JP2011084696A - タイヤトレッド用カーボンブラック - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンブラックのアグリゲートサイズ分布及び一次粒子径分布を制御し、これら両者の分布の比率を特定範囲とすることで、ゴム配合時における耐摩耗性と、損失正接(tanδ)によって定義される発熱性の両特性を高い水準に維持することのできるゴム組成物を与えるタイヤトレッド用カーボンブラックの提供。
【解決手段】圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)が90ml/100g〜120ml/100g、CTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/g〜140m/gの特性を有するカーボンブラックにおいて、遠心沈降分析法により測定されたアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と電子顕微鏡法で測定された一次粒子径の分布指数(DI−pt)の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上であり、好ましくは0.85≦(DI−ag)/(DI−pt)≦1.2であることを特徴とするタイヤトレッド用カーボンブラック。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム成分への配合時にタイヤトレッド用ゴム組成物として好ましい優れた耐摩耗性と優れた低発熱性を同時に、より一層高度に両立することを可能とするカーボンブラック、特にカーボンブラックのアグリゲート特性に着目したカーボンブラックに関する。
カーボンブラックは厳密に制御された条件下のファーネス炉内での高温燃焼ガス中へ原料炭化水素を導入し、高温化での原料炭化水素の熱分解により生産される重要な工業用素材であり、ゴム配合時の組成物に対して機械的性質、特に引張り強さ、耐摩耗性などの特性を飛躍的に向上させることができるという特異な性質を有することから、タイヤをはじめとする各種ゴム製品の充填補強剤として広く用いられているとともに、名称からわかるようにその材料が持つ黒色という特性を生かした黒色顔料として塗料、トナーなどにも使用されている。
ゴム配合物において、カーボンブラックの配合割合は、他の構成要素よりもずっと大きく、そのため、その物理化学的特性、すなわちカーボンブラックを構成する一次粒子径、単位重量当たりの表面積(比表面積)、粒子のつながり度合(ストラクチャー)などにより配合ゴム組成物の性能に大きな影響を与えるので、要求されるゴム組成物によって各種特性の異なるカーボンブラックが選択的に使用されている。
タイヤの接地面(トレッド部)に用いられるゴム組成物では、高速度で回転して道路面と接触することによる摩損に対する耐性(耐摩耗性)に優れていると同時に、接触で生じる繰り返し変形によるゴム組成物の発熱性〔ヒステリシス特性(変形からの回復時に熱に変換される性能であり、損失正接の値が小さいほど変換される割合が減少する)により定義される〕も重要な要素である。
これまで耐摩耗性を向上させる試みとして、高表面積(小粒子径)化および高ストラクチャー化の方向でカーボンブラックの開発が行われてきたが、これらの特性は同時にヒステリシス特性に対してマイナスの影響を与え、互いに相反する特性であることは広く知られている。
耐摩耗性と発熱性は互いに相反する特性であり、これを解決するために種々の技術が提案されている。
上述の2つの特性のうち、一方を低下させることなく、他方の特性を向上させるという課題に対応するために、カーボンブラック表面の活性度向上(特許文献1〜3など)や遠心沈降分析により評価されるアグリゲートサイズ分布の半値幅を小さくする(特許文献4、5など)などの技術が開示されている。
しかしながら、このようなタイヤトレッド配合用カーボンブラックを用いて耐摩耗性を向上させる手段を採用した場合、耐摩耗性向上の反面でゴム組成物の発熱性が大きくなり、またティアー性(伸び特性)や加工性などの性能が低下するという欠点を招来する。
また、アグリゲートサイズ分布で2つ山があるカーボンブラックを用いた発明(特許文献6、7、8)、アグリゲート空隙容積を特定した発明(特許文献9、10、11)、示差走査熱量計(DSC)により測定される粒子間のポア分布モード径を特定した発明(特許文献12、13、14)、希薄水分散物の可視光領域での吸光度の波長依存性を特定した発明(特許文献15、16、17)など、カーボンブラックが有する種々の物理化学特性を特定した発明が摩耗性と発熱性の性能を両立させる手段、方法として開示されている。また、高ストラクチャー化による対応も提案されている(特許文献18)。
特開平1−275643号公報 特開昭61−207452公報 特公平7−64957号公報 特開平6−93136号公報 特開昭63−264647号公報 特公平6−868号公報 特開昭64−74242号公報 特開昭63−199748号公報 特公平6−37582号公報 特公平6−41540号公報 特公平7−755号公報 特開平4−325535号公報 特開平4−370126号公報 特開平5−255542号公報 特開平4−363344号公報 特開平5−43740号公報 特開平5−170973号公報 特開平6−136289号公報
高い耐摩耗性と低位の発熱性という背反事項を解消させる目的で前述のような種々の手段が提唱されているが、あくまでも一方の特性を維持させながら他方の特性を改良するという観点からの提案であって、これら二つの特性の何れに付いても向上させようという試みは未だ十分行われていないのが現状である。
しかし、近年のタイヤ性能の向上要求は更なる高性能化が求められており、これに対応するために本発明では、カーボンブラックの特性の中で一次粒子径分布及びアグリゲートサイズ分布を適正に調節し、これら両者の分布の比を特定範囲に制御するという全く新規なコンセプトに想到し、ゴム組成物での耐摩耗性と発熱性の特性のさらに高い水準での両立を目指すことを目的としている。
本発明は、圧縮DBP吸収量(24M4DBPA、すなわちCOAN:oil absorption number of compressed sample)が90ml/100g〜120ml/100g、CTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/g〜140m/gの特性を有するカーボンブラックにおいて、遠心沈降分析法により測定されたアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と電子顕微鏡法で測定された一次粒子径の分布指数(DI−pt)の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上であることを特徴とするタイヤトレッド用カーボンブラックであり、より好ましくは前記の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上で1.2以下の範囲であるタイヤトレッド用カーボンブラックによって前述の課題を達成することができる。
なお、「DI−ag」の意味は、「ag」〔カーボンブラック(CB)のアグリゲート〕におけるDI(分布指数)であり、「pt」は粒子径を指す。
本発明は圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)が90ml/100g〜120ml/100g、CTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/g〜140m/gの特性を有するカーボンブラックにおいて、遠心沈降分析法により測定されたアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と電子顕微鏡法で測定された一次粒子径の分布指数(DI−pt)の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上であることを特徴とするタイヤトレッド用カーボンブラックであり、これにより、一次粒子径分布(DI−pt)を小さい側、すなわち分布を狭い側に制御しながら、アグリゲートサイズ分布(DI−ag)を大きい側、すなわち広い側に制御し、この両分布で定義される比(DI−ag)/(DI−pt)を従来よりも高い数値にコントロールすることにより、配合ゴム組成物に高度の耐摩耗性と発熱性の両特性を同時に付与することができるカーボンブラックを得ることができた。
本発明のカーボンブラック製造装置の一例を示す要部縦断断面図である。
カーボンブラックは、六員環炭素が層状に積層された無定形炭素が球状の直径数十nmの基本粒子を形成し、この基本粒子が数個ないし数十個融合してアグリゲートが構成され、通常数十〜数百nmの大きさを有している。
カーボンブラックの一次粒子径は電子顕微鏡を用いて撮影されたアグリゲート画像から、アグリゲートを構成する個々の単位粒子の直径を計測し、一定数以上の個数を測定してそれらの平均値を一次粒子径として定義する。
前述の一次粒子径は、カーボンブラック配合ゴム組成物における耐摩耗性に重要な役割を持ち、粒子径が小さくなる(表面積が大きくなる)ほどゴム組成物の耐摩耗性能が向上することは知られている。しかしながら、耐摩耗性が向上する一方で、ゴム組成物での発熱特性は低下する。
一方、アグリゲートサイズ分布は、カーボンブラック配合ゴム組成物における発熱特性に重要な役割を持ち、アグリゲートサイズ分布が広くなるほどゴム組成物の発熱特性が向上するが、耐摩耗性能は低下する傾向にあることも知られている。
このように、アグリゲートサイズ分布が広くなると耐摩耗性能が低下する傾向にあるのは、分布が広くなるとアグリゲートを構成する一次粒子の粒子径分布が広がる趨勢をもつためである、すなわちアグリゲートサイズ分布は広い範囲に制御しながら一次粒子の分布を狭い側に制御することができれば、上述の両特性を同時に満足させることのできるカーボンブラックを提供できるのではないかと考えたのが本発明の始まりである。
通常、一次粒子径分布及びアグリゲートサイズ分布は、耐摩耗性及び損失正接に対して強い影響を持つものの、通常の製造方法ではそれらは同時に連動して変化する特性であり、カーボンブラックの製造条件上、両者が正の相関を持って変動することから効果的な制御はこれまでは成されておらず、またそのような制御を行うことは本発明まで考慮されてこなかった。
本発明におけるカーボンブラックは、互いに連動して変化する傾向を持つアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と一次粒子径の分布指数(DI−pt)との比、(DI−ag)/(DI−pt)を新規に定義し、一次粒子径の分布指数(DI−pt)を小さい側、すなわちカーボンブラックのアグリゲートを構成する個々の粒子径の分布を狭い側に制御しながら、アグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)を大きい側、すなわちカーボンブラックの最小分散単位であるアグリゲートのサイズ分布を広い側に制御し、このカーボンブラックの特性でのこれら両分布で定義される比、(DI−ag)/(DI−pt)を従来よりも高い数値にコントロールすることにより、カーボンブラック配合ゴム組成物に高度に両立させた耐摩耗性と発熱性の付与を可能としたものである。
本発明は、圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)が90ml/100g〜120ml/100g、CTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/g〜140m/gの特性を有することが本発明のカーボンブラックにおける特性を発揮する前提条件であるが、圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)が90ml/100gを下回った場合では耐摩耗性が低くなる為にタイヤトレッド用カーボンとして好ましくなく、逆に120ml/100gを上回った場合においてはモジュラスが高くなる為、これもタイヤトレッド用として好ましくない。一方、表面積特性であるCTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/gを下回った場合では耐摩耗性が低下するので好ましくなく、また140m/gを上回った場合においては配合ゴムの加工性が悪化するので好ましくない。
本発明における必須要件は、遠心沈降分析法により測定されたアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と一次粒子径の分布指数(DI−pt)の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上であることを特徴とするタイヤトレッド用カーボンブラックであるが、前記の数値を下回った場合では耐摩耗指数の数値に比較して損失正接(tanδ)の指数が大きく(発熱特性が低く)なり、これは本発明の課題であるカーボンブラック配合ゴム組成物の耐摩耗性と発熱性の両方を同時に満足させるという目的が達成されないことを示す。また、(DI−ag)/(DI−pt)の特性で1.2を上回る特性をもつカーボンブラックは、現状の製造操作条件上においても制御は困難であることから、より好ましくは前記の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上で1.2以下の範囲にある分布比を有することが必要である。
本発明に記載のカーボンブラック各特性は、下記の方法により測定される。
(1)CTAB吸着比表面積(CTAB)
JIS K 6217−3:2001に記載の方法により測定され、単位重量当たりの表面積(m/g)で表示される。
(2)圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)
JIS K 6217−4:2008に記載の方法で測定され、圧縮処理後のカーボンブラック100g当たりに吸収されるジブチルフタレート(DBP)のmlで表示される。
(3)一次粒子径の分布指数(DI−pt)
「ASTM3849−カーボンブラックの標準試験法−電子顕微鏡法による形態的特徴付け」に記載の手順によりアグリゲートの拡大画像を取得し、この画像をもとに一次粒子径を算出する。
使用装置:透過型電子顕微鏡〔JEM−100CX、日本電子(株)製〕
加圧電圧:80kV
撮影倍率:5万倍(最終引伸ばし倍率 20万倍)
画像解析ソフト:ルーゼックスFS〔(株)ニレコ製〕
一次粒子径分布指数(DI−pt)の定義
上述の装置を用いてカーボンブラックの電子顕微鏡写真を撮影し、この画像を最終倍率20万倍に引伸ばした写真からアグリゲートを構成する個々の基本粒子の直径を3,000個測定し、測定幅4nmのヒストグラムを作成して最多頻度値(Dp−mode)と、この半分の頻度値を有する粒子径の差の絶対値(ΔDp−50)の比、(ΔDp−50)/(Dp−mode)を一次粒子径の分布指数(DI−pt)と定義する。
(4)アグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)の定義
JIS K 6217−6:2008に記載の方法で測定され、その3.6.3項で定義されるモード径(Dmode)とその3.6.7項で定義される半値幅、△D−50で定義される分布曲線における最多頻度値の半分の高さでの半値幅(nm)との比、△D−50/Dmodeをアグリゲートサイズ分布指数と定義し、このアグリゲートサイズ分布指数をDI−agと表示する。
測定装置…Brookhaven Instruments Corporation社製BI−DCP Particle Sizer
以下に本発明の実施例を比較例と対比しながら詳しく説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明のカーボンブラックは図1に代表される構造を有するカーボンブラック製造装置にて製造を行った。
燃料には比重0.8622(15℃/4℃)のA重油を用い、原料油としては表1に示した性状の重質油を使用した。
Figure 2011084696
実施例1〜4
上流部より、第一領域:燃料導入部(内側直径210mm)、第二領域:テーパー部(上流端内側直径210mm、下流端内側直径80mm、長さ540mm、テーパー角7°)、狭小円筒部(内側直径80mm、長さ250mm)、第三領域:反応部〔内側直径190mmで、直径の拡大比は2.38(=190/80)、長さ4000mm、下流側に反応停止用急冷水圧噴霧装置(8−1〜8−5)を備えた反応継続兼冷却室〕を有するカーボンブラック製造炉を用い、表2に示した操作条件によりカーボンブラックを製造した。
より詳細には、実施例1〜4の製造例は、原料油導入量、原料油導入圧力、燃料油導入量、燃料燃焼用空気導入量を表2のように制御し、CTAB吸着比表面積、圧縮DBP吸収量および一次粒子径特性とアグリゲートサイズ特性の異なるカーボンブラックの製造を行った。
なお、カーボンブラック原料油の導入位置は、狭小円筒部(絞り部)4の中間位置に7−3導入口、テーパー部の下流側から1/3の位置に7−2導入口、2/3の位置に7−1導入口を設置した。
本発明のカーボンブラック製造に際してのコンセプトを詳しく説明すると、高温ガス中に導入された原料油の微粒液滴は、一般的に熱分解反応と凝縮反応を続けながらカーボンブラック一次粒子を形成した後、粒子間のぶつかり合いによって互いに融合したアグリゲートを形成していくと考えられている。カーボンブラック生成反応において、カーボンブラック製造炉中では反応炉径が最小となる箇所の流速が最も早く、また反応する面積も一番小さい空間であるが、原料油を最狭部である狭小円筒部に導入することにより高温燃焼ガスと原料油滴との接触効率は画一的となって一次粒子のサイズはより均一になると予想される(すなわち、一次粒子径の分布は狭くなる)。次のアグリゲートの生成反応は、その形成・成長過程、即ち反応部において乱流度を大きくすることにより、基本粒子同士の衝突頻度が増大する領域とそれほど大きくない領域を発生させ、この衝突・接触頻度での差異の結果として、アグリゲートサイズ分布を広い側に制御することができる。反応部において乱流度の差異を発生させる方法の一例として最狭径である狭小円筒部と、次に続く反応部との拡大比を大きくする方法があり、本発明のカーボンブラックは上述のカーボンブラックの生成、成長過程の方法論に基づいて製造したものであり、これにより電子顕微鏡法で測定された基本粒子径の分布指数(DI−pt)の分布が狭く、かつアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)が広い、すなわち(DI−ag)/(DI−pt)の比が従来よりも大きなカーボンブラックを得ることができ、このカーボンブラックを配合した際のゴム組成物に優れた耐摩耗性と優れた発熱性の両者を同時に満足させることのできるカーボンブラックの提供を可能としたものである。
実施例5
実施例1と同様の構成要素を有し、後述のようなカーボンブラック生産量を約15倍にスケールアップしたカーボンブラック製造炉を用い、表2に示した操業条件によりカーボンブラックを製造した。
製造装置の寸法としては、上流部より、第一領域:燃料導入部(内側直径700mm)、第二領域:テーパー部(上流端内側直径700mm、下流端内側直径250mm、長さ1200mm、テーパー角10.6°)、狭小円筒部(内側直径250mm、長さ600mm)、第三領域:反応部(内側直径600mmで、直径の拡大比は2.40(=600/250)、長さ6000mm)を有するカーボンブラック製造炉を用いた。
なお、カーボンブラック原料油の導入位置は実施例1〜4の場合と同様である。
比較例1〜5
実施例1で記載された物と同様の構成であるが、第三領域の反応炉径を変更〔直径:120mm、拡大比1.50(=120/80)〕したカーボンブラック製造装置を用い、表3に示した操業条件により、CTAB吸着比表面積、圧縮DBP吸収量および一次粒子径特性とアグリゲートサイズ特性の異なるカーボンブラックの製造を行った。
比較例6
実施例4で記載された物と同様構造のカーボンブラック製造装置を用い、第三領域の反応炉径を変更〔直径:1000mm、拡大比1.67(=1000/600)〕したカーボンブラック製造炉を用い、表3に示した操業条件によりカーボンブラックを製造した。
Figure 2011084696
Figure 2011084696
本発明にかかる実施例及び比較例のカーボンブラックの物理化学的特性を表4及び5に示した。
Figure 2011084696
Figure 2011084696
表4及び5に示したカーボンブラックの性能を評価するために表6に示した配合比率でゴム組成物を調製し、そのカーボン配合ゴムの特性試験を行い、その結果を表7及び8に示した。
Figure 2011084696
MBTS:2,2′−ジベンゾチアジルジスルフィド
IPPD:N−イソプロピル−N−フェニル−P−フェニレンジアミン
Figure 2011084696
*比較例2の特性値を100として表示
Figure 2011084696
*比較例2の特性値を100として表示
なお、各配合ゴム組成物のゴム特性は、次の試験条件により測定した。
1)配合ゴム組成物の加硫条件:145℃、30分
2)耐摩耗性試験:ランボーン摩耗試験機を用いて、スリップ率60%で摩耗試験を行い、下式で算出した耐摩耗指数(ランボーン摩耗指数)で表した。
耐摩耗指数=(S/T)×100
S:対照例(比較例1)配合試験片の摩耗減量
T:供試験片における摩耗減量
3)損失正接:(株)岩本製作所製粘弾性スペクトロメーター(型式VES−F−III)を用い、下記の測定条件で損失正接(tanδ)を測定し、対照カーボンブラック(比較例1)に対する指数で表示した。
測定条件
周波数 :50Hz
動的歪み率:±1%
測定温度 :25℃
初期加重 :160g重
表2〜3に示した物理化学特性を有する実施例及び比較例のカーボンブラックをゴムに配合した組成物の測定結果(表4〜5)から、本発明カーボンブラックの効果を説明する。
比較例1は、従来の製造技術に基づくカーボンブラックであり、比較例2は、原料油の導入位置を上流側へ移動することによりアグリゲートサイズ分布をブロードにする公知技術に基づく製造例である。この際、移動に伴い原料油導入部径が大きくなることから、一次粒子径分布は高温燃焼ガスと原料液滴との接触効率に差異が生じ、生成する粒子径の分布が広い側に移行し、そのために結果としてアグリゲートサイズ分布(DI−ag)と一次粒子径分布(DI−pt)の比(DI−ag/DI−pt)は殆ど変化しない。また、比較例3〜4は、比較例2の製造条件を種々変動させることによりアグリゲートサイズ分布(DI−ag)と一次粒子径分布(DI−pt)の比(DI−ag/DI−pt)のコントロールを試みた例であるが、前述の比(DI−ag/DI−pt)を大きく変えることは出来ず、要求特性である耐摩耗性と発熱性を両立させたゴム組成物を得ることは出来なかった。また比較例5は、粒子径分布は本発明の範囲を満足しているが、吸着比表面積が本発明の範囲を上回って外れた例であり、この為、耐摩耗性指数の上昇割合を上回った損失正接指数を示した。一方、比較例6は、スケールアップした製造炉で製造した製造例であるが、アグリゲートサイズ分布(DI−ag)は広い側の大きな数値となるが、これに連動して一次粒子径分布(DI−pt)も広い側の大きな数値となり、この結果として従来の製造プロセスで生産されたカーボンブラックの特性から逸脱することはなく、アグリゲートサイズ分布(DI−ag)と一次粒子径分布(DI−pt)の比(DI−ag/DI−pt)は本発明の範囲から外れる特性を有するカーボンブラックとなって、比較例1の場合と同様の結果が得られた。
これに対し、実施例1〜5はスケールが異なるが反応炉の最狭部での原料油噴霧と、狭小円筒部と反応室との直径の拡大比の上昇という本発明のカーボンブラック製造コンセプトによるプロセスを適用したカーボンブラックであり、一次粒子径分布のシャープ化及びアグリゲートサイズ分布のブロード化を同時に満たすことにより、従来の製造技術では困難であった耐摩耗性と損失正接(tanδ)の両特性を高いレベルで保持できるゴム物性をもつゴム組成物を提供するカーボンブラックを得ることが可能となり、この効果はタイヤタイヤ稼働寿命を向上させるとともに転がり抵抗を低下させ、燃料消費効率も改良するので、産業面や環境面でのプラスは大きい。
1 第一領域:燃料導入部
2 第二領域:テーパー部
3 第三領域:反応部
4 狭小円筒部
7−1 原料導入口
7−2 原料導入口
7−3 原料導入口
8−1 冷却水導入口
8−2 冷却水導入口
8−3 冷却水導入口
8−4 冷却水導入口
8−5 冷却水導入口

Claims (2)

  1. 圧縮DBP吸収量(24M4DBPA)が90ml/100g〜120ml/100g、CTAB吸着比表面積(CTAB)が70m/g〜140m/gの特性を有するカーボンブラックにおいて、遠心沈降分析法により測定されたアグリゲートサイズ分布指数(DI−ag)と電子顕微鏡法で測定された一次粒子径の分布指数(DI−pt)の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上であることを特徴とするタイヤトレッド用カーボンブラック。
  2. アグリゲートサイズ分布指数と一次粒子径分布指数の比、(DI−ag)/(DI−pt)が0.85以上で1.2以下の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のタイヤトレッド用カーボンブラック。
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