JP2002130026A - 高圧燃料供給系の圧力制御装置 - Google Patents

高圧燃料供給系の圧力制御装置

Info

Publication number
JP2002130026A
JP2002130026A JP2000329314A JP2000329314A JP2002130026A JP 2002130026 A JP2002130026 A JP 2002130026A JP 2000329314 A JP2000329314 A JP 2000329314A JP 2000329314 A JP2000329314 A JP 2000329314A JP 2002130026 A JP2002130026 A JP 2002130026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
pressure
amount
pumping
common rail
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000329314A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3798614B2 (ja
Inventor
Genichi Murakami
元一 村上
Tatsumasa Sugiyama
辰優 杉山
Hidetsugu Takemoto
英嗣 竹本
Katsuhiko Takeuchi
克彦 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Denso Corp
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Toyota Motor Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2000329314A priority Critical patent/JP3798614B2/ja
Publication of JP2002130026A publication Critical patent/JP2002130026A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3798614B2 publication Critical patent/JP3798614B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 過渡運転時の燃料圧力のオーバーシュートピ
ーク圧力を抑制する。 【解決手段】 高圧燃料噴射ポンプ5からコモンレール
3に高圧燃料を供給し、コモンレールから各燃料噴射弁
1に燃料を供給する。制御回路(ECU)20は、機関
運転状態に基いて各燃料噴射弁の燃料噴射量を算出する
とともに、圧力センサ31で検出したコモンレール燃料
圧力が目標値に一致するように燃料ポンプの吐出量を制
御する。コモンレールには、所定の設定圧力で作動しコ
モンレール内の燃料を放出することによりコモンレール
圧力を低下させるプレッシャリミッタ33が設けられて
いる。ECUは、現在の燃料圧力と機関運転状態とに応
じて、圧送完了時にコモンレール圧力をプレッシャリミ
ッタの作動圧力以下に維持可能な最大圧送量である圧送
量制限値を算出し、実際の圧送量が算出した圧送量制限
値以下になるように圧送量を制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧燃料供給系の
圧力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧燃料ポンプから共通の蓄圧室(コモ
ンレール)に燃料を供給し、この蓄圧室に各気筒毎の燃
料噴射弁を接続して蓄圧室内の高圧燃料を各気筒に噴射
する、いわゆるコモンレール式の燃料噴射装置が知られ
ている。コモンレール式燃料噴射装置では、燃料噴射弁
からの燃料噴射率がコモンレール内圧力に応じて変わる
ため、機関運転状態に応じて最適な燃料噴射率が得られ
るようにコモンレール圧力を精度良く制御する必要があ
る。
【0003】コモンレール圧力制御は、一般にコモンレ
ールに燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプの吐出量(圧
送量)を制御することにより行われている。また、高圧
燃料供給ポンプとしては一般にプランジャ式ポンプが使
用される。コモンレール式燃料噴射装置では、コモンレ
ール内に貯留した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁から噴
射するため、燃料噴射毎にコモンレール内の圧力が低下
する。このため、燃料ポンプの制御装置は燃料噴射時期
により定まるタイミングで燃料ポンプからコモンレール
に必要量の燃料を圧送してコモンレール内圧力を目標値
に維持する必要がある。
【0004】また、実際の運転においては機関運転状態
が急激に変化する過渡運転時には、運転状態の変化に応
じてコモンレール目標圧力も急激かつ広範囲に変化する
ため燃料ポンプの制御装置は燃料ポンプの圧送量を、コ
モンレール圧力が目標圧力に追従してオーバーシュート
やアンダーシュートを生じないように、すなわちコモン
レール圧力の制御性が良好になるように制御する必要が
ある。
【0005】コモンレール圧力の目標圧力への追従性を
向上させた燃料ポンプ圧送量の制御装置の例としては、
例えば特開平5−106495号公報に記載されたもの
がある。同公報の装置は、実際のコモンレール圧力とコ
モンレール目標圧力との偏差に制御ゲインを乗じた値に
基いて燃料ポンプの圧送量を制御する際に、過渡運転時
における瞬時コモンレール圧力の変化量からコモンレー
ル圧力のオーバーシュートが生じることを予測し、オー
バーシュートが生じる場合には上記制御ゲインを低下さ
せてオーバーシュートを未然に防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
5−106495号公報の燃料ポンプ制御装置では、過
渡運転時におけるコモンレール圧力のオーバーシュート
は小さくなるものの、オーバーシュートを全くなくすこ
とはできず、しかもオーバーシュートが生じた場合のコ
モンレール燃料圧力のピーク値については何ら考慮され
ていないため、問題が生じる場合がある。
【0007】通常、コモンレールには燃料圧力の過大な
上昇により燃料系の機器の破損などが生じることを防止
するために、燃料圧力を各燃料系機器の設計圧力以下に
制限するプレッシャリミッタ(圧力制限手段)が設けら
れている。たとえば、プレッシャリミッタとしては、コ
モンレール内の燃料圧力が設定値以上になったときに開
弁し、コモンレール内の燃料を低圧部(燃料タンク)に
放出することによりコモンレール内圧力を低下させる圧
力制御弁または安全弁が使用される。
【0008】このようなプレッシャリミッタをコモンレ
ールに備えている場合には、コモンレール圧力の目標値
が高くなっていると、オーバーシュート自体の幅が小さ
い場合でもオーバーシュートが生じるとコモンレール圧
力がプレッシャリミッタの設定圧力を越えてしまい、プ
レッシャリミッタが作動してしまう場合がある。一旦プ
レッシャリミッタが作動すると、コモンレール圧力は急
激に低下するため、大きな騒音が発生する場合がある。
また、コモンレール圧力が目標値より大幅に低くなるた
め運転条件に応じた燃料噴射率が得られなくなり、機関
性能が低下するとともに、再度コモンレール圧力が目標
圧力に制御されるまでに多少の時間を要する問題が生じ
てしまう。
【0009】上記特開平5−106495号公報の装置
では、過渡運転時にコモンレール圧力制御の制御ゲイン
を低下させることによりオーバーシュート幅は低減され
るものの、オーバーシュート時のピーク圧力については
全く考慮されていないため、プレッシャリミッタを備え
たコモンレール式燃料噴射装置に同公報の制御装置を使
用すると、プレッシャリミッタが作動してコモンレール
圧力の急激な低下を生じる問題がある。
【0010】特に、燃料圧送行程が開始される前に燃料
ポンプからの次回の燃料圧送量が設定される吐出量調節
装置を有する燃料ポンプを使用したような場合には、燃
料圧送量を決定する時点と実際に燃料がコモンレールに
供給される時点との間に比較的大きな遅れが生じるた
め、過渡運転時には上記特開平5−106495号公報
のような燃料圧力制御を行なった場合でもオーバーシュ
ートが生じやすくなり、プレッシャリミッタが作動する
確率が大きくなる。
【0011】このような場合にも、たとえばプレッシャ
リミッタの設定圧力を十分に高く設定して、コモンレー
ル圧力が高い状態の過渡運転時に多少のオーバーシュー
トが発生してもプレッシャリミッタが作動しないように
すれば良い。しかし、プレッシャリミッタの設定圧力を
高く設定するためには、コモンレールや燃料系の各要素
の設計圧力をプレッシャリミッタの設定圧力に応じて高
くする必要があり、装置全体の製作コストが増大する問
題が生じる。
【0012】本発明は上記問題に鑑み、過渡運転時にお
ける燃料圧力のオーバーシュートのピーク圧力を小さく
設定することにより、装置コストの増大を伴うことなく
簡易に、プレッシャリミッタの作動を防止することが可
能な高圧燃料噴射系の圧力制御装置を提供することを目
的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴射する
燃料噴射弁と、該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を
貯留する蓄圧室と、前記蓄圧室に所定のタイミングで燃
料を圧送する燃料ポンプと、前記蓄圧室内の燃料圧力を
検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出した燃
料圧力に基いて、蓄圧室内の燃料圧力が目標燃料圧力に
なるように前記燃料ポンプの燃料圧送量をフィードバッ
ク制御する圧送量制御手段と、前記蓄圧室内の燃料圧力
が予め定めた上限圧力以上になった時に作動して、蓄圧
室内の燃料圧力を前記上限圧力以下に維持する圧力制限
手段と、を備えた圧力制御装置において、前記圧送量制
御手段は更に、前記圧力検出手段で検出した燃料圧力と
前記上限圧力とに基いて、前記圧力制限手段を非作動状
態に維持することが可能な最大燃料圧送量である圧送量
制限値を算出する制限値算出手段を備え、前記燃料ポン
プの実際の燃料圧送量が前記圧送量制限値以下になるよ
うに制限する、高圧燃料供給系の圧力制御装置が提供さ
れる。
【0014】すなわち、請求項1の発明では、圧送量制
御手段は圧力検出手段で検出した燃料圧力と圧力制限手
段の作動する上限圧力とに基いて、燃料圧送後の圧力上
昇によっても圧力制限手段が作動しない範囲で蓄圧室に
供給可能な最大燃料圧送量である圧送量制限値を算出す
る制限値算出手段を備えており、例えば、蓄圧室圧力に
基くフィードバック制御により制御される燃料ポンプ圧
送量が、出した圧送量制限値を越える場合には、実際の
圧送量を上記圧送量制限値に設定することにより、燃料
ポンプの実際の圧送量を上記圧送量制限値以下に制限す
る。このため、燃料ポンプからの実際の燃料圧送量は過
渡運転時にも、常に蓄圧室燃料圧力が圧力制限手段が作
動する圧力より低くなるように制御されるため、オーバ
ーシュートによる圧力制限手段の作動が効果的に防止さ
れる。
【0015】請求項2に記載の発明によれば、前記燃料
ポンプは、燃料圧送を開始する前に圧送量が決定される
吐出量調節装置を備え、前記圧送量制御手段は燃料ポン
プからの燃料圧送開始前に前記圧力検出手段で検出した
燃料圧力に基いて燃料圧送量をフィードバック制御し、
前記制限値算出手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前
に検出された前記燃料圧力と前記上限圧力とに基いて前
記圧送量制限値を算出する、請求項1に記載の圧力制御
装置が提供される。
【0016】すなわち、請求項2の発明では、請求項1
の燃料ポンプは燃料圧送量の設定時点と実際の燃料圧送
開始時点との間に比較的大きな遅れが生じる吐出量調節
装置を備えている。本発明では、このような場合にも、
例えば燃料圧送量の設定時点における蓄圧室の燃料圧力
と上限圧力とに基いて圧送量制限値を算出することによ
り、蓄圧室燃料圧力を圧力制限手段が作動する圧力より
常に低く維持することが可能となり、オーバーシュート
による圧力制限手段の作動が効果的に防止される。
【0017】請求項3に記載の発明によれば、前記制限
値算出手段は、燃料ポンプからの燃料圧送開始前に検出
された前記燃料圧力と、前記上限圧力と、燃料ポンプか
らの燃料圧送終了までに前記蓄圧室から流出する燃料量
の予測値と、燃料ポンプの前回の燃料圧送時の燃料圧送
量とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請求項2に
記載の圧力制御装置が提供される。
【0018】すなわち、請求項3の発明では、請求項2
の発明において、制限値算出手段は、さらに、燃料圧送
が終了するまでに蓄圧室から流出する燃料量の予測値
と、前回燃料圧送時の燃料圧送量とに基いて圧送量制限
値を算出する。たとえば、吸入調量式の吐出量調節装置
を備えた燃料ポンプでは、次回の燃料圧送量を設定する
時点では、未だ前回の燃料圧送が行われていない。この
ため、今回設定する量の燃料の圧送が終了する時点で
は、今回の燃料圧送量に加えて、前回の燃料圧送量とし
て設定した量の燃料が蓄圧室に流入していることにな
る。また、今回の燃料圧送が終了するまでには、燃料噴
射弁からの燃料噴射やリーク等により蓄圧室から流出す
る燃料量が存在する。本発明では、これらの燃料量を考
慮して、今回の燃料圧送終了時に蓄圧室内の燃料圧力が
上限圧力以下になるように燃料圧送量制限値を算出する
ようにしたため、確実にオーバーシュートによる圧力制
限手段の作動を防止することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は、本発明を自動車用
ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を
示す図である。図1において、1は内燃機関10(本実
施形態では4気筒ディーゼル機関)の各気筒内に燃料を
直接噴射する燃料噴射弁、3は各燃料噴射弁1が接続さ
れる共通の蓄圧室(コモンレール)を示す。コモンレー
ル3は、後述する高圧燃料供給ポンプ5(以下「燃料ポ
ンプ」という)から供給される加圧燃料を貯留し、各燃
料噴射弁1に分配する機能を有する。
【0020】また、図1において7は機関10の燃料
(本実施形態では軽油)を貯留する燃料タンク、9は燃
料ポンプに低圧配管13を介して燃料を供給する低圧フ
ィードポンプを示している。また、燃料ポンプ5から吐
出された燃料は、高圧配管17を通ってコモンレール3
に供給され、コモンレール3から各燃料噴射弁1を介し
て内燃機関の各気筒内に噴射される。
【0021】図1に33で示すのは、コモンレール3に
設けられたプレッシャリミッタである。プレッシャリミ
ッタ33は例えば、コモンレール3内の燃料圧力が予め
定めた設定値以上に上昇した場合に開弁する安全弁が使
用され、コモンレール3内の燃料圧力が設定値以上に上
昇した場合にコモンレール内の燃料油をリターン配管1
9を介して低圧部(燃料タンク7)に放出することによ
りコモンレール3の過大な圧力上昇と、それによる高圧
燃料系の各機器の損傷を防止するものである。リターン
配管19には、各燃料噴射弁1からのリターン燃料を燃
料タンク7に戻すリーク配管19aが接続されている。
燃料噴射弁からのリターン燃料(動的リーク燃料及び静
的リーク燃料)については後述する。
【0022】図1に20で示すのは、機関の制御を行う
電子制御ユニット(ECU)である。ECU20は、リ
ードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ
(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポ
ートを双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコン
ピュータとして構成されている。ECU20は、後述す
るように燃料ポンプ5の吸入調量弁5aの開閉動作を制
御してポンプ5からコモンレール3に圧送される燃料量
を調整し、コモンレール3内の燃料圧力を機関負荷、回
転数等に応じて制御する燃料圧力制御を行う。また、E
CU20は、燃料噴射弁1の開弁時間を制御して気筒内
に噴射される燃料量を制御する燃料噴射制御を行う。
【0023】上記制御のため、ECU20の入力ポート
には、コモンレール3に設けた燃料圧力センサ31から
コモンレール3内の燃料圧力に対応する電圧信号がAD
変換器34を介して入力されている他、機関アクセルペ
ダル(図示せず)に設けたアクセル開度センサ35から
アクセルペダルの操作量(踏み込み量)に対応する信号
が同様にAD変換器34を介して入力されている。
【0024】更に、ECU20の入力ポートには、機関
のクランク軸近傍(図示せず)に設けたクランク角セン
サ37から、クランク軸が基準回転位置(例えば第1気
筒の上死点)になったときに発生する基準パルス信号
と、クランク軸一定回転角毎に発生する回転パルス信号
との2つの信号が入力されている。ECU20は、上記
の回転パルス信号の間隔からクランク軸回転速度を算出
するとともに、基準パルス信号入力後に入力する回転パ
ルス信号を計数することによりクランク軸の回転角(位
相)CAを検出する。
【0025】また、ECU20の出力ポートは、駆動回
路40を介して燃料噴射弁1に接続され、各燃料噴射弁
1の作動を制御している他、駆動回路40を介して燃料
ポンプ5の吸入調量弁5aの開閉を制御するソレノイド
アクチュエータに接続され、ポンプ5の圧送量を制御し
ている。本実施形態では、燃料ポンプ5は2つのシリン
ダを有するプランジャポンプの形式とされている。ポン
プ5の各シリンダ内のプランジャは、ポンプ内のプラン
ジャ駆動軸に形成されたカムに押圧されてシリンダ内を
往復運動する。また、各シリンダの吸入ポートには、ソ
レノイドアクチュエータにより開閉駆動される吸入調量
弁が設けられている。本実施形態ではプランジャ駆動軸
は機関10のクランク軸(図示せず)により駆動され、
クランク軸と同期してクランク軸の2分の1の速度で回
転する。また、ポンプ5のプランジャ駆動軸には、それ
ぞれのプランジャと係合する部分にリフト部を1つ持つ
カムが形成されており、ポンプ5のプランジャは機関1
0の各気筒のストロークに同期して燃料を吐出するよう
になっている。本実施形態では、ポンプ10の2つのシ
リンダはクランク軸が720度回転する間にそれぞれ1
回、機関回転に同期してコモンレール3に燃料を圧送す
る。すなわち、本実施形態では機関10のクランク軸が
720度回転する間に燃料ポンプ5から2回の燃料圧送
が行われ、1回の燃料圧送で2気筒分(2回の)燃料噴
射が行われることになる。
【0026】また、本実施形態では、いわゆる吸入調量
式の燃料ポンプ吐出量制御が行われれており、ECU2
0はポンプの各シリンダのプランジャの下降(吸入)行
程における吸入調量弁5aの閉弁時期を変化させること
により燃料ポンプ5の圧送行程における燃料油吐出流量
を制御する。すなわち、本実施形態ではECU20は各
シリンダがカムリフト頂部を通過して吸入行程が開始さ
れると、吸入行程開始後所定の期間吸入調量弁5aのソ
レノイドアクチュエータに通電を行い、吸入調量弁5a
を開弁保持する。これにより、プランジャの下降ととも
に燃料がシリンダに流入する。また、ECU20は上記
所定期間が経過するとソレノイドアクチュエータの通電
を停止して吸入調量弁5aを閉弁する。これにより、そ
の後の吸入行程中はシリンダには燃料が供給されなくな
り、プランジャは下降を停止したまま保持され、カムと
プランジャとは離間する。そして、再度圧送行程が開始
されてカムのリフト部が上記により下降停止位置に保持
されたプランジャに接触する位置まで回転するとプラン
ジャがカムに押動されるようになり、実際に燃料ポンプ
5から燃料が吐出され、逆止弁15を通ってコモンレー
ル3に供給される。この場合、各シリンダからは吸入行
程でポンプ室に吸入された量だけの燃料しかコモンレー
ル3には圧送されないため、吸気弁5aの開弁時間を制
御することによりコモンレール3に供給する燃料量を制
御する事が可能となる。
【0027】本実施形態では、ECU20は機関負荷、
回転数に応じて予めROMに格納した関係に基づいて目
標コモンレール燃料圧力を設定するとともに、後述する
ように燃料圧力センサ31で検出したコモンレール燃料
圧力が設定した目標コモンレール燃料圧力になるように
ポンプ5の吐出量をフィードバック制御する。また、E
CU20は機関負荷、回転数に応じて予めROMに格納
した関係に基づいて燃料噴射弁1の開弁時間(燃料噴射
時間)を制御する。
【0028】本実施形態ではコモンレール3の燃料圧力
を機関運転条件に応じて変化させることにより、燃料噴
射弁1の噴射率を運転条件に応じて調節し、燃料圧力と
燃料噴射時間とを変化させることにより燃料噴射量を運
転条件に応じて調節している。このため、本実施形態の
ようなコモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール
内の燃料圧力は機関の運転条件(負荷、回転数)に応じ
て極めて広い範囲で(例えば、10MPaから150M
Pa程度までの範囲で)変化することになる。
【0029】次に、本実施形態における燃料圧送量の算
出について説明する。前述したように、本実施形態では
燃料ポンプ5からコモンレール3への燃料圧送量は、コ
モンレール燃料圧力がECU20により設定されたコモ
ンレールの目標圧力になるように圧力センサ31で検出
した燃料圧力に基いてフィードバック制御されている。
【0030】図2は、燃料ポンプ5の幾何学的送油率
(プランジャの単位クランク角当たり移動量とシリンダ
断面積との積)を示すタイミング図であり、図2の横軸
はクランク角CAで表してある。図2は燃料ポンプ5の
1行程サイクル(機関10のクランク回転角で720
度)における変化を示しており、この期間では燃料ポン
プ5の2つのシリンダ(#1及び#2シリンダ)では各
1回の燃料圧送行程が行われる。図2の斜線を付した領
域は各シリンダから実際にコモンレールに圧送される燃
料量を表わしている。また図2において、横軸の上側部
分は各シリンダの圧送行程、下側は吸入行程をあらわし
ている。本実施形態では4気筒機関が使用されているた
め、合計4回の燃料噴射が行われる。このため、燃料ポ
ンプ5の各圧送行程では2回の燃料噴射が行われる。図
2にFJ1、FJ2、及びFJ3、FJ4で示すのは各
圧送行程における燃料噴射タイミングである。図2に示
すように、燃料噴射は各シリンダ#1、#2のそれぞれ
の圧送行程の前半(FJ1、FJ3)と後半(FJ2、
FJ4)にそれぞれ1回ずつ行われる。
【0031】本実施形態では、吸入調量式の燃料ポンプ
吐出量制御が行なわれるため、燃料ポンプの吐出量(コ
モンレール3への圧送量)は、各シリンダの吸入行程が
開始される前に決定される。つまり、図2において#2
シリンダの圧送量は図2においてa点またはそれ以前に
決定されることになる(本実施形態では、説明を簡単に
するために#2シリンダの吐出量算出時期を仮にa点で
あるとする)。つまり、#2シリンダからの燃料圧送量
は、a点におけるコモンレール3の目標圧力とセンサ3
1で検出した実際の圧力とに基いて決定されることにな
る。
【0032】ところが、本実施形態では、a点で決定さ
れた量の燃料のコモンレールへの供給が実際に完了する
のは、#2の圧送行程が完了する時点、すなわち図2の
b点になる。すなわち、圧送量の決定時点(a点)から決
定した量の燃料のコモンレール3への供給が完了するま
でにクランク角にして720度の時間遅れが存在する。
しかも、この間には、#1シリンダの圧送行程があるた
め、コモンレールには#1シリンダから燃料が流入し、
一方4回の燃料噴射(FJ1からFJ4)によりコモン
レールから燃料が流出する。また、燃料噴射以外にも燃
料噴射弁の動作に伴うリークや定常的に存在するリーク
によってコモンレールから流出する燃料が存在する。
【0033】従って、a点では、これらの流入燃料と流
出燃料との両方を考慮に入れた上で圧送行程終了時(b
点)にコモンレールの実際の燃料圧力が目標燃料圧力に
一致するように#2シリンダの圧送量を決定する必要が
ある。本実施形態では、上記を考慮して以下に示す
(1)式を用いて#2シリンダの圧送量QP2を算出す
る。 QP2=ΣQIi+ΣQIDi+QIS−QP1+KP×(Ptr−Pca)+QS ……(1) ここで、ΣQIiはa点からb点までの間に燃料噴射F
J1からFJ4により噴射される燃料量の合計であり、 ΣQIi=QI1+QI2+QI3+QI4 で表される(QI1からQI4は、それぞれFJ1から
FJ4の各燃料噴射燃料噴射量)。
【0034】また、ΣQIDiは各燃料噴射弁の燃料噴
射動作に伴う動的リーク量の和であり、ΣQIDi=Q
ID1+QID2+QID3+QID4で表される(Q
ID1からQID4は、それぞれFJ1からFJ4の各
燃料噴射における動的リーク量)。例えば、燃料噴射弁
の形式によっては燃料噴射弁の開弁動作を燃料油の圧力
を利用して行うため燃料噴射動作に伴って燃料噴射条件
から定まる一定量の燃料油が燃料タンクに返戻される形
式のものがある。より詳細には、このような形式の弁で
は、閉弁時には弁体の下部(噴孔側)と上部との両方に
燃料圧力を作用させることにより燃料圧力により弁体に
加わる力をバランスさせ、スプリングの力で弁体を弁座
に押圧している。一方、燃料噴射時には弁体上部の燃料
油を電磁弁を経由してリターン配管に逃がすことにより
弁体上部に作用する圧力を低下させる。これにより、弁
体下部に作用する燃料油圧力により弁体がスプリングに
抗して押し上げられ噴孔が開放され噴射が行われる。す
なわち、この形式の燃料噴射弁では開弁(燃料噴射)期
間中に燃料噴射条件から定まる量の燃料がコモンレール
から燃料噴射弁のリーク配管19aを経由してリターン
配管19に流出する。本実施形態では、燃料噴射以外に
各燃料噴射弁の燃料噴射動作に伴ってコモンレールから
流出する燃料量を動的リーク量と呼んでいる。
【0035】各燃料噴射弁からの動的リーク量QIDi
は、各燃料噴射弁1回の燃料噴射においてコモンレール
3からリターン配管19に流出する燃料の量で表され、
燃料噴射弁の弁体上部油圧を逃がす電磁弁の通電時間
(燃料噴射時間)と燃料噴射直前の燃料油圧力との関数
になる。本実施形態では、予め燃料圧力と燃料噴射時間
とを変えて1回の燃料噴射期間に燃料タンクに戻される
リターン燃料量を実測し、ECU20のROMに燃料圧
力と燃料噴射時間とを用いた数値マップとして記憶して
ある。
【0036】一方、上記(1)式におけるQISは、a
点からb点までの期間における静的リーク量を表してい
る。コモンレールからは、燃料噴射弁の摺動部クリアラ
ンスなどを通って常時リークしている燃料油があり、こ
れらのリーク燃料もリターン配管19を通って燃料タン
クに戻される。本実施形態では、燃料噴射弁の燃料噴射
動作と関係なく常時コモンレールから流出するリターン
燃料の量を静的リーク量と呼んでいる。
【0037】静的リーク量QISは、燃料噴射弁の各ク
リアランス部からのリーク燃料の量であり、a点からb
点までの間にコモンレール3からリークする燃料の総量
で表される。このため、QISは燃料圧力と燃料温度
(燃料粘度)、機関回転数NE(a点からb点までの経
過時間)の関数となる。本実施形態では、QISについ
ても予め燃料圧力、温度、機関回転数の組合せを変化さ
せて静的リーク量を実測し、燃料圧力、温度、機関回転
数を用いた数値マップとしてECU20のROMに格納
してある。実際の運転時には静的リーク量QISは、燃
料圧力、温度、機関回転数を用いて、このマップから算
出される。
【0038】また、(1)式において、KP×(Ptr−
Pca)はフィードバック比例項を表し、KPは比例定
数、Ptrはコモンレール3の燃料圧力の目標値、Pcaは
a点において圧力センサ31で検出した実際の燃料圧力
である。また、QSはフィードバック積分項を表し、例
えばQS=KS×Σ(Ptr−Pca)として算出される。
ここで、Σ(Ptr−Pca)は今回までの圧送量算出時毎
の目標圧力と実際のコモンレール圧力との偏差の積算値
であり、KSは定数(積分定数)である。
【0039】すなわち、(1)式において、a点で決定
される#2シリンダの圧送量は、a点からb点までの間
に実際にコモンレールから流出する燃料量(すなわち、
燃料噴射量と動的及び静的リーク量の合計から#1シリ
ンダからの圧送によりコモンレールに流入する燃料量Q
P1を差し引いた値)を補って、更に現在のコモンレー
ル燃料圧力Pcaを目標燃料圧力Ptrまで上昇させるのに
必要な量(KP×(Ptr−Pca)+QS)として算出さ
れる。なお、上記は#2シリンダの場合について説明し
たが、#1シリンダについても(1)式でQP1とQP
2とを入れ替えることにより、同様に圧送量が算出され
る。
【0040】また、(1)式の各項のうち、例えば燃料
噴射量、動的リーク量などについては、a点では未だ確
定していないものがある。例えば、a点においては、F
J1の燃料噴射における噴射量QI1は確定しており、
動的リーク量QID1も燃料噴射量に基いて算出可能で
ある。また、静的リーク量QIS、及び#1シリンダの
圧送量QP1も確定している。更に、比例項KP×(P
tr−Pca)及び積分項QSも目標圧力Ptrとa点におけ
るコモンレールの実際の圧力Pcaとに基いて算出可能で
ある。しかし、FJ2からFJ4の燃料噴射量及び動的
リーク量はa点では未だ算出されておらず未確定であ
る。そこで、本実施形態では、#2シリンダの圧送量算
出時には、a点からb点までの間に燃料噴射量が大きく
変化しないと仮定して、QI2=QI3=QI4=QI
1、及びQID2=QID3=QID4=QID1と置
いてQP2を算出している。
【0041】上記(1)式により各シリンダの圧送量を
算出することにより運転状態が急激に変化しない場合に
は、コモンレール圧力は応答性良好に目標圧力に維持さ
れる。しかし、急減速などのような過渡運転時には、図
2a点で#2シリンダの圧送量を決定してから、実際に
燃料圧送が完了(図2b点)までの間にコモンレール目
標圧力と燃料噴射量とが急激に変化すると、コモンレー
ル圧力のオーバーシュートが生じる問題がある。
【0042】図3は、過渡運転時のコモンレール圧力の
オーバーシュートを説明するタイミング図であり、図3
(A)は、図2と同様な燃料ポンプの幾何学的圧送量を
示す図、図3(B)はアクセル開度の変化、図3(C)
はアクセル開度変化に伴う燃料噴射量の変化を、図3
(D)は、実際のコモンレール圧力の変化とコモンレー
ル目標圧力の変化を、それぞれ示している。
【0043】例えば、急減速などにより、a点で圧送量
を決定した後のa1点で急激にアクセル開度が減少した
場合(図3(B))を考える。この場合には、アクセル
開度の低下に伴って燃料噴射量(図3(C))とコモン
レール目標圧力(図3(D))も急激に低下する。とこ
ろが、この時点では、#1シリンダと#2のシリンダの
圧送量は、アクセル開度が低下する前の、すなわち減少
する前の燃料噴射量とコモンレール目標圧力とに基いて
既に設定されてしまっている。このため、実際にはFJ
2からFJ4の燃料噴射では燃料噴射量が大幅に減少し
ているにもかかわらず、減少前の燃料噴射FJ1の燃料
噴射量に基いた量の燃料が#1と#2のシリンダからコ
モンレールに供給されることになる。このため、過剰な
量の燃料がコモンレールに流入し、コモンレール圧力は
目標圧力を越えて大幅に上昇することになる(図3
(D))。このように、過渡運転時にコモンレール圧力
が目標圧力を越えて大幅に増大しても、(1)式により
圧送量を算出していれば、短時間でコモンレール圧力は
目標圧力に復帰する。しかし、図3(D)のような一時
的なコモンレール圧力の大幅な上昇、すなわちオーバー
シュートが発生すると問題が生じる。
【0044】前述したように、コモンレール3には燃料
系の各機器の保護のためにプレッシャリミッタ33が設
けられている。このため、オーバーシュートによる一時
的な圧力上昇がプレッシャリミッタの設定圧力に到達す
るとプレッシャリミッタ33が開弁する場合が生じてし
まうのである。プレッシャリミッタ33が開弁すると、
コモンレール3内の燃料はプレッシャリミッタを通って
燃料タンク7に放出されるため、コモンレール3の燃料
圧力は急激に低下する。このため、圧力の急低下による
騒音や、燃料噴射率の低下による機関性能の低下などが
生じる問題がある。
【0045】通常、オーバーシュートによりプレッシャ
リミッタが開弁することを防止するために、前述したよ
うにプレッシャリミッタの設定圧力を通常のコモンレー
ル圧力変動範囲より高く設定する必要がある。このた
め、従来コモンレールをはじめとする各燃料系の機器の
設計圧力はオーバーシュートのピーク圧力に合わせて高
く設定されており、各機器の本来必要のない製造コスト
の増大を招いていた。
【0046】本実施形態では、以下に説明する方法によ
り過渡運転時のコモンレール圧力のオーバーシュートを
防止することにより、プレッシャリミッタの設定圧力を
低くすることを可能としている。本実施形態では、各シ
リンダの圧送量算出時点(#2シリンダでいえば、図
2、図3のa点)で各シリンダの圧送量を算出するとと
もに、算出時点における実際の燃料圧力Pcaとプレッシ
ャリミッタ33の開弁圧力の下限値(プレッシャリミッ
タの設定圧力の公差によるばらつきの範囲の下限値、す
なわちプレッシャリミッタを確実に非作動状態に維持で
きるコモンレール上限圧力)とに基いて圧送量制限値Q
Pmaxを算出する。ここで、圧送量制限値QPmaxは、圧
送完了時(図2、図3、b点)のコモンレール圧力がプ
レッシャリミッタが開弁しないコモンレール上限圧力に
なるのに必要な圧送量である。すなわち、(1)式で算
出された圧送量QP2またはQP1が制限値QPmax以
下であれば、圧送完了時にプレッシャリミッタが作動す
ることが確実に防止される。
【0047】本実施形態では、圧送量制限値QPmax
は、以下の(2)式により算出される。 QPmax=ΣQIi+ΣQIDi+QIS−QP1 +(V/K)×(Pmax−Pca)-QM ……(2) なお、上記(2)式は#2シリンダの場合を示している
が、#1シリンダの場合には(2)式のQP1をQP2
に置き換えることで同様に算出可能である。
【0048】ここで、上記(2)式の(ΣQIi+ΣQ
IDi+QIS−QP1)項は、前述の(1)式の場合
と同様に、圧送完了までの期間にコモンレールから流出
する燃料量を表している。また、(2)式のVはコモン
レール3とそれに付随する高圧燃料系(逆止弁15から
コモンレール3までの高圧燃料配管17等)の容積、K
は燃料油の体積弾性係数、Pmaxはプレッシャリミッタ
33の開弁圧力の下限値(すなわちコモンレールの上限
圧力)、Pcaは現在の(制限値QPmax算出時点の)圧
力センサ31で検出したコモンレール燃料圧力である。
また、QMは各値の誤差(例えば燃料噴射量の噴射量誤
差、吸入調量弁5aの閉弁時期の誤差等)の総計を表
す。
【0049】すなわち、上記(2)式は、圧送完了まで
にコモンレールから流出する燃料量に、更に現在のコモ
ンレール圧力Pcaを圧力上限値Pmaxまで上昇させるの
に要する燃料量となる。すなわち、実際の燃料ポンプの
圧送量が(2)式で算出したQPmax以下の場合には、
圧送完了時にもコモンレール圧力は上限値Pmaxまでは
上昇せず、プレッシャリミッタ33が開弁することはな
い。
【0050】ところで、圧送量算出式(1)で説明した
ように、上記制限値QPmax算出時点(図2、図3、a
点)では、(2)式において、QI1、QID1、QI
S、QP1、V、K、Pmax、Pca、QMの各値は既知
となっているが、FJ2からFJ4の燃料噴射における
燃料噴射量QI2からQI4、及び動的リーク量QID
2からQID4は未確定である。本実施形態では、プレ
ッシャリミッタ33の開弁をより確実に防止できるよう
に、(2)式のQPmax算出の際には、QI2=QI3
=QI4=0、QID2=QID3=QID4=0と置
いている。また、同様に体積弾性係数Kの値も、燃料油
の温度、圧力とともに変動するため機関運転中のコモン
レール燃料温度と圧力の変化範囲内で最大になる体積弾
性係数Kの値を使用する。また、誤差の総計QMも各値
の誤差の最大値を集計したものを使用している。
【0051】本実施形態では、次回の圧送量を決定する
際に(1)式で算出された圧送量と(2)式で算出され
た圧送量制限値QPmaxとを比較して、制限値が算出さ
れた圧送量より小さい場合には、(1)式で算出された
圧送量を燃料ポンプ5の実際の圧送量に設定し、逆に制
限値QPmaxが(1)式で算出された圧送量より小さい
場合には(2)式で算出された圧送量制限値QPmaxを
燃料ポンプ5の実際の圧送量に設定する。図3(D)の
点線は、上記のように(1)式で算出された圧送量を
(2)で算出された圧送量制限値QPmaxにより制限し
た場合の過渡運転時のコモンレール圧力の変化を示して
いる。図3(D)に示すように、本実施形態では運転状
態が急激に変化した場合にもコモンレール圧力のオーバ
ーシュートが抑制されるため、プレッシャリミッタの作
動を確実に防止することが可能となっている。
【0052】図4は、本実施形態の燃料ポンプの圧送量
制御操作を説明するフローチャートである。本操作は一
定クランク角毎(例えば、燃料ポンプの各シリンダの吸
入行程開始直前)に実行される。図4の操作がスタート
すると、ステップ401では、クランク角センサ37の
パルス信号から別途図示しない操作により算出された現
在の機関回転数NEと圧力センサ31で検出した現在の
コモンレール燃料圧力Pcaとが読み込まれ、次いでステ
ップ403では現在確定している次回の燃料噴射量QI
iが読み込まれる。燃料噴射量QIi(例えば#2シリン
ダの圧送量算出の場合は、図2の燃料噴射FJ1の燃料
噴射量、#1シリンダの圧送量算出の場合は、図2の燃
料噴射FJ3の燃料噴射量)は、圧送量算出タイミング
より早い時期に機関回転数とアクセル開度とに基いて、
ECU20のROMに格納した数値テーブルから算出さ
れている。
【0053】また、ステップ405では、コモンレール
燃料圧力Pcaと、ステップ403で算出した次回の燃料
噴射量QIiとを用いて次回の燃料噴射における動的リ
ーク量QIDiが算出される。前述したように、本実施
形態ではQIiの値は、ECU20のROMに燃料噴射
量と燃料圧力とを用いた数値テーブルの形で予め格納さ
れている。
【0054】次いで、ステップ407では、圧送行程開
始(図2、a点)から完了(図2、b点)までの間の静
的リーク量QISが算出される。前述したように、本実
施形態では、静的リーク量QISの値は、燃料圧力、温
度、機関回転数を用いた数値テーブルの形でECU20
のROMに格納されている。また、ステップ409で
は、前回の操作実行時に算出したもう一方のシリンダの
圧送量QPi-1(すなわち、#2シリンダ圧送量算出時
には前回の#1シリンダの圧送量、#1シリンダ圧送量
算出時には前回の#2シリンダの圧送量)が読み込まれ
る。
【0055】そして、ステップ411では、上記により
読み込んだQIi、QIDi、QIS、QP1とPcaの
値を用いて、前述の(1)式から次回の圧送量QPが算
出される。なお、前述したように、本実施形態では
(1)式の計算において、燃料噴射量の総和ΣQIiと
動的リークの総和ΣQIDiはそれぞれ、ΣQIi=4
×QIi、ΣQIDi=4×QIDiとして算出され
る。
【0056】次いで、ステップ413では、同様にQI
i、QIDi、QIS、QP1とPcaの値を用いて、
(2)式からオーバーシュート時のピーク圧力をプレッ
シャリミッタの設定圧力以下に維持することが可能な最
大圧送量である圧送量制限値QPmaxが算出される。前
述したように、QPmax算出の際には、圧送量QP算出
の場合とは異なり、燃料噴射量の総和ΣQIiと動的リ
ークの総和ΣQIDiはそれぞれ、ΣQIi=QIi、
ΣQIDi=QIDiとして算出される。
【0057】ステップ411とステップ413とで圧送
量QPと圧送量制限値QPmaxを算出後、ステップ41
5ではステップ413で算出した制限値QPmaxがステ
ップ411で算出した圧送量QP以下になっているか否
かが判定される。ステップ415でQPmax≦QPであ
った場合には、ステップ411で算出した圧送量をその
まま実際に圧送すると、オーバーシュートが生じ圧送完
了時にコモンレール燃料圧力がプレッシャリミッタの設
定値Pmaxを越えてしまい、プレッシャリミッタが作動
する可能性があるため、ステップ417で圧送量QPの
値をQPmaxに置き換える。そして、ステップ419で
はこの圧送量QPに応じて燃料ポンプ5の調量弁5aを
セットする。これにより、燃料ポンプ5の吸入行程で
は、QPの量の燃料がシリンダに吸入され、圧送量はQ
Pに一致するようになる。
【0058】一方、ステップ415でQPmax>QPで
あった場合には、ステップ411で算出した圧送量をそ
のまま実際に圧送しても圧送完了時にコモンレール燃料
圧力がプレッシャリミッタ設定圧力まで上昇することは
ないので、ステップ419ではステップ411で算出し
たQPの値をそのまま用いて調量弁5aがセットされ
る。
【0059】これにより、本実施形態では過渡運転時に
もコモンレール圧力のオーバーシュートのピーク圧力は
常にプレッシャリミッタの作動圧力より低く維持される
ようになるため、プレッシャリミッタの設定圧力を低く
設定することが可能となる。
【0060】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、燃料圧
送量に制限値を設け、過渡運転時における燃料圧力のオ
ーバーシュートのピーク圧力を低下させることにより、
装置コストの増大を伴うことなく簡易に、プレッシャリ
ミッタの作動を効果的に防止可能となるため、高圧燃料
系の機器の製作コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場
合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】燃料ポンプの送油率を示すタイミング図であ
る。
【図3】過渡運転時のコモンレール圧力のオーバーシュ
ートを説明するタイミング図である。
【図4】図1の実施形態の燃料ポンプ圧送量の制御操作
を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁 3…コモンレール 5…燃料ポンプ 20…電子制御ユニット(ECU) 31…コモンレール圧力センサ 33…プレッシャリミッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 辰優 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 竹本 英嗣 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 竹内 克彦 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3G066 AA07 AB02 AC09 BA19 BA61 CD26 CE21 DA00 DA06 DC01 DC04 DC09 DC15 DC18 3G301 HA02 JA07 JA11 LB00 LB06 LB13 MA00 NA04 NA06 ND03 PB01A PB08A PE01A PE03A PF03A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に所定のタイミングで燃料を噴
    射する燃料噴射弁と、 該燃料噴射弁が接続される、加圧燃料を貯留する蓄圧室
    と、 前記蓄圧室に所定のタイミングで燃料を圧送する燃料ポ
    ンプと、 前記蓄圧室内の燃料圧力を検出する圧力検出手段と、 該圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて、蓄圧室内
    の燃料圧力が目標燃料圧力になるように前記燃料ポンプ
    の燃料圧送量をフィードバック制御する圧送量制御手段
    と、 前記蓄圧室内の燃料圧力が予め定めた上限圧力以上にな
    った時に作動して、蓄圧室内の燃料圧力を前記上限圧力
    以下に維持する圧力制限手段と、を備えた圧力制御装置
    において、 前記圧送量制御手段は更に、 前記圧力検出手段で検出した燃料圧力と前記上限圧力と
    に基いて、前記圧力制限手段を非作動状態に維持するこ
    とが可能な最大燃料圧送量である圧送量制限値を算出す
    る制限値算出手段を備え、前記燃料ポンプの実際の燃料
    圧送量が前記圧送量制限値以下になるように制限する、
    高圧燃料供給系の圧力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記燃料ポンプは、燃料圧送を開始する
    前に圧送量が決定される吐出量調節装置を備え、前記圧
    送量制御手段は燃料ポンプからの燃料圧送開始前に前記
    圧力検出手段で検出した燃料圧力に基いて燃料圧送量を
    フィードバック制御し、前記制限値算出手段は燃料ポン
    プからの燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と前
    記上限圧力とに基いて前記圧送量制限値を算出する、請
    求項1に記載の圧力制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制限値算出手段は、燃料ポンプから
    の燃料圧送開始前に検出された前記燃料圧力と、前記上
    限圧力と、燃料ポンプからの燃料圧送終了までに前記蓄
    圧室から流出する燃料量の予測値と、燃料ポンプの前回
    の燃料圧送時の燃料圧送量とに基いて前記圧送量制限値
    を算出する、請求項2に記載の圧力制御装置。
JP2000329314A 2000-10-27 2000-10-27 高圧燃料供給系の圧力制御装置 Expired - Lifetime JP3798614B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329314A JP3798614B2 (ja) 2000-10-27 2000-10-27 高圧燃料供給系の圧力制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329314A JP3798614B2 (ja) 2000-10-27 2000-10-27 高圧燃料供給系の圧力制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002130026A true JP2002130026A (ja) 2002-05-09
JP3798614B2 JP3798614B2 (ja) 2006-07-19

Family

ID=18806006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000329314A Expired - Lifetime JP3798614B2 (ja) 2000-10-27 2000-10-27 高圧燃料供給系の圧力制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3798614B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007023812A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Denso Corp 燃料噴射制御装置
CN100420841C (zh) * 2004-11-08 2008-09-24 株式会社电装 具有共轨的燃料喷射设备和对象装置控制系统
KR101561394B1 (ko) * 2013-12-09 2015-10-16 아이상 고교 가부시키가이샤 내연 기관의 연료 공급 장치
CN112020602A (zh) * 2018-04-10 2020-12-01 康明斯公司 自适应高压燃料泵系统和预测泵送质量的方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100420841C (zh) * 2004-11-08 2008-09-24 株式会社电装 具有共轨的燃料喷射设备和对象装置控制系统
JP2007023812A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Denso Corp 燃料噴射制御装置
JP4492467B2 (ja) * 2005-07-13 2010-06-30 株式会社デンソー 燃料噴射制御装置
DE102006000333B4 (de) * 2005-07-13 2012-11-08 Denso Corporation Kraftstoffeinspritzsteuersystem, das einen unerwünschten Anstieg des Kraftstoffdrucks vermeidet
KR101561394B1 (ko) * 2013-12-09 2015-10-16 아이상 고교 가부시키가이샤 내연 기관의 연료 공급 장치
CN112020602A (zh) * 2018-04-10 2020-12-01 康明斯公司 自适应高压燃料泵系统和预测泵送质量的方法
US11486326B2 (en) 2018-04-10 2022-11-01 Cummins Inc. Adaptive high pressure fuel pump system and method for predicting pumped mass

Also Published As

Publication number Publication date
JP3798614B2 (ja) 2006-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0899443B1 (en) A method and device for fuel injection for engines
US9279404B2 (en) Fuel supply device and fuel supply control method for internal combustion engine
JP3796912B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JP4179333B2 (ja) 内燃機関の始動制御装置
JP2005147005A (ja) 内燃機関用燃料噴射装置
EP1304470B1 (en) Fuel pressure control apparatus
JP4111123B2 (ja) コモンレール式燃料噴射装置
JP5813531B2 (ja) 燃料噴き放し検出装置
JPH1130150A (ja) 蓄圧式燃料噴射装置
JP2004156578A (ja) 蓄圧式燃料噴射装置
JP4026272B2 (ja) 燃料噴射装置
JP3901073B2 (ja) 蓄圧式燃料噴射装置
JP2002130026A (ja) 高圧燃料供給系の圧力制御装置
JP3577991B2 (ja) 内燃機関のコモンレール燃料圧力制御装置
JP3282581B2 (ja) コモンレール式燃料噴射装置の燃料リターン量算出方法と実燃料噴射量算出方法、及び燃料噴射制御方法
JP3982516B2 (ja) 内燃機関用燃料噴射装置
JP4404056B2 (ja) 内燃機関用燃料噴射装置
JP4670832B2 (ja) 圧力制御装置及び燃料噴射制御システム
JP4218218B2 (ja) コモンレール式燃料噴射装置
JP3744290B2 (ja) 可変吐出量高圧ポンプの制御方法
JP4613920B2 (ja) 内燃機関用燃料噴射装置
JP2006002698A (ja) 燃料噴射装置
JPH09273443A (ja) 蓄圧式燃料噴射装置
JP5532885B2 (ja) 燃料噴射装置
JPH0450462A (ja) 燃料供給ポンプの制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060420

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3798614

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term