JP2023057485A - 加飾フィルム、加飾部材、移動体および加飾部材の製造方法 - Google Patents

加飾フィルム、加飾部材、移動体および加飾部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波に対する透過性を高めることが可能な、加飾フィルム、加飾部材、移動体および加飾部材の製造方法を提供する。【解決手段】加飾フィルムは、基材層と、基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、第1加飾層の一方の側に位置するヒートシール層とを備えている。【選択図】図3

Description

本開示は、加飾フィルム、加飾部材、移動体および加飾部材の製造方法に関する。
加飾部材には意匠性が要望される(特許文献1)。金属調かつ光沢を有する意匠を伴う加飾部材は、高級感をともなった豊かな意匠表現が可能となる。このため、このような加飾部材は、種々の用途、例えば自動車のフロントグリルやエンブレムといった用途で広く使用されている。
金属調かつ光沢を有する意匠を表現する手法の一例としては、透明樹脂からなる表面部材と背面部材とを含む加飾部材の表面部材の背面に対して、蒸着等によって金属膜を設ける方法が考えられる。また、当該加飾部材の表面部材の背面に対して、塗装によって加飾層を設ける方法も考えられる。しかしながら、このような方法においては、蒸着や塗装による加飾を施す場合に、意匠表現が不要な部分をマスキングする場合があり、製造工程が複雑化する可能性がある。
一方、このような製造工程を簡略化するための方法が知られている(特許文献2)。特許文献2には、所定の意匠を持つフィルムを形成するフィルム形成工程と、該フィルムを成形型内に配置して透明樹脂層と基材層との一方を成形して第1成形体を形成する第1の成形工程と、該第1成形体のフィルム存在面に該透明樹脂層と基材層との他方を成形する第2の成形工程と、を有することを特徴とする電波透過カバーの製造方法が開示されている。
また、製造構成を更に簡略化するための方法も知られている(特許文献3)。特許文献3には、中間媒体上に、光沢層を形成する工程と、前記光沢層上に、隠蔽層を部分的に形成する工程と、を含み、前記光沢層、及び前記隠蔽層の形成を溶融型熱転写方式により行う、加飾シートの製造方法が開示されている。
特開2020-44869号公報 特開2008-273216号公報 特開2020-37195号公報
しかしながら、加飾部材は、用途等に依存して、様々な制約を受けることが一般的である。例えば、加飾部材には、電磁波に対する透過性を高めることが求められる場合がある。すなわち、加飾部材を車両のフロントグリルに使用する場合、車両のフロントグリルの後方には、ミリ波レーダ装置等のセンサが配置される場合がある。この場合、フロントグリルに使用される加飾部材には、電磁波透過性が要望されることがある。
このように、加飾部材に電磁波透過性が求められる場合、一般的に、加飾部材に、スズやインジウム等の電磁波透過性が比較的高い材料により構成される金属層が設けられ得る。一方、このような金属層が加飾部材に設けられた場合であっても、加飾部材において所望の電磁波透過性が得られるとは限らない。このため、加飾部材の電磁波透過性をできるだけ向上させるためには、金属層は最低限必要な範囲にのみ部分的に存在していることが望ましい。
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであって、電磁波に対する透過性を高めることが可能な、加飾フィルム、加飾部材、移動体および加飾部材の製造方法を提供することを目的とする。
一実施の形態による加飾フィルムは、射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、基材層と、前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層とを備え、前記第1加飾層は、金属を含み、前記ヒートシール層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルムである。
一実施の形態による加飾フィルムは、射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、基材層と、前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層と、前記第1加飾層と前記ヒートシール層との間に位置する第1離型層とを備え、前記第1加飾層は、金属を含み、前記第1離型層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルムである。
一実施の形態による加飾フィルムは、射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、基材層と、前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層と、前記ヒートシール層の前記一方の側に位置する第1離型層とを備え、前記第1加飾層は、金属を含み、前記第1離型層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルムである。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記基材層と前記第1加飾層との間に位置する第2離型層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記基材層と前記第1加飾層との間に位置するプライマー層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記基材層と前記プライマー層との間に位置する第3離型層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記基材層と前記ヒートシール層との間に位置する第2加飾層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記第2加飾層は、所定のパターンにパターニングされてもよい。
一実施の形態による加飾フィルムにおいて、前記第2加飾層は、ヒートシール性を有してもよい。
一実施の形態による加飾部材は、第1加飾層と、前記第1加飾層の一方の側に位置するヒートシール層と、前記ヒートシール層の前記一方の側に位置する第1射出樹脂層とを備え、前記第1加飾層は、金属を含むとともに、所定のパターンにパターニングされている、加飾部材である。
一実施の形態による加飾部材において、前記ヒートシール層は、前記所定のパターンにパターニングされてもよい。
一実施の形態による加飾部材において、前記第1加飾層の他方の側に位置するプライマー層を更に備え、前記プライマー層は、前記所定のパターンにパターニングされてもよい。
一実施の形態による加飾部材において、前記第1加飾層の他方の側に位置する第2射出樹脂層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾部材において、前記第1射出樹脂層および前記第2射出樹脂層のうちの少なくとも一方は、透明であってもよい。
一実施の形態による加飾部材において、前記第1射出樹脂層と前記第2射出樹脂層との間に位置する第2加飾層を更に備えてもよい。
一実施の形態による加飾部材において、前記第2加飾層は、所定のパターンにパターニングされてもよい。
一実施の形態による移動体は、一実施の形態による加飾部材を備える、移動体である。
一実施の形態による加飾部材の製造方法は、第1キャビティが形成された第1型と、前記第1型に対向して配置される第2型とを準備する工程と、前記第2型に、一実施の形態による加飾フィルムを装着する工程と、前記第1型に、前記加飾フィルムが装着された前記第2型を装着する工程と、前記第1キャビティに第1射出樹脂を射出することにより、第1加飾部材中間体を作製する工程と、前記第1加飾部材中間体から前記第2型を取り外す工程と、前記第1加飾部材中間体から前記基材層を剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層を含む第2加飾部材中間体を作製する工程と、第2キャビティが形成された第3型を準備する工程と、前記第2加飾部材中間体が装着された前記第1型に、前記第3型を装着する工程と、前記第2キャビティに第2射出樹脂を射出する工程とを備える、加飾部材の製造方法である。
本開示の実施の形態によれば、加飾部材において、電磁波に対する透過性を高めることができる。
図1は、第1の実施の形態による加飾部材の一適用例を示す斜視図である。 図2は、第1の実施の形態による加飾部材の一適用例を示す断面図(図1のII-II線断面図)であって、加飾部材をセンサとともに示す断面図である。 図3は、第1の実施の形態による加飾フィルムを示す断面図である。 図4は、第1の実施の形態による加飾フィルムの加飾層を拡大して示す平面図である。 図5は、第1の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図6は、第1の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図7は、第1の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図8は、第1の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図9は、第1の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図10は、第1の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図11は、第1の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図12は、第1の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図13は、第1の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図14は、第1の実施の形態による加飾部材の一変形例を示す断面図である。 図15は、第1の実施の形態による加飾部材の他の変形例を示す断面図である。 図16は、第1の実施の形態による加飾フィルムの一変形例を示す断面図である。 図17は、第1の実施の形態による加飾フィルムの他の変形例を示す断面図である。 図18は、第2の実施の形態による加飾部材を示す断面図である。 図19は、第2の実施の形態による加飾フィルムを示す断面図である。 図20は、第2の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図21は、第2の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図22は、第2の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図23は、第2の実施の形態による加飾部材の一変形例を示す断面図である。 図24は、第2の実施の形態による加飾フィルムの一変形例を示す断面図である。 図25は、第2の実施の形態による加飾フィルムの他の変形例を示す断面図である。 図26は、第2の実施の形態による加飾部材の他の変形例を示す断面図である。 図27は、第2の実施の形態による加飾部材の他の変形例を示す背面図である。 図28は、第2の実施の形態による加飾フィルムの他の変形例を示す断面図である。 図29は、第3の実施の形態による加飾部材を示す断面図である。 図30は、第3の実施の形態による加飾フィルムを示す断面図である。 図31は、第3の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図32は、第3の実施の形態による加飾フィルムの製造方法の一例を説明する図である。 図33は、第3の実施の形態による加飾部材の製造方法の一例を説明する図である。 図34は、第3の実施の形態による加飾部材の一変形例を示す断面図である。 図35は、第3の実施の形態による加飾フィルムの一変形例を示す断面図である。 図36は、第3の実施の形態による加飾フィルムの他の変形例を示す断面図である。 図37は、第3の実施の形態による加飾部材の他の変形例を示す断面図である。 図38は、第3の実施の形態による加飾部材の他の変形例を示す背面図である。 図39は、第3の実施の形態による加飾フィルムの他の変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する用語等、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書において、「フィルム」、「シート」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「加飾フィルム」は、加飾シートまたは加飾板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する方向が、共通する符号を付した矢印により示されている。矢印の先端側が、各方向の一側である。また、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印は、例えば図2に示すように、円の中に×を設けた記号により示されている。さらに、図面の紙面に垂直な方向に沿って手前に向かう矢印は、例えば図4に示すように、円の中に点を設けた記号により示されている。
<第1の実施形態>
図1乃至図13は一実施の形態を説明する図である。このうち図1および図2は、加飾部材10の適用例を示す図である。加飾部材10は、意匠を表示し、加飾部材10が適用された物品等に意匠性を付与する。
なお、図1および図2に示された例において、加飾部材10は、エンブレム3として、移動体1に適用されている。図示された例において、エンブレム3は、移動体1のフロントパネル2に設置されている。フロントパネル2は、エンジン車においてフロントグリルとして形成されている。一方、電気自動車においては、ラジエータ等の空冷されるべき熱交換器が設置されないこともある。したがって、フロントパネル2は、多数の孔が形成されたグリルとして、形成されなくてもよい。
以下、図面に示された具体的な適用例を参照しながら、一実施の形態を説明していく。図1に示された移動体1は自動車である。ただし、エンブレム3が適用される移動体1は自動車に限られない。エンブレム3(加飾部材10)は、移動可能な装置としてのその他の移動体1にも適用可能である。自動車以外の移動体1として、鉄道車両、台車、船、飛行機、ヘリコプター、ドローン、ロボットが例示される。また、加飾部材10は、移動体の内装体に用いられてもよい。また、加飾部材10は、例えば、内装材、外装材、天井材、床材等の建材や、家電等のケースにも適用可能である。
加飾部材
図2に示すように、加飾部材10は、加飾層(第1加飾層)30と、加飾層30の一方の側(加飾部材10の表面11側)に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備えている。また、加飾部材10は、加飾層30の他方の側(加飾部材10の裏面12側)に位置するプライマー層60を更に備えている。さらに、加飾部材10は、加飾層30の他方の側に位置する第2射出樹脂層80を更に備えている。このうち加飾層30は、金属を含むとともに、所定のパターンにパターニングされている。また、ヒートシール層40およびプライマー層60は、それぞれ加飾層30と同一のパターン(所定のパターン)にパターニングされている。
図示された例においては、加飾部材10の表面11側から、第1射出樹脂層70と、ヒートシール層40と、加飾層30と、プライマー層60と、第2射出樹脂層80とがこの順番で積層配置されている。また、第1射出樹脂層70は、パターニングされたヒートシール層40間に入り込んでいる。また、第2射出樹脂層80は、パターニングされた加飾層30間およびパターニングされたプライマー層60間に入り込んでいる。なお、加飾部材10の表面11および裏面12は、それぞれ、第1方向D1および第1方向D1に直交する第2方向D2に平面状に広がっている。そして、表面11および裏面12は、第1方向D1および第2方向D2の両方向に直交する第3方向D3において対向している。ただし、この例に限られず、表面11および裏面12が、曲面状でもよい。
次に、加飾部材10の各層について説明する。ここで、加飾部材10の加飾層30、ヒートシール層40およびプライマー層60は、それぞれ後述する加飾フィルム10aの加飾層30a、ヒートシール層40aおよびプライマー層60aに対応するものである。このため、加飾層30、ヒートシール層40およびプライマー層60の説明は省略する。
(第1射出樹脂層)
第1射出樹脂層70は、後述する加飾フィルム10aのヒートシール層40a上および加飾層30a上に射出樹脂(後述する第1射出樹脂)を射出することにより形成された層である。この第1射出樹脂層70は、加飾層30を保護する役割を果たす。また、図示された例において、第1射出樹脂層70は、表面11を形成している。このため、第1射出樹脂層70は、種々の機能を有していてもよい。種々の機能としては、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等が例示される。第1射出樹脂層70を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン共重合樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合樹脂(ASA樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂を用いることができる。
このような第1射出樹脂層70は、透明であることが好ましい。これにより、第1射出樹脂層70を透過して、加飾層30を観察できるようになっている。なお、本明細書で用いる「透明」とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上であることを意味する。第1射出樹脂層70が透明である場合、上述した可視光透過率は、80%以上であることが好ましい。
第1射出樹脂層70の厚みは、例えば、1mm以上10mm以下であってもよい。
(第2射出樹脂層)
第2射出樹脂層80は、プライマー層60上および第1射出樹脂層70上に射出樹脂(後述する第2射出樹脂)を射出することにより形成された層である。本実施の形態では、第2射出樹脂層80は、パターニングされた加飾層30およびプライマー層60の凹凸を埋めるように形成されている。第2射出樹脂層80を構成する材料としては、第1射出樹脂層70を構成する材料と同様の材料を用いることができる。第2射出樹脂層80を構成する材料としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン共重合樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合樹脂(ASA樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂を用いることができる。
第2射出樹脂層80は、任意の色に着色されていてもよい。第2射出樹脂層80が着色されていることにより、加飾層30を第1射出樹脂層70側から視認した際に、第2射出樹脂層80と、パターニングされた加飾層30との組み合わせによって、豊かな意匠表現ができる。また、第2射出樹脂層80が着色されていることにより、第1射出樹脂層70よりも裏面12側の構造を隠蔽できる。
第2射出樹脂層80の厚みは、例えば、1mm以上10mm以下であってもよい。
ところで、図2に示すように、加飾部材10は、可視光よりも長波長の電磁波を用いたセンサ5に対面して配置され得る。センサ5は、一例として、移動体1の周囲の状況を監視してもよい。センサ5の検出結果は、移動体1の制御装置4に送信され得る。制御装置4は、センサ5の検出結果に基づき、警報を発してもよく、または移動体1の移動を制御してもよい。例えば、センサ5は、移動体1の前方の障害物等を検出してもよい。このセンサ5は、電磁波を発信可能かつ電磁波を受信可能であってもよい。センサ5が、障害物等で反射した反射波を受信することによって、障害物の有無や障害物までの距離を検出できる。センサ5は、ミリ波レーダ装置としてもよい。ミリ波レーダ装置は、波長が1mm以上10mm以下のミリ波を電磁波として用いてもよい。
センサ5は、加飾部材10の裏面12に対面している。センサ5で用いられる電磁波は、第3方向D3に沿って、加飾部材10を透過する。表面11および裏面12は、電磁波の出射面および入射面となる。表面11および裏面12は、少なくとも第3方向D3にセンサ5と対面する領域において、平坦面となっている。表面11および裏面12を平坦面とすることによって、電磁波の拡散によるセンサ5の感度低下を抑制している。
このような加飾部材10には、図形、デザイン、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄が、意匠として形成されていてもよい。加飾部材10に、背景を表示する意匠表現を行うこともできる。例えば、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様が設けられていてもよい。
以上の構成を有する加飾部材10の厚みは、2mm以上20mm以下としてもよい。
加飾フィルム
次に、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aについて説明する。この加飾フィルム10aは、射出成形に用いられる転写用のフィルムである。図3に示すように、加飾フィルム10aは、第1面11aと、第1面11aに対向する第2面12aとを有している。第1面11aは、加飾部材10の表面11側の面となり、第2面12aは、加飾部材10の裏面12側の面となる。第1面11aおよび第2面12aは、それぞれ、第1方向D1および第1方向D1に直交する第2方向D2に平面状に広がっている。そして、第1面11aおよび第2面12aは、第1方向D1および第2方向D2の両方向に直交する第3方向D3において対向している。ただし、この例に限られず、第1面11aおよび第2面12aは、曲面状でもよい。
加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側(加飾フィルム10aの第1面11a側)に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aとを備えている。また、加飾フィルム10aは、基材層20aと加飾層30aとの間に位置するプライマー層60aを更に備えていてもよい。さらに、加飾フィルム10aは、基材層20aとプライマー層60aとの間に位置する離型層(第3離型層)50aを更に備えていてもよい。このうちヒートシール層40aは、所定のパターン(上述した加飾部材10の加飾層30と同一のパターン)にパターニングされている。
図示された例においては、第1面11a側から、ヒートシール層40aと、加飾層30aと、プライマー層60aと、離型層50aと、基材層20aとがこの順番で積層配置されている。
次に、加飾部材10の各層について説明する。
(基材層)
基材層20aは、例えば、加飾層30a等を支持するとともに加飾フィルム10a全体の強度を高めるための層である。基材層20aを構成する材料としては、加飾層30a等を支持できる材料であればよい。基材層20aを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート(PC)とポリエチレンテレフタレート(PET)とのアロイ材、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂を用いることができる。
基材層20aの厚みは、20μm以上250μm以下であることが好ましい。基材層20aの厚みが20μm以上であることにより、加飾層30a等を容易に支持できるとともに、加飾フィルム10a全体の強度を効果的に高めることができる。また、基材層20aの厚みが250μm以下であることにより、加飾フィルム10aの製造コストを低減できる。
(加飾層)
加飾層30aは、後述するように、所定のパターンにパターニングされることにより、加飾部材10に対して所定のパターン(模様)を付与する役割を果たす。この加飾層30aは、金属を含んでいる。
上述したように、センサ5で用いられる電磁波が、加飾部材10を透過する。そこで、図4に示すように、加飾層30aは、複数の金属粒部31を含んでもよい。すなわち、加飾層30aの金属粒部31は、いわゆる海島構造の島を形成していてもよい。島状の金属粒部31が、互いに離間しており、複数の金属粒部31の間には、海島構造の海を形成するすき間が設けられている。センサ5で用いられる電磁波、例えばミリ波は、このすき間を通過することによって、加飾層30aを透過する。このような加飾層30aは、例えばインジウム(In)、スズ(Sn)、クローム(Cr)等を用いたスパッタリングや真空蒸着等の蒸着により形成され得る。
加飾層30aの厚みは、例えば、10nm以上300nm以下であってもよい。
(ヒートシール層)
ヒートシール層40aは、第1射出樹脂層70と加飾フィルム10aとを熱溶着させる役割を果たす。このヒートシール層40aは、所定のパターンにパターニングされている。このため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、ヒートシール層40aは、加飾層30aを所定のパターンにパターニングする役割を果たす。具体的には、ヒートシール層40aが設けられた領域においては、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離する際に、後述するように、離型層50aと共に、基材層20aが、プライマー層60aから剥離する。一方、ヒートシール層40aが設けられていない領域においては、後述するように、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離する際に、離型層50aがプライマー層60aから剥離することなく、基材層20a、離型層50a、プライマー層60aおよび加飾層30aが、第1射出樹脂層70から剥離する。これにより、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aが所定のパターンにパターニングされる。ヒートシール層40aを構成する材料としては、第1射出樹脂層70と熱溶着できる材料であればよい。ヒートシール層40aを構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の樹脂を用いることができる。
ヒートシール層40aの厚みは、0.1μm以上20μm以下であってもよい。
(離型層)
離型層50aは、プライマー層60aから基材層20aを剥離させるためのものである。離型層50aを構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル-メラミン系樹脂等のメラミン樹脂等を用いることができる。
離型層50aの厚みは、0.01μm以上5μm以下であってもよい。
(プライマー層)
プライマー層60aは、後述するように、上述した加飾部材10の第2射出樹脂層80と、加飾層30との密着性を向上させる役割を果たす。このプライマー層60aを構成する材料としては、例えば、アクリル系、アクリルウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルウレタン系、ウレタン系、酢酸ビニル系等の樹脂を用いることができる。
プライマー層60aの厚みは、1μm以上10μm以下であってもよい。
加飾部材の製造方法
次に、本実施の形態による加飾部材10の製造方法について、図5乃至図13を用いて説明する。図5乃至図13は、加飾部材10の製造方法を示す断面図である。
まず、加飾フィルム10aを作製する。この際、まず、図5に示すように、基材層20a上に、離型層50aを形成する。離型層50aは、グラビアコート、ロールコート、スリットコート、スクリーン印刷等の既知の方法により、形成され得る。
次に、図6に示すように、離型層50a上に、プライマー層60aを形成する。プライマー層60aは、グラビアコート、ロールコート、スリットコート、スクリーン印刷等の既知の方法により、形成され得る。
次いで、図7に示すように、プライマー層60a上に、加飾層30aを形成する。加飾層30aは、スパッタリングや真空蒸着等の蒸着により、形成され得る。この場合、加飾層30aは、いわゆるロール・トゥ・ロール方式によって、プライマー層60a上に、連続的に蒸着されてもよい。
その後、図8に示すように、加飾層30a上に、所定のパターンにパターニングされたヒートシール層40aを形成する。ヒートシール層40aは、グラビアコート、スクリーンコート、昇華転写方式、インクジェット印刷等の既知の方法により、形成され得る。
このようにして、加飾フィルム10aが得られる。
次に、インモールド成形により加飾部材10を製造する。
まず、第1キャビティ91aが形成された第1型91と、第1型91に対向して配置される第2型92とを準備する(図9参照)。
次に、第2型92に、加飾フィルム10aを装着する。この際、加飾フィルム10aは、第1型91および第2型92が型締めされた際に、ヒートシール層40aが第1キャビティ91a側を向くように、第2型92に装着される。なお、加飾フィルム10aは、例えば真空吸引により第2型92に固定されてもよい。
次いで、図9に示すように、第1型91に、加飾フィルム10aが装着された第2型92を装着し、第1型91および第2型92を型締めする。
次に、図10に示すように、第1キャビティ91aに射出樹脂(第1射出樹脂)を射出することにより、第1加飾部材中間体10Aを作製する。この際、図示しないゲートを通じて、第1型91の第1キャビティ91a内(ヒートシール層40a上および加飾層30a上)に射出樹脂を射出する。これにより、第1型91および第2型92の内部で、樹脂が固化して第1射出樹脂層70が形成される。第1射出樹脂層70は、固化する際に加飾フィルム10aのヒートシール層40aと接合して一体化する。
このようにして、加飾フィルム10aと、加飾フィルム10a上に設けられた第1射出樹脂層70とを備える第1加飾部材中間体10Aが得られる。
次に、第1加飾部材中間体10Aから第2型92を取り外す(図11参照)。
次いで、図11に示すように、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層30を含む第2加飾部材中間体10Bを作製する。
ここで、加飾フィルム10aのヒートシール層40aは、所定のパターンにパターニングされている。そして、ヒートシール層40aが設けられた領域においては、第1射出樹脂層70と加飾フィルム10aとがしっかりと熱溶着する。これにより、第1射出樹脂層70と加飾フィルム10aとの間の接合強度が大きくなる。このため、ヒートシール層40aが設けられた領域においては、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、加飾フィルム10aの全体が第1射出樹脂層70から剥離することはない。ここで、本実施の形態では、加飾フィルム10aが、基材層20aとプライマー層60aとの間に位置する離型層50aを備えている。これにより、離型層50aとプライマー層60aとの間の剥離強度は、比較的小さくなっている。このため、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、離型層50aがプライマー層60aから剥離する。この結果、離型層50aと共に、基材層20aが、プライマー層60aから剥離する。
一方、ヒートシール層40aが設けられていない領域(一例として、図11の二点鎖線で示す領域)においては、第1射出樹脂層70と加飾フィルム10aとの間の接合強度は、それほど大きくならない。このため、ヒートシール層40aが設けられていない領域においては、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、加飾フィルム10aの全体が第1射出樹脂層70から剥離する。すなわち、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、基材層20aと共に、離型層50a、プライマー層60aおよび加飾層30aが、第1射出樹脂層70から剥離する。これにより、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aおよびプライマー層60aが所定のパターンにパターニングされ、上述した加飾部材10(図2参照)の加飾層30およびプライマー層60が形成される。
次に、第2キャビティ93aが形成された第3型93を準備する(図12参照)。
次いで、図12に示すように、第2加飾部材中間体10Bが装着された第1型91に、第3型93を装着し、第1型91および第3型93を型締めする。
その後、図13に示すように、第2キャビティ93aに射出樹脂(第2射出樹脂)を射出することにより、加飾部材10を作製する。この際、図示しないゲートを通じて第3型93の第2キャビティ93a内(プライマー層60上および第1射出樹脂層70上)に射出樹脂を射出する。これにより、第1型91および第3型93の内部で、樹脂が固化して第2射出樹脂層80が形成される。第2射出樹脂層80は、固化する際に、プライマー層60、加飾層30および第1射出樹脂層70と接合して一体化する。
このようにして、加飾部材10が得られる。
以上説明したように本実施の形態によれば、加飾フィルム10aが、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aとを備えている。そして、ヒートシール層40aが、所定のパターンにパターニングされている。これにより、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。この結果、加飾部材10に対して所定のパターン(模様)を付与することができる。また、加飾層30が所定のパターンにパターニングされていることにより、加飾層30間に隙間を形成することができる。このため、加飾部材10において、電磁波に対する透過性を高めることができる。
また、加飾層30aが、金属を含んでいる。このように、金属を含む加飾層30aを所定のパターンにパターニングする場合、加飾フィルム10aの製造工程が複雑化する可能性がある。すなわち、いわゆるバッチ方式によって、加飾フィルム10a毎に加飾層30aを所定のパターンに蒸着する場合、加飾フィルム10aの製造工程が複雑化する可能性がある。
これに対して本実施の形態では、加飾フィルム10aを作製する際に、金属を含む加飾層30aを所定のパターンにパターニングしていない。すなわち、本実施の形態では、いわゆるロール・トゥ・ロール方式によって、加飾層30aをプライマー層60a上に連続的に蒸着させている。また、加飾層30aを連続的に蒸着させた後に、パターニングが容易なスクリーン印刷等によって、パターニングされたヒートシール層40aを形成している。そして、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層30を形成している。このため、加飾層30aが金属を含んでいる場合であっても、加飾フィルム10aの製造工程を複雑化させることなく、電磁波に対する透過性を高めることができる加飾部材10を容易に得ることができる。
また、本実施の形態によれば、加飾フィルム10aが、基材層20aと加飾層30aとの間に位置するプライマー層60aを更に備えている。これにより、加飾部材10において、加飾層30と第2射出樹脂層80との密着性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、加飾フィルム10aが、基材層20aとプライマー層60aとの間に位置する離型層(第3離型層)50aを更に備えている。これにより、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離する際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングしやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、第1射出樹脂層70が、透明である。これにより、加飾層30の視認性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、加飾部材10が、加飾層30の他方の側に位置する第2射出樹脂層80を更に備えている。これにより、加飾層30を第1射出樹脂層70側から視認した際に、第2射出樹脂層80と、パターニングされた加飾層30との組み合わせによって、豊かな意匠表現が可能となり得る。また、加飾部材10が、加飾層30の他方の側に位置する第2射出樹脂層80を更に備えていることにより、加飾層30が設けられていない領域に隠蔽性を付与することができる。
なお、上述した実施の形態において、加飾部材10が、加飾層30の他方の側に位置する第2射出樹脂層80を更に備えている例について説明したが、これに限られない。例えば、図14に示すように、加飾部材10が、第2射出樹脂層80を備えていなくてもよい。すなわち、加飾部材10が、上述した第2加飾部材中間体10Bの状態で、例えばエンブレム3として、移動体1等に適用されていてもよい。
また、上述した実施の形態において、加飾部材10が、加飾層30の他方の側に位置するプライマー層60を更に備えている例について説明したが、これに限られない。例えば、図15に示すように、加飾部材10が、プライマー層60を備えていなくてもよい。このような加飾部材10は、例えば、図16または図17に示す加飾フィルム10aを用いることにより、作製することができる。
すなわち、図16に示すように、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bとを備えていてもよい。この離型層50bは、加飾層30aから基材層20aを剥離させるためのものである。剥離等50bを構成する材料としては、例えば、上述した離型層50aを構成する材料と同様の材料を用いることができる。なお、離型層50bを構成する材料と、上述した離型層50aを構成する材料とが、互いに異なっていてもよい。離型層50bのその他の構成は、上述した離型層50aの構成と略同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
また、図17に示すように、加飾フィルム10aが、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bを備えていなくてもよい。この場合、図17に示すように、加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aとを備えていてもよい。
図16および図17に示す加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製した場合であっても、ヒートシール層40aが所定のパターンにパターニングされているため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。
<第2の実施形態>
次に、図18乃至図22を参照して第2の実施の形態について説明する。図18乃至図22に示す第2の実施の形態は、主として、加飾部材10において、ヒートシール層40のうち、加飾部材10の表面11側の面がパターニングされていない点が第1の実施の形態と異なるものである。図18乃至図22において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
加飾部材
まず、図18により、第2の実施の形態による加飾部材10について説明する。図18に示すように、本実施の形態では、加飾部材10のヒートシール層40のうち、加飾部材10の表面11側の面は、パターニングされていない。一方、ヒートシール層40のうち、加飾部材10の裏面12側の面は、加飾層30と同一のパターン(所定のパターン)にパターニングされている。この場合、第2射出樹脂層80は、パターニングされたヒートシール層40間に入り込んでいる。
加飾フィルム
次に、第2の実施の形態による加飾フィルム10aについて説明する。図19に示すように、本実施の形態では、加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側(加飾フィルム10aの第1面11a側)に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、加飾層30aとヒートシール層40aとの間に位置する離型層(第1離型層)55aとを備えている。また、加飾フィルム10aは、基材層20aと加飾層30aとの間に位置するプライマー層60aを更に備えていてもよい。さらに、加飾フィルム10aは、基材層20aとプライマー層60aとの間に位置する離型層(第3離型層)50aを更に備えていてもよい。
図示された例においては、加飾フィルム10aの第1面11a側から、ヒートシール層40aと、離型層55aと、加飾層30aと、プライマー層60aと、離型層50aと、基材層20aとがこの順番で積層配置されている。また、ヒートシール層40aは、パターニングされた離型層55a間に入り込んでいる。
離型層55aは、所定のパターン(上述した加飾部材10の加飾層30に対応するパターン)にパターニングされている。離型層55aは、ヒートシール層40aから基材層20aを剥離させるためのものである。離型層55aを構成する材料としては、例えば、上述した離型層50aを構成する材料と同様の材料を用いることができる。なお、離型層55aを構成する材料と、上述した離型層50aを構成する材料とが、互いに異なっていてもよい。離型層55aのその他の構成は、上述した離型層50aの構成と略同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、ヒートシール層40aのうち、加飾フィルム10aの第1面11a側の面は、パターニングされていない。一方、ヒートシール層40aのうち、加飾フィルム10aの第2面12a側の面は、離型層55aと同一のパターン(所定のパターン)にパターニングされている。この場合、ヒートシール層40aは、パターニングされた離型層55a間に入り込んでいる。
第2の実施の形態による加飾部材10を作製する際、まず、図5と同様に、基材層20a上に離型層50aを形成する。また、図6と同様に、離型層50a上にプライマー層60aを形成する。さらに、図7と同様に、プライマー層60a上に加飾層30aを形成する。
次に、図20に示すように、加飾層30a上に、所定のパターンにパターニングされた離型層55aを形成する。離型層55aは、グラビアコート、スクリーンコート、昇華転写法式、インクジェット印刷等の既知の方法により、形成され得る。
その後、図21に示すように、パターニングされた離型層55a上、および加飾層30a上に、ヒートシール層40aを形成する。この際、ヒートシール層40aは、パターニングされた離型層55間に入り込むように形成される。ヒートシール層40aは、グラビアコート、ロールコート、スリットコート、スクリーン印刷等の既知の方法により、形成され得る。
このようにして、加飾フィルム10aが得られる。
次に、インモールド成形により加飾部材10を製造する。この際、まず、図9および図10と同様に、加飾フィルム10aと、加飾フィルム10a上に設けられた第1射出樹脂層70とを備える第1加飾部材中間体10Aを作製し、その後、第1加飾部材中間体10Aから第2型92を取り外す。
次に、図22に示すように、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層30を含む第2加飾部材中間体10Bを作製する。
ここで、加飾フィルム10aの離型層55aは、所定のパターンにパターニングされている。そして、離型層55aが設けられた領域においては、離型層55aとヒートシール層40aとの間の剥離強度は、比較的小さくなっている。このため、離型層55aが設けられた領域においては、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、離型層55aがヒートシール層40aから剥離する。この結果、離型層55aと共に、基材層20a、離型層50a、プライマー層60aおよび加飾層30aが、ヒートシール層40aから剥離する。
一方、離型層55aが設けられていない領域(一例として、図22の二点鎖線で示す領域)においては、加飾層30aとヒートシール層40aとの間の剥離強度が、比較的大きくなる。このため、離型層55aが設けられていない領域においては、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、加飾層30aがヒートシール層40aから剥離することなく、離型層50aがプライマー層60aから剥離する。この結果、離型層50aと共に、基材層20aが、プライマー層60aから剥離する。これにより、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離した際に、ヒートシール層40a、加飾層30aおよびプライマー層60aが所定のパターンにパターニングされ、上述した加飾部材10(図18参照)の加飾層30およびプライマー層60が形成される。
その後、図12および図13と同様に、第2キャビティ93aに射出樹脂(第2射出樹脂)を射出することにより、加飾部材10を作製する。
このようにして、図18に示す加飾部材10が得られる。
以上説明したように本実施の形態においても、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。この結果、加飾部材10に対して所定のパターン(模様)を付与し、かつ、加飾部材10において、電磁波に対する透過性を高めることができる。
なお、上述した実施の形態において、加飾部材10が、加飾層30の他方の側(加飾部材10の裏面12側)に位置するプライマー層60を更に備えている例について説明したが、これに限られない。例えば、図23に示すように、加飾部材10が、プライマー層60を備えていなくてもよい。このような加飾部材10は、例えば、図24または図25に示す加飾フィルム10aを用いることにより、作製することができる。
すなわち、図24に示すように、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、加飾層30aとヒートシール層40aとの間に位置する離型層(第1離型層)55aと、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bとを備えていてもよい。
また、図25に示すように、加飾フィルム10aが、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bを備えていなくてもよい。この場合、図25に示すように、加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、加飾層30aとヒートシール層40aとの間に位置する離型層(第1離型層)55aとを備えていてもよい。
図24および図25に示す加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製した場合であっても、離型層55aが所定のパターンにパターニングされているため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。
さらに、上述した実施の形態において、加飾部材10の表面11側から、第1射出樹脂層70と、ヒートシール層40と、加飾層(第1加飾層)30と、プライマー層60と、第2射出樹脂層80とがこの順番で積層配置されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図26に示すように、加飾部材10が、第1射出樹脂層70と第2射出樹脂層80との間に位置する加飾層(第2加飾層)35を更に備えていてもよい。
図示された例においては、所定の領域において、加飾部材10の表面11側から、第1射出樹脂層70と、ヒートシール層40と、加飾層35と、加飾層30と、プライマー層60と、第2射出樹脂層80とがこの順番で積層配置されている。また、加飾層35のうち、加飾部材10の裏面12側の面は、加飾層30と同一のパターン(所定のパターン)にパターニングされている。この場合、第2射出樹脂層80は、パターニングされた加飾層35間に入り込んでいる。一方、加飾層35のうち、加飾部材10の表面11側の面は、パターニングされていない。ここで、加飾部材10の加飾層35は、加飾フィルム10aの後述する加飾層35aに対応するものである。
本変形例では、第2射出樹脂層80は、透明であることが好ましい。これにより、図27に示すように、加飾部材10を裏面12側から視認した際に、加飾層(第1加飾層)30と加飾層(第2加飾層)35との組み合わせによって、意匠を表現できる。このため、加飾部材10において、豊かな意匠表現ができる。なお、加飾層(第2加飾層)35の構成は、加飾フィルム10aの後述する加飾層(第2加飾層)35の構成と略同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
このような加飾部材10は、例えば、図28に示す加飾フィルム10aを用いることにより、作製することができる。
すなわち、図28に示すように、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aは、基材層20aとヒートシール層40aとの間に位置する加飾層(第2加飾層)35aを更に備えていてもよい。
図示された例においては、加飾フィルム10aの第1面11a側から、ヒートシール層40aと、加飾層35aと、離型層55aと、加飾層30aと、プライマー層60aと、離型層50aと、基材層20aとがこの順番で積層配置されている。
また、加飾層35aのうち、加飾フィルム10aの第2面12a側の面は、離型層55aと同一のパターン(所定のパターン)にパターニングされている。この場合、離型層55aは、パターニングされた加飾層35a間に入り込んでいる。一方、加飾層35aのうち、加飾フィルム10aの第1面11a側の面は、パターニングされていない。加飾層35aは、所定のパターンにパターニングされることにより、加飾部材10に対して所定のパターン(模様)を付与する役割を果たす。なお、加飾層35aのその他の構成は、上述した加飾層30aの構成と略同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
本変形例による加飾フィルム10aの加飾層35aは、印刷によって形成された印刷層であってもよい。また、加飾層35aは、ヒートシール性を有していてもよい。これにより、加飾フィルム10aと第1射出樹脂層70との接着強度を大きくすることができる。
図28に示す加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製した場合であっても、離型層55aが所定のパターンにパターニングされているため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。
<第3の実施形態>
次に、図29乃至図33を参照して第3の実施の形態について説明する。図29乃至図33に示す第3の実施の形態は、主として、加飾部材10において、第2射出樹脂層80が、所定のパターンにパターニングされた第1射出樹脂層70間に入り込んでいる点が第1の実施の形態と異なるものである。図29乃至図33において、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
加飾部材
まず、図29により、第3の実施の形態による加飾部材10について説明する。図29に示すように、本実施の形態では、第2射出樹脂層80が、所定のパターンにパターニングされた第1射出樹脂層70間に入り込んでいる。
加飾フィルム
次に、第3の実施の形態による加飾フィルム10aについて説明する。図30に示すように、本実施の形態では、加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側(加飾フィルム10aの第1面11a側)に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、ヒートシール層40aの一方の側に位置する離型層(第1離型層)55aとを備えている。また、加飾フィルム10aは、基材層20aと加飾層30aとの間に位置するプライマー層60aを更に備えていてもよい。さらに、加飾フィルム10aは、基材層20aとプライマー層60aとの間に位置する離型層(第3離型層)50aを更に備えていてもよい。
図示された例においては、第1面11a側から、離型層55aと、ヒートシール層40aと、加飾層30aと、プライマー層60aと、離型層50aと、基材層20aとがこの順番で積層配置されている。
このうち離型層55aは、所定のパターン(上述した加飾部材10の加飾層30に対応するパターン)にパターニングされている。本実施の形態では、ヒートシール層40aは、パターニングされていない。
第3の実施の形態による加飾部材10を作製する際、まず、図5と同様に、基材層20a上に離型層50aを形成する。また、図6と同様に、離型層50a上にプライマー層60aを形成する。さらに、図7と同様に、プライマー層60a上に加飾層30aを形成する。
次に、図31に示すように、加飾層30a上に、ヒートシール層40aを形成する。ヒートシール層40aは、グラビアコート、ロールコート、スリットコート、スクリーン印刷等の既知の方法により、形成され得る。
その後、図32に示すように、ヒートシール層40a上に、所定のパターンにパターニングされた離型層55aを形成する。離型層55aは、グラビアコート、ロールコート、スリットコート、スクリーン印刷等の既知の方法により、形成され得る。
このようにして、加飾フィルム10aが得られる。
次に、インモールド成形により加飾部材10を製造する。この際、まず、図9および図10と同様に、加飾フィルム10aと、加飾フィルム10a上に設けられた第1射出樹脂層70とを備える第1加飾部材中間体10Aを作製し、その後、第1加飾部材中間体10Aから第2型92を取り外す。
次に、図33に示すように、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層30を含む第2加飾部材中間体10Bを作製する。
ここで、加飾フィルム10aの離型層55aは、所定のパターンにパターニングされている。そして、離型層55aが設けられた領域においては、離型層55aと第1射出樹脂層70との間の剥離強度は、比較的小さくなっている。このため、離型層55aが設けられた領域においては、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、離型層55aが第1射出樹脂層70から剥離する。この結果、離型層55aと共に、基材層20a、離型層50a、プライマー層60a、加飾層30aおよびヒートシール層40aが、第1射出樹脂層70から剥離する。
一方、離型層55aが設けられていない領域(一例として、図33の二点鎖線で示す領域)においては、第1射出樹脂層70と加飾フィルム10aとがしっかりと熱溶着する。このため、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、加飾フィルム10aの全体が第1射出樹脂層70から剥離することはない。そして、この場合、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離する際に、離型層50aがプライマー層60aから剥離する。この結果、離型層50aと共に、基材層20aが、プライマー層60aから剥離する。これにより、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離した際に、ヒートシール層40a、加飾層30aおよびプライマー層60aが所定のパターンにパターニングされ、上述した加飾部材10(図29参照)のヒートシール層40、加飾層30およびプライマー層60が形成される。
その後、図12および図13と同様に、第2キャビティ93aに射出樹脂(第2射出樹脂)を射出することにより、加飾部材10を作製する。
このようにして、図29に示す加飾部材10が得られる。
以上説明したように本実施の形態においても、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。この結果、加飾部材10に対して所定のパターン(模様)を付与し、かつ、加飾部材10において、電磁波に対する透過性を高めることができる。
なお、上述した実施の形態において、加飾部材10が、加飾層30の他方の側(加飾部材10の裏面12側)に位置するプライマー層60を更に備えている例について説明したが、これに限られない。例えば、図34に示すように、加飾部材10が、プライマー層60を備えていなくてもよい。このような加飾部材10は、例えば、図35または図36に示す加飾フィルム10aを用いることにより、作製することができる。
すなわち、図35に示すように、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、ヒートシール層40aの一方の側に位置する離型層(第1離型層)55aと、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bとを備えていてもよい。
また、図36に示すように、加飾フィルム10aが、基材層20aと加飾層(第1加飾層)30aとの間に位置する離型層(第2離型層)50bを備えていなくてもよい。この場合、図36に示すように、加飾フィルム10aは、基材層20aと、基材層20aの一方の側に位置する加飾層(第1加飾層)30aと、加飾層30aの一方の側に位置するヒートシール層40aと、ヒートシール層40aの一方の側に位置する離型層(第1離型層)55aとを備えていてもよい。
図35および図36に示す加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製した場合であっても、離型層55aが所定のパターンにパターニングされているため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。
さらに、上述した実施の形態において、加飾部材10の表面11側から、第1射出樹脂層70と、ヒートシール層40と、加飾層(第1加飾層)30と、プライマー層60と、第2射出樹脂層80とがこの順番で積層配置されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図37に示すように、加飾部材10が、第1射出樹脂層70と第2射出樹脂層80との間に位置する加飾層(第2加飾層)35を更に備えていてもよい。
図示された例においては、所定の領域において、加飾部材10の表面11側から、第1射出樹脂層70と、ヒートシール層40と、加飾層35と、加飾層30と、プライマー層60と、第2射出樹脂層80とがこの順番で積層配置されている。また、加飾層35は、所定のパターンにパターニングされている。図示された例においては、加飾層35は、第3方向D3において、パターニングされた加飾層30に重なるように設けられている。また、加飾層35の幅(第1方向D1距離)は、加飾層30の幅(第1方向D1距離)よりも狭くなっている。この場合、ヒートシール層40は、パターニングされた加飾層35間に入り込んでいる。
本変形例では、第1射出樹脂層70は、透明であることが好ましく、第2射出樹脂層80は、着色されていることが好ましい。これにより、図38に示すように、加飾部材10を表面11側から視認した際に、加飾層(第1加飾層)30と、加飾層(第2加飾層)35と、第2射出樹脂層80との組み合わせによって、意匠を表現できる。このため、加飾部材10において、豊かな意匠表現ができる。
このような加飾部材10は、例えば、図39に示す加飾フィルム10aを用いることにより、作製することができる。
すなわち、図39に示すように、加飾部材10を作製するための加飾フィルム10aは、基材層20aとヒートシール層40aとの間に位置する加飾層(第2加飾層)35aを更に備えていてもよい。また、加飾層35aは、所定のパターンにパターニングされている。図示された例においては、加飾層35aは、第3方向D3において、パターニングされた離型層55aに重ならないように設けられている。また、加飾層35aの幅(第1方向D1距離)は、離型層55aの幅(第1方向D1距離)よりも狭くなっている。この場合、ヒートシール層40aは、パターニングされた加飾層35a間に入り込んでいる。
図示された例においては、加飾フィルム10aの第1面11a側から、離型層55aと、ヒートシール層40aと、加飾層35aと、加飾層30aと、プライマー層60aと、離型層50aと、基材層20aとがこの順番で積層配置されている。
図39に示す加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製した場合であっても、離型層55aが所定のパターンにパターニングされているため、加飾フィルム10aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30aを所定のパターンにパターニングすることができる。このため、加飾フィルム10aを用いて加飾部材10を作製することにより、加飾層30と、加飾層30の一方の側に位置するヒートシール層40と、ヒートシール層40の一方の側に位置する第1射出樹脂層70とを備える加飾部材10であって、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができる。
次に、上記実施の形態における具体的実施例について説明する。
(実施例1)
図3に示す加飾フィルム10aを作製した。この際、まず。基材層20aとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとも記す)(厚み50μm)を準備した。次に、基材層20aとしてのPETフィルム上に、離型層50aとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を形成した。
次いで、離型層50aとしての樹脂層上に、プライマー層60aとして、アクリルポリオールからなる樹脂層(厚み2μm)を形成した。
次に、プライマー層60aとしての樹脂層上に、加飾層30aとして、インジウムからなる蒸着層(厚み50nm)を真空蒸着法により形成した。
次いで、加飾層30aとしての蒸着層上に、ヒートシール層40aとして、ポリエステル系樹脂からなる樹脂層(厚み3μm)を、所定のパターンで形成した。
このようにして、図3に示す加飾フィルム10aを作製した。
次に、得られた加飾フィルム10aを用いて、第1加飾部材中間体10Aをインモールド成形した。次いで、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層30を含む第2加飾部材中間体10Bを作製した。そして、得られた第2加飾部材中間体10Bの外観評価を行った。この際、加飾層30が所望の形状にパターニングされているか否かを観察した。
(実施例2)
図17に示す加飾フィルム10aを作製したこと、すなわち、離型層50aとしての樹脂層およびプライマー層60aとしての樹脂層を、それぞれ形成しなかったこと、以外は実施例1と同様にして、加飾フィルム10aを作製した。また、実施例1と同様にして、外観評価を行った。
(実施例3)
図19に示す加飾フィルム10aを作製した。この際、まず。基材層20aとして、PETフィルム(厚み50μm)を準備した。次に、基材層20aとしてのPETフィルム上に、離型層50aとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を形成した。
次いで、離型層50aとしての樹脂層上に、プライマー層60aとして、アクリルポリオールからなる樹脂層(厚み2μm)を形成した。
次に、プライマー層60aとしての樹脂層上に、加飾層30aとして、インジウムからなる蒸着層(厚み50nm)を真空蒸着法により形成した。
次いで、加飾層30aとしての蒸着層上に、離型層55aとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を、所定のパターンで形成した。
次に、離型層55aとしての蒸着層上に、ヒートシール層40aとして、ポリエステル系樹脂からなる樹脂層(厚み3μm)を形成した。
このようにして、図19に示す加飾フィルム10aを作製した。
そして、実施例1と同様にして、外観評価を行った。
(実施例4)
図25に示す加飾フィルム10aを作製したこと、すなわち、離型層50aとしての樹脂層およびプライマー層60aとしての樹脂層を、それぞれ形成しなかったこと、以外は実施例3と同様にして、加飾フィルム10aを作製した。また、実施例3と同様にして、外観評価を行った。
(実施例5)
図30に示す加飾フィルム10aを作製した。この際、まず。基材層20aとして、PETフィルム(厚み50μm)を準備した。次に、基材層20aとしてのPETフィルム上に、離型層50aとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を形成した。
次いで、離型層50aとしての樹脂層上に、プライマー層60aとして、アクリルポリオールからなる樹脂層(厚み2μm)を形成した。
次に、プライマー層60aとしての樹脂層上に、加飾層30aとして、インジウムからなる蒸着層(厚み50nm)を真空蒸着法により形成した。
次いで、加飾層30aとしての蒸着層上に、ヒートシール層40aとして、ポリエステル系樹脂からなる樹脂層(厚み3μm)を形成した。
次に、ヒートシール層40aとしての樹脂層上に、離型層55aとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を、所定のパターンで形成した。
このようにして、図30に示す加飾フィルム10aを作製した。
そして、実施例1と同様にして、外観評価を行った。
(実施例6)
図35に示す加飾フィルム10aを作製したこと、すなわち、離型層50aとしての樹脂層およびプライマー層60aとしての樹脂層を、それぞれ形成しなかったこと、基材層20aとしてのPETフィルム上に、離型層50bとして、メラミン樹脂を含む樹脂層(厚み1μm)を形成したこと、以外は実施例5と同様にして、加飾フィルム10aを作製した。また、実施例5と同様にして、外観評価を行った。
(実施例7)
図36に示す加飾フィルム10aを作製したこと、すなわち、離型層50aとしての樹脂層およびプライマー層60aとしての樹脂層を、それぞれ形成しなかったこと、以外は実施例5と同様にして、加飾フィルム10aを作製した。また、実施例5と同様にして、外観評価を行った。
(比較例1)
離型層50aを所定のパターンで形成したこと、ヒートシール層40aを所定のパターンにパターニングしなかったこと、以外は実施例1と同様にして、加飾フィルムを作製した。また、実施例1と同様にして、外観評価を行った。
(比較例2)
離型層50aとしての樹脂層を形成しなかったこと、以外は実施例5と同様にして、加飾フィルムを作製した。また、実施例5と同様にして、外観評価を行った。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2023057485000002
なお、上記表1において、「○」は、第1加飾部材中間体10Aから基材層20aを剥離した際に、加飾層30を所望の形状にパターニングできたことを意味する。すなわち、加飾層30が、パターニングされた所定の層のパターンとほぼ同一のパターンにパターニングされていたこと、または、加飾層30の一部が当該パターンで除去されていたことを意味する。また、上記表1において、「×」は、第1加飾部材中間体から基材層を剥離した際に、加飾層を所望の形状にパターニングできなかったことを意味する。すなわち、第1加飾部材中間体から基材層を剥離した際に、基材層を剥離できなかったこと、または、加飾層が、パターニングされた所定の層のパターンとほぼ同一のパターンにパターニングされておらず、かつ、加飾層の一部が当該パターンで除去されていなかったことを意味する。
この結果、表1に示すように、比較例1および比較例2による加飾フィルム10aでは、加飾層30を所望の形状にパターニングできなかった。これに対して、実施例1乃至実施例7による加飾フィルム10aでは、加飾層30を所望の形状にパターニングできた。このため、本実施の形態によれば、加飾層30が所定のパターンにパターニングされている加飾部材10を容易に得ることができることがわかった。
上記各実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
1 移動体
10 加飾部材
10A 第1加飾部材中間体
10B 第2加飾部材中間体
10a 加飾フィルム
20a 基材層
30 加飾層
30a 加飾層
35 加飾層
35a 加飾層
40 ヒートシール層
40a ヒートシール層
50a 離型層
50b 離型層
55a 離型層
60 プライマー層
60a プライマー層
70 第1射出樹脂層
80 第2射出樹脂層
91 第1型
92 第2型
93 第3型

Claims (18)

  1. 射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、
    基材層と、
    前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、
    前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層とを備え、
    前記第1加飾層は、金属を含み、
    前記ヒートシール層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルム。
  2. 射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、
    基材層と、
    前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、
    前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層と、
    前記第1加飾層と前記ヒートシール層との間に位置する第1離型層とを備え、
    前記第1加飾層は、金属を含み、
    前記第1離型層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルム。
  3. 射出成形に用いられる転写用の加飾フィルムであって、
    基材層と、
    前記基材層の一方の側に位置する第1加飾層と、
    前記第1加飾層の前記一方の側に位置するヒートシール層と、
    前記ヒートシール層の前記一方の側に位置する第1離型層とを備え、
    前記第1加飾層は、金属を含み、
    前記第1離型層は、所定のパターンにパターニングされている、加飾フィルム。
  4. 前記基材層と前記第1加飾層との間に位置する第2離型層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  5. 前記基材層と前記第1加飾層との間に位置するプライマー層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  6. 前記基材層と前記プライマー層との間に位置する第3離型層を更に備える、請求項5に記載の加飾フィルム。
  7. 前記基材層と前記ヒートシール層との間に位置する第2加飾層を更に備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  8. 前記第2加飾層は、所定のパターンにパターニングされている、請求項7に記載の加飾フィルム。
  9. 前記第2加飾層は、ヒートシール性を有する、請求項7または8に記載の加飾フィルム。
  10. 第1加飾層と、
    前記第1加飾層の一方の側に位置するヒートシール層と、
    前記ヒートシール層の前記一方の側に位置する第1射出樹脂層とを備え、
    前記第1加飾層は、金属を含むとともに、所定のパターンにパターニングされている、加飾部材。
  11. 前記ヒートシール層は、前記所定のパターンにパターニングされている、請求項10に記載の加飾部材。
  12. 前記第1加飾層の他方の側に位置するプライマー層を更に備え、前記プライマー層は、前記所定のパターンにパターニングされている、請求項10乃至11のいずれか一項に記載の加飾部材。
  13. 前記第1加飾層の他方の側に位置する第2射出樹脂層を更に備える、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の加飾部材。
  14. 前記第1射出樹脂層および前記第2射出樹脂層のうちの少なくとも一方は、透明である、請求項13に記載の加飾部材。
  15. 前記第1射出樹脂層と前記第2射出樹脂層との間に位置する第2加飾層を更に備える、請求項13または14に記載の加飾部材。
  16. 前記第2加飾層は、所定のパターンにパターニングされている、請求項15に記載の加飾部材。
  17. 請求項10乃至16のいずれか一項に記載の加飾部材を備える、移動体。
  18. 加飾部材の製造方法において、
    第1キャビティが形成された第1型と、前記第1型に対向して配置される第2型とを準備する工程と、
    前記第2型に、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の加飾フィルムを装着する工程と、
    前記第1型に、前記加飾フィルムが装着された前記第2型を装着する工程と、
    前記第1キャビティに第1射出樹脂を射出することにより、第1加飾部材中間体を作製する工程と、
    前記第1加飾部材中間体から前記第2型を取り外す工程と、
    前記第1加飾部材中間体から前記基材層を剥離することにより、所定のパターンにパターニングされた加飾層を含む第2加飾部材中間体を作製する工程と、
    第2キャビティが形成された第3型を準備する工程と、
    前記第2加飾部材中間体が装着された前記第1型に、前記第3型を装着する工程と、
    前記第2キャビティに第2射出樹脂を射出する工程とを備える、加飾部材の製造方法。
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