JP5207899B2 - 電磁波透過性加飾基板および筐体 - Google Patents

電磁波透過性加飾基板および筐体 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波透過性の基板の表面に金属調装飾を施した電磁波透過性加飾基板およびその基板によって構成される筐体に関するものである。
従来の電磁波透過性加飾基板は、ガラス基板上にAg粒子を互いに接触しないように分散積層することで金属光沢を得ていた(例えば、特許文献1)。
特許第3454422号公報
電磁波を送受信する装置においては、金属が電磁波を遮蔽するという理由から、アンテナの性能を十分に確保するために、金属部品の適用が制限されていた。一方、装置のデザイン性を高めるために、金属光沢を呈する電磁波透過性加飾基板が求められていた。前記特許文献1は、ガラス基板上に、Ag粒子を互いに接触しないように分散積層しAg層を形成することにより、装飾部にて金属光沢を得ていた。しかしながら、従来の電磁波透過性加飾基板においては、装飾部が金属色に見えるようガラス基板の全面に所定の面積率でAg層が形成されているが、Agの内部には電流が流れるため装飾部に照射される電磁波が損失を生じ、十分なアンテナ特性が得られないという問題があった。
この発明に係わる電磁波透過性加飾基板は、電磁波透過性の基板、上記基板の表面に形成された半導体層を備え、上記半導体層は、Si層とGe層の積層体よりなり、上記Si層は上記基板の表面に積層され、上記Ge層は上記Si層の表面に積層され、上記Si層は、膜厚が5nm〜30nmであり、上記Ge層は、膜厚が1nm〜35nmであり、上記半導体層は、波長400〜800nmの可視域において55%以上の平均反射率を有することを特徴とするものである。
また、この発明に係わる筐体は、上記の本発明による電磁波透過性加飾基板によって構成され、電磁波を受信または送受信する機器を内部に収納することを特徴とするものである。
この発明の電磁波透過性加飾基板によれば、半導体層の表面における可視光の所定の反射率を確保できるとともに、加飾層である半導体層が所定波長域の電磁波を透過させるため、基板内への電磁波の所定の透過率を確保することができるという効果がある。
また、この発明の筐体によれば、本発明の電磁波透過性加飾基板を用いた構成であるために、筐体表面における可視光の所定の反射率を確保できるとともに、筐体内部に収納された機器が電磁波を送受信することを筐体によって妨げることがないという効果がある。
実施の形態1.
本発明の発明者らは、カーナビゲーションの筐体等として用いることが可能な電磁波透過性加飾基板の研究を進めた結果、基板上に2種類の半導体層(または半金属層)を積層した積層半導体層を加飾層として設けることで、アンテナ特性を損なうことなく(透過損を所定値以下に抑えながら)、半導体層単層では得られない、表面における高い可視光反射率を得られることを見出して本発明に至った。
図1は本発明の実施の形態1の電磁波透過性加飾基板の断面図である。電磁波透過性加
飾基板は、例えば、カーナビゲーションの筐体を構成する部品として用いられるものであり、電磁波透過性の基板、その基板の表面に形成された加飾層となる半導体層を備え、その半導体層は、Si層とGe層の積層体によりなることを特徴としている。図1に示すように、ガラス基板1上に、膜厚5nm〜30nmのSi層2が設けられており、Si層2上に、さらに膜厚1nm〜35nmのGe層3が形成されている。Si層2とGe層3の積層体が半導体層(積層半導体層)に相当している。なお、Ge層3側が筐体表面側であり、ガラス基板1側が筐体内部側に位置する。
なお、詳細については後述するが、半導体は、アンテナ特性を得るために、通信に必要な波長域の電磁波を透過させる性質があり、加飾層として用いる上で、ガラス基板1の表面全体を覆ったとしてもアンテナ特性を損なうことがない。加飾層としての半導体層の課題は、半導体層表面で可視光の反射率をより大きくし、金属調の外観を得ることである。
ここで、ガラス基板1を構成する材料としては、例えば、BK7、白板ガラス、青板ガラスが挙げられる。また、ガラス以外に、電磁波透過性の基板として、樹脂材料等を用いることも可能である。なお、基板材料は、基板上に半導体層を形成するのに十分な硬度と加工容易性を兼ね備えたものとする必要があることは言うまでもない。
Si層2、Ge層3は、例えば、真空蒸着にて形成することができる。Si層2の形成方法の一例を挙げる。はじめに、真空蒸着装置の所定位置にガラス基板1を設置し、蒸着材料として粒状のSiをタングステンにて形成されたフィラメントに充填する。真空蒸着装置を真空排気し、所定の真空度に到達したらタングステンフィラメントに通電を行い、Siを加熱蒸発させ、ガラス基板1上に堆積させSi層2を形成する。このような薄膜形成方法は、いわゆる、抵抗加熱法と呼ばれる方法で、基板に対する熱影響を抑制することが可能である。この他、真空蒸着においては、材料を電子ビームにて溶融させる方法もある。また、上記抵抗加熱法による膜形成に際し、イオンガンやアンテナ式ボンバード装置を用いて、ガラス基板1の表面をArイオンやOイオン等にて照射すると、基板表面が粗面化され、Si層2の膜密着性が向上し、好ましい。ここで、アンテナ式ボンバード装置とは蒸着室に円形コイルを設け、これを電極としてチャンバー全体にプラズマを生成させる装置を言う。なお、Ge層3もSi層2と同様にして形成することができる。
次に、本発明の2種類の半導体層を積層した半導体層(基板上に積層された第一の元素よりなる第一の半導体層と、第一の半導体層の上に積層された第二の元素よりなる第二の半導体層をあわせた積層構造を言う。)と比較するために、ガラス基板上に単層のGe層、またはSi層を形成した加飾基板について、可視光の透過率と反射率を調査した結果を、図2〜図5を用いて説明する。
図2は基板をガラスとした場合のGe層(単層)の電磁波透過率特性を示す図で、波長550nmにおける透過率の高いほうから各々Ge膜厚1nm、3nm、5nm、10nm、20nm、40nm、100nmのデータを示している。横軸は電磁波の波長(nm)、縦軸は透過率(T%)である。
図2に示すように、Ge層は膜厚の増加と共に透過率が低下し、膜厚が5nmより厚くなると、波長400nm〜800nmの可視域での平均透過率が65%以下となる。発明者らの調査によれば、Ge膜厚が5nm程度から弱い金属調の光沢(メタリック調、金属調外観。)を呈し始め、Ge膜厚が100nm程度(平均透過率が5%以下)ではっきりとした金属調の光沢を呈するようになる(ここで、Geは半導体であり金属ではないため、表面の光沢を「金属調」と表現している。)。よって、金属調の光沢を呈する加飾としては波長400nm〜800nmの可視域での平均透過率が65%以下の場合に実現され、好ましくは5%程度以下で良好な金属調光沢が得られることが分かる。
なお、可視域が波長400〜800nmという幅を持っているため、その波長領域全体での透過率または反射率は、「平均透過率」または「平均反射率」として現している。
図3は基板をガラスとした場合のGe層(単層)の電磁波反射率特性を示す図で、波長800nmにおける反射率の低いほうから各々Ge膜厚1nm、3nm、5nm、10nm、1000nm、400nm、100nm、20nm、40nmのデータを示している。Ge膜厚1000nmとGe膜厚400nmの反射率データはほとんど重なっている。横軸は電磁波の波長(nm)、縦軸は反射率(R%)である。上述の通り、発明者らの調査
によれば、Ge膜厚が、1nmと3nmでは十分な光沢が得られず、Ge膜厚5nm程度から弱い金属調の光沢を呈し始め、Ge膜厚が100nmではっきりとした金属調光沢を呈するようになる。よって、金属調光沢を呈する加飾としては波長400nm〜800nmの可視域での平均反射率が20%以上の場合に実現され、好ましくは40%程度以上で良好な金属調光沢が得られることが分かる。
図4は基板をガラスとした場合のSi層(単層)の電磁波透過率特性を示す図で、波長550nmにおける透過率の高いほうから各々Si膜厚1nm、3nm、5nm、10nm、20nm、40nm、100nm、400nmのデータを示している。横軸は電磁波の波長(nm)、縦軸は透過率(T%)である。図4から分かるように、ほとんどの条件下でSiはGeと同様に、膜厚増加とともに透過率が低下する傾向が見られるが、40nm以上の膜厚では干渉の影響を受け、波長帯によっては膜厚の増加と共に透過率が増加する傾向が見られ、Geと異なっている。このことは、加飾で言えば、色コントロールは不安定であるが、見る角度によって色が変化し得るという特徴を有することを意味する。
図5は基板をガラスとした場合のSi層(単層)の電磁波反射率特性を示す図で、波長800nmにおける反射率の低いほうから各々Si膜厚1nm、3nm、5nm、100nm、10nm、400nm、20nm、40nmのデータを示している。横軸は電磁波の波長(nm)、縦軸は反射率(R%)である。図5から分かるように、Si膜厚20nm
までは膜厚の増加とともに徐々に反射率は上昇するが、Si膜厚40nmでは波長430nm付近に谷のピークを持ち、Si膜厚100nmでは逆に波長430nm付近に山のピークを持つ。さらに、Si膜厚400nmになると全可視域においてほぼ均一な反射スペクトル(反射率が約30〜50%の範囲であり、変化が小さくなる。)を示し、それ以上膜厚が増加しても反射率特性はほとんど一定となる。
しかしながら、Ge層単層、Si層単層で得られる反射率は波長400nm〜800nmにおいて、最大でも約55%程度(可視域での平均)である。一方、金属であるAg膜の場合、可視域での反射率は95%以上であり、Ge層単層、Si層単層で得られる金属調光沢は、Ag膜の金属光沢に比して、やや暗い光沢を示すことになる。そのため、Ge層、Si層を用いて電磁波透過性加飾基板を作成する場合、更なる反射率の向上が好ましい。そこで、発明者らはガラス基板1上に所定の膜厚のSi層2を形成した後、さらに所定膜厚のGe層3を形成し、異なる多種類の半導体層を積層させた加飾層を形成することにより波長400nm〜800nmの可視域において55%以上の平均反射率を有する構造を創出し、以下の発明に至った。
次に、加飾層として2層構造の半導体層を形成した場合のデータ(SiおよびGeの膜厚が異なる二つのデータ)Ge層単層、Si層単層のデータとして、それぞれの可視域における反射率を図6に示す。
図6は基板をガラスとした場合の反射率特性を示す図で、図中データの波長800nmにおける反射率の高いほうから各々Ge膜厚32.61nm/Si膜厚7.45nm/ガラス基板(ガラス基板上にSi層、Ge層の順に積層された加飾基板であり、半導体層の膜厚は前記の通りである。)、Ge膜厚32.61nm/ガラス基板、Ge膜厚14.67
nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板、Ge膜厚10.0nm/Si膜厚22.71
nm/ガラス基板である。横軸は電磁波の波長(nm)、縦軸は反射率(R%)である。Ge
層単層で最も高い反射率が得られるGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも、所定の
膜厚のSiを下地に形成し、Ge/Si/ガラス基板の構成とした場合のほうが高い反射率が得られることが分かる。最も高い反射率が得られるGe膜厚14.67nm/Si膜
厚19.78nm/ガラス基板の場合で、Ge層単層の場合に比して平均で約10%程度
の反射率向上が実現される。
また、図6から分かるように、Ge層単層の場合に比して、Ge膜厚14.67nm/
Si膜厚19.78nm/ガラス基板の構成の方が可視域全域に渡りフラットな反射率特
性を示す。このことは金属調の光沢の観点から見ると好ましい。すなわち、Ge単層の場合に比して、Ge膜厚14.67nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板の構成の方が色を持たない、よりクリアで明るい金属調光沢が実現されることになる。発明者らの調査により、これらGe/Si/ガラス基板の構成がGe層単層に比して反射率特性的に効果的であるのは、Ge層の膜厚がほぼ35nm以下の場合に限られ、Ge層の膜厚が35nmを超えるとGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも高い反射率が得られなくなるこ
とが分かっている。
また、Ge膜厚が1nm以下になると短波長域と長波長域での反射率特性のバランスがくずれ、可視域全域においてはむしろ反射率が下がることが確認されている。
さらに、Si膜厚にも制限があり、5nm以下及び30nm以上の厚みではSi/Ge/ガラス基板の構成としてもGe膜厚32.61nm/ガラス基板よりも高い反射率が得
られなくなることが分かっている。以上の結果、発明者らは、ガラス基板上に5nm〜30nmのSi層を形成し、その後、1nm〜35nmのGe層を形成することにより、波長400nm〜800nmの光を55%以上反射させることが可能となり、Ge層単層に比して、クリアな金属調の光沢を呈する加飾基板を実現できることを見出した。
また、ここで、図5のデータにあるように、Si膜厚20nmで約43〜77%程度の、他のデータと比べると比較的安定した高反射率が得られる。そのため、加飾層の下地層として膜厚20nm程度のSi層2が適していると言える。
ここで、本願発明と従来技術との比較のために、従来技術による加飾層について説明する。従来技術による、ガラスの加飾は、例えばガラス基板表面にAgを分散積層することにより行われてきた。その理由は、Ag膜(金属膜)の場合、上記Ge層にて説明したように、膜厚の増加と共に透過率が低下し金属調の光沢を呈する特性を有しているため、加飾の際の膜厚制御が容易である上、可視域(波長400〜800nm)における電磁波の高い反射率を確保でき、クリアな金属調の光沢の実現が容易となるためである。しかしながら、従来の加飾ガラスをカーナビゲーションの筐体として使用する場合には以下のような問題があった。
すなわち、カーナビゲーションの筐体はGPSアンテナや情報通信用の無線アンテナが内部に配置されているため、通信に必要な電磁波(波長1mm〜1m)の透過率を確保することが必要となり、金属膜を形成した加飾ガラスは使用が制限され、筐体外観のデザイン面で制約を生じる。特許文献1に示されたAg膜を分散積層する技術は、この問題を解消に近づけるために開発されたものである。図7は、特許文献1に示された従来の電磁波透過性加飾ガラスにおける装飾部の表面を観察した上面図であり、40は装飾部、41はガラス基板(黒い部分)、42はAgの粒子(白い部分)を表わす。従来の電磁波透過性加飾ガラスにおける装飾部40においては、Agの粒子42は粒子状で接続しないように形成されており、一部電波はAgの粒子42、ガラス基板41を透過することになる。しかしながら、装飾部40が金属色に見えるようガラス基板41の全面に所定の面積率でAgの粒子42が形成され、Agの粒子42の内部には電流が流れるため、装飾部40に照射される電磁波(アンテナ特性を確保するために必要となる波長1mm〜1mである電磁波。)が損失を生じ、十分なアンテナ特性が得られないという問題があった。
本発明にかかる電磁波透過性加飾基板は、このような問題を解決することを目的として開発されたものであって、従来のAg粒子に変えて、半導体層としてSi層とGe層の積層体を用いるため、電磁波透過性加飾基板が通信に必要となる電磁波を遮断することがないものであり、金属調の光沢を確保した上で、カーナビゲーションの筐体として、所定のアンテナ特性を容易に確保することができる。
ここで、Ag膜、Si膜、Ge膜と電磁波との透過、遮蔽の関係は概ね以下のように理解することができる。すなわち、カーナビゲーションにて使用される電磁波はセンチ波、極超短波と呼ばれ、波長範囲で言うと概ね1mm〜1m程度である。金属であるAg膜の場合、これら電磁波が照射されると、自由電子がバリアを作り(分極作用)、膜中への進入を防ぐ。そのため、電磁波はAg膜により反射されることになる。一方、半導体膜であるSi膜、Ge膜の場合、Ag膜のような自由電子を持たないため、Ag膜にて生じる分極作用が生じることはない。半導体においては、例えば、Siが約1.1eV(波長1127nmの電磁波が持つエネルギーに相当)、Geが約0.7eV(波長1850nmの電磁波が持つエネルギーに相当)のバンドギャップを有し、バンドギャップに相当する波長より長い波長の電磁波は吸収されることがないため、これら半導体を表面に形成しても、カーナビゲーションにて使用される電磁波は筐体を透過することが可能となる。
図8は電磁波を十分に透過させるために必要な半導体に求められる導電率について検討した結果である。図9に示した1次元の計算モデルに基づき、左方からの平面波が半導体層(誘電率εr、導電率σ)に垂直に入射した場合の透過損Tを算出した。ただし半導体
層の厚さは100nmとした。なお、誘電率εrは1、16、50の場合について求めた
が、透過損Tに対してほとんど影響しない。通信に必要な電磁波を十分に透過し、カーナビゲーションとしての機能を満足する透過損Tのしきい値を−0.1dB以下とすると、半導体に求められる導電率は約10S/m以下であることが分かる。本実施の形態で説明したGe層3、Si層2の導電率はそれぞれ2.1S/m(at 300K)、3.16×10−4S/m(at 300K)であり、いずれも10S/mよりはるかに低い。さらに、Si膜厚、Ge膜厚とも100nm以下であり、アンテナ特性を低下させることはない。
なお、図9の計算モデルでは、試料が半導体層または半金属層であることを示しているが、半導体とは、電気を通す導体と電気を通さない絶縁体の中間の物質で、ケイ素、ゲルマニウムの単体の他、硫化亜鉛やガリウムヒ素のような化合物などを意味し、半金属とは、金属と非金属の中間の物質で、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、ボロニウムなどを意味しており、本発明で採り挙げたSi、Geがいずれの分類にも入りうることを示している。
また、ガラス基板1を構成する材料としてBK7、白板ガラス、青板ガラスを挙げたが、ガラス基板1は上記に挙げたガラス材料に限らず、その他のガラス材料でも特に問題はなく、同様の効果を奏することはいうまでもない。基板材料を樹脂とした場合も同様である。
さらに、Si層2、Ge層3の成膜方法として真空蒸着法を用いた方法につき説明したが、Si層2、Ge層3の製法としてはこれに限られることはなく、スパッタ法、イオンプレーティング法、スピンコート法などの物理的方法や、CVD法、メッキ法などの化学的方法を用いることも可能である。
さらに、上記の例では、Si層2の上にGe層3を積層した場合について説明したが、波長1mm〜1m程度の電磁波を遮断せず、反射率を低下させない条件であれば、これらの層の上にさらにSi層、Ge層を積層しても良い。
さらに、上記の例では、カーナビゲーションの筐体への適用例を示したが、本発明にか
かる電磁波透過性加飾基板の適用はかかる例に留まることはなく、例えば携帯電話、カメラ、携帯用音楽再生機、携帯用ゲーム機、携帯用の通信機、ラジオ、テレビ、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、ビデオカメラ、電子手帳、各種の赤外線式または無線式リモートコントローラ、電卓、自動車用電子制御機器など、各種電磁波を送受信する電子機器の筐体として適用することも可能である。
さらに、Ge、Siは、近赤外〜遠赤外光(波長0.7〜1000μm程度)を透過する特性を有するため、例えば、赤外線センサーを利用する機器の筐体としても用いることができ、加飾基板として同様の効果を奏することは言うまでもない。なお、従来技術のように、加飾層が金属層である場合、近赤外〜遠赤外光は反射してしまうため(>90%以上の反射率。)、本願のように赤外線センサー等の筐体としては利用することができない。
以上、本発明に係る構成とすることで、アンテナ特性を確保すべく通信に必要となる波長の電磁波を遮断することなく、可視光をより高い反射率で反射させて金属調の光沢を得、デザイン性を高めることが可能な電磁波透過性加飾基板を、低コストかつ容易に実現することが可能となる。
実施の形態2.
図10は本発明にかかる電磁波透過性加飾基板の他の実施の形態を示す断面図で、ガラス基板1の上にSi層2、Ge層3が順に積層され、Ge層3の上には、Ge層3を保護する保護層4が設けられている。他の構成は実施の形態1にて示した場合と同様である。
ここで保護層4は、エポキシ樹脂層等の透明かつある一定の硬さを備えた層であり、通常はスプレーによる塗布で樹脂膜を形成し、その後UV硬化(UV硬化型樹脂の場合)若しくは熱硬化(熱硬化型樹脂の場合)により硬化処理がなされて得られる。なお、保護層4は、通信に必要な電磁波を透過する性質を持ち、アンテナ特性を劣化させるものではなく、下層の半導体層によって得られる金属調の光沢によるデザイン性を損なうものではない。
本発明に係る構成とすることで、実施の形態1にて示した効果に加え、下層に位置するGe層3の損傷を防ぐことが可能な電磁波透過性加飾基板を実現することができる。
実施の形態3.
図1に示した本発明にかかる電磁波透過性加飾基板は、例えば、携帯電話のディスプレイのカバーまたはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)のカバーを構成する
部品として用いることができる。この部品はいわゆるハーフミラーと呼ばれるもので、ディスプレイまたはLEDが発光すると、この光が部品を透過して表面に画像等が現れるが、発光していない場合はミラー状の意匠を構成する。なお、従来のハーフミラーは金属膜(例えばAl)を薄く形成して構成されたものであったため、アンテナ特性が十分ではなかった。
図11は基板をガラスとした場合の各種半導体層の反射率特性を示す図で、波長800nmにおける反射率の高い方から各々、Ge膜厚20.0nm/Si膜厚20.0nm/ガラス基板、Ge膜厚14.47nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板、Ge膜厚20.0nm/ガラス基板、Si膜厚20.0nm/ガラス基板のデータを示している。また、図12は基板をガラスとした場合の透過率特性を示す図で、波長800nmにおける透過率の低い方から各々、Ge膜厚20.0nm/Si膜厚20.0nm/ガラス基板、Ge膜厚14.47nm/Si膜厚19.78nm/ガラス基板、Ge膜厚20.0nm/ガラス
基板、Si膜厚20.0nm/ガラス基板のデータを示している。
本実施の形態3のハーフミラーは、Ge/Si/ガラス基板の構成で形成された膜であり、波長400nm〜800nmにおいては55%以上の平均反射率と、10%以上の平
均透過率を有し、光の反射と透過の特性を同時に利用している。ただし、ハーフミラーで最も重要なのは透過率である。透過率が高い場合はカバーの内側にあるディスプレイ基板やLED素子が透けて見えるために、意匠上好ましくなく、逆に透過率が低い場合は、透過光量が低下するためにディスプレイやLEDの視認性が悪くなる問題が発生する。発明者らは、様々な試作品を作製した結果、平均透過率が2%以上65%以下であれば、隠蔽性と視認性を併せ持つハーフミラーが得られることを確認している。
なお、基板は、ディスプレイの表示画面を構成するガラス基板や樹脂基板であっても良く、また表示画面等とは別の基板を用いて、ハーフミラーシートを形成しておき、発光素子等に貼り合わせて用いることも可能である。
図12のデータから、本実施の形態3の電磁波透過性加飾基板は、平均透過率が10%以上であり、ハーフミラーとしての特性を有していることが分かる。なお、平均透過率が2%となるGe膜厚は約100nmであり、Si膜厚は約400nmであり、各々の膜厚がこれ以上である場合にはハーフミラーの効果は事実上生じない。また、Ge膜厚、Si膜厚が薄すぎると、加飾の効果が生じないため、実施の形態1にて述べたように、各々、Ge膜厚1nm以上、Si膜厚5nm以上の条件が必要となる。
本発明に係る構成とすることで、実施の形態1にて示した効果に加え、ハーフミラーとしての特性を備えた電磁波透過性加飾基板を実現することができる。
実施の形態4.
また、上述の実施の形態1で、図4、図5を用いて説明したように、Si層は、特定の膜厚である場合に、可視域での電磁波透過率、反射率が特定波長でピークを持つという特徴があって、Ge層のものよりも波長や膜厚に依存した色調変化が大きかった。
上述の実施の形態1〜3では、基板1上に設ける半導体層として、Si層2を下地とし、Ge層3をその上層に積層した積層体を形成することを例示したが、逆の積層順とし、Ge層3を基板1の表面に積層し、Ge層3上にSi層2を積層して、下地がGe層、表面がSi層の半導体層を形成することも可能である。上述したように、Si層2の表面において、特定膜厚の場合に、特定波長で反射率がピークを持つ特性があるため、可視域内の電磁波の波長変化に基づく、色調変化が求められるデザインのための加飾として用いることが可能であり、また、平均反射率が大きく、可視域での反射率変化が小さいSi膜厚を選択すれば、色調が整った光沢を得ることも可能である。また、下地にGe層3を形成しているため、Si層2を単層のみで形成した場合よりも、可視域の全体で、反射率を向上させることが可能である。このように、一つのデザインとして、基板1上に、Ge層、Si層の順に積層した半導体層の積層体を形成することは有効である。また、Si層の表面を上述した保護層4で被覆することで、加飾層の損傷低減が可能である。
この発明の実施の形態1による電磁波透過性加飾基板の断面図である。 この発明の実施の形態1の説明に必要なGe/ガラス基板の透過率特性を示す図である。 この発明の実施の形態1の説明に必要なGe/ガラス基板の反射率特性を示す図である。 この発明の実施の形態1の説明に必要なSi/ガラス基板の透過率特性を示す図である。 この発明の実施の形態1の説明に必要なSi/ガラス基板の反射率特性を示す図である。 この発明の実施の形態1の説明に必要なSi/Ge/ガラス基板の反射率特性を示す図である。 この発明の実施の形態1の比較例として示す、従来の金属膜を形成した加飾層の表面の状態を示す図である。 電磁波の透過損を計算した結果を示す、透過損の誘電率依存性の特性図である。 電磁波の透過損を検討するための計算モデルを説明する図である。 この発明の実施の形態2による電磁波透過性加飾基板の断面図である。 この発明の実施の形態3の説明に必要なガラス基板上に半導体層を形成した場合の反射率特性を示す図である。 この発明の実施の形態3の説明に必要なガラス基板上に半導体層を形成した場合の透過率特性を示す図である。
符号の説明
1 ガラス基板 2 Si層、
3 Ge層 4 保護層。

Claims (5)

  1. 電磁波透過性の基板、上記基板の表面に形成された半導体層を備え、上記半導体層は、Si層とGe層の積層体よりなり、上記Si層は上記基板の表面に積層され、上記Ge層は上記Si層の表面に積層され、上記Si層は、膜厚が5nm〜30nmであり、上記Ge層は、膜厚が1nm〜35nmであり、上記半導体層は、波長400〜800nmの可視域において55%以上の平均反射率を有することを特徴とする電磁波透過性加飾基板。
  2. 上記Ge層は、表面に照射される波長400〜800nmの光を55%以上反射させることを特徴とする請求項記載の電磁波透過性加飾基板。
  3. 上記半導体層上に形成された電磁波透過性の保護層を備えてなる請求項1または請求項2記載の電磁波透過性加飾基板。
  4. 上記基板は、発光素子を覆うカバーを構成することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項記載の電磁波透過性加飾基板。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか一項記載の電磁波透過性加飾基板によって構成され、電磁波を受信または送受信する機器を内部に収納することを特徴とする筐体。
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