JP2011063472A - 表面処理シリカの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性と耐摩耗性に優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤と水とアルコールと酸性化合物を混合して処理液を調製し、予め乾燥させたシリカに前記処理液を付与して表面処理を行う表面処理シリカの製造方法である。該表面処理シリカをジエン系ゴムに添加し混合してゴム組成物を調製する。
(R(RSi−A …(1)
(Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、Aは硫黄原子を含む官能基、m=1〜3、m+n=3)
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカをシランカップリング剤で表面処理してなる表面処理シリカの製造方法に関するものであり、また、該表面処理シリカを含むゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
一般に、空気入りタイヤにおいては、低燃費性、良好な耐摩耗性、高グリップ力などの要求性能がある。そのうち、低燃費性の向上のためには、タイヤを構成するゴム組成物のヒステリシスロスを低減して低発熱性にすることが有効である。そこで、タイヤ用ゴム組成物において、充填剤としてのシリカを配合することが行われている。しかしながら、シリカは、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有していることから、粒子同士が凝集しやすく、分散性に劣るという問題がある。そのため、シランカップリング剤を配合して、シリカの分散性を向上している。
空気入りタイヤの低燃費化は、最近ますますその要求レベルが高くなっており、シリカの分散性を改良するため、シリカをシランカップリング剤で予め表面処理することが行われている。例えば、下記特許文献1には、チオシアネート基またはスルフィド結合を持ったアルコキシシラン化合物によって表面処理した無水酸化物の製造方法、及びそのゴム組成物への配合が提案されている。
このように硫黄含有シランカップリング剤で表面処理を行った表面処理シリカをゴム組成物に配合することにより、シリカへの疎水性付与によるゴム中での分散性が改良され、また、シリカとジエン系ゴムとの反応性向上がみられ、該ゴム組成物をタイヤトレッドに用いることで、耐摩耗性、低燃費性を改良したタイヤが得られることが分かっている。
上記の更なる改良のため、下記特許文献2には、酸性化合物の存在下で、シリカと硫黄含有シランカップリング剤とを反応させた表面処理シリカが開示されている。しかしながら、同文献において、酸性化合物は、シリカにシランカップリング剤を添加して反応させる際に、シリカに添加されており、このような表面処理時における酸性化合物の添加では、シランカップリング剤の加水分解を十分に行うことができず、シリカのゴムへの分散性、ゴムの補強性の向上効果が十分とは言えない。
特開平05−017705号公報 特開2007−169559号公報
本発明は、以上の点に鑑み、ゴム組成物に配合したときの分散性、補強性に優れ、該ゴム組成物をタイヤに用いたときに低燃費性と耐摩耗性を改良することができる表面処理シリカを提供することを目的とする。
本発明に係る表面処理シリカの製造方法は、下記一般式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤と水とアルコールと酸性化合物を混合して処理液を調製し、予め乾燥させたシリカに前記処理液を付与して表面処理を行うものである。
(R(RSi−A …(1)
式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、Aは硫黄原子を含む官能基、m=1〜3、m+n=3である。
本発明は、また、上記製造方法により得られた表面処理シリカを提供するものである。また、本発明は、上記製造方法により得られた表面処理シリカを、ジエン系ゴムに添加し混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法を提供するものであり、更には、該製造方法により得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて空気入りタイヤを加硫成形することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、硫黄含有シランカップリング剤と水とアルコールと酸性化合物を混合して処理液を調製し、硫黄含有シランカップリング剤の加水分解を十分に行った後、その処理液を用いてシリカを表面処理するので、硫黄含有シランカップリング剤とシリカとの反応性が向上する。そのため、得られた表面処理シリカをゴム組成物に配合したとき、ゴムへの分散性が向上し、ゴムの補強性を向上することができ、よって、該ゴム組成物をタイヤに用いたときに、低燃費性と耐摩耗性を改良することができる。
本発明の実施形態に係る表面処理シリカの製造方法では、予め乾燥させたシリカに、上記一般式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤と水とアルコールと酸性化合物からなる処理液を用いて、表面処理を行う。
表面処理対象となるシリカとしては、例えば、湿式沈殿法シリカ、湿式ゲル化法シリカ、乾式シリカなどが挙げられるが、特に限定されない。
シリカは予め乾燥させてから表面処理を行うが、その理由は以下の通りである。シリカは、粒子表面のシラノール基の存在によって空気中の水分を吸着するが、吸着水が多いと、シリカの凝集力が大きく、表面処理時にミキサーによる破砕効果を大きくすることが難しい。また、周囲の環境によって吸着水量が異なるため、シリカとシランカップリング剤との反応が不均一となる。これに対し、シリカを予備乾燥して吸着水を減少させることにより、シリカの凝集力を減少させて、表面処理時にミキサーによる破砕効果を大きくすることができる。また、吸着水を減少させたシリカに表面処理を施すことにより、シリカとシランカップリング剤との反応を均一にでき、例えば、吸着水量の季節変動による表面処理への影響を防ぐことができる。
シリカの予備乾燥の条件は、特に限定されず、例えば、100〜140℃で30分〜3時間加熱することができる。特に限定するものではないが、予備乾燥により、シリカの含水率を5重量%以下としておくことが好ましく、より好ましくは3重量%以下とすることである。
硫黄含有有機シランカップリング剤は、上記一般式(1)に示すように、シリカのシラノール基と反応し得るアルコキシ基と、ゴムポリマーと反応し得る硫黄原子を含む官能基Aとを有するものである。
式(1)中、Rは、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。Rは、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。また、Rは、炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基であり、1分子中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。Rについて、上記アルキルポリエーテル基とは、−O−(R−O)−R(ここで、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキル基、k=1〜20であることが好ましい。)で表される。
また、式(1)中の官能基Aとしては、下記一般式(2)〜(4)が好ましいものとして挙げられる。
−R−S−R−Si(R(R …(2)
−R−SH …(3)
−R−S−CO−R …(4)
式中、R,Rは、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基であり、より好ましくは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、炭素数1〜16のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは、炭素数1〜18のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜9のアルキル基である。xは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。なお、xは通常分布を有しており、即ち、硫黄連鎖結合の数が異なるものの混合物として一般に市販されており、xはその平均値を表す。なお、R、R、m、nは、上記式(1)と同じである。
官能基Aが上記式(2)で表されるスルフィドシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどが好ましいものとして挙げられる。
官能基Aが上記式(3)で表されるメルカプトシランカップリング剤としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、及びデグサ社製「VP Si363」(R:OC、R:O(CO)−C1327、R:−(CH−、m=平均1、n=平均2、k=平均5)などが好ましいものとして挙げられる。
官能基Aが上記式(4)で表される保護化メルカプトシランカップリング剤としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどが好ましいものとして挙げられる。
本実施形態では、該硫黄含有シランカップリング剤をそのままシリカに表面処理するのではなく、水とアルコールと酸性化合物とともに混合した処理液を調製した上で、該処理液でシリカを表面処理する。このような処理液を調製することで、硫黄含有シランカップリング剤を予め十分に加水分解させておくことができ、その状態でシリカに表面処理することにより、シリカと硫黄含有シランカップリング剤との反応が向上して、シリカのゴム中への分散性が向上し、ゴムの補強性の改良効果にも優れる。
ここで、水は硫黄含有シランカップリング剤の加水分解に必要な成分である。アルコールは、水と硫黄含有シランカップリング剤の相溶化のために用いられる。すなわち、硫黄含有シランカップリング剤は、水と相分離しやすいので、加水分解しにくいが、アルコールを添加することで、両者を相溶化させて加水分解させることができる。特に限定するものではないが、水とアルコールの混合比は、重量比で、水/アルコール=30/70〜70/30であることが好ましい。また、水は、硫黄含有シランカップリング剤100重量部に対して20〜500重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。20重量部未満では十分に加水分解させることが難しくなり、逆に500重量部を超えると乾燥が不十分になりやすくなる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の1価の低級アルコールを用いることが好ましい。
上記酸性化合物は、硫黄含有シランカップリング剤の加水分解を促進するために添加される。すなわち、酸性化合物を添加することにより、処理液が酸性となるので、硫黄含有シランカップリング剤の加水分解反応が進む。また、酸性条件下では、加水分解した硫黄含有シランカップリング剤は、シラノール同士の縮合反応が進みにくいので、加水分解後の処理液の安定性を保つことができる。すなわち、加水分解反応を十分に行ってシリカへの反応性を高めた状態としながら、シランカップリング剤同士の縮合反応は抑えて処理液の安定性を保つことが可能となる。
該酸性化合物としては、水に溶解させたときに水溶液を酸性にすることができるものであれば、使用可能であり、例えば、酢酸、ギ酸などのカルボン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどのリン酸塩、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、これらはそれぞれ単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかでも、酸性化合物としては、炭素数1〜4のカルボン酸を用いることが好ましく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などが挙げられ、特に好ましくは酢酸を用いることである。これらのカルボン酸は、沸点が比較的低く、表面処理後の熱乾燥により蒸発させて除去することができる。そのため、ゴム組成物に配合したときに、表面処理シリカに酸性化合物が残存することに起因して加硫速度が遅くなるなどといった問題を防ぐことができる。
酸性化合物の使用量は、特に限定されるものではなく、例えば、硫黄含有シランカップリング剤100重量部に対して1〜20重量部で使用してもよく、より好ましくは5〜15重量部である。
上記処理液の調製方法は、特に限定されるものではなく、硫黄含有シランカップリング剤と、水と、アルコールと、酸性化合物とを混ぜて、攪拌することにより調製することができる。なお、処理液には、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を添加してもよく、例えば、硫黄を含有しない有機シラン化合物や、シリカに対する疎水化剤としての高級脂肪酸などを添加してもよい。
このようにして調製された処理液は、上記の予め乾燥されたシリカに対して付与することで表面処理が行われる。処理液中に含まれる硫黄含有シランカップリング剤は、上記のように予め十分に加水分解されているため、加水分解により生成された硫黄含有シランカップリング剤のシラノール基が、シリカ表面のシラノール基と水素結合を介して速やかに結合し、更に脱水縮合により共有結合を介して強固に結合させることができる。よって、硫黄含有シランカップリング剤とシリカとの反応を迅速かつ均一に行うことができる。
上記表面処理の方法としては、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いた乾式処理法により行うことが好ましい。例えば、予め乾燥したシリカを予熱された混合機に入れ、攪拌しながら、処理液を噴霧又は滴下などでシリカに付与し、所定時間、後攪拌することにより、表面処理を行うことができる。
硫黄含有シランカップリング剤の使用量は、シリカ100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは4〜15重量部である。硫黄含有シランカップリング剤の使用量が少なすぎると、ゴム組成物に配合したときの分散性や補強性の向上効果に劣る。逆に、使用量が多すぎると、コストが高く不経済である。
上記表面処理後に熱乾燥を行うことが好ましい。後乾燥することにより、シリカと硫黄含有シランカップリング剤との反応を完結させることができる。すなわち、ヘンシェルミキサーなどの混合機で攪拌しながら処理しただけでは、シリカと硫黄含有シランカップリング剤との反応が不十分な場合もあり、それを完全に反応させるために、処理後に熱乾燥を行う。また、この熱乾燥によって、酸性化合物としてのカルボン酸を蒸発させて除去することができる。なお、熱乾燥の条件としては、例えば、100〜150℃で30分〜3時間で行うことができる。また、熱乾燥中は通風することが好ましく、反応を促進することができる。
このようにして得られた表面処理シリカは、ジエン系ゴムに添加し混合することで、ゴム組成物を調製することができる。その際、該表面処理シリカでは、硫黄含有シランカップリング剤とシリカとの反応性が向上しているために、ゴム中への分散性が向上し、補強性に優れる。そのため、該表面処理シリカを配合したゴム組成物であると、その優れた分散性により低発熱性に優れるとともに、補強性が改善されることで耐摩耗性に優れる。
ジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
ジエン系ゴムに対する表面処理シリカの配合量は、特に限定されず、ゴム組成物の用途などに応じて適宜設定することができる。一般には、ジエン系ゴム100重量部に対し、5〜200重量部にて用いることができる。また、例えば、タイヤ用ゴム組成物であれば、ジエン系ゴム100重量部に対し、10〜150重量部で用いることができ、より好ましくは30〜100重量部である。
ゴム組成物には、上記の他、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、軟化剤、可塑剤、活性剤、カーボンブラック等の他の充填剤、滑剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー等の混合機を用いて混練し作成することができる。ゴム組成物の用途は、特に限定されないが、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。
該ゴム組成物をタイヤに用いる場合、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、各種空気入りタイヤのゴム部分(トレッドゴムやサイドウォールゴムなど)を構成することができる。特には、空気入りタイヤのトレッドゴムに用いることが好ましく、低燃費性と耐摩耗性に優れたタイヤを製造することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用成分の詳細]
表面処理シリカの作製に用いた各成分の詳細は以下の通りである。
・シリカ:東ソーシリカ株式会社製「ニップシールAQ」
・硫黄含有シランカップリング剤A:デグサ社製「Si75」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
・硫黄含有シランカップリング剤B:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン
・硫黄含有シランカップリング剤C:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「NXT」、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン
・エタノール:ナカライテスク株式会社製
・リン酸二水素ナトリウム二水和物:ナカライテスク株式会社製
・酢酸:ナカライテスク株式会社製
[表面処理シリカの作製]
・表面処理シリカ1(比較例)
110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーにシリカ1000gを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ1を得た。
・表面処理シリカ2(比較例)
シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した(含水率=約2重量%)。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Aを噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ2を得た。
・表面処理シリカ3(比較例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Aと、50gの蒸留水と、50gのエタノールをビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーにシリカ1000gを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ3を得た。
・表面処理シリカ4(比較例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Aと、50gの蒸留水と、50gのエタノールをビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ4を得た。
・表面処理シリカ5(比較例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Aと、50gの蒸留水と、50gのエタノールをビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、8gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を添加し混合した後、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ5を得た。
・表面処理シリカ6(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Aと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gのリン酸二水素ナトリウム二水和物をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ6を得た。
・表面処理シリカ7(実施例)
8gのリン酸二水素ナトリウム二水和物に代えて、8gの酢酸を用いた他は、表面処理シリカ6と同じ方法で、表面処理シリカ7を得た。
・表面処理シリカ8(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Aと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gのリン酸二水素ナトリウム二水和物をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続けた後、処理したシリカを取り出した。得られたシリカを、オーブンにて120℃で2時間熱処理を行い、表面処理シリカ8を得た。
・表面処理シリカ9(実施例)
8gのリン酸二水素ナトリウム二水和物に代えて、8gの酢酸を用いた他は、表面処理シリカ8と同じ方法で、表面処理シリカ9を得た。
・表面処理シリカ10(比較例)
110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーにシリカ1000gを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Bを噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ10を得た。
・表面処理シリカ11(比較例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Bと、50gの蒸留水と、50gのエタノールをビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ11を得た。
・表面処理シリカ12(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Bと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gの酢酸をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ12を得た。
・表面処理シリカ13(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Bと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gの酢酸をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続けた後、処理したシリカを取り出した。得られたシリカを、オーブンにて120℃で2時間熱処理を行い、表面処理シリカ13を得た。
・表面処理シリカ14(比較例)
110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーにシリカ1000gを入れて攪拌し、80gの硫黄含有シランカップリング剤Cを噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ14を得た。
・表面処理シリカ15(比較例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Cと、50gの蒸留水と、50gのエタノールをビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ15を得た。
・表面処理シリカ16(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Cと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gの酢酸をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続け、表面処理シリカ16を得た。
・表面処理シリカ17(実施例)
80gの硫黄含有シランカップリング剤Cと、50gの蒸留水と、50gのエタノールと、8gの酢酸をビーカーに入れて攪拌し、処理液を調製した。シリカ1000gをオーブンにて120℃で2時間乾燥した。110℃に予熱した容量20Lのヘンシェルミキサーに、上記の乾燥させたシリカを入れて攪拌し、上記の処理液を噴霧した。更に15分間攪拌を続けた後、処理したシリカを取り出した。得られたシリカを、オーブンにて120℃で2時間熱処理を行い、表面処理シリカ17を得た。
[ゴム組成物の評価1]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(重量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製した。表1の各成分の詳細は以下の通りである。
・SSBR:スチレン−ブタジエンゴム、バイエル製「VSL5025−OHM」
・BR:ブタジエンゴム、宇部興産株式会社製「BR150B」
・プロセスオイル:株式会社ジャパンエナジー製「プロセスオイルX−140」
・硫黄含有シランカップリング剤A:デグサ社製「Si75」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
・シリカ:東ソーシリカ株式会社製「ニップシールAQ」
・カーボンブラック:三菱化学株式会社製「ダイヤブラックN339」
・亜鉛華:三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1号」
・老化防止剤:住友化学株式会社製「アンチゲン6C」
・ステアリン酸:花王株式会社製「ルナックS−20」
・ワックス:日本精鑞株式会社製「OZOACE0355」
・硫黄:鶴見化学工業株式会社製「5%油入微粉末硫黄」
・加硫促進剤1:住友化学株式会社製「ソクシノールCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーD」
得られた各ゴム組成物を用いて、キャップ/ベース構造のトレッドを有するタイヤのキャップトレッドに適用し、205/65R15 94Hの空気入りラジアルタイヤを常法に従い製造し、低燃費性と耐摩耗性を評価した(使用リム:15×6.5JJ)。また、両者のバランス(耐摩耗性/低燃費性)を評価した。各評価方法は以下の通りである。
・低燃費性:空気圧230kPa、荷重450kgfとして、転がり抵抗測定用の1軸ドラム試験機にて23℃で80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定した。結果は、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、従って低燃費性に優れることを示す。
・耐摩耗性:各タイヤを2000ccのFF車に装着して、2500km毎に前後ローテーションさせながら、10000km走行後の残溝深さを測定した。残溝は4本のタイヤの平均値とし、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
・耐摩耗性/低燃費性:低燃費性と耐摩耗性のバランスの指標であり、(耐摩耗性/低燃費性)×100により算出した。この値が高いほど良好である。
Figure 2011063472
結果は表1に示す通りであり、実施例1〜4であると、シリカの分散性向上によるヒステリシスロスの低減によって、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れていた。また、補強性も改善されることで耐摩耗性にも優れていた。特に、表面処理後に熱乾燥を行った実施例3及び4では、低燃費性及び耐摩耗性に更なる向上効果がみられた。また、酸性化合物としてカルボン酸を用いた実施例4では、熱乾燥を行うことにより、無機酸を用いた実施例3に比べて、低燃費性及び耐摩耗性に更なる改善効果がみられた。
これに対し、硫黄含有シランカップリング剤Aでそのまま表面処理したシリカを用いた比較例2では、ゴム混合時に硫黄含有シランカップリング剤Aを添加した比較例1よりも低燃費性及び補強性が向上したものの、その効果は実施例に比べて明らかに不十分であった。この点、単に予備乾燥したシリカを用いて表面処理した表面処理シリカ2を使用した比較例3や、硫黄含有シランカップリング剤Aと水とエタノールを添加した処理液を用いたものの酸性化合物を添加していない表面処理シリカ3を使用した比較例4や、該処理液を予備乾燥したシリカに処理した表面処理シリカ4を使用した比較例5でも、同様であった。また、比較例6では、シリカに対する表面処理時に酸性化合物を添加し混合して得た表面処理シリカ5を用いたので、低燃費性及び耐摩耗性の改善効果が、実施例に比べて顕著に劣っており、実施例による有利な効果が示されていた。
[ゴム組成物の評価2]
バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合(重量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製した。表2の各成分について、硫黄含有シランカップリング剤Bは、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「A−1891」(3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン)であり、その他の成分は表1と同じである。
得られた各ゴム組成物を用いて、上記ゴム組成物の評価1と同様に、空気入りラジアルタイヤを作製し、低燃費性と耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す(結果は、比較例7の値を100とした指数で表示)。
Figure 2011063472
[ゴム組成物の評価3]
バンバリーミキサーを使用し、下記表3に示す配合(重量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製した。表3の各成分について、硫黄含有シランカップリング剤Cは、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製「NXT」(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン)であり、その他の成分は表1と同じである。
得られた各ゴム組成物を用いて、上記ゴム組成物の評価1と同様に、空気入りラジアルタイヤを作製し、低燃費性と耐摩耗性を評価した。結果を表3に示す(結果は、比較例10の値を100とした指数で表示)。
Figure 2011063472

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤と水とアルコールと酸性化合物を混合して処理液を調製し、予め乾燥させたシリカに前記処理液を付与して表面処理を行うことを特徴とする表面処理シリカの製造方法。
    (R(RSi−A …(1)
    (式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基又はアルキルポリエーテル基、Aは硫黄原子を含む官能基、m=1〜3、m+n=3である。)
  2. 前記酸性化合物が炭素数1〜4のカルボン酸である請求項1記載の表面処理シリカの製造方法。
  3. 前記一般式(1)中のAが、下記一般式(2)〜(4)のいずれかである請求項1又は2記載の表面処理シリカの製造方法。
    −R−S−R−Si(R(R …(2)
    −R−SH …(3)
    −R−S−CO−R …(4)
    (式中、R,Rはそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基、Rは炭素数1〜16のアルキレン基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Rは炭素数1〜18のアルキル基、xは2〜8である。)
  4. 前記表面処理後に熱乾燥を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理シリカの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた表面処理シリカ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた表面処理シリカを、ジエン系ゴムに添加し混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項6記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いて空気入りタイヤを加硫成形することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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JP2013541486A (ja) * 2011-06-02 2013-11-14 ベイジン ユニバーシティ オブ ケミカル テクノロジー シランカップリング剤変性白カーボンブラックの調合方法
JP2015101608A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物及び空気入りタイヤ
CN114031088A (zh) * 2021-12-07 2022-02-11 无锡恒诚硅业有限公司 一种白炭黑及其制备方法与应用

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