JP2011046632A - 毛髪用熱保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱処理に伴う毛髪損傷、特にランチオニンの生成を防止する毛髪の熱保護剤を提供する。
【解決手段】熱保護材として被膜性を有するタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を含有させて毛髪用熱保護剤を構成する。熱保護材としては平均アミノ酸重合度が100〜500のケラチン加水分解物が好ましく、タンパク質加水分解物誘導体としてはシリル化誘導体が好ましい。毛髪用熱保護剤中でのタンパク質加水分解物および/またはタンパク質加水分解物誘導体および/またはポリアミノ酸の含有量は0.05〜20質量%が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は毛髪の熱保護剤に関し、タンパク質加水分解物および/またはタンパク質加水分解物誘導体および/またはポリアミノ酸を含有する、熱による毛髪損傷を防ぐ毛髪用熱保護剤に関する。
毛髪は日々の生活の中でシャンプーやブラッシング、紫外線など様々な外的要因により損傷しているが、熱による毛髪の損傷もその中の一つとして挙げられる。日常で使用される毛髪の加熱器具にはヘアドライヤーやヘアアイロンなどがあるが、これらは毛髪の水分を過剰に揮散させることなどで、パサツキなどの損傷を誘発する。また、毛髪は145℃以上の熱がかかるとタンパク変性を起こし、毛髪タンパク中のシスチンのジスルフィド結合の分解に伴い、ランチオニンを含むタンパク質へと変性する。その結果として、毛髪強度の低下やパーマネントウェーブのかかりの低下などが生じる。
このような損傷を防止するために、ヘアアイロンによる損傷防止を目的としたシリコーン類と植物油を含有する毛髪化粧料が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この毛髪化粧料ではランチオニンの生成を抑制する効果は確認されず、シリコーン類を用いた化粧料では毛髪用熱保護剤としては不十分であった。
特開2007−51078
したがって本発明は、熱処理によって引き起こされる毛髪損傷、特にランチオニン生成を抑制する毛髪用熱保護剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、熱処理による毛髪のダメージをメカニズムから考察し、熱保護材として被膜性を有するタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸に着眼し、タンパク質加水分解物および/またはタンパク質加水分解物誘導体および/またはポリアミノ酸を含有した熱保護剤を用いることで、熱による毛髪タンパク中のランチオニン生成が抑制され、毛髪の熱による損傷が抑えられるのを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする毛髪用熱保護剤を提供するものである(請求項1)。なお、タンパク質加水分解物は、加水分解タンパクあるいは加水分解タンパク質とも言われるが、本明細書では、これらは全て同じ意味で用いている。
本発明の毛髪用熱保護剤に含有されるタンパク質加水分解物およびタンパク質加水分解物誘導体のタンパク源としては、ケラチン、コラーゲン、シルク、カゼイン、プロタミン、ツェイン、ダイズタンパク、コムギタンパク、ゴマタンパク、エンドウタンパクおよびコメタンパクが挙げられ、これらのタンパク質を酸、アルカリ、酵素あるいはそれらの併用によって加水分解したものやその誘導体が毛髪用熱保護剤に用いられる(請求項2)。
請求項3の発明は、タンパク質加水分解物誘導体が、シリル化誘導体、N−アシル化誘導体、4級アンモニウム化誘導体、N−グリセリル化誘導体、アルキルエステル化誘導体およびグリセリルエステル化誘導体からなる群から選ばれる1種以上である毛髪用熱保護剤である。
これらのタンパク質加水分解物誘導体は、いずれも毛髪を熱損傷から保護する効果を有するが、その中でもシリル化誘導体は、熱によって被膜を形成するため特にその効果が大きく、毛髪用熱保護剤の成分として用いるのに好ましい。
また、タンパク質加水分解物の中では、特に、平均アミノ酸重合度が100〜500のケラチン加水分解物が、高分子被膜を形成し、毛髪の熱からの保護効果に優れるため好ましい(請求項4)。なお、平均アミノ酸重合度は、ゲル濾過分析で得られた数平均分子量値とタンパク質ごとの平均アミノ酸分子量をもとに算出した値である。
本発明の毛髪用熱保護剤に含有させるタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上の量は、0.05〜20質量%の範囲である(請求項5)。
毛髪用熱保護剤中でのタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物の誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上の含有量が前記範囲より少ない場合は、毛髪に優れた熱保護効果やセット力を充分に付与することができないおそれがあり、また逆に、前記範囲より多くなっても、含有量の増加に見合う効果の増加が認められないおそれがある。
本発明の毛髪用熱保護剤は、熱から毛髪を保護することができ、特に熱によるランチオニン生成を抑制する効果が高く、健康的な毛髪を維持することを可能とする。
本発明の毛髪用熱保護剤は、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を一般的に用いられる毛髪化粧料に含有させることで調製できる。また、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を水、含水エタノールなどの溶媒に溶かしたのみの溶液も本発明の毛髪用熱保護剤に含まれる。
タンパク質加水分解物やその誘導体のタンパク源としては、ケラチン、コラーゲン、シルク、カゼイン、プロタミン、ツェイン、ダイズタンパク、コムギタンパク、ゴマタンパク、エンドウタンパクおよびコメタンパクなどが用いられる。
本発明の熱保護剤に用いられるタンパク質加水分解物としては、例えば、下記一般式(I)
(式中、R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す。また、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸重合度を示し、3≦n≦500である)
で表されるタンパク質加水分解物が挙げられる。
タンパク質加水分解物の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(I)中のn〕は3〜500であることが好ましい。
一般にタンパク質加水分解物は、アミノ酸重合度が小さくなると毛髪への収着性が低くなる傾向があり、タンパク質加水分解物の有する造膜作用、毛髪のセット力の付与作用などが充分に発揮することができなくなるおそれがあり、高分子になるほど造膜作用が強くなり、熱に対する保護効果が高くなる傾向がある。しかし、アミノ酸重合度が極度に大きくなると、水への溶解性が低下する。ただ、タンパク質の種類や加水分解方法によっては高分子のタンパク質加水分解物でも水溶性が高いものもあり、一概にアミノ酸重合度で本発明の毛髪用熱処理剤に使用できるタンパク質加水分解物を規定することはできないが、概ね平均アミノ酸重合度が20〜400がより好ましい範囲である。
タンパク質加水分解物の中でも高分子量のケラチン加水分解物が熱に対する毛髪保護効果が高く、平均アミノ酸重合度が100〜500ケラチン加水分解物が好ましく、平均アミノ酸重合度が250〜400のケラチン加水分解物がさらに好ましい。
タンパク質加水分解物の誘導体としては、タンパク質加水分解物のシリル化誘導体、タンパク質加水分解物のN−アシル化誘導体、タンパク質加水分解物の4級アンモニウム化誘導体、タンパク質加水分解物のN−グリセリル化誘導体、タンパク質加水分解物のアルキルエステル化誘導体およびタンパク質加水分解物のグリセリルエステル化誘導体が挙げられる。
シリル化タンパク質加水分解物としては、例えば、下記一般式(II)
〔式中、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは結合手で、メチレン、プロピレン、−CH2OCH2CH(OH)CH2−または−(CH2)3OCH2CH(OH)CH2−で示される基である。R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す。また、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、3≦n≦100である〕
で表されるタンパク質加水分解物のアミノ基にケイ素原子をただ一つ含む官能基が結合した誘導体が挙げられ、このようなシリル化タンパク質加水分解物は、例えば、特開平8−059424号公報、特開平8−067608号公報などに記載の方法で製造することができる。
このシリル化タンパク質加水分解物においては、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(II)のn〕は、3〜100であることが好ましく、5〜50であることがより好ましい。
これは、シリル化タンパク質加水分解物のタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなる上に、タンパク質加水分解物の有する造膜作用、毛髪のセット力の付与作用などが充分に発揮することができなくなるおそれがあり、逆に、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、ペプチドの大きさに占めるシリル基の割合が小さくなり、シリル基が有する機能を十分に発揮できなくなるおそれがあるからである。シリル化タンパク質加水分解物においては、シリル基同士が毛髪上で重合して高分子化して被膜を形成するので、タンパク質加水分解物ほどの平均アミノ酸重合度は必要としない。
N−アシル化タンパク質加水分解物としては、タンパク質加水分解物のN末端アミノ基に、炭素数8〜32の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の脂肪酸や樹脂酸などを縮合させた誘導体やその塩が挙げられ、例えば、下記一般式(III)
(式中、R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を、R3は炭素数8〜32の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の脂肪酸や樹脂酸のカルボキシ基の水酸基を除く残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す。また、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、2≦n≦200である)
で表されるN−アシル化タンパク質加水分解物またはその塩が挙げられる。
前記炭素数8〜32の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の脂肪酸や樹脂酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、樹脂酸、水素添加樹脂酸などが挙げられる。そして、N−アシル化タンパク質加水分解物の塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩などが挙げられる。
そして、このN−アシル化タンパク質加水分解物またはその塩においては、そのタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(III)のn〕は、2〜200であることが好ましく、5〜100であることがより好ましい。
これは、N−アシル化タンパク質加水分解物のタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなる上に、アシル基の疎水性の性質が強く現れて水溶性の性質が低下するおそれがあり、逆に、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、タンパク質加水分解物部分の水への溶解性が低下して水溶性の毛髪用熱処理剤に配合できなくなるおそれがあるからである。
4級アンモニウム化タンパク質加水分解物としては、例えば、下記の一般式(IV)
(式中、R4、R5、R6は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜22のアルキル基または炭素数2〜22のアルケニル基、あるいはR4〜R6のうち1個または2個が炭素数1〜22のアルキル基または炭素数2〜22のアルケニル基で、残りが炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基またはベンジル基を表す。Bは炭素数2〜3の飽和炭化水素または炭素数2〜3の水酸基を有する飽和炭化水素を、Xはハロゲン原子を表す。R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す。また、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、3≦n≦200である)
で表されるものが挙げられ、この4級アンモニウム化タンパク質加水分解物は、アルカリ条件下でタンパク質加水分解物と4級アンモニウム化合物とを反応させることによって得られる。
上記4級アンモニウム化合物の具体例としては、例えば、グリシジルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、グリシジルヤシ油アルキルジメチルアンモニウムクロリド、グリシジルラウリルジメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルアンモニウム塩、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルヤシ油アルキルジメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエチルジメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの3−ハロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩、2−クロロエチルトリメチルアンモニウムクロリドなどの2−ハロ−エチルアンモニウム塩、3−クロロプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの3−ハロ−プロピルアンモニウム塩などが挙げられる。
そして、この4級アンモニウム化タンパク質加水分解物においては、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(IV)のn〕は、3〜200であることが好ましく、10〜150であることがより好ましい。
これは、4級アンモニウム化タンパク質加水分解物のタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなる上に、4級アンモニウム基に結合するアルキル基の種類によっては疎水性の性質が強くなって水溶性の性質が低下するおそれがあり、逆に、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、タンパク質加水分解物部分の水への溶解性が低下して水溶性の毛髪用熱処理剤に配合できなくなるおそれがあるからである。なお、4級アンモニウム化タンパク質加水分解物は、4級アンモニウム基によって毛髪に収着しやすい性質を有するため、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸分子量がやや小さくても熱保護効果を発揮できる。
N−グリセリル化タンパク質加水分解物としては、例えば、下記一般式(V)
(式中、R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アミンを示す。また、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、3≦n≦200である)
で表されるN−グリセリル化タンパク質加水分解物が挙げられ、このようなN−グリセリル化タンパク質加水分解物は、例えば、特開2005−306799号公報に記載の方法で製造することができる。
そして、このN−グリセリル化タンパク質加水分解物においては、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(V)のn〕は、3〜200であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。
これは、N−グリセリル化タンパク質加水分解物のタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなる上に、N−グリセリル化タンパク質加水分解物は水溶性の性質が強いため洗い流されやすく、熱保護効果を充分に発揮できないおそれがあり、逆に、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、タンパク質加水分解物部分の水への溶解性が低下して水溶性の毛髪用熱処理剤に配合できなくなるおそれがあるからである。
タンパク質加水分解物アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(VI)
(式中、R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を、R7は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、またはフェニル基を示す。nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、2≦n≦200である)
で表されるものが挙げられ、このタンパク質加水分解物アルキルエステルは、タンパク質加水分解物と炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、またはフェニル基を有するアルコールを脱水縮合させることによって得られるが、製造の容易さの観点からアルコールとしては炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、エタノールが最も好ましい。また、タンパク質加水分解物アルキルエステルは、例えば、特許第2564561号公報に記載の方法よって得ることができる。
そして、このタンパク質加水分解物アルキルエステルにおいては、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度〔上記一般式(VI)のn〕は、2〜200であることが好ましく、5〜50であることがより好ましい。
これは、タンパク質加水分解物アルキルエステルのタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなるためである。また、タンパク質加水分解物アルキルエステルは一般に溶媒がエタノールなどの低級アルコールまたは含水低級アルコール製品に用いられるが、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、エタノールや含水エタノール中での安定性が悪くなるおそれがあるからである。
タンパク質加水分解物グリセリルエステルとしては、例えば、下記一般式(VII)および(VIII)
(式中、R1はタンパク質由来のアミノ酸側鎖を示し、nはタンパク質加水分解物の平均アミノ酸の重合度を示し、3≦n≦200である)
で表されるものが挙げられ、酸性条件下でタンパク質加水分解物とグリシドールとを反応させることによって得られる。このようなタンパク質加水分解物グリセリルエステルは、例えば、特開2009−161519号公報記載の方法で製造できる。
そして、このタンパク質加水分解物グリセリルエステルにおいては、タンパク質加水分解物部分のアミノ酸重合度〔上記一般式(VII)および(VIII)のn〕は、3〜200であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。
これは、タンパク質加水分解物グリセリルエステルのタンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より小さい場合は、毛髪への収着性が低くなるためであり、逆に、タンパク質加水分解物部分の平均アミノ酸重合度が上記範囲より大きくなると、タンパク質加水分解物部分の水への溶解性が低下するおそれがあるからである。
ポリアミノ酸としては、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリグリシンなどが挙げられる。毛髪用熱保護剤に配合する場合、アミノ酸の種類によって毛髪への収着力が異なるため、最適のアミノ酸重合度もアミノ酸の種類によって異なるが、概ね平均アミノ酸重合度として20〜500が好ましく、100〜400がより好ましい。
ポリアミノ酸の平均アミノ酸重合度がこの範囲より小さい場合は、毛髪への収着力が乏しくなり、従って熱に対する保護効果が充分に発揮できないおそれがあり、また、平均アミノ酸重合度が上記範囲以上になると毛髪がべたついて感触が悪くなるおそれがある。なお、ポリアミノ酸が上記範囲以上の場合は、酸、アルカリ、酵素あるいはそれらの併用によって平均アミノ酸重合度が上記範囲内に入るように加水分解して使用する。
本発明の毛髪用熱保護剤は、一般的な毛髪化粧料の剤型として使用され、具体的には、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアセットローション、ヘアトリートメントローション、パーマネントウェーブ用剤、染色剤、脱色剤、シャンプー、ヘアリンスなどが挙げられる。
本発明の毛髪用熱保護剤において、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上の含有量としては、毛髪化粧料の種類によっても異なるが、0.05〜20質量%が好ましく、1.0〜10.0質量%がより好ましい。
本発明の毛髪用熱保護剤中でのタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上の含有量を上記のように規定しているのは、毛髪用熱保護剤での含有量が上記範囲より少ない場合は、毛髪に優れた熱保護効果やセット力を充分に付与できないおそれがあり、また逆に、毛髪用熱保護剤中でのタンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群より選ばれる1種以上の含有量が上記範囲より多くなっても、含有量の増加に見合う効果の増加が認められないためである。
本発明の毛髪用熱保護剤は、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸の群から選ばれる1種以上を含有させることによって構成されるが、タンパク質加水分解物やタンパク質加水分解物誘導体を2種以上含有させる場合は、異なった種類のものを2種以上含有させてもよいし、同種でペプチドの分子量が異なるものを2種以上含有させてもよい。
そして、本発明の毛髪用熱保護剤中に、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上と併用して配合できる成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アニオン性ポリマーなどの合成ポリマー、半合成ポリマー類、動植物油、炭化水素類、エステル油、高級アルコール類、シリコーン油などの油剤、天然多糖類、保湿剤、低級アルコール類、アミノ酸類、増粘剤、動植物抽出物シリコーン類、防腐剤、香料などが挙げられるが、それら以外にも本発明の毛髪用熱保護剤の特性を損なわない範囲で適宜他の成分を添加することができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例中における各成分の配合量(含有量)はいずれも質量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名の後に括弧書きで固形分濃度を示す。
実施例1〜2および比較例1〜2:ヘアトリートメントローション
表1に示すヘアトリートメントローションを調製し、毛髪中のランチオニンを測定して毛髪の熱からの保護効果を調べた。なお、比較例2はタンパク質加水分解物やシリコーンなどを含んでいない対照品である。また、表中の加水分解ケラチンとの表示は、化粧品表示名称に従った表示方法で、ケラチン加水分解物のことであり、同様に(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチンは加水分解ケラチンのシリル化誘導体である。これらの表示方法は以下の実施例でも同じであり、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパクは加水分解コムギタンパクのシリル化誘導体を示す。
長さ13cmで重さ0.5gの市販毛束(ビューラックス社 以下の市販毛束も同社製である。)を、実施例1〜2および比較例1〜2のヘアトリートメントローション50gの中にそれぞれ1分間浸漬し、ストレートヘアアイロン〔山本美材株式会社製 ウストフラットアイロン(商品名)〕を用いて180℃で約1秒間処理を行った。これらの処理を30回繰り返し、その後25%のポリオキシエチレン(3)ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で毛束を洗浄した。
処理を行った毛束を細分化し、8N塩酸で110℃、24時間全加水分解した後、アミノ酸オートアナライザー(HITACHI社 高速アミノ酸分析装置)でアミノ酸分析を行った。アミノ酸分析でのハーフシスチン、ランチオニンのモル分率を表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、加水分解ケラチンあるいは加水分解ケラチンのシリル化誘導体を含有した実施例1〜2のヘアトリートメントローションで処理したそれぞれの毛髪は、比較例1〜2のヘアトリートメントローションで処理した毛髪に比べて、ハーフシスチンの量が多く、ランチオニン量が少なく、実施例1〜2のヘアトリートメントローションはシスチンのジスルフィド結合の開裂によるランチオニンの生成を抑制していて、ケラチン加水分解物やケラチン加水分解物誘導体を含有する実施例1および2のヘアトリートメントローションは、毛髪用熱保護剤として優れていた。
実施例3〜4および比較例3:リーブオンヘアトリートメント
表3に示す組成のリーブオンヘアトリートメントを調製し、このリーブオンヘアトリートメントで毛髪を処理し、毛髪中のハーフシスチンとランチオニン量を測定した。さらにパーマネントウェーブ処理を施して、パーマネントウェーブのかかり具合、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の潤い感や艶を評価した。
長さ25cmで重さ1gの市販毛束に上記実施例3〜4または比較例3のリーブオンヘアトリートメント0.5gをそれぞれ塗布し、ストレートヘアアイロンを用いて180℃で約1秒間処理を行い、次いで25%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を用いて洗浄を行った。これらの操作を30回繰り返した後、各毛束から一部の毛髪を採取してアミノ酸分析に供し、残りの毛髪(毛束)はそれぞれ表4に示す組成のパーマネントウェーブ用剤を用いてパーマネントウェーブ処理を行った。
パーマネントウェーブ処理は、上記熱処理を行った各毛束を20mmロッドに巻き、表4に示すパーマネントウェーブ用第1剤を3.0g全体に塗布し、25℃の環境下で15分放置し、水道水の流水中ですすぎ洗いした後にパーマネントウェーブ用第2剤を3.0g全体に塗布し、25℃の環境下で15分放置し、水道水の流水中ですすぎ洗いし、乾燥させることによって行った。乾燥後の毛髪の長さの測定結果を表5に示すが、毛髪の長さが短くなっている方がウェーブのかかりが強く、長くなっている方がウェーブのかかりが弱いことを示している。
また、乾燥後の毛髪の潤い感および艶を10人のパネラー(女性10人)に下記の評価基準で5段階評価させ、それらの平均値も表5に示す。
評価基準
5 : 非常に良い
4 : 良い
3 : やや良い
2 : 悪い
1 : 非常に悪い
表5に示した結果から明らかなように、実施例3〜4の加水分解ケラチンまたは加水分解コムギタンパクのシリル化誘導体を含有したリーブオンヘアトリートメントで処理した毛髪は、ケラチンタンパク質加水分解物やその誘導体を含有していない比較例3のリーブオンヘアトリートメントで処理した毛髪に比べてランチオニンの生成が抑制されていて、さらにウェーブのかかりが良く、毛髪の潤い感や艶でも高い評価値を示した。すなわち、実施例3〜4のリーブオンヘアトリートメントはシスチンのジスルフィド結合の開裂に伴うランチオニンの生成を抑制する効果により、ウェーブのかかりの低下を抑えたものと思われる。さらに、毛髪の質感においても、実施例3〜4のリーブオンヘアトリートメントは熱処理による質感の低下を防止する効果を持ち、優れた熱保護効果を示していた。
実施例5および比較例4:カーリングローション
表6に示す組成のカーリングローションを調製し、それぞれのカーリングローションで処理した毛髪を熱処理し、毛髪中のハーフシスチン量およびランチオニン量を測定し、また、毛髪の引っ張り強度、セット力を調べた。
実施例5または比較例4のカーリングローションを前処理剤として、それぞれ長さ13cmで重さ1.5gの市販毛束に0.5g塗布し、ストレートヘアアイロンを用いて180℃で約1秒間処理を行い、次いで25%ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。これらの操作を30回繰り返した後、各毛束から毛髪の一部を採取してアミノ酸分析に供し、毛髪中のハーフシスチン量およびランチオニン量を調べた。また、各毛束の残りの毛髪については、毛髪直径システム(カトーテック(株)社製SK−2000)を用いて毛髪の長径および短径を0.5cmきざみに5cmの長さにわたって測定し、断面積を計算した。その後、高感度毛髪引張り試験機(カトーテック(株)社製KES−G1−SH)用いて毛髪の切断時の強度を測定し、断面積当たりの引っ張り強度(kgf/mm2)を算出した。
セット力の評価は下記のように行った。すなわち、長さ25cmで重さ1gの市販毛束を用いて、前処理剤として実施例5または比較例4のカーリングローションを0.5g各毛束になじませ、180℃のカーリングアイロン(mod’s hair カーリングアイロン25mm)を用いて20秒間ウェーブを形成させ、ウェーブ形成後の毛髪の長さを測定した。毛髪の長さが短くなっている方がセット力が強く、長くなっている方がセット力が弱いことを意味する。これら引っ張り強度、セット力の結果を表7に示す。
表7に示した結果から明らかなように、加水分解ケラチンと加水分解ケラチンのシリル化誘導体を含有する実施例5のカーリングローションで処理した毛髪は、これらを含んでいない比較例4のカーリングローションで処理した毛髪に比べてハーフシスチン量が多く、ランチオニンの生成は抑えられていた。また、引っ張り強度は約7.2%強くなっていた。さらに、セット力の評価では、カーリング後の毛髪の長さは、実施例5のカーリングローションで処理した毛髪は比較例4のカーリングローションで処理した毛髪に比べて10%も短く、実施例5のカーリングローションはセット力が優れていた。これらのことから、実施例5のカーリングローションはハーフシスチンのジスルフィド結合の開裂に伴うランチオニンの生成を抑制することによって、毛髪強度の低下を防ぎ、さらに熱によるセット効果も示し、毛髪保護効果とセット力を併せ持った毛髪化粧料として優れていた。
上記実施例で使用した成分のうち、*印を付したものは下記の通りである。
*1:成和化成社製 プロモイスKR−30(商品名)
*2:成和化成社製 プロモイスWK−HSIG(商品名)
*3:成和化成社製 プロモイスWG−SIG(商品名)
*4:セピック社製 モンタノブ68(商品名)
*5:成和化成社製 セイセプトH(商品名)
*6:Shulke & Mayr社製 Euxyl
PE9010(商品名)

Claims (5)

  1. タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする毛髪用熱保護剤。
  2. 前記タンパク質加水分解物またはタンパク質加水分解物誘導体のタンパク質加水分解物部分が、ケラチン、コラーゲン、シルク、カゼイン、プロタミン、ツェイン、ダイズタンパク、コムギタンパク、ゴマタンパク、エンドウタンパクおよびコメタンパクからなる群から選ばれるタンパク源を加水分解することで得られることを特徴とする請求項1に記載の毛髪用熱保護剤。
  3. 前記タンパク質加水分解物誘導体が、シリル化誘導体、N−アシル化誘導体、4級アンモニウム化誘導体、N−グリセリル化誘導体、アルキルエステル化誘導体およびグリセリルエステル化誘導体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の毛髪用熱保護剤。
  4. 前記タンパク質加水分解物が、平均アミノ酸重合度が100〜500のケラチン加水分解物であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪用熱保護剤。
  5. 前記タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体およびポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上の含有量が0.05〜20質量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の毛髪用熱保護剤。
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JP2022133231A (ja) * 2021-03-01 2022-09-13 ノイズシェーンマルクト株式会社 アウトバストリートメント及び染毛方法

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