WO2018101039A1 - イオン交換処理方法、スカンジウムの回収方法 - Google Patents

イオン交換処理方法、スカンジウムの回収方法 Download PDF

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Abstract

スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液から、不純物とスカンジウムとを効率的に分離し、高純度でスカンジウムを回収することができる方法を提供する。 本発明のイオン交換処理方法は、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液を、キレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程S21と、第1のイオン交換工程S21にて酸性溶液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程S22と、得られた溶離液を、キレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程S23と、第2のイオン交換工程S23にて溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離始液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程S24と、を有する。

Description

イオン交換処理方法、スカンジウムの回収方法
 本発明は、イオン交換処理方法に関するものであり、酸性溶液に含まれるスカンジウムを、キレート樹脂を用いて高純度かつ効率よく回収することができるイオン交換処理方法、及びそのイオン交換処理方法を適用したスカンジウムの回収方法に関する。
 スカンジウムは、高強度合金の添加剤や燃料電池の電極材料として極めて有用である。しかしながら、生産量が少なく、高価であるため、広く用いられるには至っていない。
 さて、ラテライト鉱やリモナイト鉱等のニッケル酸化鉱石には、微量のスカンジウムが含まれている。しかしながら、ニッケル酸化鉱石は、ニッケル含有品位が低いために、長らく、ニッケル酸化鉱石をニッケル原料として工業的に利用されてこなかった。そのため、そのニッケル酸化鉱石からスカンジウムを工業的に回収することについても、ほとんど研究されていなかった。
 ところが、近年、ニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器に装入し、240℃~260℃程度の高温に加熱して浸出してニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに分離する高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching:HPAL)法に基づくプロセスが実用化されつつある。このプロセスでは、HPAL法により得られた浸出液に中和剤を添加することで不純物成分を分離除去し、次いで不純物を除去した溶液に硫化剤を添加することでニッケルをニッケル硫化物として回収する。このような処理により得られたニッケル硫化物は、例えば、既存のニッケル製錬工程で処理されることで、電気ニッケルやニッケル塩化合物となる。
 このようなHPAL法に基づくプロセス(以下、「HPALプロセス」という)を用いる場合、ニッケル酸化鉱石に含まれるスカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれることになるが(例えば、特許文献1参照)、得られた浸出液から不純物成分を分離除去したのち、硫化剤を添加してニッケル硫化物を生成させる硫化処理を施すと、ニッケルは硫化物として回収される一方で、スカンジウムは硫化剤添加後の酸性溶液(硫化後液)に含まれるようになる。そのため、HPALプロセスを実施することで、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
 さて、例えばHPALプロセスを経て得られた硫化後液等の、スカンジウムを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法として、例えば、イミノジ酢酸塩を官能基にもつキレート樹脂にスカンジウムを吸着させて不純物と分離し、濃縮する方法が提案されている(例えば、特許文献2~4参照)。また、その酸性溶液から溶媒抽出によりスカンジウムを回収する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
 具体的に、特許文献5には、以下のような溶媒抽出の技術が開示されている。すなわち、スカンジウムの他に少なくとも鉄、アルミニウム、カルシウム、イットリウム、マンガン、クロム、マグネシウムの1種以上を含有する水相の含スカンジウム溶液に、2-エチルヘキシルスルホン酸-モノ-2-エチルヘキシルをケロシンで希釈した有機溶媒を加えて、スカンジウム成分を有機溶媒中に抽出する。次いで、有機溶媒中にスカンジウムと共に抽出されたイットリウム、鉄、マンガン、クロム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムを分離するために、塩酸水溶液を加えてスクラビングを行い、イットリウム、鉄、マンガン、クロム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムを除去する。その後、有機溶媒中にNaOH水溶液を加えて、有機溶媒中に残存するスカンジウムをSc(OH)を含むスラリーとし、これを濾過して得られたSc(OH)の沈殿物を塩酸で溶解し、塩化スカンジウム水溶液を得て、これにシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウムの沈殿として仮焼することにより高純度な酸化スカンジウムを得ることが提案されている。
 しかしながら、上述するように、ニッケル酸化鉱石には様々な不純物成分が大量に含有されており、目的とするスカンジウムはごく微量しか含有されていないのが一般的である。このように、ニッケル酸化鉱石を原料とするHPALプロセスで得られた酸性溶液を、単にキレート樹脂に通液させただけでは、鉄、アルミニウム、クロム等の不純物も大量にキレート樹脂に吸着してしまう。
 これらの不純物成分は、キレート樹脂に吸着する分配係数そのものはスカンジウムよりも小さいが、物量が多いために樹脂に吸着する量は無視できなくなり、その分だけ品位上の問題の他に、キレート樹脂に吸着するスカンジウム量が減少し、回収量、すなわち回収効率が低下するという問題があった。
 また、特許文献6には、キレート樹脂と溶媒抽出を組み合わせたプロセスが開示されている。この方法は、ニッケル酸化鉱石から高純度のスカンジウムを簡便に且つ効率よく回収するスカンジウムの回収方法を提供するものである。具体的には、スカンジウムを含有する溶液をイオン交換樹脂に通液し、次いでそのイオン交換樹脂から溶離した溶離液を溶媒抽出に付して抽残液と抽出後抽出剤とに分離し、次いで得られた抽残液に対してシュウ酸塩化処理を施しシュウ酸スカンジウムの沈殿物を得て、その後、その沈殿物を焙焼することによって酸化スカンジウムを得という方法である。そして、この方法では、溶媒抽出に使用する抽出剤としてアミン系抽出剤を用いることを特徴としている。このような方法によれば、純度が99.9%を超える高純度なスカンジウムを得ることができる。
 しかしながら、これらの方法を用いても、多量の不純物によって品質面に問題が生じてしまうのに加えて、キレート樹脂へのスカンジウム吸着量が減少し、スカンジウムの回収効率が低下するという問題は依然としてある。特に、アルミニウムは、スカンジウムよりも大量に存在することが多く、しかもキレート樹脂に吸着しやすい性質がある。
特開平3-173725号公報 特開平1-133920号公報 特開平9-176756号公報 特開平9-194211号公報 特開平9-291320号公報 特開2016-108664号公報
 本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液から、不純物とスカンジウムとを効率的に分離し、高純度でスカンジウムを回収することができるイオン交換処理方法、及びそのイオン交換処理方法を適用したスカンジウムの回収方法を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。キレート樹脂に対するイオン交換処理を2段階で行うようすることで、アルミニウムをはじめとする不純物とスカンジウムとを効率的に分離することができ、スカンジウムを高純度で回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
 (1)本発明の第1の発明は、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液からスカンジウムを分離するイオン交換処理方法であって、前記酸性溶液を、キレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程と、前記第1のイオン交換工程にて前記酸性溶液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程と、得られた溶離液を、キレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程と、前記第2のイオン交換工程にて前記溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離始液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程とを有する、イオン交換処理方法である。
 (2)本発明の第2の発明は、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収するスカンジウムの回収方法であって、前記酸性溶液を、キレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程と、前記第1のイオン交換工程にて前記酸性溶液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程と、得られた溶離液を、キレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程と、前記第2のイオン交換工程にて前記溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程とを有する処理工程を含む、スカンジウムの回収方法である。
 (3)本発明の第3の発明は、第2の発明において、前記第1の溶離工程で得られた溶離液にアルカリ及び還元剤を添加することにより、該溶離液のpH及び酸化還元電位を調整する調整工程をさらに有し、該調整工程で得られた調整後液を、前記第2のイオン交換工程に付して前記キレート樹脂に接触させる、スカンジウムの回収方法である。
 (4)本発明の第4の発明は、第2又は第3の発明において、前記第1の溶離工程では、前記キレート樹脂と接触させる前記第1の溶離始液が、0.3N以上3N未満の濃度の硫酸溶液である、スカンジウムの回収方法である。
 (5)本発明の第5の発明は、第2乃至第4のいずれか発明において、前記第2の溶離工程では、第2の溶離始液として、濃度が異なる2種類の硫酸溶液を用い、濃度が0.01N以上0.1N以下である第1の硫酸溶液と、前記キレート樹脂とを接触させてアルミニウムを含有するアルミニウム溶離液を得て、次いで、前記第1の硫酸溶液を用いた溶離処理後のキレート樹脂と、濃度が0.3N以上20N以下である第2の硫酸溶液とを接触させて、スカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る、スカンジウムの回収方法である。
 (6)本発明の第6の発明は、第3の発明において、前記調整工程では、pHが1.8以上2.2以下、酸化還元電位が銀/塩化銀電極を参照電極する値で-80mV~-120mVの範囲になるように、前記溶離液に添加するアルカリ及び還元剤の添加量を調整する、スカンジウムの回収方法である。
 (7)本発明の第7の発明は、第2乃至第6のいずれかの発明において、前記キレート樹脂は、イミノジ酢酸を官能基にもつキレート樹脂である、スカンジウムの回収方法である。
 (8)本発明の第8の発明は、第2乃至第7のいずれかの発明において、前記第1の溶離工程における溶離処理後のキレート樹脂に、3Nを超え20N以下の濃度の硫酸溶液を接触させ、該キレート樹脂に吸着し残留したクロムを除去する、スカンジウムの回収方法である。
 (9)本発明の第9の発明は、第2乃至第8のいずれかの発明において、前記酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出して得られた浸出液に対して中和処理を施し、得られた中和後液に硫化剤を添加することで生成したニッケル及び/又はコバルトの硫化物を分離した後に得られる硫化後液である、スカンジウムの回収方法である。
 (10)本発明の第10の発明は、第2乃至第9のいずれかの発明において、前記第2の溶離工程で得られたスカンジウム溶離液から、スカンジウムを含有する澱物を生成させ、該澱物を酸溶解してスカンジウム濃縮液を得る濃縮工程を含む、スカンジウムの回収方法である。
 (11)本発明の第11の発明は、第10の発明において、前記濃縮工程で得られたスカンジウム濃縮液と抽出剤とを接触させて溶媒抽出する溶媒抽出工程を含む、スカンジウムの回収方法である。
 (12)本発明の第12の発明は、第11の発明において、前記溶媒抽出工程で得られたスカンジウム含有溶液に、中和剤又はシュウ酸を添加してスカンジウムの固形物を生成させ、該スカンジウムの固形物を加熱することによって酸化スカンジウムを得る酸化スカンジウム回収工程を含む、スカンジウムの回収方法である。
 本発明によれば、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液から、不純物とスカンジウムとを効率的に分離し、高純度でスカンジウムを回収することができる。
イオン交換処理方法を適用したスカンジウムの回収方法の一例を示す工程図である。 イオン交換処理工程の流れを示す工程図である。 第2の溶離工程の流れを示す工程図である。
 以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更することができる。なお、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
 ≪1.概要≫
 本発明は、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液からスカンジウムを分離するイオン交換処理方法である。
 具体的に、このイオン交換処理方法は、スカンジウムと不純物とを含有する酸性溶液をキレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程と、第1のイオン交換工程にて酸性溶液を接触させたキレート樹脂と第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程と、得られた溶離液をキレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程と、第2のイオン交換工程にて溶離液を接触させたキレート樹脂と第2の溶離始液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程と、を有する。
 このように、本発明に係るイオン交換処理方法では、第1のイオン交換工程を経て、その後溶離処理(第1の溶離工程)を行って得られた溶離液を、第2のイオン交換工程で再びイオン交換処理を行うことを特徴としている。すなわち、キレート樹脂に対するイオン交換処理を2段階で行うようにしている。
 具体的に、第1のイオン交換工程では、スカンジウム及びスカンジウムよりもキレート樹脂に吸着しやすいアルミニウム等を優先してキレート樹脂に吸着させる処理を行い、それ以外の、キレート樹脂に吸着しないか、スカンジウムよりも吸着し難い不純物と分離する処理を行う。そして続いて、得られた溶離液を再度キレート樹脂と接触させる第2のイオン交換工程に付す。このように、第2のイオン交換工程に供給される溶離液は、第1のイオン交換工程及び第1の溶離工程にて、一度キレート樹脂による吸脱着の操作を経ているため、スカンジウム以外の不純物の存在量は、第1のイオン交換工程に供された酸性溶液中の不純物の存在量よりも、相対的に減少している。このため、第2のイオン交換工程におけるキレート樹脂へのスカンジウム吸着量は、第1のイオン交換工程におけるキレート樹脂へのスカンジウム吸着量よりもその分配が多くなり、結果として、スカンジウム回収量を増加させることができる。
 このような方法によれば、スカンジウムを含有する酸性溶液において不純物が多量に存在する場合であっても、不純物元素とスカンジウムとを効率的に分離することができる。特に、不純物としてアルミニウムを含有する酸性溶液であっても、スカンジウムを高純度に分離回収することができる。
 ここで、処理対象となる、スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液としては、例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに対して高温高圧下で硫酸により浸出処理を施して得られる溶液を挙げることができる。なお、この溶液としては、湿式製錬プロセスの浸出処理を経て得られる浸出液や、その浸出液から不純物成分を除去する中和処理を施し、得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル及び/又はコバルトを含む硫化物を回収した後の硫化後液等を挙げることができる。これらの溶液は、硫酸等の酸を含んで構成される酸性溶液であり、ニッケル酸化鉱石に由来するスカンジウムを含有する酸性溶液である。
 このように、本発明に係るイオン交換処理方法によれば、ニッケル酸化鉱石のような多くの不純物を含有する原料を対象にした場合であっても、コンパクトな設備で安定した操業を行うことができる。
 ≪2.スカンジウムの回収方法について≫
 図1は、本発明に係るイオン交換処理方法を適用したスカンジウムの回収方法の一例を示す工程図であり、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て得られた硫化後液を用いて、その硫化後液に対して特定のイオン交換処理を施し、得られたスカンジウム溶離液からスカンジウムを酸化スカンジウムとして回収する方法について説明する図である。
 図1に示すように、スカンジウムの回収方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経てスカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液を得る湿式製錬処理工程S1と、得られた硫化後液に対しイオン交換処理を施して不純物を分離したスカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程S2と、スカンジウム溶離液からスカンジウムを濃縮させる濃縮工程S3と、スカンジウムを濃縮させた溶液を溶媒抽出処理に付す溶媒抽出工程S4と、スカンジウムを回収するスカンジウム回収工程S5と、を有する。
  <2-1.湿式製錬処理工程>
 スカンジウムを回収するにあたり、ニッケル酸化鉱石に対し硫酸を用いて浸出することで得られる酸性溶液等の、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て得られる溶液を原料として用いることができる。後述するように、このスカンジウムを含有する酸性溶液が、イオン交換処理の対象溶液となる。
 具体的に、スカンジウムを含有する酸性溶液としては、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出液を得る浸出工程S11と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S12と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S13とを有する湿式製錬処理工程S1により得られる硫化後液を用いることができる。以下では、湿式製錬処理工程S1の流れを簡単に説明する。
 (1)浸出工程
 浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して240℃~260℃の温度下で撹拌処理を施し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する工程である。なお、浸出工程S11における処理は、従来知られているHPALプロセスに従って行えばよい。
 ここで、ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8~2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱石には、スカンジウムが含まれている。
 浸出工程S11では、得られた浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト、スカンジウム等を含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とに固液分離する。この固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用いて、シックナー等の固液分離設備を利用して行うことができる。
 (2)中和工程
 中和工程S12は、得られた浸出液に中和剤を添加してpH調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。この中和工程S12における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
 中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。具体的に、中和工程S12では、浸出液に中和剤を添加することにより、pHを1~4程度の範囲、より好ましくは1.5~2.5の範囲に調整する。これにより、効率的に不純物を中和澱物として除去することができる。
 (3)硫化工程
 硫化工程S13は、上述した中和工程S12により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る工程である。この硫化工程S13における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となり、スカンジウムは硫化後液に含まれることになる。
 具体的に、硫化工程S13では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を添加し、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させ、スカンジウムを含有させた硫化後液とを生成させる。
 硫化工程S13における硫化処理では、ニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーに対してシックナー等の沈降分離装置を用いた沈降分離処理を施し、ニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分である硫化後液についてはオーバーフローさせて回収する。
 以上のようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬処理工程S1の各工程を経て得られる硫化後液を、スカンジウム回収の処理対象となる、スカンジウムとその他の不純物、特にアルミニウムを含有する酸性溶液として用いることができる。
  <2-2.イオン交換工程>
 上述したように、ニッケル酸化鉱石を硫酸により浸出して得られた、スカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液を、スカンジウム回収の処理対象溶液として適用することができる。ところが、その硫化後液には、スカンジウムの他に、例えば上述した硫化工程S13における硫化処理で硫化されずに溶液中に残留したアルミニウムやクロム、その他の多種多様な不純物が含まれている。このことから、この酸性溶液からスカンジウムを回収するにあたり、予め、酸性溶液中に含まれる不純物を除去することで、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム含有溶液を生成させることが好ましい。
 具体的に、本実施の形態においては、キレート樹脂を使用したイオン交換処理による方法で、酸性溶液中に含まれるアルミニウム等の不純物を分離して除去し、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム含有溶液を得るようにする(イオン交換工程S2)。
 図2は、本実施の形態におけるイオン交換処理工程S2の流れを示す工程図である。図2に示すように、イオン交換工程S2は、スカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液をキレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程S21と、第1のイオン交換工程S21にて硫化後液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程S22と、得られた溶離液をキレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程とS23、第2のイオン交換工程S23にて溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離始液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程S24と、を少なくとも有する。
 このように、イオン交換処理工程S2では、硫化後液に対して2段階のイオン交換工程に付すことで、スカンジウムと他の不純物、特にアルミニウムを効率的に分離して、スカンジウムを濃縮する。
 (1)第1のイオン交換工程
 第1のイオン交換工程S21は、イオン交換処理の対象溶液である硫化後液を所定のキレート樹脂に接触させることで、その硫化後液中に含まれるスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程である。この第1のイオン交換工程S21では、カラムを用いた通液処理を行うものであっても、ビーカー等によるバッチ処理を行うものであってもよい。
 キレート樹脂としては、その種類は特に限定されず、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができる。イミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂によれば、より効率的にスカンジウムを吸着させることができ、好ましい。
 硫化後液をキレート樹脂に通液させてスカンジウムを吸着させるにあたり、溶液のpH範囲が低いほど、硫化後液中の不純物の吸着量は少なくなる。そのため、できるだけ低いpH領域の溶液をキレート樹脂に通液することで、不純物のキレート樹脂への吸着を抑制することができる。ただし、溶液のpHが2未満であると、不純物の吸着量だけでなく、スカンジウムの吸着量も少なくなる。そのため、極端に低いpH領域の液を樹脂に通液して吸着させるのは好ましくなく、pHの下限値としては2以上とする。
 ここで、硫化後液中に含まれる不純物として、アルミニウムは、回収対象のスカンジウムよりもキレート樹脂に吸着しやすい傾向がある。そのため、第1のイオン交換工程S21においては、キレート樹脂に対する硫化後液の通液により、そのキレート樹脂にはスカンジウムと共にアルミニウムも吸着する。また、硫化後液には、アルミニウムの他に、例えばクロム等の不純物も含まれていることから、キレート樹脂には所定の割合でクロムも吸着することがある。
 (2)第1の溶離工程
 第1の溶離工程S22は、第1のイオン交換工程S21にて硫化後液を接触させることでスカンジウムを吸着させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて、溶離液を得る溶離工程である。この第1の溶離工程S22では、キレート樹脂に吸着したスカンジウムだけでなく、アルミニウムも同時に溶離されるが、一方で、クロム等のその他の不純物元素がキレート樹脂に吸着したままの状態となる。
 具体的に、第1の溶離工程S22においては、第1の溶離始液として、硫酸溶液を用いることが好ましく、規定度を0.3N以上3N未満の範囲に維持した硫酸溶液を用いることがより好ましい。また、規定度を0.5N以上2N未満の範囲に維持した硫酸溶液を用いることがより好ましい。このように、所定の濃度の硫酸溶液を用いて溶離させることで、キレート樹脂からスカンジウムを効率的に溶離させるとともに、クロム等の不純物元素の溶離を防ぐことができる。
 硫酸溶液の濃度に関して、規定度が3N以上であると、キレート樹脂に吸着したクロムも溶離されて溶離液に含まれてしまう可能性がある。一方で、規定度が0.3N未満の硫酸溶液では、キレート樹脂からのスカンジウムの溶離が不完全となる可能性がある。
 第1の溶離工程S22で得られた溶離液は、次に、後述する第2のイオン交換工程S23へと送られ、2段階目のイオン交換処理が行われる。
 なお、必要に応じて、得られた溶離液に硫酸を加える等して濃度を調整し、さらにpHや酸化還元電位(ORP)を調整することによって、再度別のキレート樹脂を用いてスカンジウムを吸着させたキレート樹脂に対する溶離始液として再利用してもよい。このようにすることで、得られる溶離液の濃度を上昇させることができる。
 (3)第2のイオン交換工程
 第2のイオン交換工程S23は、第1の溶離工程S22から得られた溶離液を所定のキレート樹脂に接触させることで、その溶離液中に含まれるスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程である。このように、第2のイオン交換工程S23は、2段階目のイオン交換処理を行う工程であり、溶離液中に溶離させたスカンジウムをキレート樹脂に再び吸着させる。
 第2のイオン交換工程S22における処理についても、第1のイオン交換工程S21における処理と同様に、カラムを用いた通液処理を行うものであっても、ビーカー等によるバッチ処理を行うものであってもよい。
 また、キレート樹脂としては、その種類は特に限定されず、第1のイオン交換工程S21にて使用するキレート樹脂と同様に、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を好適に用いることができる。なお、第2のイオン交換工程S23において使用するキレート樹脂として、第1のイオン交換工程S21にて使用したキレート樹脂を繰り返して用いてもよいが、使用後のキレート樹脂から不純物を完全に除去するのに要する洗浄の手間や洗浄時間等を考慮すると、工業的には独立した設備とすることが望ましい。
 上述したように、第1の溶離工程S22では、キレート樹脂に吸着したスカンジウムと共にアルミニウムも溶離されることから、この第2のイオン交換工程S23においては、スカンジウムと共にアルミニウムもキレート樹脂に吸着する。ところが、第1のイオン交換工程S21及び第1の溶離工程S22を経ることで、アルミニウム以外のクロム等の他の不純物元素はほぼ除去されていることから、第2のイオン交換工程S23ではそのキレート樹脂におおむねスカンジウムとアルミニウムとが吸着する。
 (4)第2の溶離工程
 第2の溶離工程S24は、第2のイオン交換工程S23にて溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離始液とを接触させて、スカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る溶離工程である。
 この第2の溶離工程S24では、キレート樹脂からのアルミニウムの溶離と、キレート樹脂からのスカンジウムの溶離との、段階的な溶離処理が行われる。具体的には、第2の溶離始液として、濃度が異なる2種類の硫酸溶液を用い、その濃度差を利用することによってアルミニウムとスカンジウムとを段階的にそれぞれ溶離させるようにし、最終的にスカンジウムのみを溶離させたスカンジウム溶離液を得る。
 図3は、第2の溶離工程S24の流れを示す工程図である。図3に示すように、第2の溶離工程S24は、アルミニウム溶離工程S41と、スカンジウム溶離工程S42とを有する。なお、第2の溶離始液として使用する濃度の異なる2種類の硫酸溶液を、それぞれ「第1の硫酸溶液」、「第2の硫酸溶液」という。
  (アルミニウム溶離工程)
 より具体的に説明すると、第2の溶離工程S24では、先ず、濃度が0.01N以上0.1N以下である第1の硫酸溶液とキレート樹脂とを接触させることによって、キレート樹脂からアルミニウムを溶離させ、アルミニウムを含有するアルミニウム溶離液を得る。なお、溶離処理の対象となるキレート樹脂は、第2のイオン交換工程S23での吸着処理を経て得られたキレート樹脂であり、少なくともアルミニウムとスカンジウムとが吸着しているキレート樹脂である。
 アルミニウム溶離工程では、上述したように、濃度が0.01N以上0.1N以下である第1の硫酸溶液を用いてキレート樹脂からのアルミニウムの溶離処理を行う。この第1の硫酸溶液としては、より好ましくは0.05N程度の濃度の溶液を用いる。このような濃度範囲の硫酸溶液を溶離液として用いることで、キレート樹脂に吸着したアルミニウムを選択的に溶離させ、溶離液中に徐去することができる。
 アルミニウムを溶離させて除去する際、第1の硫酸溶液のpHを1.0以上2.5以下の範囲に維持することが好ましく、1.5以上2.0以下の範囲に維持することがより好ましい。溶液のpHが1未満であると、アルミニウムだけでなく、スカンジウムもキレート樹脂から溶離されてしまう可能性があり、一方で、pHが2.5を超えると、アルミニウムが適切にキレート樹脂から溶離されない可能性がある。
 なお、このような1段階目の溶離処理により得られるアルミニウム溶離液には、若干のスカンジウムも含まれる場合があり、このような場合には、別途中和してアルミニウムを沈殿させて固液分離し、スカンジウムを含有する中和後液を再度硫化後液等に混ぜる等して、スカンジウムをロスなく回収することができる。
  (スカンジウム溶離工程)
 第2の溶離工程S24では、次に、濃度が0.3N以上20N以下である第2の硫酸溶液とキレート樹脂、すなわちアルミニウム溶離工程を経たキレート樹脂とを接触させることによって、キレート樹脂からスカンジウムを溶離させ、スカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る。なお、この工程を、「スカンジウム溶離工程」ともいう。
 スカンジウム溶離工程では、上述したように、濃度が0.3N以上20N以下である第2の硫酸溶液を用いてキレート樹脂からのスカンジウムの溶離処理を行う。硫酸溶液の濃度が0.3N未満であると、スカンジウムがキレート樹脂から溶離されない可能性があり、一方で、濃度が20Nを超えると、それ以上にスカンジウムの溶離効果は向上せず、むしろ濃度が上昇することによりキレート樹脂の劣化を促進させ、繰り返しの利用ができなくなり、交換に要するコストの増加をもたらす。また、高濃度の硫酸溶液を扱うことになり、取り扱いの安全性の問題も生じる。
 以上のようにして、2段階の溶離処理を行うことにより、有効にアルミニウムと分離させて、スカンジウムのみを含有するスカンジウム溶離液を得ることができる。
  (溶離液の溶離始液としての再利用について)
 アルミニウム溶離工程で得られたアルミニウム溶離液や、スカンジウム溶離工程で得られたスカンジウム溶離液については、酸濃度やpH、ORPを調整することによって、アルミニウムを溶離するための溶離始液(第1の硫酸溶液)や、スカンジウムを溶離するための溶離始液(第2の硫酸溶液)として再利用してもよい。このようにすることで、得られる溶離液、特にスカンジウム溶離液の濃度を上昇させることができる。
  (スカンジウム溶離液を用いたキレート樹脂への再吸着)
 また、必須の態様ではないが、図2に示すように、得られたスカンジウム溶離液のpH等を調整して調整後液とし、その調整後液を第2のイオン交換工程S23に移送して、キレート樹脂に対する吸着(再吸着)処理を繰り返し行うようにしてもよい。このような調整後液を用いて再びキレート樹脂に吸着させ、その後、アルミニウム溶離工程、スカンジウム溶離工程を経てスカンジウム溶離液を得るようにすることで、回収できるスカンジウムの品位を高め、品質を向上させることができる。また、薬剤コストや設備規模を縮減することもできる。
 具体的には、例えば、得られたスカンジウム溶離液に中和剤を添加してpHを2以上4以下の範囲、好ましくはpH3を中心とした2.7以上3.3以下の範囲に調整する。次いで、還元剤を添加し、さらに硫酸を添加することでpHを1以上2.5以下の範囲、好ましくはpH2を中心とした1.7~2.3の範囲に調整する。これにより、スカンジウム溶離液を調整した調整後液を得る。そして、pH等を調整した調整後液を第2のイオン交換工程S23に供給し、キレート樹脂に対する吸着処理を行う。つまり、調整後液を用いてキレート樹脂にスカンジウムを再吸着させる。その後、上述したように、キレート樹脂に対して第1の硫酸溶液を用いた溶離処理を行うアルミニウム溶離工程と、キレート樹脂に対して第2の硫酸溶液を用いたスカンジウム溶離工程を繰り返して実行する。
 中和剤としては、特に限定されず従来公知のもの用いることができ、例えば、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、還元剤についても、特に限定されず従来公知のものを用いることができ、例えば、硫化水素や硫化ナトリウム等の硫化剤、二酸化硫黄ガス、ヒドラジン等が挙げられる。
 スカンジウム溶離液を調整するに際しては、例えば、溶液の酸化還元電位(ORP)が銀/塩化銀電極を参照電極とする値で200mVを越えて300mV以下となる範囲に調整され維持されるようにスカンジウム溶離液に還元剤を添加することが好ましい。ORPが200mV以下であると、例えば還元剤として添加した硫化剤に由来する硫黄分が微細な固体として析出し、濾過処理する際に濾布を目詰まりさせて生産性の低下原因となる。また、キレート樹脂に再通液する際にも、キレート樹脂を充填させた塔内で目詰まりや液流れの偏りを生じさせ均一な通液が行えない等の原因となる。一方、ORPが300mVを超えると、残留する鉄イオン等がキレート樹脂に吸着することがあり、スカンジウムの吸着を阻害する可能性がある。
 調整したスカンジウム溶離液(調整後液)を用いてキレート樹脂への再吸着を行うにあたり、そのキレート樹脂としては、既に使用したものを再使用してもよいし、新たなキレート樹脂を使用してもよい。ただし、不純物のコンタミを防止する観点からすると、スカンジウムを溶離する際に3N以上の高濃度の硫酸溶液を用いて残留不純物までも溶離させたキレート樹脂を再使用するか、新たなキレート樹脂を使用することが好ましい。
 このように、得られたスカンジウム溶離液を用いて同種のキレート樹脂に再び通液してスカンジウムを吸着させ、その後、スカンジウム溶離工程S42にて用いたものと同様の濃度の硫酸溶液(第2の硫酸溶液)を用いて溶離処理することで、スカンジウム溶離液に含まれていた不純物をさらに低減し、スカンジウム濃度を高めることができる。
 なお、このような吸着とスカンジウムの溶離とを数多く繰り返すほど、回収されるスカンジウムの濃度を高めることができるが、過剰に繰り返しても、コストや処理の手間の割に回収されるスカンジウム濃度の上昇の程度が小さくなる。そのため、工業的には、繰り返し回数としては概ね8回以下程度とすることが好ましい。
 (5)調整工程
 ここで、イオン交換処理工程S2における工程としては戻るが、図2に示すように、第1の溶離工程S22から得られた溶離液に対し、アルカリ及び還元剤を添加することで、pHや酸化還元電位(ORP)を所定の範囲に調整する調整工程S25を設けてもよい。
 具体的に、調整工程S25では、第1の溶離工程S22を経てスカンジウムを溶離させて得られた溶離液に対して、アルカリ及び還元剤を添加することによって、その溶離液のpHを1.8~2.2の範囲に調整し、また、ORPが銀/塩化銀電極を参照電極とする値で-(マイナス)80mV~-120mVの範囲に調整する。このような調整により、溶液中に含まれるスカンジウムイオンよりもキレート樹脂に吸着されやすい3価の鉄イオンを2価の鉄イオンの形態に還元し、第2のイオン交換工程S23においてスカンジウムイオンがキレート樹脂に吸着されやすくすることができる。
 このように、溶離液のpHやORPを所定の範囲に調整して調整後液を得るようにし、その調整後液を、第2のイオン交換工程S23に供給してキレート樹脂に対する吸着処理を施すことによって、調整後液に含まれるスカンジウムのキレート樹脂への吸着効率を高めることができる。
 アルカリとしては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を用いることができる。また、還元剤についても、特に限定されず、硫化水素、水流化ナトリウム、硫化ナトリウム等を用いることができる。
 なお、第2のイオン交換工程S23へは、図2に示しているように、第1の溶離工程S22を経て得られた溶離液をそのまま供給してもよく、上述したような調整工程S25にて溶離液を所定に条件に調整した調整後液として供給してもよい。
 (6)キレート樹脂からの不純物除去について
  (クロムの除去)
 また、第1のイオン交換工程S21においては、スカンジウムやアルミニウムの他、不純物元素としてクロムがキレート樹脂に吸着する。上述したように、キレート樹脂に吸着したクロムは、第1の溶離工程S22における溶離処理では溶離されずにキレート樹脂に残存する。なお、これにより、スカンジウムと効率的に分離することができる。
 スカンジウムを溶離した後のクロムが吸着したままのキレート樹脂に対しては、所定の硫酸溶液を接触させることによって、キレート樹脂に吸着したクロムを除去し、キレート樹脂の吸着容量を回復させることが好ましい。
 具体的には、スカンジウムを溶離した後のキレート樹脂に対して、3N以上の濃度の硫酸溶液を接触させることによって、そのキレート樹脂に吸着したクロムを除去する。硫酸溶液としては、濃度が3N未満であると、吸着したクロムが適切にキレート樹脂から除去されないため好ましくない。一方で、硫酸溶液の濃度の上限としては特に限られないが、過度に高濃度の硫酸溶液を用いてもクロムの除去効果はそれ以上向上せず、むしろ濃度が高くなることでキレート樹脂の劣化を促進させ、交換に要するコストの増加をもたらす。また、高濃度の硫酸溶液を扱うことにより取扱いの安全上の問題が生じる。これらのことから、使用する硫酸溶液の濃度としては、20N以下とすることが好ましい。
 このようにしてクロムが除去されたキレート樹脂は、吸着容量が回復したものであり、第1のイオン交換工程S21において使用するキレート樹脂として再利用することができる。これにより、新規なキレート樹脂を用意する必要がなくなり、効率的な処理を行うことが可能になる。
  (鉄除去工程)
 また、ニッケル酸化鉱石に湿式処理を施して得られた硫化後液には、不純物として鉄が含まれている場合がある。このような場合、第1のイオン交換工程S21でキレート樹脂に吸着したスカンジウムやアルミニウムを、第1の溶離工程S22にて溶離するに先立ち、吸着処理後のキレート樹脂に対して硫酸溶液を接触させて、キレート樹脂に吸着した鉄を除去しておくことが好ましい。
 具体的に、鉄を除去するために使用する硫酸溶液としては、第1の溶離工程S22にて使用する硫酸溶液よりも、規定度が小さく、pHが1以上3以下程度の範囲であるものを用いることが好ましい。これにより、キレート樹脂から鉄を選択的に除去することができる。硫酸溶液のpHが1未満となるほどの高濃度の硫酸溶液では、鉄だけでなく、スカンジウムもキレート樹脂から除去されることがあり、また、pHが3を超えるほど希薄な硫酸溶液では、鉄が適切にキレート樹脂から除去されずに残留することがある。
  <2-3.濃縮工程>
 濃縮工程S3は、イオン交換処理工程S2を経て得られたスカンジウム溶離液に含まれる不純物成分をスカンジウムと分離して、スカンジウムを濃縮させる工程である。
 具体的には、スカンジウム溶離液に含まれるスカンジウムの沈殿を生じさせることによって不純物と分離し、さらに得られたスカンジウムの沈殿を、硫酸や塩酸等の酸溶液により溶解することにより、不純物を分離除去せいたスカンジウム濃縮液を生成させる。なお、このようにして得られたスカンジウム濃縮液は、次工程の溶媒抽出工程S4における抽出始液として処理に供される。
 濃縮手法として、特に限定されないが、例えば、水酸化中和、シュウ酸化、又は水酸化中和とシュウ酸化との両方を行うことのいずれを採用してもよい。また、これらの方法で生成したスカンジウム沈殿物を溶解する際には、その沈殿物の溶解度付近で溶解することが好ましい。得られた沈殿物の溶解度付近で溶解することで、一度固体を析出させて任意の濃度に再溶解できるため、スカンジウム濃度を任意に選択でき高めることができる。これにより、次工程の溶媒抽出工程S4での液量、延いては設備規模を縮減できる点で工業的に極めて好ましい態様となる。
 なお、スカンジウム沈殿物を溶解する際に使用する酸溶液としては、塩酸、硫酸のいずれを用いてもよいが、硫酸溶液を用いることの方がコストや取り扱い等の点で好ましい。
  (水酸化中和)
 例えば、水酸化中和の処理においては、得られたスカンジウム溶離液に中和剤を添加することによってスカンジウムの沈殿物(水酸化スカンジウム)を生成させ、固液分離することで回収する。次いで、回収したスカンジウム沈殿物に硫酸や塩酸等の酸溶液を添加し、その沈殿物を溶解させることによって、スカンジウムが溶解した酸性溶液を得る。
 中和剤としては、特に限定されず従来公知のものを用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。その中でも、スカンジウム溶離液が硫酸溶液である場合、カルシウム分を含む中和剤を用いると石膏が生成するため、その場合には水酸化ナトリウム等を中和剤として用いることが好ましい。
 水酸化中和の処理においては、スカンジウム溶離液に中和剤を添加することによって、溶液のpHを8以上9以下の範囲とすることが好ましい。pHが8未満であると、中和が不十分となってスカンジウムを十分に回収できない可能性があり、一方で、pHが9を超えると、中和剤の使用量が増加するためにコスト増となる。
  (シュウ酸化)
 また、シュウ酸化の処理においては、得られたスカンジウム溶離液にシュウ酸を添加することによってシュウ酸スカンジウムの結晶を生成させる。次いで、回収したシュウ酸スカンジウム沈殿物に硫酸や塩酸等の酸溶液を添加し、その結晶を溶解させることによって、スカンジウムが溶解した酸性溶液を得る。
 シュウ酸化の処理において、シュウ酸スカンジウムの結晶生成時におけるpH条件としては、0以上0.5以下であることが好ましい。pHが低すぎると、スカンジウムのシュウ酸塩の溶解度が増加して再溶解してスカンジウム回収率が低下する可能性がある。一方で、pHが高すぎると、シュウ酸スカンジウムの結晶と共に、スカンジウム溶離液中に含まれる不純物の沈殿物が生成し、スカンジウムの純度を下げてしまう可能性がある。
 シュウ酸の添加量としては、特に限定されないが、スカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍以上1.2倍以下であることが好ましい。添加量が必要な当量の1.05倍未満であると、スカンジウムを全量回収できなくなる可能性がある。一方で、添加量が必要な当量の1.2倍を超えると、シュウ酸スカンジウムの溶解度が増加することでスカンジウムが再溶解して回収率が低下する可能性がある。
  (水酸化中和とシュウ酸化との併用)
 また、水酸化中和とシュウ酸化との両方の併用処理においては、先ず、得られたスカンジウム溶離液に対して水酸化中和の処理を行うことで、水酸化スカンジウムを含む沈殿物を生成させる。次に、生成した沈殿物に塩酸等の酸溶液を添加して再溶解し、得られた再溶解液にシュウ酸を添加することで、シュウ酸スカンジウムの結晶を生成させる。そして、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶に硫酸や塩酸等の酸溶液を添加し、その結晶を溶解させることによって、スカンジウムが溶解した酸性溶液を得る。
 なお、水酸化中和とシュウ酸化のそれぞれの処理段階における条件としては、上述したものと同様の条件とすることができる。
 以上のように、スカンジウムを濃縮させる濃縮工程S3を設けることにより、スカンジウム溶離液に含まれる不純物を大幅に除去でき、例えば溶媒抽出工程S4に係る工数を有効に軽減することができる。また、溶媒抽出工程S4に供する抽出始液の濃度を任意に調整することができるため、抽出処理に使用する設備規模の縮小による設備投資の削減を図ることができ、また、始液濃度の安定化により操業を安定化させることができる。
  <2-4.溶媒抽出工程>
 溶媒抽出工程S4では、濃縮工程S3を経てスカンジウムが濃縮されたスカンジウム溶解液を抽出始液として、その抽出始液を所定の抽出剤に接触させることによって溶媒抽出処理を行う。
 溶媒抽出処理の態様としては、特に限定されないが、例えば、抽出始液であるスカンジウム溶解液溶離液と有機溶媒である抽出剤とを混合して、スカンジウムを抽出した抽出後有機溶媒と抽残液とに分離する抽出工程と、抽出後有機溶媒に塩酸溶液又は硫酸溶液を混合して抽出後有機溶媒から不純物を分離して洗浄後有機溶媒を得るスクラビング工程と、洗浄後有機溶媒に逆抽出剤を添加し、洗浄後有機溶媒からスカンジウムを逆抽出して逆抽出物を得る逆抽出工程とを有する処理を例示することができる。このような溶媒抽出処理を行うことで、スカンジウム溶解液に含まれるスカンジウムの純度をより一層に高めることができる。
  [抽出工程]
 抽出工程では、抽出始液であるスカンジウム溶解液と、抽出剤を含む有機溶媒とを混合して、有機溶媒中にスカンジウムを選択的に抽出する。
 抽出剤としては、様々な種類があり特に限定されないが、スカンジウムとの選択性からすると、リンを含む酸性抽出剤、具体的には、ジ-2-エチルヘキシルリン酸(D2EHPA)、2-エチルヘキシルスルホン酸-モノ-2-エチルヘキシル(2-ethylhexy 2-ethylhexyl phosphoric acid)(大八化学(株)製、商品名:PC-88A)等を用いることが好ましい。
 また、抽出挙動としては上述した酸性抽出剤とは異なるが、特許文献6に示されるようなアミン系抽出剤を用いることもできる。アミン系抽出剤を用いた抽出処理では、抽出剤を含む有機溶媒中に不純物成分が抽出され、スカンジウムは抽残液中に移行する。この場合、得られた抽残液を用いて、後述するスカンジウム回収工程S5に供することで、スカンジウムを有効に回収することができる。
 抽出剤は、例えば、炭化水素系の有機溶媒等で希釈して使用することが好ましい。例えば、有機溶媒中の抽出剤の濃度としては、特に限定されないが、抽出、逆抽出時の相分離性等を考慮すると、好ましくは10体積%以上30体積%以下、より好ましくは20体積%前後となる15体積%以上25体積%以下となるようにする。
 また、抽出処理において、抽出剤を含む有機溶媒と抽出始液との体積割合としては、例えば、抽出始液中のメタルモル量に対して有機溶媒モル量を0.4倍以上1.0倍以下とすることが好ましい。
  [スクラビング(洗浄)工程]
 スカンジウムを抽出した有機溶媒中にスカンジウム以外の不純物元素が共存する場合には、次の逆抽出工程にて抽出液を逆抽出する前に、有機溶媒(有機相)にスクラビング(洗浄)処理を施し、不純物元素を水相に分離して抽出剤から除去することが好ましい。
 スクラビングに用いる溶液(洗浄溶液)としては、塩酸溶液や硫酸溶液を使用することができる。例えば、塩酸溶液として、5.0mol/L以上7.0mol/L以下の濃度範囲のものを用いることが好ましく、硫酸溶液としては、抽出剤がD2EHPAである場合には2.5mol/L以上3.5mol/L以下の濃度範囲のもの、抽出剤がPC-88Aである場合には2.0mol/L以上5.0mol/L以下の濃度範囲のものをも散ることが好ましい。なお、上述したように、抽出剤としてはD2EHPAやPC-88A等の酸性抽出剤の使用に限られるものではない。
 洗浄段数(回数)としては、有機相(O)と水相(A)の相比O/A=1とした場合、不純物元素の種類、濃度にも依存するため、抽出剤や抽出条件等によって適宜変更できるが、3段~8段の段数があればほぼすべての元素を分析下限未満まで分離できる。
  [逆抽出工程]
 逆抽出工程では、スカンジウムを抽出した有機溶媒からスカンジウムを逆抽出する。この逆抽出工程は、有機溶媒と逆抽出溶液(逆抽出始液)とを混合することによって、抽出時の逆反応を進行させる工程である。
 例えば、抽出剤として酸性抽出剤を用いる場合には、スカンジウムを有機溶媒から分離するためには、アルカリを用いて有機溶媒中に含まれるスカンジウムの結合を切る必要である。そのため、逆抽出溶液(逆抽出始液)としては、水酸化ナトリウムをはじめとした強アルカリ溶液を用いることが好ましい。
 アルカリによって逆抽出処理を行った場合、その生成物は、水酸化スカンジウムの固体と、有機溶媒及びアルカリ性の逆抽出後液を含む液相との混合物であり、スラリー状である。したがって、逆抽出工程では、まず、生成物を濾過し、水酸化スカンジウムの固体を液相から分離する。続いて、液相に酸を加えて、液相を有機相と水相とに比重分離する。これらの工程を経て得られた水酸化スカンジウムの固体を逆抽出物として次工程に供給する。なお、水酸化スカンジウムの固体に有機相の付着が認められる場合には、この固体を洗浄することが好ましい。
  <2-5.スカンジウム回収工程>
 スカンジウム回収工程S5は、溶媒抽出工程S4を経て回収されたスカンジウム塩を用いて、酸化スカンジウムの形態としてスカンジウムを回収する工程である。
 具体的には、溶媒抽出工程S4での処理により得られた固体のスカンジウム塩を焙焼する焙焼処理を行うことによって酸化スカンジウムを生成させ、この酸化物の形態でスカンジウムを回収する。上述のように、溶媒抽出工程S4において酸性抽出剤を用いた抽出処理を行うと、逆抽出処理を経ることで水酸化スカンジウムの沈殿物を得ることができる。そのため、得られた固体の水酸化スカンジウムをそのまま焼成することによって、酸化スカンジウムの固体を得ることができる。
 ただし、逆抽出処理により得られた固体の水酸化スカンジウムは、依然として不純物が含まれている可能性があるため、スカンジウムの純度をさらに高めるため、焙焼処理を施す前に、回収した水酸化スカンジウムを塩酸等の酸溶液で溶解し、その後シュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムにする沈殿化処理(スカンジウム沈殿工程)を行うことが好ましい。その後、得られたシュウ酸スカンジウムに対して焙焼処理(焙焼工程)を施すことで、高純度な酸化スカンジウムを得ることができる。
  [スカンジウム沈殿工程]
 具体的に、スカンジウム沈殿工程は、溶媒抽出工程S4を経て逆抽出物として得られたスカンジウム塩を酸溶液で中和し、さらに得られたスカンジウムの溶解液にシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウムの固体として析出、沈殿させる工程である。
 酸溶液を用いてスカンジウム塩を溶解するときのpH条件としては、特に限定されないが、0以上0.5以下であることが好ましい。pHが0未満のように低すぎると、スカンジウムシュウ酸塩の溶解度が増加し、スカンジウム回収率が低下する可能性があり、一方で、pHが0.5を超えると、得られる溶解液中に不純物の沈殿が生成して、その後に回収されるスカンジウムの純度が低下する可能性がある。
 スカンジウムを溶解させた溶解液に対するシュウ酸の添加量としては、特に限定されないが、スカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍以上1.2倍以下の量とすることが好ましい。
  [焙焼工程]
 焙焼工程は、スカンジウム沈殿工程で得られたシュウ酸スカンジウムの沈殿物を水で洗浄し、乾燥して、焙焼する工程である。この焙焼工程を経ることで、極めて高品位なスカンジウムを酸化スカンジウムの形態で回収することができる。
 焙焼の条件としては、特に限定されず、例えば、管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱することによって行うことができる。工業的には、ロータリーキルン等の連続炉を用いると、乾燥と焼成(焙焼)を同じ装置で行うことができるため好ましい。
 以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
 [実施例1]
 ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て得られた硫化後液を用い、スカンジウムを回収した。
  <湿式製錬工程>
 (浸出工程)
 ニッケル酸化鉱石のスラリーを濃硫酸と共に加圧反応容器(オートクレーブ)に装入し、245℃の条件下で1時間かけて、スカンジウムやニッケル等の有価金属を浸出させる処理を行った。そして、この浸出処理により得られたスラリーを固液分離し、各種の有価金属を含有する浸出液と浸出残渣とを得た。
 (中和工程)
 次に、得られた浸出液に炭酸カルシウムを添加し、pHを調整して中和処理を行った。その後、得られたスラリーを固液分離して、中和澱物と中和後液とを得た。なお、スカンジウムやニッケル等の有価金属は中和後液に含まれていた。
 (硫化工程)
 次に、得られた中和後液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルやコバルト、亜鉛を硫化物として析出させた。生成した硫化物を固液分離して回収し、一方で、硫化物を分離した後の溶液として硫化後液(酸性溶液)を得た。なお、硫化後液には、スカンジウムが含まれていた。
  <イオン交換処理工程>
 次に、得られた硫化後液とキレート樹脂とを接触させることによって、スカンジウムをキレート樹脂に吸着させるイオン交換処理を行った。
 (第1のイオン交換工程)
 先ず、得られた硫化後液に、中和剤として炭酸カルシウム、還元剤として水流化ナトリウムを添加して、pHを1.8、酸化還元電位(ORP)を-100mV(参照電極:銀/塩化銀電極)に調整した。pHとORPの調整は、両方を同時に並行しつつ行い、いずれもが目標範囲に入るように調整した。
 また、調整後の溶液には含まれていないか、含まれているとしても含有量がごく微量である元素の挙動も明らかにするために、一部の元素については試薬を添加して、下記表1に示す組成の吸着始液を得た。なお、表1に示したように、各元素(表中では「M」と表記)の濃度をスカンジウム濃度で割った存在比(表中では「M/Sc比」と表記)は、アルミニウムで2990/20.8=144となり、スカンジウムよりもはるかに多い。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 そして、表1に示す組成の吸着始液(元液)を、イミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂(商品名:ダイヤイオンCR11,三菱化学(株)製)と共にビーカーに入れ、撹拌しながら30分間接触させるイオン交換処理を行った。なお、樹脂量は90mlとし、吸着始液量は1350ml(BV=15相当)であった。また、反応温度は60℃とした。
 イオン交換処理の後、キレート樹脂と吸着後の液(吸着後液)とを濾過により分別した。吸着後液は一部をサンプリングし、ICPを用いて分析した。上記表1に、吸着後液のICP分析結果を併せて示す。表1に示したように、吸着後液はスカンジウム濃度が減少していることがわかり、すなわちキレート樹脂に吸着されたことがわかる。
 (第1の溶離工程)
 次に、濾別後のキレート樹脂を純水で素早く洗浄し、表面に付着した吸着後液を除去した。そして、洗浄後のキレート樹脂13mlと、溶離液として濃度2Nの硫酸溶液53mlとをビーカーに入れて混合し、30分間撹拌して溶離処理を行った。撹拌後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 さらに、回収したキレート樹脂11mlと、液と樹脂の混合比を合わせた、溶離液である濃度2Nの硫酸溶液46mlとを再びビーカー内で混合して30分間撹拌し、2回目の溶離処理を行った。なお、反応温度は室温とした。その後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPを用いて分析した。
 下記表2に、1回目の溶離処理で得られた溶離液と、2回目の溶離処理で得られた溶離液の組成を示す。また、下記表3に、第1のイオン交換工程での吸着率、溶離工程での溶離率の測定結果をまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示されるように、第1のイオン交換工程と第1の溶離工程とを経ることで、スカンジウムが有効に回収されていることがわかった。また、表1に組成を示す吸着始液においては、アルミニウム/スカンジウムの濃度比が144であったが、第1のイオン交換工程と第1の溶離工程を経て得られた溶離液における濃度比は、344/61.7=5.6となり、吸着処理前の144から約26分の1程度にまで減少した。すなわち、アルミニウムをある程度の割合で除去することができた。
 なお、第1の溶離工程で得られたキレート樹脂5mlと、濃度3Nの硫酸溶液100mlとをビーカー内で混合して30分間撹拌し、キレート樹脂に吸着したクロムを除去する処理を行った。なお、反応温度は室温とした。その後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 (調整工程)
 次に、第1の溶離工程で得られたスカンジウム溶離液(通算の溶液)に、炭酸カルシウムのスラリーや水流化ナトリウムを添加して、pHが2.0、ORPが-81mVとなるように調整した。表4に、調整して得られた調整後液の組成を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 (第2のイオン交換工程)
 次に、表4に示す組成の吸着始液を、イミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂(製品名:ダイヤイオンCR11,三菱化学(株)製)と共にビーカーに入れ、撹拌しながら30分間接触させるイオン交換処理を行った。なお、樹脂量は5mlとし、吸着始液量は84ml(BV=17相当)であった。また、反応温度は30℃とした。その後、キレート樹脂と吸着後液とを濾過により分別した。吸着後液は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 下記表5に、第2のイオン交換工程での各元素の吸着率の測定結果を示す。表5に示すように、スカンジウムが選択的に吸着されていることがわかった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 (第2の溶離工程)
 ・アルミニウム溶離工程
 次に、吸着処理後に得られたキレート樹脂5mlと、濃度0.1Nの硫酸溶液50mlとをビーカーに入れて混合し、30分間撹拌して溶離処理を行った(アルミニウムの溶離)。なお、反応温度は室温とした。撹拌後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 ・スカンジウム溶離工程
 続いて、アルミニウムを溶離させた後のキレート樹脂5mlと、濃度0.5Nの硫酸溶液20mlとをビーカーに入れて混合し、30分間撹拌して溶離処理を行った(スカンジウムの溶離)。なお、反応温度は室温とした。撹拌後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 下記表6は、アルミニウムの溶離処理で得られた溶離液(アルミニウム溶離液)と、スカンジウムの溶離処理で得られた溶離液(スカンジウム溶離液)のそれぞれの組成を示し、また、下記表7では溶離率の測定結果をまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表6、7に示すように、スカンジウムの溶離処理を経ることでスカンジウムを選択的に溶離することができることがわかる。
 また、表7に示すように、スカンジウムに対するアルミニウムの濃度比は0.1と大幅に低減できており、高品位なスカンジウムを得ることができた。また、その他の不純物である鉄、マグネシウム、マンガン等についても、効果的に低減させることができた。
 なお、これら不純物を大幅に低減することができたことにより、特に第2のイオン交換工程でのキレート樹脂の吸着量に余裕が生じ、得られたスカンジウム溶離液の繰り返しや通液の繰り返しを行うことで、スカンジウム溶離液中のスカンジウム濃度を高めて回収率を向上させることが期待できる。
  <濃縮工程>
 次に、表6に組成を示したスカンジウム溶離液に、水酸化ナトリウムを添加してpHを8~9に調整し維持して、水酸化スカンジウムの沈殿を生成させた。その後、その沈殿物に硫酸を添加して再溶解し、水酸化スカンジウムの溶解液(水酸化物溶解液)を得た。下記表8に、得られた溶解液の組成を分析した結果を示す。なお、Mg、Cr、Mn、Caの分析値は、測定可能な下限以下であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
  <溶媒抽出工程>
 (抽出工程)
 次に、表8に示した溶解液と同組成の溶解液103Lを用意し、これを抽出始液として溶媒抽出処理を行った。具体的には、用意した抽出始液に、酸性抽出剤であるジ-2-エチルヘキシルリン酸(D2EHPA、ランクセス社製)をテクリーンN20(JX日鉱日石(株)社製)を用いて13体積%に調整した有機溶媒2.6Lを混合し、室温で60分間撹拌して抽出処理を行った。これにより、スカンジウムを含む抽出有機相を得た。なお、抽出時にはクラッドの形成は認められず、静置後の相分離も迅速に進行した。
 得られた抽出有機相に含まれる各種元素の組成を分析し、抽出有機相に含まれる各種元素の物量を、抽出始液(抽出前元液)に含まれていた各元素の物量で割った値を抽出率として算出した。下記表9に、各元素の抽出率の算出結果をまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 表9に示すように、抽出処理によって、抽出前元液に含まれていたスカンジウムはほぼ全て抽出有機相に抽出された。加えて、抽出有機相には、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム、コバルト、銅、亜鉛といった元素はほとんど抽出されなかった。
 (スクラビング(洗浄)工程)
 次に、抽出処理により得られた、スカンジウムを含む2.6Lの有機溶媒(抽出有機相)に、濃度6.5mol/Lの塩酸溶液を、相比(O/A)が1の比率となる2.6Lの割合で混合し、10分間撹拌して洗浄した。撹拌後、静置して水相を分離し、有機相は再び濃度6.5mol/Lの新たな塩酸溶液2.6Lと混合して洗浄し、同様に水相を分離した。このような洗浄操作を合計3回繰り返した。
 このように抽出有機相を3回洗浄することにより、その有機相に溶出したスカンジウム以外の不純物金属濃度を1mg/L以下のレベルまで除去することができた。一方で、スカンジウムについては、10mg/Lの低いレベルのロスに留まり、有機溶媒に抽出したスカンジウムを水相に分離させずに、不純物のみを効果的に除去することができた。
 (逆抽出工程)
 次に、洗浄後の抽出有機相に、濃度6mol/Lの水酸化ナトリウムを、相比O/A=1/1の比率となるように混合して20分間撹拌し、スカンジウムを水相に逆抽出した。逆抽出処理によって、析出した固体と液相とが混じったスラリー状態となったため、濾過することで固体と液相とを分離した。固体については、水洗浄し、その固体に付着する有機相や逆抽出後液を除去した。液相については、液相に塩酸を添加して5分間撹拌し、静置して逆抽出後有機溶媒の有機相と逆抽出後液の水相とを分離した。
 また、逆抽出処理によって析出した固体(水酸化スカンジウム)に含まれる各種元素の組成を分析し、固体に含まれる各種元素の物量を、抽出工程での抽出処理において有機相に抽出された各種元素の物量で割った値を回収率として算出した。下記表10に、各元素の回収率の算出結果をまとめ示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 表10に示すように、溶媒抽出工程を通じて、抽出前元液に含まれていたスカンジウムを、固体(水酸化スカンジウム)としてほぼ全て回収できたことがわかる。さらに、回収された水酸化スカンジウムには、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、クロム、マンガン、カルシウム、コバルト、銅、亜鉛といった元素はほとんど含まれず、高品位な水酸化スカンジウムが得られた。
  <スカンジウム回収工程>
 (スカンジウム沈殿工程)
 次に、逆抽出処理を経て得られた水酸化スカンジウムの固体に、塩酸を添加してスラリーのpHを1.0以上1.5以下の範囲に維持しつつ撹拌することによって、水酸化スカンジウムの固体を完全に溶解して再溶解液を得た。次いで、得られた再溶解液に、その再溶解液に含まれるスカンジウム量に対して計算量で2倍となるシュウ酸・2水和物(三菱ガス化学(株)社製)の結晶を添加して溶解させ、60分間撹拌混合してシュウ酸スカンジウムの白色結晶性沈殿を生成させた。
 (焙焼工程)
 次に、得られたシュウ酸スカンジウムの白色結晶性沈殿を吸引濾過し、純水を用いて洗浄し、105℃で8時間乾燥させた。続いて、シュウ酸スカンジウムを管状炉に入れて850℃~900℃に維持して焙焼(焼成)させて、酸化スカンジウムを得た。
 表11に、得られた酸化スカンジウムをICPによって分析した結果に基づいて算出した各元素の除去率を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 表11に示すように、スカンジウム以外の不純物、特に、アルミニウム、ニッケル、ウラン、銅をほぼ完全に除去することができ、酸化スカンジウム(Sc)としての純度が99.9%を上回る極めて高純度な酸化スカンジウムを得ることができた。
 [比較例1]
 比較例1では、実施例1と異なり、1段階のみのイオン交換処理を行ってスカンジウム溶離液を得る操作を行った。
 具体的には、実施例1にて得られた表1に示す組成の吸着始液84mlを用い、実施例1と同じイミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂5mlとビーカー内で混合して30分間撹拌した。なお、反応温度は室温とした。撹拌後、キレート樹脂と吸着後液とを濾過により分別した。吸着後液は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 次に、吸着後のキレート樹脂5mLと、濃度0.1Nの硫酸溶液50mLとをビーカーに入れて混合し、30分間撹拌して溶離処理(アルミニウム溶離工程)を行った。なお、液温としては室温を維持した。撹拌後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 次に、溶離後のキレート樹脂5mLと、濃度0.5Nの硫酸溶液20mLとをビーカーに入れて混合し、室温下で30分間撹拌してスカンジウムを溶離させる処理を行った(スカンジウム溶離工程)。撹拌後、キレート樹脂と硫酸溶液とを濾過により分別した。硫酸溶液(溶離液)は一部をサンプリングして、ICPで分析した。
 下記表12に、吸着処理による各元素の吸着率の測定結果をまとめて示す。また、表12には、アルミニウム溶離工程とスカンジウム溶離工程のそれぞれの処理での各元素の溶離率の測定結果をまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 表12に示すように、スカンジウムに対するアルミニウムの存在比は、2.0となり、表7に示した実施例1での操作の結果である0.1と比べて大幅に高かった。このように、実施例1にて行ったような2段階でのイオン交換処理によって、アルミニウムとスカンジウムとの分離が顕著に行われ、スカンジウムを高純度化することができることが確かめられた。

Claims (12)

  1.  スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液からスカンジウムを分離するイオン交換処理方法であって、
     前記酸性溶液を、キレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程と、
     前記第1のイオン交換工程にて前記酸性溶液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程と、
     得られた溶離液を、キレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程と、
     前記第2のイオン交換工程にて前記溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離始液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程と
     を有する、イオン交換処理方法。
  2.  スカンジウムと、不純物として少なくともアルミニウムとを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収するスカンジウムの回収方法であって、
     前記酸性溶液を、キレート樹脂に接触させる第1のイオン交換工程と、
     前記第1のイオン交換工程にて前記酸性溶液を接触させたキレート樹脂と、第1の溶離始液とを接触させて溶離液を得る第1の溶離工程と、
     得られた溶離液を、キレート樹脂に接触させる第2のイオン交換工程と、
     前記第2のイオン交換工程にて前記溶離液を接触させたキレート樹脂と、第2の溶離液とを接触させてスカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る第2の溶離工程と
     を有する処理工程を含む
     スカンジウムの回収方法。
  3.  前記第1の溶離工程で得られた溶離液にアルカリ及び還元剤を添加することにより、該溶離液のpH及び酸化還元電位を調整する調整工程をさらに有し、該調整工程で得られた調整後液を、前記第2のイオン交換工程に付して前記キレート樹脂に接触させる
     請求項2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4.  前記第1の溶離工程では、前記キレート樹脂と接触させる前記第1の溶離始液が、0.3N以上3N未満の濃度の硫酸溶液である
     請求項2又は3に記載のスカンジウムの回収方法。
  5.  前記第2の溶離工程では、
     第2の溶離始液として、濃度が異なる2種類の硫酸溶液を用い、
     濃度が0.01N以上0.1N以下である第1の硫酸溶液と、前記キレート樹脂とを接触させてアルミニウムを含有するアルミニウム溶離液を得て、
     次いで、前記第1の硫酸溶液を用いた溶離処理後のキレート樹脂と、濃度が0.3N以上20N以下である第2の硫酸溶液とを接触させて、スカンジウムを含有するスカンジウム溶離液を得る
     請求項2乃至4のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  6.  前記調整工程では、pHが1.8以上2.2以下、酸化還元電位が銀/塩化銀電極を参照電極する値で-80mV~-120mVの範囲になるように、前記溶離液に添加するアルカリ及び還元剤の添加量を調整する
     請求項3に記載のスカンジウムの回収方法。
  7.  前記キレート樹脂は、イミノジ酢酸を官能基にもつキレート樹脂である
     請求項2乃至6のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  8.  前記第1の溶離工程における溶離処理後のキレート樹脂に、3Nを超え20N以下の濃度の硫酸溶液を接触させ、該キレート樹脂に吸着し残留したクロムを除去する
     請求項2乃至7のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  9.  前記酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出して得られた浸出液に対して中和処理を施し、得られた中和後液に硫化剤を添加することで生成したニッケル及び/又はコバルトの硫化物を分離した後に得られる硫化後液である
     請求項2乃至8のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  10.  前記第2の溶離工程で得られたスカンジウム溶離液から、スカンジウムを含有する澱物を生成させ、該澱物を酸溶解してスカンジウム濃縮液を得る濃縮工程を含む
     請求項2乃至9のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
  11.  前記濃縮工程で得られたスカンジウム濃縮液と抽出剤とを接触させて溶媒抽出する溶媒抽出工程を含む
     請求項10に記載のスカンジウムの回収方法。
  12.  前記溶媒抽出工程で得られたスカンジウム含有溶液に、中和剤又はシュウ酸を添加してスカンジウムの固形物を生成させ、該スカンジウムの固形物を加熱することによって酸化スカンジウムを得る酸化スカンジウム回収工程を含む
     請求項11に記載のスカンジウムの回収方法。
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