JP2010196162A - 有機相からの金属元素の除去方法 - Google Patents

有機相からの金属元素の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留する金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)から、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物のろ過操作を必要としない処理方法で金属元素を除去することができる方法を提供する。
【解決手段】下記のアルカリ中和工程1及び酸溶解工程2を含むことを特徴とする。アルカリ中和工程:前記有機相(A)3にアルカリ水溶液4を添加して混合し、中和処理に付し、次いで、油水分離に付し、中和沈殿物の混入がない有機相を、有機相の一部、中和沈殿物及び水相からなる混合相5と分別する。酸溶解工程:前記混合相に、酸性水溶液7を添加して混合し、前記中和沈殿物を溶解処理に付し、次いで、油水分離に付し、金属元素を含む有機相8と金属元素を含む水相9とに分別する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機相からの金属元素の除去方法に関し、さらに詳しくは、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留する鉄、亜鉛、銅等の金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相から、該金属元素を除去する際に、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対してハンドリング性やろ過性の面から何かと問題があったろ過操作を全く行なわずに、しかもスクラビング液等の使用液量が少ないやり方で、金属元素を除去することができる有機相からの金属元素の除去方法に関する。
なお、ここで、前記溶媒抽出工程は、有機相を構成するアミン系抽出剤により原料水溶液中に含有される対象金属のクロロ錯イオンを抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により有機相に担持された対象金属を脱離する逆抽出段を含む。
非鉄金属の湿式製錬法においては、鉱石その他の原料から有価金属を浸出し、得られた浸出液からそれらを分離精製する種々の方法が行なわれている。例えば、ニッケルの湿式製錬法において、酸性塩化物水溶液中に含まれるニッケルとコバルトの分離は重要な技術要素であり、一般的には、ニッケルに対しコバルトが酸化されやすいことを利用した酸化中和法、或いは各種の有機抽出剤による溶媒抽出法が用いられている。このうち、ニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出法では、使用する有機抽出剤が、Cyanex272に代表される燐酸エステル系酸性抽出剤と、TNOA(Tri−n−octylamine)、TIOA(Tri−i−octylamine)等に代表されるアミン系抽出剤とに別けられるが、両者ともに優れたコバルトとニッケルの分離性能を有している。
しかしながら、一般的には、液中の金属イオン及び塩化物イオン濃度が高い塩化物水溶液の場合には、アミン系抽出剤が用いられる。
この理由としては、上記のような条件の水溶液では、コバルトはクロロ錯イオンを形成しているため、アミン系抽出剤の方が、酸性抽出剤に比べてより優れたコバルトとニッケルの分離係数を持つこと、および、抽出操作に際し中和剤を必要とする酸性抽出剤では、コスト高であり、かつクラッドを発生させずに操業することが困難であることによる。
なお、クラッドとは、溶媒抽出工程に流入又は溶媒抽出工程で生成した微粒子状の不溶解性残渣が、溶媒劣化生成物等とともに、有機相と水相の界面に集まり第三相を形成するものであり、生産効率上の重要な問題となるものである。
ところで、溶媒抽出操作において、アミン系抽出剤は、次のような特性を有している。
アミン系抽出剤は、通常、下記の化学反応式1に従って、塩酸付加することにより、十分な抽出特性を有するようになる。また、下記の化学反応式2に従ってクロロ錯イオンの抽出が行われるので、優れたコバルトとニッケルの分離特性を示す。
Figure 2010196162
この反応により、アミン(RN:)は、塩酸により塩酸付加されたアミンを生成する。
Figure 2010196162
(式中、Mは、Zn、Cu、Co等のクロロ錯イオンを形成する金属種を表す。)
なお、鉄の場合は、以下の反応が起こる。
Figure 2010196162
この反応により、Zn、Fe、Cu、Co等のクロロ錯イオンを形成する金属種が抽出され、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミンを生成する。なお、ニッケルは、クロロ錯イオンを形成しないので、抽出残液に残留して分離される。したがって、ニッケル水溶液中に、コバルトよりもクロロ錯体の形成能が高い、すなわち強く担持される金属、例えば鉄、亜鉛、銅等のクロロ錯イオンが含まれている場合には、これらの金属も抽出される。
また、上記のような金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤からのコバルトの逆抽出段では、該抽出剤を弱酸性水溶液と接触させることにより、容易に該水溶液中に脱離される。ところが、鉄、亜鉛、銅等のコバルトよりも強く担持される金属元素のクロロ錯イオンは、コバルトほど容易には脱離されない。したがって、溶媒抽出工程でアミン系抽出剤を繰り返し再利用する際には、鉄、亜鉛、銅等が次第に抽出剤中に蓄積するようになる。このため、抽出段でのアミン系抽出剤へのコバルトの担持が妨害され、終にはコバルトの抽出の大幅な低下を招くことになる。
この解決策として、例えば、鉄、亜鉛、銅等の金属のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤からこれらの金属を分離除去するスクラビング段を設けることが行われる。スクラビング段において、鉄、亜鉛、銅等の金属のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を、塩化物イオンを含まない水溶液と接触させ、該アミン系抽出剤に含まれるクロロ錯イオンを解消させる濃度にまで塩化物イオンを低減させることにより、これらの金属を分離除去することが可能であるが、そのためには、多量のスクラビング液が必要となり現実的ではない。
そのため、他の方法として、鉄、亜鉛、銅等の金属のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を、強アルカリ水溶液と接触させ、中和して抽出剤に蓄積しているクロロ錯イオンを除去する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。なお、このようなアルカリ中和による方法では、一般的には、下記の化学反応式3に従って、水酸化ナトリウム等のアルカリ液を抽出剤と接触させ、水酸化物として金属クロロ錯イオンを除去する。
Figure 2010196162
(式中、Mは、Zn、Cu等のクロロ錯イオンを形成する金属種を表す。)
なお、鉄の場合は、以下の反応が起こる。
Figure 2010196162
この方法では、鉄、亜鉛及び銅は、水酸化物沈殿物等として抽出剤から除去されるが、沈殿物形成を伴う反応であるため、危険物である有機相と水相の混合相のろ過を行う必要があり、その際、ハンドリング性及びろ過性に問題があり、そのろ過操作は手間がかかる作業となっていた。また、ろ過後の沈澱物に有機相が付着するため、有機溶媒のロスになり、その上産業廃棄物として処理する場合には環境上問題となっていた。
さらに、他の方法として、スクラビング段において、鉄、亜鉛等の金属のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を、硫酸、硝酸、燐酸イオンのいずれかを含有し、かつ塩化物イオンを実質的に含有しない水溶液と接触させて、これら金属を脱離し、その後、脱離されたアミン系抽出剤を塩化物イオン含有溶液と接触させて、アミンを塩化水素化する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
しかし、この方法の場合、このような水溶液からなる水相との接触のみでは、亜鉛等の十分な逆抽出率を得るためには、新鮮な水相を用いた多数回のスクラビングが必要とされ、スクラビング液量が増加するという問題点があった。
以上の状況から、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留する鉄、亜鉛、銅等の金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相から、該金属元素を除去する際に、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対してハンドリング性やろ過性の面から何かと問題があったろ過操作を全く行なわずに、しかもスクラビング液等の使用液量が少ないやり方で、効率的に金属元素を除去する方法が求められている。
特公平06−043620号公報(第1頁) 特開2004−107791(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留する鉄、亜鉛、銅等の金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相から、該金属元素を除去する際に、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対してハンドリング性やろ過性の面から何かと問題があったろ過操作を全く行なわずに、しかもスクラビング液等の使用液量が少ないやり方で、金属元素を除去することができる、有機相からの金属元素の除去方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)から、該金属元素を除去する方法について、鋭意研究を重ねた結果、有機相(A)を中和処理に付し、前記金属元素が脱離された有機相(B)、前記金属元素の中和沈殿物、及び水相(A)を形成し、これを油水分離に付し、有機相(B)の上澄み部分からなる前記中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、有機相(B)の一部、前記中和沈殿物及び水相(A)からなる混合相と分別するアルカリ中和工程、及び前記混合相中の中和沈殿物を溶解処理に付し、前記金属元素の一部を含む有機相(D)及び前記金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)を形成し、これを油水分離に付し、有機相(D)と水相(B)とに分別する酸溶解工程を行ったところ、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物のろ過操作を全く行なわず、しかもスクラビング液等の使用液量が少ないやり方で、金属元素を除去することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)から、該金属元素を除去する方法であって、
下記の(I)アルカリ中和工程及び(II)酸溶解工程を含むことを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
(I)アルカリ中和工程:前記有機相(A)にアルカリ水溶液を添加して混合し、中和処理に付し、前記金属元素が脱離された有機相(B)、前記金属元素の中和沈殿物、及び水相(A)を形成し、次いで、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付し、該有機相(B)の上澄み部分からなる該中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、該有機相(B)の一部、該中和沈殿物及び該水相(A)からなる混合相と分別する。
(II)酸溶解工程:前記混合相に、酸性水溶液を添加して混合し、前記中和沈殿物を溶解処理に付し、前記金属元素を含む有機相(D)及び前記金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)を形成し、次いで、該有機相(D)及び該水相(B)を油水分離に付し、該有機相(D)と該水相(B)とに分別する。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記有機相(D)は、前記アルカリ中和工程に供給し、前記有機相(A)と同時に処理することを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記有機相(A)は、ニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液中のニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出工程において、それを構成する抽出段で産出されるコバルトを担持した抽出剤から希塩酸水溶液によりコバルトを脱離する逆抽出段において産出される逆抽出された有機相であることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記溶媒抽出工程は、有機相を構成するアミン系抽出剤により酸性塩化物水溶液中に含有される金属元素のクロロ錯イオンを該抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該有機相の抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むことを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記アミン系抽出剤は、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンであることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記3級アミンは、芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合されて、有機相の全量に対し20〜40容量%含有することを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ中和工程において、アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液であり、水酸化ナトリウムの添加量は、前記有機相(A)中に含有される金属元素の全量を水酸化物沈殿物とする化学反応当量の2〜4倍であることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ中和工程において、前記有機相(A)と前記水相(A)の容量比(有機相(A)/水相(A)比)は、1.5〜6であることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、前記アルカリ中和工程において、前記有機相(C)の割合は、前記金属元素が脱離された有機相(B)の全量に対し80容量%以上であることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1の発明において、前記酸溶解工程において、前記酸性水溶液は、硫酸水溶液又は塩酸水溶液であり、該酸性水溶液の添加量は、溶解処理後のpHが0〜0.6に調整することを特徴とするの有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、前記酸溶解工程において、前記有機相(D)及び前記水相(B)の容量比(有機相(D)/水相(B)比)は、0.1〜0.3であることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11いずれかの発明において、前記金属元素は、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種であり、その合計濃度は、1〜5g/Lであることを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第1〜12いずれかの発明において、前記アルカリ中和工程において、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付す際に、油水分離器として遠心分離デカンタを使用することを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法が提供される。
本発明の有機相からの金属元素の除去方法は、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留する鉄、亜鉛、銅等の金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相から、該金属元素を除去する方法において、上記アルカリ中和工程及び酸溶解工程を行なうことにより、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対してろ過操作を必要としないやり方で金属元素を除去することができるので、ハンドリング性及びろ過性に問題を有する有機相と水相の混合相のろ過が不要であり、したがって、ろ過後の沈澱物に付着して損出する有機溶媒の発生がないのでコスト上も有利であり、その工業的価値は極めて大きい。
さらに、上記酸溶解工程で産出される有機相(D)を、上記アルカリ中和工程に供給し、有機相(A)と同時に処理すれば、該有機相(D)に含まれる有機相と金属元素の回収が行なわれるので、生産効率上より有利である。
本発明の有機相からの金属元素の除去方法の工程を表す概略図である。
以下、本発明の有機相からの金属元素の除去方法を詳細に説明する。
本発明の有機相からの金属元素の除去方法は、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)から、該金属元素を除去する方法であって、下記の(I)アルカリ中和工程及び(II)酸溶解工程を含むことを特徴とする。
(I)アルカリ中和工程:
前記有機相(A)にアルカリ水溶液を添加して混合し、中和処理に付し、前記金属元素が脱離された有機相(B)、前記金属元素の中和沈殿物、及び水相(A)を形成し、次いで、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付し、該有機相(B)の上澄み部分からなる該中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、該有機相(B)の一部、該中和沈殿物及び該水相(A)からなる混合相と分別する。
(II)酸溶解工程:
前記混合相に、酸性水溶液を添加して混合し、前記中和沈殿物を溶解処理に付し、前記金属元素を含む有機相(D)及び前記金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)を形成し、次いで、該有機相(D)及び該水相(B)を油水分離に付し、該有機相(D)と該水相(B)とに分別する。
本発明において、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)を中和処理に付し、次いで油水分離に付して、中和処理で形成された金属元素が脱離された有機相(B)の上澄み部分からなる中和沈殿物の混入がない有機相(C)を分別すること、同時に分別された有機相(B)の一部、中和沈殿物及び水相(A)からなる混合相を溶解処理に付し、中和沈殿物中の金属元素の一部を含む有機相(D)及び金属元素の大部分を含む水相(B)を形成し、次いでこれを油水分離に付して、両者を分別することが重要である。
これによって、有機相から形成した金属元素の中和沈澱物は、ろ過操作を必要としないやり方で処理され、その結果、前記有機相(A)から金属元素を効率的に除去することができる。
上記方法に用いる金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)としては、特に限定されるものではないが、塩酸付加されたアミンと金属クロロ錯イオンを担持したアミンを含有するアミン系抽出剤と希釈剤とからなるものであり、例えば、ニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液中のニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出工程において、それを構成する抽出段で産出されるコバルトを担持した抽出剤から希塩酸水溶液によりコバルトを脱離する逆抽出段において産出される逆抽出されたアミン系抽出剤を含む有機相が好ましい。
前記ニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液としては、例えば、ニッケル鉱石又はニッケル硫化物の硫酸浸出法又は塩素浸出法から産出される。なお、硫酸浸出法では、浸出液の酸性塩化物水溶液への転換が行われたものである。
前記溶媒抽出工程は、有機相を構成するアミン系抽出剤により酸性塩化物水溶液中に含有される金属クロロ錯イオンを該抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該有機相の抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むものである。
この溶媒抽出工程の抽出段では、アミン系抽出剤からなる有機相と酸性塩化物水溶液からなる水相が混合接触され、該水溶液中に含有されるコバルトのクロロ錯イオンが抽出剤上に担持され、ニッケルを抽出残液中に残留させる。この際、鉄、亜鉛、銅等のクロロ錯イオンが共存すると、抽出剤上に担持されてしまう。また、それに続く逆抽出段では、抽出段からの有機相と希塩酸水溶液からなる水相が混合接触され、有機相に担持されたコバルトを水相へ移行させて分離する。
したがって、前記金属元素としては、特に限定されるものではないが、例えばクロロ錯イオンを形成し、かつコバルトよりも強固なクロロ錯体を形成する、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。その際、その合計濃度としては、特に限定されるものではないが、1〜5g/L、より好ましくは2〜4g/Lであるものが好ましく用いられる。
上記アミン系抽出剤としては、特に限定されるものではなく、ニッケルとコバルトとの選択性に優れる3級アミンが用いられるが、この中で、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンが好ましく、TNOAがより好ましい。なお、前記3級アミンは、有機相の粘性と抽出効率から、必要により、芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合されて、有機相の全量に対し20〜40容量%含有するようにして用いることができる。
以下に、図を用いて、本発明の有機相からの金属元素の除去方法を説明する。図1は、本発明の有機相からの金属元素の除去方法の工程を表す概略図である。
図1において、まず、アルカリ中和工程Iで、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)3に、アルカリ水溶液4を添加して混合し、中和処理に付し、次いで油水分離に付し、該金属元素が脱離された有機相(B)の上澄み部分からなる中和沈殿物の混入がない有機相(C)6を、該有機相(B)の一部、中和沈殿物及び該水相(A)からなる混合相5と分別する。続いて、酸溶解工程2で、前記混合相5に、酸性水溶液7を添加して混合し、中和沈殿物を溶解処理に付し、次いで、油水分離に付し、金属元素を含む有機相(D)8及び金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)9とに分別する。さらに、必要に応じて、前記有機相(D)8は、アルカリ中和工程Iに供給され処理される。
(I)アルカリ中和工程
上記アルカリ中和工程は、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)に、アルカリ水溶液を添加して混合し、中和処理に付し、前記金属元素が脱離された有機相(B)、前記金属元素の中和沈殿物、及び水相(A)を形成し、次いで、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付し、該有機相(B)の上澄み部分からなる該中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、該有機相(B)の一部、該中和沈殿物及び該水相(A)からなる混合相と分別する工程である。
ここで、中和処理で形成された中和沈殿物は、前記有機相(B)と水相(A)との油水界面付近から、水相(A)の下部に沈降して存在するので、油水分離としては、特に限定されるものではなく、有機相(B)、金属元素の中和沈殿物及び水相(A)を静置させることにより行われる。尚、静置する方法以外に、遠心分離によって油水分離を行なっても良い。その後、油水分離の進行により、これらを分相させた後、上部に形成される有機相(B)の上澄み部分からなる中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、油水界面付近の有機相(B)、中和沈殿物及び水相(A)からなる混合相と分離して抜き出す。
上記アルカリ水溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が好ましく用いられる。なお、例えば、水酸化カルシウム水溶液又は炭酸ナトリウム水溶液では、中和処理後の油水分離の際に、中和沈澱物は有機相と水相の界面及び有機相側に多く存在するので、有機相のみを抜き取ろうとすると中和沈澱物を大量に巻き込んでしまうため、その後の有機相の処理が必要となる。
ここで、水酸化ナトリウムの添加量としては、特に限定されるものではないが、前記有機相(A)中に含有される金属元素の全量を水酸化物沈殿物とする化学反応当量の2〜4倍、より好ましくは2.5〜3.5倍であることが好ましい。すなわち、その添加量が化学反応当量の2倍未満では、金属元素の沈殿率が低く不十分である。一方、その添加量が化学反応当量の4倍を超えると、それ以上の沈殿率の上昇は得られず、水酸化ナトリウムのコスト上昇とともに、後続の酸添加量の増加に繋がる。
上記アルカリ中和工程において、有機相(A)と水相(A)の容量比(有機相(A)/水相(A)比)としては、特に限定されるものではないが、1.5〜6、より好ましくは1.5〜5であることが好ましい。なお、水相(A)の容量としては、アルカリ水溶液の添加量に当たるものである。すなわち、有機相(A)/水相(A)比が1.5未満では、有機相の容量に比べて全液量が多くなるので、大きな中和槽を必要とするため好ましくない。一方、有機相(A)/水相(A)比が6を超えると、有機相の容量に対して水相の容量が小さくなるので、金属元素を充分に脱離するには滞留時間が長くなるため好ましくない。
上記アルカリ中和工程において、有機相(C)の割合としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属元素が脱離された有機相(B)の全量に対し80容量%以上、より好ましくは85容量%以上であることが好ましい。すなわち、有機相(C)の割合が有機相(B)の全量に対し80容量%未満では、次工程の酸溶解工程において金属元素の回収効率が低下する。ここで、有機相(C)の割合としては、多いほど望ましいので、特に油水界面近傍の中和沈殿物の混入がないような範囲で選ばれる。
上記アルカリ中和工程で用いる設備としては、特に限定されるものではなく、中和処理においては、撹拌により有機相とアルカリ水溶液が混合接触され、また、油水分離においては、静置して有機相と水相が分離されるものが用いられるが、この中で、例えば、撹拌により混合接触し、その後静置して油水分離する機能を備えた、一般的に工業化されているミキサーセトラー方式等の溶媒抽出装置を用いて行われることができる。
尚、油水分離器として、一般的に工業化されている遠心分離デカンタを使用すれば、前記静置の時間を要することなく、連続的に操業を行なうことが可能で、その結果、操業率を向上させることができるので、より好ましい。遠心分離デカンタの仕様や条件については、処理を必要とする液の総量や、中和沈殿物の生成量等によって調整すればよい。
上記アルカリ中和工程で得られる有機相(C)は、金属元素が脱離され、かつ中和沈殿物の混入がない清澄な有機相であるので、必要により、抽出段での再利用のため活性化(再生)処理に付される。
(II)酸溶解工程
上記酸溶解工程は、上記アルカリ中和工程で得られる混合相に、酸性水溶液を添加して混合し、前記中和沈殿物を溶解処理に付し、前記金属元素を含む有機相(D)及び前記金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)を形成し、次いで、該有機相(D)及び該水相(B)を油水分離に付し、該有機相(D)と該水相(B)とに分別する工程である。
ここで、溶解された金属元素の一部は、アミン系抽出剤に担持されて有機相(D)を形成する。しかしながら、有機相の最大抽出濃度まで抽出されたとしても、上記アルカリ中和工程で有機相の80容量%以上を抜き取っているため、再抽出量を抑制することができる。例えば、有機相の最大抽出濃度としては、例えば有機相中のアミン系抽出剤濃度が30容量%のときには、亜鉛量に換算すると0.34mol/Lまでしか再抽出されないことになる。
また、油水分離としては、特に限定されるものではなく、有機相(D)及び金属元素を含む酸性水溶液を静置させることにより行われる。その後、油水分離の進行により、これらを分相させた後、上部に形成される有機相(D)を、金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)と分離して抜き出す。
上記酸性水溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸水溶液又は塩酸水溶液であることが好ましい。ここで、上記酸性水溶液の添加量としては、特に限定されるものではないが、溶解処理後の液のpHが0〜0.6、より好ましくは0〜0.5に調整することが好ましい。すなわち、そのpHが0未満では、添加する酸性水溶液のpHが大変低く、作業面で強酸の取扱いに留意が必要であり、設備面でも腐食に留意が必要となる。一方、そのpHが0.6を超えると、中和沈殿物を完全に溶解することができない。
上記酸溶解工程において、前記有機相(D)と前記水相(B)の容量比(有機相(D)/水相(B)比)としては、特に限定されるものではないが、0.1〜0.3であることが好ましい。すなわち、その有機相(D)/酸性水溶液比が0.1未満では、大きな溶解処理槽が必要となる。一方、その有機相(D)/酸性水溶液比が0.3を超えると、前記有機相(C)の前記有機相(B)全量に対する割合が高くなればなるほど、酸性水溶液の添加可能な容量に制限が出てくる。
上記酸溶解工程で用いる設備としては、特に限定されるものではなく、溶解処理においては、撹拌により混合相と酸性水溶液が混合接触され、また、油水分離においては、静置して有機相と水相が分離されるものが用いられるが、この中で、例えば、撹拌により混合接触し、その後静置して油水分離する機能を備えた、一般的に工業化されているミキサーセトラー方式等の溶媒抽出装置を用いて行われることができる。
上記酸溶解工程で得られる有機相(D)は、溶解された金属元素の一部を担持しているので、有機物及び金属元素の処理が不可欠であるので、その処理方法としては、焼却等による除害処理が行われるが、必要により、上記(I)の工程に供給することができる。これにより、有機相(D)に含まれる有機相の再利用と金属元素の回収を行うことができる。なお、金属元素を含む酸性水溶液は、別途、排水工程等で容易に処理される。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
(I)アルカリ中和工程
まず、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出された、亜鉛、鉄及び銅のクロロ錯イオンを担持したトリ−ノルマル−オクチルアミンを含む有機相(A)(なお、TNOA濃度は、30容量%であり、亜鉛、鉄及び銅の分析値は、表1に示す。)に、濃度200g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合し、中和処理に付し、金属元素が脱離された有機相(B)、中和沈殿物、及び水相(A)を形成した。なお、有機相(A)と水相(A)の容量比(有機相(A)/水相(A)比)は、4.8であった。
次いで、形成された有機相(B)、中和沈殿物及び水相(A)を、15分間静置して油水分離に付し、続いて、有機相(B)の上澄み部分からなる有機相(C)を有機相(B)の全量に対し95容量%を抜取り、有機相(B)の一部、中和沈殿物及び水相(A)からなる混合相と分別した。
ここで、得られた有機相(C)の亜鉛、鉄及び銅の含有量を分析した。結果を表1に示す。
(II)酸溶解工程
上記アルカリ中和工程で得られた有機相(B)の5容量%、中和沈殿物及び水相(A)からなる混合相中に、濃度70質量%の硫酸水溶液を滴下し混合し、中和沈澱物を全量を溶解し、有機相(D)及び水相(B)を形成し、次いで、油水分離に付し、有機相(D)と該水相(B)とに分別した。
なお、このときの溶解処理後の液のpHは、0.57であり、有機相(D)及び水相(B)の容量比(有機相(D)/水相(B)比)は、0.18であった。
ここで、得られた有機相(D)の亜鉛、鉄及び銅の含有量を分析した。結果を表1に示す。また、得られた水相(B)の亜鉛、鉄及び銅の含有量を分析し、亜鉛、鉄及び銅の水相中への除去率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2010196162
表1より、アルカリ中和工程で得られた有機相(C)から、亜鉛、鉄及び銅が除去されていること、及び、酸溶解工程で得られた有機相(D)の亜鉛、鉄及び銅の合計濃度は、0.38mol/Lであり、前述した計算から求められる亜鉛の最大抽出量0.34mol/Lと比較すると、ほぼ近い値となっており、再抽出される金属元素の抽出量が制限されていることが分かる。すなわち、有機相(D)の量は、有機相(B)、すなわち有機相(A)の5容量%であるので、有機相(A)1L中の亜鉛、鉄及び銅の合計量0.069molに対し、有機相(D)50mL中の亜鉛、鉄及び銅の合計量は、0.38×0.05=0.019molとなる。
Figure 2010196162
表2より、亜鉛、鉄及び銅の70%以上を水相中へ除去することができることが分かる。
(実施例2)
アルカリ中和工程において油水分離する際に、静置するのではなく、遠心分離デカンタ(巴工業社製、PTM340MBDV型)を使用した以外は、実施例1と同様の操業を行なったところ、表1、表2と同様の結果が得られた。実施例1では油水分離のために15分の静置時間が必要だったが、遠心分離デカンタを使用することによって、有機相と水相・澱物とを連続的に分離しながら操業することが可能となり、操業効率が向上した。
以上より、実施例1〜2では、アルカリ中和工程及び酸溶解工程で、本発明の方法に従って行われたので、有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対して全くろ過操作を必要としないやり方で処理し、その結果、金属元素を除去することができることが分かる。
以上より明らかなように、本発明の方法は、溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、脱離されずに残留された金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相から、上記アルカリ中和工程及び酸溶解工程により、該有機相から形成した金属元素の中和沈澱物に対して全くろ過操作を必要としないやり方で処理し、該金属元素を除去することができる。そのため、ハンドリング性及びろ過性に問題を有する有機相と水相の混合相のろ過が不要であり、特に、ニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液中のニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出工程において、それを構成する抽出段で産出されるコバルトを担持した抽出剤から希塩酸水溶液によりコバルトを脱離する逆抽出段において産出される逆抽出された有機相から、亜鉛、鉄及び銅を除去する方法として好適である。
1 アルカリ中和工程
2 酸溶解工程
3 有機相(A)
4 アルカリ水溶液
5 混合相
6 有機相(C)
7 酸性水溶液
8 有機相(D)
9 水相(B)

Claims (13)

  1. 溶媒抽出工程を構成する逆抽出段から産出される、金属元素のクロロ錯イオンを担持したアミン系抽出剤を含む有機相(A)から、該金属元素を除去する方法であって、
    下記の(I)アルカリ中和工程及び(II)酸溶解工程を含むことを特徴とする有機相からの金属元素の除去方法。
    (I)アルカリ中和工程:前記有機相(A)にアルカリ水溶液を添加して混合し、中和処理に付し、前記金属元素が脱離された有機相(B)、前記金属元素の中和沈殿物、及び水相(A)を形成し、次いで、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付し、該有機相(B)の上澄み部分からなる該中和沈殿物の混入がない有機相(C)を、該有機相(B)の一部、該中和沈殿物及び該水相(A)からなる混合相と分別する。
    (II)酸溶解工程:前記混合相に、酸性水溶液を添加して混合し、前記中和沈殿物を溶解処理に付し、前記金属元素を含む有機相(D)及び前記金属元素を含む酸性水溶液からなる水相(B)を形成し、次いで、該有機相(D)及び該水相(B)を油水分離に付し、該有機相(D)と該水相(B)とに分別する。
  2. 前記有機相(D)は、前記アルカリ中和工程に供給し、前記有機相(A)と同時に処理することを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  3. 前記有機相(A)は、ニッケルとコバルトとともに微量のその他の金属を含有する酸性塩化物水溶液からなる浸出液中のニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出工程において、それを構成する抽出段で産出されるコバルトを担持した抽出剤から希塩酸水溶液によりコバルトを脱離する逆抽出段において産出される逆抽出された有機相であることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  4. 前記溶媒抽出工程は、有機相を構成するアミン系抽出剤により酸性塩化物水溶液中に含有される金属元素のクロロ錯イオンを該抽出剤上に担持する抽出段と、それに続く、水相を形成する水溶液により該有機相の抽出剤上に担持されたコバルトを脱離する逆抽出段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  5. 前記アミン系抽出剤は、トリ−ノルマル−オクチルアミン(TNOA)、又はトリ−イソ−オクチルアミン(TIOA)から選ばれる少なくとも1種の3級アミンであることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  6. 前記3級アミンは、芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素からなる希釈剤と混合されて、有機相の全量に対し20〜40容量%含有することを特徴とする請求項5に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  7. 前記アルカリ中和工程において、アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液であり、水酸化ナトリウムの添加量は、前記有機相(A)中に含有される金属元素の全量を水酸化物沈殿物とする化学反応当量の2〜4倍であることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  8. 前記アルカリ中和工程において、前記有機相(A)と前記水相(A)の容量比(有機相(A)/水相(A)比)は、1.5〜6であることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  9. 前記アルカリ中和工程において、前記有機相(C)の割合は、前記金属元素が脱離された有機相(B)の全量に対し80容量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  10. 前記酸溶解工程において、前記酸性水溶液は、硫酸水溶液又は塩酸水溶液であり、該酸性水溶液の添加量は、溶解処理後のpHが0〜0.6に調整することを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  11. 前記酸溶解工程において、前記有機相(D)及び前記水相(B)の容量比(有機相(D)/水相(B)比)は、0.1〜0.3であることを特徴とする請求項1に記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  12. 前記金属元素は、亜鉛、鉄又は銅から選ばれる少なくとも1種であり、その合計濃度は、1〜5g/Lであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の有機相からの金属元素の除去方法。
  13. 前記アルカリ中和工程において、該有機相(B)、該中和沈殿物及び該水相(A)を油水分離に付す際に、油水分離器として遠心分離デカンタを使用することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の有機相からの金属元素の除去方法。
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