本発明は、吐水口を構成するスパウトヘッドが水栓本体部に連結される構成において、水栓本体部側およびスパウトヘッド側のそれぞれに係合する連結部材を用い、その形状を工夫することで、ネジ等の締結具を用いることなく、十分な連結強度をもって、水栓本体部とスパウトヘッドとをこれらの内部において連結させるものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の第一実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る水栓装置1は、例えばシンク2において流し3の周囲に形成される平面部であるカウンタ4上に設置される台付き水栓である。水栓装置1においては、カウンタ4に対する基部を構成する水栓本体部5に、水を吐出させる吐水口6を構成するスパウトヘッド7が支持される。水栓本体部5は、カウンタ4に対して固定された状態で設けられる。水栓本体部5とスパウトヘッド7とは、カウンタ4上において互いに連結された状態で吐水口6までの通水経路を構成する。
このように、スパウトヘッド7を支持する水栓本体部5を備える水栓装置1は、スパウトヘッド7を構成するとともに水栓本体部5に連結されるスパウト本体部8を備える。本実施形態の水栓装置1においては、スパウトヘッド7が有する吐水口6は、水栓本体部5に対して連結される部分であるスパウト本体部8に対して引出し可能な吐水部9に設けられる。
具体的には、図2および図3に示すように、水栓本体部5は、略釣鐘形状を有し、上側に向けて徐々に縮径するようにカウンタ4上に立った状態で設けられる。水栓本体部5の上側に、スパウトヘッド7が支持される。スパウトヘッド7は、水栓本体部5に連結されるスパウト本体部8において、水栓本体部5のテーパ形状を連続させるように上側に向けて徐々に縮径する外形を有する。これにより、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結部分において一体的なフォルムが形成される。水栓本体部5およびスパウト本体部8は、いずれも管状の部材であり、互いに連結された状態で吐水部9側およびカウンタ4側に開口する内部空間を形成する。
また、スパウト本体部8は、カウンタ4上において鉛直方向(カウンタ4に対して略垂直方向)に対して湾曲する形状を有する。スパウト本体部8の先端側(水栓本体部5に連結される側と反対側)に、吐水部9が支持される。吐水部9は、スパウト本体部8の先端部と略同径の略円柱状に構成され、その一端側がスパウト本体部8に対して支持される。したがって、吐水部9は、前記のとおり湾曲する形状を有するスパウト本体部8によって、鉛直方向に対して斜めとなる姿勢で支持される。吐水部9の先端側(スパウト本体部8に支持される側と反対側)に、吐水口6が設けられる。吐水口6は、円柱状の吐水部9において径方向外側に向けて開口するように設けられ、吐水部9がスパウト本体部8に支持された状態で斜め下方向に向く。
このように水栓装置1を構成する水栓本体部5およびスパウトヘッド7は、金属や樹脂等を材料として形成される。以下の説明では、水栓装置1において、水栓本体部5とスパウト本体部8との関係における水栓本体部5側(図3において下側)を下側とし、スパウト本体部8側(同図において上側)を上側とする。
吐水部9におけるスパウト本体部8に支持される側の端部には、給水用のホース10が接続される。ホース10は、可撓性の部材であり、連結された状態の水栓本体部5およびスパウト本体部8の内部空間を貫通した状態で配される。吐水部9の内部には、一端側がホース10に連通するとともに他端側が吐水口6に連通する通水路9aが形成される。通水路9aは、略円柱状の吐水部9において中心軸部分に沿うように形成される。このような構成により、吐水部9が、スパウト本体部8に支持された状態から、ホース10を連れ立ってスパウト本体部8に対して引き出される。
スパウト本体部8の上側(先端側)の開口部には、吐水部9のスパウト本体部8に対する引出し操作や戻し操作にともなうホース10の移動をガイドするためのホースガイド11が装着される。ホースガイド11は、ホース10を貫通させるガイド孔11aを形成する略筒状の部材である。ホースガイド11は、スパウト本体部8の上側の開口部に対して、ガイド孔11aによってスパウト本体部8の内部空間を吐水部9側に開口させるように挿入された状態で、スパウト本体部8に対して支持固定される。ホースガイド11は、スパウト本体部8の上側の開口部から一部突出した状態でスパウト本体部8に支持される。吐水部9は、ホースガイド11のスパウト本体部8からの突出部分を挿入させた状態でスパウト本体部8に支持される。
また、水栓装置1は、湯水混合型の水栓である。このため、水栓装置1においては、水栓本体部5に、水と湯を混合するための混合機構を内蔵する混合部12が設けられる。混合部12には、水を供給するための水用配管13、および湯を供給するための湯用配管14がそれぞれ管継手等を介して接続される。水用配管13により、上水等から導かれる水が混合部12に供給され、湯用配管14により、給湯器等により得られる湯が混合部12に供給される。
混合部12は、供給された水と湯を所定の割合で混合することで混合水を生成する。混合部12には、混合部12により得られた混合水を流出するための流出管15の一端が接続される。流出管15の他端は、前記のとおり吐水部9に接続されるホース10の他端側が接続される。すなわち、水栓装置1においては、水用配管13からの水および湯用配管14からの湯が混合部12において混合され、混合部12によって得られた混合水が、流出管15およびホース10を介して吐水部9に導かれ、通水路9aを通って吐水口6から吐出される。
そして、水栓装置1においては、水栓本体部5に、吐水口6から吐出される水の流量・温度の調整を行うための操作部16が設けられている。操作部16は、混合部12において構成される混合機構と連動するように設けられる。操作部16の外周面には、操作部16を操作するための操作用突起16aが設けられる。操作部16の回動操作および傾動操作により、吐水口6から吐出される水の止水・吐水を含む流量の調整、および温度の調整が行われる。
以上のような構成を備える水栓装置1においては、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結が、連結部材20によって行われる。連結部材20は、例えば樹脂等の弾性変形可能な材料により形成される。図4〜図6に示すように、連結部材20は、略筒状の基部21を有する。連結部材20は、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結部分に内装された状態で、水栓本体部5とスパウト本体部8とを連結する。このため、基部21は、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結部分の形状に合わせて、上側(スパウト本体部8側)に向けて徐々に縮径するテーパ形状を有する。
図3、図5、図7および図8に示すように、連結部材20は、スパウト本体部8に形成され連結相手である水栓本体部5側に開口する開口部(以下「スパウト側開口部」という。)8aに内嵌された状態、かつ、水栓本体部5に形成され連結相手であるスパウト本体部8側に開口するとともにスパウト側開口部8aに挿入される差込部(以下「本体側差込部」という。)5aに外嵌された状態で、水栓本体部5とスパウト本体部8とを連結させる。
連結部材20が内嵌されるスパウト側開口部8aは、管状の部材であるスパウト本体部8の下側の開口部である。連結部材20は、スパウト本体部8に対して下側から差し込まれることで、基部21の外周面部を、スパウト本体部8の内周面(以下「スパウト本体部内周面」という。)8bに沿わせた状態で、スパウト側開口部8aに内嵌される。また、スパウト側開口部8aの開口端面は、略水平面である下端面8cとして形成される。
連結部材20が外嵌される本体側差込部5aは、水栓本体部5の上端部において上側に突出するように形成される略円筒状の部分である。つまり、本体側差込部5aは、水栓本体部5において、上側の端部に形成される水栓本体部5の外形に対する縮径部分である。水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結された状態においては、本体側差込部5aがスパウト側開口部8aに差し込まれ、スパウト本体部8の内部空間と水栓本体部5の内部空間とが連通した状態となる。
連結部材20は、基部21に本体側差込部5aを貫通させるように水栓本体部5に対して上側から嵌め込まれることで、基部21の内周面部を、本体側差込部5aの外周面に沿わせた状態で、本体側差込部5aに外嵌される。また、水栓本体部5において本体側差込部5aが突出する上側面部5cは、略水平面として形成される。
連結部材20は、基部21の下端部に、基部21の径方向外側に突出する円環状の鍔部22を有する。鍔部22は、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結状態において、水栓本体部5とスパウト本体部8とによって挟まれる。すなわち、水栓本体部5の上側面部5cおよびスパウト本体部8の下端面8cは、略同じ外径寸法を有し、水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結された状態においては、水栓本体部5の上側面部5cの周縁部およびスパウト本体部8の下端面8cが合わせ面となり、これら上側面部5cの周縁部と下端面8cとの間に、連結部材20の鍔部22が挟まれる。
このように、スパウト側開口部8aに内嵌された状態、かつ本体側差込部5aに外嵌された状態で、水栓本体部5とスパウト本体部8とを連結させる連結部材20について、図4〜図9を用いて具体的に説明する。連結部材20は、スパウト固定用爪部23と、本体固定用爪部24とを有する。スパウト固定用爪部23は、連結部材20がスパウト側開口部8aに内嵌された状態でスパウト本体部8に対して固定されるための掛止爪23aを形成する部分である。また、本体固定用爪部24は、連結部材20が本体側差込部5aに外嵌された状態で水栓本体部5に対して固定されるための掛止爪24aを形成する部分である。
スパウト固定用爪部23は、基部21に形成される。本実施形態では、スパウト固定用爪部23は、略筒状の基部21において径方向に対向する位置となる二箇所に設けられる。二つのスパウト固定用爪部23は、対向する方向に対称に(同形状に)形成される。スパウト固定用爪部23は、基部21を構成する略筒状の周壁において下側の辺部が繋がった状態で略矩形状に切り出されたような片部として形成される。言い換えると、スパウト固定用爪部23は、基部21を構成する略筒状の周壁の一部を形成するとともに上側に向けて突出する略矩形板状の部分である。略矩形状のスパウト固定用爪部23においては、上側(略筒状の周壁に繋がる側と反対側)の辺部に沿って掛止爪23aが形成される。
掛止爪23aは、略筒状の基部21の略中心軸の位置を通る断面視(図8参照)で、外側が斜辺となる略二等辺三角形状を有し、外側面の傾斜によってスパウト固定用爪部23の厚さ方向(基部21の径方向)の寸法を上側にかけて徐々に小さくするとともに、下側を段差側とする段差部分として形成される。したがって、掛止爪23aは、スパウト固定用爪部23の外側面部において、段差を形成するとともに下側を向く段差面23bと、段差面23bから上側にかけて基部21の内側に傾斜する傾斜面23cとを有する。
スパウト固定用爪部23は、掛止爪23aをスパウト側開口部8aの内周面(スパウト本体部内周面8b)に形成される内周凹部としての内周溝8dに係合させることで、スパウト側開口部8aに内嵌される連結部材20をスパウト本体部8に対して固定する。内周溝8dは、スパウト側開口部8aの内周面において略全周にわたって形成され、掛止爪23aが嵌るように、少なくとも掛止爪23aの上下方向の寸法と略同じ幅寸法を有する。ただし、内周溝8dは、スパウト側開口部8aの内周面において周方向の一部に形成されてもよい。
このように、掛止爪23aを形成するスパウト固定用爪部23を有する連結部材20が、スパウト固定用爪部23における掛止爪23a側を前側として、スパウト側開口部8aに差し込まれることで、掛止爪23aがスパウト本体部8の内周溝8dに係合する。詳細には、連結部材20がスパウト側開口部8aに差し込まれることで、掛止爪23aが傾斜面23cによってスパウト側開口部8aの内周面に当接するとともに、スパウト固定用爪部23が基部21に繋がる部分から内側に弾性変形した状態となる。かかる状態から、連結部材20がスパウト側開口部8aの奥側にさらに移動し、掛止爪23aを形成する段差面23bが内周溝8dに達することで、スパウト固定用爪部23の内側への弾性変形の外側への戻り作用により、掛止爪23aが内周溝8dに嵌り込む。
スパウト固定用爪部23の掛止爪23aが内周溝8dに係合することで、連結部材20がスパウト本体部8に固定される。すなわち、掛止爪23aが内周溝8dに係合した状態においては、掛止爪23aの段差面23bが内周溝8dに対する掛止面となり、連結部材20のスパウト側開口部8aからの下側への抜けが規制される。また、掛止爪23aが内周溝8dに係合した状態においては、連結部材20が基部21に形成される鍔部22をスパウト本体部8の下端面8cに接触させた状態となることで、連結部材20のスパウト本体部8に対する上側への移動が規制される。
このように、連結部材20は、二箇所のスパウト固定用爪部23によってスパウト側開口部8aに内嵌された状態でスパウト本体部8に固定される。つまり、本実施形態に係る連結部材20においては、基部21に形成されるスパウト固定用爪部23が、基部21のスパウト側開口部8aに対する嵌め込みによって、スパウト側開口部8aの内周面に形成される内周溝8dに、基部21のスパウト側開口部8aからの抜けを規制するように係合する第一爪部として機能する。
本体固定用爪部24は、基部21に形成される。本実施形態では、本体固定用爪部24は、略筒状の基部21において一箇所に設けられる。本体固定用爪部24は、対向配置される二つのスパウト固定用爪部23に対して、基部21の周方向について略90°ずれた位置に設けられる。本体固定用爪部24は、基部21を構成する略筒状の周壁において上側の辺部が繋がった状態で略矩形状に切り出されたような片部として形成される。言い換えると、本体固定用爪部24は、基部21を構成する略筒状の周壁の一部を形成するとともに下側に向けて突出する略矩形板状の部分である。略矩形状の本体固定用爪部24においては、下側(略筒状の周壁に繋がる側と反対側)の辺部に沿って掛止爪24aが形成される。
掛止爪24aは、略筒状の基部21の略中心軸の位置を通る断面視(図9参照)で、内側が斜辺となる略二等辺三角形状を有し、内側面の傾斜によって本体固定用爪部24の厚さ方向(基部21の径方向)の寸法を下側にかけて徐々に小さくするとともに、上側を段差側とする段差部分として形成される。したがって、掛止爪24aは、本体固定用爪部24の内側面部において、段差を形成するとともに上側を向く段差面24bと、段差面24bから下側にかけて基部21の外側に傾斜する傾斜面24cとを有する。
本体固定用爪部24は、掛止爪24aを本体側差込部5aの外周面に形成される外周凹部としての外周溝5dに係合させることで、本体側差込部5aに外嵌される連結部材20を水栓本体部5に対して固定する。外周溝5dは、本体側差込部5aの外周面において略全周にわたって形成され、掛止爪24aが嵌るように、少なくとも掛止爪24aの上下方向の寸法と略同じ幅寸法を有する。ただし、外周溝5dは、本体側差込部5aの外周面において周方向の一部に形成されてもよい。
このように、掛止爪24aを形成する本体固定用爪部24を有する連結部材20が、本体固定用爪部24における掛止爪24a側を前側として、本体側差込部5aに嵌め込まれることで、掛止爪24aが水栓本体部5の外周溝5dに係合する。詳細には、連結部材20が本体側差込部5aに嵌め込まれることで、掛止爪24aが傾斜面24cによって本体側差込部5aの外周面に当接するとともに、本体固定用爪部24が基部21に繋がる部分から外側に弾性変形した状態となる。かかる状態から、連結部材20が本体側差込部5aの奥側にさらに移動し、掛止爪24aを形成する段差面24bが外周溝5dに達することで、本体固定用爪部24の外側への弾性変形の内側への戻り作用により、掛止爪24aが外周溝5dに嵌り込む。
本体固定用爪部24の掛止爪24aが外周溝5dに係合することで、連結部材20が水栓本体部5に固定される。すなわち、掛止爪24aが外周溝5dに係合した状態においては、掛止爪24aの段差面24bが外周溝5dに対する掛止面となり、連結部材20の本体側差込部5aからの上側への抜けが規制される。また、掛止爪24aが外周溝5dに係合した状態においては、連結部材20が基部21の底面21aを水栓本体部5の上側面部5cに接触させた状態となることで、連結部材20の水栓本体部5に対する下側への移動が規制される。
このように、連結部材20は、一箇所の本体固定用爪部24によって本体側差込部5aに外嵌された状態で水栓本体部5に固定される。つまり、本実施形態に係る連結部材20においては、基部21に形成される本体固定用爪部24が、基部21の本体側差込部5aに対する嵌め込みによって、本体側差込部5aの外周面に形成される外周溝5dに、基部21の本体側差込部5aからの抜けを規制するように係合する第二爪部として機能する。
また、連結部材20は、延長片部25を有する。延長片部25は、基部21の略筒状の外形における一方の(本実施形態では上側の)開口端部(以下「上側開口端部」という。)21bに設けられ、この上側開口端部21bにおける周方向の一部を基部21における上側開口端部21b側(上側)に延出させる。
延長片部25は、上側開口端部21bからの延出方向を長手方向とする短冊状の板状部分である。延長片部25は、基部21の上下方向の寸法に対して1〜2倍程度の長さを有し、基部21を構成する略筒状の周壁の部分と略同じ板厚を有する。延長片部25は、連結部材20がスパウト側開口部8aに内嵌されてスパウト本体部8に固定された状態で、外側の板面をスパウト本体部内周面8bに沿うような形状を有する。
したがって、本実施形態の水栓装置1では、延長片部25は、スパウト本体部8が湾曲する形状を有することに対応して、上側開口端部21bからの延出方向に湾曲している。また、本実施形態では、延長片部25は、スパウト本体部内周面8bにおいて、スパウト本体部8が湾曲する方向における内周側(図9において左側)の部分に沿うように形成される。
延長片部25は、樹脂の一体成形等によって基部21に対して一体的に形成される。延長片部25は、基部21に対して繋がる部分を基点とする弾性変形によって、スパウト本体部内周面8bに対して部分的にまたは全体的に接触した状態で、スパウト本体部内周面8bを押圧するように形成される。このため、連結部材20がスパウト側開口部8aに内嵌されることで、延長片部25の弾性変形によってスパウト本体部内周面8bを押圧するような付勢力が得られるように、自然状態(スパウト側開口部8aに嵌め込まれていない状態)での連結部材20における延長片部25の鉛直方向に対する外側への傾斜度合いや湾曲度合いを含む、延長片部25の形状が設定される。例えば、延長片部25は、その鉛直方向に対する外側への傾斜角が、スパウト本体部内周面8bの鉛直方向に対する傾斜角よりも大きくなるように形成される。
以上のように、延長片部25は、連結部材20がスパウト側開口部8aに内嵌された状態において、弾性力によってスパウト本体部内周面8bを押圧するように、基部21に対して一体的に形成される。このように延長片部25を有する連結部材20がスパウト側開口部8aに嵌め込まれた状態においては、スパウト固定用爪部23および延長片部25がそれぞれ弾性変形による外側への付勢によってスパウト本体部内周面8bを押圧した状態となることで、連結部材20のスパウト本体部8に対する周方向の移動が規制される。
また、延長片部25は、本体固定用爪部24との関係において、以下のように形成される。本体固定用爪部24は、基部21において、基部21を構成する略筒状の周壁において延長片部25が延出する側(上側)が繋がった状態で切り出される片部として形成される。また、延長片部25は、基部21に対して、一端側が上側開口端部21bに繋がった状態となるように形成される。
そして、延長片部25は、本体固定用爪部24に対して、基部21における周方向の位置が略一致するように設けられる。言い換えると、本体固定用爪部24と延長片部25とは、基部21の上端部における共通の部分に対して上下から繋がるように形成される。また、本体固定用爪部24と延長片部25は、幅方向(基部21の周方向)の寸法が略同じとなるように形成される。
このような本体固定用爪部24と延長片部25との配置関係および相対的な大きさ等によれば、本体固定用爪部24および延長片部25が、基部21の上端部において基部21の周方向に沿う両側の部分を基部21を構成する略筒状の周壁に対する接続部21cとする一体の板状の部分により形成される態様となる。
したがって、本体固定用爪部24は、延長片部25が基部21に繋がる部分を基点として基部21の内外方向に傾動させられることで、弾性変形により、接続部21cを含む、延長片部25が基部21に繋がる部分を支点部としてシーソーのごとく延長片部25と一体的に動作する。つまり、延長片部25が基部21に対して内側に傾動させられることで、本体固定用爪部24は基部21を構成する周壁に対して外側に傾動し、逆に、延長片部25が基部21に対して外側に傾動させられることで、本体固定用爪部24は基部21を構成する周壁に対して内側に傾動する。
そして、こうした本体固定用爪部24と延長片部25との一体的な動作は、連結部材20がスパウト側開口部8aに内嵌された状態かつ本体側差込部5aに外嵌された状態で、延長片部25が基部21に繋がる部分を基点として基部21の径方向の内側に動かされることで、本体固定用爪部24が少なくとも外周溝5dに対する係合が解除される範囲で基部21の径方向の外側に動くように行われる。つまり、水栓本体部5とスパウト本体部8とを連結させた状態の連結部材20において、延長片部25がスパウト本体部内周面8bから離間するように動かされることで、本体固定用爪部24が本体側差込部5aの外周面から離間することで掛止爪24aを外周溝5dから離脱させるように動く。
このように延長片部25が基部21に繋がる部分を支点部として本体固定用爪部24とともに一体的に動作するように形成される構成においては、スパウト本体部8の上側の開口部からの作業によって、延長片部25の部分が、例えば指や工具等によってスパウト本体部内周面8bから離間するように動かされることで、本体固定用爪部24の本体側差込部5aに対する係合が解除される(図9、矢印B参照)。したがって、スパウト本体部8の上側の開口部からの延長片部25の操作によって本体固定用爪部24の本体側差込部5aに対する係合が解除されることで、スパウト固定用爪部23によって連結部材20を固定させた状態のスパウト本体部8を、本体側差込部5aから引き抜くことができる。
ここで、図9に示すように、延長片部25の先端部には、指や工具等を引っ掛けるための掛かり部25aが形成されている。掛かり部25aは、延長片部25の先端部の厚さをスパウト本体部内周面8bに接触する側(外側)から薄くさせる部分であり、スパウト本体部内周面8bに接触した状態の延長片部25とスパウト本体部内周面8bとの間に隙間を形成する。つまり、掛かり部25aによって延長片部25とスパウト本体部内周面8bとの間に形成される隙間に、指や工具等が引っ掛けられることで、本体固定用爪部24の本体側差込部5aに対する係合の解除のための延長片部25の操作が行われる。
また、図4および図9に示すように、延長片部25の先端部は、前述したようにスパウト本体部8の上側の開口部に装着されるホースガイド11によって押さえられる。具体的には、略筒状の部材であるホースガイド11のスパウト本体部8に対する挿入方向の奥側の端部(下端部)の外周面部11bが、延長片部25の先端部の内側(掛かり部25aの反対側)に接触した状態で、延長片部25の先端部がホースガイド11によって押さえられる。
このように、延長片部25の先端部がホースガイド11によって押さえられることで、延長片部25に連動する本体固定用爪部24による本体側差込部5aに対する係合が外れることが防止される。つまり、ホースガイド11の外周面部11bにより、延長片部25がスパウト本体部内周面8bから離間する方向、すなわち本体固定用爪部24による本体側差込部5aに対する係合が解除する方向への延長片部25の動作が規制されるので、水栓装置1が衝撃を受けること等による本体固定用爪部24の不意の係合解除が発生することがない。
また、連結部材20によって水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結される構造においては、本体固定用爪部24の掛止爪24aが係合する外周溝5dは、本実施形態のように本体側差込部5aの周方向に連続する溝部であることが好ましい。つまり、本体固定用爪部24が係合する外周凹部は、本体固定用爪部24の掛止爪24aの幅方向(基部21の周方向)の寸法に対して十分に長い溝部であることが好ましい。本実施形態では、外周溝5dは、本体側差込部5aの全周にわたって形成されている。
本実施形態においては、本体固定用爪部24の掛止爪24aは、外周溝5dに嵌った状態で外周溝5dに沿って本体側差込部5aの周方向に摺動移動可能である。このため、連結部材20が固定された状態で本体固定用爪部24によって水栓本体部5に連結されるスパウト本体部8は、水栓本体部5に対して回転可能となる。
このように、本体固定用爪部24の掛止爪24aが係合する外周溝5dが、本体側差込部5aの周方向に連続する溝部であることにより、スパウト本体部8を水栓本体部5に対して回転可能に連結できる。これにより、水栓装置1の使用者は、水栓装置1の使用状況に合わせて、吐水口6やスパウトヘッド7の位置を調整することができる。
また、スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転は、所定の範囲で規制される。図5に示すように、水栓装置1は、スパウト本体部8の回転範囲を規制するため、スパウト本体部8に設けられるガイド片31と、水栓本体部5に設けられる受入溝32とを有する。
ガイド片31は、スパウト側開口部8aの開口端面である下端面8cにおいて下側に向けて突出するように形成される略矩形板状の突起部分である。ガイド片31は、スパウト本体部8と一体的に形成される(図9参照)。ガイド片31は、スパウト側開口部8aの周方向について、連結部材20がスパウト側開口部8aに嵌め込まれた状態で本体固定用爪部24に略対向する位置(スパウト固定用爪部23から略90°ずれた位置)に設けられる。
受入溝32は、本体側差込部5aが突出する面部である上側面部5cにおいて上側に開口し、水栓本体部5に連結された状態のスパウト本体部8のガイド片31を受け入れる。このため、受入溝32は、ガイド片31に対応して、水栓本体部5の径方向について、スパウト本体部8が水栓本体部5に連結された状態でのガイド片31の挿入が可能な位置に形成される。受入溝32は、スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転にともなうガイド片31の移動を許容するように、上側面部5cの外縁に沿って円弧状に形成される。
このようにガイド片31を有するスパウト本体部8は、ガイド片31を受入溝32に挿入させた状態で、水栓本体部5に連結される。一方で、ガイド片31が突出する下端面8cは、水栓本体部5の上側面部5cの周縁部とともに連結部材20の鍔部22を挟み込む。このため、連結部材20においては、鍔部22を上下方向に貫通する許容孔22aが形成されている。許容孔22aは、連結部材20がスパウト本体部8に固定された状態において、鍔部22が略接触する下端面8cからのガイド片31の突出を許容する。つまり、ガイド片31は、許容孔22aを介して受入溝32に挿入される。したがって、許容孔22aは、鍔部22において、連結部材20がスパウト本体部8に固定された状態でガイド片31を貫通させることができるような位置・形状に形成される。
このように、スパウト本体部8がガイド片31を受入溝32に挿入させた状態で水栓本体部5に連結される構成においては、スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転範囲が所定の範囲で規制される。すなわち、ガイド片31がスパウト本体部8の回転についてのストッパとして機能し、ガイド片31が受入溝32の端部の壁面に当たることで、スパウト本体部8の回転が規制される。したがって、スパウト本体部8は、ガイド片31が円弧状の受入溝32に対して周方向の両端の壁面に当たるまでの範囲で、水栓本体部5に対する回転範囲が規制される。このため、受入溝32の円弧の長さ、およびガイド片31の幅方向(スパウト側開口部8aの周方向)の長さ等の設定によって、スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転範囲が設定される。
このように、スパウト本体部8側に設けられるガイド片31が水栓本体部5側に形成される受入溝32に挿入される構成によれば、簡単な構成によって、スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転範囲を規制することができる。スパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転範囲が規制できることで、水栓本体部5およびスパウト本体部8の内部を通るホース10のねじれを防止することができる。
なお、ガイド片31については、スパウト側開口部8aの周方向の一部の範囲で下端面8cから突出するものであれば、下端面8cにおいて設けられる位置や形状等は特に限定されない。また、受入溝32については、水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結された状態でガイド片31が挿入されスパウト本体部8の水栓本体部5に対する回転にともなうガイド片31の移動を所定の範囲で許容するものでれば、上側面部5cにおいて設けられる位置や形状等は特に限定されない。
以上のように、連結部材20によって水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結される本実施形態の水栓装置1の組付け手順の一例について説明する。水栓装置1の組付けにおいては、まず、連結部材20が、スパウト本体部8に取り付けられる。つまり、連結部材20がスパウト側開口部8aに嵌め込まれることで、スパウト固定用爪部23が内周溝8dに係合し、連結部材20がスパウト本体部8に固定される。
次に、スパウト本体部8に固定された状態の連結部材20が、スパウト本体部8ごと水栓本体部5に取り付けられる。つまり、スパウト本体部8と連結部材20との組品が、連結部材20に本体側差込部5aが挿入されるように水栓本体部5に対して組み付けられることで、連結部材20が本体側差込部5aに嵌め込まれ、本体固定用爪部24が外周溝5dに係合する。これにより、水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結部材20によって連結された状態となる。
水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結部材20によって連結された後、ホースガイド11がスパウト本体部8の上側の開口部に装着される。ここでスパウト本体部8に装着されるホースガイド11により、連結部材20の延長片部25の先端部が押さえられる。そして、ホースガイド11のスパウト本体部8からの突出部分に装着される吐水部9が、水栓本体部5およびスパウト本体部8内を通るホース10に接続された状態で組み付けられることで、水栓装置1の組付けが完了する。
以上のような本実施形態の水栓装置1によれば、互いに連結される水栓本体部5とスパウトヘッド7とを備える構成において、水栓本体部5とスパウトヘッド7とを連結するための機構が外観に現れることがなく、十分な連結強度が得られる。
すなわち、連結部材20は、スパウト側開口部8aに内嵌されることで、スパウト本体部8内に収容された状態で、本体側差込部5aに外嵌される。このため、水栓本体部5とスパウト本体部8とが連結した状態においては、上側面部5cの周縁部と下端面8cとに挟まれる鍔部22の部分以外は外観に現れることがない。これにより、水栓本体部5とスパウト本体部8との連結部分において一体感のあるフォルムを実現することができる。
また、連結部材20によれば、スパウト固定用爪部23によるスパウト本体部8に対する係合作用、および本体固定用爪部24による水栓本体部5に対する係合作用に加え、延長片部25によるスパウト本体部内周面8bに対する押圧作用が得られる。このため、水栓本体部5とスパウト本体部8とが爪部による係合作用のみによって連結される場合との比較において、しっかり連結され、高い連結強度が得られる。
また、本実施形態に係る連結部材20においては、延長片部25が本体固定用爪部24と一体的に動作するように形成されることから、延長片部25を基部21の内側に向けて動かすことだけで、工具等を用いることなく、簡単に水栓本体部5とスパウト本体部8との連結状態を解除することができる。これにより、水栓本体部5およびスパウト本体部8のそれぞれ単独でのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。さらに、本体固定用爪部24と連動する延長片部25は、スパウト本体部内周面8bに対して押し付けられた状態となるため、本体固定用爪部24の本体側差込部5aに対する係合が解除する方向への本体固定用爪部24の動きが規制され、本体固定用爪部24の係合状態が確保される。
なお、連結部材20が有するスパウト固定用爪部23、本体固定用爪部24、および延長片部25について、連結部材20において設けられる数や位置等は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態の水栓装置1は、スパウトヘッド7の吐水口6を、スパウト本体部8とは別体の引出し可能な吐水部9により構成するものであるが、スパウトヘッドの吐水口が、水栓本体部に連結される部分であるスパウト本体部と一体的な部分において形成される水栓装置においても本発明は適用可能である。
また、本実施形態の水栓装置1では、連結部材20が内嵌される開口部が、スパウト本体部8においてスパウト側開口部8aとして設けられ、連結部材20が外嵌される差込部が、水栓本体部5において本体側差込部5aとして設けられているが、これに限定されない。つまり、連結部材20は、水栓本体部側に連結部材20が内嵌される開口部が形成され、スパウト本体部側に連結部材20が外嵌される差込部が形成される構成においても適用可能である。かかる構成について、本発明の第二実施形態として説明する。なお、本発明の第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。
図10〜図14に示すように、本実施形態の水栓装置において、カウンタ4に固定される水栓本体部205は、上側に向けて曲線的に徐々に縮径する漏斗状の外形を有し、カウンタ4上に立った状態で設けられる。水栓本体部205の上側に、スパウトヘッドを構成するスパウト本体部208が連結される。スパウト本体部208は、上側に向けて徐々に縮径するテーパ状の外形を有する。スパウト本体部208の上側に、スパウトヘッドにおいて吐水口を構成する吐水部209が支持される。
そして、本実施形態の水栓装置においては、水栓本体部205に、連結部材20が内嵌される開口部として、本体側開口部205aが形成される。また、水栓本体部205の上側に連結されるスパウト本体部208に、連結部材20が外嵌される差込部として、スパウト側差込部208aが形成される。すなわち、本実施形態においては、連結部材20は、本体側開口部205aに内嵌された状態、かつ、スパウト側差込部208aに外嵌された状態で、水栓本体部205とスパウト本体部208とを連結させる。このため、本実施形態では、連結部材20は、第一実施形態の場合とは上下が逆の姿勢で用いられる。
本実施形態では、第一爪部としてのスパウト固定用爪部23は、掛止爪23aを本体側開口部205aの内周面である本体部内周面205bに形成される内周凹部としての内周溝205dに係合させることで、本体側開口部205aに内嵌される連結部材20を水栓本体部205に対して固定する。また、第二爪部としての本体固定用爪部24は、掛止爪24aをスパウト側差込部208aの外周面に形成される外周凹部としての外周溝208dに係合させることで、スパウト側差込部208aに外嵌される連結部材20をスパウト本体部208に対して固定する。
また、本実施形態では、本体部内周面205bは、下側に広がる漏斗状に構成される水栓本体部205において下側にかけて径方向の外側に湾曲する面として形成される。このように湾曲する本体部内周面205bに対して、上側開口端部21bからの延出方向に湾曲する延長片部25が部分的にまたは全体的に接触した状態で、本体部内周面205bの一部を押圧する。このように、本実施形態では、連結部材20の基部21に対して一体的に形成される延長片部25は、本体側開口部205aに内嵌された状態において、弾性力によって本体部内周面205bを押圧する。
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、本体固定用爪部24の掛止爪24aが係合する外周溝208dが、スパウト側差込部208aの周方向に連続する溝部として形成される。これにより、スパウト本体部208が、水栓本体部205に対して回転可能となる。
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、スパウト本体部208の回転範囲を規制するため、水栓本体部205側にガイド片231が設けられ、スパウト本体部208側に受入溝232が設けられる。ガイド片231は、本体側開口部205aの開口端面である上端面205cにおいて、上側に向けて突出するように形成される。また、受入溝232は、スパウト側差込部208aが突出する面部である下側面部208cにおいて下側に開口するように円弧状に形成される。これにより、スパウト本体部208の水栓本体部205に対する回転範囲が規制される。以上のような本実施形態の水栓装置においても、第一実施形態に係る水栓装置1と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明の第三実施形態について説明する。なお、本発明の第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。本実施形態の水栓装置においては、連結部材が有する延長片部が、鉛直方向に沿うように略直線状に形成される。
図15〜図19に示すように、本実施形態の水栓装置において、カウンタ4に固定される水栓本体部305は、略筒状の外形を有し、カウンタ4上に立った状態で設けられる。水栓本体部305の上側に、スパウトヘッドを構成するスパウト本体部308が連結される。スパウト本体部308は、上側に向けて徐々に縮径するテーパ状の外形を有する。スパウト本体部308の上側に、スパウトヘッドにおいて吐水口を構成する吐水部309が支持される。
そして、本実施形態の水栓装置においては、第二実施形態と同様に、水栓本体部305に、連結部材320が内嵌される開口部として、本体側開口部305aが形成され、水栓本体部305の上側に連結されるスパウト本体部308に、連結部材320が外嵌される差込部として、スパウト側差込部308aが形成される。すなわち、本実施形態においては、連結部材320は、本体側開口部305aに内嵌された状態、かつ、スパウト側差込部308aに外嵌された状態で、水栓本体部305とスパウト本体部308とを連結させる。
本実施形態では、第一爪部としてのスパウト固定用爪部23は、掛止爪23aを本体側開口部305aの内周面である本体部内周面305bに形成される内周凹部としての内周溝305dに係合させることで、本体側開口部305aに内嵌される連結部材320を水栓本体部305に対して固定する。また、第二爪部としての本体固定用爪部24は、掛止爪24aをスパウト側差込部308aの外周面に形成される外周凹部としての外周溝308dに係合させることで、スパウト側差込部308aに外嵌される連結部材320をスパウト本体部308に対して固定する。
また、本実施形態では、本体部内周面305bは、略筒状に構成される水栓本体部305において上下方向に沿う略円筒面として形成される。このように略円筒面の本体部内周面305bに対して、連結部材320の基部321は、本体部内周面305bの形状に合わせて略円筒形状を有する。
また、同じく略円筒面の本体部内周面305bに対して、連結部材320が有する延長片部325が、基部321の下側開口端部321bから直線状に延出される。つまり、延長片部325は、基部321に対して繋がる部分を基点とする弾性変形によって、本体部内周面305bに対して部分的にまたは全体的に接触した状態で、本体部内周面305bを押圧するように形成される。このように、本実施形態では、連結部材320の基部321に対して一体的に形成される延長片部325は、本体側開口部305aに内嵌された状態において、弾性力によって本体部内周面305bを押圧する。
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、本体固定用爪部24の掛止爪24aが係合する外周溝308dが、スパウト側差込部308aの周方向に連続する溝部として形成される。これにより、スパウト本体部308が、水栓本体部305に対して回転可能となる。
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、スパウト本体部308の回転範囲を規制するため、水栓本体部305側にガイド片331が設けられ、スパウト本体部308側に受入溝332が設けられる。ガイド片331は、本体側開口部305aの開口端面である上端面305cにおいて、上側に向けて突出するように形成される。また、受入溝332は、スパウト側差込部308aが突出する面部である下側面部308cにおいて下側に開口するように円弧状に形成される。これにより、スパウト本体部308の水栓本体部305に対する回転範囲が規制される。以上のような本実施形態の水栓装置においても、第一実施形態に係る水栓装置1と同様の作用・効果を得ることができる。