操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。電動式パワーステアリング装置は、油圧式のパワーステアリング装置に比べて小型・軽量にでき、補助動力の大きさ(トルク)の制御が容易で、しかもエンジンの動力損失が少ない等の利点がある。図19は、この様な電動式パワーステアリング装置の、従来から知られている基本構成を略示している。
ステアリングホイール1の操作に基づいて回転するステアリングシャフト2の中間部には、このステアリングホイール1からこのステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出するトルクセンサ3と、減速機4とを設けている。この減速機4の出力側は上記ステアリングシャフト2の中間部に結合し、同じく入力側は電動モータ5の回転軸に結合している。又、上記トルクセンサ3の検出信号は、車速を表す信号と共に、上記電動モータ5への通電を制御する為の制御器6に入力している。又、上記減速機4として従来から、大きなリード角を有し、動力の伝達方向に関して可逆性を有するウォーム減速機を、一般的に使用している。即ち、回転力受取部材であるウォームホイールを上記ステアリングシャフト2の中間部に固定すると共に、回転力付与部材であり上記電動モータ5の回転軸に結合固定したウォーム軸のウォームを、上記ウォームホイールと噛合させている。
操舵輪14に舵角を付与する為、上記ステアリングホイール1を操作し、上記ステアリングシャフト2が回転すると、上記トルクセンサ3がこのステアリングシャフト2の回転方向とトルクとを検出し、その検出値を表す信号を上記制御器6に送る。するとこの制御器6は、上記電動モータ5に通電して、上記減速機4を介して上記ステアリングシャフト2を、上記ステアリングホイール1に基づく回転方向と同方向に回転させる。この結果、上記ステアリングシャフト2の先端部(図19の下端部)は、上記ステアリングホイール1から付与された力に基づくトルクよりも大きなトルクで回転する。
この様なステアリングシャフト2の先端部の回転は、自在継手7、7及び中間シャフト8を介してステアリングギヤ9の入力軸10に伝達される。この入力軸10は、上記ステアリングギヤ9を構成するピニオン11を回転させ、ラック12を介してタイロッド13を押し引きし、操舵輪14に所望の舵角を付与する。上述した説明から明らかな通り、上記ステアリングシャフト2の先端部から自在継手7を介して中間シャフト8に伝達されるトルクは、上記ステアリングホイール1から上記ステアリングシャフト2の基端部(図19の上端部)に加えられるトルクよりも、上記電動モータ5から減速機4を介して加えられる補助動力分だけ大きい。従って、上記操舵輪14に舵角を付与する為に運転者が上記ステアリングホイール1を操作する為に要する力は、上記補助動力分だけ小さくて済む様になる。
上述した様な従来から一般的に使用されている電動式パワーステアリング装置の場合、電動モータ5とステアリングシャフト2との間に設ける減速機4として、ウォーム減速機を使用している。但し、このウォーム減速機には不可避のバックラッシュが存在する。このバックラッシュは、上記ウォーム減速機の構成部材である、ウォーム軸と、ウォームホイールと、これら各部材を支持する為の軸受等の寸法誤差や、組み付け誤差が大きくなる程大きくなる。そして、大きなバックラッシュが存在すると、上記ウォームホイールとウォームとの歯面同士が強く衝合して、耳障りな歯打ち音が発生する可能性がある。
例えば、路面が荒れている等により、車輪側からステアリングシャフト2に振動荷重が加わると、上記バックラッシュの存在により、耳障りな歯打ち音が発生する。又、上記ウォームホイールとウォームとの歯面同士が衝合する事により、ステアリングホイールを操舵する際の操舵感が悪化する。
これに対して、上記ウォーム減速機の各構成部材を、寸法精度を考慮しつつ適切に組み合わせる事により、上記バックラッシュを小さくする事も考えられる。但し、この様にしてバックラッシュを小さくする場合には、寸法精度の管理や組立作業が面倒になり、コストの増大を招く原因となる。しかも、近年は、上記補助動力を大きくする傾向にある為、上記ウォームホイールとウォームとの歯面の摩耗が増大して、上記バックラッシュがより発生し易くなっている。この様なバックラッシュに基づく歯打ち音は、自動車の車室内空間に漏れると、乗員に不快感を与える。
この様な事情に鑑みて、特許文献1、3、4には、ウォームホイールとウォーム軸との噛合部でのバックラッシュを小さくする事を考慮したウォーム減速機が、特許文献2には、歯打ち音の発生を抑える構造が、それぞれ記載されている。このうちの特許文献3に記載されたウォーム減速機は、図20〜21に示す様に、電動モータ114と共に、電動式パワーステアリング装置に組み込んで、ステアリングシャフト113に加わる操舵トルクに応じて発生させた上記電動モータ114の回転をウォーム減速機115で減速する事により得た補助トルクを、上記ステアリングシャフト113に付与する。この為に、このステアリングシャフト113の一部に上記ウォーム減速機115を構成するウォームホイール116を外嵌固定すると共に、このウォームホイール116にウォーム軸117のウォーム118を噛合させている。このウォーム軸117の両端部は、ギヤハウジング119の内側に、1対の転がり軸受120a、120bにより、回転自在に支持している。又、上記ウォーム軸117の基端部(図20の左端部)を、上記電動モータ114の回転軸121の一端部(図20の右端部)に連結している。
又、上記ウォーム軸117の先端部(図20の右端部)の外周面と、上記ギヤハウジング119に設けた凹孔122の内周面との間に、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの一方の転がり軸受120bと弾力付与手段123とを設けている。この弾力付与手段123は、それぞれが金属製である内径側円筒部124及び外径側円筒部125と、これら両円筒部124、125同士を連結した、ゴム又は合成樹脂製の円輪部126とから成る。又、上記内径側円筒部124を、上記外径側円筒部125に対し、上記ウォームホイール116側に偏心させている。そして、上記凹孔122に、上記弾力付与手段123の外径側円筒部125を内嵌固定すると共に、上記内径側円筒部124の内側に固定した一方の転がり軸受120bの内輪127に、上記ウォーム軸117の先端部を内嵌固定している。この構成により、上記ウォーム軸117の先端部に、上記ウォームホイール116に向かう方向(図20、21の上向)の弾力が付与され、上記ウォーム軸117がこのウォームホイール116側に揺動変位する。尚、このウォーム軸117の基端部を支持する、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの他方の転がり軸受120aの片面(図20の左端面)に、上記ギヤハウジング119のねじ孔128に結合したねじ環129の先端面を押し付けている。そして、この構成により、上記1対の転がり軸受120a、120bの軸方向の内部隙間を小さくし、これら各転がり軸受120a、120bのがたつきを抑えている。
この様な特許文献3に記載されたウォーム減速機によれば、ウォーム軸117のウォーム118とウォームホイール116との噛合部に存在するバックラッシュを或る程度小さく抑える事ができる為、この噛合部での歯打ち音の発生を或る程度抑える事ができる。尚、上述の様な特許文献3に記載されたウォーム減速機の場合には、ウォーム軸117をギヤハウジング119に対し揺動変位を可能に支持している。
又、前記特許文献4に記載されたウォーム減速機も、図22、23に示す様に、ウォーム軸117の両端寄り部分を、1対の転がり軸受120a、120bによりギヤハウジング119に対し回転自在に支持している。これら1対の転がり軸受120a、120bのうち、一方(図22の右方)の転がり軸受120bの外輪130の外周面には、押付体131をギヤハウジング119に支持したばね132により弾性的に押し付けている。そしてこの構成により、上記ウォーム軸117の先端部に、ウォームホイール116に向かう方向の弾力を付与している。又、上記一方の転がり軸受120bの周囲に、その内面に互いに平行な1対の側壁面133、133を設けた円筒状の案内部材134を設けて、上記一方の転がり軸受120bの径方向及び軸方向の変位を規制している。又、上記1対の転がり軸受120a、120bのうちの他方(図22の左方)の転がり軸受120aの片面に、ギヤハウジング119に形成したねじ孔128に結合したねじ環129の先端面を押し付ける事により、上記他方の転がり軸受120aの内部隙間を小さくすると共に、上記ウォーム軸117を上記一方の転がり軸受120bに押し付けて、この一方の転がり軸受120bの内部隙間を小さくしている。そして、この構成により、この一方の転がり軸受120b及び上記他方の転がり軸受120aのがたつきを抑えている。その他の構造は、前述の図20〜21に示した特許文献3に記載された構造の場合と同様である。
この様な特許文献4に記載されたウォーム減速機の場合も、上述した特許文献3に記載された構造の場合と同様に、ウォーム軸117のウォーム118とウォームホイール116との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部に存在するバックラッシュを或る程度小さく抑える事ができる為、この噛合部での歯打ち音の発生を或る程度抑える事ができる。
上述の様な特許文献4に記載された構造の場合、上記ねじ環129の締め付け量を大きくする事により、上記各転がり軸受120a、120bのがたつきを抑えている。但し、上記ねじ環129の締め付け量を大きくすると、このウォーム軸117の先端部を支持する為の、上記一方の転がり軸受120bを構成する外輪130の端面が、案内部材134の底面に強く押し付けられる。そして、これにより、これら外輪130の端面と案内部材134の底面との間に大きな摩擦力が発生する。この摩擦力が大きくなる事は、この外輪130の外周面にばね132を押し付ける事により上記噛合部に付与する予圧が減少する原因となる。又、この予圧が減少する事は、この噛合部で歯打ち音が発生し易くなる原因となる。
これに対して、上記ばね132により上記外輪130に付与する弾力を大きくする事により、上記外輪130の端面と上記案内部材134の端面との間に作用する摩擦力が大きくなる場合でも、上記噛合部に付与する予圧を所定値以上に確保する事も考えられる。但し、この予圧が大き過ぎると、上記ステアリングホイールの戻り性能が悪化してしまう。即ち、上記予圧は、上記噛合部での歯打ち音の発生を抑える為に付与するが、この予圧が所定値以上になると、自動車を旋回状態から直進状態に戻す際の、上記ステアリングホイールを中立状態に復帰させるこのステアリングホイールの戻り性能が悪化する。この為、上記予圧は、限られた狭い範囲内に設定する必要がある。従って、この予圧に大きく影響する、上記外輪130の端面と上記案内部材134の端面との間に作用する摩擦力は、十分に小さく抑える必要がある。但し、この摩擦力を十分に小さくする為に、上記ねじ環129の締め付け量を微妙に調整する作業は困難である。
又、運転者がステアリングホイールを操舵する事に伴い、電動モータ114が回転駆動した場合には、ウォームホイール116からウォーム軸117に、このウォーム軸117の軸方向に大きな反力が加わる。そして、この反力によりこのウォーム軸117が軸方向に関して案内部材134側に変位した場合には、このウォーム軸117の先端部を支持する為の上記一方の転がり軸受120bの外輪130がこの案内部材134の底面にやはり強く押し付けられ、この外輪130とこの案内部材134の底面との間に発生する摩擦力が大きくなる可能性がある。即ち、この摩擦力を長期間に亙り一定値に維持する事は困難であり、この摩擦力が大きくなった場合には、上記噛合部で歯打ち音が発生し易くなる。逆にこの摩擦力が小さくなると、上記ステアリングホイールの戻り性能が悪化し易くなる。
[本発明に関する参考例]
図1〜9は、本発明に関する参考例を示している。本参考例の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1を固定した、請求項に記載したアシスト軸である、ステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のウォーム減速機16と、このステアリングシャフト2の前端側に設けたピニオン11(図19参照)と、このピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材と噛合させたラック12(図19参照)と、トルクセンサ3(図19参照)と、電動モータ31と、制御器6(図19参照)とを備える。
このうちのステアリングシャフト2は、アウターシャフト17と、インナーシャフト18とを、スプライン係合部により、回転力の伝達自在に、且つ軸方向に関する変位を可能に組み合わせて成る。又、本参考例の場合には、上記アウターシャフト17の前端部とインナーシャフト18の後端部とをスプライン係合させると共に、合成樹脂を介して結合している。従って、上記アウターシャフト17とインナーシャフト18とは、衝突時にはこの合成樹脂を破断させて、全長を縮める事ができる。
又、上記ステアリングシャフト2を挿通した筒状のステアリングコラム15は、アウターコラム19とインナーコラム20とをテレスコープ状に組み合わせて成り、軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。そして、上記インナーコラム20の前端部を、ギヤハウジング22の後端面に結合固定している。又、上記インナーシャフト18をこのギヤハウジング22の内側に挿通し、このインナーシャフト18の前端部を、このギヤハウジング22の前端面から突出させている。
上記ステアリングコラム15は、その中間部を支持ブラケット24により、ダッシュボードの下面等、車体26の一部に支承している。又、この支持ブラケット24と車体26との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット24に前方に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット24が上記係止部から外れる様にしている。又、上記ギヤハウジング22の上端部も、上記車体26の一部に支承している。又、チルト機構及びテレスコピック機構を設ける事により、前記ステアリングホイール1の前後位置及び高さ位置の調節を自在としている。この様なチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本発明の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
又、上記インナーシャフト20の前端部で、上記ギヤハウジング22の前端面から突出した部分は、自在継手7を介して、中間シャフト8の後端部に連結している。又、この中間シャフト8の前端部に、別の自在継手7を介して、ステアリングギヤ9の入力軸10を連結している。前記ピニオン11は、この入力軸10に結合している。又、前記ラック12は、このピニオン11に噛合させている。尚、地面から車輪を介して中間シャフト8に加わった振動が上記ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為、上記各自在継手7、7に、振動吸収装置を設ける事もできる。
又、前記ウォーム減速機16は、上記インナーシャフト18の一部に外嵌固定自在なウォームホイール28と、ウォーム軸29と、捩りコイルばね30と、予圧パッド70とを備える。更に、上記ウォーム減速機16は、それぞれが単列深溝型である、第一〜第四の玉軸受34〜37を備える。
又、前記トルクセンサ3は、前記ステアリングシャフト2の中間部の周囲に設けて、上記ステアリングホイール1からこのステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、前記制御器6に送る。そして、この制御器6は、この検出信号に応じて、前記電動モータ31に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
又、上記ウォームホイール28とウォーム軸29とは、上記ギヤハウジング22の内側に設けて、このウォームホイール28と、このウォーム軸29の中間部に設けたウォーム27とを噛合させている。又、上記電動モータ31は、このギヤハウジング22に結合固定したケース23と、このケース23の内周面に設けた、永久磁石製のステータ39と、このケース23の内側に設けた回転軸32と、この回転軸32の中間部にこのステータ39と対向する状態で設けたロータ38とを備える。
又、前記第一の玉軸受34は、上記ケース23を構成する底板部40の中心部に設けた凹孔41の内周面と、上記回転軸32の基端部外周面との間に設けて、上記ケース23に対しこの回転軸32の基端部(図2、3の左端部)を、回転自在に支持している。又、前記第二の玉軸受35は、上記ケース23の中間部内周面に設けた隔壁部42の内周縁と、上記回転軸32の中間部外周面との間に設けて、この隔壁部42に対しこの回転軸32の中間部を回転自在に支持している。又、上記ロータ38は、この回転軸32の中間部に設けた、積層鋼板製のコア43の外周面の円周方向複数個所に設けたスロット44にコイル45を巻回して成る。又、上記回転軸32の先端寄り部分(図2、3の右端寄り部分)で、上記ロータ38と上記隔壁部42との間部分に、上記コイル45に通電する為のコンミテータ46を設けている。
一方、上記ケース23の内周面でこのコンミテータ46と対向する部分に、ブラシホルダ47を固定している。そして、このブラシホルダ47内にブラシ48を、上記ケース23の径方向の変位自在に収納している。このブラシ48は、このケース23の外周面に設けた図示しないカプラの端子と導通している。又、上記ブラシ48には、上記ブラシホルダ47内に支持したばね49により、上記ケース23の内径側に向いた弾力を付与している。従って、このブラシ48の内端面は、上記コンミテータ46の外周面と弾性的に摺接する。そして、このコンミテータ46と上記ブラシ48とにより、上記コイル45への励磁電流の向きを切り換える為のロータ位相検出器を構成している。
更に、前記ウォーム軸29の基端部(図2、4の左端部)内周面に設けた雌スプライン部50を、前記回転軸32の先端部に設けた雄スプライン部51とスプライン係合させて成るスプライン係合部33により、上記両軸29、32の端部同士を連結している。この構成により、ウォーム軸29は、回転軸32と共に回転する。
又、前記第三の玉軸受36は、前記ギヤハウジング22の内側に、上記ウォーム軸29の基端部を、回転自在に支持している。この為に、この第三の玉軸受36を構成する外輪57を、前記ギヤハウジング22の一部に設けた支持孔59の内周面に内嵌固定している。又、この外輪57の軸方向一端面(図2、4の右端面)を、この支持孔59の内周面に設けた段部58に突き当てると共に、上記外輪57の軸方向他端面(図2、4の左端面)を、この内周面に係止した係止リング88により抑え付けている。又、上記第三の玉軸受36を構成する内輪52を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面で、軸方向に関して上記スプライン係合部33と一致する部分に外嵌している。そして、このスプライン係合部33の軸方向中央位置と第三の玉軸受36との軸方向中央位置とを、ほぼ一致させている。又、上記内輪52の内周面と上記ウォーム軸29の外周面との間に微小隙間を設ける事により、上記第三の玉軸受36に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾きを可能としている。又、上記内輪52の軸方向両端面と、このウォーム軸29の基端寄り部分外周面に設けた鍔部53の側面及びこのウォーム軸29の基端部に設けた雄ねじ部54に螺合固定したナット55の内端面との間に、それぞれ複数枚ずつの皿ばね56、56を設けている。そして、上記鍔部53の側面とナット55の内端面(図2、4の左端面)との間で上記内輪52を、弾性的に挟持している。この構成により、上記第三の玉軸受36に対して上記ウォーム軸29を、軸方向に関する所定の範囲での弾性的変位を可能としている。尚、好ましくは、上記第三の玉軸受36として、4点接触型の玉軸受を使用する。
一方、前記第四の玉軸受37は、上記ギヤハウジング22の内側に、上記ウォーム軸29の先端部(図2、4、5の右端部)を、回転自在に支持している。この為に、上記第四の玉軸受37を構成する外輪60を、上記ギヤハウジング22の内側に固定したホルダ61に固定している。このホルダ61は、断面L字形で全体を円環状に形成しており、このホルダ61の片半部(図2、4、5の左半部)内周面に設けた大径部62に、上記外輪60を内嵌固定している。又、上記ウォーム軸29の先端寄り部分の外周面で、前記ウォーム27から外れた部分に設けた大径部63に、弾性材製のブッシュ64を外嵌している。このブッシュ64は、断面L字形で全体を円筒状に形成している。そして、このブッシュ64の内側に、上記ウォーム軸29の大径部63を緩く挿通すると共に、このブッシュ64の軸方向一端面(図2、4、5の右端面)から、上記ウォーム軸29の先端部を突出させている。そして、上記ブッシュ64の軸方向中間部に、上記第四の玉軸受37を構成する内輪65を外嵌固定している。又、この内輪65の軸方向一端面(図2、4、5の左端面)を、上記ブッシュ64の軸方向他端部(図2、4、5の左端部)に設けた外向鍔部67の内側面に突き当てる事により、この内輪65の軸方向の位置決めを図っている。そして、上記ブッシュ64の内周面と上記大径部63の外周面との間に微小隙間を設ける事により、このブッシュ64に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾き(径方向の変位)を可能としている。
又、このウォーム軸29に設けた大径部63とこの大径部63よりも先端側に外れた部分に設けた小径部68との間に、テーパ面89を設けている。又、この小径部68と上記ウォーム軸29の先端面との連続部に、テーパ面109を設けている。そして、前記ギヤハウジング22に固定したホルダ61の他端面(図2、4、5の右端面)とこのギヤハウジング22に設けた凹孔72の底面との間に配置した予圧パッド70の一部に、上記小径部68をがたつきなく挿入している。この予圧パッド70は、図7〜9に詳示する様に、固体潤滑材を混入した合成樹脂を射出成形する等により、欠円筒の外周寄り部分の径方向反対側2個所位置の片側部分を除去した如き形状に造っている。又、この予圧パッド70の外周面の径方向反対側に設けた平面部91、91のうち、長さ方向一端部(図7〜9の下端部)の片側寄り部分(図7〜9の裏側寄り部分)に腕部92、92を設けている。又、この予圧パッド70の幅方向(図6〜9の左右方向)中央部に軸方向に貫通する状態で設けた、通孔71の内側に、上記ウォーム軸29の小径部68をがたつきなく挿入自在としている。
又、上記通孔71の軸方向両端寄り部分に、開口端に向かう程直径が大きくなったテーパ面93a、93bを、それぞれ設けている。又、この通孔71の軸方向中間部の自由状態での内周面の断面形状を、略正三角形で、互いに隣り合う2本の直線部同士をそれぞれ曲線部により連続させた如き形状としている。そして、これら各直線部の中間部が位置する、上記通孔71の中間部内周面の円周方向等間隔3個所位置を、上記ウォーム軸29の小径部68の外周面が弾性的に当接する接触部94、94としている。本参考例の場合、これら各接触部94、94は、上記予圧パッド70の中心軸を含み、幅方向中央部を通る、仮想平面α(図7)に関して、対称な位置に存在する。又、上記通孔71の軸方向中間部の内周面で、上記予圧パッド70の幅方向中央部に位置する1個の接触部94と、この通孔71の中心軸に関して反対側に位置する部分に、凹部95を形成している。この構成により、上記予圧パッド70の円周方向一部でこの凹部95に対応する部分の剛性は低くなり、この部分が弾性変形し易くなる。又、上記予圧パッド70の内外両周面同士を連通させる不連続部90を、上記仮想平面αに関して片側(図7〜9の右側)にずれた位置に設けている。
一方、上記予圧パッド70の外周面で、前記ウォームホイール28と反対側(図7〜9の下側)の部分に第一部分円筒面部104を、このウォームホイール28側(図7〜9の上側)の部分にこの第一部分円筒面部104と同心の第二部分円筒面部105を、それぞれ設けている。又、この第一部分円筒面部104の円周方向中間部に、幅の小さい突部106を設けると共に、この突部106の先端面を、この第一部分円筒面部104と同心の第三部分円筒面部107としている。又、上記予圧パッド70の外周面で上記ウォームホイール28と反対側部分の、前記ホルダ61と反対側の軸方向一端部(図5の右端部、図7〜9の表側端部)に、外径側に突出する係止突部108を設けている。
この様な予圧パッド70は、前記ギヤハウジング22(図2、4〜6)に内嵌固定自在な前記ホルダ61に、図8、9に詳示する様に組み合わせている。又、このホルダ61の軸方向他面(図9の表側面)に、それぞれ2個ずつ合計4個の第一、第二の突部97、98を、通孔96の開口周辺部の4個所位置に振り分けて形成している。このうちの各第一の突部97、97は、ウォームホイール28側(図2、4、5の上側)に存在し、各第二の突部98、98は、このウォームホイール28と反対側(図2、4、5の下側)に存在する。又、上記各第一、第二の突部97、98の外径側側面に、互いに同心の部分円筒面部99、99を、それぞれ設けている。又、これら各第二の突部98、98の先端寄り部分で上記ウォームホイール28と反対側の側面に、第一の係止突部100、100を設けている。
そして、それぞれが上述の様に構成するホルダ61と予圧パッド70とを組み合わせると共に、これら両部材61、70の周囲に捩りコイルばね30を設けている。即ち、このホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内側に上記予圧パッド70を配置すると共に、これら各第二の突部98、98の片側(図8、9の下側)に、この予圧パッド70に設けた各腕部92、92を係止している。又、上記各第二の突部98、98に設けた第一の係止突部100、100の片側面(図8、9の裏側面)と上記各腕部92、92とを、微小隙間を介して対向させている。又、上記捩りコイルばね30の両端部で、径方向反対側2個所位置に設けた1対の係止部73、73を、上記ホルダ61の一部に設けた、互いに隣り合う第一、第二の突部97、98の間部分に配置しつつ、これら各第一、第二の突部97、98の外径側側面と上記予圧パッド70の外周面とに、上記捩りコイルばね30の本体部分(コイル部分)を外嵌している。又、この捩りコイルばね30の係止部73、73を、上記ホルダ61に設けた各第二の突部98、98の他側面(図6、8、9の上側面)に係止している。又、これら各第二の突部98、98の他側面の先端部に設けた第二の係止突部101、101により、上記各係止部73、73の抜け止めを図っている。そして、上記捩りコイルばね30の本体部分の内周縁を、前記ウォームホイール28と反対側(図2、4〜9の下側)に設けた第三部分円筒面部107に、弾性的に押し付けている。
又、本参考例の場合には、上記予圧パッド70に設けた各平面部91、91を、上記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に微小隙間を介して対向させている。この構成により、上記予圧パッド70は、これら内径側側面により、この予圧パッド70の幅方向(図2、4、5の表裏方向、図6〜9の左右方向)に関する変位を規制される。
そして、この様にホルダ61と予圧パッド70と捩りコイルばね30とを組み合わせた状態で、このホルダ61を、前記ギヤハウジング22の一部に内嵌固定している。又、このギヤハウジング22に上記ホルダ61を固定した後に、前記ウォーム軸29の先端部に設けた小径部68を、上記予圧パッド70に設けた通孔71に挿入している。この構成により、上記ウォーム軸29の先端部には、上記捩りコイルばね30から上記予圧パッド70を介して、前記ウォームホイール28に向かう方向(図2、4、5の上向)の弾力が付与される。即ち、この予圧パッド70に設けた通孔71に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する以前の状態で、この通孔71の中心軸は、上記ホルダ61の中心軸に対し、片側(図4〜9の上側)に片寄っている。そして、上記予圧パッド70に設けた通孔71の内側に上記ウォーム軸29の先端部を挿入すると、この予圧パッド70に設けた第三部分円筒面部107により、上記捩りコイルばね30の直径が弾性的に押し広げられる。そして、この捩りコイルばね30が巻き戻る(直径を縮める)方向に弾性復帰する傾向となり、この捩りコイルばね30から上記ウォーム軸29の先端部に、上記予圧パッド70を介して、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。この構成により、このウォームホイール28を外嵌固定した前記インナーシャフト18と上記ウォーム軸29との、中心軸同士の間の距離は弾性的に縮まる。この結果、上記ウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。
更に、上記捩りコイルばね30の弾力に基づき、上記ウォーム軸29の先端部が上記予圧パッド70に設けた通孔71の内側で前記凹部95側に変位する事により、この予圧パッド70自身が、図6に示す様に、この予圧パッド70のうちの上記凹部95を挟む両側部分同士の間隔を拡げる様に弾性変形する。そして、上記予圧パッド70の各平面部91、91が弾性的にハ字形に拡がって、これら各平面部91、91が前記ホルダ61に設けた各第一、第二の突部97、98の内径側側面に弾性的に当接し、これら各平面部91、91と内径側側面との隙間が小さくなる。
又、本参考例の場合には、上記予圧パッド70の外周面と上記捩りコイルばね30の内周縁との当接部を部分円弧状とすると共に、この当接部の長さを、この捩りコイルばね30の1巻きの長さに対して十分に小さくしている。又、上記予圧パッド70の周囲にこの捩りコイルばね30を設けた状態で、この捩りコイルばね30を構成する各1巻きずつの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面との間(線間)に、軸方向の隙間を設けている。
上述の様に、本参考例のウォーム減速機とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、捩りコイルばね30により、ウォーム軸29の先端部に、予圧パッド70を介してウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイール28とウォーム軸29との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。しかも、本参考例の場合には、ギヤハウジング22に固定されたホルダ61に設けられた、第一、第二の各突部97、98の内径側側面により、上記予圧パッド70の幅方向に関する変位を規制している。又、上記捩りコイルばね30の弾力に基づき、上記ウォーム軸29の先端部を予圧パッド70に設けた通孔71の内側で凹部95側に変位させ、この予圧パッド70自身を弾性変形させている。そして、この予圧パッド70の各平面部91、91を内径側側面に弾性的に当接させる事により、これら各平面部91、91と内径側側面との隙間を小さくしている。従って、電動モータ31(図1〜4)の駆動時に上記ウォームホイール28から上記ウォーム軸29に、図7の矢印イ、ロで示す方向の反力が加わるのにも拘らず、上記予圧パッド70が上記各第一、第二の突部97、98の内径側側面に強く衝合する事を防止でき、耳障りな異音(音鳴り)の発生を抑える事ができる。又、この異音の発生を抑える事で、上記歯打ち音の抑制効果が損なわれる事がない。
又、本参考例の場合には、上記予圧パッド70が合成樹脂製である為、上記ウォーム軸29の端部を、この予圧パッド70に設けた通孔71の内側に挿入する際に、この予圧パッド70を弾性変形させ易くでき、この挿入作業を容易に行なえる。又、上記捩りコイルばね30を構成する各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素の表面とが軸方向に接触している(密着巻きばねである)場合には、この接触部で摩擦が生じる事が、上記捩りコイルばね30により上記ウォーム軸29に付与する弾力が不適切に変化する原因となる。これに対して、本参考例の場合には、上記各1巻きの線材要素の表面と、これら各線材要素と隣り合う別の線材要素との表面同士の間に軸方向の隙間を設けている(捩りコイルばね30が密着巻きばねでない)為、上記ウォーム軸29に所定の弾力を、より安定して付与できる。
又、本参考例の場合には、上記予圧パッド70の端部外周面に、外径側に突出する係止突部108を設けている為、この予圧パッド70の外周面から捩りコイルばね30が脱落する事を防止できると共に、この予圧パッド70の軸方向に関するこの捩りコイルばね30の変位を規制できる。
[実施の形態の1例]
次に、図10〜15は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の電動式パワーステアリング装置は、後端部にステアリングホイール1(図1、19等参照)を固定した、請求項1、3に記載したアシスト軸である、ステアリングシャフト2(図1、19等参照)と、このステアリングシャフト2を挿通自在なステアリングコラム15(図1、19等参照)と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為のウォーム減速機16bと、このステアリングシャフト2の前端側に設けたピニオン11(図19参照)と、このピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材と噛合させたラック12(図19参照)と、トルクセンサ3(図19参照)と、電動モータ31と、制御器6(図19参照)とを備える。
上記ウォーム減速機16bは、上記ステアリングシャフト2を構成するインナーシャフト18(図1等参照)の一部に外嵌固定自在なウォームホイール28と、ウォーム軸29と、捩りコイルばね30aと、予圧パッド213aとを備える。
又、上記トルクセンサ3は、上記ステアリングシャフト2の中間部の周囲に設けて、上記ステアリングホイール1からこのステアリングシャフト2に加えられるトルクの方向と大きさとを検出し、検出値を表す信号(検出信号)を、上記制御器6に送る。そして、この制御器6は、この検出信号に応じて、上記電動モータ31に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
又、上記ウォームホイール28とウォーム軸29とは、ギヤハウジング22の内側に設けて、このウォームホイール28と、このウォーム軸29の中間部に設けたウォーム27とを噛合させている。又、このウォーム軸29の基端部(図10の左端部)内周面に設けた雌スプライン部50と、上記電動モータ31を構成する回転軸32の先端部に設けた雄スプライン部51とをスプライン係合させて成るスプライン係合部33により、上記両軸29、32の端部同士を連結している。この構成により、上記ウォーム軸29は、上記回転軸32と共に回転する。
又、上記ギヤハウジング22の内側に上記ウォーム軸29の基端部を、請求項1に記載した第一の軸受である、第三の玉軸受36により回転自在に支持している。又、この第三の玉軸受36を構成する内輪52を、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面で、軸方向に関して上記スプライン係合部33と一致する部分に外嵌している。そして、このスプライン係合部33の軸方向中央位置と上記第三の玉軸受36との軸方向中央位置とを、ほぼ一致させている。又、上記内輪52の内周面と上記ウォーム軸29の外周面との間に微小隙間を設ける事により、上記第三の玉軸受36に対する上記ウォーム軸29の所定の範囲での傾きを可能としている。又、上記内輪52の軸方向両端面と、上記ウォーム軸29の基端寄り部分外周面に設けた鍔部53の側面及びこのウォーム軸29の基端部に設けた雄ねじ部54に螺合固定したナット55の外周面に設けた鍔部214の側面との間に、それぞれ弾性リング215、215を設けている。そして、上記各鍔部53、214の側面同士の間で上記内輪52を、弾性的に挟持している。この構成により、上記第三の玉軸受36に対して上記ウォーム軸29が、軸方向に関する所定の範囲での弾性的変位を可能に支持される。尚、好ましくは、上記第三の玉軸受36として、4点接触型の玉軸受を使用する。
一方、上記ギヤハウジング22の内側に上記ウォーム軸29の先端部(図10、11の右端部)を、請求項1、2に記載した第二の軸受である、第四の玉軸受37により回転自在に支持している。この為に、本例の場合には、上記ギヤハウジング22に設けた凹孔72に、請求項1、2に記載した緩衝部材である、軸受ホルダ216を内嵌固定している。この軸受ホルダ216は、図11〜15に詳示する様に、それぞれが合成樹脂製である1対の軸受ホルダ素子217、217を一体に組み合わせて成るもので、大径円筒部218と小径円筒部219とを、互いに同心に連結して成る。このうちの大径円筒部218の内周面の直径方向反対側2個所位置には、互いに平行な1対の平面部234、234(図13)を設けている。又、この大径円筒部218の、上記小径円筒部219と反対側の端部(図10、11の左端部、図14の奥端部)の内周面で、上記各平面部234、234、と90度位相が異なる位置に、1対の内向鍔部220a、220bを、それぞれ内径側に突出する状態で形成している。そして、これら内向鍔部220a、220bの内側面と上記小径円筒部219の内側面(図10、11の左側面)との間隔を、上記第四の玉軸受37を構成する外輪60の軸方向寸法とほぼ同じにしている。又、上記大径円筒部218の内周面で各平面部234、234から外れた部分の内径を、この外輪60の外径よりも少し大きくしている。一方、上記各平面部234、234同士の間隔d234 は、この外輪60の外径とほぼ同じにしている。この構成により、上記大径円筒部218にこの外輪60を内嵌支持した状態で、この外輪60の軸方向の変位が阻止される一方、この外輪60の径方向で、上記ウォーム軸29の揺動方向に一致する方向である、上記各平面部234、234に沿った方向のみの(外輪60の外周面が大径円筒部218の内周面に突き当たる迄の)所定の範囲での変位が可能となる。即ち、上記外輪60の図13、14の左右方向の変位は阻止される。更に、上記大径円筒部218の外周面の軸方向中間部には係止溝221を、全周に亙り形成している。この様な軸受ホルダ216は、この軸受ホルダ216を中心軸を含む仮想平面により2分割する事により得られる如き形状を有する、上記1対の軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き合わせて成る。
更に、上記小径円筒部219を構成する為の、上記各軸受ホルダ素子217、217に設けた半円筒部223、223の円周方向中央部に、上記各平面部234、234と平行な平板部233、233をそれぞれ設けている。そして、これら各平板部233、233の中間部に、径方向に貫通する切り欠き222a、222b(図12、14、15)を、それぞれの一端が上記各平板部233、233の端面に開口する状態で形成している。上記各切り欠き222a、222bは、後述する捩りコイルばね30aの両端部を係止する為のもので、図15(a)(b)に詳示する様に、互いに異なる形状を有する。即ち、これら各切り欠き222a、222bは、上記各平板部233、233の先端面から奥端迄の長さが互いに異なっている。又、これら各切り欠き222a、222bの奥端に、これら各切り欠き222a、222b同士で同方向に折れ曲がった折れ曲がり部235、235を設けている。上記各軸受ホルダ素子217、217を組み合わせて上記軸受ホルダ216を構成した状態で、上記各切り欠き222a、222bは、この軸受ホルダ216のほぼ径方向反対側2個所位置に存在する。
そして、図13に示す様に、上記第四の玉軸受37を組み立てた状態で、この第四の玉軸受37を構成する外輪60の軸方向両側面と外周面との総ての部分を、上記軸受ホルダ216の大径円筒部218と内向鍔部220a、220bと小径円筒部219(図11)とにより覆う様に、上記1対の軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き合わせて、上記軸受ホルダ216としている。そして、この状態で、上記係止溝221に、ゴムの如きエラストマー等から成る弾性リング224を係止している。又、上記第四の玉軸受37を構成する内輪65の内径側に、ウォーム軸29の軸方向の滑りを許容する為のブッシュ225を内嵌している。
又、上記軸受ホルダ216を構成する小径円筒部219の内側に予圧パッド213aを配置している。この予圧パッド213aは、図13に詳示する様に、固体潤滑剤を混入した合成樹脂を射出成形する等により略円筒状に造っており、この予圧パッド213aの両端部外周面に係止突部230、230を、それぞれ全周に亙り外径側に突出する状態で形成している。又、この予圧パッド213aの中心部に、軸方向に貫通する状態で設けた通孔231の内側に、ウォーム軸29の先端寄り部分に設けた小径部68を、がたつきなく挿入自在としている。この通孔231の内周面は、この小径部68を支持する滑り軸受としての機能を有する。又、この通孔231のうち、上記ウォーム軸29の基端側端部内周面に、開口端に向かう程直径が大きくなったテーパ面232を設けている。
そして、上記予圧パッド213aの周囲に、請求項1に記載した弾性体である、上記捩りコイルばね30aの本体部分(コイル部分)を外嵌した状態で、この予圧パッド213aを、上記軸受ホルダ216を構成する小径円筒部219の内側に配置している。又、この小径円筒部219の内周面で各平板部233、233に対向する部分同士の間隔d233 を、上記予圧パッド213aに設けた各係止突部230、230の外径よりも僅かに大きくしている。この状態で、この予圧パッド213aは、この小径円筒部219の内側で、上記各係止突部230、230の外周縁がこの小径円筒部219の内周面に突き当たる迄の変位が可能となっている。更に、上記捩りコイルばね30aの両端部で、径方向反対側2個所位置に、外径側に折り曲げる状態で設けた1対の係止部73a、73aを、上記小径円筒部219を構成する平板部233、233に形成した1対の切り欠き222a、222bに係止している。又、上記捩りコイルばね30aをこれら各切り欠き222a、222bに係止した状態で、この捩りコイルばね30aの本体部分の中心位置を、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向一端側(図10〜14の上端側)に片寄らせている。尚、上記各切り欠き222a、222bに設けた折れ曲がり部235、235は、上記各係止部73a、73bがこれら各切り欠き222a、222bから脱落するのを防止する機能を有する。
そして、この様にして上記軸受ホルダ216と前記第四の玉軸受37と上記予圧パッド213aと捩りコイルばね30aとを組み合わせた状態で、この軸受ホルダ216を、前記ギヤハウジング22に設けた凹孔72(図10、11)に内嵌固定している。即ち、この凹孔72を構成する開口端側の大径円筒部226に、上記軸受ホルダ216の大径円筒部218を内嵌固定すると共に、この凹孔72の大径円筒部226の内周面と上記係止溝221の底面との間で上記弾性リング224を、弾性的に圧縮している。又、上記凹孔72を構成する底面側の小径円筒部227の内周面と、上記軸受ホルダ216の小径円筒部219の外周面との間に、略円環状の隙間228を形成している。この状態で、上記第四の玉軸受37の外周面及び軸方向両側面の一部は、上記軸受ホルダ216により覆われて、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37の軸方向の変位が阻止されると共に、この軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の径方向で、上記ウォーム軸29の揺動方向に一致する方向である、前記各平面部234、234に沿う所定の範囲での変位が許容される。
又、この様にして、ギヤハウジング22に、軸受ホルダ216を介して支持した第四の玉軸受37に内嵌したブッシュ225の内側には、上記ウォーム軸29の先端寄り部分に設けた大径部63を緩く挿通している。そして、このブッシュ225に対するこの大径部63の軸方向の変位を可能としている。これと共に、上記予圧パッド213aに設けた通孔231に、上記ウォーム軸29の先端部に設けた小径部68を、がたつきなく挿入している。この構成により、このウォーム軸29の先端部には、上記捩りコイルばね30aからこの予圧パッド213aを介して、ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。即ち、この予圧パッド213aに設けた通孔231に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する以前の状態で、この通孔231の中心軸は、上記軸受ホルダ216及び凹孔72の中心軸に対し、片側(図10〜12の上側)に片寄っている。そして、この通孔231の内側に上記ウォーム軸29の先端部を挿入する事に伴って、上記捩りコイルばね30aの直径が、上記予圧パッド213aの外周面により、弾性的に押し広げられる。そして、この捩りコイルばね30aが巻き戻る(直径を縮める)方向に弾性復帰する傾向となる事で、この捩りコイルばね30aから上記ウォーム軸29の先端部に、上記予圧パッド213aを介して、上記ウォームホイール28に向かう方向の弾力が付与される。この構成により、このウォームホイール28を外嵌固定した前記インナーシャフト18と、上記ウォーム軸29との、中心軸同士の間の距離は弾性的に縮まる。この結果、上記ウォーム軸29のウォーム27と上記ウォームホイール28との歯面同士が、予圧を付与された状態で当接する。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216を構成する上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端の突き合わせ面の面方向(図10、11の紙面と平行な面方向)を、上記ウォーム軸29に捩りコイルばね30aにより弾力を付与する方向(ウォーム軸29の揺動方向)と一致させている。尚、本例の場合と異なり、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端面同士を突き当てず、これら両端面同士の間に隙間が形成される様にしても良い。又、この様に構成する場合、この隙間部分を通る仮想平面を、上記弾力を付与する方向と一致させる事が好ましい。
上述の様に、本例のウォーム減速機とこれを組み込んだ電動式パワーステアリング装置の場合には、捩りコイルばね30aにより、ウォーム軸29の先端部に、予圧パッド213aを介してウォームホイール28に向かう方向の弾力を付与している。この為、安価な構造で、これらウォームホイール28とウォーム軸29のウォーム27との噛合部に予圧を付与する事ができ、この噛合部での歯打ち音の発生を抑える事ができる。しかも、本例の場合には、ウォームホイール28からウォーム軸29に加わる軸方向の力に拘らず、上記噛合部に付与する予圧を、限られた狭い範囲に安定して維持し易くできる。この為、この噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。
即ち、本例の場合には、上記ウォーム軸29に弾力を付与する為の予圧パッド213a、及びこのウォーム軸29の先端部を支持する為の第四の玉軸受37に対する、このウォーム軸29の軸方向の変位を許容している。この為、電動モータ31の駆動時にウォームホイール28からこのウォーム軸29に軸方向の大きな反力が加わる場合でも、この反力により上記予圧パッド213a及び第四の玉軸受37が、別の部材に、このウォーム軸29の軸方向に強く押し付けられる事がない。従って、捩りコイルばね30aにより上記予圧パッド213aを介してこのウォーム軸29に弾力を付与する事により、上記ウォームホイール28とウォーム軸29のウォーム27との噛合部に付与する予圧が、上記反力の影響により大きく変動する事を防止できる。この結果、この予圧を、限られた狭い範囲に長期間に亙り安定して維持し易くでき、上記噛合部での歯打ち音の発生を、有効に抑える事ができる。
又、上記第四の玉軸受37の変位を規制する軸受ホルダ216を合成樹脂製としている為、これら第四の玉軸受37と軸受ホルダ216との間に作用する摩擦力を小さくして、この第四の玉軸受37を径方向に変位し易くできる。この為、上記噛合部での歯打ち音の発生を、より有効に抑える事ができる。又、この第四の玉軸受37の外周面及び軸方向両側面の一部を、上記軸受ホルダ216により覆って、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37の軸方向の変位を規制している。この為、上記ウォーム軸29をこの第四の玉軸受37に軸方向に押し付ける事なく、この第四の玉軸受37のがたつきを抑え易くできる。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の軸方向の変位を阻止すると共に、この軸受ホルダ216に対するこの第四の玉軸受37の、径方向のうちで上記ウォーム軸29の揺動方向に一致する方向への変位を許容している。この為、上記ウォーム軸29と第四の玉軸受37とが軸方向に相対変位しつつ、このウォーム軸29が揺動変位する場合での、このウォーム軸29の外周面と上記第四の玉軸受37の内輪65の内周面との間での滑り摩擦を小さくし易くでき、この揺動変位を円滑に行ない易くできる。この結果、全体での摩擦損失を小さくして、上記噛合部に適正な予圧を付与し易くできる。
更に、本例の場合には、上記軸受ホルダ216とギヤハウジング22との間に、弾性リング224を設けている為、このギヤハウジング22に対するこの軸受ホルダ216のがたつきを抑え易くできる。この為、各部の寸法管理を容易に行なえると共に、上記噛合部での噛み合いを適正な状態に維持し易くできる。更に、上記ギヤハウジング22に上記軸受ホルダ216を組み付ける際に、このギヤハウジング22の凹孔72の内周面とこの軸受ホルダ216の係止溝221の底面との間で上記弾性リング224を弾性的に圧縮する事ができる。この為、上記軸受ホルダ216の組み付け作業を、上記凹孔72内からのこの軸受ホルダ216の脱落を防止しつつ行なう事ができ、この軸受ホルダ216の組み付け作業を容易に行なえる。
又、本例の場合には、上記軸受ホルダ216を、この軸受ホルダ216の中心軸を含む仮想平面により2分割する事により得られる如き形状を有する1対の軸受ホルダ素子217、217から成るものとしている。この為、この軸受ホルダ216を得る為の、各軸受ホルダ素子217、217の成形作業の容易化を図れると共に、この軸受ホルダ216の内側に第四の玉軸受37を組み付ける作業をより容易に行なえる。更に、上記各軸受ホルダ素子217、217の円周方向両端の突き合わせ面の面方向を、ウォーム軸29に捩りコイルばね30aにより弾力を付与する方向と一致させている。この為、このウォーム軸29が揺動変位する場合に、第四の玉軸受37の径方向の変位が上記軸受ホルダ216により妨げられにくくなり、このウォーム軸29の揺動変位をより行ない易くできる。
更に、本例の場合には、上記予圧パッド213aの軸方向両端部外周面に、外径側に突出する係止突部230、230を設けている。この為、この予圧パッド213の外周面から捩りコイルばね30aが脱落する事を防止できると共に、この予圧パッド213の軸方向に関するこの捩りコイルばね30aの変位を規制できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜9に示した本発明に関する参考例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明並びに図示は省略する。
尚、本例の場合と異なり、本発明の技術的範囲からは外れるものの、上記軸受ホルダ216を、別体の部材である軸受ホルダ素子217、217を突き合わせる事により構成するのではなく、単一の部材により構成すると共に、この単一の部材の円周方向の一部に軸方向全長に亙る切り欠きを設けたものとする事もできる。この様に構成した場合には、上記軸受ホルダ216の直径を弾性的に大きく広げる事ができ、この軸受ホルダ216の内側に第四の玉軸受37を、この第四の玉軸受37の軸方向の変位を規制する様に組み付ける作業を容易に行なえる。又、上記軸受ホルダ216により、この軸受ホルダ216の周囲に設ける部品の寸法誤差及び組み付け誤差を吸収し易くできる。又、周囲の温度が変化した場合でも、この軸受ホルダ216に設けた切り欠き部分で寸法変化を吸収して、この軸受ホルダ216の切り欠き以外での寸法変化を抑える事もできる。
又、請求項2に対応する構成として、上記軸受ホルダ216と第四の玉軸受37との間に弾性部材を設ける事もできる。この様に構成した場合には、この軸受ホルダ216に対する上記第四の玉軸受37のがたつきを抑え易くできる。この為、各部の寸法管理を容易に行なえると共に、上記噛合部での噛み合いを適正な状態に維持し易くできる。更に、上記軸受ホルダ216に上記第四の玉軸受37を組み付ける作業を、この軸受ホルダ216とこの第四の玉軸受37との間で上記弾性部材を圧縮させつつ行なえる。この為、上記作業の際に、この軸受ホルダ216内からのこの第四の玉軸受37の脱落を防止でき、この第四の玉軸受37の組み付け作業を容易に行なえる。
尚、上述した実施の形態の1例の場合には、ピニオン軸10(図1、19参照)の端部に固定したピニオン11とラック12(図19参照)とを直接噛合させた場合に就いて説明した。但し、請求項1〜3に係る本発明はこの様な構造に限定するものではない。例えば、ピニオン軸の下端部に設けたピンを、このピニオン軸と別体に設けたピニオンギヤの長孔内に、この長孔の長さ方向の変位を自在として係合させると共に、このピニオンギヤとラックとを噛合させ、車速に応じてステアリングシャフトの回転角度に対するラックの変位量の比を変化させる、所謂車速応動可変ギヤレシオ機構(VGS)を組み込んだ構造と、本例の構造とを組み合わせる事もできる。
又、請求項1〜3に係る本発明は、電動モータを、ステアリングシャフト2の周囲に設ける構造に限定するものでもない。例えば、図16に示す様に、ラック12と噛合させるピニオン11(図19参照)の周辺部に、電動モータ31を設けた構造で、請求項1〜3に係る本発明を実施する事もできる。この様な図16に示した構造の場合には、上記ピニオン11又はこのピニオン11に支持した部材の一部に、ウォーム減速機16を構成するウォームホイールを固定する。この様な図16に示した構造の場合には、トルクセンサ3(図19参照)を、ステアリングシャフト2の周囲ではなく、上記ピニオン11の周辺部に設ける事もできる。
又、図17に示した様に、ラック12の一部で、ピニオン11との係合部から外れた位置に噛合させたサブピニオン75の周辺部に、電動モータ31を設けた構造で、請求項1〜3に係る本発明を実施する事もできる。この図17に示した構造の場合には、このサブピニオン75に固定したウォームホイールと、ウォーム軸29とを噛合させる。この様な図17に示した構造の場合にも、トルクセンサ3(図19参照)を、上記ピニオン11の周辺部に設ける事ができる。尚、図17に示した構造の場合には、中間シャフト8の中間部に、地面から車輪を介して上記ピニオン11に伝達された振動を、ステアリングホイール1に迄伝達されるのを防止する為の緩衝装置76を設けている。例えば、この緩衝装置76は、インナーシャフトとアウターシャフトとをテレスコープ状に組み合わせると共に、これら両シャフトの端部周面同士の間に弾性材を結合する事により構成する。
この様に、請求項1、3に記載したアシスト軸は、ステアリングシャフトと、ピニオンと、このピニオンと離れた位置でラックに噛合するサブピニオンとのうちの何れかの部材等とする事ができる。
又、請求項1〜3に係る本発明は、電動モータ31を構成する、コイル45に送る励磁電流の方向を切り換える為のロータ位相検出器を、ブラシ48とコンミテータ46(図2、3参照)とにより構成した場合に限定するものではない。例えば、図18に示した様に、ロータ位相検出器を、回転軸32に固定した永久磁石製のエンコーダ78と、ホールIC77とにより構成して、電動モータ31を、所謂ブラシレス構造とする事もできる。又、図18に示した構造の場合には、ステータ39aを、ケース23の内周面に固定した積層鋼板製のコア82と、このコア82の複数個所に巻回したコイル83、83とにより構成すると共に、ロータ38aを、上記回転軸32の中間部外周面に固定した永久磁石84、84により構成している。又、この様な構造を採用した場合に、上記ステータ39aに送る電流の大きさの増減を制御するベクトル制御装置を設ける事により、このステータ39aの磁力を切り換える事もできる。
更に、上述した実施の形態の1例の場合には、ウォーム減速機を電動式パワーステアリング装置に組み込んだ場合に就いて説明した。但し、請求項1、2に係る本発明のウォーム減速機は、この様な用途に使用するものに限定するものではなく、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、リフター等の各種機械装置に組み込む電動式リニアアクチュエータ等に組み込んで使用する事もできる。例えば、ウォーム減速機をこの電動式リニアアクチュエータに組み込んだ場合には、電動モータの出力をこのウォーム減速機で減速してから、回転軸に取り出して、この回転軸の周囲に設けた出力軸を、ボールねじ等を介して伸縮させる。この様な電動式リニアアクチュエータに組み込むウォーム減速機にも、請求項1、2に係る本発明を適用できる。