JP2011055222A - 非可逆回路素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】共振回路を構成するインダクタンス素子の放熱性が良好で信頼性の高い非可逆回路素子を得る。
【解決手段】永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、該中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、表面に端子電極が形成された多層の回路基板120と、を備えた非可逆回路素子。LC共振回路はインダクタンス素子Lg1とキャパシタンス素子Cg1とで構成され、回路基板120にはインダクタンス素子Lg1をグランド用電極177に電気的に接続するためのビアホール導体125a’,151’,159’,165が形成され、該ビアホール導体は回路基板120に形成されている他のビアホール導体よりも大きい、あるいは電気的に並列に接続された複数のビアホール導体からなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、非可逆回路素子、特に、マイクロ波帯で使用されるアイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子に関する。
従来より、アイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子は、予め定められた特定方向にのみ信号を伝送し、逆方向には伝送しない特性を有している。この特性を利用して、例えば、アイソレータは、自動車電話、携帯電話などの移動体通信機器の送信回路部に使用されている。
この種の非可逆回路素子として、特許文献1には、複数の中心電極とグランド端子電極との間に、インダクタンス素子とキャパシタンス素子からなる共振回路を挿入し、広帯域化を図った非可逆回路素子(サーキュレータ)が記載されている。
しかしながら、このような共振回路を挿入した非可逆回路素子にあっては、共振電流によりインダクタンス素子が発熱し、この熱は基板の限定的なエリアにしか伝達されないため、インダクタンス素子が許容温度以上に昇温するという問題点を有していた。特に、近年では非可逆回路素子の小型化に伴ってインダクタンス素子の電極幅を細線化する必要があり、インダクタンス素子の許容温度が低下しており、最悪の場合ではインダクタンス素子が断線するおそれがあった。
実公昭60−16085号公報
そこで、本発明の目的は、共振回路を構成するインダクタンス素子の放熱性が良好で信頼性の高い非可逆回路素子を提供することにある。
本発明の第1の形態である非可逆回路素子は、
永久磁石と、前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、を備え、
前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、該ビアホール導体は回路基板に形成されている他のビアホール導体よりも大きいこと、
を特徴とする。
本発明の第2の形態である非可逆回路素子は、
永久磁石と、前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、を備え、
前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、該ビアホール導体は電気的に並列に接続された複数のビアホール導体からなること、
を特徴とする。
本発明の第3の形態である非可逆回路素子は、
永久磁石と、前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、を備え、
前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、かつ、該ビアホール導体は回路基板の少なくとも1層に形成されている放熱用電極と電気的に接続されていること、
を特徴とする。
本発明によれば、LC共振回路を構成するインダクタンス素子の発熱は、多層の回路基板に形成したビアホール導体を介して放熱され、インダクタンス素子が許容温度以上に昇温することが抑制される。これにて、インダクタンス素子の発熱による断線などのおそれが解消され、信頼性が向上する。
第1実施例である非可逆回路素子(3ポート型サーキュレータ)を示す分解斜視図。 第1実施例であるサーキュレータを示す断面図。 第1実施例であるサーキュレータの等価回路図。 第1実施例であるサーキュレータを構成する回路基板を示す分解斜視図。 第2実施例である非可逆回路素子(3ポート型サーキュレータ)を構成する回路基板を示す分解斜視図。 第3実施例である非可逆回路素子(3ポート型サーキュレータ)を構成する回路基板を示す分解斜視図。 第4実施例である非可逆回路素子(3ポート型サーキュレータ)を構成する回路基板を示す分解斜視図。 第5実施例である非可逆回路素子(2ポート型アイソレータ)を示す分解斜視図。 第5実施例であるアイソレータを構成するフェライトを示す分解斜視図。 第5実施例であるアイソレータの等価回路図。 第5実施例であるアイソレータを構成する回路基板を示す分解斜視図。
以下、本発明に係る非可逆回路素子の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各実施例を示す図面において、同じ部品、部分については共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施例、図1〜図4参照)
第1実施例である3ポート型サーキュレータは、図1に示すように、集中定数型サーキュレータであり、概略、回路基板120と、フェライト132と、永久磁石141と、上ヨーク110と、下ヨーク115と、チップインダクタLg1と、チップコンデンサCg1とで構成されている。
上ヨーク110と下ヨーク115は、一体的に結合され、電磁シールド及びグランド端子として機能する。下ヨーク115には、樹脂部材116が一体的にモールドされているとともに、外部接続端子Ant,Tx,Rx,Gが設けられている。
フェライト132には、表面に、互いに電気的に絶縁された第1中心電極135、第2中心電極136及び第3中心電極137が導体膜によって形成されている。これらの中心電極135,136,137は、2本ずつ平行に形成され、フェライト132の裏面で1本にまとめられている。
永久磁石141は、フェライト132に対して磁界を厚み方向に印加するようにフェライト132の表面に、例えば、エポキシ系の接着剤を介して接着されている。永久磁石141は、通常、ストロンチウム系、バリウム系、ランタン−コバルト系のフェライトマグネットが用いられる。
回路基板120は、複数枚の誘電体シート上に所定の電極を形成して積層し、焼結した積層型基板であり、その内部には、等価回路である図3に示すように、整合用コンデンサC1,C2,C3,Cs1,Cs2,Cs3が内蔵されている。回路基板120の上面には前記チップインダクタLg1が接続される端子電極125a,125b、前記チップコンデンサCg1が接続される端子電極126a,126bが形成されている。さらに、回路基板120の上面には、第1中心電極135の一端及び他端と接続される端子電極127a,127b、第2中心電極136の一端及び他端と接続される端子電極128a,128b、第3中心電極137の一端及び他端と接続される端子電極129a,129bが形成されている。
また、回路基板120の下面には、図4に示すように、アンテナ端子用電極175、受信端子用電極176、グランド用電極177、送信端子用電極178が形成されている。アンテナ端子用電極175は外部接続端子Antに接続され、受信端子用電極176は外部接続端子Rxに接続され、グランド用電極177は外部接続端子Gに接続され、送信端子用電極178は外部接続端子Txに接続されている。
ここで、前記サーキュレータの一回路例を図3の等価回路を参照して説明する。アンテナ用の外部接続端子AntはコンデンサCs2を介して第2中心電極136(L2)及びコンデンサC2の一端に接続されている。送信用の外部接続端子TxはコンデンサCs1を介して第1中心電極135(L1)及びコンデンサC1の一端に接続されている。受信用の外部接続端子RxはコンデンサCs3を介して第3中心電極137(L3)及びコンデンサC3の一端に接続されている。それぞれの中心電極135,136,137及びコンデンサC1,C2,C3の他端は、コンデンサCg1及びインダクタLg1からなるLC共振回路143を介してグランド用の外部接続端子Gに接続されている。
図4に以上の等価回路における回路基板120の内部構造を示す。第1層目(基板120の表面)には電極125a,125b,126a,126b,127a,127b,128a,128b,129a,129bとビアホール導体125a’,125b’,126a’,126b’,127a’,127b’,128a’,128b’,129a’,129b’が形成されている。第2層目には電極151,152,153,154,155,156とビアホール導体151’,153’,154’,155’,156’,157,158が形成されている。第3層目には電極159,160とビアホール導体159’,161,162,163が形成されている。第4層目及び第5層目にはビアホール導体164,165,166,167が形成されている。
さらに、第6層目には電極168,169,170とビアホール導体165が形成されている。第7層目には電極172,173,174とビアホール導体165,172’,173’,174’が形成されている。第8層目(回路基板120の裏面)には電極175,176,177,178が形成されている。
回路基板120の内部において、各層の電極は各種ビアホール導体を介して電気的に接続されており、コンデンサC1は電極155,160によって形成され、コンデンサC2は電極156,160によって形成され、コンデンサC3は電極154,160によって形成されている。コンデンサCs1は電極170,174によって形成され、コンデンサCs2は電極168,172によって形成され、コンデンサCs3は電極169,173によって形成されている。
なお、回路基板120において、第4層目と第5層目に形成されているビアホール導体164〜167は、あくまで中継用であり、省略してもよい。
前記フェライト132は、回路基板120上に中心電極135,136,137の両端部分が電極127a,127b,128a,128b,129a,129bにリフローはんだ付けによって搭載される。また、チップインダクタLg1は電極125a,125bにリフローはんだ付けによって搭載され、チップコンデンサCg1は電極126a,126bに、リフローはんだ付けによって搭載される。
以上の構成からなる3ポート型サーキュレータの動作は従来のものと基本的には同様である。特に、本第1実施例においては、中心電極135,136,137の他端がインダクタLg1とコンデンサCg1とからなるLC共振回路143を介してグランドに落とされているため、広帯域で動作する。そして、チップインダクタLg1からグランド用電極177へ至る電流経路を形成するビアホール導体125a’,151’,159’,165は他のビアホール導体よりも大きく(面積的に大きく)形成されている。例えば、他のビアホール導体の直径が0.10mmであるとき、ビアホール導体125a’,151’,159’,165の直径は0.20mmである。この場合、回路基板120のサイズは、縦横2.5mm、厚さ0.20mmである。
インダクタLg1は共振電流によって発熱するが、前記ビアホール導体125a’,151’,159’,165は他のビアホール導体よりも大きく形成されているため、インダクタLg1の発熱は良好に外部に放熱され、インダクタLg1の異常な昇温が防止される。また、インダクタLg1は広い面積のグランド用電極177に接続されているため、この点でも放熱性が良好である。さらに、グランド用電極177は外部接続端子Gを介して下ヨーク115にも接続されており、これにて放熱性が一段と向上する。
また、本第1実施例では、インダクタLg1としてチップインダクタが使用されている。チップインダクタは汎用的に量産されており、様々なインダクタンス値、公差、温度特性など幅広く適切な仕様のものを容易に選択することができ、非可逆回路素子の量産性に最適である。また、チップインダクタは回路基板120に外付けされるため、放熱性の点でも好ましい。
(第2実施例、図5参照)
第2実施例である3ポート型サーキュレータは、基本的には前記第1実施例と同様の構成からなり、多層の回路基板120が図5に示す構成を備えている点で第1実施例と異なっている。
回路基板120は、チップインダクタLg1からグランド用電極177に至る電流経路を形成するビアホール導体151’,159’,165がそれぞれ並列に接続された複数の(具体的には2本であり、それ以上であってもよい)導体にて形成されている。また、第4層目の二つのビアホール導体165は電極181によって接続されている。他の構成は図4に示した回路基板120と同様である。
本第2実施例においては、チップインダクタLg1からグランド用電極177へ至る電流経路を形成するビアホール導体151’,159’,165が並列に接続された複数の導体で形成されているため、インダクタLg1の発熱は良好に外部に放熱され、インダクタLg1の異常な昇温が防止される。本第2実施例の他の作用効果は前記第1実施例と同様である。なお、第4層目、第5層目を省略してもよいことは第1実施例と同様である。
(第3実施例、図6参照)
第3実施例である3ポート型サーキュレータは、基本的には前記第1実施例と同様の構成からなり、多層の回路基板120が図6に示す構成を備えている点で第1実施例と異なっている。
回路基板120は、チップインダクタLg1からグランド用電極177に至る電流経路を形成するビアホール導体165を形成した第4層目、第5層目、第6層目及び第7層目にこれらのビアホール導体165と接続された放熱用電極182が形成されている。他の構成は図4に示した回路基板120と同様である。
本第3実施例においては、チップインダクタLg1からグランド用電極177へ至る電流経路を形成するビアホール導体165と接続された放熱用電極182が形成されているため、インダクタLg1の発熱は良好に放熱され、インダクタLg1の異常な昇温が防止される。本第3実施例の他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
なお、放熱用電極182は少なくとも1層に形成されていればよい。また、第4層目、第5層目を省略してもよいことは第1実施例と同様である。
(第4実施例、図7参照)
第4実施例である3ポート型サーキュレータは、基本的には前記第1実施例と同様の構成からなり、LC共振回路を構成するインダクタが多層の回路基板120に内蔵されている点で第1実施例と異なっている。
詳しくは、図7に示すように、第4層目、第5層目、第6層目に形成した電極183がビアホール導体165によってコイル状に接続され、インダクタLg1を形成している。第4層目の電極183の一端がビアホール導体159’、電極159、ビアホール導体151’、電極151、ビアホール導体126a’を介して電極126aに接続されている。また、第6層目の電極183の他端が第6層目及び第7層目のビアホール導体165を介してグランド用電極177に接続されている。
本第4実施例において、回路基板120に内蔵されたインダクタLg1が他のビアホール導体よりも大きい(例えば、2倍の直径を有する)ビアホール導体165、151’、159’によってグランド用電極177及び外部接続端子Gに接続されているため、インダクタLg1の発熱は良好に外部に放熱され、インダクタLg1の異常な昇温が防止される。本第4実施例の他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
(第5実施例、図8〜図11参照)
第5実施例である2ポート型アイソレータは、図8に示すように、集中定数型アイソレータであり、概略、回路基板20と、フェライト32と一対の永久磁石41とからなるフェライト・磁石素子30と、平板状ヨーク10と、チップ抵抗Rと、チップインダクタLs1とで構成されている。
フェライト32には、図9に示すように、表裏の主面32a,32bに、絶縁材34A,34Bにて互いに電気的に絶縁された第1中心電極35及び第2中心電極36が形成されている。ここで、フェライト32は互いに平行な第1主面32a及び第2主面32bを有する直方体形状をなしている。
また、永久磁石41はフェライト32に対して磁界を主面32a,32bに垂直方向に印加するように主面32a,32bに対向して、例えば、エポキシ系の接着剤42(図8参照)を介して接着され、フェライト・磁石素子30を形成している。永久磁石41の主面はフェライト32の主面32a,32bと同一寸法であり、互いの外形が一致するように主面どうしを対向させて配置されている。
第1中心電極35は導体膜にて形成されている。即ち、図9に示すように、この第1中心電極35は、フェライト32の下面に形成された接続用電極35aに接続された状態で第1主面32aにおいて左下から立ち上がってほぼ水平方向に形成され、右上方に立ち上がって上面の中継用電極35bを介して第2主面32bに回り込む。第2主面32bにおいて、第1中心電極35は、第1主面32aと透視状態でほぼ重なるように形成され、その端部は下面に形成された接続用電極35cに接続されている。このように、第1中心電極35はフェライト32に1ターン巻回されている。そして、第1中心電極35と第2中心電極36とは、間に絶縁材34A,34Bが形成されて互いに絶縁された状態で交差している。中心電極35,36の交差角は必要に応じて設定され、入力インピーダンスや挿入損失が調整されることになる。
第2中心電極36は導体膜にて形成されている。この第2中心電極36は、まず、0.5ターン目36aがフェライト32の下面に形成された接続用電極35cと接続された状態で第2主面32bにおいて第1中心電極35と斜めに交差する状態で立ち上がり、上面の中継用電極36bを介して第1主面32aに回り込み、1ターン目36cが第1主面32aにおいて第1中心電極35と直交する状態で形成されている。1ターン目36cの下端部は下面の中継用電極36dを介して第2主面32bに回り込み、1.5ターン目36eが第2主面32bにおいて立ち上がり、上面の中継用電極36fを介して第1主面32aに回り込んでいる。以下同様に、2ターン目36g、中継用電極36h、2.5ターン目36i、中継用電極36j、3ターン目36kがフェライト32の表面にそれぞれ形成されている。3ターン目36kの下端部はフェライト32の下面に形成した接続用電極36lに接続されている。
前記接続用電極35a,35c,36lや中継用電極35b,36b,36d,36f,36h,36jは、フェライト32の上下面に形成された凹部に電極用導体を塗布又は充填して形成されている。この種の電極は、マザーフェライト基板に予めスルーホールを形成し、このスルーホールを電極用導体で充填した後、スルーホールを分断する位置でカットすることによって形成される。なお、各種電極はスルーホールに導体膜として形成したものであってもよい。また、多数個取りの手法で製作される場合、マザーフェライト基板に接着剤を介して永久磁石をも積層した状態でカットされることもある。
永久磁石41は、通常、ストロンチウム系、バリウム系、ランタン−コバルト系のフェライトマグネットが用いられる。永久磁石41とフェライト32とを接着する接着剤42としては、一液性の熱硬化型エポキシ接着剤を用いることが最適である。
回路基板20は、複数枚の誘電体シート上に所定の電極を形成して積層し、焼結した積層型基板であり、その内部には、等価回路である図10に示すように、整合用コンデンサC1,C2、インピーダンス整合用コンデンサCs5,Cs6、及び、LC共振回路(トラップ回路とも称する)43を構成するコンデンサCs7が内蔵されている。また、上面には入力端子電極25、出力端子電極26、グランド端子電極27及び接続用端子電極28a,28bがそれぞれ形成され、下面には入力用外部端子電極IN、出力用外部端子電極OUT及びグランド用外部端子電極GNDがそれぞれ形成されている。なお、等価回路に示されている終端抵抗はチップ抵抗Rとして、LC共振回路43を構成するインダクタはチップインダクタLs1として、それぞれ回路基板20上に外付けされている。
平板状ヨーク10は、電磁シールド機能を有するもので、前記フェライト・磁石素子30の上面に接着剤を介して固定されている。
ここで、前記アイソレータの一回路例を図10の等価回路を参照して説明する。入力用外部端子電極INは並列共振回路43(インダクタLs1とコンデンサCs7とからなる)及び整合用コンデンサCs5を介して入力ポートA(入力端子電極25)に接続され、該入力ポートAは整合用コンデンサC1と終端抵抗Rとに接続されるとともに、第1中心電極35の一端(電極35a)に接続されている。第1中心電極35の他端及び第2中心電極36の一端(電極35c)は、出力ポートB(出力端子電極26)に接続されるとともに、終端抵抗R及びコンデンサC1,C2に接続され、かつ、コンデンサCs6を介して出力用外部端子電極OUTに接続されている。第2中心電極36の他端(電極36l)及びコンデンサC2はグランドポートC(グランド端子電極27)に接続され、かつ、グランド用外部端子電極GNDに接続されている。
図11に以上の等価回路における回路基板20の内部構造を示す。第1層目(基板20の表面)には電極25,26,27,28a,28bが形成され、第2層目には電極51a,51b,52,53,54が形成され、第3層目には電極55,56,57が形成されている。さらに、第4層目には電極58,59,60,61が形成され、第5層目には電極62,63が形成され、第6層目(基板20の裏面)には電極IN,OUT,GNDが形成されている。
電極25(入力ポートA)はビアホール導体によって電極52,55と接続されている。電極26(出力ポートB)はビアホール導体によって電極53,57と接続されている。電極27(グランドポートC)はビアホール導体によって電極54,61,63,GNDと接続されている。電極28aはビアホール導体によって電極51a,60,62,INと接続されている。電極28bはビアホール導体によって電極51b、56,58と接続されている。また、電極59はビアホール導体によって電極OUTと接続されている。
以上の積層関係において、コンデンサC1は電極52,57によって形成され、コンデンサC2は電極57,61によって形成されている。コンデンサCs5は電極55,58によって形成され、コンデンサCs6は電極57,59によって形成されている。また、コンデンサCs7は主に電極56,60によって形成されている。
前記フェライト・磁石素子30は、回路基板20上にフェライト32の主面32a,32bが垂直方向に位置するように載置され、フェライト32の下面に形成した接続用電極35a,35c,36lが回路基板20上の端子電極25,26,27とリフローはんだ付けによって一体化される。また、チップ抵抗Rは端子電極25,26に、チップインダクタLs1は端子電極28a,28bに、それぞれ、リフローはんだ付けによって一体化される。
以上の構成からなる2ポート型アイソレータにおいては、第1中心電極35の一端が入力ポートAに接続され他端が出力ポートBに接続され、第2中心電極36の一端が出力ポートBに接続され他端がグランドポートCに接続されているため、挿入損失の小さな2ポート型の集中定数型アイソレータとすることができる。さらに、動作時において、第2中心電極36に大きな高周波電流が流れ、第1中心電極35にはほとんど高周波電流が流れない。
コンデンサCs5は入力側のインピーダンスを50Ωに整合させ、コンデンサCs6は出力側のインピーダンスを50Ωに整合させる。LC共振回路43は本アイソレータの中心周波数の例えば2倍波に相当する減衰極を有するトラップ回路として機能するように、インダクタLs1のインダクタンス値及びコンデンサCs7の容量値が設計されている。
即ち、本アイソレータにあっては、中心電極35,36がフェライト32に巻回されており、それらのインダクタンス値が大きく、そのままでは入出力インピーダンスが誘導性となり、挿入損失が劣化してしまう。そこで、入力用外部端子電極INと入力ポートAとの間に整合用コンデンサCs5を挿入し、出力用外部端子電極OUTと出力ポートBとの間に整合用コンデンサCs6を挿入することにより、入出力インピーダンスを外部機器のインピーダンス(50Ω)に整合させ、挿入損失の劣化を抑制する。
また、トラップ回路43の共振周波数において通過特性に減衰極が発生し、共振回路周波数付近の減衰特性が改善される。特に、本アイソレータにおいては、チップインダクタLs1から入力用外部端子電極INへ至る電流経路を形成するビアホール導体71及びチップインダクタLs1から電極58(コンデンサCs5)へ至る電流経路を形成するビアホール導体72は他のビアホール導体よりも大きく(面積的に大きく)形成されている。これにて、前記第1実施例と同様にインダクタLs1の発熱は良好に外部に放熱され、インダクタLs1の異常な昇温が防止される。
なお、コンデンサC1,C2,Cs5,Cs6,Cs7はチップコンデンサで構成してもよいが、アイソレータ自体の小型化のためには回路基板20に内蔵することが好ましい。また、チップインダクタLs1の放熱用として他のビアホール導体よりも大径とするのは少なくともビアホール導体71であればよい。
(他の実施例)
なお、本発明に係る非可逆回路素子は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができることは勿論である。
以上のように、本発明は、サーキュレータやアイソレータなどの非可逆回路素子に有用であり、特に、共振回路を構成するインダクタンス素子の放熱性が良好である点で優れている。
20,120…回路基板
32,132…フェライト
35,36,135,136,137…中心電極
41,141…永久磁石
43,143…LC共振回路
71,72,125a’,151’,159’,165…放熱用ビアホール導体
115…下ヨーク
177…グランド用電極
182…放熱用電極
G…グランド用外部接続端子
Cg1,Cs7…コンデンサ
Lg1,Ls1…インダクタ

Claims (6)

  1. 永久磁石と、
    前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、
    前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、
    前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、
    表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、
    を備え、
    前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
    前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、該ビアホール導体は回路基板に形成されている他のビアホール導体よりも大きいこと、
    を特徴とする非可逆回路素子。
  2. 永久磁石と、
    前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、
    前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、
    前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、
    表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、
    を備え、
    前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
    前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、該ビアホール導体は電気的に並列に接続された複数のビアホール導体からなること、
    を特徴とする非可逆回路素子。
  3. 永久磁石と、
    前記永久磁石により直流磁界が印加されるフェライトと、
    前記フェライトに互いに電気的に絶縁状態で交差して配置された複数の中心電極と、
    前記複数の中心電極の少なくとも一つと電気的に接続されたLC共振回路と、
    表面に端子電極が形成された多層の回路基板と、
    を備え、
    前記LC共振回路はインダクタンス素子とキャパシタンス素子とで構成され、
    前記回路基板には前記インダクタンス素子を外部端子電極に電気的に接続するためのビアホール導体が形成され、かつ、該ビアホール導体は回路基板の少なくとも1層に形成されている放熱用電極と電気的に接続されていること、
    を特徴とする非可逆回路素子。
  4. 前記インダクタンス素子は前記ビアホール導体を介してグランド用電極に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の非可逆回路素子。
  5. 前記グランド用電極はヨークに電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の非可逆回路素子。
  6. 前記インダクタンス素子はチップインダクタからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の非可逆回路素子。
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