JP2011029548A - 電磁波透過性加飾部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】装飾部が金属色に見え、しかも装飾部に照射される電磁波が損失せずに、十分なアンテナ特性が得られる電磁波透過性加飾部品を提供する。
【解決手段】部品1の表面に、膜厚が100nm以下の透明体層2と、膜厚が5nm以上、波長域400nm〜800nmにおける平均透過率が65%以下かつ平均反射率が20%以上である半導体層または半金属層3を形成したため、電磁波を遮断することなく、十分な金属光沢を呈した電磁波透過性加飾部品20が実現される。
【選択図】図1

Description

この発明は、電磁波を送受信する電子機器の筐体などに使用される電磁波透過性加飾部品に関するものである。
従来の電磁波透過性加飾部品においては、絶縁材料に導電材料の粒子が互いに接触しないように蒸着することにより金属光沢を得ていた(例えば、特許文献1)。
特開2001−26071号公報
電磁波を送受信する装置においては、電磁波を遮蔽することなくアンテナの性能を十分に確保するために、金属部品の適用が制限されていた。一方、装置のデザイン性を高めるために、金属光沢を呈する電磁波透過性加飾部品が求められていた。前記特許文献1は絶縁材料に導電材料の粒子が互いに接触しないように蒸着することにより装飾部にて金属光沢を得ていた。しかしながら、従来の電磁波透過性加飾部品においては、装飾部が金属色に見えるよう絶縁部の全面に導電材料が形成されているが、導電材料の内部には電流が流れるため装飾部に照射される電磁波が損失を生じ、十分なアンテナ特性が得られないという問題があった。
この発明は、前述のような問題を解決するためになされたもので、電磁波を遮蔽することなく、クリアな金属光沢を呈する電磁波透過性加飾部品を得ることを目的とするものである。
この発明に係る電磁波透過性加飾部品は、部品の表面に、膜厚が100nm以下の透明体層と、膜厚が5nm以上、波長域400nm〜800nmにおける平均透過率が65%以下かつ平均反射率が20%以上である半導体層または半金属層を形成したものである。
この発明によれば、部品の表面に、膜厚が100nm以下の透明体層と、膜厚が5nm以上、波長域400nm〜800nmにおける平均透過率が65%以下かつ平均反射率が20%以上である半導体層または半金属層を形成したため、電磁波を遮蔽することなく、クリアな金属光沢を呈する電磁波透過性加飾部品が実現可能となる。
本発明の実施の形態1に係わる電磁波透過性加飾部品を示す断面図である。 Geの透過率特性を説明する図である。 Geの反射率特性を説明する図である。 基板の反射/透過特性を説明する図である。 樹脂基板の反射率特性を説明する図である。 Ge/MgF2/TiNの反射率特性を説明する図である。 Ge/YbF3/TiNの反射率特性を説明する図である。 Ge/ZnS/TiNの反射率特性を説明する図である 従来の電磁波透過性加飾部品を説明する断面図である。 電磁波の透過損を検討するための計算モデルを説明する図である。 電磁波の透過損を計算した結果を説明する図である。 本発明の実施の形態2に係わる電磁波透過性加飾部品を示す断面図である Ge/Siの反射率特性を説明する図である。 Ge/Si/MgF2/TiNの反射率特性を説明する図である。 Ge/Si/YbF3/TiNの反射率特性を説明する図である。 Ge/Si/ZnS/TiNの反射率特性を説明する図である
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係わる電磁波透過性加飾部品20を示す断面図で、カーナビゲーション筐体の意匠を構成する部品である。
部品1の上に膜厚が100nm以下の透明体層2と、半導体層または半金属層3が設けられている。部品1を構成する材料は、例えば、TiNのようなセラミックス基板、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、PC樹脂とABS樹脂のポリマーアロイ(PC+ABS樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)などの樹脂、またはガラス繊維などのフィラーを配合した樹脂、などの絶縁体かつ電波透過性を有するものである。なお、カーナビゲーション筐体等に用いられるこれらセラミックス部品、樹脂部品は、通常、顔料等の含有により所定の色を呈するように調整されている。
また、透明体層2は、電磁波を吸収しない非金属材料であって、波長380nm〜780nmの可視域において透明性を有するものである。例えば、SiO、MgF、Al、AlF、YF、YbF、ZnSが代表として挙げられる。
さらに、半導体層または半金属層3としてはGe、Si、α-−Sn、Se、Teが代表
として挙げられ、金属光沢を呈するものであれば、特に制限はないが、電磁波に影響を及ぼさない範囲として、半導体または半金属の導電率が10S/m以下であれば、より好ましい。
ここで、半金属とは、金属性伝導を示すが、通常の金属より電気抵抗が大きい元素をいう。長周期型周期表においては、ホウ素とアスタチンを結ぶ斜めの線が金属と非金属との境界線であり、この境界線付近の元素(B、C、Si、P、Ge、As、Se、Sn、Te、Bi、Po、At)のうち、半導体(Ge、Si、α−Sn、Se、Te)を除くものを意味する。
透明体層2、半導体層または半金属層3は、例えば、真空蒸着にて形成することができる。透明体層2を例として形成方法の一例を挙げる。真空蒸着装置の所定位置に部品1を設置し、所定の蒸着材料をタングステンにて形成されたフィラメントに設置する。真空蒸着装置を真空排気し、所定の真空度に到達したらタングステンフィラメントに通電を行い、蒸着材料を蒸発させ、透明体層2を形成する。
このような薄膜形成方法は、いわゆる、抵抗加熱方式と呼ばれる方法で、基板に対する熱影響を抑制することが可能で、樹脂部品への薄膜形成に適している。この他、真空蒸着においては、材料を電子ビームにて溶融させる方法もあるが、一般的には、蒸発材料の輻射熱が大きいため、熱影響をきらう部品を用いる場合には大きな真空槽が必要になる。また、上記抵抗加熱方式での真空蒸着に際し、イオンガンやアンテナ式ボンバード装置を用いて、部品1の表面をArイオンやO2イオン等にて照射すると、透明体層2の膜密着性が向上し、好ましい。ここで、アンテナ式ボンバード装置とは蒸着室に円形コイルを設け、これを電極としてチャンバー全体にプラズマを生成させる装置を言う。
半導体層または半金属層3は透明体層2と同様にして形成することができる。特に、真空蒸着装置のような真空排気を必要とする工程においては、透明体層の形成と半導体層または半金属層の形成を連続的に行うことで、排気/大気開放の時間的ロスが生じることがないため、製造コストの上昇を抑制でき好適である。
図2は部品1をガラスとした場合のGeの透過率特性を示す図で、横軸は波長(nm)、縦軸は透過率(%)であり、特性曲線11〜17が各々Ge膜厚1nm、3nm、5nm、10nm、20nm、40nm、100nmに対する透過率特性を示している。
図2から分かるように、Geは膜厚の増加と共に透過率が低下することが分かる。膜厚が5nmより厚くなると、400nm〜800nmの可視域での平均透過率が65%以下となる。発明者らの調査によれば、Ge膜厚が5nm程度から弱い金属光沢を呈し始め、10nm〜400nmではっきりとした金属光沢を呈するようになる。よって、金属光沢を呈する加飾としては400nm〜800nmの可視域での平均透過率が65%以下の場合に実現され、好ましくは5%程度以下となる。
図3は部品1をガラスとした場合のGeの反射率特性を示す図で、横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)であり、特性曲線21〜29が各々Ge膜厚1nm、3nm、5nm、10nm、1000nm、400nm、100nm、20nm、40nmに対する反射率特性を示している。1000nmと400nmの反射率を示す特性曲線25,26はほとんど重なっている。
上述の通り、発明者らの調査によれば、Ge膜厚が5nm程度から弱い金属光沢を呈し始め、10nm〜400nmではっきりとした金属光沢を呈するようになる。よって、金属光沢を呈する加飾としては400nm〜800nmの可視域での平均反射率が20%以上の場合に実現され、好ましくは40%程度以上となる。
ところで、光学膜の設計においては通常、ベースとなる基板を規定して計算させる必要があり、本発明においてはガラス基板を用いている。ガラス基板は光学業界において最も一般的に用いられるものであるため、その光学特性(屈折率、吸収係数)は詳細に知られており、非常に扱いやすいものである。一方、カーナビゲーション用筐体や携帯電話用筐体に用いられるセラミックス材料(ガラス基板を除く)や樹脂材料の場合、通常は顔料等によって着色され、その光学特性は一定しておらず、光学材料として扱うのはガラス基板に比して困難である。さらに、樹脂材料はこのような顔料等の添加による強制的な着色のみならず、成型時の圧力、温度、時間等により、光学特性が変わることが知られており、ガラス基板のように安定した光学特性を有するものではない。そのため、通常のセラミックス部品や樹脂部品に対して上述した膜形成を実施しても、ガラス基板をベースとした光学シミュレーションで得られた反射特性が得られない場合が生じる。
図4はTiNとガラスの透過率特性及び反射率特性を比較した図であり、特性曲線31はガラスの反射率、特性曲線32はTiNの透過率、特性曲線33はTiNの反射率、特性曲線34はガラスの透過率を示している。図4より、ガラス基板は可視域において高い透明性を有し、反射、透過共に平坦なスペクトルを有していることが分かる。一方、TiN基板はガラス基板に比して可視域における透明性が低く、反射、透過共にスペクトルは平坦ではなく、色を持つことが分かる。
図5は樹脂基板の反射率特性を比較した図であり、特性曲線41が各々黒樹脂基板の反射率、特性曲線42が赤樹脂基板の反射率を示している。図5より、黒樹脂基板は可視域において低い反射率を有し、比較的平坦なスペクトルを有していることが分かる。一方、赤樹脂基板は380nm〜580nmにおいて黒樹脂基板とほぼ同等の低い反射率を有し
、650nm〜780nmにおいては70%以上の高い反射率を有しており、比較的TiN基板に近い反射スペクトルを有していることが分かる。
このように、樹脂基板の場合には、添加される顔料等により様々な着色が可能である。このことは、樹脂基板のスペクトルは添加される顔料によって様々に変化し、一様ではないことを意味している。本発明はそのような問題を解決するためになされたもので、セラミックス材料表面や樹脂材料表面に、屈折率が安定している透明体層を設け、下地基板の光学特性の影響を低減し、光学シミュレーションで得られた反射特性を再現性良く実現できる電波透過型加飾樹脂基板を実現するものである。
図6は、透明体層2にMgFを用いた場合の例で、Ge(32.61nm)/MgF/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をMgF(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線51はMgF膜厚0nmの場合、特性曲線52はMgF膜厚40nmの場合、特性曲線53はMgF膜厚100nmの場合、特性曲線54はMgF膜厚150nmの場合、特性曲線55はGe(32.61nm)/ガラス基板の場合を表している。
図7は、透明体層2にYbFを用いた場合の例で、Ge(32.61nm)/YbF/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をYbF(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線61はYbF膜厚0nmの場合、特性曲線62はYbF膜厚35nmの場合、特性曲線63はYbF膜厚100nmの場合、特性曲線64はYbF膜厚150nmの場合、特性曲線65はGe(32.61nm)/ガラス基板の場合を表している。
図8は、透明体層2にZnSを用いた場合の例で、Ge(32.61nm)/ZnS/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をZnS(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線71はZnS膜厚0nmの場合、特性曲線72はZnS膜厚20nmの場合、特性曲線73はZnS膜厚40nmの場合、特性曲線74はZnS膜厚80nmの場合、特性曲線75はGe(32.61nm)/ガラス基板の場合を表している。
図6〜8より、透明体層2を設けることで、TiN基板のような吸収を有し、フラットでない反射特性を呈する基板において、全ての場合において反射率が向上することが分かる。特に、約20nm以上の透明体層2を設けることにより、ガラス基板を用いた場合とほぼ同等の反射率が得られている。
一方、本発明の目的は金属調の電磁波透過性加飾部品を得ることにあるため、膜厚の上限については光の干渉の影響を考慮する必要がある。図6〜8より、MgFの場合(屈折率1.38:at600nm)で約150nm、YbFの場合(屈折率1.52:at600nm)で約150nm、ZnSの場合(屈折率2.33:at600nm)で約80nm、すなわち屈折率が1.38〜2.33(at600nm)の透明体層2の膜厚が約100nmになると干渉の影響が大きくなる。反射率特性が光の干渉の影響を受けてフラットでなくなると、色度バランスがくずれ、外観上、何らかの色を呈することを意味する。
すなわち、金属光沢を得るためには、干渉の影響が出ない範囲の透明体膜厚とすることが好ましい。以上より、概ね1.3〜2.4の屈折率(at600nm)を有する透明体層2の膜厚は100nm以下が好ましく、40nm〜100nmの範囲がより好適と言える。
なお、顔料等により着色された樹脂部品に対し、基板の保護や膜密着性の改善を目的として透明の樹脂を上塗りする場合もあり、一種の透明体層の形成と言えなくもないが、カーナビゲーション用筐体や携帯電話用筐体のような曲率や凹凸を有する部品に100nm以下の薄膜を均一に形成することは困難である。そのため、部品の保護や膜密着性の改善を目的として樹脂部品に上塗りされる透明樹脂は、通常、厚みが10μm以上になり、透明性に問題が生じる。また、樹脂の塗布/乾燥工程が必要となるため、コスト上昇の原因ともなる。これに対し、本発明に係わる透明体層2は厚みが100nm以下と薄く、加飾のための層形成の際の蒸着工程に組み込むことができるため、実質的に工数が増加することがなく、コスト上昇は最小に抑えられ、コスト的な問題も生じない。
次に、これら半導体層または半金属層3により加飾を行うことによるメリットにつき説明する。従来、部品の加飾は、部品表面にAlやSnのような金属材料を形成することにより行われてきた。その理由は、金属膜の場合、上記Geにて説明したように、膜厚の増加と共に透過率が低下し金属光沢を呈する特性を有しているため、加飾の際の膜厚制御が容易となるからである。しかしながら、これら加飾部品をカーナビゲーションや携帯電話のようなアンテナ装置の筐体として使用する場合には以下のような問題が生ずる。ここでは携帯電話を例として説明する。
すなわち、近年の携帯電話の筐体はデザイン性を重視することから、携帯電話と基地局との間で電波を送受信するためのアンテナが筐体の内部に配置されていることが多く、金属膜を形成した加飾部品は使用が制限され、筐体外観のデザイン面で制約となっていた。最近、この問題を解消するために、これら金属膜を島状に形成する、いわゆる、不連続蒸着技術が開発され、実用化されてきている。
図9は従来のアンテナ装置における装飾部を表わす断面図であり、80は装飾部、81は絶縁部、82は導電材料の粒子を表わす。従来のアンテナ装置における装飾部80においては、導電材料82は粒子状で接続しないように形成されているため、一部電波は装飾部80を透過することになる。
しかしながら、装飾部80が金属色に見えるよう絶縁部81の全面に導電材料82が形成されており、導電材料82の内部には電流が流れるため装飾部80に照射される電磁波が損失を生じ、十分なアンテナ特性が得られないという問題があった。
また、一般的には、蒸着物質が不連続となるのは、〜数10Å以下程度の極薄膜においてであり、通常、100Åを超えるような膜厚においてはこれら島が接触してしまうことから、アンテナ特性が損なわれるようになる。従って、一般的には、前述の不連続蒸着には厚みの制限が存在する。膜厚に制限が存在すると、アンテナ装置の筐体のような矩形部材、曲面を有する部材の全面に均一に膜形成することが困難で、歩留まりの低下に繋がる。この他、レーザや露光技術を用いて金属膜にパターン形成し不連続を実現する方法も考えられるが、コストが上昇するため、適用範囲は制限される。
本発明に係わる電磁波透過性加飾部品はこのような問題を解決することを目的として開発されたものである。すなわち、従来の導電材料に変えて半導体膜もしくは半金属膜を用いるため、電磁波透過性加飾部品が電磁波の透過を遮断することがなく、アンテナ装置の筐体として、金属光沢を確保した上で所定のアンテナ特性を容易に確保することができる。また、従来の不連続蒸着に比して、半導体膜もしくは半金属膜の膜厚の制限が厳しくないため製造が容易で製造コストが低減されるという利点がある。
金属膜、半導体膜と電磁波との透過、遮蔽の関係は概ね以下のように理解することができる。すなわち、携帯電話にて使用される電磁波はセンチ波、極超短波と呼ばれ、波長範囲で言うと概ね1mm〜1m程度である。金属膜の場合、これら電磁波が照射されると、自由電子がバリアを作り(分極作用)、膜中への進入を防ぐ。そのため、電磁波は金属膜により反射されることになる。一方、半導体膜の場合、金属膜のような自由電子を持たないため、金属膜にて生じる分極作用が生じることはない。半導体においては、例えば、Siが約1.1eV(波長1127nmの電磁波が持つエネルギーに相当)、Geが約0.7eV(波長1850nmの電磁波が持つエネルギーに相当)のバンドギャップを有し、バンドギャップに相当する波長より長い波長の電磁波は吸収されることがないため、これら半導体を表面に形成しても、アンテナ装置にて使用される電磁波は筐体を透過することが可能となる。
図11は電磁波を十分に透過させるために必要な半導体または半金属に求められる導電率について検討した結果である。図10に示した1次元の計算モデルに基づき、左方からの平面波が半導体層または半金属層(誘電率εr、導電率σ)に垂直に入射した場合の透過損Tを算出した。ただし半導体層または半金属層の厚さは100nmとした。
なお、誘電率εrは1、16、50の場合について求めたが、透過損Tに対してほとんど影響しない。電磁波を十分に透過し、携帯電話としての機能を満足する透過損Tのしきい値を−0.1dB以下とすると、半導体または半金属に求められる導電率は10S/m以下であることが分かる。本実施の形態1で説明したGeまたはSiの導電率はそれぞれ2.1S/m(at 300K)、3.16×10−4S/m(at 300K)であり、いずれも10S/mよりはるかに低い。
なお、上記実施の形態1においては部品1を構成する材料としては上記に挙げた樹脂に限らず、その他の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、さらにはセラミックスなどの他の絶縁体でも特に問題はなく、同様の効果を奏することはいうまでもない。
また、半導体層または半金属層3の成膜方法として真空蒸着法を用いた方法につき説明したが、半導体層または半金属層3の製法としてはこれに限られることはなく、部品表面に熱的損傷を与えない方法であればいずれの方法でも良く、スパッタ法、イオンプレーティング法、スピンコート法などの物理的方法や、CVD法、メッキ法などの化学的方法を用いることも可能であることは言うまでもない。
さらに、上記実施の形態1においては、カーナビゲーション筐体への適用例を示したが、例えばカメラ、携帯用音楽再生機、携帯用ゲーム機、携帯用の通信機、ラジオ、テレビ、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、ビデオカメラ、電子手帳、各種の赤外線式または無線式リモートコントローラ、電卓、自動車用電子制御機器など、各種電磁波を送受信する電子機器に適用することが可能であることは言うまでもない。
Ge、Siを代表とする半導体は電磁波のみならず、近赤外〜遠赤外光を透過する特性を有するため、例えば、赤外線センサーを利用する機器の筐体としても同様の効果を奏することは言うまでもない。
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、部品1の表面に、膜厚が100nm以下の透明体層2と、膜厚が5nm以上、波長域400nm〜800nmにおける平均透過率が65%以下かつ平均反射率が20%以上である半導体層または半金属層3を形成することで、電磁波を遮断することなくデザイン性を高めることが可能な電磁波透過性加飾部品が低コストかつ容易に実現できる。
実施の形態2.
図12は本発明の実施の形態2に係わる電磁波透過性加飾部品を示す断面図で、部品1の上に透明体層2が設けられ、透明体層2の上には半導体層または半金属層としてSi層4、Ge層5からなる積層体が設けられている。かかる構成とすることで、Ge層単体よりも高い反射率が実現可能となる。
図13は部品1をガラス基板とした場合のGe/Si多層膜の反射率特性を示す図で、特性曲線91はGe膜厚32.61nm/Si膜厚7.45nm/ガラス基板、特性曲線92はGe膜厚32.61nm/ガラス基板、特性曲線93はGe膜厚14.67nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板、特性曲線94はGe膜厚10.0nm/Si膜厚22.71nm/ガラス基板である。横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)である。
Ge単体で最も高い反射率が得られるGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも、所定の膜厚のSiを下地に形成し、Ge/Si/ガラス基板の構成とした場合のほうが高い反射率が得られることが分かる。最も高い反射率が得られるGe膜厚14.67nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板の場合で、Ge層単独の場合に比して平均で約10%程度の反射率向上が実現される。
また、図13から分かるように、Ge単体の場合に比して、Ge膜厚14.67nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板の構成の方が可視域全域に渡りフラットな反射率特性を示す。このことは金属光沢の観点から見ると好ましい。
すなわち、Ge単体の場合に比して、Ge膜厚14.67nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板の構成の方が色を持たない、よりクリアで明るい金属光沢が実現されることになる。発明者らの調査により、これらGe/Si/ガラス基板の構成がGe層単体に比して反射率特性に効果的であるのは、Ge層5の膜厚がほぼ35nm以下の場合に限られ、Ge層5の膜厚が35nmを超えるとGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも高い反射率が得られなくなることが分かっている。
また、Ge膜厚が1nm以下になると短波長域と長波長域での反射率特性のバランスがくずれ、可視域全域においてはむしろ反射率が下がることが確認されている。さらに、Si膜厚にも制限があり、5nm以下及び30nm以上の厚みではSi/Ge/ガラス基板の構成としてもGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも高い反射率が得られなくなることが分かっている。
以上の結果、発明者らは、ガラス基板上に5nm〜30nmのSi層4を形成し、その後、1nm〜35nmのGe層5を形成することにより、波長400nm〜800nmにおいて55%以上の平均反射率を有し、Ge層単体に比して、クリアな金属光沢を呈する電磁波透過性加飾部品が実現されることを見出した。
次に、実施の形態1と同様にして、部品1がセラミックスや着色された樹脂部品のような平坦な反射特性を有しない場合に、透明体層2を設ける効果につき説明する。
図14は、透明体層にMgFを用いた場合の例で、Ge(14.67nm)/Si(19.58nm)/MgF/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をMgF(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線101はMgF膜厚0nmの場合、特性曲線102はMgF膜厚20nmの場合、特性曲線103はMgF膜厚100nmの場合、特性曲線104はMgF膜厚150nmの場合、特性曲線105はGe(14.67nm)/Si(19.58nm)/ガラス基板の場合を表している。
図15は、透明体層にYbFを用いた場合の例で、Ge(14.67nm)/Si(19.58nm)/YbF/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をYbF(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線111はYbF膜厚0nmの場合、特性曲線112はYbF膜厚20nmの場合、特性曲線113はYbF膜厚80nmの場合、特性曲線114はYbF膜厚135nmの場合、特性曲線115はGe(14.67nm)/Si(19.58nm)/ガラス基板の場合を表している。
図16は、透明体層にZnSを用いた場合の例で、Ge(14.67nm)/Si(19.58nm)/ZnS/TiN基板構造の電磁波透過性加飾部品の反射率をZnS(透明体)の膜厚との関係で表した図である。図中、特性曲線121はZnS膜厚0nmの場合、特性曲線122はZnS膜厚15nmの場合、特性曲線123はZnS膜厚40nmの場合、特性曲線124はZnS膜厚60nmの場合、特性曲線125はGe(14.67nm)/Si(19.58nm)/ガラス基板の場合を表している。
図14〜16から分かるように、透明体層2を設けることで、TiN基板のようなフラットでない反射特性を有する基板において、全ての場合において反射率が向上する。特に、約20nm以上の透明体層を設けることにより、ガラス基板を用いた場合とほぼ同等の反射率が得られている。一方、膜厚が約60nmになると干渉の影響が大きくなる。
すなわち、金属光沢を得るためには、概ね1.3〜2.4の屈折率(at600nm)を有する透明体層2の膜厚は60nm以下が好ましく、20nm〜60nmの範囲がより好適と言える。
以上、本発明の実施の形態2によれば、部品1の表面に、膜厚が60mm以下の透明体層2と、膜厚が5nm〜30nmのSi層4と、膜厚が1nm〜35nmのGe層5を形成することで、実施の形態1の効果に加え、よりクリアな金属光沢を有する電磁波透過性加飾部品が低コストかつ容易に実現できる。
1 部品、2 透明体層、3 半導体層または半金属層、4 Si層、5 Ge層、80 装飾部、81 絶縁部、82 導電材料

Claims (8)

  1. 部品の表面に、膜厚が100nm以下の透明体層と、膜厚が5nm以上、波長域400nm〜800nmにおける平均透過率が65%以下かつ平均反射率が20%以上である半導体層または半金属層を形成したことを特徴とする電磁波透過性加飾部品。
  2. 前記半導体層または半金属層が、10S/m以下の導電率を有することを特徴とする請求項1記載の電磁波透過性加飾部品。
  3. 前記半導体層または半金属層が、SiもしくはGeを主成分とすることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波透過性加飾部品。
  4. 部品の表面に、膜厚が60mm以下の透明体層と、膜厚が5nm〜30nmのSi層と、膜厚が1nm〜35nmのGe層を形成したことを特徴とする電磁波透過性加飾部品。
  5. 前記透明体層の膜厚が20nm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電磁波透過性加飾部品。
  6. 前記透明体層の屈折率が波長600nmにおいて1.3〜2.4であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の電磁波透過性加飾部品。
  7. 前記透明体層が少なくともSiO、MgF、Al、AlF、YF、YbF、ZnSのいずれかを主成分とし、前記半導体層または半金属層が、膜厚10nmから400nm以下のGeにて構成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁波透過性加飾部品。
  8. 前記透明体層が少なくともSiO、MgF、Al、AlF、YF、YbF、ZnSのいずれかを主成分とし、前記半導体層または半金属層が、膜厚が5nm〜30nmのSi層と、膜厚が1nm〜35nmのGe層の積層体にて構成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁波透過性加飾部品。
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