JP6172100B2 - スカンジウムの回収方法 - Google Patents

スカンジウムの回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6172100B2
JP6172100B2 JP2014194808A JP2014194808A JP6172100B2 JP 6172100 B2 JP6172100 B2 JP 6172100B2 JP 2014194808 A JP2014194808 A JP 2014194808A JP 2014194808 A JP2014194808 A JP 2014194808A JP 6172100 B2 JP6172100 B2 JP 6172100B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scandium
solution
extraction
chelate resin
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014194808A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016065283A (ja
Inventor
秀昌 永井
秀昌 永井
佳智 尾崎
佳智 尾崎
浩史 庄司
浩史 庄司
松本 伸也
伸也 松本
達也 檜垣
達也 檜垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2014194808A priority Critical patent/JP6172100B2/ja
Publication of JP2016065283A publication Critical patent/JP2016065283A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6172100B2 publication Critical patent/JP6172100B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、スカンジウムの回収方法に関し、より詳しくは、ニッケル酸化鉱に含まれるスカンジウムを、キレート樹脂による処理と、中性抽出剤による溶媒抽出とを用いて効率よく回収するスカンジウムの回収方法に関する。
スカンジウムは、高強度合金の添加剤や燃料電池の電極材料として極めて有用である。しかしながら、生産量が少なく、高価であるため、広く用いられるには至っていない。
ところで、ラテライト鉱やリモナイト鉱等のニッケル酸化鉱には、微量のスカンジウムが含まれている。しかしながら、ニッケル酸化鉱はニッケル含有品位が低いため、長らくニッケル酸化鉱をニッケル原料として工業的に利用されてこなかった。そのため、ニッケル酸化鉱からスカンジウムを工業的に回収することもほとんど研究されていなかった。
しかしながら、近年、ニッケル酸化鉱を硫酸と共に加圧容器に装入し、240℃〜260℃程度の高温に加熱してニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに固液分離するHPALプロセスが実用化されている。このHPALプロセスでは、得られた浸出液に対して中和剤を添加することで不純物が分離され、次いで硫化剤を添加することでニッケルをニッケル硫化物として回収することができる。そして、得られたニッケル硫化物を既存のニッケル製錬工程で処理することで電気ニッケルやニッケル塩化合物を得ることができる。
上述したようなHPALプロセスを用いる場合、ニッケル酸化鉱に含まれるスカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれることになる(特許文献1参照)。そして、HPALプロセスで得られた浸出液に対して中和剤を添加して不純物を分離し、次いで硫化剤を添加すると、ニッケルはニッケル硫化物として回収される一方で、スカンジウムは硫化剤添加後の酸性溶液(硫化後液)に含まれるようになるため、HPALプロセスを使用することによってニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
上述した酸性溶液からスカンジウムを回収する方法としては、イミノジ酢酸塩を官能基とするキレート樹脂等にスカンジウムを吸着させて不純物と分離し、濃縮することによって回収する方法が提案されている(特許文献2〜4参照)。
一方で、ニッケル酸化鉱の湿式製錬処理により得られた酸性溶液から溶媒抽出処理によってスカンジウムを回収する方法も提案されている(特許文献5参照)。この特許文献5に記載の方法では、先ず、スカンジウムの他に、少なくとも鉄、アルミニウム、カルシウム、イットリウム、マンガン、クロム、マグネシウムの1種以上を含有する水相の含スカンジウム溶液に、2−エチルヘキシルスルホン酸−モノ−2−エチルヘキシルをケロシンで希釈した有機溶媒を加えて、スカンジウム成分を有機溶媒中に抽出する。次いで、有機溶媒中にスカンジウムと共に抽出されたイットリウム、鉄、マンガン、クロム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムを分離するために、塩酸水溶液を加えてスクラビングを行うことによってそれらを除去した後、有機溶媒中にNaOH水溶液を加えて、有機溶媒中に残存するスカンジウムをSc(OH)を含むスラリーとし、これを濾過して得られたSc(OH)を塩酸で溶解して、塩化スカンジウム水溶液を得る。そして、得られた塩化スカンジウム水溶液にシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウム沈殿とし、その沈殿を濾過して、鉄、マンガン、クロム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムを濾液中に分離した後、仮焼することにより高純度な酸化スカンジウムを得るというものである。
特開平3−173725号公報 特開平1−133920号公報 特開平9−176756号公報 特開平9−194211号公報 特開平9−291320号公報
しかしながら、キレート樹脂を単独で使用しただけでは、鉄、アルミ、クロム等の溶離液中への分配は非常に小さいものの、これらの不純物は原料中に多量に含まれているため、分離のためには複数回の吸着、溶離操作が必要となる。また、その他ごく微量に含まれる複数の不純物の吸着、溶離挙動は、スカンジウムよりも劣るものの、溶離液中への分配が高いため分離が非常に困難であった。
また、溶媒抽出による回収処理では、ニッケル酸化鉱に含まれるスカンジウム品位が非常に微量であるため、工程液を直接処理することは回収率や設備容量が大きくなるためコスト的に困難であった。
このように、ニッケル酸化鉱からスカンジウムを工業的に回収するのに適した方法は見出されていなかった。
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱から高品位のスカンジウムを簡便に且つ効率よく回収することを可能にするスカンジウムの回収方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ニッケル酸化鉱に含まれるスカンジウムをキレート樹脂で分離し、スカンジウム溶離液から得られた水酸化物沈殿を硝酸溶液で溶解したスカンジウム硝酸溶解液を溶媒抽出に付し、その溶媒抽出により生成した抽残液から得られるスカンジウム含有物を焙焼することで、高品位のスカンジウムを簡便かつ効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出液と浸出残渣とを得る浸出工程と、前記浸出液に中和剤を加えて中和澱物と中和後液とを得る中和工程と、前記中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程と、前記硫化後液をキレート樹脂に接触させることで該硫化後液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させ、スカンジウム溶離液を得るイオン交換工程と、前記スカンジウム溶離液にアルカリを添加して水酸化スカンジウムの沈殿物を得た後、該水酸化スカンジウムに硝酸溶液を添加して酸溶解することでスカンジウム硝酸溶解液を得る溶解工程と、前記スカンジウム硝酸溶解液を中性抽出剤に接触させてスカンジウム以外の不純物元素を抽出分離し、スカンジウムを含有する抽残液を得る溶媒抽出工程と、前記抽残液に含まれるスカンジウムの塩を生成させ、該スカンジウム塩を焙焼して酸化スカンジウムを得るスカンジウム回収工程とを有するスカンジウム回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記キレート樹脂は、イミノジ酢酸を官能基とする樹脂であり、前記イオン交換工程が、前記硫化後液を前記キレート樹脂に接触させて前記スカンジウムを前記キレート樹脂に吸着させる吸着工程と、前記吸着工程でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸溶液を接触させて前記吸着工程で前記キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程と、前記アルミニウム除去工程を経たキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸溶液を接触させて前記スカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程と、前記スカンジウム溶離工程を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸溶液を接触させて前記吸着工程で前記キレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程とを含むスカンジウム回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記溶媒抽出工程が、前記スカンジウム硝酸溶解液と前記中性抽出剤を含む有機溶媒とを混合し、スカンジウム以外の不純物元素を抽出した抽出後有機溶媒と抽残液とに分離する抽出工程と、前記抽出後有機溶媒に1mol/l以上5mol/l以下の濃度の硝酸溶液を混合し、該抽出後有機溶媒からスカンジウムを回収し洗浄後有機溶媒を得るスクラビング工程と、前記洗浄後有機溶媒に逆抽出剤を添加し、該洗浄後有機溶媒から不純物元素を逆抽出して逆抽出液を得る逆抽出工程とを含むスカンジウム回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記スカンジウム回収工程が、前記溶媒抽出工程で得られた前記抽残液にシュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を得る工程と前記シュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する工程とを含むスカンジウム回収方法である。
(5)本発明の第5の発明は、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記スカンジウム回収工程が、前記溶媒抽出工程で得られた前記抽残液に5.0mol/l以上8.0mol/l以下の濃度の水酸化ナトリウムを添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を得る工程と、得られた水酸化スカンジウムの沈殿物を硫酸又は塩酸で溶解し、溶解して得られた溶解液にシュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を得る工程と、前記シュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する工程とを含むスカンジウム回収方法である。
本発明によれば、ニッケル酸化鉱から高品位のスカンジウムを簡便に且つ効率よく回収することができる。
本発明に係るスカンジウムの回収方法を説明するための図である。
以下、本発明に係るスカンジウムの回収方法の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪1.スカンジウムの回収方法の概要≫
図1は、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法を説明するためのフロー図である。図1に示すように、このスカンジウムの回収方法は、ニッケル、スカンジウム等の有価金属のほかに、アルミニウム、クロム等の成分を含有するニッケル酸化鉱からスカンジウムを回収する方法である。
具体的に、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法は、スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を高温高圧下で硫酸等の酸により浸出して浸出液と浸出残渣とを得る浸出工程S1と、浸出液に中和剤を添加して中和澱物と中和後液とを得る中和工程S2と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S3と、硫化後液をキレート樹脂に接触させることで硫化後液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、スカンジウム溶離液を得るイオン交換工程S4と、スカンジウム溶離液にアルカリを添加して水酸化物スカンジウムの沈殿物を得た後、その水酸化スカンジウムに硝酸溶液を添加することで酸溶解してスカンジウム硝酸溶解液を得る溶解工程S5と、スカンジウム硝酸溶解液を中性抽出剤に接触させてスカンジウム以外の不純物元素を抽出分離し、スカンジウムを含有する抽残液を得る溶媒抽出工程S6と、抽残液に含まれるスカンジウムの塩を生成させ、そのスカンジウム塩を焙焼して酸化スカンジウムを得るスカンジウム回収工程S8とを有するものである。
このように、本実施の形態においては、スカンジウムを回収し、精製するにあたり、イオン交換(イオン交換工程)と溶媒抽出(溶媒抽出工程)とを併用し、さらにイオン交換の後に、溶媒抽出に先立って、スカンジウム溶離液からスカンジウムを含有する澱物を生成させ、その澱物を硝酸で溶解してスカンジウム硝酸溶解液を得る溶解処理(溶解工程)を行い、その硝酸溶解液を溶媒抽出に供することを特徴としている。このような方法によれば、不純物をより高品位で分離でき、ニッケル酸化鉱のような多くの不純物を含有する原料からであっても、コンパクトな設備で簡便に且つ安定したスカンジウムの回収操業を行うことができる。
≪2.スカンジウムの回収方法の各工程について≫
以下、図1に示すフロー図を参考にして、スカンジウムの回収方法の各工程についてより詳細に説明する。
<浸出工程>
浸出工程S1では、スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を硫酸等の酸と共に高温加圧容器(オートクレーブ)等に装入し、240℃〜260℃の高温で且つ高圧の環境下において、撹拌処理を施しながら酸によりニッケル酸化鉱を浸出して浸出液と浸出残渣とを含む浸出スラリーを生成する。なお、浸出工程S11における処理は、従来知られているHPALプロセスに従って行えばよく、例えば特許文献1に記載されている。
ここで、ニッケル酸化鉱としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。これらのニッケル酸化鉱には、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属のほかに、アルミニウム、クロム、鉄等の成分が多く含まれている。
この浸出工程S11では、得られた浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト、スカンジウム等を含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とに固液分離する。この固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用いて、シックナー等の固液分離設備により固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。なお、この固液分離処理では、シックナー等の固液分離槽を多段に連結させて用い、浸出スラリーを多段洗浄しながら固液分離することが好ましい。
<中和工程>
中和工程S2では、上述した浸出工程S1により得られた浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る。この中和工程S2における中和処理により、スカンジウムやニッケル等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
中和工程S2における中和処理では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1〜4の範囲に調整することが好ましく、1.5〜2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり、中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウムをはじめとした不純物のみならず、スカンジウムやニッケル等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
<硫化工程>
硫化工程S3では、中和工程S12により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る。この硫化工程S13における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となり、スカンジウム等は硫化後液に含まれることになる。
具体的に、この硫化工程S13では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を吹きこみ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させ、スカンジウム等を含有させた硫化後液とを生成させる。
硫化工程S13における硫化処理では、ニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離処理し、ニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部より分離回収する一方で、水溶液成分である硫化後液はオーバーフローさせて回収する。
<イオン交換工程>
イオン交換工程S4では、上述したニッケル酸化鉱の湿式製錬処理により得られた硫化後液をキレート樹脂に接触させることによって、その硫化後液中に含まれるスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、不純物成分を除去したスカンジウム溶離液を得る。
イオン交換工程S4の態様としては、特に限定されないが、例えば図1に一例を示すように、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程S41と、スカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸溶液を接触させ、吸着工程S41でキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程S42と、アルミニウム除去工程S42を経たキレート樹脂に0.3N以上3N以下の硫酸溶液を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程S43と、スカンジウム溶離工程S43を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸溶液を接触させて、吸着工程S41でキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程S44とを含むものであることが好ましい。
[吸着工程]
吸着工程S41では、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる。キレート樹脂としては、特に限定されないが、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることが好ましい。
ここで、この吸着工程S41におけるキレート樹脂に対するスカンジウムの吸着に際しては、溶液のpH範囲が低いほどニッケル酸化鉱に含まれる不純物の吸着量は少なくなる。そのため、できるだけ低いpH領域の液をキレート樹脂に通液することで、不純物のキレート樹脂への吸着を抑制することができる。ところが、溶液のpHが2未満であると、不純物の吸着量だけでなく、スカンジウムの吸着量も少なくなる。そのため、極端に低いpH領域の液を樹脂に通液して吸着させるのは好ましくない。
[アルミニウム除去工程]
アルミニウム除去工程S42では、吸着工程S41でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸溶液を接触させ、吸着工程S41でキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する。
キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するに際しては、硫酸溶液のpHを1以上2.5以下の範囲に維持することが好ましく、1.5以上2.0以下の範囲に維持することがより好ましい。硫酸溶液のpHが1未満であると、アルミニウムだけでなく、スカンジウムもキレート樹脂から除去される可能性がある。一方で、硫酸溶液のpHが2.5を超えると、アルミニウムが適切にキレート樹脂から除去されなくなる可能性がある。
[スカンジウム溶離工程]
スカンジウム溶離工程S43では、アルミニウム除去工程S42を経たキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸溶液を接触させ、スカンジウム溶離液を得る。
スカンジウム溶離液を得るに際しては、溶離液として用いる硫酸溶液の規定度を0.3N以上3N未満の範囲に維持することが好ましく、0.5N以上2N未満の範囲の規定度に維持することがより好ましい。硫酸溶液の規定度が3N以上であると、スカンジウムだけでなく、クロムもスカンジウム溶離液に含まれてしまう可能性がある。一方で、硫酸溶液の規定度が0.3N未満であると、スカンジウムが適切にキレート樹脂から除去されない可能性がある。
[クロム除去工程]
クロム除去工程S44では、スカンジウム溶離工程S43を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸溶液を接触させ、吸着工程S41でキレート樹脂に吸着したクロムを除去する。
キレート樹脂に吸着したクロムを除去するに際して、溶離液として用いる硫酸溶液の規定度が3Nを下回ると、クロムが適切にキレート樹脂から除去されなくなることがある。したがって、3N以上の硫酸溶液をキレート樹脂に接触させて処理することが好ましい。
[鉄除去工程]
また、図示していないが、ニッケル酸化鉱から得られた浸出液中には不純物として鉄が含まれている場合がある。この場合、アルミニウム除去工程S42に先立ち、吸着工程S41でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に、アルミニウム除去工程S42で使用する硫酸溶液の規定度よりも小さい規定度の硫酸溶液を接触させ、吸着工程S41でキレート樹脂に吸着した鉄を除去することが好ましい。
キレート樹脂に吸着した鉄を除去するに際しては、硫酸溶液のpHを1以上3以下の範囲に維持することが好ましい。硫酸溶液のpHが1未満であると、鉄だけでなく、スカンジウムもキレート樹脂から除去される可能性がある。一方で、硫酸溶液のpHが3を超えると、鉄が適切にキレート樹脂から除去されない可能性がある。
<スカンジウム溶離液のキレート樹脂への再吸着>
また、必須の態様ではないが、得られたスカンジウム溶離液をキレート樹脂に再吸着させる処理を施すことが好ましい。
具体的には、スカンジウム溶離工程S43で得られたスカンジウム溶離液に中和剤を添加してpHを2以上4以下の範囲、好ましくはpH3を中心とした2.7〜3.3の範囲に調整し(工程S101)、次いで還元剤を添加し(工程S102)、次いで硫酸を添加してpHを1以上2.5以下の範囲、好ましくはpH2を中心とした1.7〜2.3の範囲に調整する(工程S103)ことによって、スカンジウム溶離液のpH調整後液を得て、このpH調整後液を用いて上述したイオン交換工程S4における処理を再び行う。
このように、得られたスカンジウム溶離液をキレート樹脂に再吸着させてイオン交換工程における処理を繰り返し行うことで、回収されるスカンジウムの品位をより一層に高めることができる。また、スカンジウム溶離液からスカンジウムを分離する際の薬剤コストや設備規模を縮減させることができる。
スカンジウム溶離液のキレート樹脂への再吸着に際して、還元剤の添加(工程S102)においては、その酸化還元電位(ORP)が銀塩化銀電極を参照電極とする値で200mVを越えて300mV以下となる範囲に維持するように行うことが好ましい。ORPが200mV以下であると、添加された硫化剤に由来する硫黄分が微細な固体として析出し、硫化後の濾過処理で濾布を目詰まりさせて固液分離の効率を悪化させ、生産性を低下させる原因となり、キレート樹脂に再通液する際に樹脂塔内で目詰まりや液流れの偏りが生じて均一な通液が行えない等の原因となり得る。一方で、ORPが300mVを超えると、残留する鉄イオン等が樹脂に吸着してスカンジウムの吸着を阻害する等の問題が生じる可能性がある。
スカンジウム溶離液に添加する中和剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば炭酸カルシウム等が挙げられる。また、pH調整後に添加する還元剤についても、従来公知のものを使用することができ、例えば、硫化水素ガス、硫化ナトリウム等の硫化剤や、二酸化硫黄ガス、ヒドラジン、金属鉄等が挙げられる。
スカンジウム溶離液のキレート樹脂への再吸着を行うにあたり、キレート樹脂としては、既に使用したものを再使用してもよいし、新たなキレート樹脂を使用してもよい。不純物のコンタミを防止する観点からすると、上述したクロム除去工程S44を経たキレート樹脂を再使用するか、新たなキレート樹脂を使用することが好ましい。特に、クロム除去工程S44を経たキレート樹脂を再使用することで、不純物のコンタミを防止できるだけでなく、キレート樹脂の使用量を抑えることができる。
<スカンジウム溶離液の精製>
また、スカンジウム溶離工程S43によって得られたスカンジウム溶離液に対して、再びスカンジウム溶離工程S43における処理、すなわち、アルミニウム除去工程S42を経たキレート樹脂に対して、得られたスカンジウム溶離液を接触させる処理を行う。このように、スカンジウム溶離液を用いてスカンジウム溶離工程S43を繰り返し行うことで、スカンジウム溶離液の濃度を高めることができる。
スカンジウム溶離工程S43を数多く繰り返すほど、回収されるスカンジウムの濃度が高まるが、多く繰り返し過ぎても回収されるスカンジウムの濃度上昇の程度が小さくなる。そのため、工業的には、スカンジウム溶離工程S43を繰り返す回数としては、8回以下程度であることが好ましい。
<溶解工程>
次に、上述したイオン交換工程S4に続いて、溶解工程S5を設けて、スカンジウム溶離液に含まれるスカンジウムの沈殿物を生じさせて不純物と分離し、さらにこの沈殿物を硝酸溶液で溶解して、次工程の溶媒抽出に供する抽出始液を生成させる処理を行う。
具体的に、この溶解工程S5におけるスカンジウムの濃縮方法、つまりスカンジウムの沈殿物を生成させて不純物と分離させる方法としては、水酸化中和の方法を用いることができる。
[水酸化中和]
スカンジウム溶離液に対する水酸化中和処理では、上述したイオン交換工程S4で得られたスカンジウム溶離液に対して中和剤を添加することによって中和処理を施し、スカンジウムの水酸化物沈殿と不純物成分を含む中和後液とを生成させる。
スカンジウム溶離液に添加する中和剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、消石灰、水酸化ナトリウム等のアルカリが挙げられる。その中でも、スカンジウム溶離液が硫酸溶液である場合、Ca分を含む中和剤では石膏が生成されることから、中和剤として水酸化ナトリウム等を用いることが好ましい。
中和剤を加えたときのpHとしては、特に限定されないが、8以上9以下であることが好ましい。pHが8未満であると、中和が不十分となり、スカンジウム溶離液中のスカンジウムを沈殿物として十分に回収できない可能性がある。一方で、pHが9を超えると、中和剤の使用量が増加するため、コスト増となる点で好ましくない。
なお、鉄品位を低減させるために、水酸化中和処理に際して鉄のみを沈殿させるための1段目の中和を行い、得られた沈澱物を濾過した後に2段目の中和を行う2段階中和を行うことが有効である。
[硝酸による溶解]
次に、本実施の形態においては、上述のように水酸化中和処理により得られた水酸化スカンジウムの沈殿物に対して硝酸溶液を添加することによってその沈殿物を溶解し、スカンジウムの硝酸溶解液を生成する。本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法においては、このようにして得られたスカンジウム硝酸溶解液が次工程の溶媒抽出工程における溶媒抽出処理の処理対象(抽出始液)となる。
硝酸溶液の濃度としては、特に限定されないが、2.0mol/l〜5.0mol/lの範囲であることが好ましく、3.0mol/l〜4.0mol/lの範囲であることがより好ましい。
また、この硝酸溶液による沈殿物の溶解に際しては、得られた沈殿物の溶解度付近で溶解することが好ましい。これにより、一度固体を析出させて任意の濃度に再溶解できるので、スカンジウム濃度を任意に選択することができ、次工程の溶媒抽出工程での液量、延いては設備規模を縮減できる点で工業的に極めて好ましい。
このように、本実施の形態においては、イオン交換工程S4に続いて、溶解工程S5を設けることにより、スカンジウム溶離液に含まれる不純物を大幅に除去することができ、イオン交換工程S4や次工程の溶媒抽出工程S6に係る工数を軽減することができる。また、溶媒抽出に付す始液の濃度を任意に調整することができるようになるため、溶媒抽出工程S6の設備規模の縮小による設備投資の削減や始液濃度の安定化により、操業をより一層に安定化させることができる。
<溶媒抽出工程>
溶媒抽出工程S6では、上述した溶解工程S5にて水酸化スカンジウムを硝酸溶液で溶解して得られたスカンジウム硝酸溶解液を中性抽出剤に接触させて溶媒抽出処理を行い、不純物を抽出した有機溶媒とスカンジウムを含有する抽残液とを得る。この溶媒抽出工程S6における溶媒抽出処理により、スカンジウム以外の不純物を効率的に且つ効果的にスカンジウムと分離することができ、スカンジウムの純度を高めることができる。特に、本実施の形態においては、上述のようにして得られたスカンジウム硝酸溶解液を溶媒抽出処理の対象としているため、より効果的に不純物を抽出剤により抽出することができる。
溶媒抽出工程S6の態様としては、特に限定されないが、例えば図1に一例を示すように、スカンジウム硝酸溶解液と中性抽出剤を含有する有機溶媒とを混合して抽出後有機溶媒と抽残液とを得る抽出工程S61と、この抽出後有機溶媒に所定濃度の硝酸溶液を混合して抽出剤に抽出されたスカンジウムを分離して回収するスクラビング工程S62と、洗浄後の有機溶媒に逆抽出剤を添加し、その洗浄後有機溶媒から不純物元素を逆抽出する逆抽出工程S63とを有するものであることが好ましい。
[抽出工程]
抽出工程S61では、スカンジウム硝酸溶解液と中性抽出剤を含む有機溶媒とを混合して、スカンジウム以外の不純物元素を選択的に抽出する。この抽出工程S61における抽出処理により、不純物を含有する有機溶媒と、スカンジウムの純度を高めた抽残液とを得る。中性抽出剤としては、様々な種類が知られており特に限定されないが、リンを含む抽出剤、具体的にはTBP(トリ−n−ブチルホスフェート)等を用いることが好ましい。
中性抽出剤を用いた抽出処理に際しては、その抽出剤を炭化水素系の有機溶媒等で希釈して使用することが好ましい。例えば中性抽出剤として上述したTBPを使用する場合、有機溶媒中のTBPの濃度としては、特に限定されないが、抽出、逆抽出時の相分離性等の点を考慮すると、10体積%以上50体積%以下であることが好ましく、特に20体積%前後となる15体積%以上25体積%以下であることがより好ましい。
また、抽出時におけるスカンジウム硝酸溶解液と有機溶媒との体積割合としては、特に限定されないが、スカンジウム硝酸溶解液中のメタルモル量に対して有機溶媒モル量を0.4倍以上1.0倍以下にすることが好ましい。
[スクラビング(洗浄)工程]
上述した抽出工程S61において、不純物を抽出させた有機溶媒中にスカンジウムが僅かに共存する場合には、抽出液を逆抽出する前に、その有機溶媒(有機相)に対してスクラビング(洗浄)処理を施し、スカンジウムを水相に分離させて抽出剤から回収することが好ましい(スクラビング工程S62)。
このようにしてスクラビング工程S62を設けて有機溶媒を洗浄し、抽出剤により抽出された僅かなスカンジウムを分離させることによって、洗浄液中にスカンジウムを分離させることができ、スカンジウムの回収率をより一層に高めることができる。
スクラビングに用いる溶液(洗浄溶液)としては、特に限定されず、例えば塩酸溶液や硫酸溶液、硝酸溶液等を使用することができるが、スクラビングにより回収した洗浄液は抽出後の抽残液と共に精製してスカンジウムの回収に用いられるため、同じ液種である硝酸溶液を洗浄溶液として使用することが好ましい。また、pHの上昇によるスカンジウムの加水分解を防ぐ観点からも硝酸溶液を洗浄溶液として使用することが好ましい。具体的に、洗浄溶液として例えば硝酸溶液を用いる場合、2.0mol/l〜5.0mol/lの範囲であることが好ましく、3.0mol/l〜4.0mol/lの範囲のものを使用することが好ましい。
洗浄段数(回数)としては、不純物元素の種類、濃度にも依存することからそれぞれの中性抽出剤や抽出条件によって適宜変更することができる。例えば、有機相(O)と水相(A)の相比O/A=1とした場合、3〜5段程度の段数とすることにより、有機溶媒中に抽出されたスカンジウムを分析装置の検出下限未満まで分離することができる。
[逆抽出工程]
逆抽出工程S63では、不純物元素を抽出した有機溶媒から不純物元素を逆抽出する。具体的に、この逆抽出工程S63では、抽出剤を含む有機溶媒に逆抽出溶液(逆抽出始液)を添加して混合することによって、抽出工程S61における抽出処理とは逆の反応を生じさせて不純物元素を逆抽出し、その不純物元素を含む逆抽出後液を得る。
上述したように、抽出工程S61でのスカンジウム硝酸溶解液に対する抽出処理においては、抽出剤としてTBP等の中性抽出剤を用いて不純物元素を選択的に抽出するようにしている。このことから、その不純物元素を抽出剤を含む有機溶媒から効率的に且つ効果的に分離させて、抽出剤を再生する観点から、逆抽出溶液としては、例えば純水を用いることが好ましい。
なお、上述したスクラビング工程S502にて抽出剤を含む有機溶媒に対してスクラビング処理を施した場合には、同様に、スクラビング後の抽出剤に対して逆抽出溶液を添加して混合することによって逆抽出処理を行うことができる。
このようにして抽出後の抽出剤又はスクラビング後の抽出剤に対して純水等の逆抽出溶液を添加して逆抽出処理を行って不純物元素を分離させた後の中性抽出剤は、再び、抽出工程S61における抽出処理に用いる抽出剤として繰り返して使用することができる。
<スカンジウム回収工程>
次に、スカンジウム回収工程S7において、溶媒抽出工程S6により得られたスカンジウムを含有する抽残液からスカンジウムを回収する。このスカンジウム回収工程S7では、抽残液に含まれるスカンジウムの塩を生成させた後、その固体のスカンジウム塩を焙焼することによって酸化スカンジウムを生成させてスカンジウムを回収する。
スカンジウム回収工程S7の態様としては、特に限定されないが、例えば図1に一例を示すように、溶媒抽出工程S6で得られた抽残液にシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウムの結晶を得るスカンジウム沈殿工程S71と、シュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する焙焼工程S72とを有するものであることが好ましい。
[スカンジウム沈殿工程]
スカンジウム沈殿工程S71は、溶媒抽出工程S6で得られた抽残液(抽出後液)にシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウムの白色結晶の固体として析出、沈殿させて分離する工程である。
シュウ酸の添加量としては、特に限定されないが、抽残液中のスカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍以上2.0倍以下の量とすることが好ましい。その添加量が析出に必要な当量の1.05倍未満であると、スカンジウムを全量回収できなくなる可能性がある。一方で、添加量が析出に必要な当量の2.0倍を超えると、シュウ酸スカンジウムの溶解度が増加することでスカンジウムが再溶解して回収率が低下したり、過剰なシュウ酸を分解するために次亜塩素ソーダのような酸化剤を使用する量が増加してしまう。
シュウ酸塩化の反応時における抽残液のpHとしては、特に限定されないが、0以上2以下程度であることが好ましく、1前後であればさらに好ましい。pHが0未満のように低すぎると、シュウ酸スカンジウムの溶解度が増加し、スカンジウム回収率が低下する可能性がある。一方で、pHが2を超えると、抽残液中に含まれる不純物も沈殿を形成してしまい、スカンジウム純度が低下する原因となる。
なお、図1中には示していないが、スカンジウム沈殿工程S71におけるシュウ酸塩化処理に先立ち、溶媒抽出工程S6にて得られたスカンジウムを含有する抽残液に対して中和処理を施してスカンジウムの沈殿物を生じさせ、不純物を除去するようにしてもよい。
具体的には、溶媒抽出工程S6で得られた抽残液に対して所定の濃度の水酸化ナトリウム(中和剤)を添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を生じさせる(抽残液中和処理)。次いで、得られた水酸化スカンジウムの沈殿物に対して硫酸又は塩酸を添加して沈殿物を溶解し、スカンジウム溶解液を得る(塩酸溶解処理)。
抽残液中和処理において添加する水酸化ナトリウムの濃度としては、特に限定されないが、5mol/l以上8mol/l以下の範囲であることが好ましい。水酸化スカンジウムは、溶液(抽残液)のpHが8以上であることにより沈殿物として生成するため、沈殿物の生成と、過剰な水酸化ナトリウムの抑制との両方を考慮すると、その水酸化ナトリウムを抽残液のpHが8以上であって9以下の範囲に維持できるように添加することが好ましい。このような点において、添加する水酸化ナトリウムの濃度が5mol/l以上8mol/l以下の範囲であることにより、効率的に水酸化スカンジウムの沈殿物を生成させることができる。
このようにして中和処理を施して得られたスカンジウム溶解液に対して、上述したシュウ酸塩化処理(スカンジウム沈殿工程S71)を行うようにすることができる。これにより、より一層に高純度なスカンジウムを回収することができる。
[焙焼工程]
焙焼工程S8では、スカンジウム沈殿工程S7で得られたシュウ酸スカンジウムの沈殿物を水で洗浄し、乾燥して、焙焼することにより酸化スカンジウムを生成させる。このようにして焙焼処理を施すことで、極めて高品位な酸化スカンジウムとしてスカンジウムを回収することができる。
焙焼工程S17における焙焼処理の条件としては、特に限定されないが、例えば、乾燥後のシュウ酸スカンジウムの沈殿物を管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱すればよい。なお、工業的には、ロータリーキルン等の連続炉を用いることで、乾燥と焙焼とを同じ装置で行うことができるため好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<浸出工程S1>
先ず、ニッケル酸化鉱を濃硫酸と共にオートクレーブに装入し、245℃の温度条件下で1時間かけてスカンジウムやニッケル等の有価金属を含有する浸出スラリーを生成させ、このスラリーから各種の有価金属を含有する浸出液と、浸出残渣とに固液分離した。
<中和工程S2>
次に、分離して得られた浸出液に炭酸カルシウム(中和剤)を添加して中和処理を施した。この中和処理により、スカンジウムやニッケル等の有価金属を含有する中和後液と、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分を含有する中和澱物とを得た。
<硫化工程S3>
次に、得られた中和後液に硫化水素ガス(硫化剤)を吹き込み、ニッケルやコバルト、亜鉛を硫化物とし、この硫化処理後の液である硫化後液と分離した。
<イオン交換工程S4>
(吸着工程S41)
続いて、分離して得られた硫化後液に中和剤として消石灰を添加して、溶液のpHを1.6に調整した。加えて、消石灰添加後の液には含まれていないか、あるいは含まれているとしてもその含有量がごく微量である元素の挙動を明らかにするため、一部の元素については試薬を添加して、下記表1に示す組成の吸着元液を得た。
Figure 0006172100
表1に示す組成の吸着元液を、イミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂(製品名:ダイヤイオンCR11,三菱化学株式会社製)を充填したカラムに通液した。なお、カラムの樹脂量は40リットルとし、通液はSVが8となるように毎分5.3リットルの流量とし、2400リットル(Bed Volume:BV=60)まで通液した。通液時における給液での液温は60℃とした。
(アルミニウム除去工程S42)
次に、吸着処理後のキレート樹脂に、濃度0.1Nの硫酸溶液800リットルを(SVが40となる)毎分27リットルの流量で通液した。カラムから排出され残留したアルミニウムの多い洗浄液は、アルミ洗浄液として貯液し一部をサンプリングしてICPで分析した。その結果、分析値としては、Ni:7mg/l、Mg:1mg/l、Mn:4mg/l、Fe:1mg/l、Al:84mg/l、Sc:3mg/lであった。なお、Cr、Caの分析値は、測定可能な下限未満であった。
(スカンジウム溶離工程S43)
その後、キレート樹脂に、濃度1Nの硫酸溶液400リットルを(SVが40となる)毎分80リットルの流量で通液した。カラムから排出された溶離液は、スカンジウム溶離液として貯液し一部をサンプリングして分析した。下記表2にスカンジウム溶離液の分析結果を示す。なお、表中の「−」は、未分析又は測定可能な下限未満であったこと示す。
Figure 0006172100
(クロム除去工程S44)
続いて、キレート樹脂に、濃度3Nの硫酸溶液80リットルを(SVが40となる)毎分2.6リットルの流量で通液した。カラムから排出された洗浄液は、クロム洗浄液として貯液し一部をサンプリングして分析した。その結果、分析値としては、Fe:2mg/l、Cr:30mg/lであった。なお、Ni、Mg、Mn、Al、Ca、Scの分析値は、測定可能な下限未満であった。
<溶解工程S5>
次に、表2に示す組成のスカンジウム溶離液に、水酸化ナトリウムを添加してpHを8〜9に維持し、スカンジウムの水酸化物沈殿を生成させた。この水酸化物沈殿に硝酸溶液を添加して溶解し、キレート溶離液水酸化物溶解液(スカンジウム硝酸溶解液)を得た。下記表3に溶解液の組成を分析した結果を示す。なお、表中の「−」は、未分析又は測定可能な下限未満であったこと示し、例えば、Mg、Cr、Mn、Caの分析値は測定可能な下限未満であった。
Figure 0006172100
<溶媒抽出工程S6>
(抽出工程S61)
表3に示す組成のスカンジウム溶解液103リットルを抽出始液として溶媒出処理を行った。具体的には、その抽出始液と、中性抽出剤であるトリ−n−ブチルホスフェート(商品名:TBP、大八化学株式会社製)と有機溶剤であるテクリーンN20(JX日鉱日石株式会社製)とを用いて50体積%に調整した有機溶媒20.6リットルとを混合して室温で60分撹拌し、スカンジウムを除く不純物を含む抽出有機相と、抽出後液(抽残液)とを得た。なお、この抽出時には、クラッドが形成されることはなく、静置後の相分離も迅速に進行した。
得られた抽出有機相に含まれる各種元素の組成を分析した。下記表4に、抽出有機相に含まれる各種元素の物量を、抽出前元液に含有された各元素の物量で割った値の百分率を算出し、これを抽出率(%)として結果を示す。なお、表中の「−」は、未分析又は測定可能な下限未満であったこと示す。
Figure 0006172100
表4に示す抽出率の結果から、抽出工程S61における溶媒抽出処理を通じて、抽出前元液に含まれていたスカンジウムの大部分が抽出後液に残り、抽出されないことが分かった。加えて、抽出有機相には、ウラン、トリウムの不純物元素が高い割合で抽出された。なお、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム、コバルト、銅、亜鉛といった元素はほとんど含まれていないことが分かる。
(スクラビング(洗浄)工程S62)
次に、抽出工程S61で得られた20.6リットルの有機溶媒(抽出有機相)に対して、濃度3mol/lの硝酸溶液を、相比(O/A)が0.3の比率となる6.2リットルの量で混合し、10分間撹拌してスクラビング(洗浄)した。その後、静置して水相を分離し、有機相は再び濃度3mol/lの新たな硝酸溶液6.2リットルと混合して洗浄を繰り返し、同様にして水相を分離した。このような洗浄操作を合計3回繰り返した。
この洗浄操作後の洗浄液に含まれる各種元素の組成を分析した。下記表5に、洗浄液中に含まれる各種元素の物量を、抽出工程S61にて得られた抽出有機相中の物量で割った値の百分率を算出し、それを回収率(%)として結果を示す。なお、表中の「−」は、未分析又は測定可能な下限未満であったこと示す。
Figure 0006172100
このようにして抽出有機相を3回洗浄することにより、有機溶媒に抽出された僅かなスカンジウムを水相に分離することができ、有機溶媒中のスカンジウム濃度を10mg/l未満のレベルまで低下させることができた。
(逆抽出工程S63)
次に、洗浄後の抽出有機相に、純水を、相比O/A=1/0.3の比率となるように混合して20分撹拌し、静置して逆抽出後の有機相(有機溶媒)と逆水相(逆抽出後液)とに分離した。
<スカンジウム回収工程S7>
(スカンジウム沈殿工程S71)
次に、上述した溶媒抽出工程S6で得られた抽出後液(抽残液)に対して、その抽残液中に含まれるスカンジウム量に対して計算量で2倍となるシュウ酸・2水和物(三菱ガス社製)の結晶を溶解し、60分撹拌混合してシュウ酸スカンジウムの白色結晶性沈殿を生成させた。
(焙焼工程S72)
スカンジウム沈殿工程S71で得られたシュウ酸スカンジウムの沈殿物を吸引濾過し、純水を用いて洗浄した後、105℃で8時間乾燥させた。続いて、乾燥後のシュウ酸スカンジウムを管状炉に入れて850℃〜900℃に維持して焙焼(焼成)処理を施し、酸化スカンジウムを得た。
得られた酸化スカンジウムについて発光分光分析法によって分析し、上述の溶媒抽出処理を経て回収した酸化スカンジウムにおける不純物としてのトリウム(Th)の低減率を調べた。なお、トリウムの低減率に関しては、イオン交換工程S4により得られたスカンジウム溶離液に対して溶解工程S5での処理を行ってスカンジウム硝酸溶解液としたものを、上述した溶媒抽出処理を経ずに焙焼処理により得られた酸化スカンジウム中のトリウム量を基準として算出した。表6に、酸化スカンジウム中のトリウムの品位と低減率の算出結果を示す。
Figure 0006172100
表6に示す結果から分かるように、上述したスカンジウムの回収プロセスを経ることによって、不純物であるトリウムをほぼ完全に除去することができ、スカンジウムを酸化スカンジウム(Sc)として極めて高い純度で回収することができた。

Claims (5)

  1. スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出液と浸出残渣とを得る浸出工程と、
    前記浸出液に中和剤を加えて中和澱物と中和後液とを得る中和工程と、
    前記中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程と、
    前記硫化後液をキレート樹脂に接触させることで該硫化後液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させ、スカンジウム溶離液を得るイオン交換工程と、
    前記スカンジウム溶離液にアルカリを添加して水酸化スカンジウムの沈殿物を得た後、該水酸化スカンジウムに硝酸溶液を添加して酸溶解することでスカンジウム硝酸溶解液を得る溶解工程と、
    前記スカンジウム硝酸溶解液を中性抽出剤に接触させてスカンジウム以外の不純物元素を抽出分離し、スカンジウムを含有する抽残液を得る溶媒抽出工程と、
    前記抽残液に含まれるスカンジウムの塩を生成させ、該スカンジウム塩を焙焼して酸化スカンジウムを得るスカンジウム回収工程と
    を有するスカンジウムの回収方法。
  2. 前記キレート樹脂は、イミノジ酢酸を官能基とする樹脂であり、
    前記イオン交換工程は、
    前記硫化後液を前記キレート樹脂に接触させて前記スカンジウムを前記キレート樹脂に吸着させる吸着工程と、
    前記吸着工程でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸溶液を接触させて前記吸着工程で前記キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程と、
    前記アルミニウム除去工程を経たキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸溶液を接触させて前記スカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程と、
    前記スカンジウム溶離工程を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸溶液を接触させて前記吸着工程で前記キレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程と
    を含む請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記溶媒抽出工程は、
    前記スカンジウム硝酸溶解液と前記中性抽出剤を含む有機溶媒とを混合し、スカンジウム以外の不純物元素を抽出した抽出後有機溶媒と抽残液とに分離する抽出工程と、
    前記抽出後有機溶媒に1mol/l以上5mol/l以下の濃度の硝酸溶液を混合し、該抽出後有機溶媒からスカンジウムを回収し洗浄後有機溶媒を得るスクラビング工程と、
    前記洗浄後有機溶媒に逆抽出剤を添加し、該洗浄後有機溶媒から不純物元素を逆抽出して逆抽出液を得る逆抽出工程と
    を含む請求項1又は2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 前記スカンジウム回収工程は、
    前記溶媒抽出工程で得られた前記抽残液にシュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を得る工程と、
    前記シュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する工程と
    を含む請求項1乃至3の何れか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  5. 前記スカンジウム回収工程は、
    前記溶媒抽出工程で得られた前記抽残液に5.0mol/l以上8.0mol/l以下の濃度の水酸化ナトリウムを添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を得る工程と、
    得られた水酸化スカンジウムの沈殿物を硫酸又は塩酸で溶解し、溶解して得られた溶解液にシュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を得る工程と、
    前記シュウ酸スカンジウムの結晶を焼成する工程と
    を含む請求項1乃至3の何れか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
JP2014194808A 2014-09-25 2014-09-25 スカンジウムの回収方法 Active JP6172100B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014194808A JP6172100B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 スカンジウムの回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014194808A JP6172100B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 スカンジウムの回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016065283A JP2016065283A (ja) 2016-04-28
JP6172100B2 true JP6172100B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=55805170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014194808A Active JP6172100B2 (ja) 2014-09-25 2014-09-25 スカンジウムの回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6172100B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111777245A (zh) * 2019-04-04 2020-10-16 中国科学院过程工程研究所 一种从硫酸镍萃余液中回收硫酸钠的方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109777973B (zh) * 2019-03-20 2023-09-29 中国恩菲工程技术有限公司 从红土镍矿冶炼渣中选择性浸出钪的方法及装置
JP7276043B2 (ja) * 2019-09-24 2023-05-18 住友金属鉱山株式会社 スカンジウムの回収方法、並びにイオン交換処理方法
JP7276042B2 (ja) * 2019-09-24 2023-05-18 住友金属鉱山株式会社 スカンジウムの回収方法、並びにイオン交換処理方法
CN115974128B (zh) * 2022-12-29 2024-05-14 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 利用钛白废酸从熔盐氯化综合利用副产物中回收钪的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR1393560A (fr) * 1964-02-14 1965-03-26 Commissariat Energie Atomique Procédé de séparation uranium-thorium à partir d'une solution contenant ces deux éléments
FR2623792B1 (fr) * 1987-11-27 1991-02-15 Rhone Poulenc Chimie Procede de separation du thorium et des terres rares d'un concentre de fluorures de ces elements
JP3344194B2 (ja) * 1996-01-18 2002-11-11 大平洋金属株式会社 酸化鉱石からの高純度レアーアースメタル酸化物の製造方法
US5787332A (en) * 1996-09-26 1998-07-28 Fansteel Inc. Process for recovering tantalum and/or niobium compounds from composites containing a variety of metal compounds
JP5786895B2 (ja) * 2013-02-15 2015-09-30 住友金属鉱山株式会社 スカンジウムの回収方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111777245A (zh) * 2019-04-04 2020-10-16 中国科学院过程工程研究所 一种从硫酸镍萃余液中回收硫酸钠的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016065283A (ja) 2016-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5652503B2 (ja) スカンジウム回収方法
JP5954350B2 (ja) スカンジウム回収方法
JP5967284B2 (ja) 高純度スカンジウムの回収方法
JP6004023B2 (ja) スカンジウムの回収方法
WO2017146034A1 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6439530B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6319362B2 (ja) スカンジウム回収方法
JP6172100B2 (ja) スカンジウムの回収方法
WO2018101039A1 (ja) イオン交換処理方法、スカンジウムの回収方法
JP6172099B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6406234B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6256491B2 (ja) スカンジウムの回収方法
WO2016084830A1 (ja) 高純度スカンジウムの回収方法
JP6206358B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP7327276B2 (ja) スカンジウムの回収方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160923

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170606

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6172100

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150