JP2020060406A - 電波透過カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】氷雪の融解効率及び外観の向上を、簡単な構造で実現する。【解決手段】電波透過カバー20は、ミリ波13を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射されたミリ波13を受信するミリ波レーダ装置12が組み込まれた車両10に適用され、ミリ波13の送信方向におけるミリ波レーダ装置12の前方に配置される。電波透過カバー20は、不透明な樹脂材料により形成され、かつミリ波13の透過性を有する単一の部材からなる基材21と、上記送信方向における基材21の後側に配置された加熱シート31とを備える。加熱シート31は、上記送信方向における少なくとも前面が前接着面34により構成されたシート状の接合材32と、接合材32の前接着面34上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線36とを備え、前接着面34において、上記送信方向における基材21の後面に貼り合わされることにより同基材21に固定されている。【選択図】図3

Description

本発明は、電波レーダ装置が組み込まれた車両において、電波の送信方向における電波レーダ装置の前方に設置される電波透過カバーに関する。
車体の前端部等の外端部に電波レーダ装置が組み込まれた車両では、同装置からミリ波等の電波が車外へ向けて送信される。先行車両、歩行者等を含む車外の物体に当たって反射された電波は、上記電波レーダ装置によって受信される。送信及び受信された電波により、上記物体が認識されたり、車両と物体との距離が検出されたり、車両と物体との相対速度が検出されたりする。
上記車両では、電波の送信方向における電波レーダ装置の前方に、電波透過カバーが設置される。電波透過カバーは、電波レーダ装置を隠し、かつ電波の透過性を有する。
上記電波透過カバーに氷雪が付着すると電波が減衰され、電波レーダ装置の検出性能が低下する問題がある。そこで、電波透過カバーに氷雪の融解機能を付加することが考えられている。
例えば、特許文献1には、通電により発熱するヒータ線を有する加熱シートが用いられた電波透過カバーとして、下記の3つの態様が記載されている。
・図11に示すように、加熱シート104が、上記送信方向における前部に配置された電波透過カバー101。以下、この態様の電波透過カバー101を「従来技術1」というものとする。
・図12に示すように、加熱シート104が、上記送信方向における後部に配置された電波透過カバー102。以下、この態様の電波透過カバー102を「従来技術2」というものとする。
・図13に示すように、加熱シート104が、上記送信方向における中間部に配置された電波透過カバー103。以下、この態様の電波透過カバー103を「従来技術3」というものとする。
従来技術1〜従来技術3に記載されたいずれの電波透過カバー101〜電波透過カバー103においても骨格部分が基材によって構成されている。基材は、透明な樹脂材料によって形成され、かつ電波の透過性を有する前基材106と、樹脂材料によって形成されて、上記送信方向における前基材106の後側に配置され、かつ電波の透過性を有する後基材108とからなる。上記送信方向における前基材106の後面は凹凸面107によって構成され、同方向における後基材108の前面は、前基材106の凹凸面107に対応する凸凹面109によって構成されている。凹凸面107と凸凹面109との間には加飾層111が形成されている。
さらに、従来技術1では、加熱シート104が図11に示すように、上記送信方向における前基材106の前側に配置されている。これに対し、従来技術2では、加熱シート104が図12に示すように、上記送信方向における後基材108の後側に配置されている。
図13に示す従来技術3の電波透過カバー103では、前基材106が、上記送信方向に2つの部材112,113に分割されており、両部材112,113間に加熱シート104が配置されている。
上記従来技術1〜従来技術3のいずれによっても、ヒータ線が通電されると発熱する。そのため、上記送信方向における電波透過カバー101〜電波透過カバー103の前面に氷雪が付着しても、ヒータ線が発した熱によって氷雪を融解させ、氷雪の付着に起因する電波の減衰を抑制することができる。
特開2017−215242号公報
ところが、加熱シート104が上記送信方向における前基材106の前側に配置された従来技術1の電波透過カバー101では、車外からヒータ線が見えて外観が悪いという問題がある。
また、加熱シート104が上記送信方向における後基材108の後側に配置された従来技術2の電波透過カバー102では、ヒータ線の発した熱が、同方向における電波透過カバー102の前面に伝わりにくく、氷雪の融解効率が低いという問題がある。
さらに、加熱シート104が上記送信方向における中間部分に配置された従来技術3の電波透過カバー103では、前基材106が2つの部材112,113によって構成されるため、電波透過カバー103の構造が複雑となり、製造コストが上昇する。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、氷雪の融解効率及び外観の向上を、簡単な構造で実現することのできる電波透過カバーを提供することにある。
上記課題を解決する電波透過カバーは、電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、不透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、前記送信方向における前記基材の後側に配置された加熱シートとを備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記送信方向における前記基材の後面に貼り合わされることにより同基材に固定されている。
上記の構成によれば、電波レーダ装置からの電波の送信方向における加熱シートの前側に基材が位置する。基材は不透明な樹脂材料によって形成されている。そのため、車外からヒータ線が見えることが基材によって妨げられる。従って、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における前基材の前側に加熱シートが配置された従来技術1よりも外観が向上する。
電波レーダ装置から電波が送信されると、その電波は、加熱シート及び基材を透過する。車外の物体に当たって反射された電波は、基材及び加熱シートを透過し、電波レーダ装置によって受信される。電波は、加熱シートにおいては、ヒータ線の設けられていない箇所を透過する。電波レーダ装置では、送信及び受信された電波により、車両と物体との距離や相対速度が検出される。
また、上記送信方向における電波透過カバーの前面に氷雪が付着しても、ヒータ線に通電されることにより同ヒータ線が発熱すると、その熱が基材を介して氷雪に伝達される。この熱により氷雪が融解され、氷雪による電波の減衰が抑制される。
ここで、基材が単一の部材によって構成されていて、加熱シートが上記送信方向における基材の後側に配置されている。そのため、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における後基材の後側に加熱シートが配置された従来技術2に比べ、加熱シートを、同送信方向における電波透過カバーの前面に対し近い箇所に配置することが可能となる。この場合には、ヒータ線の発した熱が電波透過カバーの上記前面に伝わりやすく、氷雪の融解効率が向上する。
また、基材が単一の部材によって構成されていることから、基材が前基材及び後基材によって構成され、さらに、前基材が2つの部材によって構成され、加熱シートが両部材の間に配置された従来技術3に比べ、電波透過カバーの構造が簡単となる。
上記課題を解決する電波透過カバーは、電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、前記送信方向における前記基材の前面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、前記送信方向における前記基材の後側に配置された加熱シートとを備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記送信方向における前記基材の後面に貼り合わされることにより同基材に固定されている。
上記の構成によれば、電波レーダ装置からの電波の送信方向における加熱シートの前側に基材を介して加飾層が位置する。そのため、車外からヒータ線が見えることが加飾層及び基材のうち、少なくとも加飾層によって妨げられる。従って、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における前基材の前側に加熱シートが配置された従来技術1よりも外観が向上する。
電波レーダ装置から電波が送信されると、その電波は、加熱シート、基材及び加飾層を透過する。車外の物体に当たって反射された電波は、加飾層、基材及び加熱シートを透過し、電波レーダ装置によって受信される。電波は、加熱シートにおいては、ヒータ線の設けられていない箇所を透過する。電波レーダ装置では、送信及び受信された電波により、車両と物体との距離や相対速度が検出される。
また、上記送信方向における電波透過カバーの前面に氷雪が付着しても、ヒータ線に通電されることにより同ヒータ線が発熱すると、その熱が基材及び加飾層を介して氷雪に伝達される。この熱により氷雪が融解され、氷雪による電波の減衰が抑制される。
ここで、基材が単一の部材によって構成されていて、加熱シートが上記送信方向における基材の後側に配置されている。そのため、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における後基材の後側に加熱シートが配置された従来技術2に比べ、加熱シートを、同送信方向における電波透過カバーの前面に対し近い箇所に配置することが可能となる。この場合には、ヒータ線の発した熱が電波透過カバーの上記前面に伝わりやすく、氷雪の融解効率が向上する。
また、基材が単一の部材によって構成されていることから、基材が前基材及び後基材によって構成され、さらに、前基材が2つの部材によって構成され、加熱シートが両部材の間に配置された従来技術3に比べ、電波透過カバーの構造が簡単となる。
上記課題を解決する電波透過カバーは、電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、前記送信方向における前記基材の後面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、前記送信方向における前記加飾層の後側に配置された加熱シートとを備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記加飾層に貼り合わされることにより、同加飾層を介して前記基材に固定されている。
上記の構成によれば、電波レーダ装置からの電波の送信方向における加熱シートの前側に加飾層が位置する。そのため、車外からは、透明な基材を介して加飾層が透けて見える。また、車外からヒータ線が見えることが加飾層によって妨げられる。従って、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における前基材の前側に加熱シートが配置された従来技術1よりも外観が向上する。
電波レーダ装置から電波が送信されると、その電波は、加熱シート、加飾層及び基材を透過する。車外の物体に当たって反射された電波は、基材、加飾層及び加熱シートを透過し、電波レーダ装置によって受信される。電波は、加熱シートにおいては、ヒータ線の設けられていない箇所を透過する。電波レーダ装置では、送信及び受信された電波により、車両と物体との距離や相対速度が検出される。
また、上記送信方向における電波透過カバーの前面に氷雪が付着しても、ヒータ線に通電されて同ヒータ線が発熱すると、その熱が加飾層及び基材を介して氷雪に伝達される。この熱により氷雪が融解され、氷雪による電波の減衰が抑制される。
ここで、基材が単一の部材によって構成されていて、加熱シートが上記送信方向における基材の後側に配置されている。そのため、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における後基材の後側に加熱シートが配置された従来技術2に比べ、加熱シートを、同送信方向における電波透過カバーの前面に対し近い箇所に配置することが可能となる。この場合には、ヒータ線の発した熱が電波透過カバーの上記前面に伝わりやすく、氷雪の融解効率が向上する。
また、基材が単一の部材によって構成されていることから、基材が前基材及び後基材によって構成され、さらに、前基材が2つの部材によって構成され、加熱シートが両部材の間に配置された従来技術3に比べ、電波透過カバーの構造が簡単となる。
上記課題を解決する電波透過カバーは、電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有し、さらに、前記送信方向における後面が凹凸面により構成された前基材と、樹脂材料により形成されて、前記送信方向における前記前基材の後側に配置され、かつ電波の透過性を有し、さらに、前記送信方向における前面が、前記前基材の前記凹凸面に対応する凸凹面により構成された後基材と、前記前基材の前記凹凸面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、前記加飾層及び前記後基材の前記凸凹面の間に配置された加熱シートとを備え、前記前基材及び前記後基材はそれぞれ単一の部材からなり、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において前記加飾層に貼り合わされることにより、同加飾層を介して前記前基材に固定されている。
上記の構成によれば、電波レーダ装置からの電波の送信方向における加熱シートの前側に加飾層及び前基材が位置する。そのため、車外からは、透明な前基材を介して加飾層が透けて見える。また、車外からヒータ線が見えることが加飾層によって妨げられる。従って、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における前基材の前側に加熱シートが配置された従来技術1よりも外観が向上する。
電波レーダ装置から電波が送信されると、その電波は、後基材、加熱シート、加飾層及び前基材を透過する。車外の物体に当たって反射された電波は、前基材、加飾層、加熱シート及び後基材を透過し、電波レーダ装置によって受信される。電波は、加熱シートにおいては、ヒータ線の設けられていない箇所を透過する。電波レーダ装置では、送信及び受信された電波により、車両と物体との距離や相対速度が検出される。
また、上記送信方向における電波透過カバーの前面に氷雪が付着しても、ヒータ線に通電されて同ヒータ線が発熱すると、その熱が加飾層及び前基材を介して氷雪に伝達される。この熱により氷雪が融解され、氷雪による電波の減衰が抑制される。
ここで、基材が前基材及び後基材によって構成されていて、加熱シートが前基材及び後基材間に配置されている。そのため、基材が前基材及び後基材によって構成され、かつ上記送信方向における後基材の後側に加熱シートが配置された従来技術2に比べ、加熱シートを、同送信方向における電波透過カバーの前面に近い箇所に位置させることが可能となる。この場合には、ヒータ線の発した熱が電波透過カバーの上記前面に伝わりやすく、氷雪の融解効率が向上する。
また、前基材及び後基材がそれぞれ単一の部材によって構成されている。そのため、基材が前基材及び後基材によって構成され、さらに、前基材が2つの部材によって構成され、加熱シートが両部材の間に配置された従来技術3に比べ、構成部材が少なくなり、電波透過カバーの構造が簡単となる。
上記電波透過カバーにおいて、前記加飾層の少なくとも一部は、顔料及び染料の少なくとも一方が着色剤として含有された塗膜からなる有色加飾層により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、車両の外部から可視光が電波透過カバーに照射されると、有色加飾層では可視光の一部が反射される。車両の外部からは、有色加飾層で反射された可視光の色が見える。
上記電波透過カバーにおいて、前記加飾層の少なくとも一部は、金属光沢を有するとともに、可視光を反射し、かつ電波の透過性を有する光輝加飾層により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、車両の外部から可視光が電波透過カバーに照射されると、光輝加飾層では可視光が反射される。車両の外部からは、光輝加飾層で反射された可視光の色が見える。光輝加飾層が発する金属光沢により、電波透過カバーの外観が高められる。
上記電波透過カバーにおいて、前記送信方向における前記接合材の後面は後接着面により構成されており、前記加熱シートは、前記後接着面に対し貼り合わされたシートをさらに備えることが好ましい。
接合材として、上記送信方向における前面が前接着面によって構成され、かつ後面が後接着面によって構成されるものが用いられる場合には、上記の構成によるように、後接着面にシートが貼り合わされることで、加熱シートが構成されてもよい。このシートの貼り合わせにより、後接着面が加熱シートの厚み方向における中間部分に位置し、加熱シートの外部に露出しない。そのため、加熱シートの取り扱いが容易になる。
上記電波透過カバーにおいて、前記ヒータ線は、互いに平行な状態で延びる複数の直線部と、隣り合う前記直線部の端部同士を連結する連結部とを備えており、前記電波は、平面からなる偏波面上を振動するように送信されるものであり、前記直線部は、前記偏波面に対し直交した状態で前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配置されていることが好ましい。
ここで、仮に、ヒータ線の直線部が、電波の偏波面に対し平行であるとすると、平面からなる偏波面上を振動するように送信された電波が、直線部に面接触する場合がある。この面接触により、電波の加熱シートでの透過が妨げられ、ミリ波が減衰される。
これに対し、上記の構成によるように、直線部が偏波面に対し直交していると、電波が直線部と接触する面積は、上記のように、同直線部が偏波面に対し平行である場合よりも少なくなる。しかも、上記面積は、直線部が偏波面に対し傾斜している場合のうちで、最も少なくなる。直線部により電波の透過が妨げられる量が最も少なくなり、電波の減衰量が最も少なくなる。
上記電波透過カバーにおいて、隣り合う前記直線部の間隔が5.0mm±0.5mmに設定されていることが好ましい。
上記の構成によれば、隣り合う直線部の間隔が上記の範囲内にあると、ヒータ線を含む電波透過カバーの誘電率が、基材の誘電率に近似し、ヒータ線の追加に伴う電波の透過性の低下が抑制される。
上記電波透過カバーにおいて、前記電波レーダ装置は、前記車両の前部の車幅方向における側部に組み込まれて斜め前側方へ電波を送信する前側方監視用の電波レーダ装置であることが好ましい。
電波透過カバーは、上記の構成によるように、前側方監視用の電波レーダ装置が前部の車幅方向における側部に組み込まれた車両に適用可能である。この場合には、電波透過カバーが、電波レーダ装置に対し車両の斜め前側方となる箇所に配置される。電波レーダ装置から車両の斜め前側方へ送信された電波と、車外の物体に当たって反射された電波とは電波透過カバーを透過する。
上記電波透過カバーによれば、氷雪の融解効率及び外観の向上を、簡単な構造で実現することができる。
第1実施形態における電波透過カバーの正面図。 第1実施形態における電波透過カバーが適用された車両の前部を示す部分斜視図。 (a)は、第1実施形態における電波透過カバー及びその周辺部分を示す部分側断面図、(b)は図3(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 第1実施形態におけるヒータ線とミリ波の偏波面との関係を説明する斜視図。 (a)〜(c)は、第1実施形態における電波透過カバーの製造工程を示す説明図。 (a)は、第2実施形態における電波透過カバー及びその周辺部分を示す部分側断面図、(b)は図6(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 (a)は、第3実施形態における電波透過カバー及びその周辺部分を示す部分側断面図、(b)は図7(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 (a)〜(e)は、第3実施形態における電波透過カバーの製造工程を示す説明図。 (a)は、第4実施形態における電波透過カバー及びその周辺部分を示す部分側断面図、(b)は図9(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 (a)〜(g)は、第4実施形態における電波透過カバーの製造工程を示す説明図。 従来技術1における電波透過カバーの部分側断面図。 従来技術2における電波透過カバーの部分側断面図。 従来技術3における電波透過カバーの部分側断面図。
(第1実施形態)
以下、電波透過カバーを具体化した第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
なお、以下の記載に関し、車両については、前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。また、図面では、電波透過カバーにおける各部を認識可能な大きさとするために、各部の縮尺を適宜変更して図示している。この点は、従来技術1〜従来技術3についても同様である。
図2及び図3(a)に示すように、車両10における車体(ボディ)の前端部には、ポリプロピレン樹脂(PP)等の樹脂材料によって形成されたフロントバンパ11が取り付けられている。フロントバンパ11と車体との間であって車幅方向における両側部には、前側方監視用のミリ波レーダ装置12が電波レーダ装置として設置されている。前側方監視用の電波レーダ装置は、例えば、斜め前方から接近する見通しのよい交差点での出合い頭の衝突、センターラインをはみ出した対向車との衝突等を軽減するシステムに使用されて、車両10の側方や斜め前側方の物体を検出する。
図3(a)及び図4に示すように、ミリ波レーダ装置12は、電波におけるミリ波13を車外のうち、斜め前側方へ向けて送信し、かつ、車外の物体に当たって反射されたミリ波13を受信するセンサ機能を有する。ミリ波13は、水平な面からなる偏波面14上において振動するように、ミリ波レーダ装置12から送信される。ミリ波13とは、波長が1mm〜10mmであり、周波数が30GHz〜300GHzである電波をいう。ミリ波レーダ装置12は、送信したミリ波13と受信したミリ波13との時間差や、受信波の強度等から、車外の上記物体を認識したり、車両10と上記物体との距離や相対速度を検出したりする。
図3(a)に示すように、フロントバンパ11において、ミリ波レーダ装置12からのミリ波13の送信方向における前方には、窓部15が開口されている。窓部15は、ミリ波レーダ装置12の斜め前側方に位置している。フロントバンパ11には、窓部15の上縁部及び下縁部からそれぞれ上記送信方向における後方へ突出する被係止部16が形成されている。各被係止部16には、同被係止部16を上下方向に貫通する係止孔17が形成されている。
図2及び図3(a)に示すように、フロントバンパ11の窓部15には電波透過カバー20が装着されている。電波透過カバー20は、ミリ波レーダ装置12の斜め前側方に位置している。図1、図3(a)及び図3(b)に示すように、電波透過カバー20は、その骨格部分をなす基材21と、加熱シート31とを備えている。なお、ミリ波レーダ装置12からのミリ波13の送信方向及び受信方向は、車両10の前後方向と合致しない。しかし、第1実施形態では、電波透過カバー20の各部を特定するために、ミリ波の送信方向における前方を、電波透過カバー20の「前方」、「前」等といい、同送信方向における後方を、電波透過カバー20の「後方」、「後」等というものとする。
基材21は、窓部15に対応した形状をなすミリ波透過部22と、ミリ波透過部22の上端部及び下端部から、後方へそれぞれ突出する一対の係止突部23とを備えている。両係止突部23は、上下方向であって互いに遠ざかる側へ突出する爪部23aを有している。
上記基材21は、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合樹脂(AES)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリプロピレン樹脂(PP)等の不透明な樹脂材料によって形成され、かつミリ波13の透過性を有する単一の部材からなる。第1実施形態では、基材21は材着樹脂材料によって形成されている。材着樹脂材料は、顔料等の着色材を樹脂材料に混合することにより、樹脂自体を着色した材料である。基材21の前面及びミリ波透過部22の後面は、凹凸のない平面又は湾曲面によって構成されている。
加熱シート31は、接合材32、ヒータ線36及びシート39によって構成されている。接合材32は、シート状をなす芯材の両面に対し、加熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を塗布することによって形成されている。芯材は、ポリカーボネート樹脂(PC)等の透明な樹脂材料によって形成されている。接着剤の塗布により、接合材32の前面は、接着力を有する前接着面34によって構成され、後面は、接着力を有する後接着面35によって構成されている。
ヒータ線36は、上記前接着面34上に埋め込んで配線されている。図1及び図4に示すように、ヒータ線36は、互いに平行な状態で延びる複数の直線部37と、隣り合う直線部37の端部同士を連結する複数の連結部38とを備えている。ヒータ線36は、銅線によって形成されており、通電により発熱する。直線部37は、ミリ波13が加熱シート31を透過する際の減衰を抑制する態様として、同ミリ波13の上記偏波面14に対し直交した状態で配置されている。偏波面14が水平であることから、各直線部37は上下方向へ延びるように配置されている。また、隣り合う直線部37の間隔P1は、5.0mm±0.5mmに設定されている。さらに、ヒータ線36の直径は、1.0mm以下に設定されている。このように太いヒータ線36を用いることができるのは、ヒータ線36の太さが電波透過カバー20の外観に影響しないからである。すなわち、ヒータ線36よりも前方に位置する基材21が不透明であることから、ヒータ線36の太さに拘わらず、車外から基材21を通してヒータ線36を見ることができないからである。
また、図3(a)及び図3(b)に示すように、シート39は、PP等の樹脂材料によって形成されており、接合材32の後接着面35に貼り合わされている。
そして、加熱シート31は、前接着面34において基材21の後面に貼り合わされることにより、同基材21に固定されている。
なお、ヒータ線36の両端部には、図示しない電極が接続されている。一方の電極の途中には、温度検出用素子としてのサーミスタが設けられている。両電極及びサーミスタは、電子制御装置に接続されている。電子制御装置は、サーミスタの検出値に基づき、電極を通じ、ヒータ線36に対する通電を制御することで、加熱シート31の温度を調整する。
上記のように構成された電波透過カバー20のうちヒータ線36とは異なる部分について、76GHz〜81GHzの周波数領域における誘電率は、2.8以下であり、誘電正接は、0.02以下である。
誘電率とは、誘電体で誘電分極が生じる程度を表す、誘電体に固有の定数であり、電束密度と電界の強さとの比である。誘電正接は、誘電体内での電気エネルギ損失の度合いを表す指標値である。誘電正接が小さいと、ミリ波が熱エネルギに変換され難く、ミリ波の減衰を抑制することが可能である。誘電率及び誘電正接が上記の条件を満たすことにより、ミリ波13が電波透過カバー20を良好に透過する。
ところで、電波透過カバー20では、ミリ波13の減衰量と、電波透過カバー20のうち係止突部23を除く箇所の厚みとの間に一定の関係があること、すなわち、一定の条件(下記式1参照)を満たす複数の厚みでは、他の厚みよりも減衰量が少なくなることが判っている。
このことから、第1実施形態では、電波透過カバー20のうち係止突部23を除く箇所の厚みをTとし、基材21の比誘電率をεpとし、ミリ波13の波長をλeとし、整数をnとするとき、厚みTが、次式1を満たす値に設定されている。
T={(λe/2)/√(εp)}n・・・(式1)
このように、電波透過カバー20の上記箇所の厚みTは、半波長を比誘電率の平方根にて除算した値の整数倍の値に設定されている。
そして、基材21の爪部23aが、対応する被係止部16の係止孔17に係止されることにより、電波透過カバー20がフロントバンパ11の窓部15に装着されている。
次に、上記電波透過カバー20を製造する方法について、図5(a)〜図5(c)を参照して説明する。なお、図5(a)〜図5(c)では電波透過カバー20の各構成部材が模式的に図示されている。また、図5(a)〜図5(c)においては、図面の左方が電波透過カバー20における前方に相当し、図面の右方が後方に相当する。これらの点は、後述する図8(a)〜図8(e)及び図10(a)〜図10(g)についても同様である。
まず、図5(a)に示す基材21が射出成形等の成形方法によって形成される。また、図5(b)に示すように、接合材32の前接着面34に対し、ヒータ線36が波形状をなすように貼り付けられることにより、ヒータ線36が前接着面34上に埋め込んで配線される。また、後接着面35にシート39が貼り合わされる。このようにして加熱シート31が形成される。
図5(c)に示すように、接合材32の前接着面34が基材21の後面に対向するように、基材21及び加熱シート31が配置され、同加熱シート31が真空圧空成形法により基材21の後面に貼り合わされる。真空圧空成形法は、加熱シート31を室温で又は加熱雰囲気下で、圧力差を用いて、基材21の後面に貼り合わせる方法である。
引き続き、オートクレーブ中で熱及び圧力が加えられることで、加熱シート31と基材21との間の細かい気泡が抜き出される。
さらに、接合材32と基材21との間における前接着面34の接着剤が硬化される。熱硬化型の接着剤が用いられている場合には熱が加えられることで接着剤が硬化して、加熱シート31が基材21におけるミリ波透過部22に対し、貼り合わされた状態で固定される。紫外線硬化型の接着剤が用いられている場合には、紫外線硬化装置から紫外線が照射されることで接着剤が硬化して、加熱シート31がミリ波透過部22に対し、貼り合わされた状態で固定される。
このようにして、目的とする電波透過カバー20が得られる。
次に、第1実施形態の電波透過カバー20の作用及び効果について説明する。
(1a)外観向上について
電波透過カバー20においては、加熱シート31の前側に基材21が位置する。基材21は不透明な樹脂材料によって形成されている。そのため、車外からヒータ線36が見えることが基材21によって妨げられる。従って、基材が前基材106及び後基材108によって構成され、かつ前基材106の前側に加熱シート104が配置された従来技術1(図11)よりも外観が向上する。
(1b)ミリ波13の透過性について
図3(a)及び図3(b)に示すように、ミリ波レーダ装置12からミリ波13が車両10の斜め前側方へ送信されると、そのミリ波13は、電波透過カバー20の加熱シート31及び基材21を透過する。車外の物体に当たって反射されたミリ波13は、基材21及び加熱シート31を透過し、ミリ波レーダ装置12によって受信される。ミリ波13は、加熱シート31においては、ヒータ線36の設けられていない箇所を透過する。ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波13により、車両10と車外の物体との距離や相対速度が検出される。
(1c)氷雪の融解効果について
電波透過カバー20の前面に氷雪が付着した場合には、電子制御装置(図示略)が、サーミスタの検出値に基づき、電極を通じ、ヒータ線36に対する通電を制御する。この通電によりヒータ線36が発熱する。ヒータ線36が発した熱の一部は、基材21を介して電波透過カバー20の前面に伝達される。この熱により、電波透過カバー20の前面に付着している氷雪が融解され、氷雪によるミリ波13の減衰が抑制される。
特に、上述したように太いヒータ線36を用いているため、発熱量が多くなり、氷雪を効率よく融解させることができる。
なお、上記電子制御装置の通電制御により、加熱シート31の温度が調節されることで、同加熱シート31の温度が過度に高くなることが抑制され、ヒータ線36の熱による基材21の劣化が抑制される。
ここで、第1実施形態では、基材21が単一の部材によって構成されていて、加熱シート31が基材21の後側に配置されている。そのため、基材が前基材106及び後基材108によって構成され、かつ後基材108の後側に加熱シート104が配置された従来技術2(図12)に比べ、加熱シート31を、電波透過カバー20の前面に対し近い箇所に配置することができる。この場合には、ヒータ線36の発した熱が電波透過カバー20の前面に伝わりやすく、氷雪を効率よく融解させることができる。
(1d)構造の簡略化について
第1実施形態では、基材21が単一の部材によって構成されている。このことから、基材が前基材106及び後基材108によって構成され、さらに、前基材106が2つの部材112,113によって構成され、加熱シート104が両部材112,113の間に配置された従来技術3(図13)に比べ、電波透過カバー20の構造が簡単となる。電波透過カバー20の部品点数が少なく、これに伴い、少ない製造工程で電波透過カバー20を製造することができ、製造コストを低減することができる。
(1e)加熱シート31の取り扱い性向上について
接合材32として、前面が前接着面34によって構成され、かつ後面が後接着面35によって構成されるものが用いられている第1実施形態にあって、後接着面35にシート39が貼り合わせられることで、加熱シート31が構成されている。このシート39の貼り合わせにより、後接着面35が加熱シート31の厚み方向における中間部分に位置し、加熱シート31の外部に露出しない。そのため、加熱シート31の取り扱いが容易になる。
(1f)ヒータ線36に起因するミリ波13の減衰抑制について
仮に、ヒータ線36の直線部37が、ミリ波13の偏波面14に対し平行であるとすると、平面からなる偏波面14上を振動するように送信されたミリ波13が、直線部37に面接触する場合がある。この面接触により、ミリ波13の加熱シート31での透過が妨げられ、ミリ波13が減衰される。
これに対し、第1実施形態では、図4に示すように、直線部37が偏波面14に対し直交している。そのため、ミリ波13が直線部37と接触する面積は、上記のように、直線部37が偏波面14に対し平行である場合よりも少なくなる。しかも、上記面積は、直線部37が偏波面14に対し傾斜している場合のうちで、最も少なくなる。直線部37によりミリ波13の透過が妨げられる量が最も少なくなり、ミリ波13の減衰量を最少にすることができる。
(1g)ヒータ線36によるミリ波透過性の低下抑制について
図4に示すように、ヒータ線36において隣り合う直線部37の間隔P1が5.0mm±0.5mmに設定されている。そのため、ヒータ線36を含む電波透過カバー20の誘電率が、基材21の誘電率に近似し、ヒータ線36の追加に伴うミリ波13の透過性の低下を抑制することができる。
また、間隔P1が上記の範囲に設定されると、氷雪の融解に必要な発熱量を確保することができる。
(第2実施形態)
次に、電波透過カバーを具体化した第2実施形態について、図5(c)、図6(a)及び図6(b)を参照して説明する。
第2実施形態の電波透過カバー40では、基材21の前面に加飾層41が形成されている。なお、図5(c)では、加飾層41が二点鎖線で図示されている。また、図6(a)では、ミリ波レーダ装置12の図示が省略されている。この点は、後述する図7(a)及び図9(a)についても同様である。
加飾層41は、電波透過カバー40を装飾するための層であり、特定の色の可視光を反射するとともにミリ波13の透過性を有する材料により形成されている。加飾層41は、第2実施形態では、顔料及び染料の少なくとも一方が着色剤として含有された塗膜からなる有色加飾層によって構成されている。有色加飾層は、黒色、青色、赤色等の単色で加飾を行うものであってもよいし、複数色によって加飾を行うものであってもよいが、電波透過カバー40の周囲の部品の色、この場合、フロントバンパ11と同色で加飾を行うものであることが好ましい。フロントバンパ11との一体感が得られ、意匠性が高められるからである。
加飾層41は、それよりも後側の部材を隠す機能を発揮する。そのため、基材21は、透明な樹脂材料によって形成されてもよいし、不透明な樹脂材料によって形成されてもよい。透明な樹脂材料としては、PC、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等が用いられ、不透明な樹脂材料としては、第1実施形態と同様のものが用いられる。ここでの透明には、無色透明のほかにも着色透明(有色透明)も含まれる。
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記の構成を有する電波透過カバー40は、基本的には、図5(a)〜図5(c)を用いて説明した第1実施形態の電波透過カバー20と同様の工程を全て経た後に、同図5(c)において二点鎖線で示すように、基材21の前面に加飾層41が形成される。加飾層41は、例えば、顔料及び染料の少なくとも一方が着色剤として含有された塗料を、基材21の前面に塗布することによって形成される。これに代えて、スクリーン印刷等の方法によって印刷が行われることで加飾層41が形成されてもよい。
従って、第2実施形態によると、第1実施形態における(1e)〜(1g)と同様の作用及び効果が得られる。そのほかにも、第1実施形態における(1a)〜(1d)に対応する次の(2a)〜(2d)の作用及び効果が得られる。
(2a)外観向上について
車外から可視光が電波透過カバー40に照射されると、その可視光の一部が加飾層41で反射される。車外からは、加飾層41で反射された光の色が見える。このように加飾層41によって電波透過カバー40が装飾され、外観が向上する。
また、加熱シート31の前側には、基材21を介して加飾層41が位置する。そのため、車外からヒータ線36が見えることが加飾層41及び基材21のうち、少なくとも加飾層41によって妨げられる。すなわち、基材21が透明な樹脂材料によって形成されている場合には、加飾層41によってヒータ線36が隠される。また、基材21が不透明な樹脂材料によって形成されている場合には、加飾層41及び基材21の両者によってヒータ線36が隠される。従って、図11で示される従来技術1よりも外観が向上する。
(2b)ミリ波13の透過性について
ミリ波レーダ装置12からミリ波13が車両10の斜め前側方へ送信されると、そのミリ波13は、加熱シート31、基材21及び加飾層41を透過する。車外の物体に当たって反射されたミリ波13は、加飾層41、基材21及び加熱シート31を透過し、ミリ波レーダ装置12によって受信される。ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波13により、車両10と物体との距離や相対速度が検出される。
(2c)氷雪の融解効果について
電波透過カバー40の前面に氷雪が付着した場合には、電子制御装置によりヒータ線36に通電される。この通電により、ヒータ線36が発熱すると、その熱が基材21及び加飾層41を介して氷雪に伝達される。この伝達された熱により氷雪が融解され、氷雪によるミリ波13の減衰が抑制される。
ここで、第2実施形態でも、基材21が単一の部材によって構成されていて、加熱シート31が基材21の後側に配置されている。そのため、第1実施形態での上記(1c)と同様に、加熱シート31を、電波透過カバー40の前面に対し近い箇所に配置し、ヒータ線36が発した熱を電波透過カバー40の前面に伝わりやすくし、氷雪の融解効率の向上を図ることができる。
(2d)構造の簡略化について
基材21が単一の部材によって構成されていることから、第1実施形態での上記(1d)と同様に、電波透過カバー40の構造が簡単となり、部品点数及び製造工数を少なくし、製造コストの低減を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、電波透過カバーを具体化した第3実施形態について、図7(a)、図7(b)及び図8(a)〜図8(e)を参照して説明する。
第3実施形態では、電波透過カバー50の骨格部分をなす基材として、第1及び第2実施形態における基材21と同様に、ミリ波透過部22及び係止突部23を備えるものが用いられている。基材21の前面及びミリ波透過部22の後面は、凹凸のない平面又は湾曲面によって構成されている。また、加熱シートとして、第1及び第2実施形態における加熱シート31と同様に、接合材32、ヒータ線36及びシート39を備えるものが用いられている。さらに、加飾層として、第2実施形態における加飾層41と同様のものが用いられている。そのため、第3実施形態では、基材、加熱シート及び加飾層を、第2実施形態と同様に「基材21」、「加熱シート31」及び「加飾層41」と表記するものとする。
ただし、第3実施形態では、基材21が、PC、PMMA等の透明な樹脂材料によって形成されている。また、加飾層41が基材21の後面に形成されている。
加熱シート31は、基材21におけるミリ波透過部22の後面に代えて、加飾層41に対し接合材32の前接着面34において貼り合わされている。この貼り合わせにより、加熱シート31が加飾層41を介して基材21に固定されている。
さらに、第3実施形態では、基材21の前面に、表面処理剤からなり、かつ透明でミリ波13の透過性を有するハードコート層53が形成されている。表面処理剤としては、例えば、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等の有機系ハードコート剤、無機系ハードコート剤、有機無機ハイブリッド系ハードコート剤等が挙げられる。
上記以外の構成は第2実施形態と同様である。そのため、電波透過カバー50において、第2実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、上記電波透過カバー50を製造する方法について、図8(a)〜図8(e)を参照して説明する。
まず、図8(a)に示す基材21が射出成形等の成形方法によって形成される。また、図8(b)に示すように、接合材32の前接着面34にヒータ線36が貼り付けられて配線され、後接着面35にシート39が貼り合わされることにより、加熱シート31が形成される。
図8(c)に示すように、基材21の後面に対し、塗装、印刷等が行われることにより加飾層41が形成される。
図8(d)に示すように、接合材32の前接着面34が加飾層41に対向するように基材21及び加熱シート31が配置され、同加熱シート31が真空圧空成形法により加飾層41に貼り合わされる。
引き続き、オートクレーブ中で熱及び圧力が加えられることで、加熱シート31と加飾層41との間の細かい気泡が抜き出される。
さらに、加飾層41と加熱シート31との間における前接着面34の接着剤が硬化されることで、加熱シート31が加飾層41を介して基材21に固定される。
図8(e)に示すように、基材21の前面に表面処理剤が塗布され、かつ硬化されることによりハードコート層53が形成される。
このようにして、目的とする電波透過カバー50が得られる。
従って、第3実施形態によると、第1実施形態における(1e)〜(1g)と同様の作用及び効果が得られる。そのほかにも、第1実施形態における(1a)〜(1d)に対応する次の(3a)〜(3d)の作用及び効果と、(3e)の新たな作用及び効果とが得られる。
(3a)外観向上について
車外から可視光が電波透過カバー50に照射されると、その可視光は、ハードコート層53及び基材21を透過し、加飾層41で反射される。車外からは、透明なハードコート層53及び基材21を通して加飾層41が見える。このように加飾層41によって電波透過カバー50が装飾され、外観が向上する。
電波透過カバー50においては、加熱シート31の前側に加飾層41が位置する。そのため、車外からヒータ線36が見えることが加飾層41によって妨げられる。従って、図11で示される従来技術1よりも外観が向上する。
(3b)ミリ波13の透過性について
ミリ波レーダ装置12からミリ波13が車両10の斜め前側方へ送信されると、そのミリ波13は、加熱シート31、加飾層41、基材21及びハードコート層53を透過する。車外の物体に当たって反射されたミリ波13は、ハードコート層53、基材21、加飾層41及び加熱シート31を透過し、ミリ波レーダ装置12によって受信される。ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波13により、車両10と物体との距離や相対速度が検出される。
(3c)氷雪の融解効果について
電波透過カバー50の前面に氷雪が付着した場合には、電子制御装置によりヒータ線36に通電されて同ヒータ線36が発熱する。その熱が加飾層41、基材21及びハードコート層53を介して氷雪に伝達される。この熱により氷雪が融解され、氷雪によるミリ波13の減衰が抑制される。
ここで、第3実施形態でも、基材21が単一の部材によって構成されていて、加熱シート31が基材21の後側に配置されている。そのため、第1実施形態での上記(1c)と同様に、加熱シート31を、電波透過カバー50の前面に対し近い箇所に配置し、ヒータ線36が発した熱を電波透過カバー50の前面に伝わりやすくし、氷雪の融解効率の向上を図ることができる。
(3d)構造の簡略化について
基材21が単一の部材によって構成されていることから、第1実施形態での上記(1d)と同様に、電波透過カバー50の構造が簡単となり、部品点数及び製造工数を少なくし、製造コストの低減を図ることができる。
(3e)ハードコート層53による効果について
基材21がハードコート層53によって前方から保護され、同基材21に傷が付いたり、太陽光、風雨、温度変化等が原因で、基材21が変質や劣化を起こしたりするのを抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、電波透過カバーを具体化した第4実施形態について、図9(a)、図9(b)及び図10(a)〜図10(g)を参照して説明する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、第4実施形態の電波透過カバー60では、基材が前基材61及び後基材65によって構成されている。
前基材61は、基材の前部を構成する部材であり、PC,PMMA等の透明な樹脂材料によって形成された単一の部材によって構成されている。前基材61は、フロントバンパ11の窓部15に対応する形状をなしており、ミリ波13の透過性を有している。前基材61の前面は、凹凸のない平面又は湾曲面によって構成され、前基材61の後面は凹凸面62によって構成されている。より詳しくは、前基材61の後部には、前後方向に対し略直交する一般部63と、一般部63よりも前方へ凹む凹部64とが形成されている。一般部63の後面と、凹部64の内壁面とによって上記凹凸面62が構成されている。
後基材65は、基材の後部を構成する部材であり、前基材61の後側に配置されている。後基材65は、AES、ABS等の不透明な樹脂材料によって形成された単一の部材によって構成されている。後基材65は、フロントバンパ11の窓部15に対応した形状をなすミリ波透過部66と、同ミリ波透過部66の上端部及び下端部から、後方へそれぞれ突出する一対の係止突部67とを備えており、ミリ波13の透過性を有している。両係止突部67は、第1実施形態での係止突部23に相当するものであり、同第1実施形態における爪部23aと同様の爪部67aを有している。
後基材65の前面は、前基材61の凹凸面62に対応する凸凹面68によって構成されている。より詳しくは、後基材65の前部であって、前基材61の一般部63の後方となる箇所には、前後方向に対し略直交する一般部69が形成されている。後基材65の前部であって、前基材61の凹部64の後方となる箇所には、一般部69よりも前方へ突出する突部71が形成されている。一般部69の前面と、突部71の外壁面とによって上記凸凹面68が構成されている。
後基材65におけるミリ波透過部66の後面は、凹凸のない平面又は湾曲面によって構成されている。
前基材61の凹凸面62には、ミリ波13の透過性を有する加飾層が形成されている。加飾層は、光輝加飾層72及び有色加飾層73の組み合わせによって構成されている。加飾層によって表現される装飾部分は、例えば、背景部分と、文字、マーク等の模様部分とからなる。背景部分は、例えば有色加飾層73によって表現され、模様部分は、例えば光輝加飾層72によって表現される。
光輝加飾層72は、凹部64の底壁面64aに形成されている。光輝加飾層72は、例えば、金属皮膜によって構成されている。この場合、金属皮膜が一面にわたって連続した状態で形成されると、ミリ波13が遮断又は大きく減衰される。そのため、金属皮膜は、インジウム等の金属材料によって海島構造をなすように形成されている。海島構造は、金属皮膜が一面に連続しておらず、多数の微細な金属皮膜が島状に互いに僅かに離間し又は一部接触した状態で敷き詰められてなる不連続構造である。この構造を採用することにより、金属皮膜は不連続構造となり、電気抵抗が高くなり、ミリ波透過性を有する。
有色加飾層73としては、第2及び第3実施形態における加飾層41と同様の構成を有するものが用いられている。有色加飾層73は、前基材61における凹部64の内壁面のうち底壁面64aを除く箇所と、光輝加飾層72の後面と、一般部63の後面とに形成されており、黒色、青色、赤色等をなしている。
有色加飾層73と後基材65の凸凹面68との間には、加熱シートが配置されている。加熱シートとしては、第1〜第3実施形態における加熱シート31と同様の構成を有するものが用いられている。また、前基材61の前面にはハードコート層が形成されている。ハードコート層としては、第3実施形態におけるハードコート層53と同様のものが用いられている。そのため、第4実施形態では、加熱シート及びハードコート層を、第3実施形態と同様に、「加熱シート31」及び「ハードコート層53」と表記するものとする。
ただし、加熱シート31は、有色加飾層73に対し接合材32の前接着面34において貼り合わせられている。この貼り合わせにより、加熱シート31は有色加飾層73及び光輝加飾層72を介して前基材61に固定されている。
次に、上記電波透過カバー60を製造する方法について、図10(a)〜図10(g)を参照して説明する。
まず、図10(a)に示すように凹凸面62を有する前基材61が射出成形等の成形方法によって形成される。また、図10(b)に示すように、接合材32の前接着面34にヒータ線36が貼り付けられ、後接着面35にシート39が貼り合わされることにより、加熱シート31が形成される。
図10(c)に示すように、前基材61における凹部64の底壁面64aに対し、インジウム等の金属材料がスパッタリング、蒸着等されることにより、海島構造をなす光輝加飾層72が形成される。
図10(d)に示すように、前基材61における凹部64の内壁面のうち底壁面64aを除く箇所と、光輝加飾層72と、一般部63の後面とに対し、塗装、印刷等を行うことによって、有色加飾層73が形成される。
図10(e)に示すように、接合材32の前接着面34が有色加飾層73の後面に対向するように、前基材61及び加熱シート31が配置され、同加熱シート31が真空圧空成形法により有色加飾層73に貼り合わされる。
引き続き、オートクレーブ中で熱及び圧力が加えられることで、加熱シート31と有色加飾層73との間の細かい気泡が抜き出される。
さらに、接合材32と有色加飾層73との間における接着剤が硬化されることで、加熱シート31が有色加飾層73を介して前基材61に固定される。
このようにして得られた中間製品75がインサートとして射出成形等の成形方法が行われることにより、図10(f)に示すように、同中間製品75の後側に、前面に凸凹面68を有する後基材65が形成される。
図10(g)に示すように、中間製品75における前基材61の前面に表面処理剤が塗布され、硬化されることによりハードコート層53が形成される。
このようにして、目的とする電波透過カバー60が得られる。
従って、第4実施形態によると、第1実施形態における(1e)〜(1g)、及び第3実施形態における(3e)と同様の作用及び効果が得られる。そのほかにも、第1実施形態における(1a)〜(1d)に対応する次の(4a)〜(4d)の作用及び効果と、(4e)の新たな作用及び効果が得られる。
(4a)外観向上について
車外から電波透過カバー60に可視光が入射すると、その可視光の一部はハードコート層53及び前基材61を透過し、光輝加飾層72及び有色加飾層73で反射される。車外からは、光輝加飾層72及び有色加飾層73において反射された可視光の色が見える。車外からは、光輝加飾層72が金属のように輝いて見える(金属光沢を伴う色が見える)。また、車外からは、ハードコート層53及び前基材61を通して、その前基材61の後側(奥側)に光輝加飾層72及び有色加飾層73が位置するように見える。このように、光輝加飾層72及び有色加飾層73によって電波透過カバー60が装飾されることで、同電波透過カバー60及びその周辺部分の外観が向上する。
特に、前基材61の後面が凹凸面62によって構成されている。光輝加飾層72及び有色加飾層73は、凹凸面62上に形成されていて、凹凸状をなしている。そのため、車外から電波透過カバー60を見ると、加飾層のうち凹んでいる部分、すなわち底壁面64a上に形成された光輝加飾層72が、有色加飾層73よりも前方(手前)に位置しているように見える。表現を変えると、加飾層の全体が、前後方向に立体的に、すなわち、三次元形状をなしているように見える。従って、電波透過カバー60及びその周辺部分の外観がさらに向上する。
光輝加飾層72及び有色加飾層73は、加熱シート31の前側に位置し、車外からヒータ線36が見えるのを妨げる。従って、図11で示される従来技術1よりも外観が向上する。
(4b)ミリ波13の透過性について
ミリ波レーダ装置12からミリ波13が車両10の斜め前側方へ送信されると、そのミリ波13は、後基材65、加熱シート31、有色加飾層73、光輝加飾層72、前基材61及びハードコート層53を透過する。車外の物体に当たって反射されたミリ波13は、ハードコート層53、前基材61、光輝加飾層72、有色加飾層73、加熱シート31及び後基材65を透過し、ミリ波レーダ装置12によって受信される。ミリ波13は、光輝加飾層72においては、蒸着等された金属粒子間の隙間を透過する。ミリ波レーダ装置12では、送信及び受信されたミリ波13により、車両10と物体との距離や相対速度が検出される。
(4c)氷雪の融解効果について
電波透過カバー60の前面に氷雪が付着した場合には、電子制御装置によりヒータ線36に通電されて同ヒータ線36が発熱する。その熱が有色加飾層73、光輝加飾層72、前基材61及びハードコート層53を介して氷雪に伝達される。この伝達された熱により氷雪が融解され、氷雪によるミリ波13の減衰が抑制される。
ここで、第4実施形態では、基材が前基材61及び後基材65の2つの部材によって構成されていて、加熱シート31が前基材61及び後基材65間に配置されている。そのため、第1実施形態での上記(1c)と同様に、加熱シート31を、電波透過カバー60の前面に近い箇所に配置し、ヒータ線36が発した熱を氷雪に伝わりやすくし、氷雪の融解効率の向上を図ることができる。
(4d)構造の簡略化について
前基材61及び後基材65がそれぞれ単一の部材によって構成されている。このことから、図13で示される従来技術3に比べ、構成部材が少なく、電波透過カバー60の構造が簡単となる。従って、第4実施形態によっても、部品点数及び製造工数を少なくし、製造コストの低減を図ることができる。
(4e)後基材65による強度確保
AES、ABS等の樹脂材料からなる後基材65に、爪部67aを有する係止突部67を形成している。そのため、PC,PMMA等の樹脂材料からなる前基材61に係止突部67を形成する場合に比べ、同係止突部67をより高い強度で形成することができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・上記電波透過カバー20,40,50,60は、電波レーダ装置として、斜め前側方とは異なる方向へ電波を送信する電波レーダ装置が組み込まれた車両10にも適用可能である。該当する電波レーダ装置は、例えば、前方監視用、後方監視用、及び後側方監視用の電波レーダ装置である。
前方監視用の電波レーダ装置は、車両10の前部の車幅方向における中央部分であって、フロントグリル等の後方に配置され、例えば、同一車線を走行する前方車両との車間距離を検出する役割を担っている。
後方監視用の電波レーダ装置は、車両10の後部の車幅方向における中央部分であって、リヤバンパの前方等に配置され、例えば、所定速度以上での走行時に、後方から接近する車両を検知する役割を担っている。
後側方監視用の電波レーダ装置は、車両10の後部に装着されるリヤバンパの車幅方向における両側部に配置され、斜め後側方へ電波を送信することで、例えば、運転者の死角になりやすい斜め後側方の車両や、後退時に斜め後側方から接近してくる車両を検出する役割を担っている。
上記いずれのタイプの電波レーダ装置が組み込まれた車両10においても、電波透過カバーは、電波の送信方向における前方に配置される。
・加熱シート31における接合材32は、前後両面のうち、少なくとも前面が前接着面34によって構成されたものであればよい。従って、接合材32として、後面が非接着面によって構成されたものが用いられてもよい。この場合には、加熱シート31は、接合材32及びヒータ線36によって構成され、シート39は不要となる。
・第2及び第3実施形態における加飾層41が、有色加飾層に代えて、第4実施形態で説明したような光輝加飾層によって構成されてもよい。
・第4実施形態において、一般部63の後面に光輝加飾層72が形成され、凹部64の内壁面に有色加飾層73が形成されてもよい。
・第1実施形態において、基材21の前面に、第3及び第4実施形態と同様のハードコート層が形成されてもよい。
また、第2実施形態において、加飾層41の前面に、第3及び第4実施形態と同様のハードコート層が形成されてもよい。
・光輝加飾層72が、誘電体多層膜、いわゆるコールドミラー層によって構成されてもよい。誘電体多層膜は、高屈折率材料からなる誘電体薄膜と、これよりも屈折率の低い低屈折率材料からなる誘電体薄膜とを交互に積層することにより形成された膜である。
・上記電波透過カバーは、ミリ波帯と異なる帯域の電波を送信し、物体に当たって反射された電波を受信するタイプの電波レーダ装置が組み込まれた車両にも適用可能である。
10…車両、12…ミリ波レーダ装置(電波レーダ装置)、13…ミリ波(電波)、14…偏波面、20,40,50,60…電波透過カバー、21…基材、31…加熱シート、32…接合材、34…前接着面、35…後接着面、36…ヒータ線、37…直線部、38…連結部、39…シート、41…加飾層、61…前基材、62…凹凸面、65…後基材、68…凸凹面、72…光輝加飾層(加飾層の一部)、73…有色加飾層(加飾層の一部)、P1…間隔。

Claims (10)

  1. 電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、
    不透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、
    前記送信方向における前記基材の後側に配置された加熱シートと
    を備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記送信方向における前記基材の後面に貼り合わされることにより同基材に固定されている電波透過カバー。
  2. 電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、
    樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、
    前記送信方向における前記基材の前面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、
    前記送信方向における前記基材の後側に配置された加熱シートと
    を備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記送信方向における前記基材の後面に貼り合わされることにより同基材に固定されている電波透過カバー。
  3. 電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、
    透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有する単一の部材からなる基材と、
    前記送信方向における前記基材の後面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、
    前記送信方向における前記加飾層の後側に配置された加熱シートと
    を備え、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において、前記加飾層に貼り合わされることにより、同加飾層を介して前記基材に固定されている電波透過カバー。
  4. 電波を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された電波を受信する電波レーダ装置が組み込まれた車両に適用され、電波の送信方向における前記電波レーダ装置の前方に配置される電波透過カバーであって、
    透明な樹脂材料により形成され、かつ電波の透過性を有し、さらに、前記送信方向における後面が凹凸面により構成された前基材と、
    樹脂材料により形成されて、前記送信方向における前記前基材の後側に配置され、かつ電波の透過性を有し、さらに、前記送信方向における前面が、前記前基材の前記凹凸面に対応する凸凹面により構成された後基材と、
    前記前基材の前記凹凸面に形成され、かつ電波の透過性を有する加飾層と、
    前記加飾層及び前記後基材の前記凸凹面の間に配置された加熱シートと
    を備え、前記前基材及び前記後基材はそれぞれ単一の部材からなり、前記加熱シートは、前記送信方向における少なくとも前面が前接着面により構成されたシート状の接合材と、前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配線され、かつ通電により発熱するヒータ線とを備え、前記前接着面において前記加飾層に貼り合わされることにより、同加飾層を介して前記前基材に固定されている電波透過カバー。
  5. 前記加飾層の少なくとも一部は、顔料及び染料の少なくとも一方が着色剤として含有された塗膜からなる有色加飾層により構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の電波透過カバー。
  6. 前記加飾層の少なくとも一部は、金属光沢を有するとともに、可視光を反射し、かつ電波の透過性を有する光輝加飾層により構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の電波透過カバー。
  7. 前記送信方向における前記接合材の後面は後接着面により構成されており、
    前記加熱シートは、前記後接着面に対し貼り合わされたシートをさらに備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の電波透過カバー。
  8. 前記ヒータ線は、互いに平行な状態で延びる複数の直線部と、隣り合う前記直線部の端部同士を連結する連結部とを備えており、
    前記電波は、平面からなる偏波面上を振動するように送信されるものであり、
    前記直線部は、前記偏波面に対し直交した状態で前記接合材の前記前接着面上に埋め込んで配置されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の電波透過カバー。
  9. 隣り合う前記直線部の間隔が5.0mm±0.5mmに設定されている請求項8に記載の電波透過カバー。
  10. 前記電波レーダ装置は、前記車両の前部の車幅方向における側部に組み込まれて斜め前側方へ電波を送信する前側方監視用の電波レーダ装置である請求項1〜9のいずれか1項に記載の電波透過カバー。
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