JP2011085046A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料供給ポンプの吐出量を制御して、コモンレール圧力を目標圧力にフィードバック制御する燃料噴射装置において、印加電流または圧送期間の適切な補正値が全運転領域において得られるようにする。
【解決手段】高圧ポンプの吐出量が異なる第1運転領域および第2運転領域にて、コモンレール圧力のオーバーシュート量とPID制御におけるPID項の値とに基づいて、補正値を算出する。また、第1運転領域での補正値と第2運転領域での補正値とに基づいて、他の運転領域における補正値を算出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に噴射される高圧燃料を蓄えるコモンレールを備える燃料噴射装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジン用の燃料噴射装置として、コモンレール式燃料噴射装置が知られている。コモンレールに燃料を供給する燃料供給ポンプとしては、例えば、印加電流に応じて弁開度が制御される吸入調量弁を有する燃料供給ポンプが用いられ、吸入調量弁の電磁駆動部への印加電流によって燃料吸入量を調整することにより、コモンレールへの高圧燃料の吐出量を制御して、コモンレール圧力を目標圧力にフィードバック制御している(例えば、特許文献1参照)。
そして、燃料供給ポンプにおける個々の吸入調量弁の印加電流と燃料供給ポンプの吐出量との関係(以下、実機I−Q特性という)は、燃料供給ポンプを構成する機器の機差や経時変化により、基準となる機差中央特性のポンプの印加電流と吐出量との関係(以下、基準I−Q特性という)からずれることが知られている。
そこで、アイドリング時における実機I−Q特性のずれを検出してそのずれ分を補正値とし、燃料供給ポンプの目標吐出量に基づいて基準I−Q特性から算出した印加電流値と上記補正値とに基づいて、印加電流の指令値を算出するようにしている。
また、燃料供給ポンプとして、圧送行程中にポンプ制御弁が燃料吸入経路を閉じている圧送期間だけコモンレールへ燃料を圧送する燃料供給ポンプも知られている。この燃料供給ポンプを用いるコモンレール式燃料噴射装置では、圧送期間を調整することによりコモンレールへの高圧燃料の吐出量を制御して、コモンレール圧力を目標圧力にフィードバック制御している。
そして、この場合も、個々の燃料供給ポンプの圧送期間と燃料供給ポンプの吐出量との関係(以下、実機P−Q特性という)は、燃料供給ポンプを構成する機器の機差や経時変化により、基準となる機差中央特性のポンプの圧送期間と吐出量との関係(以下、基準P−Q特性という)からずれることが知られている。
そこで、アイドリング時における実機P−Q特性のずれを検出してそのずれ分を補正値とし、燃料供給ポンプの目標吐出量に基づいて基準P−Q特性から算出した圧送期間と上記補正値とに基づいて、圧送期間の指令値を算出するようにしている。
特開2009−52528号公報
しかしながら、従来は、アイドリング時に算出した補正値をアイドリング以外の運転領域においても用いているため、アイドリング時とは吐出量が大きく異なる高負荷運転域では適切な印加電流の指令値或いは圧送期間の指令値を算出することができなかった。したがって、加速時等の過渡時にコモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートが大きくなり、これにより、内燃機関もしくは車両においてはドライバビリティの悪化や有害排気ガス成分の増加を招く虞があった。
本発明は上記点に鑑みて、燃料供給ポンプの吐出量を制御して、コモンレール圧力を目標圧力にフィードバック制御する燃料噴射装置において、印加電流または圧送期間の適切な補正値が全運転領域において得られるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内燃機関に噴射される高圧燃料を蓄えるコモンレール(20)と、印加電流に応じて弁開度が制御される吸入調量弁(13)によって燃料を調量してコモンレール(20)へ圧送する燃料供給ポンプ(10)と、コモンレール(20)内の燃料圧力を検出する圧力センサ(22)と、圧力センサ(22)で検出されるコモンレール圧力が目標圧力となるように、PID制御により燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量を算出して吸入調量弁(13)への印加電流を調整する制御手段(50)とを備え、さらに制御手段(50)は、吸入調量弁(13)への印加電流と燃料供給ポンプ(10)の吐出量との関係が定義された基準特性を予め記憶し、燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて基準特性から算出した吸入調量弁(13)への基準印加電流値と、燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて算出した印加電流補正値とにより、吸入調量弁(13)への指令印加電流値を算出する燃料噴射装置において、制御手段(50)は、燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる第1運転領域および第2運転領域にて、コモンレール圧力のオーバーシュート量とPID制御におけるPID項の値とに基づいて、印加電流補正値を算出する特定領域補正値算出手段(S101、S104)と、特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出した第1運転領域での印加電流補正値と第2運転領域での印加電流補正値とに基づいて、他の運転領域における印加電流補正値を算出する全域補正値算出手段(S6)とを備えることを特徴とする。
これによると、燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの印加電流補正値に基づいて、他の運転領域における印加電流補正値を算出するため、他の運転領域においても適切な印加電流補正値を得ることができ、ひいては、全運転領域において適切な指令印加電流値を求めることができる。
したがって、過渡時に発生しやすいコモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することができ、これにより、ドライバビリティの悪化や有害排気ガス成分の増加を抑制することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101、S104)は、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の少なくとも一方に基づいて、印加電流補正値を算出することを特徴とする。
これによると、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、I項の値は燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化による基準特性からの吐出量ずれ分と相関があるため、コモンレール圧力のオーバーシュート量、さらには燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化に応じた適切な印加電流補正値を得ることができ、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出される印加電流補正値は、PID項の値が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする。
これによると、燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化による基準特性からの吐出量ずれ分、およびコモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って、印加電流補正値が大きくなるため、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出される印加電流補正値は、コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする。
これによると、コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って印加電流補正値が大きくなるため、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101、S104)は、内燃機関が定常運転状態のときに印加電流補正値を算出することを特徴とする。
これによると、内燃機関が定常運転状態のときに印加電流補正値を算出するため、印加電流補正値を精度よく算出することができる。
請求項6に記載の発明では、内燃機関に噴射される高圧燃料を蓄えるコモンレール(20)と、圧送行程中にポンプ制御弁が燃料吸入経路を閉じている圧送期間だけコモンレール(20)へ燃料を圧送する燃料供給ポンプ(10)と、コモンレール(20)内の燃料圧力を検出する圧力センサ(22)と、圧力センサ(22)で検出されるコモンレール圧力が目標圧力となるように、PID制御により燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量を算出して圧送期間を調整する制御手段(50)とを備え、さらに制御手段(50)は、圧送期間と燃料供給ポンプ(10)の吐出量との関係が定義された基準特性を予め記憶し、燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて基準特性から算出した基準圧送期間と、燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて算出した圧送期間補正値とにより、圧送期間の指令値を算出する燃料噴射装置において、制御手段(50)は、燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる第1運転領域および第2運転領域にて、コモンレール圧力のオーバーシュート量とPID制御におけるPID項の値とに基づいて、圧送期間補正値を算出する特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)と、特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出した第1運転領域での圧送期間補正値と第2運転領域での圧送期間補正値とに基づいて、他の運転領域における圧送期間補正値を算出する全域補正値算出手段(S6a)とを備えることを特徴とする。
これによると、燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの圧送期間補正値に基づいて、他の運転領域における圧送期間補正値を算出するため、他の運転領域においても適切な圧送期間補正値を得ることができ、ひいては、全運転領域において適切な圧送期間の指令値を求めることができる。
したがって、過渡時に発生しやすいコモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することができ、これにより、ドライバビリティの悪化や有害排気ガス成分の増加を抑制することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)は、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の少なくとも一方に基づいて、圧送期間補正値を算出することを特徴とする。
これによると、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、I項の値は燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化による基準特性からの吐出量ずれ分と相関があるため、コモンレール圧力のオーバーシュート量、さらには燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化に応じた適切な圧送期間補正値を得ることができ、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項6または7に記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出される圧送期間補正値は、PID項の値が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする。
これによると、燃料供給ポンプ(10)を構成する機器の機差や経時変化による基準特性からの吐出量ずれ分、およびコモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って、圧送期間補正値が大きくなるため、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項9に記載の発明では、請求項6ないし8のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出される圧送期間補正値は、コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする。
これによると、コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って印加電流補正値が大きくなるため、コモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを確実に抑制することができる。
請求項10に記載の発明では、請求項6ないし9のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)は、内燃機関が定常運転状態のときに圧送期間補正値を算出することを特徴とする。
これによると、内燃機関が定常運転状態のときに印加電流補正値を算出するため、印加電流補正値を精度よく算出することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態におけるコモンレール式燃料噴射装置を示す全体構成図である。 第1実施形態におけるエンジンECU50において実行されるコモンレール圧力制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態における吸入調量弁13への印加電流と高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量との関係を示す特性図である。 第1実施形態におけるエンジンECU50において実行される補正値学習処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態におけるコモンレール式燃料噴射装置を示す全体構成図である。 第2実施形態におけるエンジンECU50において実行されるコモンレール圧力制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における圧送期間と高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量との関係を示す特性図である。 第2実施形態におけるエンジンECU50において実行される補正値学習処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は本実施形態におけるコモンレール式燃料噴射装置を示す全体構成図である。図1に示すように、コモンレール式燃料噴射装置は、車両用ディーゼルエンジン(図示せず)に燃料を噴射するものであり、燃料供給ポンプ10、コモンレール20、EDU30、インジェクタ40、制御手段としてのエンジンECU50等を備えている。
燃料供給ポンプ10は、コモンレール20に高圧燃料を圧送するものである。具体的には、燃料供給ポンプ10は、燃料配管61および燃料フィルタ62を介して燃料タンク70から燃料を汲み上げるフィードポンプ11、フィードポンプ11から供給される燃料を加圧してコモンレール20へ圧送する高圧ポンプ12、フィードポンプ11から高圧ポンプ12へ供給される燃料流量を調整する吸入調量弁13等を備えている。
燃料供給ポンプ10は、フィードポンプ11、高圧ポンプ12、および吸入調量弁13が共通の本体ハウジングに収容されて集合体となっている。燃料タンク70および燃料フィルタ62は、本体ハウジングの外部に配置されている。
本実施形態では、フィードポンプ11として内接歯車ポンプであるトロコイドポンプを採用しており、高圧ポンプ12のカム軸121に連結され、このカム軸121から回転駆動力が伝達される。
フィードポンプ11の下流側に、本体ハウジング内の燃料経路14を介して吸入調量弁13が接続されている。吸入調量弁13は、印加電流に応じて燃料経路14の開口面積(すなわち弁開度)を連続的に変更可能に構成された、ノーマリオープンタイプのリニアソレノイド式の電磁弁であって、ディーゼルエンジンの運転状態に基づいてエンジンECU50から出力される駆動信号によって弁開度が制御される。そして、吸入調量弁13の弁開度が変更されることにより、高圧ポンプ52の燃料吸入量が調整され、ひいては高圧ポンプ12の燃料圧送量が調整される。
吸入調量弁13の下流側に、本体ハウジング内の燃料経路15を介して高圧ポンプ12が接続されている。高圧ポンプ12は、ディーゼルエンジンに駆動されて回転するカム軸121、カム軸121の回転運動に伴ってシリンダの内部を往復運動して燃料を加圧するプランジャ122、カム軸121の回転運動を直線運動に変換してプランジャ122に伝達するカム123等を備えている。
シリンダの内部には、プランジャ122の往復運動に応じて容積変化する加圧室124が形成されている。この加圧室124には、燃料経路15を介して燃料が供給されるようになっている。燃料経路15には、加圧室124に燃料が吸入される際に開弁する吸入弁125が配置されている。また、加圧室124は、本体ハウジング内の燃料経路16および燃料配管63を介してコモンレール20に接続されている。この燃料経路16には、加圧室124より燃料が吐出される際に開弁する吐出弁126が配置されている。
カム123が配置されたカム室127には、本体ハウジング内の燃料経路17を介して燃料が導入されるようになっており、カム室127へ導かれる燃料は、カム123とプランジャ122とが摺動する部位に対して潤滑油として作用する。そして、カム室127の燃料は燃料配管64を介して燃料タンク70に戻される。
なお、カム軸121はディーゼルエンジンによって駆動されるため、フィードポンプ11および高圧ポンプ12はエンジンの回転に同期して作動する。
コモンレール20は、燃料供給ポンプ10より供給された高圧燃料を目標圧力(以下、目標レール圧という)に保持して蓄える畜圧手段である。この目標レール圧は、例えば、アクセル開度信号、エンジン回転数信号といったディーゼルエンジンの運転状態に基づいて、エンジンECU50によって決定される。
また、コモンレール20には、コモンレール20内の燃料圧力が予め定めた上限値を超えたときに開弁してコモンレール20の燃料圧力を逃がすプレッシャリミッタ21が取り付けられている。プレッシャリミッタ21より流出した燃料は、燃料配管64を介して燃料タンク70に戻される。
さらに、コモンレール20にはレール圧センサ22が取り付けられており、コモンレール20内の実際の燃料圧力(以下、実レール圧という)に応じた信号がエンジンECU50に入力されるようになっている。
EDU30は、エンジンECU50から入力される駆動信号に基づいて、インジェクタ40の噴孔を開閉させる開閉信号をインジェクタ40に出力する駆動装置である。
インジェクタ40には、燃料配管65を介してコモンレール20から高圧燃料が導入され、インジェクタ40内部の余剰燃料は燃料配管64を介して燃料タンク70に戻される。そして、このインジェクタ40は、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、EDU30から入力される開閉信号に基づいて噴孔が開閉され、噴孔が開かれたときにディーゼルエンジンの燃焼室内に噴孔から燃料を噴射するようになっている。
図1では、このようなインジェクタ40が1つのみ示されているが、インジェクタ40は、ディーゼルエンジンの各気筒にそれぞれ装着されており、各燃料配管65を介して各インジェクタ40に高圧燃料が供給されるようになっている。
エンジンECU50は、図示しないCPU、ROM、EEPROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを備え、マイクロコンピュータに記憶したプログラムに従って演算処理を行うものである。
このエンジンECU50には、センサ類から信号が入力されるようになっており、エンジンECU50は、これらの入力信号等に基づいて、ディーゼルエンジンの運転状態に応じた最適な噴射時期や噴射量等を決定して各インジェクタ40を駆動する。
また、エンジンECU50は、レール圧センサ22により検出されるコモンレール20の実レール圧が、噴射圧力に相当する目標レール圧に追従するように、高圧ポンプ12の目標吐出量を算出し、吸入調量弁13を駆動してコモンレール圧力をフィードバック制御する。
ここで、センサ類として、例えば、上述のレール圧センサ22の他に、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ80、車速を検出する車速センサ81、エンジン冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ82、燃料供給ポンプ10内の燃料の温度を検出する燃料温度センサ83、および車両のアクセルペダルの踏み込み量(以下アクセル開度という)を検出するアクセル開度センサ84等を備えている。
図2はエンジンECU50において実行されるコモンレール圧力制御処理を示すフローチャートである。図2の制御処理は、ディーゼルエンジンの始動時に図示しないキースイッチの操作によりエンジンECU50に電源が投入されると開始され、ディーゼルエンジンの停止時にキースイッチの操作によりエンジンECU50への電力供給が停止されると終了する。
図2に示すように、まず、S1(Sはステップを表す)において、エンジンECU50は、上述した各種センサの検出信号からエンジン回転数およびアクセル開度を算出する。S2では、算出したエンジン回転数とアクセル開度等から目標レール圧を算出し、続くS3で、レール圧センサ22からの信号を基に実レール圧を算出する。
S4では、高圧ポンプ12の目標吐出量Q0を算出する。具体的には、S2、S3で算出された目標レール圧と実レール圧の差分に相当する必要燃料量を、公知のPID手法を用いたフィードバック演算によって算出し、予測される燃料リターン量や噴射量等を加算して、目標吐出量Q0を算出する。
S5では、機差中央特性のポンプにおける吸入調量弁13への印加電流Iと高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量Qとの関係を表す基準I−Q特性に基づいて、S4で算出した目標吐出量Q0に対応する電流値である基準印加電流値Ieを算出する。
なお、周知のように、低回転域から高回転域までの多数の計測回転数にて、吸入調量弁13への印加電流に対する高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量を計測し、「計測回転数/基準回転数×計測回転数における高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量」の式にて求めたデータを整理することにより、図3に示すように、I−Q特性を高圧ポンプ12の回転数に拘わらず1つの線で表すことができる。そして、エンジンECU50には、図3に実線で示す基準I−Q特性が数式により記憶されており、S5ではこの基準I−Q特性を用いて目標吐出量Q0に対応する基準印加電流値Ieを算出する。
続いて、S6では印加電流補正値ΔI0を算出し、S7では基準印加電流値Ieに印加電流補正値ΔI0を加算して、吸入調量弁13に実際に印加される印加電流値である指令印加電流値I0を算出する。なお、S6、S7の詳細については後述する。
図4は、印加電流補正値ΔI0を求めるためにエンジンECU50において実行される補正値学習処理を示すフローチャートである。図4の制御処理は、ディーゼルエンジンの始動時にキースイッチの操作によりエンジンECU50に電源が投入されると開始され、ディーゼルエンジンの停止時にキースイッチの操作によりエンジンECU50への電力供給が停止されると終了する。
なお、吸入調量弁13の機差による実機I−Q特性のずれ分を補正するために、燃料噴射装置をディーゼルエンジンに搭載した状態で工場内で学習処理が実行される。また、吸入調量弁13の経時劣化による実機I−Q特性のずれ分も補正するために、燃料噴射装置が車両に搭載されて使用されるときにも学習処理が実行される。
図4に示すように、まず、S100において、エンジンECU50は、第1運転領域での学習条件が成立しているか否かを判定する。ここで、第1運転領域は、アイドリング時のように高圧ポンプ12の吐出量が少ない運転領域である。
S100では、次のa〜dの条件を満足する場合に肯定判定する。(a)エンジン回転数センサ80で検出したエンジン回転数が、予め定めた第1設定回転数範囲内にある。なお、第1設定回転数範囲は、アイドリング相当のエンジン回転数範囲(例えば、750±30rpm)である。(b)アクセル開度センサ84で検出したアクセル開度が0である。(c)冷却水温度センサ82で検出したエンジン冷却水の温度が、予め定めた冷却水温度範囲内である。なお、冷却水温度範囲は、エンジンの暖機が完了した状態に相当する温度範囲である。(d)燃料温度センサ83で検出した燃料供給ポンプ10内の燃料の温度が、予め定めた燃料温度範囲内である。なお、燃料温度範囲は、エンジンの暖機が完了した状態に相当する温度範囲である。
そして、上記a〜dの条件を満足しない場合は、再度S100の判定を実行する。一方、上記a〜dの条件を満足する場合、すなわちエンジン暖機完了後のアイドリング時である場合は、第1運転領域での学習条件が成立していると判定してS101に進む。
特定領域補正値算出手段としてのS101では、実レール圧のオーバーシュート量と前述したPID手法を用いたフィードバック演算におけるPID項の値とに基づいて、第1運転領域での印加電流補正値(以下、第1印加電流補正値という)ΔI1を算出する。
具体的には、まず、レール圧センサ22で検出した実レール圧に基づいて、S101に移行後の実レール圧のオーバーシュート量を算出し、オーバーシュート量に応じた分の印加電流補正値を算出する。この印加電流補正値は、オーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定される。但し、S101に移行した時点ではアイドリング状態であり、実レール圧は安定しているため、基本的にはオーバーシュートは発生しない。
また、フィードバック演算におけるP項の値が所定範囲内になった時点、すなわちP項の値が安定した時点で、S101に移行してからP項の値が安定するまでの間のP項の値を積分し、P項の積分値に応じた分の印加電流補正値を算出する。ここで、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、このP項の積分値に応じた分の印加電流補正値は、P項の積分値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
さらに、フィードバック演算におけるP項の値が安定した時点で、そのときのI項の値に応じた分の印加電流補正値を算出する。ここで、I項の値は燃料供給ポンプ10を構成する機器の機差や経時変化による基準I−Q特性からの吐出量ずれ分と相関があり、このI項の値に応じた分の印加電流補正値は、I項の値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
そして、オーバーシュート量に応じた分の印加電流補正値、P項の積分値に応じた分の印加電流補正値、およびI項の値に応じた分の印加電流補正値を加算して、第1印加電流補正値ΔI1を算出する。
続いて、S102に進み、第1運転領域での目標吐出量Q1とS101で算出した第1印加電流補正値ΔI1とを記憶する。
続いて、S103において、第2運転領域での学習条件が成立しているか否かを判定する。ここで、第2運転領域は、アイドリング時よりも高圧ポンプ12の吐出量が多い運転領域である。
S103では、上記c、dの条件および次のeの条件を満足する場合に肯定判定する。(e)エンジン回転数センサ80で検出したエンジン回転数が、アイドリング時よりも高回転域である第2設定回転数範囲内にある。例えば、第2設定回転数範囲は、エンジンの最高出力発生時回転数範囲、または、エンジンの最大トルク発生時回転数範囲(例えば、2050±50rpm)とする。
そして、上記c〜eの条件を満足しない場合は、再度S103の判定を実行する。一方、上記c〜eの条件を満足する場合、すなわちエンジン暖機完了後の高回転運転時(すなわち高負荷運転時)である場合は、第2運転領域での学習条件が成立していると判定してS104に進む。
特定領域補正値算出手段としてのS104では、実レール圧のオーバーシュート量と前述したPID手法を用いたフィードバック演算におけるPID項の値とに基づいて、第2運転領域での印加電流補正値(以下、第2印加電流補正値という)ΔI2を算出する。
具体的には、まず、レール圧センサ22で検出した実レール圧に基づいて、S104に移行後の実レール圧のオーバーシュート量を算出し、オーバーシュート量に応じた分の印加電流補正値を算出する。この印加電流補正値は、オーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定される。
また、フィードバック演算におけるP項の値が所定範囲内になった時点、すなわちP項の値が安定した時点で、S104に移行してからP項の値が安定するまでの間のP項の値を積分し、P項の積分値に応じた分の印加電流補正値を算出する。ここで、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、このP項の積分値に応じた分の印加電流補正値は、P項の積分値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
さらに、フィードバック演算におけるP項の値が安定した時点で、そのときのI項の値に応じた分の印加電流補正値を算出する。ここで、I項の値は燃料供給ポンプ10を構成する機器の機差や経時変化による基準I−Q特性からの吐出量ずれ分と相関があり、このI項の値に応じた分の印加電流補正値は、I項の値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
そして、オーバーシュート量に応じた分の印加電流補正値、P項の積分値に応じた分の印加電流補正値、およびI項の値に応じた分の印加電流補正値を加算して、第2運転領域での印加電流補正値ΔI2を算出する。
続いて、S105に進み、第2運転領域での目標吐出量Q2とS104で算出した第2印加電流補正値ΔI2とを記憶する。
次に、前述した図2におけるS6、S7の詳細について、図3を用いて説明する。
前述したように、全域補正値算出手段としてのS6では、目標吐出量Q0に対応する印加電流補正値ΔI0を算出する。ここで、目標吐出量Q0が第1運転領域での目標吐出量Q1や第2運転領域での目標吐出量Q2と異なる場合は、S101で算出した第1印加電流補正値ΔI1とS104で算出した第2印加電流補正値ΔI2とを用いて、重み付けで補完して目標吐出量Q0に対応する印加電流補正値ΔI0を算出する。
続いて、S7では、S5で算出した基準印加電流値Ieに、S6で算出した印加電流補正値ΔI0を加算して、指令印加電流値I0を算出する。
本実施形態では、高圧ポンプ12の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの印加電流補正値ΔI1、ΔI2に基づいて、他の運転領域における印加電流補正値ΔI0を算出するため、他の運転領域においても適切な印加電流補正値ΔI0を得ることができ、ひいては、全運転領域において適切な指令印加電流値I0を求めることができる。
したがって、過渡時に発生しやすいコモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することができ、これにより、ドライバビリティの悪化や有害排気ガス成分の増加を抑制することができる。
また、S101では、エンジン回転数およびアクセル開度が略一定の定常運転状態時(より詳細にはアイドリング時)に第1印加電流補正値ΔI1を算出するため、その第1印加電流補正値ΔI1を精度よく算出することができる。
なお、本実施形態では、S101およびS104において、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値に基づいて第1印加電流補正値ΔI1および第2印加電流補正値ΔI2を算出したが、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の一方に基づいて、第1印加電流補正値ΔI1および第2印加電流補正値ΔI2を算出してもよい。
また、本実施形態では、高圧ポンプ12の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの印加電流補正値ΔI1、ΔI2に基づいて、他の運転領域における印加電流補正値ΔI0を算出したが、高圧ポンプ12の吐出量が異なる3つ以上の運転領域で求めた印加電流補正値に基づいて、他の運転領域における印加電流補正値ΔI0を算出してもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図5は本実施形態におけるコモンレール式燃料噴射装置を示す全体構成図である。
なお、第1実施形態では、吸入調量弁13の弁開度を調整して高圧ポンプ12の燃料圧送量を調整したが、本実施形態は、高圧ポンプ12の実圧送ストロークを調整して高圧ポンプ12の燃料圧送量を調整するようにしたものである。その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
図5に示すように、燃料供給ポンプ10は、吸入調量弁13および吸入弁125が廃止され、代わりに、高圧ポンプ12内にポンプ制御弁18を備えている。
ポンプ制御弁18は、加圧室124に燃料を導く燃料経路15を開閉するノーマリオープンタイプの電磁弁であって、ディーゼルエンジンの運転状態に基づいてエンジンECU50から出力される駆動信号によって開閉作動が制御される。
そして、高圧ポンプ12の吸入行程では、ポンプ制御弁18は非通電状態で燃料経路15が開かれており、燃料経路15を介して加圧室124に燃料が吸入される。
高圧ポンプ12の圧送行程の初期段階では、ポンプ制御弁18は非通電状態で燃料経路15が開かれており、加圧室124の燃料は燃料経路15を介してフィードポンプ11側に戻される。
高圧ポンプ12の圧送行程の途中で、ポンプ制御弁18に通電されてポンプ制御弁18により燃料吸入経路としての燃料経路15が閉じられる。そして、燃料経路15が閉じられてから圧送行程が終了するまでの間は、プランジャ122によって加圧室124の燃料が加圧され、燃料経路16および燃料配管63を介してコモンレール20に圧送される。
すなわち、高圧ポンプ12の圧送行程中に燃料経路15がポンプ制御弁18により閉じられている期間を、高圧ポンプ12のポンプ角で表したものを、圧送期間Pとすると、圧送期間Pだけ高圧ポンプ12からコモンレール20へ燃料が圧送される。したがって、圧送期間Pを調整することにより、高圧ポンプ12の燃料圧送量を調整することができる。
図6はエンジンECU50において実行されるコモンレール圧力制御処理を示すフローチャートであり、S1〜S4は第1実施形態と共通している。
S5aでは、機差中央特性のポンプにおける圧送期間Pと高圧ポンプ12の1回転当たりの吐出量Qとの関係を表す基準P−Q特性に基づいて、S4で算出した目標吐出量Q0に対応する圧送期間である基準圧送期間Peを算出する。
なお、圧送期間は高圧ポンプ12のポンプ角で表しているため、図7に示すように、P−Q特性を高圧ポンプ12の回転数に拘わらず1つの線で表すことができる。そして、エンジンECU50には、図7に実線で示す基準P−Q特性が数式により記憶されており、S5aではこの基準P−Q特性を用いて目標吐出量Q0に対応する基準圧送期間Peを算出する。
続いて、S6aでは圧送期間補正値ΔP0を算出し、S7aでは基準圧送期間Peに圧送期間補正値ΔP0を加算して、ポンプ制御弁18に実際に通電される期間である指令圧送期間P0を算出する。なお、S6a、S7aの詳細については後述する。
図8は、圧送期間補正値ΔP0を求めるためにエンジンECU50において実行される補正値学習処理を示すフローチャートである。
図8において、第1運転領域での学習条件が成立している場合は(S100:YES)、S101aに進む。特定領域補正値算出手段としてのS101aでは、実レール圧のオーバーシュート量と前述したPID手法を用いたフィードバック演算におけるPID項の値とに基づいて、第1運転領域での圧送期間補正値(以下、第1圧送期間補正値という)ΔP1を算出する。
具体的には、まず、レール圧センサ22で検出した実レール圧に基づいて、S101aに移行後の実レール圧のオーバーシュート量を算出し、オーバーシュート量に応じた分の圧送期間補正値を算出する。この圧送期間補正値は、オーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定される。但し、S101aに移行した時点ではアイドリング状態であり、実レール圧は安定しているため、基本的にはオーバーシュートは発生しない。
また、フィードバック演算におけるP項の値が所定範囲内になった時点、すなわちP項の値が安定した時点で、S101aに移行してからP項の値が安定するまでの間のP項の値を積分し、P項の積分値に応じた分の圧送期間補正値を算出する。ここで、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、このP項の積分値に応じた分の圧送期間補正値は、P項の積分値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
さらに、フィードバック演算におけるP項の値が安定した時点で、そのときのI項の値に応じた分の圧送期間補正値を算出する。ここで、I項の値は燃料供給ポンプ10を構成する機器の機差や経時変化による基準P−Q特性からの吐出量ずれ分と相関があり、このI項の値に応じた分の圧送期間補正値は、I項の値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
そして、オーバーシュート量に応じた分の圧送期間補正値、P項の積分値に応じた分の圧送期間補正値、およびI項の値に応じた分の圧送期間補正値を加算して、第1圧送期間補正値ΔP1を算出する。
続いて、S102aに進み、第1運転領域での目標吐出量Q1とS101aで算出した第1圧送期間補正値ΔP1とを記憶する。
続いて、S103において、第2運転領域での学習条件が成立しているか否かを判定し、第2運転領域での学習条件が成立している場合は(S103:YES)、S104aに進む。特定領域補正値算出手段としてのS104aでは実レール圧のオーバーシュート量と前述したPID手法を用いたフィードバック演算におけるPID項の値とに基づいて、第2運転領域での圧送期間補正値(以下、第2圧送期間補正値という)ΔP2を算出する。
具体的には、まず、レール圧センサ22で検出した実レール圧に基づいて、S104aに移行後の実レール圧のオーバーシュート量を算出し、オーバーシュート量に応じた分の圧送期間補正値を算出する。この圧送期間補正値は、オーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定される。
また、フィードバック演算におけるP項の値が所定範囲内になった時点、すなわちP項の値が安定した時点で、S104aに移行してからP項の値が安定するまでの間のP項の値を積分し、P項の積分値に応じた分の圧送期間補正値を算出する。ここで、P項の積分値はコモンレール圧力のオーバーシュート量と相関があり、このP項の積分値に応じた分の圧送期間補正値は、P項の積分値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
さらに、フィードバック演算におけるP項の値が安定した時点で、そのときのI項の値に応じた分の圧送期間補正値を算出する。ここで、I項の値は燃料供給ポンプ10を構成する機器の機差や経時変化による基準P−Q特性からの吐出量ずれ分と相関があり、このI項の値に応じた分の圧送期間補正値は、I項の値が大きくなるのに伴って大きく設定される。
そして、オーバーシュート量に応じた分の圧送期間補正値、P項の積分値に応じた分の圧送期間補正値、およびI項の値に応じた分の圧送期間補正値を加算して、第2運転領域での圧送期間補正値ΔP2を算出する。
続いて、S105aに進み、第2運転領域での目標吐出量Q2とS104aで算出した第2圧送期間補正値ΔP2とを記憶する。
次に、前述した図6におけるS6a、S7aの詳細について、図7を用いて説明する。
前述したように、全域補正値算出手段としてのS6aでは、目標吐出量Q0に対応する圧送期間補正値ΔP0を算出する。ここで、目標吐出量Q0が第1運転領域での目標吐出量Q1や第2運転領域での目標吐出量Q2と異なる場合は、S101aで算出した第1圧送期間補正値ΔP1とS104aで算出した第2圧送期間補正値ΔP2とを用いて、重み付けで補完して目標吐出量Q0に対応する圧送期間補正値ΔP0を算出する。
続いて、S7aでは、S5aで算出した基準圧送期間Peに、S6aで算出した圧送期間補正値ΔP0を加算して、指令圧送期間P0を算出する。
本実施形態では、高圧ポンプ12の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの圧送期間補正値ΔP1、ΔP2に基づいて、他の運転領域における圧送期間補正値ΔP0を算出するため、他の運転領域においても適切な圧送期間補正値ΔP0を得ることができ、ひいては、全運転領域において適切な指令圧送期間値P0を求めることができる。
したがって、過渡時に発生しやすいコモンレール圧力のオーバーシュートやアンダーシュートを抑制することができ、これにより、ドライバビリティの悪化や有害排気ガス成分の増加を抑制することができる。
また、S101aでは、エンジン回転数およびアクセル開度が略一定の定常運転状態時(より詳細にはアイドリング時)に第1圧送期間補正値ΔP1を算出するため、その第1圧送期間補正値ΔP1を精度よく算出することができる。
なお、本実施形態では、S101aおよびS104aにおいて、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値に基づいて第1圧送期間補正値ΔP1および第2圧送期間補正値ΔP2を算出したが、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の一方に基づいて、第1圧送期間補正値ΔP1および第2圧送期間補正値ΔP2を算出してもよい。
また、本実施形態では、高圧ポンプ12の吐出量が異なる2つの運転領域で求めた2つの圧送期間補正値ΔP1、ΔP2に基づいて、他の運転領域における圧送期間補正値ΔP0を算出したが、高圧ポンプ12の吐出量が異なる3つ以上の運転領域で求めた圧送期間補正値に基づいて、他の運転領域における圧送期間補正値ΔP0を算出してもよい。
10 燃料供給ポンプ
13 吸入調量弁
20 コモンレール
22 圧力センサ
50 エンジンECU(制御手段)

Claims (10)

  1. 内燃機関に噴射される高圧燃料を蓄えるコモンレール(20)と、
    印加電流に応じて弁開度が制御される吸入調量弁(13)によって燃料を調量して前記コモンレール(20)へ圧送する燃料供給ポンプ(10)と、
    前記コモンレール(20)内の燃料圧力を検出する圧力センサ(22)と、
    前記圧力センサ(22)で検出されるコモンレール圧力が目標圧力となるように、PID制御により前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量を算出して前記吸入調量弁(13)への印加電流を調整する制御手段(50)とを備え、
    さらに前記制御手段(50)は、前記吸入調量弁(13)への印加電流と前記燃料供給ポンプ(10)の吐出量との関係が定義された基準特性を予め記憶し、前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて前記基準特性から算出した前記吸入調量弁(13)への基準印加電流値と、前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて算出した印加電流補正値とにより、前記吸入調量弁(13)への指令印加電流値を算出する燃料噴射装置において、
    前記制御手段(50)は、
    前記燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる第1運転領域および第2運転領域にて、前記コモンレール圧力のオーバーシュート量と前記PID制御におけるPID項の値とに基づいて、前記印加電流補正値を算出する特定領域補正値算出手段(S101、S104)と、
    前記特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出した前記第1運転領域での印加電流補正値と前記第2運転領域での印加電流補正値とに基づいて、他の運転領域における印加電流補正値を算出する全域補正値算出手段(S6)とを備えることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記特定領域補正値算出手段(S101、S104)は、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の少なくとも一方に基づいて、前記印加電流補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出される前記印加電流補正値は、前記PID項の値が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記特定領域補正値算出手段(S101、S104)にて算出される前記印加電流補正値は、前記コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
  5. 前記特定領域補正値算出手段(S101、S104)は、前記内燃機関が定常運転状態のときに前記印加電流補正値を算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
  6. 内燃機関に噴射される高圧燃料を蓄えるコモンレール(20)と、
    圧送行程中にポンプ制御弁が燃料吸入経路を閉じている圧送期間だけ前記コモンレール(20)へ燃料を圧送する燃料供給ポンプ(10)と、
    前記コモンレール(20)内の燃料圧力を検出する圧力センサ(22)と、
    前記圧力センサ(22)で検出されるコモンレール圧力が目標圧力となるように、PID制御により前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量を算出して前記圧送期間を調整する制御手段(50)とを備え、
    さらに前記制御手段(50)は、前記圧送期間と前記燃料供給ポンプ(10)の吐出量との関係が定義された基準特性を予め記憶し、前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて前記基準特性から算出した基準圧送期間と、前記燃料供給ポンプ(10)の目標吐出量に基づいて算出した圧送期間補正値とにより、前記圧送期間の指令値を算出する燃料噴射装置において、
    前記制御手段(50)は、
    前記燃料供給ポンプ(10)の吐出量が異なる第1運転領域および第2運転領域にて、前記コモンレール圧力のオーバーシュート量と前記PID制御におけるPID項の値とに基づいて、前記圧送期間補正値を算出する特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)と、
    前記特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出した前記第1運転領域での前記圧送期間補正値と前記第2運転領域での前記圧送期間補正値とに基づいて、他の運転領域における前記圧送期間補正値を算出する全域補正値算出手段(S6a)とを備えることを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 前記特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)は、PID項の値のうちP項の積分値およびI項の値の少なくとも一方に基づいて、前記圧送期間補正値を算出することを特徴とする請求項6に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出される前記圧送期間補正値は、前記PID項の値が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする請求項6または7に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)にて算出される前記圧送期間補正値は、前記コモンレール圧力のオーバーシュート量が大きくなるのに伴って大きく設定されることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
  10. 前記特定領域補正値算出手段(S101a、S104a)は、前記内燃機関が定常運転状態のときに前記圧送期間補正値を算出することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1つに記載の燃料噴射装置。
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