は、Li+、Na+、K+から選ばれる少なくとも一種であり、Mは、Al、B、V、Ti、Si、Zr、Ge、Sn、Cu、Y、Zn、Ga、Nb、Ta、Bi、P、As、Sc、Hf、またはSbのいずれかであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記一般式(1)で表される上記第2電解質としては、下記の式(2)〜(5)で表される少なくとも1種の化合物が採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
    Figure 2008288049
    Figure 2008288049
    Figure 2008288049
    Figure 2008288049
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記一般式(1)で表される上記第2電解質は、上記式(4)で表される化合物であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、上記非水電解液中には、上記第1電解質と上記第2電解質とが、モル比で、第1電解質:第2電解質=98〜20:2〜80となるように添加されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において、上記高電圧正極活物質としては、一般式(6)Lix(AyMn2-y)O4(Aは、Li、Mg、及び遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素、0<x≦1.2、0<y≦1)で表されるスピネル型構造のリチウムマンガン系酸化物が採用されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、上記一般式(6)における金属元素Aは、Li、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、及びMoから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
JP2007132265A 2007-05-18 2007-05-18 リチウムイオン二次電池 Pending JP2008288049A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007132265A JP2008288049A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 リチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007132265A JP2008288049A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 リチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008288049A true JP2008288049A (ja) 2008-11-27

Family

ID=40147579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007132265A Pending JP2008288049A (ja) 2007-05-18 2007-05-18 リチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008288049A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010071097A1 (ja) * 2008-12-16 2010-06-24 セントラル硝子株式会社 ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム溶液の製造方法
JP2011192618A (ja) * 2010-03-17 2011-09-29 Hitachi Ltd リチウムイオン二次電池
WO2012081327A1 (ja) * 2010-12-13 2012-06-21 日本電気株式会社 リチウムイオン二次電池及びその製造方法
US9478828B2 (en) 2012-12-04 2016-10-25 Samsung Sdi Co., Ltd. Electrolyte for rechargeable lithium battery and rechargeable lithium battery including the same
JP2017069145A (ja) * 2015-10-02 2017-04-06 旭化成株式会社 化合物、添加剤、電解液及びリチウムイオン二次電池

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000100434A (ja) * 1998-09-21 2000-04-07 Sanyo Electric Co Ltd リチウム二次電池
JP2004014270A (ja) * 2002-06-06 2004-01-15 Nec Corp 二次電池
JP2004071159A (ja) * 2002-08-01 2004-03-04 Central Glass Co Ltd 非水電解質二次電池
JP2005032716A (ja) * 2003-06-16 2005-02-03 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウムイオン二次電池
WO2006115681A2 (en) * 2005-04-25 2006-11-02 Ferro Corporation Non-aqueous electrolytic solution with mixed salts
JP2008034334A (ja) * 2006-06-28 2008-02-14 Sony Corp 電池

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000100434A (ja) * 1998-09-21 2000-04-07 Sanyo Electric Co Ltd リチウム二次電池
JP2004014270A (ja) * 2002-06-06 2004-01-15 Nec Corp 二次電池
JP2004071159A (ja) * 2002-08-01 2004-03-04 Central Glass Co Ltd 非水電解質二次電池
JP2005032716A (ja) * 2003-06-16 2005-02-03 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウムイオン二次電池
WO2006115681A2 (en) * 2005-04-25 2006-11-02 Ferro Corporation Non-aqueous electrolytic solution with mixed salts
JP2008034334A (ja) * 2006-06-28 2008-02-14 Sony Corp 電池

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010071097A1 (ja) * 2008-12-16 2010-06-24 セントラル硝子株式会社 ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム溶液の製造方法
US8088518B2 (en) 2008-12-16 2012-01-03 Central Glass Company, Limited Method for producing lithium difluorobis (oxalato) phosphate solution
JP2011192618A (ja) * 2010-03-17 2011-09-29 Hitachi Ltd リチウムイオン二次電池
WO2012081327A1 (ja) * 2010-12-13 2012-06-21 日本電気株式会社 リチウムイオン二次電池及びその製造方法
US9478828B2 (en) 2012-12-04 2016-10-25 Samsung Sdi Co., Ltd. Electrolyte for rechargeable lithium battery and rechargeable lithium battery including the same
JP2017069145A (ja) * 2015-10-02 2017-04-06 旭化成株式会社 化合物、添加剤、電解液及びリチウムイオン二次電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009021102A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2007335143A (ja) リチウムイオン二次電池
JP5119182B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP4579588B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5357517B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP4880930B2 (ja) 非水電解液及びリチウム二次電池
WO2011117992A1 (ja) 電池用活物質および電池
JP4995444B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2019207755A (ja) 非水電解液電池及びその製造方法
JP5196909B2 (ja) 非水電解液リチウムイオン二次電池
JP4880936B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5279567B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2005032715A (ja) リチウムイオン二次電池及びその製造方法
JP2008288049A (ja) リチウムイオン二次電池
JPWO2019235469A1 (ja) 還元型グラフェン系材料
JP2008010183A (ja) リチウムイオン二次電池
JP5124170B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP4855331B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP4795654B2 (ja) リチウムイオン二次電池
CN111052486B (zh) 非水电解质二次电池
JP2009004357A (ja) 非水電解液リチウムイオン二次電池
JP4828819B2 (ja) 非水電解液リチウムイオン二次電池
JP4176435B2 (ja) 非水電解質電池
JP2019061826A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2018113164A (ja) 非水電解液電池およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120509

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121009