JP2015157992A - 有機溶媒中の不純物除去方法 - Google Patents

有機溶媒中の不純物除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる有機溶媒中の不純物除去方法を提供する。
【解決手段】不純物を含む有機溶媒に中和剤を添加して、中和澱物を生成する中和工程と、中和澱物を含む有機溶媒を、中和澱物を含む水相と、有機相とに油水分離する油水分離工程とを備え、中和工程において、有機溶媒に水を添加する。中和工程において有機溶媒に水を添加すると、有機溶媒が薄まることで粘度が低下し、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機溶媒中の不純物除去方法に関する。さらに詳しくは、溶媒抽出に用いられる有機溶媒に含まれる不純物を除去する不純物除去方法に関する。
硫化物から目的金属を回収する湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケルマットやMS(ミックスサルファイド:ニッケルとコバルトの混合硫化物)を塩素浸出し、得られた浸出液から不純物を除去する浄液工程などを経て、電解工程で電気ニッケルや電気コバルトを回収する。
図1に示すように、浸出工程から得られた浸出液は、セメンテーション工程において銅が除去され、脱鉄工程において鉄やヒ素などの不純物が除去された後、コバルト溶媒抽出工程に送られる。コバルト溶媒抽出工程では、溶媒抽出によりニッケルとコバルトとを分離し、塩化ニッケル溶液(NiCl2)と塩化コバルト溶液(CoCl2)とを得る。塩化ニッケル溶液は、さらに不純物が除去され高純度となってニッケル電解工程に送られる。ニッケル電解工程では電解採取により電気ニッケルが製造される。一方、塩化コバルト溶液は、さらに不純物が除去され高純度となってコバルト電解工程に送られる。コバルト電解工程では電解採取により電気コバルトが製造される。
図2に、コバルト溶媒抽出工程の詳細を示す。なお、図2において破線は有機溶媒の流れを意味する。コバルト溶媒抽出工程には抽出始液として脱鉄工程の処理後液が供給される。抽出始液は、まず抽出段に供給され溶媒抽出が行われる。抽出段では有機相にコバルトが抽出される。抽出後の水相は塩化ニッケル溶液として後工程に送られる。抽出段の有機相は洗浄段に送られ、有機溶媒中に微量に含まれる塩化ニッケルを除去した後、逆抽出段に送られる。逆抽出段では、希塩酸等の弱酸性水溶液を用いて有機溶媒に抽出されたコバルトを水相側に逆抽出し、塩化コバルト溶液を生成する。生成された塩化コバルト溶液は後工程に送られる。
抽出段では、有機相に、コバルトとともに不純物として亜鉛や鉄、銅も抽出される。コバルトは逆抽出段で水相に逆抽出されるが、不純物は逆抽出されずに有機溶媒中に残る。有機溶媒の不純物濃度が上昇すると、抽出段におけるコバルトの抽出量が減少したり、塩化ニッケル溶液や塩化コバルト溶液に不純物が溶出したりするという問題が生じる。そこで、逆抽出後の有機溶媒は脱亜鉛工程に送られ、亜鉛、鉄、銅などの不純物が除去される。
脱亜鉛工程では、逆抽出後の有機溶媒に中和剤を添加して中和することで、有機溶媒中の不純物を中和澱物とする。つぎに、中和澱物を含む有機溶媒をデカンターにより重液(中和澱物を含む水相)と軽液(中和澱物が含まれない有機相)とに分離する(例えば、特許文献1)。軽液は、不純物が除去された有機溶媒として活性化工程に送られ、酸性水溶液を添加された後、抽出段に繰り返される。
脱亜鉛工程においてデカンターを連続操業させると、重液への有機溶媒のリークおよび軽液への中和澱物のリークが徐々に増加し、分相性が低下して分離不良が生じる場合がある。そうすると、有機溶媒と不純物とを効率よく分離できなくなるという問題がある。
デカンターの分相性を向上させるためには、処理量を低下させ、十分な処理時間(滞留時間)を確保すればよいことが知られている。しかし、処理量を低下させると、通常操業に必要な処理量を維持できなくなり、操業効率が悪くなるという問題がある。デカンターの数を増やせば、通常操業に必要な処理量を維持しつつデカンター一台当たりの処理量を低下できるが、設備コストが増加するという問題がある。
特許文献2には、汚泥を固液分離するスクリュデカンタ型遠心分離機において、排出口近傍に加熱装置を設けることにより、ボウル内壁に堆積する固形分を加熱しながら固液分離することが開示されている。しかし、有機溶媒と中和澱物とを分離することは開示されていない。
特開2010−196162号公報 特開平11−253705号公報
本発明は上記事情に鑑み、有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる有機溶媒中の不純物除去方法を提供することを目的とする。
第1発明の有機溶媒中の不純物除去方法は、不純物を含む有機溶媒に中和剤を添加して、中和澱物を生成する中和工程と、前記中和澱物を含む有機溶媒を、該中和澱物を含む水相と、有機相とに油水分離する油水分離工程と、を備え、前記中和工程において、前記有機溶媒に水を添加することを特徴とする。
第2発明の有機溶媒中の不純物除去方法は、第1発明において、前記中和工程において、前記有機溶媒に温水を添加することを特徴とする。
第1発明によれば、中和工程において有機溶媒に水を添加すると、有機溶媒が薄まることで粘度が低下し、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
第2発明によれば、中和工程において有機溶媒に温水を添加すると、有機溶媒が薄まり昇温することで粘度が低下し、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
湿式製錬プロセスの全体工程図である。 コバルト溶媒抽出工程の詳細工程図である。 脱亜鉛工程の詳細工程図である。 不純物除去設備の説明図である。 有機溶媒のpHと中和澱物粒径との関係を示すグラフである。 有機溶媒の界面高さの経時変化を示すグラフである。 有機溶媒のpHと不純物除去率との関係を示すグラフである。 有機溶媒の鉄濃度と粘度との関係を示すグラフである。 (A)図はデカンター差速に対する軽液への中和澱物混入量を示すグラフであり、(B)図はデカンター差速に対する重液への有機溶媒混入量を示すグラフである。 実施例1の、操業条件および測定結果を示すグラフである。 比較例1の、操業条件および測定結果を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
前述のごとく、湿式製錬プロセスのコバルト溶媒抽出工程には、逆抽出後の有機溶媒に含まれる亜鉛、鉄、銅などの不純物を除去するために脱亜鉛工程が設けられている。本発明の一実施形態に係る有機溶媒中の不純物除去方法は、このような脱亜鉛工程に好ましく適用される。
ここで、有機溶媒は特に限定されないが、ニッケルとコバルトを分離する溶媒抽出法では、有機抽出剤として、Cyanex272に代表される燐酸エステル系酸性抽出剤や、TNOA(Tri-n-octylamine)、TIOA(Tri-i-octylamine)等に代表されるアミン系抽出剤が用いられる。一般的には、液中の金属イオンおよび塩化物イオン濃度が高い塩化物水溶液の場合には、アミン系抽出剤が好ましく用いられる。また、アミン系抽出剤として、ニッケルとコバルトとの選択性に優れる3級アミンを用いる場合には、必要により芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素からなる希釈剤が混合される。
図3に、脱亜鉛工程の詳細工程を示す。なお、図3において破線は有機溶媒の流れを意味する。
逆抽出後の有機溶媒は中和工程に送られる。中和工程では、不純物を含む有機溶媒に中和剤を添加して中和することで、有機溶媒中の不純物から中和澱物を生成する。ここで、中和剤は特に限定されないが、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液が用いられ、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。
中和工程後の有機溶媒は油水分離工程に送られる。油水分離工程では、中和殿物を含む有機溶媒を重液と軽液とに油水分離する。ここで、重液とは中和澱物を含む水相であり、軽液とは中和澱物が含まれない有機相である。
油水分離工程では、デカンターやセトラー等の油水分離装置が用いられる。連続操業が可能であることからデカンターが好ましく用いられる。デカンターとしては、例えばスクリュデカンタ型遠心分離機が挙げられる。スクリュデカンタ型遠心分離機は、一端が円錐形に形成された外筒と、外筒の内部において外筒と同軸に設けられたスクリューとからなる。外筒とスクリューが同方向に高速回転することで、外筒の内部に供給された有機溶媒を遠心力により重液と軽液とに分離させる。また、外筒とスクリューは回転速度に差があり、外筒よりもスクリューの回転速度を遅くすることで重液をスクリューで掻き取り、重液と軽液とを別々に排出することができる。
油水分離工程から排出された重液は酸溶解工程に送られる。酸溶解工程では、重液に酸性水溶液を添加することで重液に含まれる中和澱物を溶解する。その後、重液を有機相と水相とに油水分離する。
酸溶解工程から得られる有機相は、溶解された金属元素の一部が担持されている。有機相を中和工程に繰り返すことで、有機相に含まれる有機溶媒の再利用と金属元素の回収が行われる。酸溶解工程から得られる水相は、排水処理される。
油水分離工程から排出された軽液は、不純物が除去された有機溶媒として活性化工程に送られ、酸性水溶液を添加された後、抽出段に繰り返される(図2参照)。脱亜鉛工程では、以上の処理により有機溶媒中の不純物を中和澱物として除去する。
ところで、脱亜鉛工程においてデカンターを連続操業させると、重液への有機溶媒のリークおよび軽液への中和澱物のリークが徐々に増加し、分相性が低下して分離不良が生じる場合がある。前述のごとく、重液に混入した有機溶媒は中和工程に繰り返されるので、分相性が低下すると中和工程においてpHが低下したり、脱亜鉛工程内で有機溶媒が循環して負荷が増加したりするという問題がある。また、軽液に中和澱物が混入すると、有機溶媒中の不純物を十分に除去できなくなるという問題がある。
本実施形態は、中和工程において、有機溶媒に水を添加することで、分相性を高めるところに特徴を有する。なお、有機溶媒に添加する水は、冷水よりも温水の方が好ましい。
(原理)
つぎに、上記の水添加により分相性が高まる原理を説明する。
遠心力場におけるストークスの式は下記数1で与えられる。ここで、vは粒子の終端速度、Dは粒径、ρpは粒子の密度、ρfは流体の密度、ηは流体の粘度である。また、rは粒子の旋回半径、ωは角速度であり、rω2は遠心加速度を意味する。
ストークスの式から分かるように、有機溶媒中の中和澱物が水相に沈降する速度vは、中和澱物の粒径Dと有機溶媒の粘度ηに依存する。より詳細には、中和澱物の粒径Dが大きいほど沈降速度vが速くなり、中和澱物の粒径Dが小さいほど沈降速度vが遅くなる。また、有機溶媒の粘度ηが低いほど沈降速度vが速くなり、有機溶媒の粘度ηが高いほど沈降速度vが遅くなる。
中和澱物の沈降速度vが速いほど、短時間で中和澱物が水相に沈降する。そのため、デカンターの処理時間(滞留時間)を長くしなくても、中和澱物が十分に水相に沈降し、分相性を高めることができる。すなわち、中和澱物の粒径Dを大きくすれば沈降速度vが速くなり分相性を高めることができる。また、有機溶媒の粘度ηを低くすれば沈降速度vが速くなり分相性を高めることができる。
本願発明者は、有機溶媒のpHを調整することで中和澱物の粒径Dを大きくできるという知見を得ている。これを利用して、有機溶媒のpHを調整し、中和澱物の粒径Dを大きくすることで、分相性を高めることができる。
また、有機溶媒を昇温すると粘度ηが低下することが知られている。これを利用して、有機溶媒の温度を調整し、有機溶媒の粘度ηを低下させることで、分相性を高めることができる。
さらに、有機溶媒に水を添加すると、有機溶媒が薄まることで粘度ηが低下する。これを利用して、有機溶媒に水を添加し、有機溶媒の粘度ηを低下させることで、分相性を高めることができる。
(pH調整)
つぎに、pH調整の詳細を説明する。
図5に、有機溶媒のpHと中和澱物の粒径との関係をビーカー試験により評価した結果を示す。図5より、有機溶媒が中性に近いほど中和澱物の粒径が大きいことが分かる。この理由は、水酸化鉄(Fe(OH)3)の等電点が6.7であるため、この等電点に近いpHであるほど中和澱物粒子同士が凝集し、中和澱物の粒径が大きくなるためであると考えられる。
図6に、有機溶媒の界面高さの経時変化を示す。ここで、界面高さの測定は以下のように行った。まず、中和工程から排出された有機溶媒をサンプリングし、メスシリンダに35cmの高さまで入れる。メスシリンダ内の有機溶媒は、上部の有機相と、下部の混合相(水、有機溶媒および中和澱物が混在する相)とに分相する。有機相と混合相との界面におけるメスシリンダの目盛を読み取ることで、界面高さを測定する。
図6より、有機溶媒のpHが中性に近いほど短時間で界面高さが低くなることが分かる。これより、有機溶媒のpHが中性に近いほど中和澱物の沈降速度が速いといえる。
以上より、中和工程において、有機溶媒のpHを9.15以下、より好ましくは9.0以下に調整することが好ましいことが分かった。
ところで、有機溶媒のpHが低すぎると、生成された中和澱物が再溶解する可能性がある。そのため、中和工程において、有機溶媒のpHを7.95以上、より好ましくは8.3以上に調整することが好ましい。
図7に、有機溶媒のpHと不純物除去率との関係を評価した結果を示す。図7より、pH8.3〜11.2の範囲において不純物除去率に相違がないことが確認される。すなわち、有機溶媒のpHが中性に近くても中和澱物を生成でき、十分に不純物を除去できることが確認された。
以上のように、中和工程において有機溶媒のpHを7.95〜9.15、好ましくは8.3〜9.0に調整すると、中和澱物の粒径が大きくなり、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ、油水分離工程において有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
(温度調整)
つぎに、温度調整の詳細を説明する。
図8に、有機溶媒の鉄濃度と粘度との関係を評価した結果を示す。この試験は、中和工程から排出された有機溶媒をサンプリングし、恒温槽で有機溶媒の温度を30℃または50℃に変化させ、その粘度を測定した。粘度の測定にはTOKIMEC社製B形粘度計を用いた。
図8より、有機溶媒の温度を高くするほど粘度が低下することが分かる。この理由は、有機溶媒を昇温することによって有機溶媒の分子運動が活発になり、分子間力による抵抗が低下するためであると考えられる。
以上より、中和工程において、有機溶媒の温度を50℃以上に調整することが好ましいことが分かった。
ところで、有機溶媒の温度が高すぎると発火する恐れがある。そのため、中和工程において、有機溶媒の温度を60℃以下に調整することが好ましい。
また、図8より、有機溶媒の鉄濃度が1.5g/L以上の場合に、有機溶媒の昇温の効果が高いことが分かる。すなわち、液温30℃の条件において、鉄濃度1.2〜1.5g/Lの範囲では粘度が約20mPa・sであるが、鉄濃度1.5g/Lを境に粘度が急激に上昇し、鉄濃度1.6g/Lでは粘度が225mPa・sとなる。一方、液温50℃の条件において、鉄濃度が1.2〜1.5g/Lの範囲では粘度が約10mPa・sであり、鉄濃度1.5g/Lを超えると粘度が上昇するが、鉄濃度1.6g/Lでは粘度が75mPa・sである。有機溶媒の鉄濃度が1.5g/L以上の場合、温度を30℃から50℃に昇温すると、大幅に粘度を低下させることができる。このことから、有機溶媒の鉄濃度が1.5g/L以上の場合にのみ、有機溶媒の温度を50℃〜60℃に調整するようにしてもよい。
以上のように、中和工程において有機溶媒の温度を50℃〜60℃に調整すると、有機溶媒の粘度が低下し、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ、油水分離工程において有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
また、有機溶媒の鉄濃度が1.5g/L以上の場合に、有機溶媒の温度を50℃〜60℃に調整すると、有機溶媒の粘度が低下する効果が大きい。
なお、有機溶媒の温度調整の方法は特に限定されないが、例えば蛇管を用いて行うことができる。
(水添加)
つぎに、水添加の詳細を説明する。
中和工程において有機溶媒に水を添加すると、有機溶媒が薄まることで粘度が低下する。そうすると、温度調整の場合と同様に、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなる。そのため、分相性を高めることができ、油水分離工程において有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
有機溶媒に添加する水は、冷水よりも温水の方が好ましい。中和工程において有機溶媒に温水を添加すると、有機溶媒が薄まる効果に加えて、有機溶媒を昇温する効果があり、両方の効果により有機溶媒の粘度が低下する。そのため、中和澱物が水相に沈降する速度がより速くなるからである。
以上のpH調整、温度調整、水添加を行うことにより、油水分離工程において有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。その結果、油水分離装置の処理時間(滞留時間)を長くしたり、油水分離装置の数を増やしたりすることなく、効率よく脱亜鉛工程を行うことができ、操業効率が良くなる。
以上のpH調整、温度調整、水添加は、それぞれ単独で行ってもよいし、いずれかを組み合わせて同時に行ってもよい。
(不純物除去設備)
以下に説明する不純物除去設備Aを用いれば、有機溶媒の温度調整と水添加とを同時に行うことができる。
図4に示すように、不純物除去設備Aは、中和槽1と、中和中継槽2と、油水分離装置3とを備えている。中和槽1および中和中継槽2により上記中和工程の処理が行われ、油水分離装置3により上記油水分離工程の処理が行われる。
中和槽1には、不純物を含む有機溶媒および中和剤が供給されている。中和槽1内で有機溶媒と中和剤を混合することにより、有機溶媒が中和され、有機溶媒中の不純物から中和澱物が生成される。
中和槽1から排出された中和澱物を含む有機溶媒は中和中継槽2に供給される。中和中継槽2は、中和槽1からの有機溶媒の排出量と、油水分離装置3への有機溶媒の供給量を調整するために用いられる。
中和中継槽2から排出された中和殿物を含む有機溶媒は、デカンター等の油水分離装置3に供給され、重液と軽液とに油水分離される。
不純物除去設備Aには蛇管4が備えられている。蛇管4の始端は温水タンク5に接続されており、温水タンク5から供給される温水が蛇管4の内部に通される。この蛇管4は本体部(螺旋状に形成された部分)が中和槽1に設けられている。また、蛇管4の末端である排水口は中和中継槽2の内部に配置されている。
蛇管4の本体部が中和槽1に設けられているので、蛇管4を通る温水の熱が中和槽1内の有機溶媒に伝達される。そのため、中和槽1内の有機溶媒を昇温でき、粘度を低下させることができる。また、蛇管4の排水口が中和中継槽2に配置されているので、蛇管4を通った温水が中和中継槽2内の有機溶媒に添加される。そのため、有機溶媒を薄めて粘度を低下させることができる。
以上のように、有機溶媒の温度調整と水添加とを同時に行い、有機溶媒の粘度を低下させることができる。その結果、中和澱物が水相に沈降する速度が速くなり、分相性を高めることができ油水分離装置3において有機溶媒と不純物とを効率よく分離できる。
(デカンター差速)
油水分離装置としてデカンターを用いる場合には、デカンター差速を調整することによっても、重液と軽液の分離不良を改善できる。ここで、デカンター差速とは、デカンターの外筒とスクリューとの回転数の差を意味する。
図9(A)にデカンター差速に対する軽液への中和澱物混入量の測定結果を、図9(B)にデカンター差速に対する重液への有機溶媒混入量の測定結果を示す。図9(A)より、デカンター差速を大きくするほど軽液への中和澱物混入量が減少することが分かる。これはデカンター差速が大きいほど、スクリューによる掻き出し速度が速くなるからである。一方、図9(B)より、デカンター差速を小さくするほど重液への有機溶媒混入量が減少することが分かる。
以上の結果から、軽液への中和澱物混入量が多い場合には、デカンター差速を大きくするように調整すれば軽液への中和澱物混入量を低減できることが分かる。また、重液への有機溶媒混入量が多い場合には、デカンター差速を小さくするように調整すれば重液への有機溶媒混入量を低減できることが分かる。現実には、軽液への中和澱物混入量および重液への有機溶媒混入量が許容範囲となるように、デカンター差速が調整される。
つぎに、実施例を説明する。
以下の実施例1および比較例1は、湿式製錬プロセスのコバルト溶媒抽出工程に設けられた脱亜鉛工程における実操業の結果である。油水分離装置としては、デカンター(横型遠心分離:巴工業製PTM340MBDV)を用いた。
(実施例1)
図10の5月12日(5/12)から5月14日(5/14)の期間が実施例1の結果である。
実施例1では、図4に示す不純物除去設備Aを用いて操業を行った。図10(A)に示すように、中和槽1内の有機溶媒の温度を、蛇管4を用いて54〜56℃に調整した。また、蛇管4から排出された温水を中和中継槽2に添加した。
その結果、図10(B)に示すように、重液への有機溶媒のリーク量(有機リーク高さ)が約1cmに抑えられ、有機溶媒の不純物濃度が約2.0g/Lに抑えられた。これより、有機溶媒の温度調整および水添加により、有機溶媒と不純物とを効率よく分離できることが確認された。
(比較例1)
図11が比較例1の結果である。
比較例1では、図11(A)に示すように、中和槽1内の有機溶媒のpHを9.0〜10.6に調整した。また、中和槽1内の有機溶媒の温度は40〜50℃であった。
その結果、図11(B)に示すように、重液への有機溶媒のリーク量(有機リーク高さ)が1〜27cmの間で変動した。また、有機溶媒の不純物濃度が約2.5〜3.1g/Lであり、徐々に増加した。デカンターにおける分離不良を改善するために、デカンターへの有機溶媒の流量(逆抽出後有機流量)を低減する必要があり、5〜15L/minの間で調整する必要があった。
A 不純物除去設備
1 中和槽
2 中和中継槽
3 油水分離装置
4 蛇管
5 温水タンク

Claims (2)

  1. 不純物を含む有機溶媒に中和剤を添加して、中和澱物を生成する中和工程と、
    前記中和澱物を含む有機溶媒を、該中和澱物を含む水相と、有機相とに油水分離する油水分離工程と、を備え、
    前記中和工程において、前記有機溶媒に水を添加する
    ことを特徴とする有機溶媒中の不純物除去方法。
  2. 前記中和工程において、前記有機溶媒に温水を添加する
    ことを特徴とする請求項1記載の有機溶媒中の不純物除去方法。
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