JP2018044050A - 発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡スチレン系樹脂粒子及び充填体 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡スチレン系樹脂粒子及び充填体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、圧縮応力に対する回復率に優れた発泡スチレン系樹脂粒子、それを袋体に充填した充填体、それを製造するための発泡性スチレン系樹脂粒子を提供する。【解決手段】本発明は、スチレン系樹脂と発泡剤とを含有する発泡性スチレン系樹脂粒子であって、前記発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散した、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を含有することを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。【選択図】図1a

Description

本発明は、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子、前記発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した、緩衝材又は断熱材として用いることができる充填体、前記発泡スチレン系樹脂粒子を製造するための発泡性スチレン系樹脂粒子、並びに、これらを製造する方法に関する。
スチレン系樹脂からなる発泡成形体は、優れた緩衝性、断熱性を有し,成形も容易であるため、包装材、断熱材として多く用いられている。特にビーズ法といわれる発泡樹脂粒子から成形されるスチレン系発泡成形体は所望の形状を得やすく、端材などの発生が非常に少ない、生産性に優れた特徴がある。
近年は、この発泡樹脂粒子を袋状梱包材に充填して緩衝材として使用する例が増えてきており、形状が比較的自由であることから、緩衝材(クッション体等)として使用される。しかし、使用するにつれて圧縮応力等により初期の形状を維持できなくなり、緩衝性が低下する可能性がある。
発泡樹脂成形体の弾性を高める技術として、ポリスチレン系樹脂にブタジエンゴム等の弾性体を配合したハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記する。)を用いた発泡成形体が提案されている。
特許文献1には、弾性体としてスチレンとブタジエンとのブロック共重合体を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法が開示されている。特許文献2には、弾性体としてのブタジエンを所定量含有した、軟化温度が100℃以上のポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。特許文献3には、非配向性のゴム粒子を弾性体として配合したポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。
しかし、前記特許文献1〜3に開示された従来の弾性体を配合した発泡樹脂成形体及び成形前の発泡樹脂粒子は、いずれも変形からの回復性が不十分であるという問題がある。
スチレンとブタジエンとのブロック共重合体を用いた場合は、当該共重合体が高価であるために工業的に不利になったり、非配向性のゴム粒子を用いた場合は、当該ゴム粒子が変形しにくいことに起因して発泡剤の保持性が不十分になったり、さらには特許文献3に開示された発泡性重合体組成物のように、予備発泡粒子内部の気泡が均一化するまでの熟成期間が長くなる問題もある。
一方、特許文献4では、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、それを囲むポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備える発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が開示されている。
特許文献5には、ポリスチレン系樹脂種粒子を分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100重量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0重量部とアクリル酸エステル系単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させて、ポリスチレン系樹脂種粒子を成長させる第1重合工程と、スチレン系単量体のみを供給し重合をさせる第2重合工程と、発泡剤を含浸させる工程とを含む、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が開示されている。
特許文献6には炭素材料を添加して断熱性を高めた、発泡スチレン系樹脂粒子が開示されている。
特公昭47−17465号公報 特公昭47−18428号公報 特開昭56−67344号公報 特開2011−68817号公報 WO2009/096327 特開2016−121324号公報
特許文献4には、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、それを囲むポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備える発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡し、型内発泡成形して得られた発泡成形体は、予備発泡粒子同士の融着度合いが高く、且つ、耐衝撃性が優れていると記載されている。しかしながら、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡した発泡粒子は、本発明者らの検討から、変形からの回復が不十分であり、発泡粒子を袋体に充填して緩衝材や断熱材として利用するには適さないことが見出された。
特許文献5では、該文献記載の上記の方法で得られた発泡性粒子は、それを用いて発泡樹脂成形体を成形する際に、水蒸気の圧力が低圧でよく、成形時間の短縮が可能であるとされるが、変形からの回復性を高めることはできないと考えられる。
発泡樹脂粒子を、袋体に充填した充填体を断熱材として用いる場合、断熱材は長期間にわたって建物に設置されるため、使用中に自重による圧縮応力によって初期の形状を維持できなくなり、断熱性が低下する問題がある。
そこで本発明は、圧縮応力に対する回復率に優れた発泡スチレン系樹脂粒子、前記発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した、緩衝材又は断熱材として用いることができる充填体、前記発泡スチレン系樹脂粒子を製造するための発泡性スチレン系樹脂粒子、並びに、これらを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は第一に、
スチレン系樹脂と発泡剤とを含有する発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
前記発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散した、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を含有することを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡させることで、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子を形成することができる。
本発明は第二に、
気泡が形成されたスチレン系樹脂を含有する発泡スチレン系樹脂粒子であって、
前記発泡スチレン系樹脂粒子の全体において、前記気泡を囲う前記スチレン系樹脂の気泡膜中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子が存在することを特徴とする、発泡スチレン系樹脂粒子に関する。
本発明の発泡スチレン系樹脂粒子は、圧縮応力に対する回復力が高く、長期間にわたって初期の形状、緩衝性又は断熱性を維持することができる。
本発明は第三に、
袋体と、
前記袋体内に充填された、上記の本発明の発泡スチレン系樹脂粒子と
を備える、充填体に関する。
上記の通り、本発明の発泡スチレン系樹脂粒子が圧縮応力によっても変形しにくく、初期の形状、緩衝性又は断熱性を長期間にわたって維持することができるため、それが充填された本発明の充填体は、使用中の変形や、緩衝性の低下、又は断熱性の低下が生じ難い。本発明の充填体は、緩衝材又は断熱材として特に有用である。
本発明は第四に、
スチレン系樹脂種粒子を水中に分散させた分散液中に、アクリル酸エステル系単量体、又は、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との単量体混合物を供給し、前記単量体又は単量体混合物を前記種粒子内で重合させて、前記種粒子中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を形成して、微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を生成する微小粒子形成工程と、
前記微小粒子形成工程の後に前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程を行うことなく、又は、前記微小粒子形成工程の途中で、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる、含浸工程と
を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
本発明のこの態様により、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子を発泡して形成することができる、発泡性スチレン系樹脂粒子を容易に製造することが出来る。
本発明は第五に、
上記の本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。
本発明のこの態様の発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡させることで、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子を形成することができる。
本発明は第六に、
上記の本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて、発泡スチレン系樹脂粒子を形成する発泡工程を含む、発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
本発明のこの態様により、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子を容易に製造することができる。
本発明は第七に、
上記の本発明の発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡スチレン系樹脂粒子に関する。
本発明のこの態様の発泡スチレン系樹脂粒子は、圧縮応力に対する回復性に優れている。
本発明は第八に、
上記の本発明の発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填する充填工程を含む、充填体の製造方法に関する。
本発明のこの態様によれば、使用中の変形や、緩衝性の低下、又は断熱性の低下が生じ難い充填体を容易に製造することができる。
本発明によれば、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子、前記発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した、緩衝材又は断熱材として用いることができる充填体、前記発泡スチレン系樹脂粒子を製造するための発泡性スチレン系樹脂粒子、並びに、これらを製造する方法が提供される。
図1aは、実施例1で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子の断面の中央部を20,000倍の倍率で撮影した観察像である。 図1bは、実施例1で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子の断面の中央部を5,000倍の倍率で撮影した観察像である。 図1cは、実施例1で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子の断面の表層部を5,000倍の倍率で撮影した観察像である。 図2は、本発明の充填体の一実施形態の断面の模式図である。
<1.材料>
本発明においてスチレン系樹脂とは、スチレン又はスチレン誘導体の単独または共重合体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。単量体の形態の前記スチレン又はスチレン誘導体を本発明ではスチレン系単量体と称する。更に、前記スチレン系樹脂としては、前記スチレン系単量体成分を主成分とすれば、前記スチレン系単量体と共重合可能なビニルモノマーを併用した共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、多官能性モノマーが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、nが4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、前記スチレンと共重合可能な単量体は単独で用いられても併用されてもよい。「スチレン系樹脂」は「ポリスチレン系樹脂」と呼ぶこともできる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子(以下「発泡性樹脂粒子」という場合がある)の製造方法の微小粒子形成工程において出発原料として用いるスチレン系樹脂種粒子は、前記スチレン系樹脂を主成分とする粒子であり、他の成分を含んでいてもよい。前記種粒子は一部、または全部にスチレン系樹脂回収品を用いることができる。更に前記種粒子の粒径は、作製する発泡性樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径が0.2〜0.4mm程度の種粒子を用いることが好ましい。前記種粒子の平均粒子径は、JISZ8815に準拠し、JISZ8815に記載された篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とした。前記種粒子を形成するスチレン系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
本発明において、アクリル酸エステル系重合体は、1種以上のアクリル酸エステル系単量体を構成単量体として含む重合体である。アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル等が挙げられ、これらの中でもアクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましく、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
本発明において、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体は、1種以上のアクリル酸エステル系単量体と、1種以上のスチレン系単量体とを構成単量体として含む共重合体である。各単量体については上記の範囲から選択することができる。前記共重合体において、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との比率は特に限定されないが、スチレン系樹脂粒子中において、スチレン系樹脂に相溶せず、分散した微小粒子として存在するためには、アクリル酸エステル系単量体100重量部に対して、スチレン系単量体が好ましくは50重量部未満、より好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下であることが好ましい。
本発明において、アクリル酸エステル系重合体と、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体との混合体とは、前記重合体と前記共重合体との混合物を指し、混合比率は特に限定されない。
本発明において、アクリル酸エステル系重合体の微小粒子、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体の微小粒子、及び、前記混合体の微小粒子は、それぞれ、平均粒径が1〜500nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜400nm、最も好ましくは150〜250nmである。前記微小粒子の平均粒径が1nm以上であると、本発明の発泡スチレン系樹脂粒子の耐衝撃性、圧縮からの回復性が十分に付与されるため好ましい。前記微小粒子の平均粒径が500nm以下であることで、本発明の発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散速度が十分に小さいため好ましい。
なお、本発明において発泡性樹脂粒子及び発泡スチレン系樹脂粒子に含まれる前記微小粒子の平均粒径は、次の測定方法によって測定された平均粒径のことを言う。また、前記微小粒子は、前記重合体、前記共重合体、又は前記混合体を含む粒子であればよく、内部に、スチレン系樹脂を内包する構造であっても良い。
<樹脂粒子の内部の微小粒子の平均粒子径>
発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡スチレン系樹脂粒子(以下「樹脂粒子」とする)をエポキシ樹脂中に包埋させ、樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。微小粒子の長径と短径を測定し、長径と短径との平均値を微小粒子1つ当たりの粒子径とする。この作業を任意の微小粒子30個について行い、微小粒子の総平均の粒子径を算出し、微小粒子の平均粒子径とした。
<2.発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製法>
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、
スチレン系樹脂と発泡剤とを含有し、且つ
前記発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散した、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を含有することを特徴とする。
本発明の発泡性樹脂粒子は、前記微小粒子が全体に分散して存在していることにより、発泡させて後述する発泡スチレン系樹脂粒子としたときに、圧縮に対する回復性に優れ、緩衝性と断熱性を維持することができる発泡スチレン系樹脂粒子を形成することができる。図1a、図1b及び図1cに、実施例1で製造した発泡性樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡性樹脂粒子の中心を通るように切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行い、染色面を超薄切片とし、透過型電子顕微鏡にて写真撮影して取得した観察像を示す。図1aは粒子断面の中央部を20,000倍で撮影、図1bは粒子断面の中央部を5,000倍で撮影、図1cは粒子断面の表層部を5,000倍で撮影した観察像である。本発明者の検討では、比較例3に示すように、前記微小粒子が中央部に分散しているが表層部に分散していない発泡性樹脂粒子を発泡させて得られた発泡樹脂粒子は、圧縮に対する回復性が十分でないことが確認されている。
ここで前記微小粒子が「発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散」しているとは、発泡性樹脂粒子中で全体的に分散して存在していればよく、前記微小粒子が発泡性樹脂粒子中の各部分で均一な密度で分散している必要なく、密度に偏りがあってもよいが、より好ましくは、密度に大きな偏りがなく実質的に均一な密度で分散している。前記微小粒子が「発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散」しているとは、例えば、発泡性樹脂粒子の、面積が最も大きくなるようにとった断面上において、前記断面の全体に前記微小粒子が分散している状態であり、より具体的には、前記断面の最大幅をDとしたとき、前記断面において、直径0.1Dの円を、前記断面に内包されるように前記断面内のどの位置に設定した場合にも、前記円内に1以上の前記微小粒子が存在する状態であり、更に好ましくは前記円の直径は0.05Dである。より好ましくは、発泡性樹脂粒子に内包される任意の位置における直径0.1Dの球形の部分における前記微小粒子の密度をXとし、発泡性樹脂粒子の全体の前記微小粒子の密度をYとしたときに、Xが0.5Y〜1.5Yであり、より好ましくは0.7Y〜1.3Yであり、更に好ましくは0.9Y〜1.1Yである。ここで、発泡性樹脂粒子の全体の前記微小粒子の密度は、前記発泡性樹脂粒子の全体の、発泡剤以外の成分の全量に対する、前記微小粒子の重量の割合であり、具体的には、次段落以降で説明する微小粒子の含有量を指す。同様に、前記部分における前記微小粒子の密度は、前記部分の、発泡剤以外の成分の全量に対する、前記部分に含まれる前記微小粒子の重量の割合である。更に好ましくは前記部分の球の直径は0.05Dである。
本発明の発泡性樹脂粒子において、前記微小粒子の含有量は特に限定されないが、例えば、前記発泡性樹脂粒子の、発泡剤以外の成分の全量に対して、1〜40重量%であり、より好ましくは、5〜30重量%である。前記微小粒子を構成するアクリル酸エステル系重合体及び/又はアクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体は、炭化水素を含む発泡剤との親和性が、スチレン系樹脂よりも低いため、前記微小粒子の含有量が多すぎると発泡剤の保持力が低下するが、前記微小粒子の含有量を40重量%以下又は30重量%以下とすることで本発明の発泡性樹脂粒子の発泡剤を十分に保持させることが可能である。また、前記発泡性樹脂粒子の、発泡剤以外の成分の全量に対する、前記微小粒子の含有量を1重量%以上又は5重量%以上とすることで、十分な圧縮回復力が実現できる。
本発明の発泡性樹脂粒子の全体又は前記球形の部分の発泡剤以外の成分の全量は、本発明の発泡性樹脂粒子又は前記球形の部分を150℃の熱分解炉に入れて30分間加熱した後の、残留物の全量を求めることで測定可能である。
本発明において発泡性樹脂粒子中に含有させる発泡剤は、従来からスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えばイソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられ、ブタンが好ましい。
前記発泡剤の発泡性樹脂粒子中における含有量は、発泡樹脂粒子の形成に十分な量であればよく、例えば、発泡性樹脂粒子の発泡剤以外の成分の全量(前記の通り)に対して、3〜13重量%の範囲とすることができる。
なお、前記発泡性樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性スチレン系樹脂粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をクロマトグラフにて測定することができる。
また、前記発泡性樹脂粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。この発泡助剤としては、従来から発泡性樹脂粒子に用いられている発泡助剤であれば、特に限定されずに使用でき、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の一気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
更に、発泡性樹脂粒子には、加熱発泡時に用いられる水蒸気の圧力が低くても良好な発泡成形性を維持させるために、一気圧下における沸点が200℃を超える可塑剤、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が含有されていてもよい。
なお、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡工程において粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を、断熱材として用いる後述する充填体に充填する発泡樹脂粒子を形成するために使用する場合には、更に、物性を損なわない範囲内において、断熱性を高める材料、例えば炭素材料、を含むことが好ましい。炭素材料としては特開2016−121324号公報にて開示されている炭素材料を使用することができ、具体的には、カーボンブラック、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、カーボンナノファイバー、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン及びソフトカーボンのような炭素物質、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラックのような導電性カーボンブラック等が挙げられる。炭素材料は、十分な断熱性を付与するためには、10〜3000m/gの比表面積を有することが好ましい。炭素材料の含有量は、例えば、スチレン系樹脂100質量部に対して0.5〜25質量部が例示できる。含有量が0.5質量部未満である場合、断熱性を十分向上できないことがある。一方、含有量が25質量部を超える場合、気泡膜が破れることで成形性が低下して断熱性が劣ることがある。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径は、製造しようとする発泡スチレン系樹脂粒子の粒子径に応じ選択することができる。例えば、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径は、平均粒子径として0.2〜0.6mmの範囲である。平均粒子径は、JISZ8815に準拠し、JISZ8815に記載された篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とした。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法について以下に説明する。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、上記のスチレン系樹脂種粒子を、水中に分散させた分散液中に、アクリル酸エステル系単量体、又は、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との単量体混合物を供給し、前記単量体又は単量体混合物を前記種粒子内で重合させて、前記種粒子中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を形成して、微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を生成する微小粒子形成工程と、
前記微小粒子形成工程の後に前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程を行うことなく、又は、前記微小粒子形成工程の途中で、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる、含浸工程と
を含む。
前記微小粒子形成工程では、オートクレーブなどの反応容器内に水を入れ、該水に前記種粒子を分散させ、この水中に、前記単量体又は前記単量体混合物を連続的又は断続的に供給し、重合開始剤の存在下で前記種粒子の表面及び内部に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を成長させる。
前記微小粒子形成工程において使用可能な重合開始剤としては、従来からアクリル酸エステル系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されずに使用することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルヘキサノエート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、特に10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にあるものが好ましい。この重合開始剤は、1種類を単独使用することもできるし、異なった2種以上の重合開始剤を併用することもできる。
更に、前記微小粒子形成工程において、前記種粒子及び前記単量体又は単量体混合物の小滴を前記水中に分散させるために用いられる懸濁安定剤としては、スチレン系樹脂の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されずに使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。懸濁安定剤は、1種類を単独使用することもできるし、また2種以上の懸濁安定剤を混合使用することもできる。
前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用することが好ましい。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は1種類を単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
前記微小粒子形成工程において、水に供給する前記単量体又は単量体混合物の量は、種粒子100質量部に対して、例えば1〜67重量部、好ましくは5〜45重量部とすることができる。前記単量体又は単量体混合物の供給量をこの範囲とすることで、製造される前記発泡性樹脂粒子において、前記微小粒子の含有量を、発泡剤以外の成分の全量に対して、例えば1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲とすることができる。
前記微小粒子形成工程において、前記単量体混合物を供給する場合、前記単量体混合物でのアクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との比率は、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体におけるアクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との比率と同様に設定することができる。
前記微小粒子形成工程では、前記単量体又は単量体混合物の供給を、複数工程に分けて行うことができ、各工程で供給する前記単量体又は単量体混合物は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、アクリル酸エステル系単量体のみを供給する工程と、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との単量体混合物を供給する工程とを行う場合、製造される発泡性樹脂粒子においては、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子が全体に分散される。
前記微小粒子形成工程において、前記分散液中に前記単量体又は単量体混合物を供給した後、前記種粒子に吸収させ,前記種粒子内で重合させる際の反応条件は適宜調節することができる。例えば反応温度は70〜120℃であり、反応時間は30〜300分間である。この条件は、スチレン系樹脂種粒子の全体に前記微小粒子が分散して含有される、微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を生成するのに特に適している。
前記含浸工程は、前記微小粒子形成工程の後に前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程を行うことなく、又は、前記微小粒子形成工程の途中で、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程である。この時点で前記含浸工程を開始することにより、製造される発泡性樹脂粒子は、スチレン系樹脂の相の全体に前記微小粒子が分散した状態となり、それを発泡させることで、上記の通り、圧縮応力に対する回復性に優れた発泡スチレン系樹脂粒子を製造することができる。
ここで「前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程」とは、スチレン系単量体を更に添加して、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子の表面に更にスチレン系重合体の層を形成して成長させる工程が挙げられる。本発明者らは比較例3に示すように、「前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程」を行う場合には、発泡性樹脂粒子の表層部分に前記微小粒子を実質的に含まない部分が形成され、それを発泡させて得られた発泡スチレン系樹脂粒子は、圧縮応力に対する回復性が低いことを見出している。このため前記含浸工程を前記微小粒子形成工程の後に行う場合には、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程を行うことなく前記含浸工程を行うことが好ましい。
前記含浸工程を、前記微小粒子形成工程の途中で行う場合、発泡剤は、前記微小粒子の成長の途上で前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に含浸される。
前記含浸工程は、前記微小粒子形成工程の終了後又は途中において、前記微小粒子形成工程を行う容器中の前記分散液に、発泡剤を供給し実施することが、操作が簡便である観点から特に好ましい。
前記含浸工程において、発泡剤を含浸させる際の温度は、含浸を促進して生産効率を向上させる観点から好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子同士の融着を防止する観点から好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
前記含浸工程では、発泡剤とともに発泡助剤を前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に含浸させることができる。発泡助剤については既述の通りである。
含浸工程終了後に、製造された樹脂粒子を取り出し、必要に応じて、洗浄・乾燥を行い、発泡性スチレン系樹脂粒子を得る。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の表面には、従来の発泡性樹脂粒子に対して通常行われているように、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、帯電防止剤などの表面処理剤をコーティングすることができ、表面処理剤のコーティングを行うことで、発泡性樹脂粒子(ビーズ)の流動性、発泡特性などを改善することもできる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、前記発泡剤及び前記微小粒子以外に、上記の他の各種成分を含有することができる。これらの他の成分は、それぞれ独立に、前記種粒子に含まれていてもよいし、前記微小粒子形成工程において、前記単量体又は単量体混合物に加えて、前記分散液中に供給し、前記種粒子に吸収させてもよいし、前記含浸工程において、前記発泡剤に加えて、前記分散液中に供給し、前記種粒子に吸収させてもよい。
<3.発泡スチレン系樹脂粒子及びその製法>
本発明の発泡スチレン系樹脂粒子(以下「発泡樹脂粒子」と言う場合がある)は、
気泡が形成されたスチレン系樹脂を含有し、且つ、
前記発泡スチレン系樹脂粒子の全体において、前記気泡を囲う前記スチレン系樹脂の気泡膜中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子が存在することを特徴とする。
本発明の発泡樹脂粒子は、圧縮応力に対する回復性が高く、緩衝性及び断熱性が長期間保持されることから、袋体に充填して後述する充填体とし、緩衝材又は断熱材として用いる用途に特に適する。
発泡樹脂粒子では、スチレン系樹脂の連続相中に分散した多数の気泡が形成されており、各気泡は、スチレン系樹脂の気泡膜により囲われている。
本発明の発泡樹脂粒子では、前記気泡膜中に前記微小粒子が存在する。気泡膜の厚さは一般的に500nmよりも大きい。前記微小粒子は、気泡膜に、圧縮応力に対する耐性を与えると推定されるが、機構は特に限定されない。
本発明の発泡樹脂粒子では、発泡樹脂粒子の全体において、前記気泡膜中に前記微小粒子が存在していることを特徴とする。前記微小粒子が、発泡樹脂粒子の全体において、前記気泡膜中に存在することにより、本発明の発泡樹脂粒子は、圧縮に対する回復性に優れ、緩衝性と断熱性を維持することできる。ここで「発泡樹脂粒子の全体において」、前記気泡膜中に前記微小粒子が存在しているとは、発泡樹脂粒子の断面上において、全体的に、前記気泡膜中に前記微小粒子が存在していることを指し、前記微小粒子が発泡樹脂粒子中の各部分で均一な密度で分散している必要はなく、密度に偏りがあってもよいが、より好ましくは、密度に大きな偏りがなく実質的に均一な密度で分散している。例えば、発泡樹脂粒子の、面積が最も大きくなるようにとった断面上において、前記断面に現れる気泡膜中の全体に、前記微小粒子が分散して存在している状態であり、より具体的には、前記断面の最大幅をEとしたとき、前記断面において、直径0.1Eの円を、前記断面に内包されるように前記断面内のどの位置に配置した場合でも、前記円内に含まれる気泡膜中に1以上の前記微小粒子が存在する状態であり、更に好ましくは前記円の直径は0.05Eである。より好ましくは、発泡樹脂粒子に内包される任意の位置における直径0.1Eの球形の部分における前記微小粒子の密度をWとし、発泡樹脂粒子の全体の前記微小粒子の密度をZとしたときに、Wが0.5Z〜1.5Zであり、より好ましくは0.7Z〜1.3Zであり、更に好ましくは0.9Z〜1.1Zである。ここで、発泡樹脂粒子の全体の前記微小粒子の密度は、前記発泡樹脂粒子の全重量に対する、前記微小粒子の重量の割合であり、具体的には、次段落以降で説明する微小粒子の含有量を指す。同様に、前記部分における前記微小粒子の密度は、前記部分の全重量に対する、前記部分に含まれる前記微小粒子の重量の割合である。更に好ましくは前記部分の球の直径は0.05Eである。
本発明の発泡樹脂粒子において、前記微小粒子の含有量は特に限定されないが、例えば、前記発泡樹脂粒子の全量に対して、1〜40重量%であり、より好ましくは、5〜30重量%である。前記発泡樹脂粒子の全量に対する、前記微小粒子の含有量を1重量%以上又は5重量%以上とすることで、十分な圧縮回復力が実現できる。
本発明の発泡樹脂粒子の粒子径は、目的とする充填体の用途に応じて選択することができる。例えば本発明の発泡樹脂粒子の粒子径は、平均粒子径として0.4〜5.0mmの範囲である。平均粒子径は、JISZ8815に準拠し、JISZ8815に記載された篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とした。
本発明の発泡樹脂粒子は、上記の製造方法で得られた発泡性樹脂粒子又は本発明の発泡性樹脂粒子を発泡させることにより製造することができる。このため、本発明の発泡樹脂粒子は、発泡性樹脂粒子が含み得る成分として上記の他の成分を更に含んでいてよい。
上記の製造方法で得られた発泡性樹脂粒子を発泡する方法は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により前記発泡性樹脂粒子を加熱する方法が挙げられる。この方法で形成された発泡樹脂粒子は、目的とする用途に応じた適切な嵩密度を有し、例えば0.02〜0.20g/cmの範囲内であることが好ましく、0.02〜0.10g/cmの範囲内がより好ましい。発泡樹脂粒子の嵩密度は例えば次の方法で測定することができる。
<発泡樹脂粒子の嵩密度>
先ず、発泡樹脂粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて発泡樹脂粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<4.充填体>
本発明はまた、
袋体と、
前記袋体内に充填された、本発明の発泡スチレン系樹脂粒子と
を備える、充填体に関する。
図2に、本発明の充填体の一実施形態を示す。本実施形態の充填体10は、袋体1と、袋体1内に充填された、多数の本発明の発泡スチレン系樹脂粒子2とを備える。
既述の通り、本発明の発泡樹脂粒子は、圧縮応力に対する回復性が高く、元の形状を保持して緩衝性及び断熱性を長期間にわたり維持することができる。このため、本発明の発泡樹脂粒子が充填された本発明の充填体は、緩衝材又は断熱材として特に有用である。
前記緩衝材は、クッション、ベッド、マットレス、枕、ぬいぐるみ、玩具、包装用緩衝材等を包含する。
前記断熱材は、住宅の壁部や天井部に設置される住宅用の断熱材を包含する。
袋体としては、伸縮性を有する素材や、化学繊維又は天然繊維(絹、麻、木綿等)で形成された布等により構成することができる。伸縮性を有する素材としては、弾性を有する素材であって、例えばスパンデックス(ポリウレタン弾性糸)等が好ましい。
袋体には開閉可能なファスナーを設けることができる。袋体は二重構造を有していてもよい。更に、1つの大きな袋体中に、上記の充填体を複数個入れた構成とすることも可能である。この場合、複数個の袋体中の発泡樹脂粒子は、それぞれ異なる触感を有するものを使用してもよい。
[実施例、比較例]
<樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微小粒子の平均粒子径>
発泡性スチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡性スチレン系樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。ポリアクリル酸エステル微小粒子の長径と短径を測定し、平均して微小粒子1つ当たりの粒子径とする。この作業を任意のポリアクリル酸エステル微小粒子30個について行い、微小粒子の総平均の粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル微小粒子の平均粒子径とした。
<発泡樹脂粒子の圧縮回復率>
予備発泡装置にて嵩密度0.033g/cmに発泡した後に20℃で24時間熟成して発泡スチレン系樹脂粒子(発泡樹脂粒子)を得る。ついで容量2000ccのガラス製メスシリンダーに上記発泡樹脂粒子を1000cc±10ccの範囲を充填する。初期体積をV0とする。ついで、メスフラスコの内径との直径差が0.3mm以下、10gのプラスチックス製円盤を、充填した発泡樹脂粒子の最上面に載せる。25℃、湿度50%の雰囲気下で前記プラスチックス製円盤上に均一になるように荷重を掛け、発泡樹脂粒子の体積が500ccとなるまで加圧する。前記加圧下で24時間放置した後に、荷重を取除き更に6時間後に発泡樹脂粒子の体積Vを測定する。
以下の計算式から発泡樹脂粒子の圧縮回復率を測定する。
圧縮回復率(%)=V/V0×100
得られた発泡樹脂粒子の回復率が90%以上で◎(極めて良好)、85%以上、90%未満で○(良好)、85%未満で×(不良)として評価を行った。
[実施例1]
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.2〜0.4mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記スチレン系樹脂粒子(b)2000質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.0質量部をアクリル酸ブチル200質量部に溶解させたもの(以下、「アクリル酸エステル試料」とする)を前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、70℃で90分保持した。次いで発泡剤としてノルマルペンタン126質量部を重合容器内に圧入した後、120℃に昇温させて反応を完結させた。30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の内部のアクリル酸ブチル重合体の微小粒子の平均粒子径は210nmであった。
図1a、図1b及び図1cに、実施例1で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡性樹脂粒子の中心を通るように切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行い、染色面を超薄切片とし、透過型電子顕微鏡にて写真撮影して取得した観察像を示す。図1aは粒子断面の中央部を20,000倍で撮影、図1bは粒子断面の中央部を5,000倍で撮影、図1cは粒子断面の表層部を5,000倍で撮影した観察像である。アクリル酸エステル系重合体の微小粒子が、発泡性スチレン系樹脂粒子の全体に分散していることが確認された。
(発泡)
続いて、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。
次いで予備発泡装置にて嵩密度0.033g/cmに発泡した後に20℃で24時間熟成して発泡スチレン系樹脂粒子(発泡樹脂粒子)を得た。
また、内容積1Lのポリプロピレン製容器に発泡性樹脂粒子を500g投入し、25℃で保管した。嵩密度0.033g/cmの発泡が可能な経日を発泡剤保持性とした。本実施例の発泡樹脂粒子の発泡剤保持性は50日であり極めて良好であった。更に発泡樹脂粒子の圧縮回復率は93%で極めて良好であった。総合評価も極めて良好(◎)であった。
(発泡剤保持性の基準)
極めて良好(◎):50日以上。
良好(○):40日以上、50日未満。
不良(×):40日未満。
(総合評価の基準)
極めて良好(◎):発泡剤保持性も圧縮回復率も両方とも極めて良好(◎)である。
良好(○):発泡剤保持性と圧縮回復率の何れにも不良(×)がなく、何れかに良好(○)がある。
不良(×):発泡剤保持性と圧縮回復率の何れかに不良(×)がある。
[実施例2]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.25質量部をアクリル酸ブチル50質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[実施例3]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.5質量部をアクリル酸ブチル100質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[実施例4]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド7.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート3.5質量部をアクリル酸ブチル700質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[実施例5]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド10.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート5.0質量部をアクリル酸ブチル1000質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[実施例6]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.2質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部を、アクリル酸ブチル200質量部及びスチレン20質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[実施例7]
種粒子として、実施例1の方法で調製した粒子径0.2〜0.4mmのスチレン系樹脂粒子(b)を用いて、以下の操作を行った。
内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記スチレン系樹脂粒子(b)2000質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.25質量部をアクリル酸ブチル50質量部に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、70℃で90分保持した。
更に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1.7質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.85質量部をアクリル酸ブチル150質量部、スチレン20質量部に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、70℃で90分保持した。次いで発泡剤としてノルマルペンタン126質量部を重合容器内に圧入した後、120℃に昇温させて反応を完結させた。30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し、乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の内部のアクリル酸ブチル重合体の平均粒子径は200nmであった。次いで予備発泡装置にて嵩密度0.033g/cmに発泡した後に20℃で24時間熟成して実施例1と同様に発泡樹脂粒子を得た。
[実施例8]
アクリル酸ブチルに代えて、アクリル酸2エチルヘキシルを使用した以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。
[比較例1]
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.2〜0.4mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記スチレン系樹脂粒子(b)2000質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら60℃に昇温した。
次に、発泡剤としてノルマルペンタン126質量部を重合容器内に圧入した後、120℃に昇温させて反応を完結させた。
30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡)
続いて、発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。
次いで予備発泡装置にて嵩密度0.033g/cmに発泡した後に20℃で24時間熟成して発泡樹脂粒子を得た。得られた発泡樹脂粒子は回復性に劣るものであった。
[比較例2]
実施例1のアクリル酸エステル試料に代えて、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド3.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.5質量部を、アクリル酸ブチル200質量部及びスチレン100質量部に溶解させたものを用いた以外は実施例1と同様にして発泡樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子内にはアクリル酸ブチル由来の重合体は観測できず、回復性に劣るものであった。
[比較例3]
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.2〜0.4mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記スチレン系樹脂粒子(b)500質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.0質量部をアクリル酸ブチル200質量部に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、70℃で90分保持した。次いで、重合容器を90℃に維持しながら重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド6.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.5質量部をスチレン1500gに溶解させたものを5時間かけて一定速度で重合容器に供給しながら種粒子内で重合を行った。次いで発泡剤としてノルマルペンタン126質量部を重合容器内に圧入した後、120℃に昇温させて反応を完結させた。30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の内部のアクリル酸ブチル重合体の平均粒子径は210nmであったが、アクリル酸ブチル重合体は発泡性スチレン径樹脂粒子の表面から中心部に向けた半径方向の15%(半径に対する割合)には存在せず、発泡性スチレン径樹脂粒子の中心部に局在化したものであった。発泡樹脂粒子の圧縮回復率は78%であり、十分な回復性が得られなかった。
Figure 2018044050
1:袋体、2:発泡スチレン系樹脂粒子、10:充填体

Claims (15)

  1. スチレン系樹脂と発泡剤とを含有する発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
    前記発泡性スチレン系樹脂粒子中の全体に分散した、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を含有することを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 前記アクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸ブチル重合体を含み、
    前記アクリル酸エステル系単量体が、アクリル酸ブチルを含む、請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 前記微小粒子の含有量が、前記発泡性スチレン系樹脂粒子の、前記発泡剤以外の成分の全量に対して、5〜30重量%である、請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  4. 気泡が形成されたスチレン系樹脂を含有する発泡スチレン系樹脂粒子であって、
    前記発泡スチレン系樹脂粒子の全体において、前記気泡を囲う前記スチレン系樹脂の気泡膜中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子が存在することを特徴とする、発泡スチレン系樹脂粒子。
  5. 前記アクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸ブチル重合体を含み、
    前記アクリル酸エステル系単量体が、アクリル酸ブチルを含む、請求項4に記載の発泡スチレン系樹脂粒子。
  6. 前記微小粒子の含有量が5〜30重量%である、請求項4又は5に記載の発泡スチレン系樹脂粒子。
  7. 袋体と、
    前記袋体内に充填された、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発泡スチレン系樹脂粒子と
    を備える、充填体。
  8. 前記充填体が緩衝材又は断熱材である、請求項7に記載の充填体。
  9. スチレン系樹脂種粒子を水中に分散させた分散液中に、アクリル酸エステル系単量体、又は、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との単量体混合物を供給し、前記単量体又は単量体混合物を前記種粒子内で重合させて、前記種粒子中に、アクリル酸エステル系重合体、アクリル酸エステル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、又は、前記アクリル酸エステル系重合体と前記共重合体との混合体の微小粒子を形成して、微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を生成する微小粒子形成工程と、
    前記微小粒子形成工程の後に前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子を重合により更に成長させる工程を行うことなく、又は、前記微小粒子形成工程の途中で、前記微小粒子含有スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる、含浸工程と
    を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  10. 前記アクリル酸エステル系単量体が、アクリル酸ブチルを含む、請求項9に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  11. 前記微小粒子形成工程において、前記種粒子100重量部に対して、前記単量体又は単量体混合物を5〜45重量部となるように供給する、請求項9又は10に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡性スチレン系樹脂粒子。
  13. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて、発泡スチレン系樹脂粒子を形成する発泡工程を含む、発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  14. 請求項13に記載の発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡スチレン系樹脂粒子。
  15. 請求項13に記載の発泡スチレン系樹脂粒子の製造方法により製造された発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填する充填工程を含む、充填体の製造方法。
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