JP7294125B2 - 車両用外装品及び車両用外装品の製造方法 - Google Patents
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Description
上記のように供給路及びゲートを経由して外基材形成用キャビティへ流入した樹脂材料は、ゲートを中心として同心円状に拡がるように、すなわち、径方向におけるどの方向にも略等速で流れようとする。従って、速い速度で流れる樹脂材料が、異なる方向から互いに接近し、外基材形成用キャビティのうち、厚みの小さな箇所を形成する空間で合流して、ウェルドラインが発生する現象が起りにくい。
上記車両用外装品において、前記ゲート痕は、前記外基材の外面に位置しており、前記隠蔽層は、透明な樹脂材料又は透明な塗料により、前記ゲート痕上と、前記外基材の外面のうち少なくとも前記ゲート痕の周辺部分とに形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、車両の外部から車両用外装品に可視光が照射されると、その可視光の一部は、隠蔽層では、外基材と同一の屈折率で屈折して透過する。こうした隠蔽層での可視光の透過により、ゲート痕がより目立たなくなる。そのため、車両の外部から車両用外装品を見た場合に、隠蔽層の屈折率が外基材の屈折率と大きく異なる場合に比べ、ゲート痕が見えにくくなる。
上記の構成によれば、凹凸部が凹み部によって構成され、その凹み部の内底面にゲート痕が形成されていて、ゲート痕上及びその周辺部分にのみ隠蔽層を形成する場合には、凹み部が埋まるように隠蔽層を形成する。このようにすると、ゲート痕が平らな箇所に形成されている場合に比べ、ゲート痕上及びその周辺部分に隠蔽層を容易に形成することが可能である。
外基材形成工程では、溶融状態の樹脂材料が、外基材成形金型における樹脂材料の供給路を流れた後、外基材の外面を形成する箇所、又は内面を形成する箇所に設けられたゲートから、外基材形成用キャビティ内に流入される。樹脂材料は、ゲートを中心として同心円状に拡がるように、すなわち、径方向におけるどの方向にも略等速で流れようとする。従って、速い速度で流れる樹脂材料が、外基材形成用キャビティのうち、異なる方向から互いに接近し、厚みの小さな部分を形成する空間で合流する現象が起りにくい。外基材において厚みの小さな部分の外面にウェルドラインが発生しにくい。
上記車両用外装品の製造方法において、前記ゲートを第1ゲートとした場合において、前記外基材形成工程では、前記外基材成形金型として、前記外基材の内面を形成する箇所に前記第1ゲートが設けられたものが用いられ、前記隠蔽層形成工程では、前記外基材の内面に形成された前記ゲート痕を内側から被覆する有色の隠蔽層が、前記ゲート痕に対し内側に隣接する箇所に形成され、前記隠蔽層形成工程の後には、前記外基材及び前記隠蔽層のそれぞれの内側に前記加飾層を形成する加飾層形成工程が行なわれ、前記加飾層形成工程の後には、前記加飾層の内側に前記内基材を形成する内基材形成工程が行なわれ、前記内基材形成工程では、前記外基材の内側に前記隠蔽層及び前記加飾層が形成された中間成形体がインサートとして内基材成形金型内に配置され、溶融状態の樹脂材料が、前記隠蔽層の内方となる箇所に設けられた第2ゲートを介して、前記内基材成形金型内で前記中間成形体よりも内側の内基材形成用キャビティに供給されて同中間成形体の内側に前記内基材が形成されることが好ましい。
次の加飾層形成工程では、外基材及び隠蔽層のそれぞれの内側に加飾層が形成される。
以下、車両用外装品を車両用のエンブレムに具体化した第1実施形態について、図1~図5を参照して説明する。
上記外基材15及び内基材35は、それらの周囲に設けられた図示しない連結部によって連結されている。
上記エンブレム13の後面の周縁部における複数箇所には、図示しない取付部が形成されている。取付部は、クリップ、ビス、係合爪等によって構成されている。そして、エンブレム13は、起立させられた状態で窓部内に配置され、取付部においてフロントグリルに取り付けられている。
エンブレム13の製造工程は、外基材形成工程、隠蔽層形成工程、加飾層形成工程、内基材形成工程及びハードコート層形成工程を備えている。
図3(a)に示すように、外基材形成工程では、成形型52,61を備える外基材成形金型51が用いられる。成形型61としては、凹み部21を成形するための突起部62と、溶融状態の樹脂材料A1の供給路63とを有するものが用いられる。樹脂材料A1の流れ方向における供給路63の下流端は、第1ゲート64として突起部62の先端面において開口している。
図3(c)に示すように、隠蔽層形成工程では、上記切断により外基材15に形成された第1ゲート痕G1を隠す隠蔽層30が、同第1ゲート痕G1に対し後側に隣接する箇所に形成される。例えば、ミリ波の透過性を有する有色の樹脂材が用いられて、射出成形が行なわれることで、又はミリ波の透過性を有する有色の塗料が塗布されることで、凹み部21を充填してなる主隠蔽部31と、外基材15の後面19であって、凹み部21の開口よりも大きな略円板状の補助隠蔽部32とが形成される(図1参照)。
図3(d)に示すように、加飾層形成工程では、外基材15及び隠蔽層30のそれぞれの後側に加飾層41が形成される。隠蔽層30を含む一般部17の後面に対し、スクリーン印刷等の印刷、ホットスタンプ等が行なわれることにより、有色加飾層が形成される。また、外基材15の凹部18の壁面と有色加飾層の後面全体とに対し、インジウム(In)等の金属材料がスパッタリング又は蒸着されることにより、島構造をなす光輝加飾層が形成される。このようにして、外基材15の後面19及び隠蔽層30の後面に、加飾層41が形成されてなる中間成形体68が得られる。
図4(a),(b)に示すように、内基材形成工程では、成形型71,72を備える内基材成形金型70が用いられる。成形型72としては、溶融状態の樹脂材料A2の供給路73を有するものが用いられる。樹脂材料A2の流れ方向における供給路73の下流端は、第2ゲート74として、成形型72において、内基材35の後面38を形成する箇所であって、上記隠蔽層30の後方となる箇所において開口している。
ハードコート層形成工程では、図5において二点鎖線で示すように、外基材15の前面16に対し表面処理剤が塗布される。この塗布により、外基材15の前面16に、透明でミリ波透過性を有するハードコート層14が形成されると、図2(a)に示す、目的とするエンブレム13が得られる。
ところで、図2(a)に示すように、エンブレム13が取付けられた車両10の走行中等に、ミリ波レーダ装置11からミリ波12が送信されると、そのミリ波12は、エンブレム13における内基材35、加飾層41、外基材15及びハードコート層14を順に透過する。透過したミリ波12は、先行車両、歩行者等を含む車両前方の物体に当たって反射された後、ハードコート層14、外基材15、加飾層41及び内基材35を順に透過する。上記ミリ波12は、ミリ波レーダ装置11によって受信される。加飾層41における光輝加飾層は、島構造を採っていて不連続であることから、電気抵抗が高く、ミリ波透過性を有する。ミリ波レーダ装置11では、送信及び受信されたミリ波12に基づき、上記物体の認識が行なわれる。また、ミリ波レーダ装置11では、車両10と上記物体との距離、相対速度等が検出される。
第1実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
次に、車両用外装品を車両用のエンブレムに具体化した第2実施形態について、図6~図8を参照して説明する。
次に、上記のように構成された第2実施形態の作用について、エンブレム13を製造する方法とともに説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
<外基材形成工程>
外基材形成工程では、図7(a)に示すように、成形型52,61を備える外基材成形金型51が用いられる。成形型52としては、上記突起部22を成形するための凹み部53と、溶融状態の樹脂材料A1の供給路54とを有するものが用いられる。樹脂材料A1の流れ方向における供給路54の下流端は、第1ゲート55として、凹み部53の内底面において開口している。
隠蔽層形成工程では、図8(a)に示すように、上記第1ゲート痕G1を隠す隠蔽層33が、第1ゲート痕G1に対し前側に隣接する箇所に形成される。外基材15と同一の屈折率を有する透明な樹脂材料が用いられて、射出成形が行なわれることで、又は外基材15と同一の屈折率を有する透明な塗料が塗布されることで、第1ゲート痕G1上及び突起部22を含め、外基材15の前面16の全面を被覆する隠蔽層33が形成される。
加飾層形成工程では、同図8(a)に示すように、第1実施形態と同様に、有色加飾層及び光輝加飾層の組合せからなる加飾層41が外基材15の後面19に形成されることにより、中間成形体59が得られる。
図8(b)に示すように、内基材形成工程では、上記中間成形体59がインサートとして、成形型71に配置される。内基材成形金型70が型締めされることで、内基材成形金型70内の中間成形体59の後側に内基材形成用キャビティC2が形成される。
図6に示すように、ハードコート層形成工程では、第1実施形態と同様にして、外基材15の前面16に対し表面処理剤が塗布されてハードコート層14が形成される。
特に、第2実施形態では、隠蔽層33が外基材15と同一の屈折率を有する。可視光は、隠蔽層33及び外基材15(第1ゲート痕G1を含む)を、同一の屈折率で屈折して透過し、第1ゲート痕G1を一層目立たなくする。車両10の前方からエンブレム13を見た場合に、隠蔽層33の屈折率が外基材15の屈折率と大きく異なる場合に比べ、第1ゲート痕G1が見えにくくなる。そのため、この点においても、エンブレム13の外観がより一層向上する。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態のように、第1ゲート痕G1が外基材15の後面19に形成される場合には、隠蔽層30が透明な樹脂材料又は透明な塗料によって、第1ゲート痕G1上と、外基材15の後面19のうち少なくとも第1ゲート痕G1の周辺部分とに形成されてもよい。
隠蔽層30は透明な材料が用いられて形成されてもよいし、有色の材料が用いられて形成されてもよい。この場合の材料は、樹脂材料又は塗料である。いずれの場合にも、隠蔽層30によって第1ゲート痕G1を隠し、同第1ゲート痕G1が見えることによる外観の低下を抑制することができる。
・図11に示すように、外基材15の前面16に、凹凸部として、上記突起部22に代えて、前面16において開口する凹み部25が形成されてもよい。第1ゲート痕G1は、この凹み部25の内底面に形成される。この場合、第1ゲート痕G1に対し前側に隣接する箇所には、同第1ゲート痕G1を隠す隠蔽層33が形成される。透明な樹脂材料又は透明な塗料によって形成される隠蔽層33は、外基材15と同一の屈折率を有することが望ましい。図11では、第1ゲート痕G1及び凹み部25を含め、外基材15の前面16の全面に隠蔽層33が形成されている。
・図12に示すように、外基材15の前面16に凹所26が形成され、この凹所26の内底部に、前方へ突出する突起部27が、上記凹凸部として形成されてもよい。この場合、凹所26の内底部からの突起部27の突出長さは、凹所26から飛び出さない高さとする。凹所26には、隠蔽層33が充填された状態で形成される。そして、隠蔽層33の前面と、外基材15の前面16であって凹所26の周辺部分とが同一面上に位置するように同隠蔽層33が形成されることで、隠蔽層33と外基材15における隠蔽層33の周辺部分とが滑らかに繋げられてもよい。
なお、隠蔽層33及び外基材15のそれぞれの前側に、ハードコート層14とは異なる、別の透明な層を追加しようとした場合、上記と同様の理由により、その追加の層を形成しやすい。
・第1ゲート痕G1は、外基材15の外周面とは異なる箇所、表現を変えると、エンブレム13を車両10の外方(前方)から見た場合に視線上となる箇所であること、すなわち、前面16又は後面19であることを条件に、各実施形態とは異なる箇所に形成されてもよい。
・エンブレム13におけるハードコート層14は適宜省略可能である。
<適用箇所について>
・上記エンブレムは、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信する車載センサが搭載された車両において、電磁波の送信方向における上記車載センサの前方に配置される車載センサカバーとして機能するものであれば、車載センサの種類に拘わらず適用可能である。例えば、車載センサは、電磁波として赤外線を送信及び受信する赤外線センサであってもよい。
・上記車両用外装品は、車載センサカバーとしての機能を有さず、車両を装飾するガーニッシュとしての機能を有するエンブレムにも適用可能である。
13…エンブレム(車両用外装品)
15…外基材
16…前面(外基材の外面)
19…後面(外基材の内面)
21,25…凹み部(凹凸部)
22,23,27…突起部(凹凸部)
24,26…凹所
30,33…隠蔽層
35…内基材
38…後面(内基材の内面)
41…加飾層
51…外基材成形金型
54,63,73…供給路
55,64…第1ゲート(ゲート)
56,65,75…ゲート硬化部
57,66,76…硬化体
58,59,67,68,77…中間成形体
70…内基材成形金型
74…第2ゲート
A1,A2…樹脂材料
C1…外基材形成用キャビティ
C2…内基材形成用キャビティ
G1…第1ゲート痕(ゲート痕)
G2…第2ゲート痕
Claims (10)
- 透明な樹脂材料により形成された外基材と、樹脂材料により前記外基材の車内側に形成された内基材と、前記外基材及び前記内基材の間に形成され、かつ車両の内外方向に凹凸状をなす加飾層とを備える車両用外装品であり、
前記外基材の車外側の面である外面又は車内側の面である内面には、同外基材の樹脂成形に際し形成されたゲート痕が位置しており、
さらに、前記ゲート痕に対し前記内外方向に隣接する箇所には、同ゲート痕を隠す隠蔽層が形成されている車両用外装品。 - 前記ゲート痕は、前記外基材の前記外面に位置しており、
前記隠蔽層は、透明な樹脂材料又は透明な塗料により、前記ゲート痕上と、前記外基材の前記外面のうち少なくとも前記ゲート痕の周辺部分とに形成されている請求項1に記載の車両用外装品。 - 前記ゲート痕は、前記外基材の前記内面に位置しており、
前記隠蔽層は、透明な樹脂材料又は透明な塗料により、前記ゲート痕上と、前記外基材の前記内面のうち少なくとも前記ゲート痕の周辺部分とに形成されている請求項1に記載の車両用外装品。 - 前記隠蔽層は、前記外基材と同一の屈折率を有している請求項2又は3に記載の車両用外装品。
- 前記ゲート痕は、前記外基材の前記内面に位置しており、
前記隠蔽層は、有色の樹脂材料又は有色の塗料により、前記ゲート痕上と、前記外基材の前記内面のうち少なくとも前記ゲート痕の周辺部分とに形成されている請求項1に記載の車両用外装品。 - 前記ゲート痕を第1ゲート痕とした場合において、
前記内基材の前記内面であって、前記隠蔽層の内方となる箇所には、同内基材の樹脂成形に際し形成された第2ゲート痕が位置している請求項5に記載の車両用外装品。 - 前記ゲート痕は、前記外基材の前記外面又は前記内面に設けられた凹凸部に形成されている請求項1~6のいずれか1項に記載の車両用外装品。
- 前記凹凸部は、前記外基材の前記外面又は前記内面に設けられた凹所内に形成され、
前記隠蔽層は前記凹所に充填された状態で形成されており、
前記隠蔽層と、前記外基材における前記隠蔽層の周辺部分とは滑らかに繋がっている請求項7に記載の車両用外装品。 - 透明な樹脂材料により形成された外基材と、樹脂材料により前記外基材の車内側に形成された内基材と、前記外基材及び前記内基材の間に形成され、かつ車両の内外方向に凹凸状をなす加飾層とを備える車両用外装品を製造する方法であり、
外基材成形金型を用い、溶融状態の樹脂材料を、同樹脂材料の供給路と、前記外基材の車外側の面である外面又は車内側の面である内面を形成する箇所に設けたゲートとを経由して、外基材形成用キャビティに供給して中間成形体を成形し、前記ゲートで硬化したゲート硬化部を切断して、前記供給路で硬化した硬化体を前記中間成形体から分離することで前記外基材を形成する外基材形成工程と、
前記切断により前記外基材に形成されたゲート痕を隠す隠蔽層を、前記ゲート痕に対し前記内外方向に隣接する箇所に形成する隠蔽層形成工程とを備える車両用外装品の製造方法。 - 前記ゲートを第1ゲートとした場合において、
前記外基材形成工程では、前記外基材成形金型として、前記外基材の前記内面を形成する箇所に前記第1ゲートが設けられたものが用いられ、
前記隠蔽層形成工程では、前記外基材の前記内面に形成された前記ゲート痕を内側から被覆する有色の隠蔽層が、前記ゲート痕に対し内側に隣接する箇所に形成され、
前記隠蔽層形成工程の後には、前記外基材及び前記隠蔽層のそれぞれの内側に前記加飾層を形成する加飾層形成工程が行なわれ、
前記加飾層形成工程の後には、前記加飾層の内側に前記内基材を形成する内基材形成工程が行なわれ、
前記内基材形成工程では、前記外基材の内側に前記隠蔽層及び前記加飾層が形成された中間成形体がインサートとして内基材成形金型内に配置され、溶融状態の樹脂材料が、前記隠蔽層の内方となる箇所に設けられた第2ゲートを介して、前記内基材成形金型内で前記中間成形体よりも内側の内基材形成用キャビティに供給されて、同中間成形体の内側に前記内基材が形成される請求項9に記載の車両用外装品の製造方法。
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