JP2007297662A - アンモニア系銅エッチング廃液から高純度電気銅を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小規模で、かつ簡便な処理でアンモニア系銅エッチング廃液から高純度銅を製造する方法の提供。
【解決手段】 その製造する方法は、銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸又は硫酸アンモニウムに溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 その製造する方法は、銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸又は硫酸アンモニウムに溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、銅アンモニア錯イオンを主成分とするアンモニア系銅エッチング廃液から高純度電気銅を製造する方法に関する。
この点に関し更に言及すると、プリント配線基板製造工程においては銅張り積層板をアンモニア系エッチング液によりエッチングすることが行われており、その際にはエッチング液中の銅濃度が次第に上昇するので、劣化したエッチング液は廃棄するかあるいは再生する必要がある。
本発明は、それらの場合、特に廃棄する際にアンモニア系銅エッチング廃液から銅を高純度で回収する技術を提供することに関する。
この点に関し更に言及すると、プリント配線基板製造工程においては銅張り積層板をアンモニア系エッチング液によりエッチングすることが行われており、その際にはエッチング液中の銅濃度が次第に上昇するので、劣化したエッチング液は廃棄するかあるいは再生する必要がある。
本発明は、それらの場合、特に廃棄する際にアンモニア系銅エッチング廃液から銅を高純度で回収する技術を提供することに関する。
銅アンモニア錯イオンを主成分とするアンモニア系銅エッチング液によるエッチング処理は、銅張り基板にタンク内のアンモニア系銅エッチング液をポンプで直接スプレーし、銅の一部を溶解するものであり、スプレー後のエッチング液はそのままタンクに戻るようになっている。
そのため、アンモニア系銅エッチング液中の銅濃度が次第に上昇するので、これを一定に維持するために比重などで銅濃度を管理し、銅を全く含有しない新規なエッチング液を補充しながらエッチングが行われている。
そのため、アンモニア系銅エッチング液中の銅濃度が次第に上昇するので、これを一定に維持するために比重などで銅濃度を管理し、銅を全く含有しない新規なエッチング液を補充しながらエッチングが行われている。
その際の反応を反応式で示すと下記のとおりであり、それは式(1)の銅溶解反応と式(2)の酸化反応からなっている(非特許文献1参照)。
Cu+Cu(NH3)4Cl2 → 2Cu(NH3)2Cl 式(1)
2Cu(NH3)2Cl+1/2O2+2NH4Cl+2NH4OH
→ 2Cu(NH3)4Cl2+3H2O 式(2)
実務表面技術 Vol.35,No.11,1988
Cu+Cu(NH3)4Cl2 → 2Cu(NH3)2Cl 式(1)
2Cu(NH3)2Cl+1/2O2+2NH4Cl+2NH4OH
→ 2Cu(NH3)4Cl2+3H2O 式(2)
実務表面技術 Vol.35,No.11,1988
そして、その際には補充した新規なエッチング液に相当する分量のタンク中の液をアンモニア系銅エッチング廃液として排出している。
その排出されたアンモニア系銅エッチング廃液については、従前はエッチング処理施設内において廃液処理あるいは再生処理するのではなく、専門の廃液処理業者に引き取らせ廃液処理していた。
このような現状は、近年における排水規制の厳格化などの環境保全指向に沿ったものではなく、そのためアンモニア系銅エッチング廃液を再生する技術も提案されている(非特許文献1参照)。
その排出されたアンモニア系銅エッチング廃液については、従前はエッチング処理施設内において廃液処理あるいは再生処理するのではなく、専門の廃液処理業者に引き取らせ廃液処理していた。
このような現状は、近年における排水規制の厳格化などの環境保全指向に沿ったものではなく、そのためアンモニア系銅エッチング廃液を再生する技術も提案されている(非特許文献1参照)。
その再生技術は、アンモニア系銅エッチング液の一部を取り出し、そこから銅をまず溶媒抽出により分離し、銅分離後の液はpH調節した後再生エッチング液としてエッチング処理施設に循環使用される。
他方、分離された銅を含有する溶媒は硫酸によって逆抽出され、逆抽出された銅は硫酸銅となっており、これを電解することにより高純度の金属を取得すると共に硫酸は回収され再利用するようになっている。
他方、分離された銅を含有する溶媒は硫酸によって逆抽出され、逆抽出された銅は硫酸銅となっており、これを電解することにより高純度の金属を取得すると共に硫酸は回収され再利用するようになっている。
この提案された技術は、アンモニア系銅エッチング廃液から銅を回収すると共にアンモニア系銅エッチング液も回収されており、その点からすると、環境保全の上では最適なものといえる。
しかしながら、それを実現するために使用する再生装置においては、危険性の高い有機溶媒を使用しており、かつ処理量の割に大規模で特殊な装置を用いる複雑なものとなっている。
しかしながら、それを実現するために使用する再生装置においては、危険性の高い有機溶媒を使用しており、かつ処理量の割に大規模で特殊な装置を用いる複雑なものとなっている。
そのようなことから、本発明者は、小規模で、かつ簡便に処理することができる、アンモニア系銅エッチング廃液の処理技術を開発すべく、鋭意検討し、その結果開発に成功したのが本発明である。
すなわち、本発明者は、アンモニア系銅エッチング廃液から銅を特許文献1の方法と同様に電解により回収し、回収後の液は特段の施設を新設することなく、既存の廃水処理施設を利用することができるアンモニア系銅エッチング廃液の処理技術を開発すべく、鋭意検討し、その結果開発に成功したのが本発明である。
すなわち、本発明者は、アンモニア系銅エッチング廃液から銅を特許文献1の方法と同様に電解により回収し、回収後の液は特段の施設を新設することなく、既存の廃水処理施設を利用することができるアンモニア系銅エッチング廃液の処理技術を開発すべく、鋭意検討し、その結果開発に成功したのが本発明である。
したがって、本発明は、プリント配線基板製造工程における銅張り積層板のエッチング工程等で排出する銅アンモニア錯イオンを主成分とするアンモニア系銅エッチング廃液から銅を電解により高純度銅として回収すると共に、銅回収後の液については特段の施設を新設することなく、既存の廃水処理施設を利用することでアンモニア系銅エッチング廃液を処理することが可能な技術を提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
本発明は、前記課題を達成するためのアンモニア系銅エッチング廃液から高純度電気銅を製造する方法を提供するものであり、その方法は、銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水に溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有することを特徴とするものである。
そして、その処理方法においては以下のことを採用するのが好ましい。
(1)第1工程における硫酸が硫酸銅を含有する酸性銅エッチング廃液であること
(2)第1工程における硫酸が硫酸銅及び過酸化水素を含有する酸性銅エッチング廃液であること
(3)第2工程における分離液に塩素イオン成分を添加すること
(4)第2工程における分離液に添加する塩素イオン成分が塩化銅、塩酸を主成分とするエッチング廃液であること
(5)第3工程における固体銅化合物及び金属銅粉の溶解に硫酸アンモニウムを含むアンモニア水を用いる場合には、得られた銅アンモニア錯塩溶液をpH9以上に維持しながら電解すること
(1)第1工程における硫酸が硫酸銅を含有する酸性銅エッチング廃液であること
(2)第1工程における硫酸が硫酸銅及び過酸化水素を含有する酸性銅エッチング廃液であること
(3)第2工程における分離液に塩素イオン成分を添加すること
(4)第2工程における分離液に添加する塩素イオン成分が塩化銅、塩酸を主成分とするエッチング廃液であること
(5)第3工程における固体銅化合物及び金属銅粉の溶解に硫酸アンモニウムを含むアンモニア水を用いる場合には、得られた銅アンモニア錯塩溶液をpH9以上に維持しながら電解すること
本発明のアンモニア系銅エッチング廃液から高純度電気銅を製造する方法の第2工程における電解では、金属銅粉の析出とアンモニア性窒素の分解とを同時に行うものである。
したがって、1回の電解で、排水中の銅とアンモニア性窒素の両者を除去しており、きわめて効率的に2つの排除すべき物質を除去することができる。
さらに、この廃水中には塩素イオンが含有されており、それによりアンモニア性窒素を効率的に分解することができる。
したがって、1回の電解で、排水中の銅とアンモニア性窒素の両者を除去しており、きわめて効率的に2つの排除すべき物質を除去することができる。
さらに、この廃水中には塩素イオンが含有されており、それによりアンモニア性窒素を効率的に分解することができる。
また、前記電解の前に、中和という簡単な手法で析出させ、多くの銅を固液分離により分離しており、電解に要する電気量を低減することができる。
さらに、前記電解により排水中の銅とアンモニア性窒素の両者が除去されている。
そのため、排水中の他の残留物は、特段の処理は必要なく、既存の排水処理施設で他の排水と合併処理することができ、特に新たな施設の設置をすることもなく処理できる。
さらに、前記電解により排水中の銅とアンモニア性窒素の両者が除去されている。
そのため、排水中の他の残留物は、特段の処理は必要なく、既存の排水処理施設で他の排水と合併処理することができ、特に新たな施設の設置をすることもなく処理できる。
以下において、本発明に関し発明を実施するための最良の形態を含む各種実施の形態に関し詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
本発明の高純度電気銅を製造する方法は、前記したとおり銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水に溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有するものである。
本発明の高純度電気銅を製造する方法は、前記したとおり銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水に溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有するものである。
本発明において処理対象となるアンモニア系銅エッチング廃液については、アンモニア錯イオンを主成分とし、塩化アンモニウムを含有するものであり、それはアンモニアを主成分とし、塩化アンモニウムを含有する銅エッチング液により溶解された銅を含有するものであれば、特に制限されることなく各種のものを処理対象とすることができる。
そのエッチング廃液としては、典型的にはプリント配線基板製造工程の銅張り積層板のエッチング工程で溶解された銅を含有するものが例示できる。
そのエッチング廃液としては、典型的にはプリント配線基板製造工程の銅張り積層板のエッチング工程で溶解された銅を含有するものが例示できる。
その廃液中の銅濃度については特に制限されることはないが、エッチング液に利用できる銅濃度には自ずと制限があるので、その点からすると、1〜15wt%がよい。
さらに、廃液中に含有されるアンモニムイオン濃度についても、特に制限されることはないが、エッチング液に利用できるアンモニムイオン濃度にも自ずと好適な範囲があるので、その点からすると、1〜15wt%がよい。
さらに、廃液中に含有されるアンモニムイオン濃度についても、特に制限されることはないが、エッチング液に利用できるアンモニムイオン濃度にも自ずと好適な範囲があるので、その点からすると、1〜15wt%がよい。
また、その廃液中の塩素イオン濃度についても特に制限されることはないが、エッチング液に利用できる塩素イオン濃度にも自ずと好適な範囲があるのでので、その点からすると、1〜15wt%がよい。
さらに、廃液中に含有する前記以外の成分に関しても前記電解に悪影響を与えない限り特に制限はなく、アンモニア系銅エッチング液が通常含有する物質については特段問題はなく、かつその濃度についても銅張り積層板のエッチング工程で排出されるアンモニア系銅エッチング廃液中に含有される濃度範囲内なら特段問題はない。
さらに、廃液中に含有する前記以外の成分に関しても前記電解に悪影響を与えない限り特に制限はなく、アンモニア系銅エッチング液が通常含有する物質については特段問題はなく、かつその濃度についても銅張り積層板のエッチング工程で排出されるアンモニア系銅エッチング廃液中に含有される濃度範囲内なら特段問題はない。
アンモニア系銅エッチング廃液と混合して固体銅化合物を析出する硫酸については、市販のものも勿論使用できるが、廃酸であってもよく、その方が安価であり、かつ同時に合わせて廃酸の処理をすることもできる点で好ましい。
その場合には、硫酸酸性銅エッチング廃液であるのが好ましく、それを使用することにより酸性銅エッチング廃液中の銅もアンモニア系銅エッチング廃液中の銅と共に合わせて廃液中から分離・除去することができる。
なお、その硫酸酸性銅エッチング廃液は、硫酸酸性銅エッチング液中に通常含有されている過酸化水素が残留するものであってもよい。
その場合には、硫酸酸性銅エッチング廃液であるのが好ましく、それを使用することにより酸性銅エッチング廃液中の銅もアンモニア系銅エッチング廃液中の銅と共に合わせて廃液中から分離・除去することができる。
なお、その硫酸酸性銅エッチング廃液は、硫酸酸性銅エッチング液中に通常含有されている過酸化水素が残留するものであってもよい。
アンモニア系銅エッチング廃液と硫酸との混合により沈殿が析出するが、その沈殿物は酸化銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、塩化銅あるいはそれらの混合物等である。
その混合する硫酸量については、前記銅化合物が最大限析出する範囲が好ましく、過剰に添加すると液濃度が酸性となり、一旦析出した銅が再度溶解することになるので、適正量に調節することが必要となる。
その適正量は中和状態であり、pH7前後であればよいが、厳格にpHを調整するまでのことはないので、リトマス試験紙での判断で充分である。
その混合する硫酸量については、前記銅化合物が最大限析出する範囲が好ましく、過剰に添加すると液濃度が酸性となり、一旦析出した銅が再度溶解することになるので、適正量に調節することが必要となる。
その適正量は中和状態であり、pH7前後であればよいが、厳格にpHを調整するまでのことはないので、リトマス試験紙での判断で充分である。
固体銅化合物析出後の固液分離は、析出した酸化銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、塩化銅あるいはそれらの混合物等の銅化合物を液体から分離するものであり、それら化合物は比較的に濾過性もよいので、各種固液分離手段が特に制限されることなく使用でき、それには濾過、遠心分離、あるいは沈降分離等が例示できる。
なお、硫酸として、過酸化水素を含有する酸性銅エッチング廃液を用いた場合には、濾過性が特によいことを実験的に確認しており、固液分離を簡便に行うことができ好適である。
なお、硫酸として、過酸化水素を含有する酸性銅エッチング廃液を用いた場合には、濾過性が特によいことを実験的に確認しており、固液分離を簡便に行うことができ好適である。
前記第1工程の固液分離後には、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解し、陰極には金属銅粉を析出させ、陽極では前記分離液中に共存する塩素イオンが電解して次亜塩素酸塩が形成されるのである。
その後、その形成された次亜塩素酸塩によりアンモニア性窒素が分解され、前記分離液中のアンモニア性窒素量を低減することができるのであり、ここまでが本発明の第2工程である。
その後、その形成された次亜塩素酸塩によりアンモニア性窒素が分解され、前記分離液中のアンモニア性窒素量を低減することができるのであり、ここまでが本発明の第2工程である。
その電解の際の電圧については、陰極で銅を析出させることができ、陽極で次塩素酸塩を形成することができれば特に制限されることはないが、1〜10Vがよい。
さらに、その際の電流密度についても同様であり、10〜500mA/cm2がよい。
なお、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を硫酸アンモニウムを含むアンモニア水で溶解し電解する場合には、電解中のpHを9以上に維持するのがよい。
さらに、その際の電流密度についても同様であり、10〜500mA/cm2がよい。
なお、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を硫酸アンモニウムを含むアンモニア水で溶解し電解する場合には、電解中のpHを9以上に維持するのがよい。
第2工程で析出した金属銅粉は、その多くが陰極に固着することなく、電解槽に落下し、槽底部に貯まっているので、電解槽中の分離液を外部に取り出し、それを沈降分離あるいは濾過等で固液分離することにより、金属銅粉を取得することができる。
この金属銅粉は微粉末であり、付着している塩素成分の除去は多量の洗浄水を使用しても困難であることが判った。
この金属銅粉は微粉末であり、付着している塩素成分の除去は多量の洗浄水を使用しても困難であることが判った。
そこで、その微粉末を洗浄するよりも、再溶解して電解により高純度の電気銅を得る方が合理的であると考え、それを試みたところ好結果が得られた。
したがって、本発明では、このようにして取得した金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物は、電解により精製するために、両者を溶解できる硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水により溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して、高純度な金属銅を製造するものであり、これが本発明の第3工程である。
したがって、本発明では、このようにして取得した金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物は、電解により精製するために、両者を溶解できる硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水により溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して、高純度な金属銅を製造するものであり、これが本発明の第3工程である。
その際に用いる硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水については、この第3工程が精製された高純度の金属銅を製造する工程であることからして、不純物を含有しない市販品を用いるのがよく、不純物を含有する廃硫酸あるいはそれを利用した硫酸アンモニムの利用は避けるのがよく、金属銅回収後の銅濃度が低下した当該硫酸等は第3工程に繰り返し使用し、損失分を補填するのがよい。
それらの濃度については、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を溶解できる限り特に制限されることはないが、効率的に溶解するには、硫酸は10〜25wt%、硫酸アンモニウムは5〜10wt%、遊離アンモニウムイオンは1〜10wt%がよい。
それらの濃度については、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を溶解できる限り特に制限されることはないが、効率的に溶解するには、硫酸は10〜25wt%、硫酸アンモニウムは5〜10wt%、遊離アンモニウムイオンは1〜10wt%がよい。
また、その電解に使用する電解槽については、陰極で銅を析出させることができるものであれば各種のものが特に制限されることなく使用できる。
その電解の際の電圧については、陰極で銅を析出させることができれば特に制限されることはないが、0.5〜5Vがよい。
さらに、その際の電流密度についても、同様であり、1〜50mA/cm2がよい。
なお、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を硫酸アンモニウムを含むアンモニア水で溶解し電解する場合には、電解中のpHを9以上に維持するのがよい。
その電解の際の電圧については、陰極で銅を析出させることができれば特に制限されることはないが、0.5〜5Vがよい。
さらに、その際の電流密度についても、同様であり、1〜50mA/cm2がよい。
なお、金属銅粉及び第1工程で分離した銅化合物を硫酸アンモニウムを含むアンモニア水で溶解し電解する場合には、電解中のpHを9以上に維持するのがよい。
その電解糟において使用する陰陽両電極については、電解浴が硫酸又は硫酸アンモニウムであるから、それらに対し耐食性のものであることが必要であり、陰極には、それを満たすものであれば各種のものが使用できるが、汎用性の点でステンレス鋼がよい。
他方、陽極については、第2工程では前記電解浴成分のほかに塩素発生用の化合物が存在し塩素電解も起こることから、第2工程の陽極は、前記耐食性に加えて塩素及び次亜塩素酸塩に対しても耐食性を要するものであり、陰極に比しより耐食性の優れた材料であることが必要となり、それには寸法安定電極(DSE)が例示できる。
なお、第3工程においては塩素の発生もないので、陰極と同様のステンレス鋼が使用できる。
他方、陽極については、第2工程では前記電解浴成分のほかに塩素発生用の化合物が存在し塩素電解も起こることから、第2工程の陽極は、前記耐食性に加えて塩素及び次亜塩素酸塩に対しても耐食性を要するものであり、陰極に比しより耐食性の優れた材料であることが必要となり、それには寸法安定電極(DSE)が例示できる。
なお、第3工程においては塩素の発生もないので、陰極と同様のステンレス鋼が使用できる。
すなわち、陽極においては電解によりまず腐蝕性の塩素が生成し、その生成した腐蝕性の塩素が更に溶解して酸化性の次亜塩素塩が形成されることになるので、それらに対しても耐食性が必要となる。
そのような材料としては、貴金属の酸化物(例えば白金とイリジウムとの複合酸化物)を焼き付けした弁金属、黒鉛、鉛合金、鉛化合物、フェライトあるいは表面にホウ素注入ダイヤモンド薄膜を形成した弁金属等が例示できるが、汎用性、有効塩素生成量の点で、白金とイリジウムとの複合酸化物を焼き付けしたチタンがよい。
そのような材料としては、貴金属の酸化物(例えば白金とイリジウムとの複合酸化物)を焼き付けした弁金属、黒鉛、鉛合金、鉛化合物、フェライトあるいは表面にホウ素注入ダイヤモンド薄膜を形成した弁金属等が例示できるが、汎用性、有効塩素生成量の点で、白金とイリジウムとの複合酸化物を焼き付けしたチタンがよい。
以下において、本発明の複数の実施例を示すが、本発明は、この実施例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
この実施例1においては、アンモニア系銅エッチング廃液446mLと、酸性銅エッチング廃液147mLとをまず混合し、pHを7に調整する。
この実施例1においては、アンモニア系銅エッチング廃液446mLと、酸性銅エッチング廃液147mLとをまず混合し、pHを7に調整する。
その際のアンモニア系銅エッチング廃液としては、アンモニア性窒素をNとして12551mg/L、硝酸性窒素をNとして6mg/L、塩素イオンを26600mg/L、銅を27200mg/L、硫酸イオンを658mg/Lを含有するものを用い、酸性銅エッチング廃液には、全硫酸イオン127000mg/L、銅25500mg/Lを含む硫酸銅を含有するものを用いる。
この両者を混合し、前記したとおりpHを7に調整することにより、酸化銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、塩化銅等の銅化合物が析出沈澱する。
この両者を混合し、前記したとおりpHを7に調整することにより、酸化銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、塩化銅等の銅化合物が析出沈澱する。
この沈殿を濾過して、銅18.1%、塩素2.4%、アンモニア2.7%を含む湿ケーキ80.8gと、アンモニア性窒素をNとして18859mg/L、硝酸性窒素をNとして0.75mg/L、塩素イオン17100mg/L、銅1710mg/L、硫酸イオン31900mg/Lを含有する濾液500mLとを得た。
この濾液を、ステンレス鋼(SUS304)板を陰極、白金とイリジウムとの複合酸化物を焼き付けした1mmt×目開き1mmH×2mmLチタンラス板を陽極とする電解槽に供給して電解する。
この濾液を、ステンレス鋼(SUS304)板を陰極、白金とイリジウムとの複合酸化物を焼き付けした1mmt×目開き1mmH×2mmLチタンラス板を陽極とする電解槽に供給して電解する。
その電解は、濾液を2000mL/minで循環しながら、20Aの定電流で行い(バッチ電解)、215分間継続した。
その時点における液組成は、アンモニア性窒素(Nとして)2552mg/L、硝酸性窒素(Nとして)11.5mg/L、塩素イオン9576mg/L、銅76mg/Lであった。
その際におけるアンモニア性窒素1gの分解に要した積算電流量は約8.8A・hであった。
また、その際の陰極においては、微粉体状の金属銅粉が析出しているものの、その多くは陰極に固着することなく、それを含むスラッジが電解槽底部に堆積しているのが確認できた。
その時点における液組成は、アンモニア性窒素(Nとして)2552mg/L、硝酸性窒素(Nとして)11.5mg/L、塩素イオン9576mg/L、銅76mg/Lであった。
その際におけるアンモニア性窒素1gの分解に要した積算電流量は約8.8A・hであった。
また、その際の陰極においては、微粉体状の金属銅粉が析出しているものの、その多くは陰極に固着することなく、それを含むスラッジが電解槽底部に堆積しているのが確認できた。
さらに、電解を35分(通算合計250分)継続したところ、液組成は、アンモニア性窒素(Nとして)7.8mg/L、亜硝酸性窒素(Nとして)0mg/L、硝酸性窒素(Nとして)2.5mg/L、銅76mg/Lであった。
その際におけるアンモニア性窒素1gの分解に要した積算電流量は通算で約8.84A・hであった。
その電解の後の液を濾過して、銅67.1%、塩素2.3%の金属銅粉を含むスラッジ1.27gを得た。
その際におけるアンモニア性窒素1gの分解に要した積算電流量は通算で約8.84A・hであった。
その電解の後の液を濾過して、銅67.1%、塩素2.3%の金属銅粉を含むスラッジ1.27gを得た。
次いで、前記湿ケーキ80.8gと、前記金属銅粉を含むスラッジ1.27gとを、希硫酸(濃度10%)に溶解して、アンモニア性窒素をNとして3.48mg/L、塩素イオン3.93mg/L、銅29237mg/L、硫酸イオン108000mg/Lを含む液500mLを得た。
この液を、ステンレス鋼(SUS304)板を陰極、鉛アンチモン合金板を陽極とする電解槽に供給し、電解する。
この液を、ステンレス鋼(SUS304)板を陰極、鉛アンチモン合金板を陽極とする電解槽に供給し、電解する。
その電解は、液を循環しながら、5Aの定電流で25分間行った(バッチ電解)。
その電解後の液組成は、アンモニア性窒素(Nとして)0.41mg/L、塩素イオン2.19mg/L、銅24728mg/Lであった。
また、その電解後の陰極には、光沢のある金属銅箔が析出しており、その純度は99.7%であった。
その際の銅析出に要した積算電流量は約2.08A・hであり、その電流効率はを計算すると91.7%であった。
その電解後の液組成は、アンモニア性窒素(Nとして)0.41mg/L、塩素イオン2.19mg/L、銅24728mg/Lであった。
また、その電解後の陰極には、光沢のある金属銅箔が析出しており、その純度は99.7%であった。
その際の銅析出に要した積算電流量は約2.08A・hであり、その電流効率はを計算すると91.7%であった。
Claims (6)
- 銅アンモニア錯イオンを主成分とし塩化アンモニウムを含有するアンモニア系銅エッチング廃液と硫酸とを混合して固体銅化合物を析出し、固液分離する第1工程と、
前記第1工程の固液分離後における、銅アンモニア錯イオン、硫酸イオン及び塩素イオンを含有する分離液を電解して陰極に金属銅粉を析出させると共にアンモニア性窒素を分解する第2工程と、
前記両工程で得られた固体銅化合物及び金属銅粉を硫酸、又は硫酸アンモニウムを含むアンモニア水に溶解し、得られた硫酸銅溶液又は銅アンモニア錯塩溶液を電解して高純度金属銅を析出させる第3工程とを有することを特徴とするアンモニア系銅エッチング廃液から高純度電気銅を製造する方法。 - 第1工程における硫酸が、硫酸銅を含有する酸性銅エッチング廃液である請求項1に記載の高純度電気銅を製造する方法。
- 第1工程における硫酸が、硫酸銅及び過酸化水素を含有する酸性銅エッチング廃液である請求項1に記載の高純度電気銅を製造する方法。
- 第2工程における分離液に塩素イオン成分を添加する請求項1、2又は3に記載の高純度電気銅を製造する方法。
- 第2工程における分離液に添加する塩素イオン成分が塩化銅、塩酸を主成分とするエッチング廃液である請求項4に記載の高純度電気銅を製造する方法。
- 第3工程において固体銅化合物及び金属銅粉の溶解に硫酸アンモニウムを含むアンモニア水を用い、得られた銅アンモニア錯塩溶液をpH9以上に維持しながら電解する請求項1なし5のいずれか1項に記載の高純度電気銅を製造する方法。
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