JP2011032565A - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械式攪拌装置において溶銑脱硫処理を行う際に、脱酸剤の添加なく、脱硫剤の酸素ポテンシャル増加を抑制して、脱硫率を向上させる手段を提供する。
【解決手段】器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(H1)が,静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(H2)とインペラーの高さ(h)との和(H2+h)よりも大きくなるように、攪拌条件を定めて処理する方法において、インペラーの高さ(h)/基準インペラー高さ(L)が0.9〜1.2となる条件で処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、機械式攪拌装置により攪拌して行う溶銑の脱硫方法に関する。
近年、低硫鋼の需要が増加している。このため、溶銑予備脱硫処理においても、溶銑中のSをより一層効率的に低濃度まで除去することが求められている。
現在、溶銑予備脱硫処理においては、機械式攪拌装置を用いた手段が主流となっている。その方法では、取鍋内の溶銑に浸漬した複数枚の羽根から成るインペラーを高速回転して渦流陥没部を形成しながら脱硫フラックスを溶銑中に分散させることにより脱硫する。その方法によって低濃度までSを除去するためには脱硫処理時間の増加が有効であるが、処理時間の増加は生産能力の低下に繋がることが問題である。そのため、脱硫速度を向上させる方法がこれまでに提案されている。
たとえば、脱硫処理速度を向上させるためにインペラーの中心軸を溶銑鍋の中心から偏心させる方法が特許文献1にて開示されている。しかし、この方法では攪拌装置への負荷が大きくなることによって、攪拌装置にトラブルを生じさせる危険性が増すという懸念がある。
また、インペラーの回転数と直径を大きくすることで脱硫処理速度を向上させる方法が特許文献2に開示されている。この方法では、脱硫処理速度は向上させることができるが、インペラーの回転数と直径を過度に大きくすると、攪拌強度の著しい増加によって大気巻き込みが激しくなり、脱硫剤表面近傍の酸素ポテンシャルが高くなって、脱硫剤の脱硫能が低下して脱硫不良を招く場合もあると懸念される。
特許文献3では、浴面の渦の凹み深さがインペラーの下端よりも低くなるようにインペラー攪拌条件を定める方法が開示されている。この条件にて攪拌強度を高めていった場合、脱硫剤の溶銑への巻き込み強度も大きくなるが、同時に渦の凹み部の大気の巻き込み強度も大きくなって、上記の機構によって脱硫能が低下する場合が生ずる。
なお、この大気巻き込みによる脱硫剤の脱硫能低下現象は、高炉から排出された溶銑を直接機械式攪拌装置を用いた脱硫処理をする場合よりも、高炉から排出された溶銑について、転炉における脱りん処理、および機械式攪拌装置を用いた脱硫処理を、この順で溶銑予備処理をした場合の方が、顕著に現れる。
それは、転炉における脱りん処理を機械式攪拌装置を用いた脱硫処理よりも先に行うことにより、機械式攪拌装置を用いた脱硫処理時における溶銑中の炭素濃度が低下し、溶銑中の炭素による還元ポテンシャルが低下することで、大気によって酸化生成した脱硫剤中のFeOが溶銑中の炭素によって還元される速度が低下するためであると考えられる。
脱りん銑を機械式攪拌装置を用いて脱硫処理する場合において脱酸剤を添加する方法が特許文献4に記載されている。この方法では、高炉から排出された溶銑に比べて酸素ポテンシャルの高い脱りん銑を脱硫する場合、脱酸剤を添加することで脱硫が促進される。しかしながら、AlやSiなどの脱酸剤は高価であり、これらの副原料をなるべく用いないことが望まれている
特開2001−262212号公報 特開2007−327120号公報 特開2007−262501号公報 特開2005−200762号公報
「攪拌機の所要動力」永田進治著、日刊工業新聞、(1957)
本発明は、機械式攪拌装置において溶銑脱硫処理を行う際に、脱酸剤の添加なく、脱硫剤の酸素ポテンシャル増加を抑制して、脱硫率を向上させることを目的とする。
上記の課題の解決するために提供される本発明は次のとおりである。
(1)機械式攪拌装置を用いて溶銑を脱硫処理する際、容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(H)を、下記の(1)式〜(4)式によって算出したときに、渦中心の凹み深さ(H)が、前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(H)とインペラーの高さ(h)との和(H+h)よりも大きくなるように、攪拌条件を定めて処理する方法において、
Figure 2011032565
インペラーの回転数(N)、インペラーの直径(d)、および、インペラーの高さ(h)が(4)式、および、以下の(5)式および(6)式を満たす条件で処理することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
Figure 2011032565
ここで、これらの式において、Hは容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(m)、Hは前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(m)、Nはインペラーの回転数(rpm)、Dは溶銑を保持する容器内径(m)、gは重力加速度(m/s)、dはインペラーの直径(m)、hはインペラーの高さ(m)、nはインペラーの羽根枚数、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、rは溶銑の固体的回転部の半径(m)、yは溶銑の固体的回転部の半径rと容器内径Dの比、Reはレイノルズ数、ρは溶銑の密度(kg/m)、μは溶銑の粘度(Pa・s)、およびLは(6)式から求められる基準インペラー高さ(m)である。
(2)溶銑脱りん処理をした溶銑に対し、機械式攪拌装置を用いて該溶銑を脱硫処理することを特徴とする、上記(1)に記載の溶銑の脱硫方法。
本発明により、機械式攪拌装置において溶銑脱硫を行う場合に、インペラーによる高攪拌動力条件下において脱硫処理中の脱硫剤の酸化ポテンシャルの増加を抑制することで、短処理時間で高脱硫率を達成することができる。
インペラー回転数と脱硫率との関係を示すグラフである。 インペラー回転数とスラグ酸化度との関係を示すグラフである。 インペラー直径と脱硫率との関係を示すグラフである。 インペラー直径とスラグ酸化度との関係を示すグラフである。 本発明に係るインペラーの形状を概念的に示す側面図と上面図である。 h/Lと脱硫率との関係を示すグラフである。 h/Lと攪拌動力指数との関係を示すグラフである。 h/Lとスラグ酸化度との関係を示すグラフである。
本発明の溶銑の脱硫方法について以下に説明する。
まず、本発明者らは、従来法における適正凹み生成時の脱硫能低下原因を解明すべく、次の検討を行った。
機械式攪拌装置において溶銑を脱硫する場合、従来の方法では、適正凹み生成条件にて処理すると、脱硫速度は向上するが、脱硫率は低下することもあった。
ここで、適正凹み生成条件とは、下記の条件のこととする。
すなわち、機械式攪拌装置を用いて溶銑を脱硫処理する際、容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(H)を、下記の(1)式〜(4)式によって算出したときに、渦中心の凹み深さ(H)が、前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(H)とインペラーの高さ(h)との和(H+h)よりも大きくなるような攪拌条件である。
Figure 2011032565
これらの式において、Hは容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(m)、Hは前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(m)、Nはインペラーの回転数(回/分)、Dは溶銑を保持する容器内径(m)、gは重力加速度(m/s)、dはインペラーの直径(m)、hはインペラーの高さ(m)、nはインペラーの羽根枚数、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、rは溶銑の固体的回転部の半径(m)(非特許文献1参照)、yは溶銑の固体的回転部の半径rと容器内径Dの比、Reはレイノルズ数(−)、ρは溶銑の密度(kg/m)、およびμは溶銑の粘度(Pa・s)である。
本発明者らは、適正凹み生成条件における脱硫率低下の原因を解明するため、180kg溶銑を用いた機械式攪拌脱硫実験を行った。
まず、インペラーの回転数を増加させた場合の脱硫率を調査した。
具体的には、内径0.32mのAl製ルツボに溶銑([C]濃度(以下、単に[C]で表す。他の成分についても同様に表記する。):4.6〜4.8質量%、[Si]:0.20〜0.25質量%、[S]:0.022〜0.025質量%)180kgを装入し、約1350℃に保持した。
インペラーはAl製で、羽根枚数は4、直径dは0.14m、高さhは0.80mとした。
インペラーを、上端が静止浴面から下方の位置Hが0.1mとなるまで溶銑中へ浸漬し、回転させた。
インペラーの回転数は実験毎に変更した。
インペラー回転開始とともに、脱硫剤を添加した。脱硫剤には、ともに粒径が約5mm以下の細粒生石灰1.8kgとソーダ灰0.18kgを用いた。
インペラー回転開始から約20分経過時に溶銑の一部をサンプリングしてS濃度を分析した。20分経過後のS濃度を図1に示す。
インペラーの回転数が低い範囲では、インペラーの回転数を上げるほど処理後S濃度が低下した。しかし、回転数が高い範囲では、インペラーの回転数を上げるほど処理後S濃度が高くなる現象が認められた。
次に、インペラー回転開始から20分経過後におけるインペラー回転数とスラグ酸化度の関係を図2に示す。インペラー回転数が増加するほど、スラグの酸化度が上昇することが判明した。
次にインペラーの直径dを大きくして脱硫能を調査すべく、上記と同じく180kg溶銑を用いた機械式攪拌脱硫実験を行った。
内径0.32mのAl製ルツボに溶銑([C]:4.6〜4.8質量%、[Si]:0.20〜0.25質量%、[S]:0.022〜0.025質量%)180kgを装入し、約1350℃に保持した。
インペラーはAl製で、羽根枚数は4であって、直径dは実験毎に変更し、高さhは0.80m一定とした。
インペラーの上端が静止浴面から約0.1m下方の位置となるまで溶銑中へ浸漬し、約320rpmで回転させた。
インペラー回転開始とともに、脱硫剤を添加した。脱硫剤には、ともに粒径が約5mm以下の細粒生石灰1.8kgとソーダ灰0.18kgを用いた。
インペラー回転開始から約20分経過時に溶銑の一部をサンプリングしてS濃度を分析した。20分経過後のS濃度を図3に示す。インペラーの直径dが小さい範囲では、dを大きくするほど処理後S濃度が低下した。しかし、dが大きい範囲では、dを大きくするほど処理後S濃度が高くなる現象が認められた。
次に、インペラー回転開始から20分経過後におけるインペラー直径dとスラグ酸化度の関係を図4に示す。インペラー直径が増加するほど、スラグの酸化度が上昇する傾向があることが判明した。
以上、2つの実験より、以下のことが判明した。
機械式攪拌装置において溶銑を脱硫する際、適正凹み生成条件において、更に脱硫速度を向上するために攪拌強度を大きくした場合、脱硫率は低下する現象が認められた。
また、その原因として攪拌強度増加によるスラグの酸化度増加が脱硫率に悪影響を及ぼしていることを新たに見出した。
上記の知見に基づいて次のような着想を得た。
スラグの酸化源としては大気中の酸素以外には考えられず、攪拌強度増加によるスラグ酸化度増加の原因は、過度のインペラーの回転数増加と直径拡大によって大気中の酸素とスラグ間との反応が促進されることであると推測される。
攪拌強度を低下させることなく、大気中の酸素とスラグ間との反応のみを抑制する方法を種種検討した結果、インペラーの回転数および直径を考慮してインペラーの高さを適切な範囲にすることが、スラグの酸化抑制に有効であるとの着想を得た。
この方法によって大気巻き込みによる脱硫剤の酸素ポテンシャルの増加を抑制できれば、インペラーの回転数増加と直径拡大による脱硫速度の向上を存分に発揮できると考えられた。
そして、上記の着想に基づいて、さらに検討を行い、インペラーの高さh(m)と基準インペラー高さL(m)の比であるh/Lを適正な範囲にすべきであることに考え至った。
ここで、基準インペラー高さLはインペラーの回転数と直径に相応したインペラー高さであり、以下の(6)式で表せる。
Figure 2011032565
すなわち、基準インペラー高さLとは、インペラーの回転数と直径から攪拌動力を最大限得るための最低限必要なインペラー高さを指す(非特許文献1参照)。
基準となるインペラーの高さLに比べて、インペラーの高さhが小さい場合には、攪拌に作用するインペラーの表面積の大きさが不足し、攪拌動力の低下をもたらす。
ここで、攪拌動力は、脱硫速度に対して正の影響があることが一般的に知られており、攪拌動力が増加するほど、脱硫速度を大きくすることができる。このため、この場合には、攪拌動力が低下するため、脱硫速度を低下し、時間を決めて脱硫処理を行う場合、脱硫率が低下してしまう。
一方、基準となるインペラーの高さLに比べて、インペラーの高さhが大きい場合には、攪拌に作用するインペラーの表面積は既に十分であり、更にインペラーの高さhを大きくしても得られる攪拌動力は一定である。そのため、インペラーの高さhを、基準となるインペラーの高さLに比べて大きくしても、脱硫速度は変わらず、脱硫速度は一定である。
しかしながら、種種の調査を進めていくと、インペラーの高さhを、基準となるインペラーの高さLに比べて過度に大きくした場合、不必要に大きくなったインペラーにより大気の巻き込みが大きくなることを見出した。大気の巻き込みが大きくなると、スラグの酸化が促進され、スラグの脱硫能を大きく低下してしまう可能性がある。
したがって、インペラーの高さhは、基準となるインペラーの高さLに比べて過度に大きくしすぎないことが重要であると推測された。
以上より、インペラーの高さhは、基準となるインペラーの高さLに比べて、最適な大きさがあると考えられたため、小型実験によって、その最適なインペラー高さ範囲を調査した。
機械式攪拌装置による溶銑脱硫方法において、インペラー高さを変えて脱硫率を調査することを目的に、180kg溶銑を用いた機械攪拌脱硫実験を行った。
具体的には、内径320mmのAl製ルツボに溶銑([C]:4.6〜4.8質量%、[Si]:0.20〜0.25質量%、[S]:0.022〜0.025質量%)180kgを装入し、約1350℃に保持した。
インペラーはAl製で、羽根枚数は4、直径dは140mmに固定し、高さhは実験毎に変更した。
実験時、インペラーは、羽根上端が静止浴面から約100mm下方の位置となるまで溶銑中へ浸漬し、適正凹み生成条件となる約380rpmで回転させた。
インペラー回転開始とともに、脱硫剤を添加した。脱硫剤には、ともに粒径が約5mm以下の細粒生石灰1.8kgとソーダ灰0.18kgを用いた。
インペラー回転開始から約20分経過時に溶銑の一部をサンプリングしてS濃度を分析して脱硫率を算出した。
インペラーの高さhと基準となるインペラーの高さLの比であるh/Lと脱硫率の関係を図6に示す。なお、本実験では、インペラーの回転数と直径を一定としたため、Lは一定値である。
h/Lが0.9以上1.2以下の範囲において、脱硫率90%以上を達成した。これに対し、h/Lが0.9未満では、インペラー高さhが小さく、インペラーの回転数と直径を最大限に活かせないために、図7に示すように攪拌動力が小さくなって脱硫速度が低下し、脱硫率がhの低下とともに悪化した。また、h/Lが1.2を超える場合には、h/Lの増加とともに脱硫率が低下した。これは、hが大きくなることで、攪拌動力は大きくならないため脱硫速度が変わらない一方、図8に示すように大気によるスラグ酸化が大きく進行して、脱硫剤の脱硫能が低下してしまうからである。
以上の検討により、機械式攪拌装置において溶銑脱硫処理を行う場合におけるh/Lの適正範囲は0.9≦h/L≦1.2であることがわかった。
また、本発明は、酸素ポテンシャルの高い溶銑を機械式攪拌装置を用いて脱硫処理する際に適用することで、高い効果を発揮することができる。酸素ポテンシャルの比較的高い溶銑とは、脱硫処理前に脱りん処理をした溶銑に相当する。脱硫処理前に転炉型精錬容器あるいはトーピードカーにて脱りん処理をする溶銑予備処理プロセスでは、酸素ガスや固体酸素源を添加する脱りん処理を行い、[C]は処理前4.5〜4.9質量%であるが処理後には3.0〜3.5質量%程度まで低下する。[C]濃度が低いと酸素ポテンシャルが高くなるため、機械式攪拌装置を用いた脱硫処理に対しては悪い条件となり、脱硫剤の酸化もより進みやすくなる。
このような、機械式攪拌装置を用いた脱硫処理において脱硫剤の酸化が進みやすい、脱硫処理前に溶銑脱りん処理をする精錬プロセスに対し、本発明を適用することによって脱硫剤の酸化を抑制することができる。したがって、高価なAlやFeSi等の脱酸剤等の添加なくとも、脱硫率を向上させることができる。
(実施例1)
溶銑([C]:4.7質量%、[Si]:0.20質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.019質量%、温度1390℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ60mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.17質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.0017質量%、温度1311℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、h/L=1.06の実施例1では、90%以上の高い脱硫率が得られた。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して適切であったため、十分な攪拌動力および脱硫剤の酸化抑制効果が発揮されたためと考えられる。
(実施例2)
溶銑([C]:4.7質量%、[Si]:0.21質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.020質量%、温度1393℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ60mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、蛍石0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.18質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.0016質量%、温度1319℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰および蛍石を用い、h/L=1.06の実施例2では、90%以上の高い脱硫率が得られた。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して適切であったため、十分な攪拌動力および脱硫剤の酸化抑制効果が発揮されたためと考えられる。
(実施例3)
溶銑脱りん処理した溶銑([C]:3.4質量%、[Si]:n.d.(分析下限(=0.01質量%)以下)、[P]:0.020質量%、[S]:0.020質量%、温度1353℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ60mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:3.3質量%、[Si]:n.d.、[P]:0.01質量%、[S]:0.0018質量%、温度1319℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、脱りん銑に対しh/L=1.06の条件にて脱硫処理をした実施例3では、90%以上の高い脱硫率が得られた。これは、h/Lが1.06であり、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して適切であったため、十分な攪拌動力および脱硫剤の酸化抑制効果が発揮されたためと考えられる。
(比較例1)
溶銑([C]:4.7質量%、[Si]:0.20質量%、[P]:0.11質量%、[S]:0.018質量%、温度1390℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ50mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.19質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.0023質量%、温度1311℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、h/L=0.80の比較例1では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に小さく、十分な攪拌動力が得られなかったためと考えられる。
(比較例2)
溶銑([C]:4.8質量%、[Si]:0.22質量%、[P]:0.09質量%、[S]:0.021質量%、温度1387℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ90mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.20質量%、[P]:0.09質量%、[S]:0.0025質量%、温度1319℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、h/L=1.42の比較例2では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に大きく、脱硫剤の酸素ポテンシャルの増加が促進されたと考えられる。
(比較例3)
溶銑([C]:4.8質量%、[Si]:0.19質量%、[P]:0.09質量%、[S]:0.020質量%、温度1393℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ50mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、蛍石0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.19質量%、[P]:0.09質量%、[S]:0.0025質量%、温度1324℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰および蛍石を用い、h/L=0.80の比較例3では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に小さく、十分な攪拌動力が得られなかったためと考えられる。
(比較例4)
溶銑([C]:4.7質量%、[Si]:0.21質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.019質量%、温度1389℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ90mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、蛍石0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:4.7質量%、[Si]:0.19質量%、[P]:0.10質量%、[S]:0.0027質量%、温度1310℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰および蛍石を用い、h/L=1.42の比較例4では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に大きく、脱硫剤の酸素ポテンシャルの増加が促進されたと考えられる。
(比較例5)
溶銑脱りん処理した溶銑([C]:3.4質量%、[Si]:n.d.、[P]:0.023質量%、[S]:0.023質量%、温度1354℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ50mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:3.4質量%、[Si]:n.d.、[P]:0.022質量%、[S]:0.0031質量%、温度1291℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、脱りん銑に対しh/L=0.80の条件にて脱硫処理をした比較例5では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に小さく、十分な攪拌動力が得られなかったためと考えられる。
(比較例6)
溶銑脱りん処理した溶銑([C]:3.4質量%、[Si]:n.d.、[P]:0.018質量%、[S]:0.019質量%、温度1349℃)180kgを溶銑鍋に入れ、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理をした。
溶銑の攪拌には、直径150mm、高さ90mmのインペラーを使用し、340rpmの回転数で適正凹み生成条件となるように、インペラーを溶銑中へ浸漬させた。
生石灰1.8kg、ソーダ灰0.17kgを添加後、インペラーを340rpmで20分間回転させた。
脱硫処理後、[C]:3.4質量%、[Si]:n.d.、[P]:0.018質量%、[S]:0.0029質量%、温度1283℃の溶銑を得た。
脱硫剤として生石灰およびソーダ灰を用い、脱りん銑に対しh/L=0.80の条件にて脱硫処理をした比較例6では、脱硫率が90%未満であった。これは、インペラーの高さがインペラーの回転数および直径に対して不適切に大きく、脱硫剤の酸素ポテンシャルの増加が促進されたと考えられる。
以上述べた実施例および比較例について、脱硫率をまとめて表1に示す。
Figure 2011032565

Claims (2)

  1. 機械式攪拌装置を用いて溶銑を脱硫処理する際、容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(H)を、下記の(1)式〜(4)式によって算出したときに、渦中心の凹み深さ(H)が、前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(H)とインペラーの高さ(h)との和(H+h)よりも大きくなるように、攪拌条件を定めて処理する方法において、
    Figure 2011032565
    インペラーの回転数(N)、インペラーの直径(d)、および、インペラーの高さ(h)が(4)式、および、以下の(5)式および(6)式を満たす条件で処理することを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
    Figure 2011032565
    ここで、これらの式において、Hは容器内の溶銑に回転していないインペラーが浸漬された静止浴面からインペラーの高さを変えずにインペラーを回転した時の渦中心の凹みまでの距離である渦中心の凹み深さ(m)、Hは前記静止浴面からインペラー上端までの距離であるインペラーの浸漬深さ(m)、Nはインペラーの回転数(rpm)、Dは溶銑を保持する容器内径(m)、gは重力加速度(m/s)、dはインペラーの直径(m)、hはインペラーの高さ(m)、nはインペラーの羽根枚数、θはインペラーの羽根の傾斜角(rad)、rは溶銑の固体的回転部の半径(m)、yは溶銑の固体的回転部の半径rと容器内径Dの比、Reはレイノルズ数、ρは溶銑の密度(kg/m)、μは溶銑の粘度(Pa・s)、およびLは(6)式から求められる基準インペラー高さ(m)である。
  2. 溶銑脱りん処理をした溶銑に対し、機械式攪拌装置を用いて該溶銑を脱硫処理することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
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