JP2011038837A - 信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワー推定に際して効率的な演算を行うことにより、アレーアンテナのアンテナ素子数Kの増加による演算量の増加を抑制する。
【解決手段】本発明のレーダ装置は、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号から生成した自己相関行列の固有値/固有ベクトルの内、雑音空間の固有ベクトルと到来波方位のアレー応答ベクトルとの間にある直交関係を利用することで、雑音空間を除く信号空間の固有値及び固有ベクトルを選択的に用いて、自己相関行列をESΛSS Hに近似し(ΛSは、信号空間の固有値λ1,…,λMを対角成分に持つ対角行列、ESは、信号空間の固有ベクトルe1,…,eMを列とする信号部分空間行列である。)、この近似行列ESΛSS Hに、到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)を列とするアレー応答行列Vを作用させることにより、各到来方位から到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、アンテナの受信信号から到来波のパワーを推定する信号処理装置に関する。
従来、車載用のレーダ装置であって、レーダ波を発射し、その反射波を受信して、受信信号を解析することにより、物標(前方車両等)までの距離や、物標と自車との相対速度、物標方位を推定するレーダ装置が知られている。
この種のレーダ装置では、送信波に対する反射波の遅延量から物標までの距離を推定すると共に、送信波に対する反射波のドップラシフト量から、物標と自車との相対速度を推定する。
また、物標方位については、アレーアンテナの各アンテナ素子が受信する反射波に、到来方向に応じた位相差が生じることを利用して推定する。複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナを用いて物標方位を推定する方法としては、MUSIC法やESPRIT法が知られている。
ここで、MUSIC法について概要を説明する。前提として、アレーアンテナは、K個のアンテナ素子が並列配置されてなるリニアアレーアンテナであるものとする(図1参照)。
まず、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号から、式(1)に示す受信ベクトルXを構成する。次に、この受信ベクトルXを用いて、式(2)に示す上記受信信号についてのK行K列の自己相関行列Rxxを生成する。
Figure 2011038837
上式において、Tは、ベクトル転置を示し、Hは、複素共役転置を示す。また、受信ベクトルX(i)の要素xk(i)は、k(但し、k=1,…,K)番目のアンテナ素子の受信信号の時刻iでの値である。また、Lは、サンプル数である。本例では、各アンテナ素子の受信信号に関し、L個のサンプルを用いて期待値を採り、自己相関行列Rxxを生成している。
自己相関行列Rxxの生成後には、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK(但し、λ1≧λ2≧…λK)及び固有ベクトルe1,…,eKを算出し、熱雑音電力に対応する閾値λthより大きい固有値の数から到来波数Mを推定する。
そして、熱雑音電力以下となる(K−M)個の固有値λM+1,…,λKに対応した固有ベクトルeM+1,…,eKを列とした雑音部分空間行列ENと、方位θに対するアレーアンテナの複素応答、即ち、アレー応答ベクトルa(θ)とから、下式の評価関数PMU(θ)で表されるMUSICスペクトルを求める。
Figure 2011038837
評価関数PMU(θ)で表されるMUSICスペクトルは、方位θが到来波の到来方向と一致すると、aH(θ)EN≒0となり発散して、鋭いピークが立つため、到来波の方位θ1,…,θM、即ち、反射波を発生させた物標の方位は、MUSICスペクトルのピーク(ヌルポイント)を抽出することにより求めることができる。
但し、MUSICスペクトルによってピークを抽出するだけでは、抽出したピークに、反射波に起因するピークの他、雑音に起因するピークが含まれる可能性がある。
このため、物標の方位推定に当たっては、MUSICスペクトルにてピーク値が最大の方位から、到来波数M分の方位θ1,…,θMを抽出して、これらの方位θ1,…,θMをパワー推定対象に設定し、パワー推定対象の各方位θ1,…,θMのパワーP(θ1),…,P(θM)を求める。
そして、パワー推定対象の各方位θ1,…,θMの内、パワーが閾値Pth以上の方位を、物標の方位であると推定する。雑音成分に対応する方位は、当然のことながらパワーが低い。従って、パワーが閾値Pth以上の方位を、物標方位であると推定することにより、雑音を原因とする物標方位の誤推定を抑えるのである。
パワー(受信電力)の推定は、次のように行う。まず、パワー推定対象の各方位θ1,…,θMに対応するアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)により、アレー応答行列Vを生成する。
Figure 2011038837
そして、このアレー応答行列Vを用いて、次式で表される行列Sを算出する(例えば、特許文献1参照)。
Figure 2011038837
尚、上式における行列Iは、単位行列であり、σ2は、熱雑音電力である。熱雑音電力σ2については、真値不明のため、閾値λthで代用したり、閾値λth以下の固有値の平均で代用したりする。
このように行列Sを算出すれば、行列Sの第m対角成分から方位θmのパワーP(θm)を得ることができる(但し、m=1,…,M)。
Figure 2011038837
従来では、このようにして、各方位についてのパワーを求め、パワーが閾値Pth以上の方位を、物標の方位に推定している。
特開2007−147554号公報
しかしながら、従来技術では、行列Sの算出にK2オーダの演算(乗算)が必要で、アンテナ素子数Kを増やしてレーダ装置の性能を向上させようとすると、パワーの推定に係る演算量が急激に増加するといった問題があった。
上述したように、自己相関行列Rxxは、アンテナ素子数Kに対応したK行K列の行列であるので、当然のことながら行列{Rxx−σ2I}は、K行K列の行列である。一方、アレー応答行列Vは、K行M列の行列であるので、行列{(VHV)-1H}は、M行K列の行列である。従って、行列(VHV)-1H(Rxx−σ2I)の算出には、要素毎にK回の乗算が必要あり、要素数M×Kに応じて、合計M×K2回の乗算が必要となるのである。
尚、演算量を抑制する技術としては、アレー応答ベクトル間の内積a(θp)・a(θq)が、方位差が小さい程大きくなり、方位差が大きい程小さくなる性質を利用して、演算量を抑制するもの(特許文献1参照)が従来知られている。
即ち、パワーを推定すべき到来波の方位θmに対応したアレー応答ベクトルa(θm)、及び、方位θmに近接する到来波の方位θm1,θm2,…,θmdに対応したアレー応答ベクトルa(θm1),a(θm2),…,a(θmd)を用いて、近接方位アレー応答行列Vmを、式
Figure 2011038837
により定義し、この近接方位アレー応答行列Vmにより、方位θmから到来した到来波のパワーP(θm)を、式
Figure 2011038837
で表される行列Smの第1行第1列の要素値Sm[1,1]から推定して、演算量を抑制するのである。
しかしながら、このような手法を採用しても、アンテナ素子数Kを増やせば、パワーの推定に係る演算量は、K2オーダで増加する。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、パワーの推定に際して、効率的な演算を行うことにより、アンテナ素子数Kの増加による演算量の増加を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の信号処理装置は、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、アレーアンテナが受信した到来波のパワーを推定する信号処理装置であって、相関行列生成手段と、展開手段と、分析手段と、パワー推定手段と、を備えるものである。
相関行列生成手段は、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、当該受信信号についての自己相関行列Rxxを生成する。一方、展開手段は、相関行列生成手段により生成された上記自己相関行列Rxxを展開して、自己相関行列Rxxの固有値及び固有ベクトルを算出する。
また、分析手段は、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eK群から、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを抽出し、パワー推定手段は、自己相関行列Rxxと、予め指定された各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルと、に基づき、これら各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する。
具体的に、パワー推定手段は、雑音空間の固有ベクトルeM+1,…,eKと各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)の直交関係を利用することで、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eKの内、上記信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを選択的に用いて、自己相関行列Rxxを近似し、上記信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMからなる当該自己相関行列Rxxの近似行列Rxx’に、各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)を作用させることにより、各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する。
詳述すれば、パワー推定手段は、各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定するに際し、パワー推定対象の方位θ1,…,θMに対応したアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)を列とするアレー応答行列Vを生成すると共に、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eKの内、雑音空間を除く上記信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを用いて、自己相関行列Rxxを、行列Rxx’
Figure 2011038837
により近似し、式
Figure 2011038837
に従う行列S’の対角成分を算出することにより、パワー推定対象の方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する。
但し、ΛSは、信号空間の固有値λ1,…,λMを対角成分に持つ対角行列ΛS=diag(λ1,…,λM)であり、ESは、信号空間の固有ベクトルe1,…,eMを列とする信号部分空間行列ES=[e1,…,eM]であり、上付き文字Hは、複素共役転置である。
更に付言すれば、上記パワー推定手段は、対角行列ΛSを挟む行列{(VHV)-1HS}又は[ES HV(VHV)-1}を算出し、この算出結果に基づき、{(VHV)-1H(ESΛSS H)V(VHV)-1}を算出する構成にする構成にすることができる。
即ち、パワー推定手段は、式
Figure 2011038837
に従う行列Wの要素の値を算出すると共に、式
Figure 2011038837
に従う行列Wnの対角要素の値を算出し、これらの算出結果を用いて、上記行列S’の対角成分を算出し、パワー推定対象の方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する構成にすることができる。
アレー応答行列を、式(5)に示すように、V=[a(θ1),…,a(θM)]とする場合には、式
Figure 2011038837
に従って、各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定することができる(但し、w[m,j]は、行列Wにおける第m行第j列の要素の値を表し、wn[m]は、行列Wnにおける第m行第m列の要素の値を表す。)。
このように構成された本発明の信号処理装置によれば、自己相関行列Rxxを展開(所謂スペクトル展開)し、当該展開後の自己相関行列Rxxに対してアレー応答ベクトルを作用させて、各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定すると共に、この際には、雑音空間の固有ベクトルeM+1,…,eKと各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)の直交関係を利用することで、雑音空間の各固有ベクトルeM+1,…,eKとアレー応答ベクトルとの乗算に係る演算を省略するので、パワーP(θ1),…,P(θM)の推定に係る演算量を抑制することができる。
尚、本発明の信号処理装置によれば、自己相関行列Rxxを展開して、固有値及び固有ベクトルを算出する必要があるが、この種の信号処理装置を用いるレーダ装置では、到来波の方位推定のために、固有値及び固有ベクトルを算出する必要があるので、自己相関行列Rxxの展開によって、特別に演算量が増大するといった問題は生じない。
従って、本発明によれば、パワーの推定に際して効率的な演算を行うことができ、アンテナ素子数Kの増加による演算量の増加の程度を、従来よりも抑制することができる。
この点について詳述する。自己相関行列Rxxは、固有値及び固有ベクトルにより展開(スペクトル展開)すると、次式で表現することができる。
Figure 2011038837
但し、ΛNは、対角行列ΛSと同様、雑音空間の固有値λM+1,…,λKを対角成分に持つ対角行列ΛN=diag(λM+1,…,λK)であり、ENは、雑音空間の固有ベクトルeM+1,…,eKを列とする雑音部分空間行列EN=[eM+1,…,eK]である。
一方、パワーP(θ1),…,P(θM)は、次式
Figure 2011038837
で表わされる行列Sの対角成分により求めることができる。
ここで、上記直交関係を利用すると、VHNは、理論上ゼロであり、観測による誤差を考慮しても、近似的にゼロとみなすことができる。従って、直交関係を利用すれば、式(17)における第3式第2項{(VHV)-1H(ENΛNN H)V(VHV)-1}はゼロに近似することができる。よって、式(12)に従って行列S’の対角成分を求めることで、近似的にパワーを求めることができ、これによって、式(17)における第3式第2項の演算を省略することができて、パワーの推定に係る演算量を抑えることができるのである。
また、行列ΛSが対角成分以外の要素がゼロの対角行列である点に着目して、式(13)に示す上述の行列Wを算出すると、行列(WΛSH)の対角成分は、例えば、アレー応答行列V=[a(θ1),…,a(θM)]とした場合、式(15)の第1項に示す演算式にて算出することができ、従来手法よりも、大幅に演算量を抑制することができる。
即ち、従来のように、スペクトル展開せずにパワーを求める場合には、行列{(VHV)-1H}に行列Rxxを作用させて、行列{(VHV)-1HRxx}を算出する際、M×K2回の乗算が必要となり、行列{(VHV)-1HRxx}に、行列{V(VHV)-1}を作用させて、行列{(VHV)-1HRxxV(VHV)-1}を算出する際に、K×M2回の乗算が必要になる。
一方、行列Wの算出については、行列{(VHV)-1H}が、M行K列の行列であり、行列ESがK行M列の行列であるので、K×M2回の乗算で済み、行列{(VHV)-1HRxxV(VHV)-1}の対角成分に相当する式(15)第1項を算出する際においても、乗算は2×M2回で済む。
そして、Mは、到来波数に対応し、アンテナ素子数Kを増やして装置性能を向上させるに際しては、何ら考慮する必要がなく、上限値は、使用環境によって定まる。
従って、本発明の信号処理装置によれば、アンテナ素子数Kを増やして装置性能を向上させるのに際しては、アンテナ素子数Kの1乗のオーダで演算量が増加する程度で、従来技術のように、演算量がアンテナ素子数Kの2乗のオーダで増加することはなく、従来技術よりも、パワーの算出に際して、効率的な演算を行うことができ、アンテナ素子数Kの増加による演算量の増加を抑制することができるのである。
尚、このような本発明の手法は、近接方位アレー応答行列Vmを用いる信号処理装置にも適用することができる。パワーを推定すべき到来波の方位θm(m=1,…,M)毎に、近接方位アレー応答行列Vmを生成し、この近接方位アレー応答行列Vmにより、方位θmから到来した到来波のパワーP(θm)を、式
Figure 2011038837
で表される行列Smの第1行第1列の要素値Sm[1,1]から推定するといった具合である。
近接方位アレー応答行列Vmを用いるのは、パワーの推定に係る演算量を抑制するためであるが、近接方位アレー応答行列Vmを用いる信号処理装置に、本発明の手法を適用すれば、パワーの推定に係る演算量を、一層抑制することができる。
また、本発明は、アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、アレーアンテナが受信した到来波のパワーを推定して、レーダ波が物標に反射して生じた到来波の方位である物標の方位を推定する信号処理装置に適用することができる。
この場合、分析手段は、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eK群を、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMと、雑音空間の固有値λM*1,…,λK及び固有ベクトルeM+1,…,eKと、に分離して、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを抽出すると共に、これら固有ベクトルe1,…,eK群に基づき、到来波の到来方位θ1,…,θMを推定する構成にすることができる。
また、パワー推定手段は、自己相関行列Rxxと、分析手段により推定された各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルと、に基づき、上述した手法で、分析手段により推定された各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する構成にすることができる。
この他、信号処理装置は、パワー推定手段により推定されたパワーP(θ1),…,P(θM)に基づき、各到来方位θ1,…,θMの内、パワーが閾値以上の方位を、物標の方位と推定する物標方位推定手段を備えた構成にすることができる。
このように信号処理装置を構成すれば、パワーの推定に際して、効率的な演算を行うことができ、物標方位を、少ない演算量で精度よく推定することができる。
尚、本発明の手法は、MUSIC法又はESPRIT法により各到来波の到来方位θ1,…,θMを推定する信号処理装置に適用することが可能である。即ち、上述の信号処理装置において、分析手段は、MUSIC法又はESPRIT法により各到来波の到来方位θ1,…,θMを推定する構成にすることができる。
レーダ装置1の構成を表すブロック図である。 レーダ波の送信信号Ss及び受信信号Srを示したグラフ(上段)及びビート信号BTを示したグラフ(下段)である。 物標方位とMUSICスペクトルとの対応関係を示した説明図である。 信号処理部30が実行する物標方位推定処理を表すフローチャートである。 信号処理部30が実行するパワー推定処理を表すフローチャートである。 変形例のパワー推定処理を表すフローチャートである。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
図1は、車載用レーダ装置1の構成を表すブロック図であり、図2は、レーダ波の送信信号Ss及び受信信号Srを示したグラフ(上段)及びビート信号BTを示したグラフ(下段)である。
本実施例のレーダ装置1は、所謂FMCW方式のレーダ装置であり、周波数が時間に対して直線的に漸次増減するミリ波帯の高周波信号を生成する発振器11と、発振器11が生成する高周波信号を増幅する増幅器13と、増幅器13の出力を送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器15と、送信信号Ss(図2上段参照)に応じたレーダ波を放射する送信アンテナ17と、物標(前方車両等)により反射されたレーダ波(反射波)を受信するK個のアンテナ素子からなる受信アンテナ19と、を備える。
また、このレーダ装置1は、受信アンテナ19を構成するアンテナ素子のいずれかを順次選択し、選択されたアンテナ素子からの受信信号Srを後段に供給する受信スイッチ21と、受信スイッチ21から供給される受信信号Srを増幅する増幅器23と、増幅器23にて増幅された受信信号Sr及びローカル信号Lを混合して、ビート信号BTを生成(図2下段参照)するミキサ25と、ミキサ25が生成したビート信号BTから不要な信号成分を除去するフィルタ27と、フィルタ27の出力をサンプリングし、ディジタルデータに変換するA/D変換器29と、マイクロコンピュータを中心に構成される信号処理部30と、を備える。
信号処理部30は、発振器11の起動/停止等を制御すると共に、マイクロコンピュータでのプログラム実行により、A/D変換器29から入力されるビート信号BTのサンプリングデータを用いた信号処理や、当該信号処理により得られる物標の位置・相対速度・方位等の情報を車間制御ECU40に送信する処理を行う。
また、受信アンテナ19は、K個のアンテナ素子が一列に配置されたリニアアレーアンテナとして構成されている。以下では、K個のアンテナ素子の夫々を番号付けして、第iアンテナ素子(i=1,2,…,K)と表現する。
このように構成された本実施例のレーダ装置1では、信号処理部30からの指令に従って発振器11が起動する。そして、当該起動により発振器11が生成した高周波信号は、増幅器13にて増幅された後、分配器15に入力され、分配器15によって電力分配される。これにより、レーダ装置1では、送信信号Ss及びローカル信号Lが生成され、送信信号Ssは、送信アンテナ17を介し、レーダ波として送出される。
一方、送信アンテナ17から送出され物標に反射して戻ってきたレーダ波(反射波)は、受信アンテナ19を構成する各アンテナ素子にて受信される。そして、各アンテナ素子からは、受信スイッチ21に向けて、その受信信号Srが出力される。
また、受信スイッチ21からは、受信スイッチ21によって選択された第iアンテナ素子(i=1,…,K)の受信信号Srのみが増幅器23に出力され、増幅器23で増幅された受信信号は、ミキサ25に供給される。
ミキサ25では、受信信号Srに分配器15からのローカル信号Lが混合されて、信号Sr,Ssの差の周波数成分であるビート信号BTが生成される。このビート信号BTは、フィルタ27にて不要な信号成分が除去された後、A/D変換器29にてサンプリングされ、ディジタルデータとして信号処理部30に取り込まれる。
但し、受信スイッチ21は、レーダ波の一変調周期の間に、全てのアンテナ素子AN_1〜AN_Kを所定回ずつ選択するように、切り替えられる。そして、A/D変換器29は、この切替タイミングに同期してサンプリングを行う。
また、信号処理部30は、プログラムの実行によって、上記ビート信号のサンプリングデータを解析することにより、周知の手法で、レーダ波の反射波についての発生元である物標(前方車両)までの距離や、自車両に対する物標の相対速度を推定する。
送信信号Ssに基づくレーダ波を送信アンテナ17が送信したことに起因して、受信アンテナ19が、反射波を受信すると、受信信号Srは、図2上段に点線で示すように、レーダ波が物標との間を往復するのに要した時間、即ち、物標までの距離に応じた時間Tr分遅延し、物標との相対速度に応じた周波数fd分ドップラシフトする。本実施例のレーダ装置は、ビート信号BTに含まれるこのような時間Tr及び周波数fdの情報から、物標までの距離や物標との相対速度を推定する。
また、信号処理部30は、プログラムの実行によって、自車両進行方向(アンテナ方向)を基準とした物標の方位を推定する。方位推定の手法としては、ESPRIT法やMUSIC法が知られているが、例えば、MUSIC法によれば、図3(a)に示すように自車両前方に、先行車両が存在する場合、A/D変換器29から得られたビート信号BTのサンプリングデータに基づき、MUSICスペクトルを算出すると、MUSICスペクトルにおいて、図3(b)に示すように、先行車両に対応する方位に鋭いピークが立つ。本実施例では、このようなMUSICスペクトルのピークを抽出し、レーダ波の反射波と思われる到来波の到来方位θ1,…,θMを推定する。
但し、雑音により、物標がない方位に対してもMUSICスペクトルにピークが現れる場合がある。このため、本実施例では、各方位θ1,…,θMから到来する到来波のパワーを推定することにより、パワーが閾値Pth以上の到来波を、レーダ波の反射波とみなし、当該反射波に対応する方位を、物標方位であると推定する。尚、図3は、物標方位とMUSICスペクトルとの対応関係を示した説明図である。
この点について詳述すると、本実施例では、信号処理部30にて、図4に示す物標方位推定処理を実行することにより、物標方位の推定を行う。図4は、信号処理部30が実行する物標方位推定処理を表すフローチャートである。
物標方位推定処理を開始すると、信号処理部30は、A/D変換器29にてサンプリングされたビート信号BT(サンプリングデータ)に基づき、式(1)(2)に従って、自己相関行列Rxxを生成する(S110)。
但し、受信ベクトルX(i)の要素xk(i)(但し、k=1,…,K)の値は、ビート信号BTのサンプリングデータから特定したk番目アンテナ素子の受信信号Srの時刻iでの値である。
そして、自己相関行列Rxxの生成後には、自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK(但し、λ1≧λ2≧…λK)、及び、各固有値λ1,…,λKに対応した固有ベクトルe1,…,eKを算出する(S120)。但し、固有ベクトルe1,…,eKについては、ei・ej=δijを満足するように導出する。尚、δijは、クロネッカーのデルタである。
S120での固有値及び固有ベクトルの算出後には、熱雑音電力に対応する予め定められた閾値λthより大きい固有値の数から到来波数Mを推定する(S130)。即ち、到来波数Mを、閾値λthより大きい固有値の数に推定する。
また、到来波数Mを推定し終えると、上記閾値λthより大きい固有値λ1,…,λMに対応する固有ベクトルe1,…,eMを用いて、当該固有ベクトルe1,…,eMを列とする信号部分空間行列Esを生成すると共に、上記閾値λth以下の固有値λM+1,…,λKに対応する固有ベクトルeM+1,…,eKを用いて、当該固有ベクトルeM+1,…,eKを列とする雑音部分空間行列ENを生成する(S140)。
Figure 2011038837
その後、受信アンテナ19の構成から定まるアレー応答ベクトルa(θ)と、雑音部分空間行列ENとに基づき、式(3)に示す評価関数PMU(θ)に従うMUSICスペクトルを算出する(S150)。
そして、上記算出したMUSICスペクトルに基づき、当該MUSICスペクトルにてピーク値(値PMU(θ))が最大の方位から、ピーク値の大きい順に、到来波数M分の方位θ1,…,θMを抽出し、これらM個の方位θ1,…,θMを、到来波の到来方位(以下、単に到来波方位と表現する。)に推定する(S160)。
この後には、パワー推定処理を実行する(S170)。図5は、信号処理部30が実行するパワー推定処理を表すフローチャートである。
図5に示すパワー推定処理を開始すると、信号処理部30は、式(5)に従うアレー応答行列V=[a(θ1),…,a(θM)]を生成し(S171)、このアレー応答行列Vを用いて、行列(VHV)-1を算出する(S173)。
この後には、次式に従う行列Wを算出する(S175)。
Figure 2011038837
更には、次式に従う行列Wnを算出する(S177)。
Figure 2011038837
但し、Iは、単位行列であり、σ2は、熱雑音電力である。σ2については真値不明であるため、例えば、閾値λthにより代用する。また、S177では、行列Wnの対角要素の値wn[i](i=1,…,M)を算出すれば足り、行列Wnの全要素の値を算出する必要はない。以下では、行列Wnの第i行第i列の要素値を、wn[i]と表現し、行列Wの第i行第j列の要素値を、w[i,j]と表現する。
S177での処理を終えると、信号処理部30は、S179に移行し、次式
Figure 2011038837
に従い、各到来波方位θm(m=1,…,M)のパワーP(θm)を算出(推定)する。このようにして、パワー推定処理では、上記推定した各到来波方位θ1,…,θMのパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する。
当該パワー推定処理を終えると、信号処理部30は、S180に移行し、予め設定されたパワーについての閾値Pthと、各到来波方位のパワーP(θ1),…,P(θM)とを比較して、到来波方位θ1,…,θMの中から、パワーが閾値Pth以上の方位を、物標の方位であると推定する。そして、パワーが閾値Pth以上の方位の情報を、物標方位の情報として、当該物標の位置・相対速度の情報と共に、車両制御ECU40に送信する。その後、当該物標方位推定処理を終了する。
ここで、従来装置におけるパワーの算出方法と、本実施例のレーダ装置1におけるパワーの算出方法と、についてまとめる。
受信アンテナ19が受信した到来波のパワー(受信電力)は、周知のように、式
Figure 2011038837
の対角成分から算出することができる。即ち、各到来波方位θm(m=1,…,M)のパワーP(θm)は、行列Sの第m行m列の要素値により推定することができる。
しかしながら、この行列Sを素直に演算すると、行列{(VHV)-1H}に行列Rxxを作用させて、行列{(VHV)-1HRxx}を算出する際、M×K2回の乗算が必要となり、行列{(VHV)-1HRxx}に、行列{V(VHV)-1}を作用させて、行列{(VHV)-1HRxxV(VHV)-1}を算出する際に、K×M2回の乗算が必要になる。
従って、アンテナ素子数Kを増やして、レーダ装置1の性能を向上させようとすると、パワーの推定に係る演算量がK2オーダで急激に増加することになる。
一方、到来波数M及び到来波方位の推定の際には、自己相関行列Rxxを展開して、自己相関行列Rxxの固有値及び固有ベクトルを算出する必要がある。また、雑音空間の固有ベクトルeM+1,…,eKと到来波方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)との間には、直交関係がある。本実施例では、これらの点を利用して、パワー推定に係る演算量を抑制するようにしている。
上述の直交関係を利用すると、VHNは、観測による誤差を考慮しても、近似的にゼロとみなすことができる。
また、自己相関行列Rxxは、スペクトル展開すると、次式
Figure 2011038837
で表現することができる。尚、ΛSは、信号空間の固有値λ1,…,λMを対角成分に持つ対角行列ΛS=diag(λ1,…,λM)であり、ΛNは、対角行列ΛSと同様、雑音空間の固有値λM+1,…,λKを対角成分に持つ対角行列ΛN=diag(λM+1,…,λK)である。
ここで、各到来波方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)は、式(26)に示す行列Sの対角成分から算出できることから、VHNを、近似的にゼロとみなすと、自己相関行列Rxxは、次式
Figure 2011038837
により近似することができ、行列Sは、式
Figure 2011038837
に従う行列S’に近似することができる。
このような原理を利用して、本実施例では、自己相関行列Rxxを、行列Rxx’で近似し、行列S’の対角成分を算出することで、各到来波方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を、少ない演算量で推定するようにしているのである。
このように、自己相関行列Rxx及び行列Sを、行列Rxx’及び行列S’に近似した場合には、雑音空間の各固有ベクトルeM+1,…,eKに係る演算を省略することができる。また、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMからなる近似行列Rxx’を、展開したままにして、本実施例のように、対角行列ΛSを挟む行列部分を先に演算すると、対角行列ΛSにおいて対角成分以外の要素がゼロであることを利用して、大幅に行列S’の演算量を抑制することができ、パワーP(θ1),…,P(θM)の推定に係る演算量を抑制することができるのである。
式(25)で導出されるパワーP(θm)は、行列S’の第m行第m列の要素値に対応するが、例えば、式(25)の第1項の算出に必要な演算量は、次のようになる。
即ち、従来装置において、式(25)の第1項に対応する行列{(VHV)-1HRxxV(VHV)-1}の要素の値を算出するためには、行列{(VHV)-1H}に行列Rxxを作用させて、行列{(VHV)-1HRxx}を算出する動作に、M×K2回の乗算が必要となり、行列{(VHV)-1HRxx}に、行列{V(VHV)-1}を作用させて、行列{(VHV)-1HRxxV(VHV)-1}を算出する際に、K×M2回の乗算が必要である。
これに対し、本実施例では、行列{(VHV)-1H}に行列Esを作用させて、行列Wを算出する際の乗算回数が、K×M2回で済む。また、この行列Wの要素値を用いて式(25)の第1項を算出する際には、式(25)から理解できるように、方位θm毎に、2×M回で済み、全方位θ1,…,θMの乗算回数を積算しても、2×M2回で済む。また、行列(VHV)-1や行列{(VHV)-1H}の算出に、K2オーダの演算は必要ない。
そして、Mの上限値は、使用環境によって定まるので、アンテナ素子数Kを増やしてレーダ装置1の性能を向上させることを前提とした場合、Mについては、固定値とみなすことができる。
従って、アンテナ素子数Kを増やしてレーダ装置1の性能を向上させる場合には、従来装置では、K2オーダで演算量が増加するのに対し、本実施例では、演算量の増加がK1オーダで済み、結果として、本実施例によれば、パワーの推定に際し、効率的な演算を行うことができ、アンテナ素子数Kの増加による演算量の増加を抑制することができるのである。
尚、アンテナ素子数がK個のアレーアンテナを用いた方位推定及びパワー推定では、到来波数(K−1)以下でなければ、そもそも適切な推定を行うことができないことから、前提として、到来波数Mは、最大で(K−1)である。
また、従来手法に対する本実施例の手法による乗算回数の減少量Δは、従来手法の乗算回数がK2M+KM2であり、本実施例の手法の乗算回数がKM2+2M2であるので、Δ=(K2M+KM2)−(KM2+2M2)=K2M−2M2となる。
従って、到来波数がM=1であるとき、減少量ΔはΔ=K2−2となり、到来波数がM=K−1であるとき、減少量ΔはΔ=(K−1){(K−1)2+1}となる。
この他、減少量Δは、Δ=K2M−2M2=−2(M−K2/4)2+K4/8となるため、式の上では、到来波数MがK2/4であるとき最大となるが、K≧2では、K2/4≧K−1であるため、実質、到来波数M=K−1であるとき、減少量Δが最大となる。
従って、本実施例の手法によれば、乗算回数は最低Δ=K2−2分減少させることができ、最大で、Δ=(K−1){(K−1)2+1}分減少させることができる。
ところで、本実施例の手法は、式(5)に示すアレー応答行列Vに代えて、式(8)に示す近接方位アレー応答行列Vmを用いて、各到来波方位θ1,…,θMのパワーP(θ1),…,P(θM)を推定するレーダ装置にも適用することができる。
以下では、上記手法を、近接方位アレー応答行列Vmを用いるレーダ装置に適用した例を、変形例として説明する。但し、変形例のレーダ装置は、S170で実行するパワー推定処理の内容が上述した実施例のレーダ装置1と異なる程度であるため、以下では、変形例のパワー推定処理についてのみ選択的に説明する。
図6は、変形例のレーダ装置の信号処理部30が実行するパワー推定処理を表すフローチャートである。
変形例のパワー推定処理を開始すると、信号処理部30は、S160で推定した到来波方位θ1,…,θMのいずれか一つを、パワー推定対象方位θm(m=1,…,M)に設定し(S210)、パワー推定対象方位θmに対応する近接方位アレー応答行列Vmを生成する(S220)。
具体的には、パワー推定対象方位θmに対応するアレー応答ベクトルa(θm)を第1列とした行列であって、到来波方位θ1,…,θMの内、所定条件を満足する「パワー推定対象方位θmに近接する方位」θm1,θm2,…,θmdに対応したアレー応答ベクトルa(θm1),a(θm2),…,a(θmd)を第2列以降に配置した式(8)で表される近接方位アレー応答行列Vmを、生成する。
尚、所定条件を満足する「パワー推定対象方位θmに近接する方位」θm1,θm2,…,θmdについては、特許文献1にも記載されているように、パワー推定対象方位θmに近接する方位から順に所定個dの方位に定めることもできるし、パワー推定対象方位θmとの差が上限値Δθ以内の方位に定めることもできる。
S220での処理を終えると、信号処理部30は、この近接方位アレー応答行列Vmを用いて、行列(Vm Hm-1を算出し(S230)、この算出結果を用いて、次式に従う行列W(m)を算出する(S240)。
Figure 2011038837
更には、次式に従う行列Wn(m)を算出する(S250)。
Figure 2011038837
但し、Iは、単位行列であり、σ2は、熱雑音電力である。σ2については真値不明であるため、例えば、閾値λthにより代用する。S250では、S177での処理と同様、行列Wn(m)の第1行第1列の要素値wn(m)[1]を算出すれば足り、行列Wn(m)の全要素の値を算出する必要はない。以下では、行列Wn(m)の第i行第i列の要素値を、wn(m)[i]と表現し、行列W(m)の第i行第j列の要素値を、w(m)[i,j]と表現する。
この処理を終えると、信号処理部30は、S260に移行し、次式
Figure 2011038837
に従って、パワー推定対象方位θmのパワーP(θm)を算出(推定)する。
このようにしてパワーP(θm)を算出すると、信号処理部30は、S270に移行し、到来波方位θ1,…,θMの全てを、パワー推定対象方位θmに設定して、パワーP(θ1),…,P(θM)を算出したか否かを判断し、算出していないと判断すると(S270でNo)、S210に移行し、到来波方位θ1,…,θMの内、パワーを算出していない未処理の到来波方位を、新たなパワー推定対象方位θmに設定し、S220以降の処理を実行する。
そして、各到来波方位θ1,…,θMに対応するパワーP(θ1),…,P(θM)の全てを算出(推定)し終えると、S270で肯定判断して、当該パワー推定処理を終了する。
このようにパワーP(θ1),…,P(θM)を算出する変形例のレーダ装置においても、上述した実施例のレーダ装置1と同様の原理により、パワー推定に係る演算量を、K1オーダに抑えることができて、アンテナ素子数Kの増加により、急激にパワー推定に係る演算量が増加するのを抑えることができる。
以上、変形例を含む本発明の実施例について説明したが、これらの実施例と「特許請求の範囲」との対応関係は、次の通りである。即ち、相関行列生成手段は、信号処理部30が実行するS110の処理により実現され、展開手段は、S120の処理により実現され、分析手段は、S130〜S160の処理により実現され、パワー推定手段は、S170の処理により実現され、物標方位推定手段は、信号処理部30が実行するS180の処理により実現されている。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、MUSIC法を用いて、到来波方位θ1,…,θMを推定したが、到来波方位θ1,…,θMは、ESPRIT法により推定されてもよい。具体的には、S150,S160での処理を、ESPRIT法による到来波方位θ1,…,θMの推定処理に置き換えてもよい。このようにしても、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
1…レーダ装置、11…発振器、13,23…増幅器、15…分配器、17…送信アンテナ、19…受信アンテナ、21…受信スイッチ、25…ミキサ、27…フィルタ、29…A/D変換器、30…信号処理部、40…車間制御ECU

Claims (5)

  1. アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、前記アレーアンテナが受信した到来波のパワーを推定する信号処理装置であって、
    前記アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、当該受信信号についての自己相関行列Rxxを生成する相関行列生成手段と、
    前記相関行列生成手段により生成された自己相関行列Rxxを展開して、当該自己相関行列Rxxの固有値及び固有ベクトルを算出する展開手段と、
    前記自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eK群から、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを抽出する分析手段と、
    前記自己相関行列Rxxと、予め指定された各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルと、に基づき、前記各到来方位θ1,…,θMから到来した前記到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定するパワー推定手段と、
    を備え、
    前記パワー推定手段は、前記各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定するに際し、
    パワー推定対象の方位θ1,…,θMに対応したアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)を列とするアレー応答行列Vを生成すると共に、
    雑音空間の固有ベクトルeM+1,…,eKと各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルa(θ1),…,a(θM)の直交関係を利用することで、前記自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eKの内、前記分析手段により抽出された雑音空間を除く信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを選択的に用いて、前記自己相関行列Rxxを、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMからなる行列Rxx’
    Figure 2011038837
    により近似し(但し、ΛSは、信号空間の固有値λ1,…,λMを対角成分に持つ対角行列ΛS=diag(λ1,…,λM)であり、ESは、信号空間の固有ベクトルe1,…,eMを列とする信号部分空間行列ES=[e1,…,eM]であり、上付き文字Hは、複素共役転置である。)、この近似行列Rxx’を用いた式
    Figure 2011038837
    に従う行列S’(但し、Iは、単位行列であり、σ2は、熱雑音電力である。)の対角成分を算出することにより、前記パワー推定対象の方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定すること
    を特徴とする信号処理装置。
  2. 前記パワー推定手段は、式
    Figure 2011038837
    に従う行列Wの要素の値を算出すると共に、式
    Figure 2011038837
    に従う行列Wnの対角要素の値を算出し、
    これらの算出結果を用いて、前記行列S’の対角成分を算出し、前記パワー推定対象の方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定すること
    を特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記パワー推定手段は、
    前記アレー応答行列Vを、V=[a(θ1),…,a(θM)]として、式
    Figure 2011038837
    に従い、前記各到来方位θ1,…,θMから到来した到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定すること(但し、w[m,j]は、行列Wにおける第m行第j列の要素の値を表し、wn[m]は、行列Wnにおける第m行第m列の要素の値を表す。)
    を特徴とする請求項2記載の信号処理装置。
  4. アレーアンテナを構成する各アンテナ素子の受信信号に基づき、前記アレーアンテナが受信した到来波のパワーを推定して、レーダ波が物標に反射して生じた到来波の方位である前記物標の方位を推定する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の信号処理装置であって、
    前記分析手段は、前記自己相関行列Rxxの固有値λ1,…,λK及び固有ベクトルe1,…,eK群を、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMと、雑音空間の固有値λM*1,…,λK及び固有ベクトルeM+1,…,eKと、に分離して、信号空間の固有値λ1,…,λM及び固有ベクトルe1,…,eMを抽出すると共に、これら固有ベクトルe1,…,eK群に基づき、到来波の到来方位θ1,…,θMを推定する構成にされ、
    前記パワー推定手段は、前記自己相関行列Rxxと、前記分析手段により推定された各到来方位θ1,…,θMのアレー応答ベクトルと、に基づき、前記分析手段により推定された各到来方位θ1,…,θMから到来した前記到来波のパワーP(θ1),…,P(θM)を推定する構成にされ、
    更に、当該信号処理装置は、
    前記パワー推定手段により推定された前記パワーP(θ1),…,P(θM)に基づき、前記各到来方位θ1,…,θMの内、パワーが閾値以上の方位を、前記物標の方位と推定する物標方位推定手段
    を備えることを特徴とする信号処理装置。
  5. 前記分析手段は、MUSIC法又はESPRIT法により前記到来波の到来方位θ1,…,θMを推定することを特徴とする請求項4記載の信号処理装置。
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