JP3798614B2 - 高圧燃料供給系の圧力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧燃料供給系の圧力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧燃料ポンプから共通の蓄圧室(コモンレール)に燃料を供給し、この蓄圧室に各気筒毎の燃料噴射弁を接続して蓄圧室内の高圧燃料を各気筒に噴射する、いわゆるコモンレール式の燃料噴射装置が知られている。
コモンレール式燃料噴射装置では、燃料噴射弁からの燃料噴射率がコモンレール内圧力に応じて変わるため、機関運転状態に応じて最適な燃料噴射率が得られるようにコモンレール圧力を精度良く制御する必要がある。
【0003】
コモンレール圧力制御は、一般にコモンレールに燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプの吐出量(圧送量)を制御することにより行われている。また、高圧燃料供給ポンプとしては一般にプランジャ式ポンプが使用される。
コモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール内に貯留した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁から噴射するため、燃料噴射毎にコモンレール内の圧力が低下する。このため、燃料ポンプの制御装置は燃料噴射時期により定まるタイミングで燃料ポンプからコモンレールに必要量の燃料を圧送してコモンレール内圧力を目標値に維持する必要がある。
【0004】
また、実際の運転においては機関運転状態が急激に変化する過渡運転時には、運転状態の変化に応じてコモンレール目標圧力も急激かつ広範囲に変化するため燃料ポンプの制御装置は燃料ポンプの圧送量を、コモンレール圧力が目標圧力に追従してオーバーシュートやアンダーシュートを生じないように、すなわちコモンレール圧力の制御性が良好になるように制御する必要がある。
【0005】
コモンレール圧力の目標圧力への追従性を向上させた燃料ポンプ圧送量の制御装置の例としては、例えば特開平5−106495号公報に記載されたものがある。同公報の装置は、実際のコモンレール圧力とコモンレール目標圧力との偏差に制御ゲインを乗じた値に基いて燃料ポンプの圧送量を制御する際に、過渡運転時における瞬時コモンレール圧力の変化量からコモンレール圧力のオーバーシュートが生じることを予測し、オーバーシュートが生じる場合には上記制御ゲインを低下させてオーバーシュートを未然に防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平5−106495号公報の燃料ポンプ制御装置では、過渡運転時におけるコモンレール圧力のオーバーシュートは小さくなるものの、オーバーシュートを全くなくすことはできず、しかもオーバーシュートが生じた場合のコモンレール燃料圧力のピーク値については何ら考慮されていないため、問題が生じる場合がある。
【0007】
通常、コモンレールには燃料圧力の過大な上昇により燃料系の機器の破損などが生じることを防止するために、燃料圧力を各燃料系機器の設計圧力以下に制限するプレッシャリミッタ(圧力制限手段)が設けられている。たとえば、プレッシャリミッタとしては、コモンレール内の燃料圧力が設定値以上になったときに開弁し、コモンレール内の燃料を低圧部(燃料タンク)に放出することによりコモンレール内圧力を低下させる圧力制御弁または安全弁が使用される。
【0008】
このようなプレッシャリミッタをコモンレールに備えている場合には、コモンレール圧力の目標値が高くなっていると、オーバーシュート自体の幅が小さい場合でもオーバーシュートが生じるとコモンレール圧力がプレッシャリミッタの設定圧力を越えてしまい、プレッシャリミッタが作動してしまう場合がある。
一旦プレッシャリミッタが作動すると、コモンレール圧力は急激に低下するため、大きな騒音が発生する場合がある。また、コモンレール圧力が目標値より大幅に低くなるため運転条件に応じた燃料噴射率が得られなくなり、機関性能が低下するとともに、再度コモンレール圧力が目標圧力に制御されるまでに多少の時間を要する問題が生じてしまう。
【0009】
上記特開平5−106495号公報の装置では、過渡運転時にコモンレール圧力制御の制御ゲインを低下させることによりオーバーシュート幅は低減されるものの、オーバーシュート時のピーク圧力については全く考慮されていないため、プレッシャリミッタを備えたコモンレール式燃料噴射装置に同公報の制御装置を使用すると、プレッシャリミッタが作動してコモンレール圧力の急激な低下を生じる問題がある。
【0010】
特に、燃料圧送行程が開始される前に燃料ポンプからの次回の燃料圧送量が設定される吐出量調節装置を有する燃料ポンプを使用したような場合には、燃料圧送量を決定する時点と実際に燃料がコモンレールに供給される時点との間に比較的大きな遅れが生じるため、過渡運転時には上記特開平5−106495号公報のような燃料圧力制御を行なった場合でもオーバーシュートが生じやすくなり、プレッシャリミッタが作動する確率が大きくなる。
【0011】
このような場合にも、たとえばプレッシャリミッタの設定圧力を十分に高く設定して、コモンレール圧力が高い状態の過渡運転時に多少のオーバーシュートが発生してもプレッシャリミッタが作動しないようにすれば良い。しかし、プレッシャリミッタの設定圧力を高く設定するためには、コモンレールや燃料系の各要素の設計圧力をプレッシャリミッタの設定圧力に応じて高くする必要があり、装置全体の製作コストが増大する問題が生じる。
【0012】
本発明は上記問題に鑑み、過渡運転時における燃料圧力のオーバーシュートのピーク圧力を小さく設定することにより、装置コストの増大を伴うことなく簡易に、プレッシャリミッタの作動を防止することが可能な高圧燃料噴射系の圧力制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、前記蓄圧室に所定のタイミングで燃料を圧送する燃料ポンプと、前記蓄圧室内の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて、蓄圧室内の燃料圧力が目標燃料圧力になるように前記燃料ポンプの燃料圧送量をフィードバック制御する圧送量制御手段と、前記蓄圧室内の燃料圧力が予め定めた上限圧力以上になった時に作動して、蓄圧室内の燃料圧力を前記上限圧力以下に維持する圧力制限手段と、を備えた圧力制御装置において、前記圧送量制御手段は更に、前記圧力検出手段で検出した燃料圧力と前記上限圧力とに基いて、前記圧力制限手段を非作動状態に維持することが可能な最大燃料圧送量である圧送量制限値を算出する制限値算出手段を備え、前記燃料ポンプの実際の燃料圧送量が前記圧送量制限値以下になるように制限する、高圧燃料供給系の圧力制御装置が提供される。
【0014】
すなわち、請求項1の発明では、圧送量制御手段は圧力検出手段で検出した燃料圧力と圧力制限手段の作動する上限圧力とに基いて、燃料圧送後の圧力上昇によっても圧力制限手段が作動しない範囲で蓄圧室に供給可能な最大燃料圧送量である圧送量制限値を算出する制限値算出手段を備えており、例えば、蓄圧室圧力に基くフィードバック制御により制御される燃料ポンプ圧送量が、出した圧送量制限値を越える場合には、実際の圧送量を上記圧送量制限値に設定することにより、燃料ポンプの実際の圧送量を上記圧送量制限値以下に制限する。このため、燃料ポンプからの実際の燃料圧送量は過渡運転時にも、常に蓄圧室燃料圧力が圧力制限手段が作動する圧力より低くなるように制御されるため、オーバーシュートによる圧力制限手段の作動が効果的に防止される。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、前記燃料ポンプは、燃料圧送を開始する前に圧送量が決定される吐出量調節装置を備え、前記圧送量制御手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前に前記圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて燃料圧送量をフィードバック制御し、前記制限値算出手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と前記上限圧力とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請求項1に記載の圧力制御装置が提供される。
【0016】
すなわち、請求項2の発明では、請求項1の燃料ポンプは燃料圧送量の設定時点と実際の燃料圧送開始時点との間に比較的大きな遅れが生じる吐出量調節装置を備えている。本発明では、このような場合にも、例えば燃料圧送量の設定時点における蓄圧室の燃料圧力と上限圧力とに基いて圧送量制限値を算出することにより、蓄圧室燃料圧力を圧力制限手段が作動する圧力より常に低く維持することが可能となり、オーバーシュートによる圧力制限手段の作動が効果的に防止される。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、前記制限値算出手段は、燃料ポンプからの燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と、前記上限圧力と、燃料ポンプからの燃料圧送終了までに前記蓄圧室から流出する燃料量の予測値と、燃料ポンプの前回の燃料圧送時の燃料圧送量とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請求項2に記載の圧力制御装置が提供される。
【0018】
すなわち、請求項3の発明では、請求項2の発明において、制限値算出手段は、さらに、燃料圧送が終了するまでに蓄圧室から流出する燃料量の予測値と、前回燃料圧送時の燃料圧送量とに基いて圧送量制限値を算出する。たとえば、吸入調量式の吐出量調節装置を備えた燃料ポンプでは、次回の燃料圧送量を設定する時点では、未だ前回の燃料圧送が行われていない。このため、今回設定する量の燃料の圧送が終了する時点では、今回の燃料圧送量に加えて、前回の燃料圧送量として設定した量の燃料が蓄圧室に流入していることになる。また、今回の燃料圧送が終了するまでには、燃料噴射弁からの燃料噴射やリーク等により蓄圧室から流出する燃料量が存在する。本発明では、これらの燃料量を考慮して、今回の燃料圧送終了時に蓄圧室内の燃料圧力が上限圧力以下になるように燃料圧送量制限値を算出するようにしたため、確実にオーバーシュートによる圧力制限手段の作動を防止することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は内燃機関10(本実施形態では4気筒ディーゼル機関)の各気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁、3は各燃料噴射弁1が接続される共通の蓄圧室(コモンレール)を示す。コモンレール3は、後述する高圧燃料供給ポンプ5(以下「燃料ポンプ」という)から供給される加圧燃料を貯留し、各燃料噴射弁1に分配する機能を有する。
【0020】
また、図1において7は機関10の燃料(本実施形態では軽油)を貯留する燃料タンク、9は燃料ポンプに低圧配管13を介して燃料を供給する低圧フィードポンプを示している。
また、燃料ポンプ5から吐出された燃料は、高圧配管17を通ってコモンレール3に供給され、コモンレール3から各燃料噴射弁1を介して内燃機関の各気筒内に噴射される。
【0021】
図1に33で示すのは、コモンレール3に設けられたプレッシャリミッタである。プレッシャリミッタ33は例えば、コモンレール3内の燃料圧力が予め定めた設定値以上に上昇した場合に開弁する安全弁が使用され、コモンレール3内の燃料圧力が設定値以上に上昇した場合にコモンレール内の燃料油をリターン配管19を介して低圧部(燃料タンク7)に放出することによりコモンレール3の過大な圧力上昇と、それによる高圧燃料系の各機器の損傷を防止するものである。リターン配管19には、各燃料噴射弁1からのリターン燃料を燃料タンク7に戻すリーク配管19aが接続されている。燃料噴射弁からのリターン燃料(動的リーク燃料及び静的リーク燃料)については後述する。
【0022】
図1に20で示すのは、機関の制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。ECU20は、後述するように燃料ポンプ5の吸入調量弁5aの開閉動作を制御してポンプ5からコモンレール3に圧送される燃料量を調整し、コモンレール3内の燃料圧力を機関負荷、回転数等に応じて制御する燃料圧力制御を行う。また、ECU20は、燃料噴射弁1の開弁時間を制御して気筒内に噴射される燃料量を制御する燃料噴射制御を行う。
【0023】
上記制御のため、ECU20の入力ポートには、コモンレール3に設けた燃料圧力センサ31からコモンレール3内の燃料圧力に対応する電圧信号がAD変換器34を介して入力されている他、機関アクセルペダル(図示せず)に設けたアクセル開度センサ35からアクセルペダルの操作量(踏み込み量)に対応する信号が同様にAD変換器34を介して入力されている。
【0024】
更に、ECU20の入力ポートには、機関のクランク軸近傍(図示せず)に設けたクランク角センサ37から、クランク軸が基準回転位置(例えば第1気筒の上死点)になったときに発生する基準パルス信号と、クランク軸一定回転角毎に発生する回転パルス信号との2つの信号が入力されている。
ECU20は、上記の回転パルス信号の間隔からクランク軸回転速度を算出するとともに、基準パルス信号入力後に入力する回転パルス信号を計数することによりクランク軸の回転角(位相)CAを検出する。
【0025】
また、ECU20の出力ポートは、駆動回路40を介して燃料噴射弁1に接続され、各燃料噴射弁1の作動を制御している他、駆動回路40を介して燃料ポンプ5の吸入調量弁5aの開閉を制御するソレノイドアクチュエータに接続され、ポンプ5の圧送量を制御している。
本実施形態では、燃料ポンプ5は2つのシリンダを有するプランジャポンプの形式とされている。ポンプ5の各シリンダ内のプランジャは、ポンプ内のプランジャ駆動軸に形成されたカムに押圧されてシリンダ内を往復運動する。また、各シリンダの吸入ポートには、ソレノイドアクチュエータにより開閉駆動される吸入調量弁が設けられている。本実施形態ではプランジャ駆動軸は機関10のクランク軸(図示せず)により駆動され、クランク軸と同期してクランク軸の2分の1の速度で回転する。また、ポンプ5のプランジャ駆動軸には、それぞれのプランジャと係合する部分にリフト部を1つ持つカムが形成されており、ポンプ5のプランジャは機関10の各気筒のストロークに同期して燃料を吐出するようになっている。本実施形態では、ポンプ10の2つのシリンダはクランク軸が720度回転する間にそれぞれ1回、機関回転に同期してコモンレール3に燃料を圧送する。すなわち、本実施形態では機関10のクランク軸が720度回転する間に燃料ポンプ5から2回の燃料圧送が行われ、1回の燃料圧送で2気筒分(2回の)燃料噴射が行われることになる。
【0026】
また、本実施形態では、いわゆる吸入調量式の燃料ポンプ吐出量制御が行われれており、ECU20はポンプの各シリンダのプランジャの下降(吸入)行程における吸入調量弁5aの閉弁時期を変化させることにより燃料ポンプ5の圧送行程における燃料油吐出流量を制御する。すなわち、本実施形態ではECU20は各シリンダがカムリフト頂部を通過して吸入行程が開始されると、吸入行程開始後所定の期間吸入調量弁5aのソレノイドアクチュエータに通電を行い、吸入調量弁5aを開弁保持する。これにより、プランジャの下降とともに燃料がシリンダに流入する。また、ECU20は上記所定期間が経過するとソレノイドアクチュエータの通電を停止して吸入調量弁5aを閉弁する。これにより、その後の吸入行程中はシリンダには燃料が供給されなくなり、プランジャは下降を停止したまま保持され、カムとプランジャとは離間する。そして、再度圧送行程が開始されてカムのリフト部が上記により下降停止位置に保持されたプランジャに接触する位置まで回転するとプランジャがカムに押動されるようになり、実際に燃料ポンプ5から燃料が吐出され、逆止弁15を通ってコモンレール3に供給される。この場合、各シリンダからは吸入行程でポンプ室に吸入された量だけの燃料しかコモンレール3には圧送されないため、吸気弁5aの開弁時間を制御することによりコモンレール3に供給する燃料量を制御する事が可能となる。
【0027】
本実施形態では、ECU20は機関負荷、回転数に応じて予めROMに格納した関係に基づいて目標コモンレール燃料圧力を設定するとともに、後述するように燃料圧力センサ31で検出したコモンレール燃料圧力が設定した目標コモンレール燃料圧力になるようにポンプ5の吐出量をフィードバック制御する。また、ECU20は機関負荷、回転数に応じて予めROMに格納した関係に基づいて燃料噴射弁1の開弁時間(燃料噴射時間)を制御する。
【0028】
本実施形態ではコモンレール3の燃料圧力を機関運転条件に応じて変化させることにより、燃料噴射弁1の噴射率を運転条件に応じて調節し、燃料圧力と燃料噴射時間とを変化させることにより燃料噴射量を運転条件に応じて調節している。このため、本実施形態のようなコモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール内の燃料圧力は機関の運転条件(負荷、回転数)に応じて極めて広い範囲で(例えば、10MPaから150MPa程度までの範囲で)変化することになる。
【0029】
次に、本実施形態における燃料圧送量の算出について説明する。
前述したように、本実施形態では燃料ポンプ5からコモンレール3への燃料圧送量は、コモンレール燃料圧力がECU20により設定されたコモンレールの目標圧力になるように圧力センサ31で検出した燃料圧力に基いてフィードバック制御されている。
【0030】
図2は、燃料ポンプ5の幾何学的送油率(プランジャの単位クランク角当たり移動量とシリンダ断面積との積)を示すタイミング図であり、図2の横軸はクランク角CAで表してある。
図2は燃料ポンプ5の1行程サイクル(機関10のクランク回転角で720度)における変化を示しており、この期間では燃料ポンプ5の2つのシリンダ(#1及び#2シリンダ)では各1回の燃料圧送行程が行われる。図2の斜線を付した領域は各シリンダから実際にコモンレールに圧送される燃料量を表わしている。また図2において、横軸の上側部分は各シリンダの圧送行程、下側は吸入行程をあらわしている。本実施形態では4気筒機関が使用されているため、合計4回の燃料噴射が行われる。このため、燃料ポンプ5の各圧送行程では2回の燃料噴射が行われる。図2にFJ1、FJ2、及びFJ3、FJ4で示すのは各圧送行程における燃料噴射タイミングである。図2に示すように、燃料噴射は各シリンダ#1、#2のそれぞれの圧送行程の前半(FJ1、FJ3)と後半(FJ2、FJ4)にそれぞれ1回ずつ行われる。
【0031】
本実施形態では、吸入調量式の燃料ポンプ吐出量制御が行なわれるため、燃料ポンプの吐出量(コモンレール3への圧送量)は、各シリンダの吸入行程が開始される前に決定される。つまり、図2において#2シリンダの圧送量は図2においてa点またはそれ以前に決定されることになる(本実施形態では、説明を簡単にするために#2シリンダの吐出量算出時期を仮にa点であるとする)。つまり、#2シリンダからの燃料圧送量は、a点におけるコモンレール3の目標圧力とセンサ31で検出した実際の圧力とに基いて決定されることになる。
【0032】
ところが、本実施形態では、a点で決定された量の燃料のコモンレールへの供給が実際に完了するのは、#2の圧送行程が完了する時点、すなわち図2のb点になる。すなわち、圧送量の決定時点(a点)から決定した量の燃料のコモンレール3への供給が完了するまでにクランク角にして720度の時間遅れが存在する。しかも、この間には、#1シリンダの圧送行程があるため、コモンレールには#1シリンダから燃料が流入し、一方4回の燃料噴射(FJ1からFJ4)によりコモンレールから燃料が流出する。また、燃料噴射以外にも燃料噴射弁の動作に伴うリークや定常的に存在するリークによってコモンレールから流出する燃料が存在する。
【0033】
従って、a点では、これらの流入燃料と流出燃料との両方を考慮に入れた上で圧送行程終了時(b点)にコモンレールの実際の燃料圧力が目標燃料圧力に一致するように#2シリンダの圧送量を決定する必要がある。
本実施形態では、上記を考慮して以下に示す(1)式を用いて#2シリンダの圧送量QP2を算出する。
QP2=ΣQIi+ΣQIDi+QIS−QP1+KP×(Ptr−Pca)+QS
……(1)
ここで、ΣQIiはa点からb点までの間に燃料噴射FJ1からFJ4により噴射される燃料量の合計であり、
ΣQIi=QI1+QI2+QI3+QI4
で表される(QI1からQI4は、それぞれFJ1からFJ4の各燃料噴射燃料噴射量)。
【0034】
また、ΣQIDiは各燃料噴射弁の燃料噴射動作に伴う動的リーク量の和であり、ΣQIDi=QID1+QID2+QID3+QID4で表される(QID1からQID4は、それぞれFJ1からFJ4の各燃料噴射における動的リーク量)。
例えば、燃料噴射弁の形式によっては燃料噴射弁の開弁動作を燃料油の圧力を利用して行うため燃料噴射動作に伴って燃料噴射条件から定まる一定量の燃料油が燃料タンクに返戻される形式のものがある。より詳細には、このような形式の弁では、閉弁時には弁体の下部(噴孔側)と上部との両方に燃料圧力を作用させることにより燃料圧力により弁体に加わる力をバランスさせ、スプリングの力で弁体を弁座に押圧している。一方、燃料噴射時には弁体上部の燃料油を電磁弁を経由してリターン配管に逃がすことにより弁体上部に作用する圧力を低下させる。これにより、弁体下部に作用する燃料油圧力により弁体がスプリングに抗して押し上げられ噴孔が開放され噴射が行われる。すなわち、この形式の燃料噴射弁では開弁(燃料噴射)期間中に燃料噴射条件から定まる量の燃料がコモンレールから燃料噴射弁のリーク配管19aを経由してリターン配管19に流出する。本実施形態では、燃料噴射以外に各燃料噴射弁の燃料噴射動作に伴ってコモンレールから流出する燃料量を動的リーク量と呼んでいる。
【0035】
各燃料噴射弁からの動的リーク量QIDiは、各燃料噴射弁1回の燃料噴射においてコモンレール3からリターン配管19に流出する燃料の量で表され、燃料噴射弁の弁体上部油圧を逃がす電磁弁の通電時間(燃料噴射時間)と燃料噴射直前の燃料油圧力との関数になる。本実施形態では、予め燃料圧力と燃料噴射時間とを変えて1回の燃料噴射期間に燃料タンクに戻されるリターン燃料量を実測し、ECU20のROMに燃料圧力と燃料噴射時間とを用いた数値マップとして記憶してある。
【0036】
一方、上記(1)式におけるQISは、a点からb点までの期間における静的リーク量を表している。コモンレールからは、燃料噴射弁の摺動部クリアランスなどを通って常時リークしている燃料油があり、これらのリーク燃料もリターン配管19を通って燃料タンクに戻される。本実施形態では、燃料噴射弁の燃料噴射動作と関係なく常時コモンレールから流出するリターン燃料の量を静的リーク量と呼んでいる。
【0037】
静的リーク量QISは、燃料噴射弁の各クリアランス部からのリーク燃料の量であり、a点からb点までの間にコモンレール3からリークする燃料の総量で表される。このため、QISは燃料圧力と燃料温度(燃料粘度)、機関回転数NE(a点からb点までの経過時間)の関数となる。本実施形態では、QISについても予め燃料圧力、温度、機関回転数の組合せを変化させて静的リーク量を実測し、燃料圧力、温度、機関回転数を用いた数値マップとしてECU20のROMに格納してある。実際の運転時には静的リーク量QISは、燃料圧力、温度、機関回転数を用いて、このマップから算出される。
【0038】
また、(1)式において、KP×(Ptr−Pca)はフィードバック比例項を表し、KPは比例定数、Ptrはコモンレール3の燃料圧力の目標値、Pcaはa点において圧力センサ31で検出した実際の燃料圧力である。
また、QSはフィードバック積分項を表し、例えばQS=KS×Σ(Ptr−Pca)として算出される。ここで、Σ(Ptr−Pca)は今回までの圧送量算出時毎の目標圧力と実際のコモンレール圧力との偏差の積算値であり、KSは定数(積分定数)である。
【0039】
すなわち、(1)式において、a点で決定される#2シリンダの圧送量は、a点からb点までの間に実際にコモンレールから流出する燃料量(すなわち、燃料噴射量と動的及び静的リーク量の合計から#1シリンダからの圧送によりコモンレールに流入する燃料量QP1を差し引いた値)を補って、更に現在のコモンレール燃料圧力Pcaを目標燃料圧力Ptrまで上昇させるのに必要な量(KP×(Ptr−Pca)+QS)として算出される。なお、上記は#2シリンダの場合について説明したが、#1シリンダについても(1)式でQP1とQP2とを入れ替えることにより、同様に圧送量が算出される。
【0040】
また、(1)式の各項のうち、例えば燃料噴射量、動的リーク量などについては、a点では未だ確定していないものがある。例えば、a点においては、FJ1の燃料噴射における噴射量QI1は確定しており、動的リーク量QID1も燃料噴射量に基いて算出可能である。また、静的リーク量QIS、及び#1シリンダの圧送量QP1も確定している。更に、比例項KP×(Ptr−Pca)及び積分項QSも目標圧力Ptrとa点におけるコモンレールの実際の圧力Pcaとに基いて算出可能である。しかし、FJ2からFJ4の燃料噴射量及び動的リーク量はa点では未だ算出されておらず未確定である。そこで、本実施形態では、#2シリンダの圧送量算出時には、a点からb点までの間に燃料噴射量が大きく変化しないと仮定して、QI2=QI3=QI4=QI1、及びQID2=QID3=QID4=QID1と置いてQP2を算出している。
【0041】
上記(1)式により各シリンダの圧送量を算出することにより運転状態が急激に変化しない場合には、コモンレール圧力は応答性良好に目標圧力に維持される。しかし、急減速などのような過渡運転時には、図2a点で#2シリンダの圧送量を決定してから、実際に燃料圧送が完了(図2b点)までの間にコモンレール目標圧力と燃料噴射量とが急激に変化すると、コモンレール圧力のオーバーシュートが生じる問題がある。
【0042】
図3は、過渡運転時のコモンレール圧力のオーバーシュートを説明するタイミング図であり、図3(A)は、図2と同様な燃料ポンプの幾何学的圧送量を示す図、図3(B)はアクセル開度の変化、図3(C)はアクセル開度変化に伴う燃料噴射量の変化を、図3(D)は、実際のコモンレール圧力の変化とコモンレール目標圧力の変化を、それぞれ示している。
【0043】
例えば、急減速などにより、a点で圧送量を決定した後のa1点で急激にアクセル開度が減少した場合(図3(B))を考える。この場合には、アクセル開度の低下に伴って燃料噴射量(図3(C))とコモンレール目標圧力(図3(D))も急激に低下する。
ところが、この時点では、#1シリンダと#2のシリンダの圧送量は、アクセル開度が低下する前の、すなわち減少する前の燃料噴射量とコモンレール目標圧力とに基いて既に設定されてしまっている。このため、実際にはFJ2からFJ4の燃料噴射では燃料噴射量が大幅に減少しているにもかかわらず、減少前の燃料噴射FJ1の燃料噴射量に基いた量の燃料が#1と#2のシリンダからコモンレールに供給されることになる。このため、過剰な量の燃料がコモンレールに流入し、コモンレール圧力は目標圧力を越えて大幅に上昇することになる(図3(D))。このように、過渡運転時にコモンレール圧力が目標圧力を越えて大幅に増大しても、(1)式により圧送量を算出していれば、短時間でコモンレール圧力は目標圧力に復帰する。しかし、図3(D)のような一時的なコモンレール圧力の大幅な上昇、すなわちオーバーシュートが発生すると問題が生じる。
【0044】
前述したように、コモンレール3には燃料系の各機器の保護のためにプレッシャリミッタ33が設けられている。このため、オーバーシュートによる一時的な圧力上昇がプレッシャリミッタの設定圧力に到達するとプレッシャリミッタ33が開弁する場合が生じてしまうのである。プレッシャリミッタ33が開弁すると、コモンレール3内の燃料はプレッシャリミッタを通って燃料タンク7に放出されるため、コモンレール3の燃料圧力は急激に低下する。このため、圧力の急低下による騒音や、燃料噴射率の低下による機関性能の低下などが生じる問題がある。
【0045】
通常、オーバーシュートによりプレッシャリミッタが開弁することを防止するために、前述したようにプレッシャリミッタの設定圧力を通常のコモンレール圧力変動範囲より高く設定する必要がある。このため、従来コモンレールをはじめとする各燃料系の機器の設計圧力はオーバーシュートのピーク圧力に合わせて高く設定されており、各機器の本来必要のない製造コストの増大を招いていた。
【0046】
本実施形態では、以下に説明する方法により過渡運転時のコモンレール圧力のオーバーシュートを防止することにより、プレッシャリミッタの設定圧力を低くすることを可能としている。
本実施形態では、各シリンダの圧送量算出時点(#2シリンダでいえば、図2、図3のa点)で各シリンダの圧送量を算出するとともに、算出時点における実際の燃料圧力Pcaとプレッシャリミッタ33の開弁圧力の下限値(プレッシャリミッタの設定圧力の公差によるばらつきの範囲の下限値、すなわちプレッシャリミッタを確実に非作動状態に維持できるコモンレール上限圧力)とに基いて圧送量制限値QPmaxを算出する。ここで、圧送量制限値QPmaxは、圧送完了時(図2、図3、b点)のコモンレール圧力がプレッシャリミッタが開弁しないコモンレール上限圧力になるのに必要な圧送量である。すなわち、(1)式で算出された圧送量QP2またはQP1が制限値QPmax以下であれば、圧送完了時にプレッシャリミッタが作動することが確実に防止される。
【0047】
本実施形態では、圧送量制限値QPmaxは、以下の(2)式により算出される。
QPmax=ΣQIi+ΣQIDi+QIS−QP1+(V/K)×(Pmax−Pca)-QM ……(2)
なお、上記(2)式は#2シリンダの場合を示しているが、#1シリンダの場合には(2)式のQP1をQP2に置き換えることで同様に算出可能である。
【0048】
ここで、上記(2)式の(ΣQIi+ΣQIDi+QIS−QP1)項は、前述の(1)式の場合と同様に、圧送完了までの期間にコモンレールから流出する燃料量を表している。また、(2)式のVはコモンレール3とそれに付随する高圧燃料系(逆止弁15からコモンレール3までの高圧燃料配管17等)の容積、Kは燃料油の体積弾性係数、Pmaxはプレッシャリミッタ33の開弁圧力の下限値(すなわちコモンレールの上限圧力)、Pcaは現在の(制限値QPmax算出時点の)圧力センサ31で検出したコモンレール燃料圧力である。また、QMは各値の誤差(例えば燃料噴射量の噴射量誤差、吸入調量弁5aの閉弁時期の誤差等)の総計を表す。
【0049】
すなわち、上記(2)式は、圧送完了までにコモンレールから流出する燃料量に、更に現在のコモンレール圧力Pcaを圧力上限値Pmaxまで上昇させるのに要する燃料量となる。すなわち、実際の燃料ポンプの圧送量が(2)式で算出したQPmax以下の場合には、圧送完了時にもコモンレール圧力は上限値Pmaxまでは上昇せず、プレッシャリミッタ33が開弁することはない。
【0050】
ところで、圧送量算出式(1)で説明したように、上記制限値QPmax算出時点(図2、図3、a点)では、(2)式において、QI1、QID1、QIS、QP1、V、K、Pmax、Pca、QMの各値は既知となっているが、FJ2からFJ4の燃料噴射における燃料噴射量QI2からQI4、及び動的リーク量QID2からQID4は未確定である。本実施形態では、プレッシャリミッタ33の開弁をより確実に防止できるように、(2)式のQPmax算出の際には、QI2=QI3=QI4=0、QID2=QID3=QID4=0と置いている。また、同様に体積弾性係数Kの値も、燃料油の温度、圧力とともに変動するため機関運転中のコモンレール燃料温度と圧力の変化範囲内で最大になる体積弾性係数Kの値を使用する。また、誤差の総計QMも各値の誤差の最大値を集計したものを使用している。
【0051】
本実施形態では、次回の圧送量を決定する際に(1)式で算出された圧送量と(2)式で算出された圧送量制限値QPmaxとを比較して、制限値が算出された圧送量より小さい場合には、(1)式で算出された圧送量を燃料ポンプ5の実際の圧送量に設定し、逆に制限値QPmaxが(1)式で算出された圧送量より小さい場合には(2)式で算出された圧送量制限値QPmaxを燃料ポンプ5の実際の圧送量に設定する。図3(D)の点線は、上記のように(1)式で算出された圧送量を(2)で算出された圧送量制限値QPmaxにより制限した場合の過渡運転時のコモンレール圧力の変化を示している。図3(D)に示すように、本実施形態では運転状態が急激に変化した場合にもコモンレール圧力のオーバーシュートが抑制されるため、プレッシャリミッタの作動を確実に防止することが可能となっている。
【0052】
図4は、本実施形態の燃料ポンプの圧送量制御操作を説明するフローチャートである。本操作は一定クランク角毎(例えば、燃料ポンプの各シリンダの吸入行程開始直前)に実行される。
図4の操作がスタートすると、ステップ401では、クランク角センサ37のパルス信号から別途図示しない操作により算出された現在の機関回転数NEと圧力センサ31で検出した現在のコモンレール燃料圧力Pcaとが読み込まれ、次いでステップ403では現在確定している次回の燃料噴射量QIiが読み込まれる。燃料噴射量QIi(例えば#2シリンダの圧送量算出の場合は、図2の燃料噴射FJ1の燃料噴射量、#1シリンダの圧送量算出の場合は、図2の燃料噴射FJ3の燃料噴射量)は、圧送量算出タイミングより早い時期に機関回転数とアクセル開度とに基いて、ECU20のROMに格納した数値テーブルから算出されている。
【0053】
また、ステップ405では、コモンレール燃料圧力Pcaと、ステップ403で算出した次回の燃料噴射量QIiとを用いて次回の燃料噴射における動的リーク量QIDiが算出される。前述したように、本実施形態ではQIiの値は、ECU20のROMに燃料噴射量と燃料圧力とを用いた数値テーブルの形で予め格納されている。
【0054】
次いで、ステップ407では、圧送行程開始(図2、a点)から完了(図2、b点)までの間の静的リーク量QISが算出される。前述したように、本実施形態では、静的リーク量QISの値は、燃料圧力、温度、機関回転数を用いた数値テーブルの形でECU20のROMに格納されている。
また、ステップ409では、前回の操作実行時に算出したもう一方のシリンダの圧送量QPi-1(すなわち、#2シリンダ圧送量算出時には前回の#1シリンダの圧送量、#1シリンダ圧送量算出時には前回の#2シリンダの圧送量)が読み込まれる。
【0055】
そして、ステップ411では、上記により読み込んだQIi、QIDi、QIS、QP1とPcaの値を用いて、前述の(1)式から次回の圧送量QPが算出される。なお、前述したように、本実施形態では(1)式の計算において、燃料噴射量の総和ΣQIiと動的リークの総和ΣQIDiはそれぞれ、ΣQIi=4×QIi、ΣQIDi=4×QIDiとして算出される。
【0056】
次いで、ステップ413では、同様にQIi、QIDi、QIS、QP1とPcaの値を用いて、(2)式からオーバーシュート時のピーク圧力をプレッシャリミッタの設定圧力以下に維持することが可能な最大圧送量である圧送量制限値QPmaxが算出される。前述したように、QPmax算出の際には、圧送量QP算出の場合とは異なり、燃料噴射量の総和ΣQIiと動的リークの総和ΣQIDiはそれぞれ、ΣQIi=QIi、ΣQIDi=QIDiとして算出される。
【0057】
ステップ411とステップ413とで圧送量QPと圧送量制限値QPmaxを算出後、ステップ415ではステップ413で算出した制限値QPmaxがステップ411で算出した圧送量QP以下になっているか否かが判定される。
ステップ415でQPmax≦QPであった場合には、ステップ411で算出した圧送量をそのまま実際に圧送すると、オーバーシュートが生じ圧送完了時にコモンレール燃料圧力がプレッシャリミッタの設定値Pmaxを越えてしまい、プレッシャリミッタが作動する可能性があるため、ステップ417で圧送量QPの値をQPmaxに置き換える。そして、ステップ419ではこの圧送量QPに応じて燃料ポンプ5の調量弁5aをセットする。これにより、燃料ポンプ5の吸入行程では、QPの量の燃料がシリンダに吸入され、圧送量はQPに一致するようになる。
【0058】
一方、ステップ415でQPmax>QPであった場合には、ステップ411で算出した圧送量をそのまま実際に圧送しても圧送完了時にコモンレール燃料圧力がプレッシャリミッタ設定圧力まで上昇することはないので、ステップ419ではステップ411で算出したQPの値をそのまま用いて調量弁5aがセットされる。
【0059】
これにより、本実施形態では過渡運転時にもコモンレール圧力のオーバーシュートのピーク圧力は常にプレッシャリミッタの作動圧力より低く維持されるようになるため、プレッシャリミッタの設定圧力を低く設定することが可能となる。
【0060】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、燃料圧送量に制限値を設け、過渡運転時における燃料圧力のオーバーシュートのピーク圧力を低下させることにより、装置コストの増大を伴うことなく簡易に、プレッシャリミッタの作動を効果的に防止可能となるため、高圧燃料系の機器の製作コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】燃料ポンプの送油率を示すタイミング図である。
【図3】過渡運転時のコモンレール圧力のオーバーシュートを説明するタイミング図である。
【図4】図1の実施形態の燃料ポンプ圧送量の制御操作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁
3…コモンレール
5…燃料ポンプ
20…電子制御ユニット(ECU)
31…コモンレール圧力センサ
33…プレッシャリミッタ

Claims (3)

  1. 内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室と、
    前記蓄圧室に所定のタイミングで燃料を圧送する燃料ポンプと、
    前記蓄圧室内の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、
    該圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて、蓄圧室内の燃料圧力が目標燃料圧力になるように前記燃料ポンプの燃料圧送量をフィードバック制御する圧送量制御手段と、
    前記蓄圧室内の燃料圧力が予め定めた上限圧力以上になった時に作動して、蓄圧室内の燃料圧力を前記上限圧力以下に維持する圧力制限手段と、を備えた圧力制御装置において、
    前記圧送量制御手段は更に、
    前記圧力検出手段で検出した燃料圧力と前記上限圧力とに基いて、前記圧力制限手段を非作動状態に維持することが可能な最大燃料圧送量である圧送量制限値を算出する制限値算出手段を備え、前記燃料ポンプの実際の燃料圧送量が前記圧送量制限値以下になるように制限する、高圧燃料供給系の圧力制御装置。
  2. 前記燃料ポンプは、燃料圧送を開始する前に圧送量が決定される吐出量調節装置を備え、前記圧送量制御手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前に前記圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて燃料圧送量をフィードバック制御し、前記制限値算出手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と前記上限圧力とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請求項1に記載の圧力制御装置。
  3. 前記制限値算出手段は、燃料ポンプからの燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と、前記上限圧力と、燃料ポンプからの燃料圧送終了までに前記蓄圧室から流出する燃料量の予測値と、燃料ポンプの前回の燃料圧送時の燃料圧送量とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請求項2に記載の圧力制御装置。
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