JP2011068817A - ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents
ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。前記樹脂分散部は、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されていることが好ましく、またはポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造とすることが好ましい。
【選択図】図4
Description
特許文献1(特公昭47−17465号公報)には、弾性体としてスチレンとブタジエンとのブロック共重合体を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法が開示されている。
また、特許文献2(特公昭47−18428号公報)には、弾性体としてのブタジエンを所定量含有した、軟化温度が100℃以上のポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。
また、特許文献3(特開昭56−67344号公報)には、非配向性のゴム粒子を弾性体として配合したポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。
また、前記課題を達成するため、本発明は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程を行って前記発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
また本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子内にポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を有するものなので、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡し、さらに得られた予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱し型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されている構造、或いはポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造としたことによって、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表層部にはポリアクリル酸エステル微粒子が少なく、粒子内部にポリアクリル酸エステル微粒子が含まれる分布構造となり、型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、発泡粒子同士の融着度合を高く保ったままで耐衝撃性を向上させることができるため、機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、前述したように機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造可能な発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を効率よく、低コストで製造することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル系単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、次いで、該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させる工程とを行って発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴としている。
前記の難燃剤としては、ポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させる条件下において他の媒体に溶解させない状態で存在した場合に粉末状であれば、特に限定されず、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサンなどの臭素化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノールなどの臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルなどの臭素化フェノール誘導体などが挙げられ、臭素化脂肪族炭化水素系化合物が好ましく、テトラブロモシクロオクタン(以下、TBCOと記す。)がより好ましい。
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子である。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれたものである。
この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステル系樹脂に含まれるエステル基C=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
即ち、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂粒子の直径方向において、含有されているポリアクリル酸エステル微粒子が表層部で少なく、内側で多くなっている。
前記中心部の吸光度比(B)は0.20〜0.60の範囲が好ましく、更に好ましくは0.30〜0.60の範囲である。中心部の吸光度比(B)が0.20未満であると発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性能が劣る。また中心部の吸光度比(B)が0.60を超えると成形時に収縮が大きくなりやすく、発泡成形体の強度が低下する。
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1nm未満であると、発泡成形体の耐衝撃性が不十分である。前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が500nmを超えると、発泡剤の逸散速度が早くなり、好ましくない。
<ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径の測定方法>
樹脂組成物又は樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、樹脂組成物又は樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製 透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。ポリアクリル酸エステル微粒子の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当たりの平均粒子径とする。この作業を任意のポリアクリル酸エステル微粒子30個について行い、微粒子の総平均の粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径とした。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は、0.010〜0.033g/cm3の範囲内であることが好ましく、0.015〜0.025g/cm3の範囲内がより好ましい。
<発泡成形体の密度>
50cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
ポリスチレン系樹脂種粒子の重合転化率は下記の方法により求められる。
即ち、ポリスチレン系樹脂種粒子を分散液中から取り出し、該種粒子の表面に付着した水分をガーゼを用いて拭き取り除去する。
試料0.10gをビーカーに精秤し、メチルエチルケトン10mlを加え溶解する。ついでメタノール約35mlで再沈殿し、1時間攪拌する。No.5Aろ紙でろ過後、メタノールで50mlに定容してHPLC測定を行った。
HPLCの測定結果から、種粒子に対するアクリル酸エステルモノマーの残存量Aを質量%で算出し、次式によりポリスチレン系樹脂粒子の重合転化率とした。
重合転化率=100−A(%)
吸光度比(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各樹脂粒子の表面(図1中の符号A)、及び粒子を中心を通って切断した断面の中心部(図2中の符号B)について、ATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行って赤外線吸収スペクトルを得る。
各赤外線吸収スペクトルから吸光度比(D1730/D1600)をそれぞれ算出し、表面Aに付いて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(A)とし、中心部Bについて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(B)とする。
吸光度D1730及び、D1600は、たとえばNicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGMA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
尚、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステルに含まれるエステル基のC=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製 透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。ポリアクリル酸エステル微粒子の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当たりの平均粒子径とする。この作業を任意のポリアクリル酸エステル微粒子30個について行い、微粒子の総平均の粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径とした。
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」記載の方法に準じて測定した。
得られた発泡成形体を50℃にて1日乾燥した後、215mm×40mm×厚み20mmの試験片とし、この試験片を150mmスパンになるように両端をクランプにて固定し、重さ198gの鋼球を、試験片の中央部に落下させ破壊の有無を観察した。試験は試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で高さを変えておこない、JIS K7211記載の計算式より落球衝撃値を算出した。
落球値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいことを示す。本実施例・比較例において、発泡成形体の落球値の評価基準は以下の通りとした。
○(良好):落球値が20cmを超える
△(やや不良):落球値が12〜20cmの範囲
×(不良):落球値12cm未満
予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気で加熱して発泡成形体を得る際に、加熱蒸気圧を0.06MPaで設定したときに得られた発泡成形体の外観を目視で観察し、以下の基準で発泡成形体の成形性を評価した。
○(良好):成形体の表面に融け、または成形体の収縮が発生しない
△(やや不良):軽微な融け又は収縮が発生する
×(不良):融け又は収縮が発生して発泡成形体の外観が明らかに劣る
前記<発泡成形体の落球値>及び<発泡成形体の成形性>の各試験・評価項目において、全ての評価が○(良好)であった場合を◎(非常に良好)とし、一つでも△があった場合を○(良好)、一つでも×(不良)があった場合を×(不良)として総合評価した。
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記ポリスチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのポリスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記ポリスチレン系樹脂粒子(b)500質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら72℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部をアクリル酸ブチル210質量部の混合液に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、72℃で90分保持した。
この重合工程において、前記<種粒子の重合転化率測定方法>によって樹脂粒子の重合転化率を測定しながら重合反応を進めた。
種粒子の重合転換率が90質量%になるまで第1重合工程の液温72℃を保持した後、反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、且つスチレンモノマー1290gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(c)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子(c)について、前記<吸光度比の測定>によって樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と中心部の吸光度比(B)とを測定した。
その結果を表1に示す。また得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子についても、前記<吸光度比の測定>により吸光度比を測定することができる。
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200質量部、ポリスチレン系樹脂粒子(c)1800質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に、発泡助剤としてシクロヘキサン9.0質量部を重合容器内に入れて密閉し100℃に昇温した。 次に、発泡剤としてノルマルペンタン126質量部をポリスチレン系樹脂粒子(c)が入った重合容器内に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は215nmであった。
続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。
次いで予備発泡装置にて嵩密度0.0200g/cm3に予備発泡した後に20℃で24時間熟成してポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
そして、内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「エース3型」)のキャビティ内に前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.060MPaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記成形型のキャビティ内の発泡体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却工程)してポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、密度0.0200g/cm3で収縮もなく、外観の良好なものであった。
得られた発泡成形体について、前記<発泡成形体の落球値>、<発泡成形体の成形性>及び<総合評価>を測定・評価した。その結果を表2に示す。
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を175質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1325質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は210nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を425質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1075質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は195nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
第2重合工程にスチレンモノマーを添加する際の種粒子の重合転化率を86質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は190nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
第2重合工程にスチレンモノマーを添加する際の種粒子の重合転化率を94質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は210nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
第1重合工程において使用するアクリル酸エステルをアクリル酸2エチルヘキシルとしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は250nmであり、ポリスチレンを内包する構造のものであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を120質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1380質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は205nmであった。
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を475質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1025質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は155nmであった。
第1重合工程でアクリル酸ブチルを使用せず、スチレンモノマーを210質量部のみ使用したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部には、ポリアクリル酸エステル微粒子が存在していなかった。
この比較例1で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、弾性材料であるポリアクリル酸エステル樹脂が含まれておらず、これを実施例1と同様にして予備発泡及び型内発泡成形して得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、樹脂材料がポリスチレン系樹脂のみである従来品のポリスチレン系樹脂発泡成形体と同様の耐衝撃性となった。
また、図3は、実施例1で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層部の電子顕微鏡画像であり、図4は同じ発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部の電子顕微鏡写真である。図3及び図4に示すように、本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子11が分散したポリスチレン系樹脂部分10からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造になっていることがわかる。
Claims (17)
- ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなるポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなるポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項3に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
- ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなる発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項5に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
- ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項7に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子。
- ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されている請求項9に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた請求項9に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)であり、且つ(A)が0.10以下である関係を満たす請求項9〜11のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項9〜12のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項9〜13のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られたポリスチレン系予備発泡粒子。
- 請求項14に記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
- (1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程を行って請求項7又は8に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。 - (1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて請求項9〜13のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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