JP3577991B2 - 内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置 - Google Patents

内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のコモンレール燃料圧力を制御するコモンレール燃料圧力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射系統に高圧の燃料を貯留するコモンレール(蓄圧室)を設け、このコモンレールに燃料噴射弁を接続して内燃機関に燃料噴射を行なうコモンレール式燃料噴射装置が知られている。
コモンレール式燃料噴射装置では、燃料噴射弁からの燃料噴射率がコモンレール内圧力に応じて変わるため、機関運転状態に応じて最適な燃料噴射率が得られるようにコモンレール燃料圧力を精度良く制御する必要がある。
【0003】
コモンレール燃料圧力制御は、一般にコモンレールに燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプの吐出量(圧送量)を制御することにより行われている。また、高圧燃料供給ポンプとしては一般にプランジャ式ポンプが使用される。
コモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール内に貯留した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁から噴射するため、燃料噴射毎にコモンレール内の圧力が低下する。このため、コモンレール燃料圧力の制御装置は燃料噴射によりコモンレールから排出される量に応じて燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を調整してコモンレール内圧力を目標値に維持する必要がある。また、実際の運転においては、機関運転状態が急激に変化する過渡運転時には、運転状態の変化に応じてコモンレール目標燃料圧力も急激かつ広範囲に変化する。このためコモンレール燃料圧力の制御装置は燃料ポンプの圧送量を目標燃料圧力の変化に応じて応答性良好に制御して実際のコモンレール燃料圧力変化が目標燃料圧力に良好に追従するようにする必要がある。
【0004】
この種の燃料ポンプの制御装置の例としては、例えば特開平5−106495号公報に記載されたものがある。
同公報の装置は、機関負荷条件に応じてコモンレール内目標燃料圧力を設定し、コモンレール内の実際の燃料圧力と上記目標燃料圧力との偏差に制御ゲイン(比例係数)を乗じた量の燃料を燃料ポンプからコモンレールに供給することにより、コモンレール内圧力を目標値に制御する。また、同公報の装置では上記制御ゲインを機関回転数に基づいて設定し、更に機関過渡運転時にはコモンレール内の燃料圧力の変化速度に応じて上記制御ゲインを修正更新することによりコモンレール燃料圧力制御の精度を向上させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際の運転においては上記特開平5−106495号公報の装置のように、機関過渡運転時にコモンレール燃料圧力変化速度のみに応じて制御ゲインを変化させていると、例えば機関加速時等で目標燃料圧力が急激に上昇したような場合には、上昇後の目標燃料圧力を越えて実際の燃料圧力が上昇してしまう、いわゆるオーバシュートが生じる場合がある。例えば、機関運転状態の過渡変化の開始直後には目標燃料圧力とコモンレール燃料圧力との偏差は大きくなり、過渡変化終期には実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に近づくため目標燃料圧力とコモンレール燃料圧力との偏差は小さくなる。このため、過渡変化初期は燃料ポンプの圧送量も偏差に応じて大きな量に設定され実際のコモンレール燃料圧力変化速度は大きくなり、過渡変化終期には燃料ポンプ圧送量は偏差に応じて小さな量に設定されコモンレール燃料圧力変化速度は小さくなる。
【0006】
一方、上記公報の装置では、コモンレール燃料圧力変化速度が所定値より大きい場合には制御ゲインは小さくなるように修正され、コモンレール燃料圧力変化速度が所定値より小さい場合には制御ゲインは大きくなるように修正される。このため上記公報の装置では、過渡運転初期のようにコモンレール燃料圧力を急速に変化させるべきときには制御ゲインが小さな値に設定されてしまいコモンレール燃料圧力の目標燃料圧力に対する応答性が悪化し、過渡運転終期のようにコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に接近したような場合には制御ゲインが大きな値に設定されてしまい実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力を越えて変化するオーバシュートを生じてコモンレール燃料圧力の目標燃料圧力に対する追従性が悪化する場合がある。この傾向は特に、圧送量の設定タイミングの間隔が比較的長い燃料ポンプを使用したような場合に大きくなる。コモンレール内燃料圧力は運転状態によってはかなりな高圧(例えば150MPa程度)に設定される場合があるが、上記のようにオーバシュートが生じるとコモンレール内の実際の燃料圧力は更に高圧になる。このため、オーバシュートを完全に抑制できない場合には予めオーバシュートが生じた場合を考慮して燃料系の機器の設計圧力を高く設定する必要があり、機器のコストが上昇する問題が生じる。
【0007】
また、実際の運転ではコモンレール目標燃料圧力が大きく変化しない定常運転においても、実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力と一致せずに周期的に変動する、いわゆるハンチングが生じてコモンレール燃料圧力の目標燃料圧力に対する追従性が悪化する場合がある。上記公報の装置では、過渡運転時にのみ制御ゲインの修正更新を行っているため、定常運転時に生じる上記ハンチング等による追従性の悪化を効果的に抑制することはできない。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、実際のコモンレール燃料圧力を目標燃料圧力に対して応答性良く変化させ、しかも目標燃料圧力に対するコモンレール燃料圧力の追従性を良好に維持可能な内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が過渡状態で運転されていると判定されたときに、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させ、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力の前記目標燃料圧力に対するオーバシュートを防止する、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置が提供される。
【0015】
すなわち請求項1に記載の発明によれば、機関が過渡状態で運転されており、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量が補正される。このため、コモンレール内燃料圧力が短時間で目標燃料圧力に到達するようになりコモンレール内燃料圧変化の応答性が向上する。また、機関運転状態が過渡状態にあるがコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に充分追従している場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が大きく設定されたままだとコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に対してオーバシュートを生じる可能性がある。そこで、本発明では、過渡運転状態にあってコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量が補正される。これにより、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力近傍になったときにはコモンレール内燃料圧力の変化速度は小さく設定され、コモンレール内燃料圧力のオーバシュートが抑制され燃料圧制御が安定する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が定常状態で運転されていると判定されたときに、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力のハンチングを抑制し、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させる、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置が提供される。
【0017】
すなわち請求項2に記載の発明によれば、機関が定常状態で運転されていて、しかもコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量が補正される。機関が定常状態で運転されている場合には、目標燃料圧力はほぼ一定になっているため、定常状態でコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合には、例えばハンチング等が生じているために燃料圧力制御が安定していないと考えられる。本発明では、この場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量が補正されるため、コモンレール燃料圧力のハンチングが抑制され制御の安定性が向上する。
【0018】
一方、定常運転状態においてコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に充分に追従している場合には燃料圧力は安定して制御されていると考えられる。このため、本発明ではこの場合にはコモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量を補正する。これにより、コモンレール内燃料圧力変化の応答性が向上し、定常運転時に僅かに目標燃料圧力が変化したような場合にもコモンレール内燃料圧力が短時間で目標燃料圧力に一致するようになる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、を備え、前記設定手段は、前記燃料圧送量を前記コモンレール内燃料圧力と前記目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例量成分を含む量として設定し、前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が過渡状態で運転されていると判定されたときに、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記比例係数の値を大きく設定して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させ、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記比例係数の値を小さく設定して前記コモンレール内燃料圧力の前記目標燃料圧力に対するオーバシュートを防止する、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置が提供される。
【0020】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、設定手段は燃料圧送量をコモンレール内燃料圧力と目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例成分量を含む量として設定する。また、補正手段は、機関が過渡運転状態にあるときには、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合には上記比例係数を大きな値に設定する。これにより、コモンレール燃料圧力の目標燃料圧力に対する偏差が同一であっても燃料圧送量はコモンレール内燃料圧力変化速度が大きくなるように設定され、コモンレール内燃料圧力の目標燃料圧力に対する応答性が向上する。また、機関が過渡運転状態にあり、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合には、補正手段は比例係数を小さな値に設定する。これにより、上記圧力の偏差が同一であっても燃料圧送量はコモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように補正され、コモンレール内燃料圧力のオーバシュートが防止される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、を備え、前記設定手段は、前記燃料圧送量を前記コモンレール内燃料圧力と前記目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例量成分を含む量として設定し、前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が定常状態で運転されていると判定されたときに、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記比例係数の値を小さく設定して前記コモンレール内燃料圧力のハンチングを抑制し、前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記比例係数の値を大きく設定して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させる、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置が提供される。
【0022】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、設定手段は燃料圧送量をコモンレール内燃料圧力と目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例成分量を含む量として設定する。また、補正手段は、機関が定常運転状態にあり、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合は上記比例係数を小さな値に設定する。これにより、コモンレール燃料圧力の目標燃料圧力に対する偏差が同一であっても燃料圧送量はコモンレール内燃料圧力変化速度が小さくなるように設定され、コモンレール内燃料圧力のハンチングが抑制される。また、機関が定常運転状態にあり、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合には、補正手段は比例係数を大きな値に設定する。これにより、上記圧力の偏差が同一であっても燃料圧送量はコモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように補正され、コモンレール内燃料圧力の目標燃料圧力に対する応答性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用4サイクルディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は内燃機関10(本実施形態では4気筒ディーゼル機関)の各気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁、3は各燃料噴射弁1が接続される共通のコモンレール(蓄圧室)を示す。コモンレール3は、後述する容積式高圧燃料供給ポンプ5(以下「高圧燃料ポンプ」という)から供給される加圧燃料を貯留し、各燃料噴射弁1に分配する機能を有する。
【0024】
また、図1において7は機関10の燃料(本実施形態では軽油)を貯留する燃料タンク、9は高圧燃料ポンプに低圧配管8を介して燃料を供給する低圧フィードポンプを示している。
また、高圧燃料ポンプ5から吐出された燃料は、高圧配管17を通ってコモンレール3に供給され、コモンレール3から各燃料噴射弁1を介して内燃機関の各気筒内に噴射される。
【0025】
図1に20で示すのは、機関の制御を行うエンジン制御回路(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。ECU20は、後述するように高圧燃料ポンプ5の吸入調量弁の開度を制御してポンプ5からコモンレール3に圧送される燃料量を調整し、コモンレール3内の燃料圧力を機関負荷、回転数等に応じて制御する燃料圧力制御を行う。また、ECU20は、燃料噴射弁1の開弁時間を制御して気筒内に噴射される燃料量を制御する燃料噴射制御を行う。
【0026】
上記制御のため、ECU20の入力ポートには、コモンレール3に設けた燃料圧力センサ31からコモンレール3内の燃料圧力に対応する電圧信号がAD変換器34を介して入力されている他、機関アクセルペダル(図示せず)に設けたアクセル開度センサ35からアクセル開度(アクセルペダルの操作量)に対応する信号が同様にAD変換器34を介して入力されている。
【0027】
更に、ECU20の入力ポートには、機関のクランク軸近傍(図示せず)に設けたクランク角センサ37から、クランク軸が基準回転位置(例えば第1気筒の上死点)になったときに発生する基準パルス信号と、クランク軸一定回転角毎に発生する回転パルス信号との2つの信号が入力されている。
ECU20は、上記の回転パルス信号の間隔からクランク軸回転速度を算出するとともに、基準パルス信号入力後に入力する回転パルス信号を計数することによりクランク軸の回転角(位相)CAを検出する。
【0028】
また、ECU20の出力ポートは、駆動回路40を介して燃料噴射弁1に接続され、各燃料噴射弁1の作動を制御している他、駆動回路40を介して高圧燃料ポンプ5の吸入調量弁の開閉を制御するソレノイドアクチュエータに接続され、ポンプ5の圧送量を制御している。
次に、本実施形態の高圧燃料ポンプ5について説明する。高圧燃料ポンプ5としては、適宜な形式の容積式ポンプ(例えば、列型の往復動プランジャポンプ、ラジアルプランジャポンプ等)が使用可能であるが、本実施形態では図2にその構成を模式的に示す偏心カム式ラジアルプランジャポンプを使用した場合について説明する。
【0029】
図2において、高圧燃料ポンプ5は、偏心した回転中心軸線周りに回転する偏心駆動軸89と、この駆動軸89周りに設けられ駆動軸89と摺動接触するカム87とを備えている。また、このポンプではカム87の両側に一対のプランジャ83A、83Bが設けられており、カム87に押動されハウジング81内に形成されたシリンダ内を往復動する。また、図2のポンプ5では、燃料の吸入、吐出を行なうポンプ室84A、84Bは各シリンダの両端部に別々に形成されている。図2において、燃料は低圧配管8から吸入調量弁71、集合吸入通路68、吸入通路63A、63Bを通り吸入逆止弁69A、69Bからポンプ室84A、84Bに流入し、プランジャ83A、83Bにより加圧されて、ポンプ室84A、84Bから圧送逆止弁67A、67Bを通り吐出通路65A、65B、高圧配管17を通ってコモンレールに3に供給される。図2の高圧燃料ポンプ5では、プランジャ83A、83Bはスプリング85A、85Bによりカム87に常時押圧されている。このため、カム87は駆動軸89の偏心回転に伴って公転運動をするものの、カム自体の自転運動は制限される。また、カム87の公転運動によりプランジャ83A、83Bは互いに位相が逆の往復運動を行なう。
【0030】
図2のポンプ5では、プランジャ83Aと83Bとは交互に圧送を行い、全体としてポンプ1回転当たり2回の圧送が行なわれる。また、プランジャ83A、83Bとカム87とは常時面接触を保持しているためポンプ吐出圧が高圧になる場合にもカムとプランジャとの接触面圧を低く抑えることが可能となっている。本実施形態では、駆動軸89は機関10のカム軸に接続され、クランク軸の2分の1の速度で駆動される。このため、シリンダポンプ室84A、84Bはそれぞれクランク軸回転角720°を1行程サイクルとして位相が互いに360°ずれた吸入、圧送サイクルを行い、ポンプ5全体ではクランク軸回転角360°毎に1回燃料が圧送される。
【0031】
なお、本発明は図2の形式以外の容積式ポンプにも適用できることは言うまでもない。
本実施形態では吸入調量弁71は、電磁流量制御弁とされ、ECU20から駆動回路40を介して供給される駆動電流に応じた開度を取り、ポンプ室84A及び84Bに流入する燃料の流量を制御する。
【0032】
本実施形態ではECU20は機関運転条件から燃料噴射量QINJとコモンレール目標燃料圧力PCTRGとを算出し、QINJ、PCTRGとコモンレール燃料圧力センサ31で検出したコモンレール内の燃料圧力PCとに基づいてコモンレール燃料圧力を目標燃料圧力PCTRGに調整するのに必要な高圧燃料ポンプ5の圧送量(吐出量)を算出する。そして、ECU20は更に、吸入調量弁71の開度を制御しポンプ5吐出量が上記により算出した要求吐出量になるように、各シリンダの吸入行程中にポンプ室に吸入される燃料の総量を調節する。
【0033】
すなわち、ECU20は上記要求吐出量に基づいて、予め定めた関係に基づいて吸入調量弁71の開度を設定する。本実施形態の吸入調量弁71は吸入行程中のシリンダに単位時間当たりに流入する燃料量、すなわち燃料流量を変化させるものであるため、これによりポンプ吸入行程中にシリンダに充填される燃料の総量が調節され、各シリンダの吐出行程における吐出量(圧送量)が決定する。
【0034】
図3は、図2の高圧燃料ポンプ5の燃料圧送タイミングと各気筒の燃料噴射タイミングとを示す図である。
図3において点線は高圧燃料ポンプ5のポンプ室84A(以下「第1シリンダ」という)の送油率(単位時間当たりの吐出量)を、実線はポンプ室84B(以下「第2シリンダ」と言う)の送油率をそれぞれ示している。また図3のIからVは機関10の燃料噴射弁から燃料噴射が行われるタイミングを示している。
【0035】
本実施形態では、前述したようにポンプ5の第1シリンダと第2シリンダとはそれぞれがクランク回転角720°を1サイクルとして互いに位相が360°ずれた吸入吐出サイクルを行う。このため、図3にAで示したクランク回転角360°に相当する期間では第1シリンダ(点線)は吐出行程、第2シリンダ(実線)は吸入行程になっている。また、同様にBで示したクランク回転角360°の期間は逆に第1シリンダ(点線)は吸入行程、第2シリンダ(実線)は吐出行程になる。また、期間AではIとIIのタイミングで、期間BではIIIとIVとのタイミングで燃料噴射弁からの燃料噴射が行われる。
【0036】
前述したように、本実施形態の高圧燃料ポンプ5の吐出(圧送)量は吸入調量弁71により各シリンダの吸入行程時に決定される。このため、図3の場合、例えば期間Bにおける第2シリンダの吐出量は期間Aの始点(i)で決定されることになる。すなわち、コモンレールの実際の燃料圧力と目標燃料圧力とに基づいて時点(i)で第2シリンダの吐出量を決定したとしても、決定された量の燃料の全量がコモンレールに供給されるのはクランク軸が720°回転した後の期間Bの終りの時点(i+2)になってしまう。このため、本実施形態では設定された圧送量がコモンレールの圧力変化となって現れるまでの時間遅れが比較的大きくなっており、機関10の過渡運転時のコモンレール燃料圧力のオーバシュートや定常運転時のハンチングが比較的生じやすい状態になっている。
【0037】
そこで、本実施形態では、現在の機関運転状態が過渡状態か定常状態か、及びコモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に追従しているか否かに応じて高圧燃料ポンプ5の圧送量を変化させてコモンレール内燃料圧力のオーバシュートやハンチングが生じることを防止している。
以下、それぞれの場合の圧送量制御について場合を分けて説明する。
(1)機関運転状態が過渡状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合。
【0038】
過渡運転状態では、機関の燃料噴射やコモンレール目標燃料圧力が大きく変化する。このため、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従しておらず、コモンレール燃料圧力と目標燃料圧力の差が大きい場合にはコモンレール燃料圧力の変化速度を大きくして、実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に早く到達するようにする必要がある。このため、本実施形態では過渡運転状態においてコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力より大幅に低いような場合には燃料圧送量を大幅に増大させてコモンレール燃料圧力の上昇速度を早くし、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力より大幅に高いような場合には燃料圧送量を大幅に減少させてコモンレール燃料圧力の下降速度を早くすることにより実際のコモンレール燃料圧力が短時間で目標燃料圧力に到達するようにする。
(2)過渡状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合。
過渡状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合には、例えば上記(1)の制御によりコモンレール燃料圧力の変化速度が大きく設定された結果実際のコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に近い値になったと考えられる。このため、このままコモンレール燃料圧力の変化速度を大きく設定していると、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力を越えて上昇(または下降)するオーバシュートが生じるおそれがある。そこで、本実施形態では過渡状態においてコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していると判断される場合には、コモンレール燃料圧力の変化速度を減少させることによりオーバシュートを防止する。すなわち、本実施形態では、過渡状態においてコモンレール燃料圧力が上昇して目標燃料圧力に近づいたような場合には燃料圧送量の増大量を小さくしてコモンレール燃料圧力の上昇速度を小さくし、コモンレール燃料圧力が低下して目標燃料圧力に近づいたような場合には燃料圧送量の減少量を小さくしてコモンレール燃料圧力の下降速度を遅くすることによりそれぞれコモンレール燃料圧力のオーバシュートが生じることを防止する。
(3)定常状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合。
【0039】
定常状態では目標燃料圧力、燃料噴射量ともほぼ一定になる。このため、この状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力と大幅に異なる場合にはコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力を挟んで上下に周期的に変動するハンチングが生じていると考えられる。ハンチングを抑制するためには、コモンレール燃料圧力の変化速度を減少させることが効果的である。このため、本実施形態では、定常状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合には、上記(2)の場合と同様にコモンレール燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量を制御する。これにより、ハンチングが抑制されコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に収束するようになる。
(4)定常状態でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合。
【0040】
この場合には、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従しておりハンチングが生じていないため、コモンレール燃料圧力の変化速度を小さくしてコモンレール燃料圧力の応答性を小さくする必要はない。このため、この場合にはコモンレール燃料圧力の変化速度が上記(3)の場合より大きく(但し上記(1)の場合よりは小さく)なるように燃料圧送量が設定される。これにより、目標燃料圧力の変化に対してコモンレール燃料圧力が応答性良く変化するようになる。
【0041】
次に、本実施形態の具体的な燃料圧送量の設定方法について説明する。
前述したように、本実施形態では機関運転状態に基づいて燃料噴射量QINJとコモンレール3の目標燃料圧力PCTRGとが決定される。すなわち、本実施形態では、機関要求出力トルク(アクセル開度)と機関回転数とを用いた数値マップの形で予め燃料噴射量が設定され、ECU20のROMに格納されている。ECU20は機関運転中所定のタイミングで、アクセル開度センサ35から読み込んだアクセル開度ACCPとクランク角センサ37出力パルスから算出した機関回転数NEとに基づいて、この数値マップを用いて燃料噴射量QINJを算出する。また、コモンレール3の目標燃料圧力PCTRGは、予め燃料噴射量QINJと機関回転数とを用いた同様な数値マップの形でECU20のROMに格納されており、ECU20は上記により算出された燃料噴射量QINJと機関回転数とに基づいてこの数値マップから目標燃料圧力PCTRGを算出する。
【0042】
更に、本実施形態では圧送量の設定タイミングと実際の燃料圧送との間隔が長い燃料ポンプ5が使用されるため、以下に説明する予測値に基づく制御を行い、制御の応答性を向上させている。
本実施形態では図3に示した(i)の時点で第2シリンダの吐出量(すなわち吸入量)が設定され、(i+1)の時点で第1シリンダの吐出量が設定される。ところが、時点(i)で設定された量の燃料が第2シリンダから吐出され終わるのは実際には図3に(i+2)で示した時点になる。このため、燃料圧送量の設定時点(i)と、設定された燃料の吐出が完了するまでの時点(i+2)との間には、IからIVの燃料噴射と、第1シリンダの燃料吐出(期間A)が生じることになる。また、特に過渡運転時などでは目標燃料圧力PCTRGの値も時点(i)と(i+2)との間で大きく変化している場合がある。
【0043】
一方、前述のようにコモンレール燃料圧力PCが目標燃料圧力PCTRGに一致するように定める必要がある。本実施形態では、時点(i)では燃料噴射Iにおける燃料噴射量QINJと目標燃料圧力PCTRGとが算出されるが、この時点(i)で算出されたQINJ、PCTRGと時点(i)のPCに基づいて第2シリンダの燃料圧送量を設定したのでは、燃料噴射IからIVの影響、第1シリンダの燃料圧送の影響、時点(i)から(i+2)までの目標燃料圧力PCTRGの変化等の影響のため、時点(i+2)において実際のコモンレール燃料圧力PCを正確に目標燃料圧力PCTRGに一致させることは困難である。
【0044】
そこで、本実施形態では、第2シリンダの燃料圧送量(時点(i))では未だ決定されていないIIからIVの燃料噴射量と、時点(i+2)における目標燃料圧力PCTRGとを予測計算し、これらの予測値を用いて時点(i)において第2シリンダの燃料圧送量を決定する。これにより、実際に第2シリンダの吐出が完了する時点(i+2)では実際のコモンレール燃料圧力PCが正確に目標燃料圧力PCTRGに一致するようになる。
【0045】
本実施形態では、図3の時点(i)で設定される高圧燃料ポンプ5(第2シリンダ)の燃料圧送量QLは以下の式で与えられる。
Figure 0003577991
ここで、TQINJ(I〜IV)は図3のIからIVの燃料噴射で噴射される燃料の合計量予測値、TQLEAKは時点(i)から(i+2)の間に生じるコモンレールからのリーク燃料の合計量予測値、QLAは期間Aにおける第1シリンダの吐出量、PCTRG(i+2)は時点(i+2)におけるコモンレール目標燃料圧力予測値、PC(i)は時点(i)における実際のコモンレール燃料圧力(圧力センサ31の検出値)であり、Kは圧力偏差を燃料量に換算するための換算係数である。すなわち、(PCTRG(i+2)−PC(i))×Kは、燃料噴射もコモンレールからのリークも無かった場合にコモンレール燃料圧力をPC(i)からPCTRG(i+2)まで変化させるのに必要な燃料量を表す。Kの値はコモンレール3の容積と燃料の体積弾性係数とにより定まる値である。
【0046】
すなわち、時点(i)におけるコモンレール燃料圧力PCを時点(i+2)でPCTRG(i+2)まで変化(例えば上昇)させるために、図3期間Bで第2シリンダからコモンレールに圧送すべき燃料量は、仮に他にコモンレールからの燃料の出入りが全くなかったとしたら(PCTRG(i+2)−PC(i))×Kに等しくなる。しかし、実際には時点(i)から(i+2)の間で燃料噴射IからIVによる燃料TQINJ(I〜IV)とリーク量TQLEAKだけの燃料がコモンレール3から出た行くため、供給すべき燃料は上記よりTQINJ(I〜IV)+TQLEAKだけ大きくする必要がある。また、実際には期間Aで第1シリンダからコモンレールにQLAの量の燃料が供給されるため、第2シリンダから供給すべき燃料量は上記合計量よりQLAだけ少なくて良いことになる。このため、時点(i)におけるコモンレール燃料圧力PCを時点(i+2)でPCTRG(i+2)まで変化(例えば上昇)させるために第2シリンダで供給すべき燃料量QLは前述のように、
Figure 0003577991
として表されることになる。
【0047】
前述したように、上記の式を用いて第2シリンダの燃料圧送量を決定し吸入調量弁71の開度調整を行うのは図3(i)の時点である。燃料噴射Iにおける燃料噴射量QINJ(I)は時点(i)で算出されるためこの時点では定まっている。また、この時点では、上記の式の変数のうちQINJ(I)以外に定まっているのは第1シリンダの燃料圧送量QLA及び時点(i)のコモンレール燃料圧力PC(i)のみであり、他の変数の値は未だ決定されていない。このため、本実施形態では他の変数については時点(i)において既に定まっている変数の値に基づいて将来の値を予測するようにしている。
【0048】
以下、各変数の予測方法について説明する。
(1)燃料噴射量
本実施形態では、(i)の時点ですでに定まっている燃料噴射Iにおける燃料噴射量QINJ(I)と、既に終了した前回までの燃料噴射における燃料噴射量に基づいてIIからIVの燃料噴射量を予測する。予測方法は、例えば前回の燃料噴射量と今回の燃料噴射量とを用いて線型外挿によりIIからIVの燃料噴射量QINJ(II)〜燃料噴射量QINJ(V)を以下の式で算出する。
【0049】
QINJ(II)=QINJ(I)+(QINJ(I)−QINJ(0))
QINJIII=QINJ(II)+(QINJ(I)−QINJ(0))
QINJIV=QINJ(III)+(QINJ(I)−QINJ(0))
QINJV=QINJ(IV)+(QINJ(I)−QINJ(0))
ここで、QINJ(0)は、Iの1回前の燃料噴射(図3)における燃料噴射量である。
【0050】
なお、本実施形態では、IとIの前回の燃料噴射における燃料噴射量を用いて線型(1次式)の外挿により各燃料噴射における燃料噴射量を予測しているが、IとIの前回及び前々回の燃料噴射における燃料噴射量に基づいて2次式を用いた外挿、或いはIとIの前3回の燃料噴射における燃料噴射量に基づいて3次式を用いた外挿、或いは他の方法を用いた外挿によってIIからIVの燃料噴射量を求めることも可能である。
(2)目標燃料圧力
時点(i+2)における目標燃料圧力PCTRG(i+2)は、時点(i+2)で算出される燃料噴射Vにおける燃料噴射量と機関回転数とに基づいて、ECU20のROMに格納した目標燃料圧力マップから求められる。このため、燃料噴射Vにおける燃料噴射量QINJ(V)と時点(i+2)における機関回転数とを上記と同様のの外挿により求め、これらの値に基づいてECU20のROMに格納した数値マップからPCTRG(i+2)を算出するようにすることも可能である。しかし、本実施形態では、計算を簡略化するため、時点(i)における目標燃料圧力PCTRG(i)と前回のPCTRG算出タイミング(i−1)に算出された目標燃料圧力PCTRG(i−1)とを用いて線型外挿により時点(i+2)の目標燃料圧力PCTRG(i+2)を求めている。すなわち、
Figure 0003577991
となる。
(3)リーク量
機関運転中にコモンレールから流出する燃料は燃料噴射によるものに加えて、燃料噴射弁等の摺動部等からのリークによるものや、燃料噴射弁に燃料噴射動作を行わせるために必要とされる流出燃料等がある。本明細書では、上記摺動部等からのリーク等によりコモンレールから流出する燃料等のように燃料噴射弁の燃料噴射動作とは無関係に常時生じているリークを静的リーク、燃料噴射弁に燃料噴射動作を行わせるために必要とされる燃料等のように各燃料噴射弁の燃料噴射動作に伴ってコモンレールから流出する燃料を動的リークと呼ぶ。静的リークと動的リークとによりコモンレールから流出した燃料は、コモンレールから図示しないリターン配管を通って燃料タンクに返戻される。
【0051】
図3時点(i)において燃料圧送量QLを算出するために必要なリーク量TQLEAKは、時点(i)から(i+2)までに生じた静的リーク量の合計TQSLと燃料噴射IからIVにより生じた動的リーク量QLDIからQLDIVの合計TQDとの和になる(TQLEAK=TQSL+TQD)。
ここで、静的リーク量は、燃料噴射弁の摺動部クリアランス等からのリークであり、燃料噴射弁の燃料噴射動作とは無関係に常時発生している。静的リーク量はコモンレール燃料圧力に応じて変化する。本実施形態では、予めコモンレール燃料圧力と単位時間当たりの静的リーク量との関係を求めておき、ECU20のROMに数値マップの形で格納してある。従って、図3期間Aにおける静的リーク量の総量QLA(i)は時点(i)におけるコモンレール燃料圧力PCから求めた単位時間当たりのリーク量と、期間Aに相当する時間との積として算出される。また、期間Bにおける静的リーク量の総量QLBは、時点(i)の前回の圧送量算出タイミング(i−1)において算出した静的リーク量の総量QLB(i−1)とQLA(i)とを用いて線型外挿により求められる。
【0052】
すなわち、QLB=QLA(i)+(QLA(i)−QLB(i−1))
また、これらを用いて、時点(i)から(i+2)までの静的リーク量の総量TQLは、TQL=QLA+QLBとして算出される。
一方、動的リークは燃料噴射弁1の燃料噴射動作(開弁動作)に伴って生じるリークである。本実施形態の燃料噴射弁1は燃料噴射弁の開弁動作を燃料油の圧力を利用して行うため燃料噴射動作に伴って燃料噴射条件から定まる一定量の燃料油が燃料タンクに返戻される。より詳細には、本実施形態の燃料噴射弁では、閉弁時には弁体の下部(噴孔側)と上部との両方に燃料圧力を作用させることにより燃料圧力により弁体に加わる力をバランスさせ、スプリングの力で弁体を弁座に押圧している。一方、燃料噴射時には弁体上部の燃料油を電磁弁と計量オリフィスとを経由してリターン配管に放出することにより弁体上部に作用する圧力を低下させる。これにより、弁体下部に作用する燃料油圧力により弁体がスプリングに抗して押し上げられ噴孔が開放されるため燃料噴射が行われる。動的リークは上記開弁動作にともなってリターン配管に放出される燃料である。動的リーク量は、燃料噴射時間(開弁時間)、コモンレール燃料圧力(目標燃料圧力)等に応じて変化する。
【0053】
本実施形態では、予め燃料噴射時間とコモンレール燃料圧力と一回の燃料噴射動作における動的リーク量との関係を求めてあり、コモンレール燃料圧力と燃料噴射時間とを用いた数値マップとしてECU20のROMに格納してある。本実施形態では、時点(i)において上述の(1)、(2)により算出された燃料噴射量(燃料噴射時間)と目標燃料圧力の予測値に基づいてIからIVの燃料噴射における動的リーク量が算出され、その合計が時点(i)から(i+2)の期間の動的リーク総量TQDとして算出される。
【0054】
上記により算出された、TQINJ(I〜IV)、TQLEAK、PCTRG(i+2)の予測値、及び時点(i)で決定しているPC(i)、QLAの値を用いて前述のQLの式から第2シリンダの吐出量QLが時点(i)で算出される。
前述したように、本実施形態では、上記により算出した燃料圧送量を機関運転状態(過渡運転か定常運転か、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従しているか否か)に応じて補正することにより、コモンレール燃料圧力の変化速度を機関運転状態に応じて調整して最終的な燃料圧送量QLFを算出する。
【0055】
本実施形態では、最終的な燃料圧送量QLFは次の式により算出する。
Figure 0003577991
すなわち、前述の方法により算出された燃料圧送量QLのうち、目標燃料圧とコモンレール燃料圧との偏差に比例する比例量成分(PCTRG(i+2)−PC(i))×Kに運転状態から定まる補正係数αを乗じることにより最終的な燃料圧送量QLFを算出する。
【0056】
図4は、本実施形態の最終的な燃料圧送量QLFの設定操作を説明するフローチャートである。本操作はECU20により所定のクランク回転角毎(例えばクランク回転角360°毎)に実行される。
図4において操作がスタートするとステップ401では機関回転数NE、アクセル開度ACCP、コモンレール燃料圧力PCがそれぞれ対応するセンサから読み込まれ、ステップ403では、NEとACCPに基づいて燃料噴射量QINJ(I)が、また算出されたQINJ(I)とNEとに基づいて目標燃料圧力PCTRG(i)が、それぞれ算出される。
【0057】
次いで、ステップ405では前述した外挿方法により燃料噴射量の総量TQINJ(I〜IV)、リーク量総量TQLEAK及び目標燃料圧力PCTRG(i+2)がそれぞれ算出される。
更に、ステップ407では現在機関が過渡運転中か否かが判定される。本実施形態では、現在(図3時点(i))における目標燃料圧力PCTRG(i)の前回燃料圧送量算出タイミング(時点(i−1))における目標燃料圧力PCTRG(i−1)からの変化量(絶対値)が所定値βより大きい場合には現在機関が過渡運転中と判定される。本実施形態ではβの値は、例えば5〜10MPa程度の値に設定されている。
【0058】
ステップ407で現在機関が過渡運転状態にあると判定された場合(すなわち|PCTRG(i)−PCTRG(i−1)|>βであった場合)には、次にステップ409に進み、現在のコモンレール燃料圧力PC(i)が目標燃料圧力PCTRG(i)に追従しているか否かが判定される。この判定は、目標燃料圧力からのコモンレール燃料圧力の偏差(絶対値)が所定値γより大きいか否かにより行われ、|PCTRG(i)−PC(i)|>γであった場合には、コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していないと判断される。γの値は、例えば本実施形態ではγ≒5MPa程度に設定されている。
【0059】
この場合、すなわち現在過渡運転状態でありしかもコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していないため、コモンレール燃料圧力変化の応答性を向上させる必要がある。そこで、この場合にはステップ411に進み、前述の比例係数を所定値αにセットして、ステップ421に進み、高圧燃料ポンプ5の燃料圧送量(吸入量)QLFを、QLF=TQINJ(I〜IV)+TQLEAK−QLA+(PCTRG(i+2)−PC(i))×K×α、として算出し、今回の操作を終了する。ステップ411で燃料圧送量QLFが算出されると、ECU20により別途実行される図示しないルーチンにより、吸入調量弁71の開度がQLFに応じて調節され、吸入行程にあるポンプシリンダにはQLFの量の燃料が充填される。本実施形態では、αの値は例えば1.0程度の値とされる。
【0060】
また、ステップ409で|PCTRG(i)−PC(i)|≦γであった場合には、すなわち現在機関は過渡運転状態にあるがコモンレール燃料圧力は目標燃料圧力に充分追従していると考えられるので、コモンレール燃料圧力のオーバシュートが生じることを防止するため、ステップ413に進み、前述の比例係数αの値はαより小さいα(例えばα≒0.3程度)の値に設定される。これにより、燃料ポンプ圧送量はコモンレール燃料圧力の変化速度が小さくなるように設定されるため、オーバシュートの発生が防止される。
【0061】
また、ステップ407で、|PCTRG(i)−PCTRG(i−1)|≦βであった場合には、現在機関は定常運転されていると考えれられるため、ステップ415以下の定常運転状態における燃料圧送量の設定を行う。
すなわち、ステップ415ではステップ409と同様に現在コモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従しているか否かが判定される。ステップ415でコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従していない場合には、現在ハンチングが生じている可能性があるため、この場合にはステップ417でαの値は小さな値α(例えばα≒0.3程度)に設定される。これにより、コモンレール燃料圧力の変化速度は小さくなりコモンレール燃料圧力のハンチングが抑制される。
【0062】
また、ステップ415で|PCTRG(i)−PC(i)|≦γであった場合、すなわち現在で機関が定常状態で運転され、かつコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従している場合には、次にステップ419が実行され、αの値はαより大きい値α(例えばα≒0.6 程度) に設定される。これにより、ハンチングが生じることを防止しながらコモンレール燃料圧力変化の応答性が比較的良好に維持される。
【0063】
上述のように、本実施形態では機関が過渡運転中か定常運転中か、及びコモンレール燃料圧力が目標燃料圧力に追従しているか否かの4つの場合に応じて、それぞれ適切にコモンレールへの燃料圧送量を補正することにより、コモンレール燃料圧力制御の応答性を良好に維持しながら、目標燃料圧力への追従性(制御の安定性)を高めることが可能になっている。
【0064】
なお、本実施形態では燃料ポンプ5の各シリンダの吸入行程開始時点((i)、(i+1)、(i+2)、……)においてのみ、すなわちクランク回転角360°毎にシリンダの燃料圧送量を算出しているが、各シリンダの吸入行程の途中(例えば吸入行程開始時点からクランク回転角180°の時点)で図4と同一の方法で再度シリンダの燃料圧送量を算出して、各シリンダの吸入行程中途で吸入調量弁71の開度を修正するようにすれば、更に応答性の良好なコモンレール燃料圧力制御を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、過渡運転時にも定常運転時にもシリンダからの燃料圧送終了時の目標燃料圧などの予測を行っている。(すなわち図3の時点(i)において時点(i+2)における目標燃料圧等の予測を行っている。)しかし、定常運転時には目標燃料圧を始めとする各変数の値の変化は小さくなっているため、時点(i+2)における各変数の値とシリンダからの燃料圧送開始時(時点(i+1)における各変数の値はほぼ等しくなる。
【0066】
そこで、過渡運転時には本実施形態のように時点(i+2)における各変数の予測値に基づいて燃料圧送量を決定するが、定常運転時には同様な方法で時点(i+1)における各変数の値の予測値を算出し、これらの時点(i+1)における予測値に基づいて燃料圧送量を算出するようにすれば、定常運転時に予測値の外挿誤差の影響を最小にしてコモンレール燃料圧力制御の精度を更に向上させることが可能となる。
【0067】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、コモンレール燃料圧力制御の応答性を向上させながら、しかもコモンレール燃料圧力の目標燃料圧力への追従性を高く維持することが可能となりコモンレール燃料圧力の制御精度を向上させることが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1の高圧燃料ポンプの構造の一例を模式的に示す図である。
【図3】図2の高圧燃料ポンプの燃料圧送タイミングと各気筒の燃料噴射タイミングとを示す図である。
【図4】本発明の燃料圧送量算出操作の一実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁
3…コモンレール
5…高圧燃料ポンプ
10…ディーゼル機関
20…電子制御ユニット(ECU)

Claims (4)

  1. 加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
    前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、
    前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、
    前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、
    を備え、
    前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が過渡状態で運転されていると判定されたときに、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させ、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力の前記目標燃料圧力に対するオーバシュートを防止する、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置。
  2. 加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
    前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、
    前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、
    前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、
    を備え、
    前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が定常状態で運転されていると判定されたときに、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が小さくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力のハンチングを抑制し、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記コモンレール内燃料圧力の変化速度が大きくなるように燃料圧送量を補正して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させる、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置。
  3. 加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃 機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
    前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、
    前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、
    前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、
    を備え、
    前記設定手段は、前記燃料圧送量を前記コモンレール内燃料圧力と前記目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例量成分を含む量として設定し、
    前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が過渡状態で運転されていると判定されたときに、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記比例係数の値を大きく設定して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させ、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記比例係数の値を小さく設定して前記コモンレール内燃料圧力の前記目標燃料圧力に対するオーバシュートを防止する、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置。
  4. 加圧燃料を貯留するコモンレールと、該コモンレール内の燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射弁と、前記コモンレールに燃料を圧送する燃料ポンプと、前記コモンレール内の燃料圧力と機関運転状態に基づいて決定される目標燃料圧力とに基づいて、コモンレール内燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように前記燃料ポンプからコモンレールに圧送される燃料量を設定する設定手段とを備えた内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置において、
    前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従しているか否かを判定する追従判定手段と、
    前記内燃機関の運転状態が定常状態であるか過渡状態であるかを判定する運転状態判定手段と、
    前記追従判定手段の判定結果と前記運転状態判定手段の判定結果との両方に基づいて前記設定手段の設定した燃料圧送量を補正する補正手段と、
    を備え、
    前記設定手段は、前記燃料圧送量を前記コモンレール内燃料圧力と前記目標燃料圧力との偏差に比例係数を乗じた比例量成分を含む量として設定し、
    前記補正手段は、前記運転状態判定手段により現在機関が定常状態で運転されていると判定されたときに、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していないと判定されている場合には、追従していると判定されている場合に較べて前記比例係数の値を小さく設定して前記コモンレール内燃料圧力のハンチングを抑制し、
    前記追従判定手段により前記コモンレール内燃料圧力変化が前記目標燃料圧力に追従していると判定されている場合には、追従していないと判定されている場合に較べて前記比例係数の値を大きく設定して前記コモンレール内燃料圧力変化の前記目標燃料圧力に対する応答性を向上させる、内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置。
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