本発明は、この様な事情に鑑みて、安価な構造で、ウォームホイールとウォーム軸との噛合部での耳障りな歯打ち音の発生を抑えるべく発明したものである。
本発明のウォーム減速機は、ウォームホイールと、ウォーム軸と、弾性体とを備え、この弾性体は、このウォーム軸にこのウォームホイールに向かう方向の弾力を付与するものである。
又、本発明のウォーム減速機を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、弾性体を、予圧パッドを介して、ウォーム軸にウォームホイールに向かう方向の弾力を付与するものとする。
又、このウォームホイールを、アシスト軸に固定自在としたものとする。
又、上記ウォーム軸を、両端寄り部分を1対の軸受によりギヤハウジングの内側に支持すると共に、中間部に設けたウォームが上記ウォームホイールと噛合するものとする。
又、上記予圧パッドを、ギヤハウジング又はこのギヤハウジングに固定された部材に設けられた案内面により所定方向に関する変位を規制すると共に、上記弾性体の弾力に基づく予圧パッド自身の弾性変形により、上記案内面との隙間をなくすか、又は小さくする。
又、本発明のウォーム減速機を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、弾性体を、予圧パッドを介して、ウォーム軸にウォームホイールに向かう方向の弾力を付与するものとする。
又、このウォームホイールを、アシストウォーム軸に固定自在としたものとする。
又、上記予圧パッドを、1対の素子から成り、上記ギヤハウジング又はこのギヤハウジングに固定された部材に設けられた案内面により所定方向に関する変位を規制されたものとすると共に、上記弾性体の弾力に基づき、上記1対の素子を互いに離れる方向に変位させる事により、上記案内面との隙間をなくすか、又は小さくする。
又、請求項2又は請求項3に記載したウォーム減速機を実施する場合により好ましくは、請求項4に記載した様に、上記案内面に沿う上記予圧パッドの変位可能な方向を、上記ウォーム軸の中心軸と、このウォーム軸に設けたウォームと上記ウォームホイールとの噛合部とを含む仮想平面に対し傾斜させる。
又、請求項5に記載した本発明の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイールを設けるステアリングシャフトと、このステアリングシャフトの前端側に設けられたピニオンと、このピニオン又はこのピニオンに支持した部材と噛合させたラックと、上述の請求項2〜4の何れかに記載したウォーム減速機と、ウォーム軸を回転駆動する為の電動モータと、上記ステアリングシャフト又はピニオンに加わるトルクの方向と大きさとを検出する為のトルクセンサと、このトルクセンサから入力された信号に基づき上記電動モータの駆動状態を制御する為の制御器とを備える。又、上記アシスト軸が、上記ステアリングシャフトと、上記ピニオンと、このピニオンと離れた位置で上記ラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材である。
又、本発明のウォーム減速機を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、弾性体を弾力付与手段とし、ウォーム軸を、ギヤハウジングに対し回転及び揺動変位を可能に支持されると共に、中間部に設けたウォームをウォームホイールと噛合させるものとし、上記ウォーム軸の揺動中心軸を、このウォーム軸の中心軸上から上記ウォームホイール側にずれた位置に、このウォームホイールの中心軸と平行に設ける。
又、請求項6に記載したウォーム減速機を実施する場合により好ましくは、請求項7に記載した様に、上記ウォーム軸のウォームと上記ウォームホイールとのピッチ円の交点を含み、このウォーム軸の中心軸と平行な直線上の1点を通る、このウォームホイールの中心軸と平行な軸を、上記ウォーム軸の揺動中心軸とする。
又、より好ましくは、請求項8に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を回転自在に支持する1対の軸受のうちの少なくとも一方の軸受を支持する為の軸受ホルダを、上記ギヤハウジングに対し揺動変位を可能に支持する。
更に好ましくは、請求項9に記載した様に、上記ウォーム軸の軸方向に関して、このウォーム軸の両端寄り部分を回転自在に支持する1対の軸受のうちの電動モータ側の軸受と、このウォーム軸のウォーム及びウォームホイールの噛合部との間に、このウォーム軸の揺動中心軸を設ける。
更に好ましくは、請求項10に記載した様に、上述の請求項6〜9の何れかに記載したウォーム減速機に於いて、上記ウォーム軸のウォーム及びウォームホイールの噛合部に関して、このウォーム軸の揺動中心軸と反対側に、このウォーム軸にこのウォームホイールに向かう方向の弾力を付与する為の弾力付与手段を設ける。
更に好ましくは、請求項11に記載した様に、上述の請求項6〜10の何れかに記載したウォーム減速機に於いて、上記ウォーム軸の一端寄り部分を回転自在に支持する軸受を支持する為の軸受ホルダを、上記ギヤハウジングに、揺動軸により揺動変位を可能に支持すると共に、これらギヤハウジングと揺動軸との間、又はこれら軸受ホルダと揺動軸との間に弾性材を設ける。
又、上述の請求項6〜10に記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項12に記載した様に、上記ウォーム軸の一端寄り部分を回転自在に支持する軸受を支持する為の軸受ホルダを、上記ギヤハウジングに、揺動軸により揺動変位を可能に支持しており、これらギヤハウジングと揺動軸との間、又はこれら軸受ホルダと揺動軸との間に少なくとも一部が弾性材である弾性リングを設けると共に、上記ウォーム軸の揺動軸の径方向に関する上記弾性リングの剛性を、円周方向で異ならせる。
又、上述の請求項6〜9の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項13に記載した様に、上記ウォーム軸と電動モータの回転軸との間に、このウォーム軸に上記ウォームホイールに向かう方向の弾力を付与する為の弾力付与手段を設ける。
又、上述の請求項6〜9の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項14に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を回転自在に支持する1対の軸受のうちの少なくとも一方の軸受を支持する為の軸受ホルダと上記ギヤハウジングとの間に、上記ウォーム軸に上記ウォームホイールに向かう方向の弾力を付与する為の弾力付与手段を設ける。
又、上述の請求項6〜14の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項15に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を支持する1対の軸受のうちの上記揺動中心軸から離れた一方の軸受と、上記ギヤハウジングとの間に弾性材を設ける事により、このギヤハウジングに対する上記ウォーム軸の揺動変位を可能とする。
又、上述の請求項6〜14の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項16に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を支持する1対の軸受のうちのこのウォーム軸の揺動中心軸から離れた一方の軸受と上記ギヤハウジングとの間に、少なくとも一部が弾性材製である第二の弾性リングを設ける事により、このギヤハウジングに対する上記ウォーム軸の揺動変位を可能とすると共に、この第二の弾性リングの剛性を、このウォーム軸の揺動変位方向に関するものと、別の方向に関するものとで異ならせる。
又、上述の請求項15又は請求項16に記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項17に記載した様に、上記一方の軸受とギヤハウジングとの間に設けた弾性材又は第二の弾性リングに、上記ウォーム軸の揺動変位を規制する為のストッパ部を設ける。
又、上述の請求項6〜17の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項18に記載した様に、上記電動モータの回転軸とウォーム軸とを弾性材を介して連結する。
又、上述の請求項6〜18の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項19に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を回転自在に支持する1対の軸受のうちの少なくとも一方の軸受を支持する為の軸受ホルダと、上記ギヤハウジングとの間にグリースを充填する。
又、上述の請求項6〜18の何れかに記載したウォーム減速機を実施する場合に、好ましくは、請求項20に記載した様に、上記ウォーム軸の両端寄り部分を回転自在に支持する1対の軸受のうちの少なくとも一方の軸受を支持する為の軸受ホルダを、マグネシウム合金製とする。
又、請求項21に記載した本発明の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイールを設けるステアリングシャフトと、このステアリングシャフトの前端側に設けられたピニオンと、このピニオン又はこのピニオンに支持した部材と噛合させたラックと、上述の請求項6〜20の何れかに記載したウォーム減速機と、ウォーム軸を回転駆動する為の電動モータと、上記ステアリングシャフト又はピニオンに加わるトルクの方向と大きさとを検出する為のトルクセンサと、このトルクセンサから入力された信号に基づき上記電動モータの駆動状態を制御する為の制御器とを備える。又、上記ウォームホイールを、上記ステアリングシャフトと、上記ピニオンと、このピニオンと離れた位置で上記ラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材に固定する。
又、本発明のウォーム減速機を実施する場合に好ましくは、請求項22に記載した様に、弾性体を、予圧パッドを介して、ウォーム軸にウォームホイールに向かう方向の弾力を付与するものとする。
又、このウォームホイールは、アシスト軸に固定自在とする。
又、上記ウォーム軸を、一端寄り部分を第一の軸受により、他端寄り部分を第二の軸受によりギヤハウジングの内側に支持すると共に、中間部に設けたウォームが上記ウォームホイールと噛合しており、且つ、上記第一の軸受を中心として揺動可能としたものとする。
又、上記第二の軸受を、外周面及び軸方向両側面の少なくとも一部を上記ギヤハウジングに固定された合成樹脂製の緩衝部材により覆われて、この緩衝部材に対するこの第二の軸受の軸方向の変位を規制されたものとする。
又、上記ウォーム軸の、上記予圧パッド及び第二の軸受に対する軸方向の変位を許容させる。
又、請求項22に記載したウォーム減速機を実施する場合により好ましくは、請求項23に記載した様に、緩衝部材を、円周方向の一部に軸方向全長に亙る切り欠きを設けたものとする。
又、より好ましくは、請求項24に記載した様に、第二の軸受を、緩衝部材に対するこの第二の軸受の軸方向の変位を阻止されると共に、この緩衝部材に対するこの第二の軸受の径方向の変位を許容されたものとする。
又、より好ましくは、請求項25に記載した様に、緩衝部材とギヤハウジングとの間、又は、この緩衝部材と第二の軸受との間に、弾性部材を設ける。
又、より好ましくは、請求項26に記載した様に、緩衝部材を、この緩衝部材の中心軸を含む仮想平面により2分割する事により得られる如き形状を有する1対の素子から成るものとする。
又、請求項26に記載した構成を実施する場合に好ましくは、請求項27に記載した様に、1対の素子同士の突き合わせ面の面方向を、ウォーム軸に弾性体により弾力を付与する方向と一致させる。
又、請求項28に記載した電動式パワーステアリング装置の場合には、後端部にステアリングホイールを設けるステアリングシャフトと、このステアリングシャフトの前端側に設けられたピニオンと、このピニオン又はこのピニオンに支持した部材と噛合させたラックと、請求項22〜27の何れかに記載したウォーム減速機と、ウォーム軸を回転駆動する為の電動モータと、上記ステアリングシャフト又はピニオンに加わるトルクの方向と大きさとを検出する為のトルクセンサと、このトルクセンサから入力された信号に基づき上記電動モータの駆動状態を制御する為の制御器とを備え、アシスト軸が、上記ステアリングシャフトと、上記ピニオンと、このピニオンと離れた位置で上記ラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材である。
本発明のウォーム減速機及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合、上述の様に、弾性体により、ウォーム軸にウォームホイールに向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイールとウォーム軸との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での耳障りな歯打ち音の発生を抑える事ができる。
又、前述した請求項2、3に記載した発明によれば、電動モータの駆動時にウォームホイールからウォーム軸に加わる反力により予圧パッドが案内面に衝合する事による、耳障りな異音(音鳴り)の発生を、上記歯打ち音の抑制効果を損なう事なく、抑えられる。
即ち、請求項2、3に記載した構成は、次の様な課題を解決する事を目的とする。
先ず、従来技術として、特許文献1には、ウォームホイールとウォーム軸との噛合部でのバックラッシュを小さくする事を考慮したウォーム減速機が記載されている。このウォーム減速機は、電動モータ等と共に、電動式パワーステアリング装置に組み込んで、ステアリングシャフトに加わる操舵トルクに応じて発生させた電動モータの回転を、ウォーム減速機で減速する事により得た補助トルクを、上記ステアリングシャフトに付与する。この為に、このステアリングシャフトの一部に上記ウォーム減速機を構成するウォームホイールを外嵌固定すると共に、このウォームホイールに、ウォーム軸のウォームを噛合させている。このウォーム軸の両端部は、ギヤハウジングの内側に、1対の転がり軸受により、回転自在に支持している。又、このギヤハウジングに電動モータを結合している。上記ウォーム軸の両端部のうち、この電動モータ側の一端部を、この電動モータの回転軸の一端部にスプライン結合している。
又、上記ギヤハウジングの一部で、上記電動モータと反対側の部分に、上記ウォーム軸と直交する方向のねじ孔を設けており、このねじ孔の外端部にナット部材を結合している。又、このねじ孔の内側にばね保持部材を軸方向の変位を自在に設けると共に、上記1対の転がり軸受のうち、上記電動モータと反対側の一方の転がり軸受の外周面に、上記ばね保持部材の一端面を突き当てている。そして、このばね保持部材の他端面と上記ナット部材との間に設けたコイルばねと、このばね保持部材と、上記一方の転がり軸受とにより、上記ウォーム軸の他端部に、ウォームホイールに向かう方向の弾力を付与している。
この様な特許文献1に記載されたウォーム減速機によれば、ウォーム減速機の噛合部に存在するバックラッシュを或る程度小さく抑える事ができる為、このウォーム減速機での歯打ち音の発生を或る程度抑える事ができる。ウォーム減速機部分での歯打ち音の発生を抑える構造としては、上記特許文献1に記載されたものの他、特許文献2に記載されたものも知られている。
上述の特許文献1に記載されたウォーム減速機の場合には、特許文献2にも記載されている様に、ばね保持部材がねじ孔の内側で、ウォーム軸の径方向に変位自在であるのに対し、このウォーム軸のウォームとウォームホイールとの歯面は、それぞれの回転方向に対しねじれている。この為、このウォーム軸からこのウォームホイールに電動モータの駆動力を伝達する際に、このウォームホイールと上記ウォームとの噛合部で、このウォームホイールから上記ウォーム軸に、このウォーム軸の径方向に対しねじれた方向の反力が加わる。そして、この反力に基づいて、上記一方の転がり軸受から上記ばね保持部材に加わる力により、このばね保持部材が上記ねじ孔の径方向に変位して、このねじ孔の内周面に強く衝合する可能性がある。この様にばね保持部材がねじ孔に強く衝合した場合には、耳障りな異音(音鳴り)が発生し易くなる。
又、この異音は、ウォームホイールが所定の方向に回転する場合に、より発生し易くなる。この理由に就いて、以下に説明する。図47、48に示す様に、ウォーム軸29の一端部{図47(a)、図48(a)の左端部}を転がり軸受85により、図示しない固定の部分に対し、回転及び若干の揺動変位を自在に支持する場合を考える。又、上記ウォーム軸29の中間部に設けたウォームを、ウォームホイール28と噛合させる。この状態で、このウォーム軸29を回転駆動する事によりこのウォーム軸29から上記ウォームホイール28に駆動力を伝達すると、このウォームホイール28からこのウォーム軸29に反力が加わる。尚、図47に示す場合と図48に示す場合とでは、このウォーム軸29に、互いに同じ大きさの駆動力を逆方向に付与している。この為、上記ウォームホイール28は、図47に示す場合と図48に示す場合とで、互いに逆方向に回転する。この様な状態では、上記ウォームホイール28とウォームとの噛合部で、このウォームホイール28から上記ウォーム軸29に、それぞれが図47、48のx、y、zの3方向の成分である、Fx 、Fy 、Fz の分力を有する見かけ上の反力が加わる。これら分力Fx 、Fy 、Fz のうち、上記ウォームホイール28の径方向に対し直交する方向の分力である、Fx 、Fz は、図47に示す様にウォームホイール28が一方向{図47(a)に矢印イで示す方向}に回転する場合と、図48に示す様にウォームホイール28が他方向{図48(a)に矢印ロで示す方向}に回転する場合とで、互いに逆方向になる。
一方、上記噛合部と上記ウォーム軸29の揺動中心oとの、このウォーム軸29の径方向に関する距離をd29とした場合に、d29・Fx なる大きさのモーメントMが、上記ウォーム軸29に作用する。この為、上記当該噛合部とウォーム軸29の揺動中心oとの、このウォーム軸29の軸方向に関する距離をL29とした場合に、上記モーメントMに基づくM/L29の大きさの力Fr が、このウォーム軸29の径方向に作用する。この力Fr は、図47に示す場合と図48に示す場合とで、互いに逆方向になる。この為、このウォーム軸29の噛合部で上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に作用する、モーメントMを考慮したy方向の実際の力Fy ´の大きさは、ウォームホイール28が、図47に示す、一方向に回転する場合に小さく(Fy ´=Fy −Fr )なり、図48に示す、他方向に回転する場合に大きく(Fy ´=Fy +Fr )なる。従って、上記ウォーム軸29の噛合部に作用する、実際のy、z方向の分力の合力F´の大きさは、ウォームホイール28が一方向に回転する場合に、図49に矢印ハで示す様に小さくなり、ウォームホイール28が他方向に回転する場合に、同図に矢印ニで示す様に大きくなる。この様に、ウォームホイール28が他方向に回転する場合に上記噛合部でウォームホイール28からウォーム軸29に作用する力F´が大きくなると、このウォーム軸29の他端部{図47(a)、図48(a)の右端部)}に、図示しない転がり軸受を介して弾力を付与する、図示しないばね保持部材に作用する力も大きくなる。そして、このばね保持部材が図示しないねじ孔の内周面等、このばね保持部材の変位を規制する部分に強く衝合して、異音が発生し易くなる。
又、特許文献2には、押圧体の外周面とハウジングの内周面との間に弾性体を設ける事で、上記異音の発生を抑える構造が記載されている。但し、上記特許文献2に記載された構造は、上記押圧体の軸方向変位に対する抵抗が大きくなり、噛合部のバックラッシュに基づく異音の抑制効果が損なわれる可能性がある。
請求項2、3に記載したウォーム減速機及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置は、この様な事情に鑑みて、ウォーム減速機での歯打ち音の発生を抑えるべく、ウォーム軸に、弾性部材により別の部材を介して弾力を付与する構造で、この別の部材がこの別の部材の変位を規制する部分に衝合する事による、異音の発生を抑えるべく発明したものである。
そして、前述の様に構成する請求項2、3に記載した構成によれば、上記ウォームホイールから上記ウォーム軸に加わる反力のうち、このウォーム軸の中心軸に対し直交する方向の作用方向に関して、このウォーム軸と予圧パッドとの接触部を対象な位置に設けた場合に、上記反力が加わった場合に、この予圧パッドを、大きく弾性変形させ易くできる。この為、この予圧パッドから案内面に加わる衝撃力を緩和できる。従って、この予圧パッドがこの案内面に衝合する事による上記異音の発生を、より効果的に抑える事ができる。
又、前述した請求項4に記載した発明によれば、ウォームホイールの回転方向により異なる、電動モータの駆動時にこのウォームホイールからウォーム軸に加わる反力の方向と、案内面に沿う予圧パッドの変位方向とがなす角度を、これら反力の方向に拘らずほぼ等しくする等により、この反力に基づく予圧パッドの弾性変形量の、この方向の違いによる差を小さくし易くできる。この為、この予圧パッドが上記案内面に衝合する際の衝撃力の、上記方向の違いによる差を小さくし易くできて、上記異音の発生をより効果的に抑えられる。
又、前述した請求項6に記載した発明によれば、ウォーム減速機を組み込んだ電動式パワーステアリング装置で、ステアリングホイールを回転させるのに要する力やこのステアリングホイールの戻り性能の、両回転方向での差を抑える事ができる。
即ち、請求項6に記載した構成の場合には、次の様な課題を解決する事を目的とする。 先ず、従来技術として、特許文献3には、ウォームホイールとウォーム軸との噛合部でのバックラッシュを小さくする事を考慮したウォーム減速機が記載されている。このウォーム減速機は、図50〜51に示す様に、電動モータ114と共に、電動式パワーステアリング装置に組み込んで、ステアリングシャフト113に加わる操舵トルクに応じて発生させた上記電動モータ114の回転をウォーム減速機115で減速する事により得た補助トルクを、上記ステアリングシャフト113に付与する。この為に、このステアリングシャフト113の一部に上記ウォーム減速機115を構成するウォームホイール116を外嵌固定すると共に、このウォームホイール116にウォーム軸117のウォーム118を噛合させている。このウォーム軸117の両端部は、ギヤハウジング119の内側に、1対の転がり軸受120a、120bにより、回転自在に支持している。又、上記ウォーム軸117の基端部(図50の左端部)を、上記電動モータ114の回転軸121の一端部(図51の右端部)に連結している。
又、上記ウォーム軸117の先端部(図50の右端部)の外周面と、上記ギヤハウジング119に設けた凹孔122の内周面との間に、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの一方の転がり軸受120bと弾力付与手段123とを設けている。この弾力付与手段123は、それぞれが金属製である内径側円筒部124及び外径側円筒部125と、これら両円筒部124、125同士を連結した、ゴム又は合成樹脂製の円輪部126とから成る。又、上記内径側円筒部124を、上記外径側円筒部125に対し、上記ウォームホイール116側に偏心させている。そして、上記凹孔122に、上記弾力付与手段123の外径側円筒部125を内嵌固定すると共に、上記内径側円筒部124の内側に固定した一方の転がり軸受120bの内輪127に、上記ウォーム軸117の先端部を内嵌固定している。この構成により、上記ウォーム軸117の先端部に、上記ウォームホイール116に向かう方向(図50、51の上向)の弾力が付与され、上記ウォーム軸117がこのウォームホイール116側に揺動変位する。尚、このウォーム軸117の基端部を支持する、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの他方の転がり軸受120aの片面(図50の左端面)に、上記ギヤハウジング119のねじ孔128に結合したねじ環129の先端面を押し付けている。そして、この構成により、上記1対の転がり軸受120a、120bの軸方向の内部隙間を小さくし、これら各転がり軸受120a、120bのがたつきを抑えている。
この様な特許文献3に記載されたウォーム減速機によれば、ウォーム軸117のウォーム118とウォームホイール116との噛合部に存在するバックラッシュを或る程度小さく抑える事ができる為、この噛合部での歯打ち音の発生を或る程度抑える事ができる。
上述の様な特許文献3に記載されたウォーム減速機の場合には、ウォーム軸117をギヤハウジング119に対し揺動変位を可能に支持している。但し、このウォーム軸117の揺動変位の中心軸を、このウォーム軸117の基端部を支持する為の転がり軸受120aの中心等の、このウォーム軸117の中心軸上の点を通る位置に設けている場合には、図示しないステアリングホイールの両回転方向での戻りに差が生じると言った問題がある。又、運転者がこのステアリングホイールを操作するのに要する力の両回転方向での差が大きくなると言った問題もある。この理由に就いて、以下に説明する。
先ず、電動モータ114によりウォーム軸117を回転駆動し、このウォーム軸19からウォームホイール18に駆動力を伝達する場合を、図52(a)(b)に示した略図で考える。図52の(a)と(b)とでは、上記電動モータ114を、逆方向に同じ大きさで回転駆動する。又、図52(a)(b)では、ウォーム軸117とウォームホイール116との軸角を90度とする。この状態では、これらウォーム軸117のウォームとウォームホイール116との歯面が、これらウォーム軸117とウォームホイール116との中心軸に対し捻れていると共に、これら歯面に圧力角が存在する。この為、このウォームホイール116から上記ウォーム軸117には、このウォーム軸117の軸方向及び径方向と、上記ウォームのピッチ円の接線方向との、3方向の成分の分力Fa1、Fr1、Fu1を有する反力が加わる。
又、これら各分力Fa1、Fr1、Fu1のうち、上記ウォーム軸117の軸方向の分力Fa1は、このウォーム軸117から上記ウォームホイール116に、このウォームホイール116のピッチ円の接線方向に加わる分力Fu2と、逆方向で同じ大きさになる。又、上記ウォーム軸117の径方向の分力Fr1は、このウォーム軸117から上記ウォームホイール116に、このウォームホイール116の径方向に加わる分力Fr2と、逆方向で同じ大きさになる。又、上記ウォームの接線方向の分力Fu1は、上記ウォーム軸117から上記ウォームホイール116に、このウォームホイール116の軸方向に加わる分力Fa2と、逆方向で同じ大きさになる。この様な事情から、図50、51に示す構造の場合には、上記ウォーム軸117に上記径方向の分力Fr1が加わった場合でも、このウォーム軸117のウォームとウォームホイール116との歯面同士が離隔しない様にする為に、弾力付与手段123(図50、51)により、上記ウォーム軸117に上記ウォームホイール116に向かう方向の適切な大きさの弾力を付与している。
又、上記ウォームホイール116から上記ウォーム軸117に加わる反力は、このウォーム軸117の中心軸上からこのウォームホイール116側へずれた、このウォーム軸117のウォームとこのウォームホイール116との噛合部で作用する。この為、このウォーム軸117の揺動中心をこのウォーム軸117の中心軸を通る位置に設けている場合には、上記軸方向の分力Fa1により、このウォーム軸117に、この揺動中心をその中心とするモーメントが作用する。又、このモーメントの方向は、上記ウォーム軸117が両方向に回転する場合に逆になる。これに就いて、図53、54を用いて、更に詳しく説明する。
図53、54では、ウォーム軸117の基端部(図53、54の左端部)を転がり軸受120aにより、図示しない固定の部分に、回転及びこの転がり軸受120aの中心oをその中心とする若干の揺動変位を可能に支持している。又、上記ウォーム軸117を、図53に示す場合と図54に示す場合とで互いに逆方向に同じ大きさで回転駆動する。この様な状態では、このウォーム軸117のウォームとこのウォームホイール116との噛合部で、このウォーム軸117の軸方向に関して、図53に示す場合と図54に示す場合とで逆方向の反力Fa1が、このウォームホイール116からこのウォーム軸117に加わる。又、上記噛合部と上記ウォーム軸117の揺動中心oとの、このウォーム軸117の径方向に関する距離をd117 とした場合に、d117 ・Fa1なる大きさのモーメントMが、上記ウォーム軸117に作用する。このモーメントMの方向は、図53に示す場合と図54に示す場合とで、互いに逆になる。そして、上記噛合部と上記ウォーム軸117の揺動中心oとの、このウォーム軸117の軸方向に関する距離をL117 とした場合に、M/L117 の大きさの力Fm が、上記噛合部でこのウォーム軸117の径方向に作用する。又、この力Fm の作用方向は、図53に示す場合と図54に示す場合とで、互いに逆になる。この為、上記噛合部で上記ウォームホイール116から上記ウォーム軸117に径方向に作用する、上記モーメントMを考慮した実際の力Fr1´の大きさは、ウォームホイール116が、図53に示す、一方向に回転する場合に小さく(Fr1´=Fr1−Fm )なり、図54に示す、他方向に回転する場合に大きく(Fr1´=Fr1+Fm )なる。
この様に、上記ウォーム軸117に上記噛合部で径方向に作用する実際の力Fr1´が大きくなる、上記ウォームホイール116が他方向に回転する場合(図54に示す場合)には、上記ウォーム軸117のウォームの歯面が上記ウォームホイール116の歯面から離隔し易くなる。一方、これら歯面同士が押し付け合う力を大きくすると、上記ウォームホイール116及びウォーム軸117の回転トルクが増大する。この様な事情から、上記ウォームホイール116が他方向に回転する場合に、上記歯面同士を離隔させない事と、これら各歯面同士が押し付け合う力を過大にしない事との両立を図る事を考慮して、上記ウォーム軸117に弾力付与手段により付与する弾力は、適切な所定値に設定する必要がある。但し、この様に上記弾力を設定した場合でも、上記ウォームホイール116が一方向に回転する場合には、上記各歯面同士が押し付け合う力が過大になる事が避けられない。この為、自動車を旋回走行から直進走行に戻す際の、ステアリングホイールが中立状態に戻る、戻り性能が一方向で悪化したり、運転者がこのステアリングホイールを回転させるのに要する力が一方向で過大になり、これら戻り性能や力の、このステアリングホイールの両回転方向での差が大きくなると言った問題が生じる。
請求項6に記載したウォーム減速機及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置は、この様な事情に鑑みて、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部での歯打ち音の発生を抑えるべく、このウォーム軸にこのウォームホイールに向かう方向の弾力を付与する構造で、このウォームホイールを固定した部材を回転させるのに要する力や、この部材が中立状態迄回転する戻り性能の、両回転方向での差を抑えるべく発明したものである。
前述の様に構成する請求項6に記載したウォーム減速機の場合には、ウォーム軸の揺動中心軸を、このウォーム軸の中心軸上からウォームホイール側にずれた位置に、このウォームホイールの中心軸と平行に設けている。この為、このウォーム軸からこのウォームホイールに駆動力を伝達する際に、このウォームホイールからこのウォーム軸に、このウォーム軸の軸方向に反力が加わるのにも拘らず、この軸方向の反力に基づいてこのウォーム軸に発生するモーメントを小さく若しくは0にできる。従って、上記ウォームホイールから上記ウォーム軸に加わる径方向の反力が、このモーメントの影響により変動するのを抑える事ができる。そして、この事により、上記ウォームホイールを固定した部材を回転させるのに要する力や、この部材が中立状態迄回転する戻り性能の、両回転方向での差を抑える事ができる。この結果、上述の様な本発明のウォーム減速機を組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、ステアリングホイールを回転させるのに要する力やこのステアリングホイールの戻り性能の、両回転方向での差を抑える事ができる。
又、前述した請求項7に記載した発明によれば、ウォーム軸からウォームホイールに駆動力を伝達する際に、このウォームホイールからこのウォーム軸に、このウォーム軸の軸方向に反力が加わるのにも拘らず、この軸方向の反力に基づきこのウォーム軸にモーメントが発生する事をなくす(0にする)事ができる。この為、上記ウォームホイールを固定した部材を回転させるのに要する力や、この部材が中立状態迄回転する戻り性能の、両回転方向での差をなくす事ができる。
又、前述した請求項8に記載した発明によれば、一方の軸受として、従来から一般的に使用しているものを使用しつつ、この一方の軸受をギヤハウジングに対し揺動変位を可能に支持でき、コストの上昇を抑える事ができる。
又、前述した請求項9に記載した発明によれば、ウォーム軸の電動モータ側の端部の揺動変位量を少なくしつつ、このウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部に大きな予圧を付与する事ができ、この噛合部での耳障りな歯打ち音の発生を、より効果的に抑える事ができる。
又、前述した請求項10に記載した発明によれば、弾力付与手段を構成する弾性体の弾性変形量を大きくでき、ウォーム軸に付与する弾力の大きさを調節し易くできる。
又、前述した請求項11に記載した発明によれば、ウォーム軸の回転トルクを徒に増大させる事なく、上記噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。即ち、ウォーム軸をギヤハウジングに対し軸方向に対する変位を不能として支持している場合には、ウォームホイールに回転振動が入力された場合に、上記ウォーム軸が回転運動し易くなる。又、このウォーム軸には慣性モーメントが大きい電動モータの回転軸を連結する為、上記ウォームホイールの回転振動に基づき、このウォーム軸のウォームと上記ウォームホイールとの歯面同士の間で伝達される力が大きくなる。従って、この力が加わった場合でも、これら両歯面同士が離れない様にする為には、上記弾力付与手段により付与する弾力を大きくする必要があるが、この弾力が過大になった場合には、上記ウォーム軸の回転トルクが徒に増大する。これに対して、請求項11に記載したウォーム減速機によれば、上記ウォームホイールに回転振動が入力された場合に、上記ウォーム軸を軸方向に変位し易くでき、このウォーム軸を回転運動しにくくできる。この為、上記両歯面同士の間で伝達される力を小さくできる。この結果、上記ウォーム軸の回転トルクを徒に増大させる事なく、これら両歯面同士が離れる事を防止でき、上記歯打ち音の発生を抑える事ができる。更に、これら両歯面同士の衝合に基づく振動を、上記ギヤハウジングに迄伝達しにくくでき、この振動に基づく異音の発生を抑える事ができる。
又、前述した請求項12に記載した発明によれば、ウォーム軸の軸方向に関する弾性リングの剛性を低くする事により、この弾性リング全体の必要とする剛性を確保しつつギヤハウジングに対し上記ウォーム軸を軸方向に変位し易くできる。従って、このウォーム軸の回転トルクが増大するのを、より効果的に抑える事ができる。
又、前述した請求項13に記載した発明によれば、異音の発生を抑えつつ、ウォーム軸の電動モータ側の端部を支持する為の一方の軸受として、軸方向の内部隙間が比較的大きい、深溝型の玉軸受を使用でき、コストの低減を図れる。
又、前述した請求項14に記載した発明によれば、ウォーム軸と電動モータの回転軸とを連結して成る部分の全長を大きくする事なく、このウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部に予圧を付与できる。
又、前述した請求項15に記載した発明によれば、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部での歯打ち音の発生抑制効果を損なう事なく、このウォーム軸の電動モータと反対側の端部と、この端部を支持する一方の軸受とが衝合する事による異音の発生を防止できる。
又、前述した請求項16に記載した発明によれば、ウォーム軸が意図しない方向に変位する事を防止しつつ、ウォームホイール側へのこのウォーム軸の変位をより行ない易くして、このウォーム軸のウォームとこのウォームホイールとの噛合部での歯打ち音の発生を、より効果的に抑える事ができる。
又、前述した請求項17に記載した発明によれば、ウォーム軸が過度に揺動変位するのを防止できる。
又、前述した請求項18に記載した発明によれば、電動モータの回転軸とウォーム軸との間で、回転振動を伝達しにくくできる。
又、前述した請求項19に記載した発明によれば、ウォーム軸とウォームホイールとの間で駆動力を伝達する際に、このウォームホイールからこのウォーム軸に加わる反力に基づいて、このウォーム軸がこのウォームホイールから離れる傾向となった場合に、軸受ホルダを揺動変位しにくくできる。しかも、上記駆動力が大きくなり、上記反力が大きくなると、上記ウォーム軸が上記ウォームホイールから離れる速度が大きくなる傾向となるが、この場合には、グリースの粘性抵抗も大きくなる為、上記軸受ホルダの揺動変位を抑える事ができる。この為、上記ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの歯面同士が離れる事を防止し易くできる。
又、前述した請求項20に記載した発明によれば、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの歯面同士の衝合によりこのウォーム軸に発生する振動を、軸受ホルダで吸収し易くできる為、ギヤハウジングに迄この振動を伝達しにくくできる。
又、前述した請求項22に記載した発明によれば、ウォームホイールからウォーム軸に加わる軸方向の力に拘らず、このウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部に付与する予圧を限られた狭い範囲に安定して維持し易くできる。この為、この噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。
即ち、請求項22に記載した構成の場合には、次の様な解決すべき課題を解決する事も目的とする。
先ず、従来技術として、特許文献4には、ウォームホイールとウォーム軸のウォームとの噛合部でのバックラッシュを小さくする事を考慮したウォーム減速機が記載されている。このウォーム減速機は、図55、56に示す様に、ウォーム軸117の両端寄り部分を、1対の転がり軸受120a、120bによりギヤハウジング119に対し回転自在に支持している。これら1対の転がり軸受120a、120bのうち、一方(図55の右方)の転がり軸受120bの外輪130の外周面には、押付体131をギヤハウジング119に支持したばね132により弾性的に押し付けている。そしてこの構成により、上記ウォーム軸117の先端部に、ウォームホイール116に向かう方向の弾力を付与している。又、上記一方の転がり軸受120bの周囲に、その内面に互いに平行な1対の側壁面133、133を設けた円筒状の案内部材134を設けて、上記一方の転がり軸受120bの径方向及び軸方向の変位を規制している。又、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの他方(図55の左方)の転がり軸受120aの片面に、ギヤハウジング119に形成したねじ孔128に結合したねじ環129の先端面を押し付ける事により、上記他方の転がり軸受120aの内部隙間を小さくすると共に、上記ウォーム軸117を上記一方の転がり軸受120bに押し付けて、この一方の転がり軸受120bの内部隙間を小さくしている。そして、この構成により、この一方の転がり軸受120b及び上記他方の転がり軸受120aのがたつきを抑えている。その他の構造は、前述の図48〜49に示した特許文献3に記載された構造の場合と同様である。
この様な特許文献4に記載されたウォーム減速機の場合も、上述した特許文献3に記載された構造の場合と同様に、ウォーム軸117のウォーム118とウォームホイール116との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部に存在するバックラッシュを或る程度小さく抑える事ができる為、この噛合部での歯打ち音の発生を或る程度抑える事ができる。
上述の様な特許文献4に記載された構造の場合、上記ねじ環129の締め付け量を大きくする事により、上記各転がり軸受120a、120bのがたつきを抑えている。但し、上記ねじ環129の締め付け量を大きくすると、このウォーム軸117の先端部を支持する為の、上記一方の転がり軸受120bを構成する外輪130の端面が、案内部材134の底面に強く押し付けられる。そして、これにより、これら外輪130の端面と案内部材134の底面との間に大きな摩擦力が発生する。この摩擦力が大きくなる事は、この外輪130の外周面にばね132を押し付ける事により上記噛合部に付与する予圧が減少する原因となる。又、この予圧が減少する事は、この噛合部で歯打ち音が発生し易くなる原因となる。
これに対して、上記ばね132により上記外輪130に付与する弾力を大きくする事により、上記外輪130の端面と上記案内部材134の端面との間に作用する摩擦力が大きくなる場合でも、上記噛合部に付与する予圧を所定値以上に確保する事も考えられる。但し、この予圧が大き過ぎると、上記ステアリングホイールの戻り性能が悪化してしまう。即ち、上記予圧は、上記噛合部での歯打ち音の発生を抑える為に付与するが、この予圧が所定値以上になると、自動車を旋回状態から直進状態に戻す際の、上記ステアリングホイールを中立状態に復帰させるこのステアリングホイールの戻り性能が悪化する。この為、上記予圧は、限られた狭い範囲内に設定する必要がある。従って、この予圧に大きく影響する、上記外輪130の端面と上記案内部材134の端面との間に作用する摩擦力は、十分に小さく抑える必要がある。但し、この摩擦力を十分に小さくする為に、上記ねじ環129の締め付け量を微妙に調整する作業は困難である。
又、運転者がステアリングホイールを操舵する事に伴い、電動モータ114が回転駆動した場合には、ウォームホイール116からウォーム軸117に、このウォーム軸117の軸方向に大きな反力が加わる。そして、この反力によりこのウォーム軸117が軸方向に関して案内部材134側に変位した場合には、このウォーム軸117の先端部を支持する為の上記一方の転がり軸受120bの外輪130がこの案内部材134の底面にやはり強く押し付けられ、この外輪130とこの案内部材134の底面との間に発生する摩擦力が大きくなる可能性がある。即ち、この摩擦力を長期間に亙り一定値に維持する事は困難であり、この摩擦力が大きくなった場合には、上記噛合部で歯打ち音が発生し易くなる。逆にこの摩擦力が小さくなると、上記ステアリングホイールの戻り性能が悪化し易くなる。
請求項22に記載したウォーム減速機及びこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置は、この様な事情に鑑みて、ウォームホイールからウォーム軸に加わる軸方向の力に拘らず、上記噛合部に付与する予圧を限られた狭い範囲に安定して維持し易くする事により、この噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑えるべく発明したものである。
前述の様に構成する請求項22に記載した構成の場合には、ウォーム軸に弾力を付与する為の予圧パッド及びこのウォーム軸の先端部を支持する為の第二の軸受に対する、このウォーム軸の軸方向の変位を許容している。この為、ウォームホイールからこのウォーム軸に軸方向の大きな反力が加わる場合でも、この反力により、上記予圧パッド及び第二の軸受が別の部材に、このウォーム軸の軸方向に強く押し付けられる事がない。従って、弾性体により上記予圧パッドを介してこのウォーム軸に弾力を付与する事により、上記ウォームホイールとウォーム軸のウォームとの噛合部に付与する予圧が、上記反力の影響により大きく変動する事を防止できる。この結果、この予圧を、限られた狭い範囲に長期間に亙り安定して維持し易くでき、上記噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。又、第二の軸受の変位を規制する緩衝部材を合成樹脂製としている為、これら第二の軸受と緩衝部材との間に作用する摩擦力を小さくして、この第二の軸受を径方向に変位し易くできる。この為、上記噛合部での歯打ち音の発生を、より有効に抑える事ができる。又、この第二の軸受は、外周面及び軸方向両側面の少なくとも一部を、上記緩衝部材により覆って、この緩衝部材に対する上記第二の軸受の軸方向の変位を規制している為、上記ウォーム軸をこの第二の軸受に軸方向に押し付ける事なく、この第二の軸受のがたつきを抑え易くできる。
又、前述した請求項23に記載した発明によれば、緩衝部材の直径を弾性的に大きく広げる事ができ、この緩衝部材の内側に第二の軸受を、この第二の軸受の軸方向の変位を規制する様に組み付ける作業を、容易に行なえる。又、上記緩衝部材により、この緩衝部材の周囲に設ける部品の寸法誤差及び組み付け誤差を吸収し易くできる。又、周囲の温度が変化した場合でも、この緩衝部材に設けた切り欠き部分で寸法変化を吸収して、この緩衝部材の切り欠き以外での寸法変化を抑える事ができる。
又、前述した請求項24に記載した発明によれば、ウォーム軸と第二の軸受とが軸方向に相対変位しつつ、このウォーム軸が揺動変位する場合での、これらウォーム軸と第二の軸受との間での滑り摩擦を小さくし易くでき、この揺動変位を円滑に行ない易くできる。この為、全体での摩擦損失を小さくして、このウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部に適正な予圧を付与し易くできる。
又、前述した請求項25に記載した発明によれば、ギヤハウジングに対する緩衝部材のがたつき、又はこの緩衝部材に対する第二の軸受のがたつきを抑え易くできる。この為、各部の寸法管理を容易に行なえると共に、ウォーム軸のウォームとウォームホイールとの噛合部での噛み合いを適正な状態に維持し易くできる。更に、ギヤハウジングに緩衝部材を組み付けたり、この緩衝部材に第二の軸受を組み付ける際に、これら各部材同士の間で弾性部材を圧縮する事ができる。この為、この緩衝部材又は第二の軸受の組み付け作業を、ギヤハウジング又は緩衝部材に対する、この緩衝部材又は第二の軸受の脱落を防止しつつ行なう事ができ、この組み付け作業を容易に行なえる。
又、前述した請求項26に記載した発明によれば、緩衝部材を得る為の成形作業の容易化を図れると共に、この緩衝部材の内側に第二の軸受を組み付ける作業をより容易に行なえる。
又、前述した請求項27に記載した発明によれば、ウォーム軸の揺動変位をより行ない易くできる。
[実施の形態の第1例]
図1〜9は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1を固定した、請求項に記載したアシスト軸である、ステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のウォーム減速機16と、このステアリングシャフト2の前端側に設けたピニオン11(図46参照)と、このピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材と噛合させたラック12(図46参照)と、トルクセンサ3(図46参照)と、電動モータ31と、制御器6(図46参照)とを備える。
このうちのステアリングシャフト2は、アウターシャフト17と、インナーシャフト18とを、スプライン係合部により、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に関する変位を可能に組み合わせて成る。又、本例の場合には、上記アウターシャフト17の前端部とインナーシャフト18の後端部とをスプライン係合させると共に、合成樹脂を介して結合している。従って、上記アウターシャフト17とインナーシャフト18とは、衝突時にはこの合成樹脂を破断させて、全長を縮める事ができる。
又、上記ステアリングシャフト2を挿通した筒状のステアリングコラム15は、アウターコラム19とインナーコラム20とをテレスコープ状に組み合わせて成り、軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。そして、上記インナーコラム20の前端部を、ギヤハウジング22の後端面に結合固定している。又、上記インナーシャフト18をこのギヤハウジング22の内側に挿通し、このインナーシャフト18の前端部を、このギヤハウジング22の前端面から突出させている。
上記ステアリングコラム15は、その中間部を支持ブラケット24により、ダッシュボードの下面等、車体26の一部に支承している。又、この支持ブラケット24と車体26との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット24に前方に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット24が上記係止部から外れる様にしている。又、上記ギヤハウジング22の上端部も、上記車体26の一部に支承している。又、チルト機構及びテレスコピック機構を設ける事により、前記ステアリングホイール1の前後位置及び高さ位置の調節を自在としている。この様なチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本例の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
又、上記インナーシャフト20の前端部で、上記ギヤハウジング22の前端面から突出した部分は、自在継手7を介して、中間シャフト8の後端部に連結している。又、この中間シャフト8の前端部に、別の自在継手7を介して、ステアリングギヤ9の入力軸10を連結している。前記ピニオン11は、この入力軸10に結合している。又、前記ラック12は、このピニオン11に噛合させている。尚、地面から車輪を介して中間シャフト8に加わった振動が上記ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為、上記各自在継手7、7に、振動吸収装置を設ける事もできる。
又、前記ウォーム減速機16は、上記インナーシャフト18の一部に外嵌固定自在なウォームホイール28と、ウォーム軸29と、捩りコイルばね30と、予圧パッド70とを備える。更に、上記ウォーム減速機16は、それぞれが単列深溝型である、第一〜第四の玉軸受34〜37を備える。
又、前記トルクセンサ3は、前記ステアリングシャフト2の中間部の周囲に設けて、上記ステアリングホイール1からこのステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、前記制御器6に送る。そして、この制御器6は、この検出信号に応じて、前記電動モータ31に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
又、上記ウォームホイール28とウォーム軸29とは、上記ギヤハウジング22の内側に設けて、このウォームホイール28と、このウォーム軸29の中間部に設けたウォーム27とを噛合させている。又、上記電動モータ31は、このギヤハウジング22に結合固定したケース23と、このケース23の内周面に設けた、永久磁石製のステータ39と、このケース23の内側に設けた回転軸32と、この回転軸32の中間部にこのステータ39と対向する状態で設けたロータ38とを備える。
又、前記第一の玉軸受34は、上記ケース23を構成する底板部40の中心部に設けた凹孔41の内周面と、上記回転軸32の基端部外周面との間に設けて、上記ケース23に対しこの回転軸32の基端部(図2、3の左端部)を、回転自在に支持している。又、前記第二の玉軸受35は、上記ケース23の中間部内周面に設けた隔壁部42の内周縁と、上記回転軸32の中間部外周面との間に設けて、この隔壁部42に対しこの回転軸32の中間部を回転自在に支持している。又、上記ロータ38は、この回転軸32の中間部に設けた、積層鋼板製のコア43の外周面の円周方向複数個所に設けたスロット44にコイル45を巻回して成る。又、上記回転軸32の先端寄り部分(図2、3の右端寄り部分)で、上記ロータ38と上記隔壁部42との間部分に、上記コイル45に通電する為のコンミテータ46を設けている。
一方、上記ケース23の内周面でこのコンミテータ46と対向する部分に、ブラシホルダ47を固定している。そして、このブラシホルダ47内にブラシ48を、上記ケース23の径方向の変位自在に収納している。このブラシ48は、このケース23の外周面に設けた図示しないカプラの端子と導通している。又、上記ブラシ48には、上記ブラシホルダ47内に支持したばね49により、上記ケース23の内径側に向いた弾力を付与している。従って、このブラシ48の内端面は、上記コンミテータ46の外周面と弾性的に摺接する。そして、このコンミテータ46と上記ブラシ48とにより、上記コイル45への励磁電流の向きを切り換える為のロータ位相検出器を構成している。
更に、前記ウォーム軸29の基端部(図2、4の左端部)内周面に設けた雌スプライン部50を、前記回転軸32の先端部に設けた雄スプライン部51とスプライン係合させて成るスプライン係合部33により、上記両軸29、32の端部同士を連結している。この構成により、ウォーム軸29は、回転軸32と共に回転する。
又、前記第三の玉軸受36は、前記ギヤハウジング22の内側に、上記ウォーム軸29の基端部を、回転自在に支持している。この為に、この第三の玉軸受36を構成する外輪57を、前記ギヤハウジング22の一部に設けた支持孔59の内周面に内嵌固定している。又、この外輪57の軸方向一端面(図2、4の右端面)を、この支持孔59の内周面に設けた段部58に突き当てると共に、上記外輪57の軸方向他端面(図2、4の左端面)を、この内周面に係止した係止リング88により抑え付けている。又、上記第三の玉軸受36を構成する内輪52を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面で、軸方向に関して上記スプライン係合部33と一致する部分に外嵌している。そして、このスプライン係合部33の軸方向中央位置と第三の玉軸受36との軸方向中央位置とを、ほぼ一致させている。又、上記内輪52の内周面と上記ウォーム軸29の外周面との間に微小隙間を設ける事により、上記第三の玉軸受36に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾きを可能としている。又、上記内輪52の軸方向両端面と、このウォーム軸29の基端寄り部分外周面に設けた鍔部53の側面及びこのウォーム軸29の基端部に設けた雄ねじ部54に螺合固定したナット55の内端面との間に、それぞれ複数枚ずつの皿ばね56、56を設けている。そして、上記鍔部53の側面とナット55の内端面(図2、4の左端面)との間で上記内輪52を、弾性的に挟持している。この構成により、上記第三の玉軸受36に対して上記ウォーム軸29を、軸方向に関する所定の範囲での弾性的変位を可能としている。尚、好ましくは、上記第三の玉軸受36として、4点接触型の玉軸受を使用する。
一方、前記第四の玉軸受37は、上記ギヤハウジング22の内側に、上記ウォーム軸29の先端部(図2、4、5の右端部)を、回転自在に支持している。この為に、上記第四の玉軸受37を構成する外輪60を、上記ギヤハウジング22の内側に固定したホルダ61に固定している。このホルダ61は、断面L字形で全体を円環状に形成しており、このホルダ61の片半部(図2、4、5の左半部)内周面に設けた大径部62に、上記外輪60を内嵌固定している。又、上記ウォーム軸29の先端寄り部分の外周面で、前記ウォーム27から外れた部分に設けた大径部63に、弾性材製のブッシュ64を外嵌している。このブッシュ64は、断面L字形で全体を円筒状に形成している。そして、このブッシュ64の内側に、上記ウォーム軸29の大径部63を緩く挿通すると共に、このブッシュ64の軸方向一端面(図2、4、5の右端面)から、上記ウォーム軸29の先端部を突出させている。そして、上記ブッシュ64の軸方向中間部に、上記第四の玉軸受37を構成する内輪65を外嵌固定している。又、この内輪65の軸方向一端面(図2、4、5の左端面)を、上記ブッシュ64の軸方向他端部(図2、4、5の左端部)に設けた外向鍔部67の内側面に突き当てる事により、この内輪65の軸方向の位置決めを図っている。そして、上記ブッシュ64の内周面と上記大径部63の外周面との間に微小隙間を設ける事により、このブッシュ64に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾き(径方向の変位)を可能としている。
又、このウォーム軸29に設けた大径部63とこの大径部63よりも先端側に外れた部分に設けた小径部68との間に、テーパ面89を設けている。又、この小径部68と上記ウォーム軸29の先端面との連続部に、テーパ面109を設けている。そして、前記ギヤハウジング22に固定したホルダ61の他端面(図2、4、5の右端面)とこのギヤハウジング22に設けた凹孔72の底面との間に配置した予圧パッド70の一部に、上記小径部68をがたつきなく挿入している。この予圧パッド70は、図7〜9に詳示する様に、固体潤滑材を混入した合成樹脂を射出成形する等により、欠円筒の外周寄り部分の径方向反対側2個所位置の片側部分を除去した如き形状に造っている。又、この予圧パッド70の外周面の径方向反対側に設けた平面部91、91のうち、長さ方向一端部(図7〜9の下端部)の片側寄り部分(図7〜9の裏側寄り部分)に腕部92、92を設けている。又、この予圧パッド70の幅方向(図6〜9の左右方向)中央部に軸方向に貫通する状態で設けた、通孔71の内側に、上記ウォーム軸29の小径部68をがたつきなく挿入自在としている。
又、上記通孔71の軸方向両端寄り部分に、開口端に向かう程直径が大きくなったテーパ面93a、93bを、それぞれ設けている。又、この通孔71の軸方向中間部の自由状態での内周面の断面形状を、略正三角形で、互いに隣り合う2本の直線部同士をそれぞれ曲線部により連続させた如き形状としている。そして、これら各直線部の中間部が位置する、上記通孔71の中間部内周面の円周方向等間隔3個所位置を、上記ウォーム軸29の小径部68の外周面が弾性的に当接する接触部94、94としている。本例の場合、これら各接触部94、94は、上記予圧パッド70の中心軸を含み、幅方向中央部を通る、仮想平面α(図7)に関して、対象な位置に存在する。又、上記通孔71の軸方向中間部の内周面で、上記予圧パッド70の幅方向中央部に位置する1個の接触部94と、この通孔71の中心軸に関して反対側に位置する部分に、凹部95を形成している。この構成により、上記予圧パッド70の円周方向一部でこの凹部95に対応する部分の剛性は低くなり、この部分が弾性変形し易くなる。又、上記予圧パッド70の内外両周面同士を連通させる不連続部90を、上記仮想平面αに関して片側(図7〜9の右側)にずれた位置に設けている。
一方、上記予圧パッド70の外周面で、前記ウォームホイール28と反対側(図7〜9の下側)の部分に第一部分円筒面部104を、このウォームホイール28側(図7〜9の上側)の部分にこの第一部分円筒面部104と同心の第二部分円筒面部105を、それぞれ設けている。又、この第一部分円筒面部104の円周方向中間部に、幅の小さい突部106を設けると共に、この突部106の先端面を、この第一部分円筒面部104と同心の第三部分円筒面部107としている。又、上記予圧パッド70の外周面で上記ウォームホイール28と反対側部分の、前記ホルダ61と反対側の軸方向一端部(図5の右端部、図7〜9の表側端部)に、外径側に突出する係止突部108を設けている。
この様な予圧パッド70は、前記ギヤハウジング22(図2、4〜6)に内嵌固定自在な前記ホルダ61に、図8、9に詳示する様に組み合わせている。又、このホルダ61の軸方向他面(図9の表側面)に、それぞれ2個ずつ合計4個の第一、第二の突部97、98を、上記通孔96の開口周辺部の4個所位置に振り分けて形成している。このうちの各第一の突部97、97は、ウォームホイール28側(図2、4、5の上側)に存在し、各第二の突部98、98は、このウォームホイール28と反対側(図2、4、5の下側)に存在する。又、上記各第一、第二の突部97、98の外径側側面に、互いに同心の部分円筒面部99、99を、それぞれ設けている。又、これら各第二の突部98、98の先端寄り部分で上記ウォームホイール28と反対側の側面に、第一の係止突部100、100を設けている。
そして、それぞれが上述の様に構成するホルダ61と予圧パッド70とを組み合わせると共に、これら両部材61、70の周囲に捩りコイルばね30を設けている。即ち、このホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内側に上記予圧パッド70を配置すると共に、これら各第二の突部98、98の片側(図8、9の下側)に、この予圧パッド70に設けた各腕部92、92を係止している。又、上記各第二の突部98、98に設けた第一の係止突部100、100の片側面(図8、9の裏側面)と上記各腕部92、92とを、微小隙間を介して対向させている。又、上記捩りコイルばね30の両端部で、径方向反対側2個所位置に設けた1対の係止部73、73を、上記ホルダ61の一部に設けた、互いに隣り合う第一、第二の突部97、98の間部分に配置しつつ、これら各第一、第二の突部97、98の外径側側面と上記予圧パッド70の外周面とに、上記捩りコイルばね30の本体部分(コイル部分)を外嵌している。又、この捩りコイルばね30の係止部73、73を、上記ホルダ61に設けた各第二の突部98、98の他側面(図6、8、9の上側面)に係止している。又、これら各第二の突部98、98の他側面の先端部に設けた第二の係止突部101、101により、上記各係止部73、73の抜け止めを図っている。そして、上記捩りコイルばね30の本体部分の内周縁を、前記ウォームホイール28と反対側(図2、4〜9の下側)に設けた第三部分円筒面部107に、弾性的に押し付けている。
又、本例の場合には、上記予圧パッド70に設けた各平面部91、91を、上記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に微小隙間を介して対向させている。この構成により、上記予圧パッド70は、これら内径側側面により、この予圧パッド70の幅方向(図2、4、5の表裏方向、図6〜9の左右方向)に関する変位を規制される。本例の場合には、上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面が、請求項2〜4に記載した案内面に相当する。
そして、この様にホルダ61と予圧パッド70と捩りコイルばね30とを組み合わせた状態で、このホルダ61を、前記ギヤハウジング22の一部に内嵌固定している。又、このギヤハウジング22に上記ホルダ61を固定した後に、前記ウォーム軸29の先端部に設けた小径部68を、上記予圧パッド70に設けた通孔71に挿入している。この構成により、上記ウォーム軸29の先端部には、上記捩りコイルばね30から上記予圧パッド70を介して、前記ウォームホイール28に向かう方向(図2、4、5の上向)の弾力が付与される。即ち、この予圧パッド70に設けた通孔71に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する以前の状態で、この通孔71の中心軸は、上記ホルダ61の中心軸に対し、片側(図4〜9の上側)に片寄っている。そして、上記予圧パッド70に設けた通孔71の内側に上記ウォーム軸29の先端部を挿入すると、この予圧パッド70に設けた第三部分円筒面部107により、上記捩りコイルばね30の直径が弾性的に押し広げられる。そして、この捩りコイルばね30が巻き戻る(直径を縮める)方向に弾性復帰する傾向となり、この捩りコイルばね30から上記ウォーム軸29の先端部に、上記予圧パッド70を介して、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。この構成により、このウォームホイール28を外嵌固定した前記インナーシャフト18と上記ウォーム軸29との、中心軸同士の間の距離は弾性的に縮まる。この結果、上記ウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。
更に、上記捩りコイルばね30の弾力に基づき、上記ウォーム軸29の先端部が上記予圧パッド70に設けた通孔71の内側で前記凹部95側に変位する事により、この予圧パッド70自身が、図6に示す様に、この予圧パッド70のうちの上記凹部95を挟む両側部分同士の間隔を拡げる様に弾性変形する。そして、上記予圧パッド70の各平面部91、91が弾性的にハ字形に拡がって、これら各平面部91、91が前記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に弾性的に当接し、これら各平面部91、91と内径側側面との隙間が小さくなる。
又、本例の場合には、上記予圧パッド70の外周面と上記捩りコイルばね30の内周縁との当接部を部分円弧状とすると共に、この当接部の長さを、この捩りコイルばね30の1巻きの長さに対して十分に小さくしている。又、上記予圧パッド70の周囲にこの捩りコイルばね30を設けた状態で、この捩りコイルばね30を構成する各1巻きずつの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面との間(線間)に、軸方向の隙間を設けている。
上述の様に、本例のウォーム減速機とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、捩りコイルばね30により、ウォーム軸29の先端部に、予圧パッド70を介してウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイール28とウォーム軸29との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。しかも、本例の場合には、ギヤハウジング22に固定されたホルダ61に設けられた、第一、第二の各突部97、98の内径側側面により、上記予圧パッド70の幅方向に関する変位を規制している。又、上記捩りコイルばね30の弾力に基づき、上記ウォーム軸29の先端部を予圧パッド70に設けた通孔71の内側で凹部95側に変位させ、この予圧パッド70自身を弾性変形させている。そして、この予圧パッド70の各平面部91、91を内径側側面に弾性的に当接させる事により、これら各平面部91、91と内径側側面との隙間を小さくしている。従って、電動モータ31(図1〜4)の駆動時に上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に、図7の矢印イ、ロで示す方向の反力が加わるのにも拘らず、上記予圧パッド70が上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面に強く衝合する事を防止でき、耳障りな異音(音鳴り)の発生を抑える事ができる。又、この異音の発生を抑える事で、上記歯打ち音の抑制効果が損なわれる事がない。
又、本例の場合には、上記予圧パッド70が合成樹脂製である為、上記ウォーム軸29の端部を、この予圧パッド70に設けた通孔71の内側に挿入する際に、この予圧パッド70を弾性変形させ易くでき、この挿入作業を容易に行なえる。又、上記捩りコイルばね30を構成する各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面とが軸方向に接触している(密着巻きばねである)場合には、この接触部で摩擦が生じる事が、上記捩りコイルばね30により上記ウォーム軸29に付与する弾力が不適切に変化する原因となる。これに対して、本例の場合には、上記各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素との表面同士の間に軸方向の隙間を設けている(捩りコイルばね30が密着巻きばねでない)為、上記ウォーム軸29に所定の弾力を、より安定して付与できる。
又、本例の場合には、上記予圧パッド70の端部外周面に、外径側に突出する係止突部108を設けている為、この予圧パッド70の外周面から捩りコイルばね30が脱落する事を防止できると共に、この予圧パッド70の軸方向に関するこの捩りコイルばね30の変位を規制できる。
[実施の形態の第2例]
次に、図10は、やはり請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、予圧パッド70に設けた通孔71aの内周面とウォーム軸29の先端部に設けた小径部68の外周面との接触部94a、94aの位置を、上述した第1例の場合とは異ならせている。即ち、本例の場合には、ウォームホイール28(図4〜5参照)からこのウォーム軸29に加わる反力が大きくなる傾向となる、このウォームホイール28の所定の回転方向での、このウォーム軸29の中心軸に対し直交する方向の上記反力の作用方向である、図10の矢印イの方向に関して対象な円周方向等間隔3個所位置に、上記ウォーム軸29と予圧パッド70との接触部94a、94aを設けている。
この様な本例の場合には、電動モータ31(図1〜3参照)の駆動時に、上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に上記矢印イの方向の反力が加わった場合に、上記予圧パッド70をこの矢印イの方向に関して両側に、ほぼ均等に大きく弾性変形させ易くできる。この為、この予圧パッド70の各平面部91、91とホルダ61に設けた第一、第二の各突部97、98(図6、8、9参照)の内径側側面との間に隙間が存在する場合でも、上記予圧パッド70の弾性変形量を大きくする事ができ、上記予圧パッド70が上記ウォーム軸29に加わる反力に基づき上記矢印イの側に大きく変位する事を防止できる。従って、この予圧パッド70の一部が、上記第一、第二の各突部97、98の内径側側面に強く衝合する事を防止して、この予圧パッド70からこれら内径側側面に加わる衝撃力を緩和でき、この予圧パッド70がこれら内径側側面に衝合する事による異音の発生を、より効果的に抑える事ができる。
その他の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
次に、図11〜12は、請求項1、3、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、予圧パッド70aを、互いに別体の2個の素子110a、110bを組み合わせる事により構成している。これら2個の素子110a、110bは、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の構造を構成する予圧パッド70の不連続部90を幅方向中央部に設けると共に、通孔71(図7等参照)の中心軸に関してこの不連続部90と反対側位置でこの予圧パッド70を切断する事により得られるものの如き形状を有する。即ち、上記各素子110a、110bは、互いに対向する片側面の長さ方向(図11〜12の上下方向)中間部に、略半円筒面状の凹部111、111を、同じく長さ方向両端寄り部分に平面部112a、112bを、それぞれ設けている。又、これら各素子110a、110bの互いに反対側となる他側面に、平面部91、91と腕部92、92とを、それぞれ設けている。そして、これら各素子110a、110bを、上記各片側面に設けた平面部112a、112b同士を突き合わせつつ組み合わせた状態で、上記各凹部111、111同士を対向させた部分により、前述した実施の形態の第1例の構造を構成する予圧パッド70に設けた通孔71と同様の形状を有する通孔が形成される様にしている。
又、上記各素子110a、110bの外周面で、ウォームホイール28(図2、4、5参照)と反対側(図11、12の下側)の部分に第一部分円筒面部104a、104aを、上記ウォームホイール28側(図11、12の上側)の部分にこの第一部分円筒面部104a、104aと同心の円弧形の第二部分円筒面部105a、105aを、それぞれ設けている。又、上記各第一部分部分円筒面部104a、104aのうち、互いに対向する幅方向一端部に、幅の小さい突部106a、106aを設けると共に、これら各突部106a、106aの先端面を、上記各第一部分円筒面部104a、104aと同心の第三部分円筒面部107a、107aとしている。又、上記各素子110a、110bの外周面で上記ウォームホイール28と反対側部分の、ホルダ61と反対側の軸方向一端部(図11、12の表側端部)に、外径側に突出する係止突部108a、108aを設けている。
そして、それぞれが上述の様に構成する1対の素子110a、110bと、上記ホルダ61とを組み合わせると共に、これら各部材110a、110b、61の周囲に捩りコイルばね30を設けている。即ち、上記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内側に上記1対の素子110a、110bを配置すると共に、これら各第二の突部98、98の片側(図12の下側)に上記各素子110a、110bに設けた腕部92、92を係止している。又、これら各第二の突部98、98に設けた第一の係止突部100、100の片側面(図12の裏側面)と上記各腕部92、92とを、微小隙間を介して対向させている。
又、上記捩りコイルばね30の両端部で、径方向反対側2個所位置に設けた1対の係止部73、73を、上記ホルダ61の一部に設けた、互いに隣り合う第一、第二の突部97、98の間部分に配置した状態で、これら各第一、第二の突部97、98の外径側側面と上記各素子110a、110bの外周面とに上記捩りコイルばね30の本体部分を外嵌している。又、この捩りコイルばね30の係止部73、73を、上記ホルダ61に設けた各第二の突部98、98の他側面(図12の上側面)に係止している。そして、上記捩りコイルばね30の本体部分の内周縁を、上記各素子110a、110bに設けた第三部分円筒面部107a、107aに、弾性的に押し付けている。
又、本例の場合には、上記各素子110a、110bに設けた平面部91、91を、上記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に微小隙間を介して対向させている。この構成により、上記各素子110a、110bは、これら内径側側面により、これら各素子110a、110bの幅方向(図11、12の左右方向)に関する変位を規制される。
そして、この様にホルダ61と各素子110a、110bと捩りコイルばね30とを組み合わせた状態で、このホルダ61を、ギヤハウジング22(図1、2等参照)の一部に内嵌固定する。又、このギヤハウジング22に上記ホルダ61を固定した後に、ウォーム軸29の先端部に設けた小径部68(図4〜7参照)を、上記各素子110a、110bの凹部111、111同士を組み合わせて成る通孔に挿入する。この構成により、上記ウォーム軸29の先端部には、上記捩りコイルばね30から上記各素子110a、110bを介して、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。そして、上記ウォーム軸29のウォーム27(図2、4、5参照)とこのウォームホイール28との歯面同士が、予圧が付与された状態で当接する。
更に、上記捩りコイルばね30の弾力に基づき、上記ウォーム軸29の先端部が上記通孔71の内側で上記ウォームホイール28と反対側に変位する事により、上記各素子110a、110bの他側面に設けた平面部91、91が弾性的にハ字形に拡がる。そして、これら各平面部91、91が前記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に弾性的に当接する事により、これら各平面部91、91と内径側側面との隙間が小さくなる。
上述の様に構成する本例の場合も、電動モータ31(図1〜3参照)の駆動時に上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に反力が加わるのにも拘らず、上記各素子110a、110bが上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面に強く衝合する事を防止でき、耳障りな異音(音鳴り)の発生を抑える事ができる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
次に、図13〜14は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、ホルダ61と予圧パッド70と捩りコイルばね30との設置方向を、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の場合に対して、図13の角度θ分だけずらせている。即ち、このホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に沿う予圧パッド70の変位可能な方向である、図13に矢印ハで示す方向を、ウォーム軸29の中心軸と、このウォーム軸29に設けたウォームとウォームホイール28(図2、4、5参照)との噛合部とを含む仮想平面α(図13)に対し、角度θ分だけ傾斜させている。又、本例の場合には、このウォームホイール28の回転方向により異なる、電動モータ31(図1〜3)による駆動時にこのウォームホイール28から上記ウォーム軸29に加わる反力の方向である、図13に矢印イ、ロで示す方向と、上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面に沿う予圧パッド70の変位方向である、図13に矢印ハで示す方向とがなす角度β1 、β2 を、ほぼ等しくしている(β1 ≒β2 )。言い換えれば、上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面に沿う予圧パッド70の変位方向である、上記矢印ハで示す方向により、上記矢印イ、ロで示す方向同士がなす角度γ(図13)を、ほぼ二等分している。
上述の様に構成する本例の場合には、電動モータ31による駆動時に上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に加わる、図13の矢印イ、ロの方向の反力に基づく上記予圧パッド70の弾性変形量の、この方向の違いによる差を小さくし易い。この為、この予圧パッド70の各平面部91、91と、ホルダ61に設けた第一、第二の各突部97、98の内径側側面との間に隙間が存在する場合でも、上記予圧パッド70がこれら内径側側面に衝合する際の衝撃力の、上記方向の違いによる差も小さくし易い。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
尚、図示は省略するが、本例の場合とは異なり、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の構造で、電動モータ31の駆動力を同じにしたと仮定した場合での、ウォームホイール28からウォーム軸29に加わる反力の大きさを、この反力の方向に拘らずほぼ等しくする事により、この反力に基づく予圧パッド70の弾性変形量の、この反力の方向の違いによる差を小さくする事もできる。又、この様な構成を採用した場合には、これら反力の方向(図7に矢印イ、ロで示す方向)と、ウォーム軸29の中心軸と、このウォーム軸29に設けたウォームとウォームホイール28との噛合部とを含む仮想平面α(図7)とがなす角度がほぼ等しくなる。この為、上述の図13、14に示した実施の形態の第4例の場合と異なり、ホルダ61に設けた第一、第二の各突部97、98の内径側側面に沿う予圧パッド70の変位可能な方向を、上記ウォーム軸29の中心軸と上記噛合部とを結ぶ仮想平面αに対し傾斜させる必要がなくなる。例えば、前述の図47、48に示した場合で、当該噛合部とウォーム軸29の揺動中心oとの、このウォーム軸29の径方向に関する距離d29と、当該噛合部とこの揺動中心oとの、このウォーム軸29の軸方向に関する距離L29との比d29/L29を十分に小さくすれば、Fr の大きさを十分に小さくできる。この為、ウォームホイール28からウォーム軸29に加わる反力の方向に拘らず、これら反力の大きさをほぼ等しくできる。従って、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の構造で、ウォームホイール28からウォーム軸29に加わる反力の方向に拘らず、これら反力の大きさをほぼ等しくする事により、予圧パッド70が第一、第二の各突部97、98の内径側側面に衝合する際の衝撃力の、これら反力の方向の違いによる差を小さくできる。逆に言えば、上述の図13に示した構造を採用する事で、小型化の為に上記ウォーム軸29の軸方向寸法を短縮して上記比d29/L29が大きくなっても、反力の方向に拘らず、上記衝撃力の緩和を効果的に行なえる。
又、上述した実施の形態の各例の場合には、ピニオン軸10(図1、46参照)の端部に固定したピニオン11とラック12(図46参照)とを直接噛合させているが、請求項1〜5に係る本発明はこの様な構造に限定するものではない。例えば、ピニオン軸の下端部に設けたピンを、このピニオン軸と別体に設けたピニオンギヤの長孔内に、この長孔の長さ方向の変位を自在として係合させると共に、このピニオンギヤとラックとを噛合させ、車速に応じてステアリングシャフトの回転角度に対するラックの変位量の比を変化させる、所謂車速応動可変ギヤレシオ機構(VGS)を組み込んだ構造と、本例の構造とを組み合わせる事もできる。
又、請求項1〜5に係る本発明は、電動モータを、ステアリングシャフト2の周囲に設けた構造に限定するものではない。例えば、図15に示す様に、ラック12と噛合させるピニオン11(図46参照)の周辺部に、電動モータ31を設けた構造とする事もできる。そして、この様な図15に示す構造の場合には、上記ピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材の一部に、ウォーム減速機16を構成するウォームホイールを固定する。この様な図15に示した構造の場合には、トルクセンサ3(図46参照)を、ステアリングシャフト2の周囲ではなく、上記ピニオン11の周辺部に設ける事もできる。
又、図16に示す様に、ラック12の一部で、ピニオン11との係合部から外れた位置に噛合させたサブピニオン75の周辺部に、電動モータ31を設ける事もできる。この図16に示す構造の場合には、このサブピニオン75に固定したウォームホイールと、ウォーム軸29とを噛合させる。この様な図16に示した構造の場合にも、トルクセンサ3(図46参照)を、上記ピニオン11の周辺部に設ける事ができる。尚、図16に示した構造の場合には、中間シャフト8の中間部に、地面から車輪を介して上記ピニオン11に伝達された振動を、ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為の緩衝装置76を設けている。例えば、この緩衝装置76は、インナーシャフトとアウターシャフトとをテレスコープ状に組み合わせると共に、これら両シャフトの端部周面同士の間に弾性材を結合する事により構成する。
この様に、請求項2、3、5に記載したアシスト軸は、ステアリングシャフトと、ピニオンと、このピニオンと離れた位置でラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材等とする事ができる。
又、上述した実施の形態の各例の場合には、電動モータ31を構成する、コイル45に送る励磁電流の方向を切り換える為のロータ位相検出器を、ブラシ48とコンミテータ46(図2、3参照)とにより構成している。但し、請求項1〜5に係る本発明は、この様な構造に限定するものではなく、図17に示す様に、ロータ位相検出器を、回転軸32に固定した永久磁石製のエンコーダ78と、ホールIC77とにより構成して、電動モータ31を、所謂ブラシレス構造とする事もできる。又、図17に示す構造の場合には、ステータ39aを、ケース23の内周面に固定した積層鋼板製のコア82と、このコア82の複数個所に巻回したコイル83、83とにより構成すると共に、ロータ38aを、上記回転軸32の中間部外周面に固定した永久磁石84、84により構成している。又、この様な構造を採用した場合に、上記ステータ39aに送る電流の大きさの増減を制御するベクトル制御装置を設ける事により、このステータ39aの磁力を切り換える事もできる。
又、上述した実施の形態の各例の場合には、ウォーム減速機を電動式パワーステアリング装置に組み込んだ場合に就いて説明した。但し、請求項1〜4に係る本発明のウォーム減速機は、この様な用途に使用するものに限定するものではなく、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、リフター等の各種機械装置に組み込む電動式リニアアクチュエータ等に組み込んで使用する事もできる。例えば、ウォーム減速機をこの電動式リニアアクチュエータに組み込んだ場合には、電動モータの回転をこのウォーム減速機で減速してから、回転軸に取り出して、この回転軸の周囲に設けた出力軸を、ボールねじ等を介して伸縮させる。この様な電動式リニアアクチュエータに組み込むウォーム減速機にも、請求項1〜4に係る本発明を適用できる。
請求項2〜5に係る本発明のウォーム減速機及び電動式パワーステアリング装置は、以上に述べた通り構成され作用する為、ウォーム減速機での歯打ち音の発生を抑えるべく、このウォーム減速機を構成するウォーム軸に、弾性部材により別の部材を介して弾力を付与する構造で、この別の部材がこの別の部材の変位を規制する部分に衝合する事による異音の発生を抑える事ができる。
[実施の形態の第5例]
図18〜24は、請求項1、6〜10、21に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のウォーム減速機16aと、このステアリングシャフト2の前端側に設けたピニオン11(図46参照)と、このピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材と噛合させたラック12(図46参照)と、トルクセンサ3(図46参照)と、電動モータ31と、制御器6(図46参照)とを備える。
このうちのステアリングシャフト2は、アウターシャフト17と、インナーシャフト18とを、スプライン係合部により、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に関する変位を可能に組み合わせて成る。又、本例の場合には、上記アウターシャフト17の前端部とインナーシャフト18の後端部とをスプライン係合させると共に、合成樹脂を介して結合している。従って、上記アウターシャフト17とインナーシャフト18とは、衝突時にはこの合成樹脂を破断させて、全長を縮める事ができる。
又、上記ステアリングシャフト2を挿通した筒状のステアリングコラム15は、アウターコラム19とインナーコラム20とをテレスコープ状に組み合わせて成り、軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。そして、上記インナーコラム20の前端部を、ギヤハウジング22aを構成する本体部135とカバー136とのうち、本体部135の後端面に結合固定している。このギヤハウジング22aは、この本体部135の前端部に上記カバー136を、図示しないボルト等により結合して成る。又、上記インナーシャフト18を上記ギヤハウジング22aの内側に挿通し、このインナーシャフト18の前端部を、上記カバー136の前端面から突出させている。
又、上記ステアリングコラム15は、その中間部を支持ブラケット24により、ダッシュボードの下面等、車体26の一部に支承している。又、この支持ブラケット24と車体26との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット24に前方に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット24が上記係止部から外れる様にしている。又、上記ギヤハウジング22aの上端部も、上記車体26の一部に支承している。更に、チルト機構及びテレスコピック機構を設ける事により、前記ステアリングホイール1の前後位置及び高さ位置の調節を自在としている。この様なチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本例の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
又、上記インナーシャフト18を、第一のインナーシャフト138と、第二のインナーシャフト139とを、トーションバー140(図19、20)により連結する事により構成している。このトーションバー140は、この第二のインナーシャフト139の内側に挿通しており、このトーションバー140の後端部(図20の右端部)を上記第一のインナーシャフト138の前端部(図20の左端部)に、このトーションバー140の前端部(図20の左端部)を上記第二のインナーシャフト139の前端部(図20の左端部)に、それぞれ結合している。前記トルクセンサ3は、上記トーションバー140の捩れに基づく上記第一、第二の両インナーシャフト138、139の相対回転方向と相対回転量とから、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、前記制御器6に送る。そして、この制御器6は、この検出信号に応じて、前記電動モータ31に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
又、上記第二のインナーシャフト139の前端部で、上記ギヤハウジング22aを構成するカバー136の前端面から突出した部分は、自在継手7を介して、中間シャフト8(図18)の後端部に連結している。又、この中間シャフト8の前端部に、別の自在継手7を介して、ステアリングギヤ9の入力軸10(図18)を連結している。前記ピニオン11は、この入力軸10に結合している。又、前記ラック12は、このピニオン11に噛合させている。尚、地面から車輪を介して中間シャフト8に加わった振動が上記ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為、上記各自在継手7、7に振動吸収装置を設ける事もできる。
又、前記ウォーム減速機16aは、上記第二のインナーシャフト39の一部に外嵌固定自在なウォームホイール28と、ウォーム軸29と、弾力付与手段137とを備える。又、この弾力付与手段137は、捩りコイルばね141と、予圧パッド142とを備える。
更に、上記ウォームホイール28とウォーム軸29とは、前記ギヤハウジング22aの内側に設けて、このウォームホイール28と、このウォーム軸29の中間部に設けたウォーム27とを噛合させている。又、上記電動モータ31は、上記ギヤハウジング22aに結合固定したケース23と、このケース23の内周面に設けた、永久磁石製のステータ39(図21)と、このケース23の内側に設けた回転軸32と、この回転軸32の中間部に上記ステータ39と対向させる状態で設けたロータ38(図21)とを備える。
又、上記ケース23を構成する底板部40の中心部に設けた凹孔41の内周面と、上記回転軸32の基端部外周面との間に、第一の玉軸受34を設けて、上記ケース23に対しこの回転軸32の基端部(図19、21の左端部)を、回転自在に支持している。又、上記ケース23の中間部内周縁に設けた隔壁部42の内周縁と、上記回転軸32の中間部外周面との間に、第二の玉軸受35を設けて、この隔壁部42に対しこの回転軸32の中間部を回転自在に支持している。
更に、前記ウォーム軸29の基端部(図19、22の左端部)内周面に設けた雌スプライン部50を、前記電動モータ31の回転軸32の先端部に設けた雄スプライン部51とスプライン係合させて成るスプライン係合部33により、上記両軸29、32の端部同士を連結している。この構成により、上記ウォーム軸29は、上記回転軸32と共に回転する。
又、前記ギヤハウジング22aの内側に軸受ホルダ149を設けると共に、この軸受ホルダ149に、上記ウォーム軸19を回転自在に支持している。この軸受ホルダ149は、大径筒部150と小径筒部151とを、円輪部152により連結している。そして、この大径筒部150の内側に、第三の玉軸受36を構成する外輪57を内嵌固定している。又、この外輪57の軸方向一端面(図19、22の右端面)を上記円輪部152の片面(図19、22の左側面)に突き当てると共に、この外輪57の軸方向他端面(図2、5の左端面)を、上記大径筒部150の内周面に係止した係止リング154により抑え付けている。又、上記第三の玉軸受36を構成する内輪52を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面で、軸方向に関して上記スプライン係合部33と一致する部分に外嵌固定している。更に、上記内輪52の軸方向一端面(図19、22の右端面)を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面に設けた鍔部53の側面に突き当てると共に、上記内輪52の軸方向他端面(図19、22の左端面)を、上記ウォーム軸29の基端部内周面に係止した係止リング155により抑え付けている。尚、上記第三の玉軸受36として、好ましくは、4点接触型の玉軸受を使用する。
更に、本例の場合には、上記軸受ホルダ149を、上記ギヤハウジング22aの内側に、揺動変位を自在に支持している。この為に、この軸受ホルダ149を構成する小径筒部151の一部で前記ウォームホイール28側(図19、22の上側)の径方向反対側2個所位置に、1対の第一の通孔158、158を形成している。そして、図23に示す様に、上記軸受ホルダ149の内側に揺動軸159を、これら各第一の通孔158、158を通じて、上記ウォーム軸29を避けつつ挿入すると共に、これら各第一の通孔158、158に上記揺動軸159の両端寄り部分を、隙間嵌めにより内嵌している。更に、この揺動軸159の両端部で、上記各第一の通孔158、158から、上記軸受ホルダ149の外側に突出させた部分を、上記ギヤハウジング22aを構成する本体部135に設けた凹孔160と第二の通孔161とに、それぞれ隙間嵌めにより内嵌している。
又、上記本体部135のうちで上記第二の通孔161を設けた部分の外周面に、上記ギヤハウジング22aのカバー136を構成する壁部162を重ね合わせて、上記第二の通孔161からの上記揺動軸159の抜け止めを図っている。この構成により、上記軸受ホルダ149は、上記ギヤハウジング22aに対し、上記揺動軸159を中心とする揺動変位を自在に支持される。尚、本例の場合と異なり、上記各第一の通孔158、158と、上記凹孔160及び第二の通孔161とのうちの一方に、上記揺動軸159の両端寄り部分を締り嵌めにより内嵌固定する事もできる。
又、本例の場合には、上記ウォーム軸29の中心軸o1 (図19、20、22)上から前記ウォームホイール28側にずれた位置である、このウォーム軸29のウォーム27とこのウォームホイール28とのピッチ円P1 、P2 の交点x(図19、20、22)を含み、上記ウォーム軸29の中心軸o1 と平行な直線L上の1点Q(図19、22)を通る、このウォームホイール28の中心軸o2 (図19、22)と平行な軸を、上記揺動軸159の中心軸としている。
一方、上記ウォーム軸29の先端部(図19、22の右端部)は、上記ギヤハウジング22aの内側に、第四の玉軸受37により、回転自在に支持している。この為に、この第四の玉軸受37を構成する外輪60を、上記ギヤハウジング22aの内側に固定した第二軸受ホルダ164に固定している。この第二軸受ホルダ164は、断面L字形で全体を円環状に形成しており、この第二軸受ホルダ164の片側(図19、22の左側)に設けた筒部165の内側に、上記外輪60を内嵌固定している。又、上記ウォーム軸29の先端寄り部分の外周面で、前記ウォーム27から外れた部分に設けた大径部166に、弾性材製で略円筒状のブッシュ167を緩く外嵌している。そして、このブッシュ167の内側を通じて、上記ウォーム軸29の先端部を、このブッシュ167の軸方向一端面(図19、22の右端面)から突出させている。又、このブッシュ167の軸方向中間部に、上記第四の玉軸受37を構成する内輪65を外嵌固定している。又、この内輪65の軸方向一端面(図19、22の左端面)を、上記ブッシュ167の軸方向他端部(図19、22の左端部)に設けた外向鍔部169の内側面に突き当てる事により、上記内輪65の軸方向の位置決めを図っている。そして、上記ブッシュ167の内周面と上記大径部166の外周面との間に微小隙間を設ける事により、このブッシュ167に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾き(径方向の変位)を可能としている。
又、上記第二軸受ホルダ164の他端面(図19、22の右端面)と上記ギヤハウジング22aに設けた凹孔72の底面との間に、前記弾力付与手段137を構成する予圧パッド142を設けており、この予圧パッド142の一部に、上記ウォーム軸29の先端部に設けた小径部171をがたつきなく挿入している。この予圧パッド142は、図24に詳示する様に、固体潤滑材を混入した合成樹脂を射出成形する等により、円筒の外周面の径方向反対側2個所の片側部分を除去した如き形状に造っている。又、上記予圧パッド142の外周面の径方向反対側2個所位置に、平面部172、172と腕部173、173とを、それぞれウォームホイール28側(図24の上側)の半部と、このウォームホイール28と反対側(図24の下側)の端部とに設けている。そして、上記予圧パッド142の中心部に軸方向に貫通する状態で形成した通孔174に、上記ウォーム軸29の小径部171を挿入している。この通孔174の内周面は、この小径部171を支持する滑り軸受としての機能を有する。又、この通孔174の両端部内周面を、開口端に向かう程直径が大きくなったテーパ面としている。この様な予圧パッド142は、上記ギヤハウジング22aに設けた凹孔72の内側に、所定の範囲での変位を可能に支持している。
又、上記予圧パッド142の周囲に、前記捩りコイルばね141を設けている。そして、この捩りコイルばね141の両端部で、径方向反対側2個所位置に設けた1対の係止部175、175を、前記第二軸受ホルダ164の他端面で径方向反対側2個所位置に軸方向に突出する状態で設けた1対の係止突部176、176の片側に係止している。又、これら各係止突部176、176の先端部を、上記凹孔72の底面の2個所位置に設けた図示しない孔部に内嵌している。この構成により、前記ギヤハウジング22aに対する上記各係止突部176、176の位置が規制される。そして、上記予圧パッド142の外周面のうち、上記ウォームホイール28と反対側に設けた第一部分円筒面部177に、上記捩りコイルばね141の内周縁を弾性的に押し付ける事により、上記ウォーム軸29の先端部に、上記予圧パッド142を介して、前記ウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。
即ち、上記予圧パッド142に設けた通孔174に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する以前の状態で、この通孔174の中心軸は、上記第二軸受ホルダ164の中心軸に対し、片側(図19、20、22、24の上側)に片寄っている。この為、上記予圧パッド142に設けた通孔174の内側に上記ウォーム軸29の先端部を挿入すると、この予圧パッド142に設けた第一部分円筒面部177により、上記捩りコイルばね141の直径が弾性的に押し広げられる。そして、この捩りコイルばね141が巻き戻る(直径を縮める)方向に弾性復帰する傾向となり、この捩りコイルばね141から上記ウォーム軸29の先端部に、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。この構成により、このウォームホイール28を外嵌固定した前記第二のインナーシャフト139と上記ウォーム軸29との、中心軸同士の間の距離は弾性的に縮まる。この結果、上記ウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。
又、本例の場合には、上記予圧パッド142の外周面のうち、上記ウォームホイール28側に設けた第二部分円筒面部178の曲率半径を、上記第一部分円筒面部177の曲率半径よりも小さくしている。又、上記予圧パッド142の周囲に上記捩りコイルばね141を設けた状態で、この捩りコイルばね141を構成する各1巻きずつの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面との間(線間)に、軸方向の隙間を設けている。
一方、上記ウォーム軸29と前記第三の玉軸受36及び軸受ホルダ149とを、前記ギヤハウジング22aの内側に組み付けるのには、先ず、このウォーム軸29の基端部の周囲に、上記第三の玉軸受36及び軸受ホルダ149を組み付ける。次いで、これらウォーム軸29と第三の玉軸受36と軸受ホルダ149とを、上記ギヤハウジング22aの内側に配置する。そして、この軸受ホルダ149に設けた各第一の通孔158、158と、このギヤハウジング22aを構成する本体部135の一部で互いに対向する2個所位置に設けた凹孔160及び第二の通孔161とを整合させた状態で、これら各第一、第二の通孔158、161及び凹孔160に、前記揺動軸159を挿通支持する。又、上記本体部135のうちでこの第二の通孔161を設けた部分に、上記ギヤハウジング22aのカバー136を構成する壁部162を重ね合わせた状態で、上記本体部135とこのカバー136とを、図示しないボルト等により結合する。
上述の様に、本例のウォーム減速機とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、捩りコイルばね141と予圧パッド142とから成る弾力付与手段137により、ウォーム軸29の先端部に、ウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイール28とウォーム軸29のウォーム27との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。しかも、本例の場合には、上記ウォーム軸29の揺動中心軸となる、揺動軸159を、このウォーム軸29の中心軸o1 上から上記ウォームホイール28側にずれた位置に、このウォームホイール28の中心軸o2 と平行に設けている。この為、上記ウォーム軸29からこのウォームホイール28に、電動モータ31の駆動力を伝達する際に、このウォームホイール28からこのウォーム軸29にこのウォーム軸29の軸方向に反力が加わるのにも拘らず、この軸方向の反力に基づいてこのウォーム軸29に発生するモーメントを小さく若しくは0にできる。従って、上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に加わる径方向の反力が、上記モーメントの影響により変動するのを抑える事ができる。従って、ステアリングホイール1を回転させるのに要する力やこのステアリングホイール1の戻り性能の、両回転方向での差を抑える事ができる。
特に、本例の場合には、上記ウォーム軸29の中心軸o1 上から上記ウォームホイール28側にずれた位置である、このウォーム軸29のウォーム27とこのウォームホイール28とのピッチ円P1 、P2 の交点xを含み、このウォーム軸29の中心軸o1 と平行な直線L上の1点Qを通る、このウォームホイール28の中心軸o2 と平行な軸を、上記揺動軸159の中心軸としている。この為、上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に、このウォーム軸29の軸方向に反力が加わるのにも拘らず、この軸方向の反力に基づきこのウォーム軸29にモーメントが発生する事をなくす(0にする)事ができる。従って、上記ステアリングホイール1を回転させるのに要する力やこのステアリングホイール1の戻り性能の、両回転方向での差をなくす事ができる。
又、本例の場合には、第三の玉軸受36を支持した軸受ホルダ149をギヤハウジング22aに対し、揺動変位可能に支持している。この為、この第三の玉軸受36として、外輪の一部に揺動軸を固設したものでない、従来から一般的に使用しているものを使用しつつ、この第三の玉軸受36を上記ギヤハウジング22aに対し揺動変位を可能に支持でき、コストの上昇を抑える事ができる。
更に、本例の場合には、上記ウォーム軸29の軸方向に関して、このウォーム軸29の両端部を支持する第三、第四の玉軸受36、37のうち、電動モータ31側の第三の玉軸受36と、上記ウォーム軸29のウォーム27とウォームホイール28との噛合部との間に上記揺動軸159を設けている。この為、このウォーム軸29の電動モータ31側の基端部の揺動変位量を少なくしつつ、上記噛合部に大きな予圧を付与する事ができ、この噛合部での耳障りな歯打ち音の発生を、より効果的に抑える事ができる。尚、本例の場合と異なり、揺動軸を、上記噛合部に関して電動モータ31と反対側に設けた場合には、上記ウォーム軸29の基端部の揺動変位が大きくなる。
又、上記噛合部に関して、上記揺動軸159と反対側に前記弾力付与手段137を設けている。この為、この弾力付与手段137を構成する捩りコイルばね141の弾性変形量を大きくでき、上記ウォーム軸29に付与する弾力の大きさを調節し易くできる。
又、本例の場合には、上記予圧パッド142が合成樹脂製である為、上記ウォーム軸29の先端部を、この予圧パッド142に設けた通孔174の内側に挿入し易くできる。又、上記捩りコイルばね141を構成する各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面とが軸方向に接触している場合には、この接触部で摩擦が生じる事が、上記捩りコイルばね141により上記ウォーム軸29に付与する弾力が不適切に変化する原因となる。これに対して、本例の場合には、上記各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素との表面同士の間に軸方向の隙間を設けている為、上記ウォーム軸29に所定の弾力を、より安定して付与できる。
[実施の形態の第6例]
図25〜26は、請求項1、6〜12、21に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、ギヤハウジング22aに対し軸受ホルダ149を揺動変位を自在に支持する為の揺動軸159の両端寄り部分外周面と、この軸受ホルダ149に設けた各第一の通孔158、158の内周面との間に弾性リング179、179を、それぞれ設けている。これら各弾性リング179、179は、それぞれが金属製である内径側円筒部180と外径側円筒部181とを、弾性材であるゴム製の連結部182、182により、互いに同心に連結している。即ち、これら各連結部182、182を、上記両円筒部180、181に加硫接着して、これら両円筒部180、181同士を連結している。又、これら各連結部182、182は、これら両円筒部180、181の間部分の径方向反対側2個所位置に互いに離隔した状態で設けている。具体的には、この間部分のうちのウォームホイール28(図19、20、22参照)側と反対側との端部の2個所位置(図25、26の上下方向両端部の2個所位置)に上記各連結部182、182を設けており、これら各連結部182、182を設けた部分と位相が90度異なる、ウォーム軸29の軸方向に関して両端部(図19の表裏方向両端部、図20の左右方向両端部)を、空間部183、183としている。この構成により、上記揺動軸159の径方向に関する上記各弾性リング179、179の剛性が、円周方向で異なる。又、上記ウォーム軸29の軸方向に関する、これら各弾性リング179、179の剛性が低くなる。
この様な本例のウォーム減速機によれば、ウォーム軸29の回転トルクを徒に増大させる事なく、このウォーム軸29のウォーム27とウォームホイール28との噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。即ち、このウォーム軸29をギヤハウジング22aに対し軸方向に対する変位を不能として支持している場合には、上記ウォームホイール28に回転振動が入力された場合に、上記ウォーム軸29が回転運動し易くなる。又、このウォーム軸29には慣性モーメントが大きい電動モータ31の回転軸32(図19、21、22参照)を連結している為、上記ウォームホイール28の回転振動に基づき、このウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士の間で伝達される力が大きくなる。従って、この力が加わった場合でもこれら両歯面同士が離れない様にする為には、上記ウォーム軸29に弾力付与手段137(図19等参照)により付与する弾力を大きくする必要があるが、この弾力が過大になった場合には、このウォーム軸29の回転トルクを徒に増大させる事となる。これに対して、本例の場合には、軸受ホルダ149と揺動軸159との間に、一部が弾性材製である弾性リング179、179を設けている。この為、上記ウォームホイール28に回転振動が入力された場合に、上記ウォーム軸29を軸方向に変位し易くでき、このウォーム軸29を回転運動しにくくできる。この為、上記各歯面同士の間で伝達される力を小さくできる。この結果、このウォーム軸29の回転トルクを徒に増大させる事なく、これら各歯面同士が離れる事を防止でき、上記噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。更に、これら両歯面同士の衝合に基づく振動を、上記ギヤハウジング22aに迄伝達しにくくでき、この振動に基づく異音の発生を抑える事ができる。
又、本例の場合には、上記各弾性リング179、179の剛性を円周方向で異ならせると共に、ウォーム軸29の軸方向に関する各弾性リング179、179の剛性を低くしている。この為、これら各弾性リング179、179全体の必要とする剛性を確保しつつ、ギヤハウジング22aに対し上記ウォーム軸29を軸方向に変位し易くできる。従って、このウォーム軸29の回転トルクが増大するのを、より効果的に抑える事ができる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図18〜24に示した実施の形態の第5例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第7例]
図27は、やはり請求項1、6〜12、21に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、上述の図25〜26に示した実施の形態の第6例で使用した弾性リング179、179を、ギヤハウジング22aに設けた凹孔160及び第二の通孔161の内周面と、揺動軸159の両端部外周面との間に設けている。その他の構造及び作用に就いては、上述した実施の形態の第6例と同様である。尚、上述の図25〜27に示した実施の形態の第6、7例の構造で、弾性リング179の連結部182を構成する弾性材として、ゴム以外のエラストマー、合成樹脂等を使用する事もできる。又、弾性リング179の全体を、合成樹脂等の弾性材製とする事もできる。
[実施の形態の第8例]
図28〜29は、請求項1、6〜9、13、15〜17、21に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、前述の図18〜24に示した実施の形態の第5例の構造で、弾力付与手段であるコイルばね186を、電動モータ31の回転軸32と、ウォーム軸29との間に設けている。即ち、本例の場合には、この回転軸32の一端面(図28の右端面)に凹部184を設けると共に、この凹部184の底面と、上記ウォーム軸29の基端面(図28の左端面)に設けたスプライン孔185の底面との間に、上記コイルばね186を設けている。そして、このコイルばね186により、上記ウォーム軸29に上記回転軸32から離れる方向の弾力を付与している。又、本例の場合も、上述した実施の形態の第5〜7例の場合と同様に、上記ウォーム軸29の揺動中心となる揺動軸159を、このウォーム軸29の中心軸o1 上からウォームホイール28側(図28の上側)にずれた位置に設けている。この構成により、このウォーム軸29は、上記揺動軸159を中心として、このウォームホイール28側に弾性的に揺動変位する。
又、本例の場合には、上記ウォーム軸29の先端部外周面を、段付でない単なる円筒面とすると共に、この先端部を、ギヤハウジング22aに設けた凹孔72の内側に配置している。そして、この凹孔72の内周面と上記ウォーム軸29の先端部外周面との間に、請求項16、17に記載した第二の弾性リングに相当する、弾性リング187と、第四の玉軸受37とを設けている。このうちの第四の玉軸受37は、内輪65を上記ウォーム軸29の先端部に外嵌固定する事により、この先端部の周囲に設けている。
又、上記弾性リング187は、図29に詳示する様に、それぞれが金属製である内径側円筒部188と外径側円筒部189とを、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製の連結部190、190により、互いに同心に結合している。又、これら各連結部190、190は、上記両円筒部188、189の間部分の径方向反対側2個所位置に互いに離隔した状態で設けている。具体的には、この間部分のうちの上記ウォーム軸29の揺動変位方向(図29の上下方向)に関して位相が90度異なる方向(図29の左右方向)の両端部2個所位置にのみ、上記各連結部190、190を設けている。この構成により、上記弾性リング187の剛性が、上記ウォーム軸29の揺動変位方向に関するもので低くなり、この揺動変位方向と90度異なる方向に関するもので高くなる。
又、本例の場合には、上記各内径側、外径側円筒部188、189の間部分で、上記ウォーム軸29の揺動変位方向の両端部に位置する、上記外径側円筒部189の内周面の2個所位置に、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製の断面部分円弧形のストッパ部191、191を設けている。又、これら各ストッパ部191、191の内周面と、上記内径側円筒部188の外周面との間に、微小隙間を設けている。これら各ストッパ部191、191は、上記ウォーム軸29が過度に揺動変位する傾向となった場合に、上記内径側円筒部188の外周面と当接する事により、このウォーム軸29の過度の揺動変位を防止する。この様な弾性リング187は、前記第四の玉軸受37を構成する外輪60に、上記内径側円筒部188を外嵌固定すると共に、前記ギヤハウジング22aに設けた凹孔72に上記外径側円筒部189を内嵌固定する事で、上記ウォーム軸29とギヤハウジング22aとの間に設けている。
上述の様に構成する本例の場合には、電動モータ31の回転軸32の一端面と、ウォーム軸29の基端面との間にコイルばね186を設けている為、このウォーム軸29の基端部に係止した係止リング155を介して、第三の玉軸受36に、上記コイルばね186の弾力に基づく予圧を付与できる。この為、異音の発生を抑えつつ、上記第三の玉軸受36として、軸方向隙間が比較的大きい、深溝型の玉軸受を使用でき、コストの低減を図れる。
又、本例の場合には、上記ウォーム軸29の先端部を支持する第四の玉軸受37とギヤハウジング22aとの間に弾性リング187を設ける事により、このギヤハウジング22aに対する上記ウォーム軸29の揺動変位を可能としている。この為、このウォーム軸29のウォーム27とウォームホイール28との噛合部での歯打ち音の発生抑制効果を損なう事なく、このウォーム軸29の先端部と上記第四の玉軸受37とが衝合する事による異音の発生を防止できる。
又、本例の場合には、上記第四の玉軸受37とギヤハウジング22aとの間に設けた弾性リング187の剛性を、上記ウォーム軸29の揺動変位方向に関するもので低くすると共に、この揺動変位方向と90度位相が異なる方向に関するもので高くしている。この為、上記ウォーム軸29が意図しない方向に変位する事を防止しつつ、上記ウォームホイール28側へのこのウォーム軸29の揺動変位をより行ない易くして、上記噛合部での歯打ち音の発生を、より効果的に抑える事ができる。
又、本例の場合には、上記弾性リング187に、上記ウォーム軸29の揺動変位を規制する為のストッパ部191、191を設けている為、このウォーム軸29が過度に揺動変位するのを防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図18〜24に示した実施の形態の第5例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第9例]
図30は、請求項1、6〜9、14〜17、21に対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の場合には、上述の図28〜29に示した実施の形態の第8例の構造で、弾力付与手段であるコイルばね186を、軸受ホルダ149とギヤハウジング22aとの間に設けている。即ち、本例の場合には、このギヤハウジング22aの内面と、上記軸受ホルダ149を構成する大径筒部150の外周面に設けた凹孔192の底部との間に、上記コイルばね186を設けている。そして、このコイルばね186により、上記ウォーム軸29の基端部に径方向の弾力を付与している。又、このコイルばね186は、このウォーム軸29の軸方向に関して、このウォーム軸29の揺動中心となる揺動軸159よりも、このウォーム軸29の基端側にずれた位置に設けている。この構成により、このウォーム軸29は、上記揺動軸159を中心として、上記ウォームホイール28側に弾性的に揺動変位する。
この様な本例の場合には、上記ウォーム軸29と電動モータ31の回転軸32とを連結して成る部分の全長を大きくする事なく、上記噛合部に予圧を付与できる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図28〜29に示した実施の形態の第8例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第10例]
図31は、請求項1、6〜9、13、15、21に対応する、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例の場合には、前述の図28〜29に示した実施の形態の第8例の構造で、ウォーム軸29の両端部を支持する為の第三、第四の両玉軸受36、37を、軸受ホルダ149aにより支持している。この為に、本例の場合には、上記軸受ホルダ149aを構成する小径筒部151aの全長を大きくすると共に、この小径筒部151aの軸方向中間部で円周方向一部に通孔193を形成している。そして、上記軸受ホルダ149aの内側に上記ウォーム軸29を設けると共に、このウォーム軸29の基端部外周面及び上記軸受ホルダ149aを構成する大径筒部150の内周面の間と、このウォーム軸29の先端部外周面及び上記小径筒部151aの先端部内周面の間とに、それぞれ第三、第四の各玉軸受36、37を設けている。又、上記小径筒部151aの先端部外周面と、ギヤハウジング22aに設けた凹孔72の内周面との間に、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製の弾性リング194(請求項15に記載した弾性材に相当する。)を設けている。更に、上記ウォーム軸29のウォーム27の一部で、上記小径筒部151aに設けた通孔193からこの小径筒部151a外に露出した部分を、ウォームホイール28と噛合させている。
この様な本例の場合には、前述の図28〜29に示した実施の形態の第8例の場合と同様に、上記ウォーム軸29のウォーム27とウォームホイール28との噛合部での歯打ち音の発生抑制効果を損なう事なく、このウォーム軸29の先端部と第四の玉軸受37とが衝合する事による異音の発生を防止でき、更に、このウォーム軸29の過度の揺動変位を防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図28〜29に示した実施の形態の第8例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第11例]
図32は、やはり請求項1、6〜9、13、15、21に対応する、本発明の実施の形態の第11例を示している。本例の場合には、上述の図31に示した実施の形態の第10例の構造で、ギヤハウジング22aの一部で、ウォーム軸29の先端面と対向する部分に、このギヤハウジング22aの内外両面を貫通する貫通孔195を形成している。又、この貫通孔195に、ゴムの如きエラストマー、合成樹脂等の弾性材により造った、有底円筒状のキャップ196を内嵌固定している。そして、このキャップ196を構成する筒部197の先端部内周面に設けた突部198に、軸受ホルダ149aを構成する小径筒部151aの先端部を内嵌支持している。本例の場合、上記キャップ196が請求項15に記載した弾性材に相当する。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図31に示した実施の形態の第10例の場合と同様である為、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第12例]
図33〜34は、請求項1、6〜9、13、15〜17、21に対応する、本発明の実施の形態の第12例を示している。本例の場合には、前述の図31に示した実施の形態の第10例の構造で、軸受ホルダ149aの小径筒部151aの先端開口を塞ぐ板部199を設けると共に、この板部199の先端面中心部に軸方向に突出する軸部200を設けている。そして、この軸部200の外周面と、ギヤハウジング22aに設けた凹孔72の内周面との間に、請求項16に記載した第二の弾性リングに相当する、弾性リング201を設けている。この弾性リング201は、図34に詳示する様に、それぞれが金属製である外径側円筒部202と内径側円筒部203とを、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製の連結部204により互いに同心に連結している。又、この外径側円筒部202の軸方向片半部(図33の左半部)を、上記内径側円筒部203の軸方向一端面(図33の左端面)よりも軸方向に突出させて、上記外径側円筒部202の全長をこの内径側円筒部203の全長よりも大きくしている。又、上記連結部204の軸方向一端面(図33の左端面)の外周縁部に軸方向に突出した突部205を設けると共に、この突部205を、上記外径側円筒部202の軸方向片半部内周面に結合している。
更に、上記連結部204の一部で、ウォーム軸29の揺動変位方向(図16、17の上下方向)両端部に位置する、径方向反対側2個所位置に、軸方向に貫通する通孔206、206を設けている。この構成により、上記弾性リング201の剛性は、上記ウォーム軸29の揺動変位方向に関するもので低くなると共に、この揺動変位方向と90度位相が異なる方向に関するもので高くなる。この様な弾性リング201は、上記ギヤハウジング22aに設けた凹孔72に上記外径側円筒部202を内嵌固定すると共に、上記軸受ホルダ149aの先端面に設けた軸部200に上記内径側円筒部203を外嵌固定する事で、上記ギヤハウジング22aとこの軸部200との間に設けている。又、上記連結部204に設けた突部205の内周面に、上記軸受ホルダ149aを構成する小径筒部151aの先端部外周面を、微小隙間を介して対向させている。本例の場合、この突部205が、ウォーム軸29の揺動変位を規制する為のストッパ部に相当する。
この様な本例の場合には、弾性リング201の剛性が低い部分と、ウォーム軸29の過度の揺動変位を防止するストッパ部としての機能を果たす突部205とを、上記弾性リング201の軸方向にずらせている。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図31に示した実施の形態の第10例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第13例]
図35は、請求項1、6〜9、14、15、21に対応する、本発明の実施の形態の第13例を示している。本例の場合には、前述の図30に示した実施の形態の第9例の構造と、前述の図31に示した実施の形態の第10例の構造とを組み合わせた如き構造を有する。即ち、本例の場合には、図31に示した実施の形態の第10例の構造で、第三の玉軸受36と第四の玉軸受37(図31参照)とを支持する、軸受ホルダ149aを構成する大径筒部150の外周面と、ギヤハウジング22aの内面との間に、コイルばね186を、この軸受ホルダ149aの径方向に設けている。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図30に示した実施の形態の第9例及び図31に示した実施の形態の第10例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
[実施の形態の第14例]
次に、図36〜37は、請求項1、6〜9、15、18、21に対応する、本発明の実施の形態の第14例を示している。本例の場合には、前述の図31に示した実施の形態の第10例の構造で、電動モータ31の回転軸32aの一端部(図36の右端部)と、ウォーム軸29aの基端部(図36の左端部)とを、弾性材製の結合リング207を介して、互いの相対回転を阻止した状態で連結している。この結合リング207は、図37に詳示する様に、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により、円筒状に造っており、円周方向等間隔複数個所(図示の例の場合は8個所)に、軸方向に貫通する断面略三角形の通孔208、208を形成している。
又、上記ウォーム軸29aの基端面(図36の左端面)の外径寄り部分と、上記回転軸32aの一端面(図36の右端面)の外径寄り部分との円周方向複数個所(図示の例の場合には4個所)で、上記結合リング207に設けた一つ置きの通孔208、208に整合する位置に、それぞれ軸方向に突出する突部209a、209bを設けている。これら各突部209a、209bは、上記結合リング207に設けた各通孔208、208に、それぞれがたつきなく内嵌自在としている。そして、上記ウォーム軸29aに設けた各突部209a、209aと、上記回転軸32aに設けた各突部209b、209bとを、上記結合リング207の軸方向両側から上記各通孔208、208に、円周方向に関して交互にがたつきなく内嵌する事により、上記ウォーム軸29aと回転軸49aとを、上記結合リング207を介して連結している。又、本例の場合には、上記ウォーム軸29aの基端面中心部に設けた凹孔210の底面と、上記回転軸32aの一端面中心部との間にコイルばね186を設けて、上記ウォーム軸29aに、この回転軸32aから離れる方向の弾力を付与している。
この様な本例の場合には、上記ウォーム軸29aと回転軸32aとを、結合リング207を介して連結している。この為、これら回転軸32aとウォーム軸29aとの間で、回転振動を伝達しにくくできる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図31に示した実施の形態の第10例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
尚、図示は省略するが、本例の場合と異なり、上記結合リング207に設けた各通孔208、208の形成位置に、これら各通孔208、208の代わりに、それぞれ複数ずつの第一、第二の凹部を、円周方向に交互に設ける事もできる。この場合には、これら各第一、第二の凹部の底部を、上記結合リング207の軸方向に関して反対側とする。そして、ウォーム軸29aの基端面に設けた各突部209a、209aと、上記回転軸32aの一端面に設けた各突部209b、209bとを、上記各第一、第二の凹部にそれぞれ内嵌する事により、上記ウォーム軸29aと回転軸32aとを上記結合リング207を介して連結する。
又、請求項19に対応する構成として、上述した実施の形態の第5〜14例に於いて、ウォーム軸29、29aの両端寄り部分を回転自在に支持する第三、第四の玉軸36、37のうちの少なくとも一方の玉軸受36(又は37)を支持する軸受ホルダ149、149aと、ギヤハウジング22aとの間にグリースを充填する事もできる。この様な構成を採用した場合には、上記ウォーム軸29、29aとウォームホイール28との間で駆動力を伝達する際に、このウォームホイール28からこのウォーム軸29、29aに加わる反力に基づいて、このウォーム軸29、29aがこのウォームホイール28から離れる傾向となった場合に、上記軸受ホルダ149、149aを揺動変位しにくくできる。しかも、上記駆動力が大きくなり、上記反力が大きくなると、上記ウォーム軸29、29aが上記ウォームホイール28から離れる速度が大きくなる傾向となるが、この場合には、グリースの粘性抵抗も大きくなる。この為、上記軸受ホルダ149、149aの揺動変位を抑える事ができ、上記ウォーム軸29、29aのウォーム20とウォームホイール28との歯面同士が離れる事を防止し易くできる。
又、請求項20に対応する構成として、上述した実施の形態の第5〜14例に於いて、ウォーム軸29、29aの両端寄り部分を回転自在に支持する第三、第四の玉軸受36、37のうちの少なくとも一方の玉軸受36(又は37)を支持する軸受ホルダ149、149aを、マグネシウム合金製とする事もできる。この様な構成を採用した場合には、上記ウォーム軸29、29aのウォーム20とウォームホイール28との歯面同士の衝合によりこのウォーム軸29、29aに発生する振動を、上記軸受ホルダ149、149aで吸収し易くできる為、ギヤハウジング22aに迄この振動を伝達しにくくできる。
又、上述した実施の形態の第5〜14例の場合には、ピニオン軸10(図5、46参照)の端部に固定したピニオン11とラック10(図46参照)とを直接噛合させているが、請求項6〜21に係る本発明はこの様な構造に限定するものではない。例えば、ピニオン軸の下端部に設けたピンを、このピニオン軸と別体に設けたピニオンギヤの長孔内に、この長孔の長さ方向の変位を自在として係合させると共に、このピニオンギヤとラックとを噛合させて、車速に応じてステアリングシャフトの回転角度に対するラックの変位量の比を変化させる、所謂車速応動可変ギヤレシオ機構(VGS)を組み込んだ構造と、上述した実施の形態の第5〜14例の構造とを組み合わせる事もできる。
又、請求項6〜21に係る本発明は、電動モータ31を、ステアリングシャフト2の周囲に設ける構造に限定するものでもない。例えば、図38に示す様に、ラック12と噛合させるピニオン11(図5、46参照)の周辺部に、電動モータ31を設ける事もできる。そして、この様な図38に示す構造の場合には、上記ピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材の一部に、ウォーム減速機16aを構成するウォームホイールを固定する。この様な図38に示した構造の場合には、トルクセンサ3(図46参照)を、ステアリングシャフト2の周囲ではなく、上記ピニオン11の周辺部に設ける事もできる。この様な図38に示した構造でも、請求項6〜21に係る本発明を実施する事ができる。
更に、図39に示す様に、ラック12の一部で、ピニオン11との係合部から外れた位置に噛合させたサブピニオン211の周辺部に、電動モータ31を設ける事もできる。この図39に示す構造の場合には、このサブピニオン211に固定したウォームホイールと、ウォーム軸29(29a)とを噛合させる。この様な図39に示した構造の場合にも、トルクセンサ3(図46参照)を、上記ピニオン11の周辺部に設ける事ができる。尚、図39に示した構造の場合には、中間シャフト8の中間部に、地面から車輪を介して上記ピニオン11に伝達された振動を、ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為の緩衝装置212を設けている。例えば、この緩衝装置212は、インナーシャフトとアウターシャフトとをテレスコープ状に組み合わせると共に、これら両シャフトの端部周面同士の間に弾性材を結合する事により構成する。この様な図39に示した構造でも、請求項6〜21に係る本発明を実施する事ができる。
[実施の形態の第15例]
次に、図40〜45は、請求項22、24〜27に対応する、本発明の実施の形態の第15例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1(図1、46等参照)を固定した、請求項22、27に記載したアシスト軸である、ステアリングシャフト2(図1、46等参照)と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15(図1、46等参照)と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のウォーム減速機16bと、このステアリングシャフト2の前端側に設けたピニオン11(図46参照)と、このピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材と噛合させたラック12(図46参照)と、トルクセンサ3(図46参照)と、電動モータ31と、制御器6(図46参照)とを備える。
上記ウォーム減速機16bは、上記ステアリングシャフト2を構成するインナーシャフト18(図1等参照)の一部に外嵌固定自在なウォームホイール28と、ウォーム軸29と、捩りコイルばね30aと、予圧パッド213aとを備える。
又、上記トルクセンサ3は、上記ステアリングシャフト2の中間部の周囲に設けて、上記ステアリングホイール1からこのステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、上記制御器6に送る。そして、この制御器6は、この検出信号に応じて、上記電動モータ31に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
又、上記ウォームホイール28とウォーム軸29とは、ギヤハウジング22の内側に設けて、このウォームホイール28と、このウォーム軸29の中間部に設けたウォーム27とを噛合させている。又、このウォーム軸29の基端部(図40の左端部)内周面に設けた雌スプライン部50と、上記電動モータ31を構成する回転軸32の先端部に設けた雄スプライン部51とをスプライン係合させて成るスプライン係合部33により、上記両軸29、32の端部同士を連結している。この構成により、上記ウォーム軸29は、上記回転軸32と共に回転する。
又、上記ギヤハウジング22の内側に上記ウォーム軸29の基端部を、請求項22に記載した第一の軸受である、第三の玉軸受36により回転自在に支持している。又、この第三の玉軸受36を構成する内輪52を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面で、軸方向に関して上記スプライン係合部33と一致する部分に外嵌している。そして、このスプライン係合部33の軸方向中央位置と上記第三の玉軸受36との軸方向中央位置とを、ほぼ一致させている。又、上記内輪52の内周面と上記ウォーム軸29の外周面との間に微小隙間を設ける事により、上記第三の玉軸受36に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾きを可能としている。又、上記内輪52の軸方向両端面と、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面に設けた鍔部53の側面及びこのウォーム軸29の基端部に設けた雄ねじ部54に螺合固定したナット55の外周面に設けた鍔部214の側面との間に、それぞれ弾性リング215、215を設けている。そして、上記各鍔部53、214の側面同士の間で上記内輪52を、弾性的に挟持している。この構成により、上記第三の玉軸受36に対して上記ウォーム軸29が、軸方向に関する所定の範囲での弾性的変位を可能に支持される。尚、好ましくは、上記第三の玉軸受36として、4点接触型の玉軸受を使用する。
一方、上記ギヤハウジング22の内側に上記ウォーム軸29の先端部(図40、41の右端部)を、請求項22、24、25に記載した第二の軸受である、第四の玉軸受37により回転自在に支持している。この為に、本例の場合には、上記ギヤハウジング22に設けた凹孔72に、請求項22〜26に記載した緩衝部材である、軸受ホルダ216を内嵌固定している。この軸受ホルダ216は、図41〜45に詳示する様に、それぞれが合成樹脂製である1対の軸受ホルダ素子217、217を一体に組み合わせて成るもので、大径円筒部218と小径円筒部219とを、互いに同心に連結して成る。このうちの大径円筒部218の内周面の直径方向反対側2個所位置には、互いに平行な1対の平面部234、234(図43)を設けている。又、この大径円筒部218の、上記小径円筒部219と反対側の端部(図40、41の左端部、図44の奥端部)の内周面で、上記各平面部234、234、と90度位相が異なる位置に、1対の内向鍔部220a、220bを、それぞれ内径側に突出する状態で形成している。そして、これら内向鍔部220a、220bの内側面と上記小径円筒部219の内側面(図40、41の左側面)との間隔を、上記第四の玉軸受37を構成する外輪60の軸方向寸法とほぼ同じにしている。又、上記大径円筒部218の内周面で各平面部234、234から外れた部分の内径を、この外輪60の外径よりも少し大きくしている。一方、上記各平面部234、234同士の間隔d234 は、この外輪60の外径とほぼ同じにしている。この構成により、上記大径円筒部218にこの外輪60を内嵌支持した状態で、この外輪60の軸方向の変位が阻止される一方、この外輪60の径方向で、上記各平面部234、234に沿った方向のみの(外輪60の外周面が大径円筒部218の内周面に突き当たる迄の)所定の範囲での変位が可能となる。即ち上記外輪60の図43、44の左右方向の変位は阻止される、更に、上記大径円筒部218の外周面の軸方向中間部には係止溝221を、全周に亙り形成している。この様な軸受ホルダ216は、この軸受ホルダ216を中心軸を含む仮想平面により2分割する事により得られる如き形状を有する、上記1対の軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き合わせて成る。
更に、上記小径円筒部219を構成する為の、上記各軸受ホルダ素子217、217に設けた半円筒部223、223の円周方向中央部に、上記各平面部234、234と平行な平板部233、233をそれぞれ設けている。そして、これら各平板部233、233の中間部に、径方向に貫通する切り欠き222a、222b(図42、44、45)を、それぞれの一端が上記各平板部233、233の端面に開口する状態で形成している。上記各切り欠き222a、222bは、後述する捩りコイルばね30aの両端部を係止する為のもので、図45(a)(b)に詳示する様に、互いに異なる形状を有する。即ち、これら各切り欠き222a、222bは、上記各平板部233、233の先端面から奥端迄の長さが互いに異なっている。又、これら各切り欠き222a、222bの奥端に、これら各切り欠き222a、222b同士で同方向に折れ曲がった折れ曲がり部235、235を設けている。上記各軸受ホルダ素子217、217を組み合わせて上記軸受ホルダ216を構成した状態で、上記各切り欠き222a、222bは、この軸受ホルダ216のほぼ径方向反対側2個所位置に存在する。
そして、図43に示す様に、上記第四の玉軸受37を組み立てた状態で、この第四の玉軸受37を構成する外輪60の軸方向両側面と外周面との総ての部分を、上記軸受ホルダ216の大径円筒部218と内向鍔部220a、220bと小径円筒部219(図41)とにより覆う様に、上記1対の軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き合わせて、上記軸受ホルダ216としている。そして、この状態で、上記係止溝221に、ゴムの如きエラストマー等から成る弾性リング224を係止している。又、上記第四の玉軸受37を構成する内輪65の内径側に、ウォーム軸29の軸方向の滑りを許容する為のブッシュ225を内嵌している。
又、上記軸受ホルダ216を構成する小径円筒部219の内側に予圧パッド213aを配置している。この予圧パッド213aは、図43に詳示する様に、固体潤滑剤を混入した合成樹脂を射出成形する等により略円筒状に造っており、この予圧パッド213aの両端部外周面に係止突部230、230を、それぞれ全周に亙り外径側に突出する状態で形成している。又、この予圧パッド213aの中心部に、軸方向に貫通する状態で設けた通孔231の内側に、ウォーム軸29の先端寄り部分に設けた小径部68を、がたつきなく挿入自在としている。この通孔231の内周面は、この小径部68を支持する滑り軸受としての機能を有する。又、この通孔231のうち、上記ウォーム軸29の基端側端部内周面に、開口端に向かう程直径が大きくなったテーパ面232を設けている。
そして、上記予圧パッド213aの周囲に、請求項1、22、27に記載した弾性体である、上記捩りコイルばね30aの本体部分(コイル部分)を外嵌した状態で、この予圧パッド213aを、上記軸受ホルダ216を構成する小径円筒部219の内側に配置している。又、この小径円筒部219の内周面で各平板部233、233に対向する部分同士の間隔d233 を、上記予圧パッド213aに設けた各係止突部230、230の外径よりも僅かに大きくしている。この状態で、この予圧パッド213aは、この小径円筒部219の内側で、上記各係止突部230、230の外周縁がこの小径円筒部219の内周面に突き当たる迄の変位が可能となっている。更に、上記捩りコイルばね30aの両端部で、径方向反対側2個所位置に、外径側に折り曲げる状態で設けた1対の係止部73a、73aを、上記小径円筒部219を構成する平板部233、233に形成した1対の切り欠き222a、222bに係止している。又、上記捩りコイルばね30aをこれら各切り欠き222a、222bに係止した状態で、この捩りコイルばね30aの本体部分の中心位置を、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向一端側(図40〜44の上端側)に片寄らせている。尚、上記各切り欠き222a、222bに設けた折れ曲がり部235、235は、上記各係止部73a、73bがこれら各切り欠き222a、222bから脱落するのを防止する機能を有する。
そして、この様にして上記軸受ホルダ216と前記第四の玉軸受37と上記予圧パッド213aと捩りコイルばね30aとを組み合わせた状態で、この軸受ホルダ216を、前記ギヤハウジング22に設けた凹孔72(図40、41)に内嵌固定している。即ち、この凹孔72を構成する開口端側の大径円筒部226に、上記軸受ホルダ216の大径円筒部218を内嵌固定すると共に、この凹孔72の大径円筒部226の内周面と上記係止溝221の底面との間で上記弾性リング224を、弾性的に圧縮している。又、上記凹孔72を構成する底面側の小径円筒部227の内周面と、上記軸受ホルダ216の小径円筒部219の外周面との間に、略円環状の隙間228を形成している。この状態で、上記第四の玉軸受37の外周面及び軸方向両側面の一部は、上記軸受ホルダ216により覆われて、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37の軸方向の変位が阻止されると共に、この軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の径方向で、各平面部234、234に沿う所定の範囲での変位が許容される。
又、この様にして、ギヤハウジング22に、軸受ホルダ216を介して支持した第四の玉軸受37に内嵌したブッシュ225の内側には、上記ウォーム軸29の先端寄り部分に設けた大径部63を緩く挿通している。そして、このブッシュ225に対するこの大径部63の軸方向の変位を可能としている。これと共に、上記予圧パッド213aに設けた通孔231に、上記ウォーム軸29の先端部に設けた小径部68を、がたつきなく挿入している。この構成により、このウォーム軸29の先端部には、上記捩りコイルばね30aからこの予圧パッド213aを介して、ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。即ち、この予圧パッド213aに設けた通孔231に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する以前の状態で、この通孔231の中心軸は、上記軸受ホルダ216及び凹孔72の中心軸に対し、片側(図40〜42の上側)に片寄っている。そして、この通孔231の内側に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する事に伴って、上記捩りコイルばね30aの直径が、上記予圧パッド213aの外周面により、弾性的に押し広げられる。そして、この捩りコイルばね30aが巻き戻る(直径を縮める)方向に弾性復帰する傾向となる事で、この捩りコイルばね30aから上記ウォーム軸29の先端部に、上記予圧パッド213aを介して、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。この構成により、このウォームホイール28を外嵌固定した前記インナーシャフト18と、上記ウォーム軸29との、中心軸同士の間の距離は弾性的に縮まる。この結果、上記ウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216を構成する上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端の突き合わせ面の面方向(図40、41の紙面と平行な面方向)を、上記ウォーム軸29に捩りコイルばね30aにより弾力を付与する方向と一致させている。尚、本例の場合と異なり、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き当てず、これら両端面同士の間に隙間が形成される様にしても良い。又、この様に構成する場合、この隙間部分を通る仮想平面を、上記弾力を付与する方向と一致させる事が好ましい。
上述の様に、本例のウォーム減速機とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、捩りコイルばね30aにより、ウォーム軸29の先端部に、予圧パッド213aを介してウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイール28とウォーム軸29のウォーム27との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。しかも、本例の場合には、ウォームホイール28からウォーム軸29に加わる軸方向の力に拘らず、上記噛合部に付与する予圧を、限られた狭い範囲に安定して維持し易くできる。この為、この噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。
即ち、本例の場合には、上記ウォーム軸29に弾力を付与する為の予圧パッド213a、及びこのウォーム軸29の先端部を支持する為の第四の玉軸受37に対する、このウォーム軸29の軸方向の変位を許容している。この為、電動モータ31の駆動時にウォームホイール28からこのウォーム軸29に軸方向の大きな反力が加わる場合でも、この反力により上記予圧パッド213a及び第四の玉軸受37が、別の部材に、このウォーム軸29の軸方向に強く押し付けられる事がない。従って、捩りコイルばね30aにより上記予圧パッド213aを介してこのウォーム軸29に弾力を付与する事により、上記ウォームホイール28とウォーム軸29のウォーム27との噛合部に付与する予圧が、上記反力の影響により大きく変動する事を防止できる。この結果、この予圧を、限られた狭い範囲に長期間に亙り安定して維持し易くでき、上記噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。
又、上記第四の玉軸受37の変位を規制する軸受ホルダ216を合成樹脂製としている為、これら第四の玉軸受37と軸受ホルダ216との間に作用する摩擦力を小さくして、この第四の玉軸受37を径方向に変位し易くできる。この為、上記噛合部での歯打ち音の発生を、より有効に抑える事ができる。又、この第四の玉軸受37の外周面及び軸方向両側面の一部を、上記軸受ホルダ216により覆って、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37の軸方向の変位を規制している。この為、上記ウォーム軸29をこの第四の玉軸受37に軸方向に押し付ける事なく、この第四の玉軸受37のがたつきを抑え易くできる。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の軸方向の変位を阻止すると共に、この軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の径方向の所定の方向の変位を許容している。この為、上記ウォーム軸29と第四の玉軸受37とが軸方向に相対変位しつつ、このウォーム軸29が揺動変位する場合での、このウォーム軸29の外周面と上記第四の玉軸受37の内輪65の内周面との間での滑り摩擦を小さくし易くでき、この揺動変位を円滑に行ない易くできる。この結果、全体での摩擦損失を小さくして、上記噛合部に適正な予圧を付与し易くできる。
更に、本例の場合には、上記軸受ホルダ216とギヤハウジング22との間に、弾性リング224を設けている為、このギヤハウジング22に対するこの軸受ホルダ216のがたつきを抑え易くできる。この為、各部の寸法管理を容易に行なえると共に、上記噛合部での噛み合いを適正な状態に維持し易くできる。更に、上記ギヤハウジング22に上記軸受ホルダ216を組み付ける際に、このギヤハウジング22の凹孔72の内周面とこの軸受ホルダ216の係止溝221の底面との間で上記弾性リング224を弾性的に圧縮する事ができる。この為、上記軸受ホルダ216の組み付け作業を、上記凹孔72内からのこの軸受ホルダ216の脱落を防止しつつ行なう事ができ、この軸受ホルダ216の組み付け作業を容易に行なえる。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216を、この軸受ホルダ216の中心軸を含む仮想平面により2分割する事により得られる如き形状を有する1対の軸受ホルダ素子217、217から成るものとしている。この為、この軸受ホルダ216を得る為の、各軸受ホルダ素子217、217の成形作業の容易化を図れると共に、この軸受ホルダ216の内側に第四の玉軸受37を組み付ける作業をより容易に行なえる。更に、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端の突き合わせ面の面方向を、ウォーム軸29に捩りコイルばね30aにより弾力を付与する方向と一致させている。この為、このウォーム軸29が揺動変位する場合に、第四の玉軸受37の径方向の変位が上記軸受ホルダ216により妨げられにくくなり、このウォーム軸29の揺動変位をより行ない易くできる。
更に、本例の場合には、上記予圧パッド213aの軸方向両端部外周面に、外径側に突出する係止突部230、230を設けている。この為、この予圧パッド213の外周面から捩りコイルばね30aが脱落する事を防止できると共に、この予圧パッド213の軸方向に関するこの捩りコイルばね30aの変位を規制できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜9に示した実施の形態の第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明並びに図示は省略する。
尚、本例の場合と異なり、請求項23に対応する構成として、上記軸受ホルダ216を、別体の部材である軸受ホルダ素子217、217を突き合わせる事により構成するのではなく、単一の部材により構成すると共に、この単一の部材の円周方向の一部に軸方向全長に亙る切り欠きを設けたものとする事もできる。この様に構成した場合には、上記軸受ホルダ216の直径を弾性的に大きく広げる事ができ、この軸受ホルダ216の内側に第四の玉軸受37を、この第四の玉軸受37の軸方向の変位を規制する様に組み付ける作業を容易に行なえる。又、上記軸受ホルダ216により、この軸受ホルダ216の周囲に設ける部品の寸法誤差及び組み付け誤差を吸収し易くできる。又、周囲の温度が変化した場合でも、この軸受ホルダ216に設けた切り欠き部分で寸法変化を吸収して、この軸受ホルダ216の切り欠き以外での寸法変化を抑える事もできる。
又、請求項25に対応する構成として、上記軸受ホルダ216と第四の玉軸受37との間に弾性部材を設ける事もできる。この様に構成した場合には、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37のがたつきを抑え易くできる。この為、各部の寸法管理を容易に行なえると共に、上記噛合部での噛み合いを適正な状態に維持し易くできる。更に、上記軸受ホルダ216に上記第四の玉軸受37を組み付ける作業を、この軸受ホルダ216とこの第四の玉軸受37との間で上記弾性部材を圧縮させつつ行なえる。この為、上記作業の際に、この軸受ホルダ216内からのこの第四の玉軸受37の脱落を防止でき、この第四の玉軸受37の組み付け作業を容易に行なえる。
尚、上述した実施の形態の第15例の場合には、ピニオン軸10(図1、44参照)の端部に固定したピニオン11とラック12(図44参照)とを直接噛合させた場合に就いて説明した。但し、請求項22〜28に係る本発明はこの様な構造に限定するものではない。例えば、ピニオン軸の下端部に設けたピンを、このピニオン軸と別体に設けたピニオンギヤの長孔内に、この長孔の長さ方向の変位を自在として係合させると共に、このピニオンギヤとラックとを噛合させ、車速に応じてステアリングシャフトの回転角度に対するラックの変位量の比を変化させる、所謂車速応動可変ギヤレシオ機構(VGS)を組み込んだ構造と、本例の構造とを組み合わせる事もできる。
又、請求項22〜28に係る本発明は、電動モータを、ステアリングシャフト2の周囲に設ける構造に限定するものでもない。例えば、前述の図15に示す様に、ラック12と噛合させるピニオン11(図44参照)の周辺部に、電動モータ31を設けた構造で、請求項22〜28に係る本発明を実施する事もできる。この様な図15に示した構造の場合には、上記ピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材の一部に、ウォーム減速機16を構成するウォームホイールを固定する。この様な図15に示した構造の場合には、トルクセンサ3(図44参照)を、ステアリングシャフト2の周囲ではなく、上記ピニオン11の周辺部に設ける事もできる。
又、前述の図16に示した様に、ラック12の一部で、ピニオン11との係合部から外れた位置に噛合させたサブピニオン75の周辺部に、電動モータ31を設けた構造で、請求項22〜28に係る本発明を実施する事もできる。この図16に示した構造の場合には、このサブピニオン75に固定したウォームホイールと、ウォーム軸29とを噛合させる。この様な図16に示した構造の場合にも、トルクセンサ3(図44参照)を、上記ピニオン11の周辺部に設ける事ができる。尚、図44に示した構造の場合には、中間シャフト8の中間部に、地面から車輪を介して上記ピニオン11に伝達された振動を、ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為の緩衝装置76を設けている。例えば、この緩衝装置76は、インナーシャフトとアウターシャフトとをテレスコープ状に組み合わせると共に、これら両シャフトの端部周面同士の間に弾性材を結合する事により構成する。
この様に、請求項22、28に記載したアシスト軸は、ステアリングシャフトと、ピニオンと、このピニオンと離れた位置でラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材等とする事ができる。
又、請求項22〜28に係る本発明は、電動モータ31を構成する、コイル45に送る励磁電流の方向を切り換える為のロータ位相検出器を、ブラシ48とコンミテータ46(図2、3参照)とにより構成した場合に限定するものではない。例えば、前述の図17に示した様に、ロータ位相検出器を、回転軸32に固定した永久磁石製のエンコーダ78と、ホールIC77とにより構成して、電動モータ31を、所謂ブラシレス構造とする事もできる。又、前述の図17に示した構造の場合には、ステータ39aを、ケース23の内周面に固定した積層鋼板製のコア82と、このコア82の複数個所に巻回したコイル83、83とにより構成すると共に、ロータ38aを、上記回転軸32の中間部外周面に固定した永久磁石84、84により構成している。又、この様な構造を採用した場合に、上記ステータ39aに送る電流の大きさの増減を制御するベクトル制御装置を設ける事により、このステータ39aの磁力を切り換える事もできる。
更に、上述した実施の形態の第15例の場合には、ウォーム減速機を電動式パワーステアリング装置に組み込んだ場合に就いて説明した。但し、請求項22〜27に係る本発明のウォーム減速機は、この様な用途に使用するものに限定するものではなく、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、リフター等の各種機械装置に組み込む電動式リニアアクチュエータ等に組み込んで使用する事もできる。例えば、ウォーム減速機をこの電動式リニアアクチュエータに組み込んだ場合には、電動モータの出力をこのウォーム減速機で減速してから、回転軸に取り出して、この回転軸の周囲に設けた出力軸を、ボールねじ等を介して伸縮させる。この様な電動式リニアアクチュエータに組み込むウォーム減速機にも、請求項22〜27に係る本発明を適用できる。