JP2011058017A - 水性錆除去剤の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族低級メルカプタンを含有する水性錆除去剤の再生方法であって、
(a)銅錆除去に用いた後の水性錆除去剤に酸を添加することにより、銅を含む沈殿を生じさせる工程1、
(b)前記沈殿を固液分離により除去する工程2、
(c)前記沈殿を除去することにより得られる液体のpHを6〜9に調整する工程3、
を含むことを特徴とする再生方法、並びに、
(A)鉄錆除去に用いた後の水性錆除去剤に、酸性リン酸エステルを含有する有機溶剤を添加・撹拌することにより有機相と水相に分画するとともに、前記有機相に鉄成分を抽出する工程1、
(B)前記有機相を除去する工程2、
を含むことを特徴とする再生方法。
【選択図】なし
Description
1. 脂肪族低級メルカプタンを含有する水性錆除去剤の再生方法であって、
(a)銅錆除去に用いた後の水性錆除去剤に酸を添加することにより、銅を含む沈殿を生じさせる工程1、
(b)前記沈殿を固液分離により除去する工程2、
(c)前記沈殿を除去することにより得られる液体のpHを6〜9に調整する工程3、
を含むことを特徴とする再生方法。
2. 前記工程1において、前記水性錆除去剤に酸を添加することによりpHを5以下にする、上記項1に記載の再生方法。
3. 前記水性錆除去剤が界面活性剤を含有し、前記工程3において、前記沈殿を除去することにより得られる液体の10〜40重量%を、銅錆除去に用いる前の水性錆除去剤と置換し、その後にpHを6〜9に調整する、上記項1に記載の再生方法。
4. 脂肪族低級メルカプタンを含有する水性錆除去剤の再生方法であって、
(A)鉄錆除去に用いた後の水性錆除去剤に、酸性リン酸エステルを含有する有機溶剤を添加・撹拌することにより有機相と水相に分画するとともに、前記有機相に鉄成分を抽出する工程1、
(B)前記有機相を除去する工程2、
を含むことを特徴とする再生方法。
5. 前記工程1において、前記水性錆除去剤のpHを4.5〜8.0に調整した後に前記有機溶剤を添加・撹拌する、上記項4に記載の再生方法。
6. 前記工程1及び前記工程2を複数回繰り返す、上記項4に記載の再生方法。
上記水性錆除去剤による銅錆除去処理は公知の方法に従って行うことが出来る。具体的には、水性錆除去剤の主成分である脂肪族低級メルカプタンの働きによって、錆である金属酸化物(銅酸化物)や金属水酸化物(銅水酸化物)を還元し(脂肪族低級メルカプタン自身は、チオール基が酸化されてジスルフィド結合を形成する)、最終的には金属錯体を形成して除去される。
(a)銅錆除去に用いた後の前記水性錆除去剤(銅含有廃液)に酸を添加することにより、銅を含む沈殿を生じさせる工程1、
(b)前記沈殿を固液分離により除去する工程2、
(c)前記沈殿を除去することにより得られる液体のpHを6〜9に調整する工程3、
の上記1〜3の工程を含む。以下に、各工程について説明する。
工程1で添加する酸としては硫酸、塩酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸などが挙げられる。工業的なコスト面を考慮すると硫酸、塩酸、硝酸などが好ましく、銅の沈殿生成の効率の点や、添加処理時における安全面を考慮すると硫酸がより好ましい。
沈殿を固液分離する方法は特に限定されないが、工程1の処理の後に液を静置する方法や、遠心分離による処理に供して分離する方法または、ろ過工程によって処理する方法などが挙げられる。処理後液を静置する方法であれば、酸を添加することで沈殿を生じさせてから、1分以上静置することが好ましい。より好ましくは5分以上、最も好ましくは30分以上である。かかる静置処理の後に、上清を分取することで、沈殿を分離することが出来る。
工程3において調整するpHは、水性錆除去剤の使用前のpHに戻すための操作であり、pHをアルカリ側に戻す工程である。この工程では、アンモニア水や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウムなどを用いてpHを調整することが好ましく、より好ましくはアンモニア水を用いて調整する。ここで、調整するpHは6.0〜9.0であることが好ましく、より好ましくは、8.0〜8.5である。
上記水性錆除去剤による鉄錆処理は公知の方法を用いて行うことが出来る。具体的には、水性錆除去剤の主成分である脂肪族低級メルカプタンの働きによって、錆となる金属酸化物(鉄酸化物)や金属水酸化物(鉄水酸化物)を還元し(脂肪族低級メルカプタン自身は、チオール基が酸化されてジスルフィド結合を形成する)、最終的には金属錯体を形成して除去される。
(A)鉄錆除去に用いた後の前記錆除去剤(鉄含有廃液)に酸性リン酸エステルを含有する有機溶剤を添加・撹拌することにより有機相と水相に分画するとともに、前記有機相に鉄成分を抽出する工程1、
(B)前記有機相を除去する工程2、
を含む。以下、各工程について説明する。
工程1にて使用する酸性リン酸エステルは、モノエステル又はジエステルのどちらでも良いが、モノエステルを用いることが好ましい。具体的な酸性リン酸モノエステルの例としては、2−エチルヘキシルホスホン酸2−エチルヘキシルエステル(PC−88A)などがあげられ、酸性リン酸ジエステルの例としては、ジ−2−エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)などが挙げられる。
銅廃液再生の実験結果1
本実施例において、銅錆除去後の廃液には、0.5重量%の濃度で銅が溶け込んでいる廃液を用いて実験を行った。この廃液に精製硫酸を滴下し、銅が100%除去されるまでpHを酸性領域に低下させて、チオグリコール酸と銅の錯体沈殿を形成させた。
続いて、上清の液体画分に有効成分がどの程度含まれるのかを確認するために、酸化還元滴定を実施した。上清をろ紙またはフィルターにてろ過した後、25%アンモニア水を添加して、pHを8.0〜8.5に調整した後に、ヨウ素を用いた酸化還元滴定法によってチオグリコール酸の残存量を測定した。表1に示す結果の通り、銅錆除去前の新液と比較して、再生液中には90%以上の有効成分が含まれていることが明らかになった。これらの有効成分などを含む水性錆除去剤は、十分に再利用可能であることが明らかになった。
鉄含有廃液に関して、水性鉄錆除去剤との化合物よりも安定度の高いFe2+錯体を形成させて、これを有機相に抽出することによって除去をおこなった。
pHが7.7の水性銅錆除去剤に0.117%の濃度で銅が溶け込んでいる廃液に、塩酸を加えてpHを6付近に設定した後に、ケロシンで希釈したPC-88と体積比1:1(10cm3:10cm3)で混合・撹拌して相分離処理を行った。更にその後、水相を取り出して、PC-88ケロシン希釈液を加えて、混合・撹拌処理を繰り返し行った。図2に示す結果のように、抽出操作が増すにつれてFe2+の抽出率が増加し、1回の抽出操作で、71.5%、2回の抽出操作で、84.9%、4回目の抽出操作で94.6%の抽出率となった。一方、再生操作後の水溶液中の硫黄濃度は、1回の抽出操作で、1.2%、2回の抽出操作で2.3%、4回の抽出操作で6.5%だけ減少した。よって、大部分の有効成分(チオグリコール酸アンモニウム)が溶液中に残存していることがわかった。
鉄廃液再生の実験結果2
分離した水相に有効成分がどの程度含まれるのかを確認するために、酸化還元滴定を実施した。その結果を表2にまとめる。表2の結果から、鉄錆除去前の新液と比較して、再生液中には70重量%以上の有効成分が含まれていることが明らかになった。このように再生された有効成分などを含む水性錆除去剤は、十分に再利用可能であることが明らかになった。
Claims (6)
- 脂肪族低級メルカプタンを含有する水性錆除去剤の再生方法であって、
(a)銅錆除去に用いた後の水性錆除去剤に酸を添加することにより、銅を含む沈殿を生じさせる工程1、
(b)前記沈殿を固液分離により除去する工程2、
(c)前記沈殿を除去することにより得られる液体のpHを6〜9に調整する工程3、
を含むことを特徴とする再生方法。 - 前記工程1において、前記水性錆除去剤に酸を添加することによりpHを5以下にする、請求項1に記載の再生方法。
- 前記水性錆除去剤が界面活性剤を含有し、前記工程3において、前記沈殿を除去することにより得られる液体の10〜40重量%を、銅錆除去に用いる前の水性錆除去剤と置換し、その後にpHを6〜9に調整する、請求項1に記載の再生方法。
- 脂肪族低級メルカプタンを含有する水性錆除去剤の再生方法であって、
(A)鉄錆除去に用いた後の水性錆除去剤に、酸性リン酸エステルを含有する有機溶剤を添加・撹拌することにより有機相と水相に分画するとともに、前記有機相に鉄成分を抽出する工程1、
(B)前記有機相を除去する工程2、
を含むことを特徴とする再生方法。 - 前記工程1において、前記水性錆除去剤のpHを4.5〜8.0に調整した後に前記有機溶剤を添加・撹拌する、請求項4に記載の再生方法。
- 前記工程1及び前記工程2を複数回繰り返す、請求項4に記載の再生方法。
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