JP2019108594A - 有機相に含まれる水相の液滴を除去する方法 - Google Patents

有機相に含まれる水相の液滴を除去する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒を用いた抽出処理後の有機相に含まれる微細な水相の液滴を効果的にかつ効率的に除去することができる方法を提供する。【解決手段】本発明に係る方法は、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相に含まれる水相の液滴を除去する方法であって、有機相を、パルプが充填されている配管に通液させることを特徴としている。ここで、この方法は、抽出段と、抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段とでの3つの処理を含む溶媒抽出方法における、洗浄段での洗浄後の有機相に含まれる水相の液滴を除去するための方法として好適に用いることができる。そして、その配管としては、洗浄段から逆抽出段に有機相を供給する配管であることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相に含まれる微細な水相の液滴を除去する方法に関する。
硫化物から目的金属を回収する湿式製錬プロセスでは、原料であるニッケルマットやニッケル・コバルト混合硫化物(MS:ミックスサルファイド)を塩素浸出し、得られた浸出液から不純物を除去する浄液工程等を経て、電解工程において電気ニッケルや電気コバルトを回収する。
具体的には、例えば図1に示すように、浸出工程S1から得られた浸出液は、セメンテーション工程S2において銅が除去され、脱鉄工程S3において鉄やヒ素等の不純物が除去された後、コバルト溶媒抽出工程S4に送られる。コバルト溶媒抽出工程S4では、溶媒抽出によりニッケルとコバルトとを分離し、塩化ニッケル溶液(NiCl2)と塩化コバルト溶液(CoCl2)とを得る。塩化ニッケル溶液は、浄液工程S5にてさらに不純物が除去された後、高純度となってニッケル電解工程S6に送られる。そして、ニッケル電解工程S6では、電解採取により電気ニッケルを製造する。一方で、コバルト溶媒抽出工程S4で得られた塩化コバルト溶液は、浄液工程S7にてさらに不純物が除去された後、高純度となってコバルト電解工程S8に送られる。そして、コバルト電解工程S8では、電解採取により電気コバルトを製造する。
ここで、図2は、コバルト溶媒抽出工程S4における処理の流れの一例を示す図である。なお、図2において、「破線」は有機相の流れを示し、「実線」は水相の流れを示す。
コバルト溶媒抽出工程S4には、抽出始液として、脱鉄工程S3を経て不純物が除去された処理後液が供給される。その抽出始液は、先ず、抽出工程(抽出段)S41に供給される。抽出工程S41では、有機相に抽出始液中のコバルトが抽出される。抽出後の水相は、塩化ニッケル溶液として後工程に送られる。次に、抽出段における有機相が洗浄工程(洗浄段)S42に送られ、その洗浄工程S42において、有機溶媒中に微量に含まれる塩化ニッケルが除去される。次に、塩化ニッケルが除去された有機相が逆抽出工程(逆洗浄段)S43に送られ、その逆抽出工程S43において、希塩酸等の酸性水溶液により有機溶媒に抽出されたコバルトが水相側に逆抽出され、塩化コバルト溶液が生成する。生成した塩化コバルト溶液は後工程に送られ、一方で、有機溶媒は抽出工程S41に繰り返されて再利用される。
抽出工程S41における抽出処理においては、コバルトと共に、不純物である亜鉛、鉄、銅等も有機相に抽出される。抽出されたコバルトは、逆抽出工程S43にて水相に逆抽出されるが、不純物は逆抽出されずに有機溶媒中に残る。しかしながら、有機溶媒中の不純物濃度が上昇すると、抽出工程S41におけるコバルト抽出量が減少したり、塩化ニッケル溶液や塩化コバルト溶液に不純物が溶出したりするという問題が生じる。そのため、逆抽出工程S43における処理後の有機溶媒は、脱亜鉛工程S44に送られ、亜鉛、鉄、銅等の不純物が除去される。
逆抽出工程S43における逆抽出処理では、例えばミキサセトラーが使用され、供給される有機相と酸性水溶液(水相)とをミキサーで撹拌して接触させることで、有機相中のコバルトを水相に分配させて、その後静置して有機相−水相に分離する。これにより、水相として塩化コバルト溶液を得ている。逆抽出処理を経て分離した有機相には、上述のようにZn、Fe、Cu、Ni等が含まれているため、脱亜鉛工程S44にて中和剤の添加によりそれら不純物成分が除去される。その後、不純物が除去された有機溶媒は活性化工程S45に送られ、酸性水溶液が添加されて、抽出工程S41に繰り返される。
さて、コバルト溶媒抽出工程S4においては、上述のように、抽出工程S41と逆抽出工程S43との間に洗浄工程S42が設けられており、抽出工程S41から供給される有機相中に含まれる、塩化ニッケル水溶液を主成分とする水相を除去するようにしている。なお、有機相中におけるニッケルを含有する水相は、エントレイメント(微細な液滴)の形態で含まれている。
抽出工程S41にて抽出された有機相に水相が含まれる理由は、抽出工程S41における処理での油水分離が不十分であることによるが、その抽出工程S41では比重分離によって油水分離が行われているため、油水分離を十分な状態にするには、比重分離処理におけるセトラー部分での滞留時間を長くする必要がある。しかしながら、設置スペースや処理時間については、経済的な制限があるため、油水分離の性能を高めるには限界がある。そのため、抽出工程S41の後に洗浄工程S42を設けて、有機相にエントレイメントとして含まれる水相を、その有機相から除去するようにしている。具体的には、その洗浄工程S42において、例えばコアレッサー等を利用することによって、抽出工程S41にて除去しきれずエントレイメントとして含まれる水相を除去している。
このようにして洗浄工程S42にて有機相中に含まれる水相を除去することにより、その有機相中のニッケルを含有する水相のほとんどを除去することができるものの、有機相中に含まれる不純物成分の状況や有機溶媒の劣化状況等によって、目に見えないほどの微小水滴となって洗浄後の有機相に僅かに残留することがある。具体的には、正常な操業においても、洗浄工程S42後の有機相には1mg/L程度のニッケルが含まれ、操業条件のぶれ等によって6mg/L程度の割合で残留することがある。
そして、このような有機相を逆抽出工程S43にて処理すると、有機相に担持されるコバルトは逆抽出処理により水相に分配されることになるが、その逆抽出処理によって有機相中に僅かに残留した水相に由来するニッケルも同時に水相(塩化コバルト溶液)中に分配されてしまう。
逆抽出処理後の塩化コバルト溶液は、浄液(不純物除去)工程S7を経てコバルト電解工程S8に供給されるものの、その塩化コバルト溶液に含まれる不純物としてのニッケルを除去する工程はない。コバルト電解工程S8においては、電解条件の類似するニッケルはコバルトと同時に電析され、したがって、電気コバルト中に不純物としてニッケルが混入してしまい、その結果、電気コバルトの製品規格を逸脱してしまうという問題がある。
上述したような問題点に対応するため、図2に示すように、逆抽出処理後の塩化コバルト溶液を再度洗浄工程S42に戻して洗浄処理する方法が考えられるが、処理効率が悪化する可能性があり、また、繰り返しの洗浄を行っても目に見えないほどの微細な液滴を十分に除去することができない。
微細液滴を除去する技術として、コアレッサーやデミスター等、微細液滴を捕捉し、成長させて粗大化し、比重分離可能な状態として分離する技術が広く知られており、関連装置等も市販されている。しかしながら、水相中に混入した有機相の目視では不明な程度の微細粒子を除去する技術は知られておらず、塩化コバルト溶液中の微細な油(有機相)液滴について適用できる技術は知られていない。
また、例えば、特許文献1には、水相中の油相を除去する技術が開示されているが、いわゆるドレンを対象としており、油吸着資材を使用する比較的大がかりな装置であるため、上述した問題への適用は困難である。また、特許文献2には、同じく水相中の油相を除去する技術が開示されているが、ピッチやタールのように油相の粘度が非常に高い場合に適用される技術であり、処理対象とする油水混合液の流れ方向を規定する流路を必要とする比較的大がかりな装置であるため、同じく適用は困難である。また、特許文献3には、脱塩素設備において、水バランスを好適に維持するために、ミスト(水蒸気の微細液滴)を除去する技術が開示されているが、気相中から液相を除去する技術である。
特開平5−50060号公報 国際公開第2011/71113号公報 特開2017−48436号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、有機溶媒を用いた抽出処理後の有機相に含まれる微細な水相の液滴を効果的にかつ効率的に除去することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相を、パルプが充填されている配管に通液させることにより、その有機相に含まれる微細な水相の液滴を有効に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相に含まれる水相の液滴を除去する方法であって、前記有機相を、パルプが充填されている配管に通液させる、方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記抽出段と、該抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段とでの3つの処理を含む溶媒抽出方法における、該洗浄段での洗浄後の有機相を、前記パルプが充填されている配管に通液させる、方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記配管は、前記洗浄段から前記逆抽出段に有機相を供給する配管である、方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記配管に充填されている前記パルプは、平均繊維長が1mm〜5mmである、方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記パルプは、充填密度410mg/mm〜450mg/mmで充填されている、方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記パルプは、乾燥状態の天然パルプである、方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記溶媒抽出方法は、コバルトを含有する塩化ニッケル溶液を抽出始液とし、該コバルトを溶媒抽出して塩化コバルト溶液を得る方法であり、前記コバルトを含有する有機相に含まれる、ニッケルを含有する水相の液滴を除去する、方法である。
(8)本発明の第8の発明は、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段と、該抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段と、を備える溶媒抽出装置であって、前記洗浄段と前記逆抽出段とは、該洗浄段での洗浄後の有機相を供給する配管により接続されており、該配管の途中パルプが充填されている、溶媒抽出装置である。
(9)本発明の第9の発明は、第8の発明において、前記配管は、2流路以上に分岐されており、分岐したそれぞれの配管に前記パルプが充填されている、溶媒抽出装置である。
本発明によれば、有機溶媒を用いた抽出処理後の有機相に含まれる微細な水相の液滴を効果的にかつ効率的に除去することができる。
湿式製錬プロセスの流れの一例を示す図である。 コバルト溶媒抽出工程における処理の流れの一例を示す図である。 実施例1で用いたパルプを充填した配管の概観写真図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明は、有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相に含まれる水相の液滴(不純物成分)を除去する方法である。より具体的には、例えば、抽出段と、その抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段とでの3つの処理を含む溶媒抽出方法において、洗浄段での洗浄後の有機相に含まれる水相を除去する方法である。
例えば、塩化コバルト溶液の製造プロセスにおいては、向流多段方式の抽出装置を用いて、コバルトを含有する塩化ニッケル溶液から、抽出剤と希釈剤とからなる有機溶媒によってコバルトを溶媒抽出することによって塩化コバルト溶液を製造している。この製造プロセスでは、有機溶媒により抽出されたコバルトを含む有機相を洗浄段に移送し、洗浄処理を施すことによって有機相に含まれる、いわゆる不純物成分となるニッケルを除去する。その後、洗浄後の有機相を逆洗浄段に移送し、酸性溶液等の逆抽出液と接触させることによって、コバルトを水相中に脱離して、塩化コバルト溶液を製造する。
この製造プロセスにおいては、抽出段での抽出処理後の有機相に対して洗浄段にて洗浄処理を施すことによって、その有機相中に含まれるニッケルを含有する水相はほぼ除去されるものの、目に見えないほどの微細な水相の液滴(エントレイメント)が除去されずに残留することがある。
本発明においては、このような製造プロセス等において生じる、抽出段での抽出処理により得られた微細な水相の液滴を含む有機相を、パルプが管内の途中に充填されている配管に通液させること特徴としている。
このような処理によれば、有機相に含まれる、目に見えないほどの微細な水相の液滴を効果的に除去することができる。また、所定の配管の途中にパルプを充填させるだけの簡易な方法で処理できるため、大きな装置を設置する等、処理コストや装置設置スペースによる特段の制限はなく、経済的にも効率的に処理することができる。
なお、図3は、配管の途中にパルプを充填したときの様子を示す写真図である。本発明においては、このようなパルプが充填された配管に、微細な水相の液滴を含む有機相を通液させる。
本発明者は、パルプに有機相を通過させることにより水相の微細液滴を有効に除去できる理由について、以下のように推定している。すなわち、微細液滴(水滴)が混入した有機相をパルプと接触させることで、その水滴はパルプの繊維に付着しあるいは流速が低下する。すると、連続的な有機相の通液に伴って、繊維に付着あるいは流速が低下した水滴に別の水滴が接触し、徐々にその水滴が粗大化して有機相との分離性が向上するようになり、その結果として、有機相から水相が除去されるものを考えられる。
ここで、微細な水相の液滴を含む有機相としては、抽出段と、抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段とでの3つの処理を含む溶媒抽出方法における、洗浄段での洗浄後の有機相であることが好ましい。
上述のように、抽出段、洗浄段、逆抽出段での3つの処理を含む溶媒抽出方法において、その洗浄段では、抽出段での有機溶媒により抽出処理で得られた有機相に対して洗浄液を接触させることによって有機相に含まれる比較的大きな水相を除去している。このように、洗浄段にて大きな水相の液滴が除去された有機相をパルプに通液させることで、パルプに付着等した液滴の粗大化が進行し易くなり、より効果的に、微細な水相の液滴を除去することができる。
パルプを充填させる配管としては、特に限定されないが、有機相中に含まれる水相の液滴を、その有機相に抽出した成分を逆抽出する前までのプロセス配管であることが好ましい。その中でも、洗浄段と逆抽出段とを接続する配管であって、洗浄段での洗浄後の有機相を逆抽出段に供給する配管であることが好ましい。洗浄段から逆抽出段に有機相を供給する配管は、上述したように、洗浄を行った後の有機相が逆抽出段に送られる配管であり、その配管の途中にパルプを充填して、水相の液滴を含む有機相を通液させることで、液滴の成長を阻害することなく、効果的に除去することができる。
パルプとしては、有機相に含まれる微細な水相の液滴を有効に付着させ、あるいは流速を低下させることによって除去できる作用を有すればよく、公知の繊維状のパルプを用いることができる。また、その大きさとしては、パルプが充填された配管内を通液させる有機相の通液速度に応じて適宜調整することが好ましいが、平均繊維長が1mm〜5mmであることが好ましく、1mm〜2mmであることがより好ましい。
また、パルプは、天然パルプであっても、合成パルプであってもよく、さらに天然パルプと合成パルプとを併用してもよい。具体的に、天然パルプとしては、例えば、木材パルプ、化学パルプ、機械パルプや、サイザル麻、マニラ麻、サトウキビ、コットン、シルク、竹、ケナフから得られるパルプ等が挙げられる。また、合成パルプとしては、例えば、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を素材とするものを用いることができる。
これらのパルプの中でも、特にリグニン等の灰分や無機分の少ないコットンパルプ(綿リンターパルプ)であることが好ましい。このような灰分や無機分が少ないパルプであることにより、パルプを充填させる配管を通過した有機相に不純物が溶出する可能性が少なくなり、有機相中に不純物成分が混入することを抑制することができる。また、疎水性を示すリグニン等の成分が少ない綿リンターパルプであることにより、有機相に含まれる微細の水相の液滴をより効率的に付着させることができる。
また、パルプとして、その水分率は特に限定されず、例えば5質量%〜50質量%程度のものを用いることができる。
なお、パルプは、所定のサイズの市販のものを用いることができる。また、平均繊維長は、偏光法等の光学的手法により測定することができる。
パルプを配管に充填するに際しては、特に限定されないが、好ましくは充填密度が410mg/mm〜450mg/mmとなるように充填する。このような充填密度でパルプを充填させることにより、平均繊維長が例えば1mm〜5mm程度のパルプに、微細な液滴をより効果的に付着させることができる。
なお、パルプを配管に充填する際の充填高さとしては、特に限定されないが、配管の断面直径の1.5倍〜3倍の充填高さとなるようにすることが好ましい。なお、配管の断面直径とは、配管の内径をいう。
配管に関して、その設置数としては特に限定されないが、複数本を並列して設けることが好ましく、切替バルブ等を設定して、使用する配管を適宜調整できるようにすることが好ましい。また、複数本の配管を用いずとも、配管の1部分のみを2流路以上に分岐させたものを用いるようにしてもよい。なお、分岐配管を用いる場合には、分岐したそれぞれの配管にパルプを充填させる。また、分岐配管を用いる場合でも、配管の分岐箇所に切替バルブ等を設けて有機相の通液ルートを切り替え可能にすることが好ましい。
このように、2流路以上が確保される配管を用いることによって、パルプを交換する作業等のメンテナンス時においても、装置全体を停止させる必要がなくなり、連続的に安定な操業を可能にする。
パルプに有機相を通液させる際の通液量としては、特に限定されず、配管に充填したパルプの充填容量や充填したパルプの粒子径等に応じて適宜調整することが好ましいが、BV50〜BV300程度の範囲の通液量とすることが好ましく、BV100〜BV200程度の範囲の通液量とすることがより好ましい。
パルプに有機相を通液させる際の温度としては、特に限定されないが、有機相の温度を45℃〜55℃程度の範囲とすることが好ましい。このような温度範囲の有機相を通液させることで、適切な流動性でもって通液させることができる。また、特段の加熱や冷却の操作を行う必要がなく、効率的に処理することができる。
ここで、本発明に係る方法は、特に限定されないが、コバルトを含有する塩化ニッケル溶液を抽出始液とし、コバルトを溶媒抽出して塩化コバルト溶液を得る製造プロセス(溶媒抽出方法)における処理として好適に適用することができる。より具体的には、この塩化コバルトを得るよう溶媒抽出方法において、抽出段から得られたコバルトを含有す有機相に含まれる、ニッケルを含有する水相の液滴を除去する方法に適用することができる。なお、この場合、有機相に含まれる水相とは、ニッケルを含む溶液である。
塩化コバルト溶液を得る溶媒抽出方法においては、抽出段にて用いる有機溶媒に含まれる抽出剤として、TNOA(Tri−n−octylamine)等のアミン系抽出剤が好適に用いられる。本発明に係る方法、すなわち有機相から微細の水相の液滴を除去する方法では、アミン系抽出剤を含む有機相に含まれる微細な水相の液滴を、より効果的に除去することができる。
なお、上述した方法により有機相から水相を除去したとき、除去した水相が一定の体積を占めるような場合、その水相中に目に見える大きさの液滴として有機相が観察されることがある。そのような場合には、公知の油水分離装置のように、配管を分岐して分岐させた下方にドレン排出用の空間等を設けて、有機相が流出しないようにすればよい。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
抽出剤としてのTNOA(ファーミンT−08,花王株式会社製)と、希釈剤としてのスワゾールN1800(丸善石油化学株式会社製)とを20:80の割合で混合した有機溶媒を用い、コバルトを含む塩化ニッケル溶液からコバルトを抽出した。その後、抽出段から有機相を洗浄する洗浄段に送り、洗浄液として塩化コバルト溶液を用いて洗浄した。
本実施例では、洗浄段から得られた洗浄後の有機相に含まれる微細な水相の液滴を除去する処理を行った。
下記表1に、洗浄後の有機相に含まれるニッケルとコバルトの含有量の分析値(ICP発光分光分析装置により測定)を示す。なお、表1に示すように、ニッケルを含む水相の液滴がニッケル濃度で147mg/L程度の割合で含まれていた。なお、不具合が生じなかった場合の洗浄後の有機相中のニッケル濃度は1mg/L以下である。後工程でのニッケル含有による影響を考慮すると、有機相中のニッケル濃度は6mg/L以下とする必要があり、およそ96%以上の除去率でニッケルを含む水相を除去することが必要となる。
具体的に、有機相から水相の液滴を除去する操作においては、洗浄段から洗浄後の有機相を逆抽出段に供給するガラス配管(内径10mm)の途中にパルプを充填し、微細な水相の液滴を含む有機相(洗浄後の有機相)をその配管に通液させた。ここで、実施例1では、平均繊維長が1mm〜2mmであるパルプ(東洋濾紙株式会社製、綿リンターパルプ)を用いて配管に充填した。
パルプを充填するに際しては、ローラーポンプによりお湯を循環させることによってガラス配管を50℃程度に温め、その後、充填密度が430mg/mmとなるように配管にパルプを充填した。なお、充填時には、パルプを棒で抑え込むことによって充填高さを調整し、所定の充填密度となるようにした。なお、パルプの充填高さとしては、配管の断面直径(内径)の2倍となる20mmとなるようにした。
有機相を通液させるに際しては、有機相を予め50℃程度まで加温しておき、ガラス配管内に高さ22cm(配管内の充填物であるパルプを除くと20cm)となるまで有機相を装入した。その後、濾過ポンプを稼働させ、ガラス配管の下部に設けたコックを開放して通液処理を開始した。配管内を通液させた後、有機相を回収した。
下記表2に、パルプを充填した配管に有機相を通液させた後に得られた有機相中のニッケル含有量の分析結果を示す。また、下記表3に、有機相からのニッケル(水相)の除去率の測定結果を示す。「BV」とは充填物に対する被処理液(有機相)量の倍率をいい、例えばBV100の場合、通液処理を10回繰り返し、充填物の充填容量に対して100倍の被処理液を通液させたことを意味する。表中の「−」は、試験を実施しなかったことを示す。
なお、比較として、配管に直径1.0mmのジルコニアボールを充填(充填高さ20mm)し、その配管に対して実施例1と同様にして有機相を通液させた比較例1を実施し、通液後の有機相のニッケル含有量の分析、ニッケル除去率の測定を行った。
なお、図3は、実施例1で用いた、パルプを充填した配管の概観写真であり、(A)は有機相の通液前の状態を示す写真図であり、(B)は有機相の通液後の状態を示す写真図である。
表1に示されるように、有機相の流量により相違はあるものの、パルプを充填した配管に、微細な水相の液滴を含む有機相を通液させるという簡易な処理により、その水相の液滴を有効に除去できることが分かった。

Claims (9)

  1. 有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段から得られた有機相に含まれる水相の液滴を除去する方法であって、
    前記有機相を、パルプが充填されている配管に通液させる、方法。
  2. 前記抽出段と、該抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段とでの3つの処理を含む溶媒抽出方法における、該洗浄段での洗浄後の有機相を、前記パルプが充填されている配管に通液させる
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記配管は、前記洗浄段から前記逆抽出段に有機相を供給する配管である
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記配管に充填されている前記パルプは、平均繊維長が1mm〜5mmである
    請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記パルプは、充填密度410mg/mm〜450mg/mmで充填されている
    請求項1乃至4のいずれかに記載に方法。
  6. 前記パルプは、綿リンターパルプである
    請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記溶媒抽出方法は、コバルトを含有する塩化ニッケル溶液を抽出始液とし、該コバルトを溶媒抽出して塩化コバルト溶液を得る方法であり、
    前記コバルトを含有する有機相に含まれる、ニッケルを含有する水相の液滴を除去する
    請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
  8. 有機溶媒を用いた抽出処理を行う抽出段と、該抽出段から得られた有機相を洗浄する洗浄段と、洗浄後の有機相に対して逆抽出処理を行う逆抽出段と、を備える溶媒抽出装置であって、
    前記洗浄段と前記逆抽出段とは、該洗浄段での洗浄後の有機相を供給する配管により接続されており、該配管の途中にパルプが充填されている
    溶媒抽出装置。
  9. 前記配管は、2流路以上に分岐されており、
    分岐したそれぞれの配管に前記パルプが充填されている
    請求項8に記載の溶媒抽出装置。
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