JP5410874B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、残存スチレン系単量体量が少ないと共に、機械的強度及び断熱性に優れたスチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法、並びに、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体に関する。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体は断熱性に優れていることから、建材用断熱材や保温容器として汎用されている。昨今の二酸化炭素削減等の環境対応のために、断熱性の向上が求められている。
発泡体の断熱性向上を意図した従来技術としては、特許文献1,2に開示されているようにカーボンブラックを添加する方法、及び特許文献3,4に開示されているようにグラファイトを添加する方法、さらに特許文献5に開示されているようにアルミ小板をポリスチレンに添加後、発泡させる方法などが提案されている。
欧州特許出願公開第372343号 欧州特許出願公開第620246号 欧州特許出願公開第981574号 欧州特許出願公開第981575号 国際公開第00/043442号パンフレット
しかしながら、前記各従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1〜4に開示されているように、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子にカーボンブラックやグラファイトを添加する場合は、スチレン系単量体を重合させてポリスチレン系樹脂粒子を製造する際に、添加したカーボンブラックやグラファイトにより重合阻害が生じることによって、得られたポリスチレン系樹脂粒子中の残存モノマー量が多くなってしまい、これを用いて製造されたポリスチレン系樹脂発泡成形体の揮発性有機化合物(以下、VOCと記す。)含有量が多くなってしまうため、昨今の低VOC化問題への対応が困難である。
また、特許文献5に開示されているように押出機によりアルミ小片のような無機物を樹脂に含有させる方法では、得られるペレットの小粒径化が難しいために、最終的に得られる発泡性樹脂粒子の粒子径が大きくなる問題があり、発泡体の薄肉化、形状の複雑化への対応が困難である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、断熱性に優れ、残存スチレン系モノマー量が少ないと共に、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法、この発泡性スチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体の提供を目的としている。
更に本発明は、粒子の小粒化が容易であって成形品の薄肉化、複雑な形状への対応が容易である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の提供を目的としている。
前記目的を達成するため、本発明は、水酸基含有単量体とスチレン系単量体との共重合体を含有する樹脂粒子に発泡剤が含まれてなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記水酸基含有単量体が、分子内に水酸基を有するアクリル酸エステル、分子内に水酸基を有するメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の水酸基含有単量体であることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)が0.05以下であることが好ましい。
また本発明は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を提供する。
また本発明は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩密度が0.010〜0.033g/cmの範囲となるように予備発泡して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を提供する。
また本発明は、前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
また本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部と水酸基含有単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、ポリスチレン系種粒子の重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、断熱性に優れるばかりか残存スチレン系モノマー量が少ないと共に、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明によれば、粒子の小粒化が容易であって成形品の薄肉化、複雑な形状への対応が容易である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面の吸光度測定位置を示す概略図である。 ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部の吸光度測定位置を示す概略図である。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部と水酸基含有単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、次いで、該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させる工程とを行って発泡性ポリスチレン樹脂粒子を得ることを特徴としている。
本発明の製造方法において、ポリスチレン系樹脂種粒子(以下、種粒子と略記する)の材料であるポリスチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独または共重合体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
また、種粒子は一部、または全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができる。更に種粒子の粒径は、作製する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径が1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製する場合には平均粒子径が0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
本発明の製造方法において第1重合工程で使用するスチレン系単量体としては、スチレン、またはスチレン誘導体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられるが、これらの中でもスチレンが好ましい。
本発明の製造方法において第1重合工程で使用する水酸基含有単量体としては、分子内に少なくとも1つ以上の水酸基を有し、前記スチレン系単量体と重合可能な各種の化合物の中から選択して1種又は2種以上を用いることができ、好ましくは分子内に水酸基を有するアクリル酸エステル、分子内に水酸基を有するメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の水酸基含有単量体が挙げられる。これらの水酸基含有単量体の中でも、特に好ましいものとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の製造方法において第1重合工程で使用する前記スチレン系単量体の配合量は、前記種粒子100質量部に対して、7.0〜80.0質量部の範囲とする。7.0質量部未満の場合は成形時の耐熱性が低下し、80.0質量部を超えると発泡性が低下する。
本発明の製造方法において第1重合工程で使用する前記水酸基含有単量体の配合量は、前記種粒子100質量部に対して2.0〜12.0質量部の範囲とする。2.0質量部未満では発泡性に劣り、12.0質量部を超えると成形品の強度が低下する。
本発明の製造方法において第2重合工程で使用するスチレン系単量体としては、第1重合工程で使用可能なスチレン系単量体を使用できる。
また、本発明の製造方法は、第2重合工程において、前記スチレン系単量体の添加時期を第1重合工程で生成する種粒子の重合転化率で制御する。詳しくは第1重合工程で生成した種粒子の重合転化率が85〜95質量%の範囲、更に好ましくは86〜94質量%の範囲にあるときに、第2重合工程で使用するスチレン系単量体を反応系に添加、種粒子に吸収、重合させることを特徴としている。
この重合転化率が85質量%以下では、発泡成形体の成形時の外観が劣り、良品を得るには成形時の水蒸気圧力を高くしなければならない。一方、重合転化率が95質量%以上である場合には、予備発泡時に粒子間の結合が多くなり、生産性が低下する問題がある。
本発明において発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含有させる発泡剤は、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えばイソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられ、ブタン系発泡剤が好ましい。
更に、前記発泡剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から低密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないと共に型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観性が低下し、又、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下するので、2.5〜5.0質量%の範囲とされ、2.7〜4.8質量%の範囲が好ましい。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をガスクロマトグラフにて測定することができる。
また、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。この発泡助剤としては、従来から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられている発泡助剤であれば、特に限定されずに使用でき、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の一気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
そして、前記低密度発泡成形用発泡助剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現せず、又、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮や溶けが発生して外観性が低下したり或いは発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなるので、1.0〜2.5質量%に限定され、1.2〜2.2質量%が好ましい。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡助剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させると共に内部標準液としてシクロペンタノールを加えてガスクロマトグラフにて測定することができる。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、加熱発泡時に用いられる水蒸気の圧力が低くても良好な発泡成形性を維持させるために、一気圧下における沸点が200℃を超える可塑剤、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が2.0質量%未満含有されていてもよい。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
本発明の製造方法で使用する重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、得られるポリスチレン系樹脂のZ平均分子量Mzや質量平均分子量Mwを調整して残存モノマーを低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、前記重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
更に、本発明の製造方法において、スチレン系単量体の小滴及び種粒子を水性媒体中に分散させる為に用いられる懸濁安定剤としては、従来からスチレン系単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
前記ポリスチレン系樹脂粒子は球状であるのが好ましく、該樹脂粒子の粒径は、成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.4mmがより好ましい。
なお、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させる際の温度は、低いと、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがあり、又、高いと、ポリスチレン系樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがあるので、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
次に、前記製造方法で得られた本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について説明する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水酸基含有単量体とスチレン系単量体との共重合体を含有するポリスチレン系系樹脂粒子に発泡剤が含浸されてなることを特徴としている。ここで、前述したように、水酸基含有単量体としては、分子内に水酸基を有するアクリル酸エステル、分子内に水酸基を有するメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の水酸基含有単量体であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、水酸基含有単量体が、分子内に水酸基を有するアクリル酸エステル、分子内に水酸基を有するメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の水酸基含有単量体であり、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)が、0.05以下であることが好ましい。
ATR法赤外分光分析とは、全反射吸収を利用する1回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。
この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
本発明では、ATR法赤外分光分析により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面と中心部とを分析し、得られた赤外吸収スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求める。そして前記各吸光度の値から樹脂粒子の表面の吸光度比(A)を算出する。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステル系樹脂に含まれるエステル基C=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述したように算出された樹脂粒子の表面の吸光度比(A)が0.05以下であることが好ましく、さらに、樹脂粒子の中心部について前記吸光度比(A)と同様にして求めた樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)とが、(A)<(B)であることが好ましい。この樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)は、0.20〜0.60の範囲が好ましく、更に好ましくは0.30〜0.60の範囲である。
なお、表面の吸光度比(A)は、図1に示すように発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1の表面AについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値であり、また中心部の吸光度比(B)は、図2に示すように発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1をその中心を通って切断した断面の中心部BについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値である。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、粒子の直径方向において、含有されているスチレン系単量体と水酸基含有単量体との共重合体成分の割合が、中心部で濃度が高く、表層側で低濃度となる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述したようにスチレン系単量体と水酸基含有単量体との共重合体成分の分布構造を有していることから、発泡性スチレン系樹脂粒子表面に共重合体が少量存在することで成形性に優れ、良好な成形体が得られる。樹脂粒子の表面の吸光度比(A)の範囲を満たさない場合は、発泡成形時の成形性が劣り、良好な発泡成形体が得にくくなる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した本発明に係る製造方法により効率良く製造することができるが、製造方法はそれに限定されない。
前述した本発明に係る製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、予備発泡粒子とする。この予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明に係る製造方法において、その嵩密度は0.010〜0.033g/cmの範囲内であり、0.0125〜0.020g/cmの範囲内が好ましい。
なお、本発明においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
前記予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は、0.010〜0.033g/cmの範囲内であることが好ましく、0.0125〜0.020g/cmの範囲内がより好ましい。該ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度が0.010g/cm未満であると成形時に収縮が大きくなりやすく、発泡成形体の強度が低下する。また密度が0.033g/cmを超えると発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の使用量が多くなり好ましくない。
なお、本発明においてポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。また、以下の実施例、比較例において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果は、発泡剤含浸前のポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果と同様であった。
以下の実施例、比較例において、ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比、発泡成形体の外観、発泡成形体中心の融着率及び総合評価は、次の測定方法及び評価基準により測定・評価した。
<種粒子の重合転化率測定方法>
ポリスチレン系樹脂種粒子の重合転化率は下記の方法により求められる。
即ち、ポリスチレン系樹脂種粒子を分散液中から取り出し、該種粒子の表面に付着した水分をガーゼを用いて拭き取り除去する。
そして、該種粒子を0.08g採取し、トルエン24ミリリットル中に溶解させてトルエン溶液を作製する。次に、このトルエン溶液中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを供給し、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して試料の滴定数(ミリリットル)とする。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2リットルにヨウ素8.7g及び三塩化ヨウ素7.9gを溶解してなるものである。
一方、ポリスチレン系樹脂種粒子を溶解させることなく、トルエン24ミリリットル中に、ウイス試薬10ミリリットル、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30ミリリットル及び1質量%のでんぷん水溶液30ミリリットルを供給し、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定してブランクの滴定数(ミリリットル)とする。
そして、ポリスチレン系樹脂種粒子中におけるスチレン系モノマー量を下記式に基づいて算出することができる。
ポリスチレン系樹脂種粒子中におけるスチレン系モノマー量A(質量%)=0.1322×(ブランクの滴定数−試料の滴定数)/試料の滴定数
重合転化率=100−A(%)
<吸光度比の測定>
吸光度比(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各樹脂粒子の表面(図1中の符号A)、及び粒子を中心を通って切断した断面の中心部(図2中の符号B)について、ATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行って赤外線吸収スペクトルを得る。
各赤外線吸収スペクトルから吸光度比(D1730/D1600)をそれぞれ算出し、表面Aについて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(A)とする。
吸光度D1730及び、D1600は、たとえばNicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGMA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
尚、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステルに含まれるエステル基のC=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
<発泡成形体の熱伝導率>
JIS A 1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)記載の方法で、試験体サンプルは長さ200×幅200×厚み25mmの大きさで試験体平均温度は23℃とした。
測定装置は英弘精機産業社製HC−071Hを用い、装置の低温板は試験体平均温度より15℃低く、高温板は試験体平均温度よりも15℃高く設定して測定し、23℃での熱伝導率測定値を求めた。
本発明において、発泡成形体の熱伝導率の評価基準は次の通りとした。
熱伝導率が0.0380W/mk未満の発泡成形体:○
熱伝導率が0.0380〜0.040W/mkの発泡成形体:△
熱伝導率が0.0400W/mkを超える発泡成形体:×
<成形性>
嵩密度0.0166g/cmに予備発泡した後に20℃で24時間熟成して予備発泡粒子を作成する。キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.070MPaの水蒸気で15秒間加熱成形した後に、発泡成形体の収縮を目視で観察する。
成形性の評価基準は次の通りとした。
収縮の全くないものを良好(○)とし、わずかに収縮するが24時間放置で回復するものをやや良好(△)とし、収縮が大きく24時間放置しても回復しないものを不良(×)とした。
<総合評価>
前記<発泡成形体の熱伝導率>及び<成形性>の各試験・評価項目において、全ての評価が○(良好)であった場合を◎(非常に良好)とし、一つでも△があった場合を○(良好)とし、一つでも×があった場合を×(不良)として総合評価した。
[実施例1]
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記スチレン系樹脂粒子(b)500質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら72℃に昇温した。
(第1重合工程)
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部をスチレンモノマー180質量部、水酸基含有単量体として1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート30質量部の混合液に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、72℃で保持した。
この重合工程において、前記<種粒子の重合転化率測定方法>によって樹脂粒子の重合転化率を測定しながら重合反応を進めた。
(第2重合工程)
種粒子の重合転化率90質量%になるまで第1重合工程の72℃を保持した後、110℃まで150分で昇温しつつ、且つスチレンモノマー1290gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(c)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子(c)について、前記<吸光度比の測定>によって樹脂粒子の表面の吸光度比(A)を測定した。
その結果を表1に示す。また得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子についても、前記<吸光度比の測定>により吸光度比を測定することができる。
(発泡剤含浸)
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200質量部、ポリスチレン系樹脂粒子(c)1800質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に、発泡助剤としてシクロヘキサン9.0質量部を重合容器内に入れて密閉し100℃に昇温した。
次に、発泡剤としてn−ブタン126質量部をスチレン系樹脂粒子(c)が入った重合容器内に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
(予備発泡)
続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。
次いで予備発泡装置にて嵩密度0.0166g/cmに予備発泡した後に20℃で24時間熟成してポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の製造)
そして、内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「エース3型」)のキャビティ内に前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.070MPaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記金型のキャビティ内の発泡体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却工程)して、密度0.0166g/cmのポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
得られた発泡成形体を50℃にて5日間乾燥した後、前記<発泡成形体の熱伝導率>、<成形性>及び<総合評価>を測定・評価した。その結果を表2に示す。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0361W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例2]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを40.0質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート15.0質量部の混合液とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1445質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0369W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例3]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを375質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート50質量部の混合液とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1075質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0358W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例4]
第2重合工程においてスチレン系単量体を添加する際の種粒子の重合転化率を86質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0359W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例5]
第2重合工程においてスチレン系単量体を添加する際の種粒子の重合転化率を94質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0360W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例6]
第1重合工程において使用する水酸基含有単量体を4−ヒドロキシブチルアクリレートに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0365W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例7]
第1重合工程において使用する水酸基含有単量体をヒドロキシプロピルメタクリレートに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、外観の良好なものであった。
本実施例で得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0365W/mkであり、良好な断熱性能を有していた。
[実施例8]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを25質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート70質量部の混合液とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1405質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[実施例9]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを425質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート7.5質量部の混合液とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1070質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[比較例1]
第1重合工程でアクリル酸ブチルを使用せず、スチレンモノマーを210質量部のみ使用した以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体の熱伝導率は0.0405W/mkであった。
前記実施例1〜9、比較例1の製造条件の概要と、各試験・評価結果を表1,2にまとめて記す。
Figure 0005410874
Figure 0005410874
表1,2の結果より、本発明に係る実施例1〜9の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水酸基含有単量体とスチレン系単量体との共重合体を含有する樹脂粒子に発泡剤が含浸されてなるものなので、これを予備発泡及び型内発泡成形して得られる発泡成形体は、ポリスチレン樹脂に発泡剤を含浸させてなる比較例1の発泡成形体と比べ、熱伝導率が低くなり、優れた断熱性能を有するものとなる。
本発明によれば、断熱性に優れるばかりか残存スチレン系モノマー量が少ないと共に、機械的強度に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明によれば、粒子の小粒化が容易であって成形品の薄肉化、複雑な形状への対応が容易である発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
1…発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、A…表面、B…中心部。

Claims (1)

  1. 水酸基含有単量体とスチレン系単量体との共重合体を含有する樹脂粒子に発泡剤が含まれてなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、
    (1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部と水酸基含有単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
    (2)次いで、ポリスチレン系種粒子の重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
    (3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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