JP2011066389A - オゾン水処理方法及びオゾン水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】添加物を含めない方法によって生成された超微細粒径のオゾン気泡を含有するオゾン水を用いて被処理物を処理するオゾン水処理方法及びオゾン水処理装置で、特に、超微細粒径のオゾン気泡を含有するオゾン水を加熱して被処理物の処理効率を向上させる。
【選択図】図4
Description
前述した第4の技術は、粒径50〜500のオゾン気泡を含むオゾン水を提供するもののようであるが、これは、電解質混入を必須とする。鉄、マンガン、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムイオン、その他ミネラル類のイオン等の電解質(添加物)を混入したオゾン水は、これらの電解質が半導体基板に悪影響を与える恐れがあるから半導体基板の洗浄には適さない。第2の従来技術が提供するオゾン水にも有機溶剤を混入させる必要があり、そのような有機溶剤も半導体基板の洗浄に適さないことは言うまでもない。この点、第3の先行技術は有機溶剤の添加量調節に、その解決を求めているが、有機溶剤も添加物であるかぎり含まれないほうがよいことは当然である。第3の従来技術で3では、オゾン拡散を1μm程度の微小孔を介して3行うようになっているため、オゾン含有純水が含有するオゾン気泡の粒径そのほとんどが1μmより小さくなることはない。したがって、第3の技術をもってしても、粒径1000nm(1μm)以下のオゾン気泡のみを含むオゾン水を実現することはできない。本発明が解決しようとする課題は、基板に悪影響を与えることのない、かつ、容易に脱気しないことにより充分な洗浄効果を得ることのできる基板洗浄方法及び基板洗浄装置を提供することにある。
発明の詳しい構成については、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項記載の発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、発明のカテゴリーの違いや記載の前後等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載の発明にも適用があるものとする。
請求項1記載の発明に係るオゾン水処理方法(以下、適宜「請求項1のオゾン水処理方法」という)は、添加物を含めない方法によって生成された超微細粒子のオゾン気泡を含有するオゾン水を用いて被処理物を処理するオズン水処理方法である。ここで、当該オゾン水が含有するオゾン気泡の粒径Rが0<R≦50nmである。
請求項2記載の発明に係るオゾン水処理方法(以下、適宜「請求項2のオ損水処理方法」という)では、被処理物の処理前のオゾン水を加熱する。加熱方法に制限はないが、たとえば、ヒーター、電磁誘導及び水蒸気による加熱方法がある。加熱温度は、生成時の温度にもよるが、たとえば、30℃〜80℃の範囲が可能となろう。
請求項3記載の発明に係るオゾン水処理方法(以下、適宜「請求項3のオゾン水処理方法」という)は、被処理物を半導体基板とするオゾン水処理方法である。オゾン水を生成するオゾン水の性質やオゾン水により処理する方法の種類等については、請求項1のオズン水処理方法の説明の中で行ったものと異ならない。
請求項4記載の発明に係るオズン水処理装置(以下、適宜「請求項4のオズン水処理装置」という)は、添加物を含まない方法によって超微細粒径のオゾン気泡を含有するオゾン水を生成するためのオゾン水生成装置と、このオゾン水生成装置において生成したオゾン水を用いて被処理物を処理する処理装置とを備える構成にしてある。ここで、当該オゾン水生成装置は、含有するオゾン気泡の粒径Rが0<R≦50nmであるオゾン水を生成可能に構成してある。
請求項5記載の発明に係るオゾン水処理装置(以下、適宜「請求項5のオゾン水処理装置」という)では、請求項5のオゾン水処理装置における好ましい態様として、前記被処理物の処理前のオゾン水を加熱するための加熱手段を設けてある。加熱方法に制限はないが、たとえば、ヒーター、電磁誘導及び水蒸気による加熱方法がある。加熱温度は、生成時の温度にもよるが、たとえば、30℃〜80℃範囲が可能となろう。
請求項6記載の発明に係るオゾン水処理装置(以下、適宜「請求項6のオゾン水処理装置」という)は、処理装置が半導体基板を処理する構成にしてある。
請求項1のオゾン水処理方法によれば、含有されるオゾン気泡がオゾン水から容易に脱気しないので、被処理物への処理効果を長く確実に保つことができる。オゾン脱気が有効に抑制されているからである。すなわち、粒径を50nm以下に抑えたことによりオゾン気泡がオゾン水から受ける浮力が極めて小さいので、オゾン気泡が水面まで上昇しづらい。つまり、オゾン水中に安定して滞留する。安定して滞留するオゾン気泡は、オゾン水が被処理物と衝突したときの衝撃により脱気することも極めて少ない。これらが、オゾン脱気の有効抑制を実現する。さらに、無添加のオゾン水を用いた処理であるから、添加物混入による悪影響を被処理物に与える恐れがない。また、添加物を混入していないので、処理後のオゾン水が、その添加物により与える環境への悪影響をもなくなる。そして、オゾン脱気が有効抑制されているので、オゾンが脱気しない、若しくは極めて脱気しづらい。つまり、オゾンという人間が吸引すると有害なものがオゾン水から出ないということであるから安全面でも極めて使い勝手がよい。
なお、オゾン水を用いた処理装置には、たとえば、被処理物をオゾン水に浸漬させたり、被処理物にオゾン水を散布したり、浴びせたり、する装置が挙げられる。無添加オゾン水の性質を害するものでなければ、後述するように光や超音波の照射等をオゾン水処理に併用することを妨げない。
図1を参照しながら、半導体基板洗浄方法の一例について説明する。半導体洗浄方法は、まず、オゾン水の生成から始まる(S1)。ここで、生成するオゾン水は、純水又は超純水にオゾンを混合させる気液混合方式によって行う。オゾン水生成は、添加物を添加することなく無添加で行う。無添加としたのは、添加物による半導体基板への悪影響を防止するためである。生成したオゾン水が含有するオゾン気泡の粒径Rは、0<R≦50nmとする。オゾン脱気を有効抑制するとともに、洗浄効率を飛躍的に伸ばすためである。オゾン濃度は、たとえば、15乃至30ppm前後が適当である。生成したオゾン水は、必要に応じて加熱するとよい(S2)。被洗浄体の性質その他の環境にもよるが、加熱したほうが洗浄効果が高まるからである。加熱温度は、生成時の温度その他の環境にもよるが、たとえば、30℃〜80℃の範囲がよい。この範囲の温度を外れる加熱を排除する趣旨ではないが、30℃を下回ると加熱による洗浄効率の向上が充分でなく、80℃を超えるとオゾンが脱気し易くなるからである。
図2を参照しながら、本実施形態における半導体基板洗浄方法を実施するための半導体基板洗浄装置装置(以下、適宜「洗浄装置」という)について説明する。洗浄装置1は、洗浄槽3と、オゾン水生成装置201と、から概ね構成してある。洗浄槽3は、その中で半導体基板Wを洗浄するための槽である。洗浄槽3の内部には、半導体基板の洗浄を補助するための洗浄機構7を配してある。オゾン水生成装置201は洗浄槽3へオゾン水を供給するための装置である。
引き続き図2を参照しながら、洗浄槽及び洗浄機構の概略について説明する。図2に2点差線で示す洗浄槽3は、略機密密閉可能に構成してあり、半導体基板Aを入れたり出したりするための開閉機構(図示を省略)を有している。洗浄槽3内に設置した洗浄機構7は、駆動源となるモータ7mと、モータ7mによって回転させられる回転テーブル7tと、から概ね構成してある。回転テーブル7tは、その上に半導体基板Aを載置可能に構成してあり、半導体基板Aを下方から保持して一体回転可能となるように構成してある。半導体基板Aを回転させるのは、オゾン水Wを満遍なく行き渡らせることによって洗浄効率を高めるためである。モータ7mの回転は、洗浄槽3の外部にある回転速度制御装置7cによって制御可能に構成してある。符号11は、オゾン水供給装置201から供給されたオゾン水Wを、半導体基板Aの表面に吐出するためのノズルを示している。ノズル11は、洗浄槽3内に設置したノズル駆動装置13によって移動可能に保持され、その移動によって、半導体基板Aに対するオゾン水Wの吐出位置を変化させられるように構成してある。吐出位置を変化させるのは、位置変化によりオゾン水Wをより満遍なく行き渡らせるためである。ノズル駆動装置13の制御は、洗浄槽3の外部にある位置制御装置13cによって行う。なお、上記した洗浄槽3及び洗浄機構7は、半導体基板の洗浄用に構成してあるが、半導体基板以外の基板その他の電子部品を洗浄する場合は、その洗浄部品の形態や個数等に合わせた洗浄槽及び洗浄機構等を構成すべきであることは言うまでもない。符号Rは、半導体基板Aの表面に形成されたレジスト膜(被洗浄体)を示している。
図4を参照しながら、オゾン水生成装置について説明する。オゾン水生成装置201は、貯留タンク202と、オゾンを生成して供給するためのオゾン供給装置203と、貯留タンク202から取り出した被処理水を貯留タンク202に戻すための循環構造204と、循環構造204の途中に設けた気液混合構造205及び溶解促進槽206と、貯留タンク202に付設した温度保持構造207と、から概ね構成してある。以下の説明は、説明の都合上、貯留タンク202、温度保持構造207、オゾン供給装置203、気液混合構造205、溶解促進槽206を行った後、最後に循環構造204について行う。
図4に示すように、貯留タンク202には取水バルブ202vを介して被処理水としての原水(純水又は超純水)を注入可能に構成してある。貯留タンク202は取水した原水、及び、後述する循環構造204を介して循環させた被処理水(オゾン水)を貯留するためのものである。貯留タンク202に貯留された被処理水は、温度保持構造207によって、たとえば、0〜15℃の範囲に保持されるようになっている。上記範囲に温度設定したのは、オゾン溶解を効率よく行い、かつ、溶解させたオゾンを容易に脱気させないために適当であるからである。0℃未満が上記範囲に含まれないのは、0℃未満ではオゾン水が凍結してしまうからである。温度保持構造207は、貯留タンク202から被処理水を取り出すためのポンプ211と、取り出した被処理水を冷却するための冷却機212と、から概ね構成してあり、貯留タンク202とポンプ211、ポンプ211と冷却機212、冷却機212と貯留タンク202の間は被処理水を通過させる配管213によって連結してある。上記構成によって、貯留タンク202に貯留された被処理水(原水及び/又はオゾン水)は、ポンプ211の働きによって貯留タンク202から取り出され、冷却機212に送られる。冷却機212は送られてきた被処理水を所定範囲の温度に冷却して貯留タンク202に戻す。ポンプ211は、図外にある温度計によって計測された貯留タンク202内の被処理水の温度が所定範囲を超え冷却の必要があるときにのみ作動するようになっている。貯留タンク202を設けた理由は、被処理水を一旦貯留することによって上記冷却を可能にするとともに、被処理水を安定状態に置き、これによって、被処理水に対するオゾン溶解を熟成類似の作用によって促進させるためである。なお、たとえば、寒冷地等において被処理水が凍結する恐れがある場合は、上記冷却機の代わりに、又は、上記冷却機とともにヒーター装置を用いて被処理水を加温するように構成することもできる。なお、配管213から分岐させた配管213aを介して洗浄装置1にオゾン水を供給するように構成してある。すなわち、冷却機212で所定温度に冷却されたオゾン水は、ポンプ211の働きにより配管213aを介して洗浄装置1に供給される。符号213vは、配管213aに設けたオゾン水の流量を調整するための調整バルブを示す。
図4に示すオゾン供給装置203は、オゾンを生成供給するための装置である。必要なオゾン量を供給可能なものであれば、オゾン供給装置203が作用するオゾン発生原理等に何ら制限はない。たとえば、酸素ガス中で放電を起こしてオゾンを発生させる放電方式や、超純水中の水分子を電気分解してオゾンを発生させる電解方式が、オゾン発生方式として知られている。オゾン供給装置203によって生成されたオゾンは、オゾン供給管217の途中に設けた電磁バルブ218と逆止弁219を介して気液混合構造205に供給されるようになっている。
図4乃至8を参照しながら気液混合構造205の詳細について説明する。気液混合構造205は、ベンチュリ管231と、オゾン供給パイプ239と、磁気回路243と、により概ね構成してある。ベンチュリ管231は、上流側(図5の向かって右側)から送られた被処理水(純水、超純水、オゾン水)を下流側(図5の向かって左側)へ通過させるためのパイプ状の外観を有している(図8参照)。ベンチュリ管231を長手方向に貫く中空部は、上流側から下流側に向かって上流側大経路232、絞り傾斜路233、小径路234、開放傾斜路235及び下流側大経路236の順に連通している。上流側大経路232は、軸線方向に対して50度前後の急角度をもって絞り方向に傾斜する絞り傾斜路233を介して小径路234に繋げられ、その後、開放傾斜路235によって同じく軸線方向に対して30度前後の緩やかな角度を持って開放される。開放傾斜路235は、上流側大経路232と同じ外径の下流側大経路236に繋がっている。他方、小径路234には、そこにオゾン供給パイプ239の開口端を臨ませてある。オゾン供給パイプ239の供給端にはオゾン供給装置203と連通するオゾン供給管217が接続してある。小径路234の中、又は、その近傍は、被処理水の圧力変化によって真空又は真空に近い状態になるため、開口端に及んだオゾンは吸引され乱流化した被処理水内に散気される。なお、図7に示す符号240は、ベンチュリ管231とオゾン供給パイプ239との間を補強するためのリブを示している。
以上の構成により、上流側大経路232を通過した被処理水は、絞り傾斜路233を通過するときに圧縮されて水圧が急激に高まり、同時に通過速度も急激に上昇する。高圧・高速のピークは、小径路234に達したときである。小径路234を通過した被処理水は、開放傾斜路235の中で急激に減圧・減速し、後続する被処理水との衝突の衝撃等を受け乱流化する。その後、被処理水は下流側大経路236を抜け、気液混合構造205の外へ出る。散気されたオゾンは、被処理水の乱流に巻き込まれ大小様々な大きさの気泡となり攪拌作用を受ける。小径路234及び少なくともその下流を流れる被処理水(オゾン水)には、上記攪拌作用とともに磁気回路243の働きによる磁力作用を受ける。すなわち、被処理水の水圧を圧力頂点(ピーク)に至るまで増圧させ当該圧力頂点に至った直後に減圧させるとともに当該圧力頂点に至った被処理水にオゾンを供給する、ことを磁界の中で行うことになる。攪拌作用と磁界の磁力作用が相乗効果を生み、その結果、被処理水にオゾンが溶解し高溶解度を持った高濃度オゾン水が生成される。
図4及び9を参照しながら、溶解促進槽206について説明する。溶解促進槽206は、天板253と底板254とによって上下端を密閉した円筒状の外壁255によって、その外観を構成してある。天板253の下面には、その下面から垂下する円筒状の内壁256を設けてある。内壁256に囲まれた空間が、被処理水を貯留するための貯留室258となる。内壁256の外径は外壁255の外径よりも小さく設定してあり、これによって、内壁256と外壁255との間に所定幅の壁間通路259が形成される。他方、内壁256の下端は、底板254まで届かず、底板254との間に所定幅の間隙を形成する。この間隙は、下端連通路257として機能する。すなわち、内壁256が囲む貯留室258は、下端連通路257を介して壁間通路259と連通している。他方、内壁256の天板253の近傍には複数の連通孔256h,256h,・・を貫通させてあり、貯留室258と壁間通路259とは各連通孔256hを介しても連通している。底板254の上面略中央には、細長の揚水管261を起立させてある。揚水管261の中空部下端は、底板254を貫通する入水孔254hと連通し、中空部上端は、揚水管261上端に形成した多数の小孔261h,・・を介して貯留室258と連通している。揚水管261の上端は、内壁256が有する連通孔256hの位置よりも僅か下に位置させてある。外壁255の高さ方向上から略4分の1付近には、排水孔255hを貫通させてある。つまり、壁間通路259は、排水孔255hを介して外部と連通している。
図4を参照しながら、循環構造について説明する。循環構造204は、気液混合構造205を通過した被処理水(既に原水からオゾン水になっている)を循環させて再度、気液混合構造205を通過させる機能を有している。再度、気液混合構造205を通過させるのは、既にオゾンを溶解させた被処理水に再度オゾンを注入することによって、オゾンの溶解度と濃度をさらに高めるためである。循環構造204は、ポンプ271を駆動源とし、貯留タンク202と溶解促進槽206を主要な構成要素とする。すなわち、ポンプ271は、貯留タンク202から配管270を介して取り出した被処理水を逆止弁272及び配管273を介して気液混合構造205に圧送する。圧送によって気液混合構造205を通過した被処理水は、配管274及び溶解促進槽206を抜け配管275を介して貯留タンク202に戻される。循環構造204は、上記した工程を必要に応じて繰り返して実施可能に構成してある。循環させる回数は、生成しようとするオゾン水のオゾン溶解度やオゾン濃度等を得るために自由に設定することができる。なお、符号276は、配管275の途中に設けたバルブを示している。バルブ276は、その開閉によって気液混合構造205の小径路234(図7参照)を通過させる被処理水の水圧を制御することを主目的として設けてある。
オゾン水生成装置201には、生成したオゾン水を処理槽3に供給する前に、加熱するための加熱手段を設けてある。半導体基板に接触する前のオゾン水の温度を必要に応じて高め、これによって、洗浄効率を高めるためである。加熱手段は、ヒーターHによって構成してある。ヒーター8は、発熱体や、電磁誘導を利用したインライン・インダクションヒーター、さらに、高温水蒸気発生装置等により構成することができる。
図10を参照しながら、処理槽3の変形例について説明する。本変形例に係る処理槽53は、図10では図外のオゾン水生成装置201から供給ノズル54,54を介してオゾン水Wの供給を受けるようになっている。処理槽53内には、ウエハポート56,・・が昇降可能に配してあり、ウエハポート56,・・は、紙面厚み方向に並ぶ複数枚の半導体基板A,・・(図示は1枚、他は裏に隠れている)を下方から支持可能に構成してある。支持された半導体基板A,・・は、処理槽53内に貯留されたオゾン水Wに浸漬され、洗浄されるようになっている。貯留されたオゾン水Wは、後からオゾン水Wが追供給されることによって処理槽53上面から溢れさせ、溢れたオゾン水Wha処理槽53の上端部に設けた排水路55,55から排水されるようにしてある。オゾン水Wを追供給するのは、オゾン水Wを常に流動させることによって、反応後に濃度が下がったオゾン水Wの代わりに濃度の高いオゾン水Wを半導体基板と接触させるとともに、流動による衝撃によっては半導体基板Aの表面に形成されたレジスト膜を剥離させ易くするためである。なお、排水路55,55から排水したオゾン水Wは、これを、たとえば、ろ過したりオゾンを再混合したりすることによって再利用するようにすることもできる。
図4及び11を参照しながら、実験例について説明する。ここで、示す実験例は、背景技術の欄において説明した磁石の使用方法と本発明に係る磁石の使用方法の違いによって、オゾンの溶解度や濃度に著しい差が生じることを主として示すためのものである。本実験例では、本件発明に係る装置として図4に示すオゾン水生成装置(以下、「本件装置」という)を使用し、比較対象となる装置として図11に示すオゾン水生成装置(以下、「比較装置」という)を使用した。比較装置には、本件装置の構造と基本的に同じ構造を備えさせてあるが、磁気回路243の取付位置のみを異ならせてある。このため、図11では磁気回路を除き図4で使用する符号と同じ符号を使用し、図11に示す磁気回路には気液混合構造205の上流側にあるものに符号243aを、下流側にあるものに符号243bを、それぞれ付してある。整理すると、図4に示す本件装置は、磁気回路243と一体となった気液混合構造205を備え、図11に示す比較装置は、気液混合構造205の上流側配管に磁気回路243aを、同じく下流側配管に磁気回路243bを、それぞれ同時に又は選択的に取り付け取り外しできるように構成してある。なお、気液混合構造205として、米国マジェーインジェクター社(MAZZEI INJECTOR CORPORATION)製のモデル384を、磁気回路には7000ガウスのものを、それぞれ使用した。
表1及び2を参照しながら、濃度比較実験について説明する。表1は、オゾン水のオゾン濃度と濃度上昇時間との関係を示している。表2は、表1に示すオゾン水のオゾン濃度が生成装置の運転停止後にゼロになるまでに要する時間を示している。ゼロになるまでの時間が長ければ長いほどオゾン溶解度が高いことを示す。表1及び2において、記号「□」は本件装置を用いて生成したオゾン水(以下、「本件オゾン水」という)を、記号「×」は比較装置から磁気回路のみを取り外した気液混合構造を用いて生成したオゾン水(以下、「磁気なしオゾン水」という)を、記号「△」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243aとにより生成したオゾン水(以下、「上流側磁気オゾン水」という)を、記号「○」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243bとにより生成したオゾン水(以下、「下流側磁気オゾン水」という)を、そして、記号「◇」は比較装置において気液混合構造205と磁気回路243a及び磁気回路243bの双方とにより生成したオゾン水(以下、「両側磁気オゾン水」という)を、それぞれ示している。被処理水の温度は5℃、周囲湿度は36〜43%、周囲温度は17℃であった。
表3及び4を参照しながら、本件オゾン水が含有するオゾン気泡の粒径測定実験について説明する。表3及び4は、本件オゾン水に含まれるオゾン気泡の粒径分布を示す(左側縦軸参照)。本測定実験では、オゾン濃度とオゾン濃度保持時間との関係から4種類の本件オゾン水を測定対象とした。まず、オゾン濃度を3ppmと14ppmの2種類とし、次に、各濃度それぞれ当該濃度に達した直後のオゾン水(以下、各々「3ppm直後オゾン水」「14ppm直後オゾン水」という)と、当該濃度に達した後その濃度を15分間維持させたオゾン水(以下、各々「3ppm維持オゾン水」「14ppm維持オゾン水」という)と、に分けた。つまり、「3ppm直後オゾン水」「3ppm維持オゾン水」「14ppm直後オゾン水」「14ppm維持オゾン水」の4種類が、本測定実験に係る測定対象である。ここで、本測定実験に使用した本件オゾン水の原水には、水道水を0.05μm(50nm)の微粒子絶対濾過の逆浸透膜で濾過して得た純水を用いた。本実験で純水を得るために使用した装置は、セナー株式会社製超純水装置(型名:Model・UHP)である。水道水には50nm以上の不純物(たとえば、鉄分やマグネシウム)が含まれているため、濾過してない原水から生成したオゾン水を測定対象としても、そこに含まれる不純物を測定してしまい測定誤差が生じかねないので、濾過によって予め不純物を取り除いておくことによってオゾンの気泡粒径の正しい測定ができるようにするためである。水道水以外の原水、たとえば、井戸水や河川水についても同じことがいえる。オゾン気泡の粒径測定に使用した測定器は、動的光散乱式粒径分布測定装置(株式会社堀場製作所(HORIBA,Ltd):型式LB500))である。原水から不純物を濾過せずともオゾン気泡の粒径を正しく測定できる手段があれば、その手段を用いて測定可能であることはいうまでもない。
なお、上記4種類のオゾン水、すなわち、「3ppm直後オゾン水」「3ppm維持オゾン水」「14ppm直後オゾン水」及び「14ppm維持オゾン水」についてpH測定実験を行った。その結果は、表5及び6に線グラフで示してある(右側縦軸参照)。いずれのオゾン水についても、オゾン溶解の前後においてpH7.3前後を示した。すなわち、オゾン溶解は原水のpHにほとんど変化を与えないことがわかった。井戸水や水道水は概ね中性(pH6.5〜7.5)を示すことから、気液混合方式によって生成した本件オゾン水は、pHを調整するための添加物を添加しなくても中性を示すことがわかった。もっとも、原水がアルカリ性である場合は、オゾン溶解がオゾン水のpHを変化させないことからアルカリ性のオゾン水が生成される場合もあり得よう。
図10に示す処理槽53を簡略化した実験装置を作成し、オゾン水Wを用いたレジスト膜洗浄(剥離)実験を行った。洗浄実験は、2種類のシリコンウエハ基板を用いて行った。一方のシリコンウエハ基板(以下、「試料基板1」という。)は、シリコンウエハ基板上にノボララック系フォトレジスト膜を塗布後、120℃で20分間焼成したインプラ加工処理済みの基板である。試料基板1の大きさは25mm×25mmであり、フォトレジスト膜の膜厚は1μmであった。試料基板1は、試料基板1−1〜1−5までの5枚を試料とした(表5参照)。また、他方のシリコンウエハ基板(以下、「試料基板2」という)は、シリコンウエハ基板上にノボララック系フォトレジスト膜を塗布後、160℃で20分間焼成した基板である。試料基板2にはインプラ加工処理を施していない。試料基板2の大きさは25mm×35mmであり、フォトレジスト膜の膜厚は同じく1μmであった。試料基板2は、試料基板2−1〜2−6までの3枚を試料とし、試料基板2−1−〜2−3までをオゾン水Wの、試料基板2−4〜2−6までを比較用オゾン水の、それぞれ対象とした(表6参照)。比較用オゾン水が含有するオゾン気泡の粒径は、1μm以上と推定される。オゾン水Wの原水は水道水であり、オゾン水Wに含有されるオゾン気泡の粒径Rは、0<R≦50nmであった。オゾン水Wを貯留した処理槽(図示を省略)内に各試料基板を浸漬させた上で、その中央部付近に水圧約0.1MPaのオゾン水Wを噴出した。オゾン水Wの温度変化及び剥離速度等は、表5及び表6に示すとおりである。なお、オゾン(オゾンガス)発生量を50g/Nm3とした結果、溶存オゾン濃度は、表5及び表6に示すとおり29〜27mg/L(g/Nm3)となった。
含有されるオゾン気泡の粒径Rが0<R≦50nmであるオゾン水を用いた半導体基板洗浄が極めて好適であることの因果関係を、発明者らは、次のとおり推察する。図12乃至14を参照しながら、説明する。図12に示すオゾン気泡Lzの粒径Dは、たとえば、500μmとする。オゾン気泡L′zの粒径D′は、たとえば、700μmとする。オゾン気泡L′zはオゾン気泡Lよりも体積が大きいので、その分オゾン水Wから受ける浮力が大きいため水面に向かって上昇する。このためオゾン気泡L′zはレジスト膜Rと接触する可能性が低く、そのため洗浄にはほとんど役に立たない。他方、オゾン気泡Lzは、オゾン水Wから受ける浮力が比較的小さいためオゾン水W中に浮遊する確率が高く、したがって、レジスト膜Rと接触する可能性がある。レジスト膜Rと接触したオゾン気泡Lz内のオゾンは反応してレジスト膜Rの剥離に貢献する。
3 洗浄槽
7 洗浄機構
201 オゾン水生成装置
202 貯留タンク
203 オゾン供給装置
204 循環構造
205 気液混合構造
206 溶解促進槽
207 温度保持構造
231 ベンチュリ管
232 上流側大径路
233 絞り傾斜路
234 小径路
235 開放傾斜路
236 下流側大径路
239 オゾン供給パイプ
243 磁気回路
245 一方の磁石片
246 他方の磁石片
265 気液分離装置
267 オゾン分解装置
Claims (6)
- 添加物を含めない方法によって生成された超微細粒径のオゾン気泡を含有するオゾン水を用いて被処理物を処理することを特徴とするオゾン水処理方法。
- 前記被処理物の処理前の前記オゾン水を加熱することを特徴とする請求項1に記載のオゾン水処理方法。
- 前記被処理物が半導体基板であること特徴とする請求項1又は請求項2記載のオゾン水処理方法。
- 添加物を含めない方法によって超微細粒径のオゾン気泡を含有するオゾン水を生成するオゾン水生成装置と、このオゾン水生成装置において生成したオゾン水を用いて被処理物を処理する処理装置とを備えることを特徴とするオズン水処理装置。
- 前記被処理物の処理前のオゾン水を加熱するための加熱手段を設けてあることを特徴とする請求項4に記載のオゾン水処理装置。
- 前記処理装置は、半導体基板よりなる被処理物を処理することを特徴とする請求項4又は請求項5記載のオゾン水処理装置。
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