JP6492048B2 - レーダカバー及びレーダカバーの製造方法 - Google Patents

レーダカバー及びレーダカバーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーダカバー及びレーダカバーの製造方法に関するものである。
近年、ミリ波等の電波を用いて車両の周囲の障害物等を検知するレーダユニットが車両に搭載されている。一般的には、レーダユニットは、エンブレム等の装飾が施されたレーダカバーに覆われた状態で設置されている。このようなレーダユニットは、レーダカバーを透過した電波の送受信を行う。このため、レーダカバーは例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように当然に電波を透過可能に形成する必要がある。
また、特許文献3においては、透明部材の背面に形成された収容凹部に、表層に金属製の不連続膜が形成されたインナコアを収容し、透明部材の背面に支持部材を接合したレーダカバーが開示されている。このようなインナコアを有するレーダカバーは、収容凹部にインナコアをインジェクション成形によって支持部材と一体化させることにより製造される。
特開2015−99081号公報 特開2016−80479号公報 特開2011−46183号公報
ところで、インナコアを有するレーダカバーにおいては、表層に金属製の不連続膜を備えることで表面が銀色とされたインナコア(有色コア)が外部から視認可能なエンブレム等の一部を形作ることになる。このような有色コアの透明部材に対する位置が本来の基準位置から変位すると、外部から視認されるエンブレム等の印象が意図せずに変化してしまう。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、有色コアを有するレーダカバーにおいて、透明部材と有色コアとの位置関係が基準位置から変位することを防止し、レーダカバーに施されたエンブレム等の印象が変化することを防止することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーであって、背面側に正面に向かって窪む収容凹部が形成された板状の透明部材と、上記収容凹部の底面と当接された状態で上記収容凹部に収容された有色コアと、上記透明部材の背面に接合された支持部材とを備え、上記透明部材の正面側から見た上記収容凹部の形成領域の少なくとも一部において、上記収容凹部の深さ寸法が上記有色コアの厚さ寸法よりも大きく設定され、上記支持部材の一部が上記収容凹部に囲まれた空間の上記有色コアが配置されていない領域に充填されているという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記収容凹部の内壁面が屈曲して上記透明部材の背面と接続されているという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記有色コアが、表層に設けられかつ上記電波を透過可能な不連続金属膜を有するという構成を採用する。
第4の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーの製造方法であって、上記レーダカバーが、背面側に正面に向かって窪む収容凹部が形成された板状の透明部材と、上記収容凹部の底面と当接された状態で上記収容凹部に収容された有色コアと、上記透明部材の背面に接合された支持部材とを備え、上記透明部材の正面側から見た上記収容凹部の形成領域の少なくとも一部において、上記有色コアの厚さ寸法よりも深さ寸法が大きく設定された上記収容凹部を有する上記透明部材を形成する透明部材形成工程と、上記収容凹部の底部に当接させた状態で上記有色コアを配置する有色コア配置工程と、上記透明部材の背面側に射出成形により上記支持部材を形成する支持部材形成工程とを有するという構成を採用する。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記透明部材形成工程にて、上記収容凹部の内壁面が屈曲して背面と接続された上記透明部材を形成するという構成を採用する。
第6の発明は、上記第4または第5の発明において、上記有色コア配置工程にて、表層に上記電波を透過可能な不連続金属膜を有する上記有色コアを上記収容凹部に配置するという構成を採用する。
本発明において、透明部材の背面側に設けられた収容凹部の深さ寸法が、有色コアの厚さ寸法よりも大きく設定されている。このため、収容凹部に有色コアが収容された場合であっても、収容凹部の全てが有色コアで埋まることがなく、収容凹部の支持部材側の一部領域に有色コアが存在しない領域が生じる。さらに、本発明においては、収容凹部の有色コアが存在しない領域に支持部材が充填される。このような本発明によれば、有色コアの背面の全面が支持部材に確実に密着し、有色コアの側面の全域が収容凹部に当接した状態となるため、有色コアが透明部材に対して変位することを確実に防止することができる。
さらに、本発明においては、レーダカバーを製造するにあたり、透明部材の収容凹部に有色コアを収容した状態で支持部材を射出成形により形成する。このとき、有色コアの全体が確実に収容凹部の内側に収容され、有色コアの背面が透明部材の背面よりも内側(透明部材の正面側)に配置されることになる。この結果、収容凹部の内壁面が有色コアよりも高い位置(有色コアの背面よりもせり出した位置)までせり出すこととなり、支持部材の形成材料を流し込んだ場合に、有色コアが収容凹部から流れ出ることを確実に防止することができる。したがって、本発明によれば、有色コアが透明部材に対して変位してしまうことを確実に防止することができる。
したがって、本発明によれば、有色コアを有するレーダカバーにおいて、透明部材と有色コアとの位置関係が基準位置から変位することを防止し、レーダカバーに施されたエンブレム等の印象が変化することを防止することができる。
本発明の一実施形態におけるレーダカバーを模式的に示す正面図である。 (a)が図1のA−A断面図であり、(b)が図1のB−B断面図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーが備えるインナコア収容凹部2bを含む模式的な拡大断面図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダカバー及びレーダカバーの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態のレーダカバー1を模式的に示す正面図である。また、図2(a)は、図1のA−A断面図である。また、図2(b)は、図1のB−B断面図である。図1に示すように、本実施形態のレーダカバー1は、中央に配置されたエンブレムEと、エンブレムEの周囲に設けられた網目状の外側意匠部Dとを有している。なお、図1においては、エンブレムEと外側意匠部Dの一部を白色で示しているが、この白色で示された領域は本実施形態では銀色であるものとする。また、エンブレムEと外側意匠部Dのドット模様で示された領域は本実施形態では黒色であるものとする。
図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態のレーダカバー1は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットXを車両の正面側から覆うように配置されており、レーダユニットXで用いる電波に対する透過性を有している。このような本実施形態のレーダカバー1は、レーダユニットXの電波の経路上(レーダユニットXから射出される電波が伝播される領域)に配置されており、図2(a)及び図2(b)に示すように、透明部材2と、印刷層3と、塗料層4と、インナコア5(有色コア)と、支持部材6とを備えている。
透明部材2は、透明樹脂材料により形成され、レーダカバー1の構成部材のうち最も車両の外側に配置された部材である。この透明部材2は、車両の外部からのエンブレムEや外側意匠部Dの視認性を高めるため、表側の面が平滑面とされている。また、透明部材2の背面側(支持部材6側)には、凹部2aが形成されている。本実施形態のレーダカバー1では、透明部材2は、凹部2aとして、インナコア5が収容されたインナコア収容凹部2b(収容凹部)と、内壁面に塗料が塗られることで塗料層4が形成された塗装凹部2cとを備えている。
インナコア収容凹部2bは、正面から見た形状が「F」の文字を避けて円形状とされており、エンブレムEが配置されるレーダカバー1の中央部に形成されている。このようなインナコア収容凹部2bは、内壁面にインナコア5が当接された状態でインナコア5を収容している。
図3は、インナコア収容凹部2bを含む模式的な拡大断面図である。この図に示すように、本実施形態において、インナコア収容凹部2bの深さ寸法d1は、インナコア5の厚さ寸法d2よりも大きく設定されている。なお、インナコア収容凹部2bの深さ寸法d1は、透明部材2の背面に対して垂直な方向において、インナコア収容凹部2bの底面から透明部材2の背面と面一の仮想面Sまでの距離寸法を意味する。つまり、インナコア収容凹部2bの深さ寸法d1は、透明部材の2の背面から透明部材2の正面に向かって窪むインナコア収容凹部2bの透明部材の2の背面からの深さ距離を示す寸法である。また、インナコア5の厚さ寸法d2とは、透明部材2の背面に対して垂直な方向において、インナコア5の透明部材2の正面側の面からインナコア5の透明部材2の背面側の面までの距離寸法を意味する。つまり、インナコア5の厚さ寸法d2は、板状とされたインナコア5の厚さを示す寸法である。
また、図3に示すように、インナコア収容凹部2bの内壁面は、透明部材2の背面に対して略90°の角度で屈曲して接続されている。つまり、塗装凹部2cの内壁面と印刷層形成領域Rとの境界部分がいわゆるピン角とされている。なお、インナコア収容凹部2bの内壁面と透明部材2の背面とが成す角度は、90°であることが好ましいが、射出成形時の抜き勾配を考慮し、93°程度であっても良い。
図2に戻り、塗装凹部2cは、正面から見てレーダカバー1の外縁部に枠状に設けられた枠状部2dと、枠状部2dの内側に網状に設けられた網状部2eとを有している。このような塗装凹部2cには、内壁面を覆うように塗料層4が設けられている。また、塗装凹部2cの内部には支持部材6の一部が入り込んだ状態とされ、支持部材6によって塗料層4が背面側から覆われている。
また、本実施形態において、透明部材2の支持部材6側の面の凹部2aが設けられていない領域は、印刷層3が形成される印刷層形成領域Rとされている。この印刷層形成領域Rは、平坦面とされており、印刷層3によって透明部材2の背面側から覆われている。
このような透明部材2は、例えば、無色のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されており、1.5mm〜10mm程度の厚さとされている。また、透明部材2の表側の面には、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、又はウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
印刷層3は、透明部材2の印刷層形成領域Rに印刷された薄膜層であり、本実施形態においては上述のように黒色とされている。この印刷層3は、黒色のインクを印刷層形成領域Rに転写し、当該インクを乾燥させることによって形成されている。この印刷層3は、例えばシルク印刷法によって、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な黒色の樹脂インクを印刷層形成領域R上に配置し、このインクを自然乾燥させることによって形成することができる。このような印刷層3は、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示すドット模様で示した領域を形成している。
塗料層4は、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な銀色の塗料を乾燥させることによって形成された薄膜層であり、本実施形態において上述のように銀色とされている。この塗料層4は、図2(a)及び図2(b)に示すように、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3が形成された透明部材2の背面の全面に設けられている。つまり、塗料層4は、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3の支持部材6側の面を覆っている。この塗料層4は、例えばパール顔料を含有する塗料を塗布し、自然乾燥させることによって形成することができる。このような塗料層4は、塗装凹部2cにおいて、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示す外側意匠部Dの白色で示した領域を形成している。
インナコア5は、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な樹脂からなる基部と、基部の表面を覆うように形成された光輝性膜とを有している。光輝性膜としては、例えば、電波が透過可能な隙間が多数形成された不連続金属膜を用いることができ、スパッタリング法や真空蒸着法で形成されたインジウム膜を用いることができる。つまり、インナコア5は、表層に設けられかつ電波を透過可能な不連続金属膜を有している。このような不連続金属膜を有することにより、インナコア5は銀色とされている。なお、インナコア5は、光輝性膜の表面を覆う透明なトップコート層や光輝性膜の裏面を覆うアンダコート層を有していても良い。このようなインナコア5は、光輝性膜がインナコア収容凹部2bの内壁面に対向されるようにして、透明部材2のインナコア収容凹部2bに嵌合配置されている。このようなインナコア5は、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示すエンブレムEの白色で示した領域を形成している。
上述のように、インナコア5の厚さ寸法d2は、インナコア収容凹部2bの深さ寸法d1よりも小さく設定されている。このため、透明部材2とインナコア5とを一体物として見た場合には、一体物の背面に窪みが形成された状態となる。
支持部材6は、透明部材2の背面に接合され、透明部材2を支持する部位であり、黒色の樹脂材料から形成されている。この支持部材6は、エンジンルーム側に突出する係合部6aを有している。この係合部6aは、先端部が爪状に成形されており、当該先端部が例えばラジエータグリル本体等に係止される。また、本実施形態において支持部材6は、インナコア収容凹部2bに収容されかつインナコア5の背面に接合された突部6bを有している。つまり、本実施形態のレーダカバー1においては、支持部材6の一部である突部6bが、透明部材2のインナコア収容凹部2bに囲まれた空間のうちインナコア5が配置されていない領域(図3に示すインナコア5から仮想面Sまでの領域)に充填されている。
なお、本実施形態においては、透明部材2の正面側から見て、インナコア収容凹部2bの形成領域の全域に、インナコア5が配置されていない領域が形成されている。このため、本実施形態においては、透明部材2の正面側から見て、インナコア収容凹部2bの形成領域の全域に、支持部材6の突部6bが形成されている。したがって、支持部材6の突部6bは、周方向の全域に亘ってインナコア収容凹部2bの内壁面と接続されている。
このような支持部材6は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、有色のPC、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂、又はこれらの複合樹脂からなり、1.0mm〜10mm程度の厚さとされている。
続いて、本実施形態のレーダカバー1の製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。
まず、図4に示すように、透明部材2を形成する。なお、図4(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図4(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、透明部材2を金型10による射出成形により形成する。金型10は、固定側のキャビティ金型11と、移動側のコア金型12とを有している。さらに、本実施形態においては、コア金型12は、印刷層形成領域Rを形成するベース12aと、凹部2aを形成するための入れ子12bとを有している。この入れ子12bは、コア金型12のベース12aに対して別体とされ、ベース12aに固定された状態でベース12aの表面からキャビティ金型11側に突出している。このようにコア金型12に入れ子12bを設けることによって、ベース12aの表面と入れ子12bの表面とを屈曲して接続することができ、印刷層形成領域Rと凹部2aの内壁面とが屈曲して接続された透明部材2を形成することができる。
本実施形態のレーダカバー1においては、上述のように透明部材2のインナコア収容凹部2bの深さ寸法d1がインナコア5の厚さ寸法d2よりも大きく設定されている(図3参照)。つまり、このような図4で示す工程は、インナコア5の厚さ寸法d2よりも深さ寸法d1が大きく設定されたインナコア収容凹部2bを有する透明部材2を形成する透明部材形成工程に相当する。
続いて、図5に示すように、印刷層3を形成する。なお、図5(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図5(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、透明部材2の凹部2aを除く領域である印刷層形成領域Rに対して、シルク印刷法等の印刷法によってインクを転写し、当該インクを乾燥させることによって、印刷層3を形成する。このとき、本実施形態のレーダカバー1においては、印刷層形成領域Rと凹部2aの内壁面とが屈曲して接続されている。このため、印刷層形成領域Rに転写されたインクは、印刷層形成領域Rと凹部2aの内壁面とが滑らかな曲面で接続されている場合と比較して、凹部2aの内壁面に移動し難い。このような本実施形態のレーダカバー1の製造方法によれば、印刷層3の端部が意図せずに蛇行することを防止することができる。
続いて、図6に示すように、塗料層4を形成する。なお、図6(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図6(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、図6(a)に示すエンブレムEが形成される領域Mに対してマスクをした状態で、印刷層3が形成された透明部材2の背面側に銀色のマイカ塗料を例えばスプレ塗布し、マイカ塗料を乾燥させることによって、塗料層4を形成する。このようにして形成された塗料層4は、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3を覆いかつ全ての塗装凹部2cの内壁面に直接付着した塗料層4が形成される。
続いて、図7に示すように、インナコア5をインナコア収容凹部2bに収容する。なお、図7は、図2(a)と同位置での断面図である。ここでは、上述した透明部材2、印刷層3あるいは塗料層4の形成と並行して形成されたインナコア5をインナコア収容凹部2bに収容する。インナコア5は、先に射出成形により形成された基部に対して、インジウム層等の光輝性の不連続金属膜を真空蒸着法やスパッタリング法等により製膜することで形成される。なお、インナコア5には、必要に応じてトップコート層やアンダコート層が形成される。このようなインナコア5は、光輝性の不連続金属膜をインナコア収容凹部2bの内壁面側に向け、インナコア収容凹部2bの底部に当接された状態でインナコア収容凹部2bに収容される。このような図7に示す工程は、インナコア収容凹部2bの底部に当接させた状態でインナコア5を配置する工程であり、本発明の有色コア配置工程に相当する。
なお、上述のように、本実施形態のレーダカバー1においては、透明部材2のインナコア収容凹部2bの深さ寸法d1がインナコア5の厚さ寸法d2よりも大きく設定されている(図3参照)。このため、インナコア5をインナコア収容凹部2bに収容した場合には、図3に示す、インナコア5の背面から仮想面Sまでの領域が、インナコア5が存在しない空間となる。
続いて、図8に示すように、支持部材6を形成する。なお、図8(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図8(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、インナコア収容凹部2bにインナコア5が設置された透明部材2を、射出成形用の金型の内部に配置し、透明部材2の背面側に溶融した樹脂を射出するインサート成形を行うことで、支持部材6を形成する。このような支持部材6は、インサート成形時の熱により透明部材2と溶着され、インナコア5を覆うように配置される。これによって、インナコア5が透明部材2に対して固定される。
このとき、インナコア収容凹部2bの内壁面がインナコア5の背面よりもせり出した状態となり、支持部材6の形成材料を流し込んだ場合に、インナコア収容凹部2bから流れ出ることを防止することができる。なお、溶融した樹脂がインナコア収容凹部2bに囲まれた空間のうち、インナコア5が存在しない領域に流れ込んで充填され、この部位が冷却することによって突部6bが形成される。このような図8に示す工程は、透明部材2の背面側に射出成形により支持部材6を形成する工程であり、本発明の支持部材形成工程に相当する。
以上のように説明した本実施形態のレーダカバー1においては、透明部材2の背面側に設けられたインナコア収容凹部2bの深さ寸法d1が、インナコア5の厚さ寸法d2よりも大きく設定されている。このため、インナコア収容凹部2bにインナコア5が収容された場合であっても、インナコア収容凹部2bの全てがインナコア5で埋まることがなく、インナコア収容凹部2bの支持部材6側の一部領域にインナコア5が存在しない領域が生じる。さらに、本実施形態のレーダカバー1においては、インナコア収容凹部2bのインナコア5が存在しない領域に支持部材6が充填されている。このような本実施形態のレーダカバー1によれば、インナコア5の背面の全面が支持部材6に確実に密着し、インナコア5の側面の全域がインナコア収容凹部2bの内壁面に当接した状態となるため、インナコア5が透明部材2に対して変位することを確実に防止することができる。また、本実施形態のレーダカバー1においては、支持部材6の突部6bがインナコア収容凹部2bに入り込んでいるため、透明部材2と支持部材6と結合力を高め、透明部材2と支持部材6とが剥離することを抑止することができる。
また、本実施形態のレーダカバー1の製造方法においては、透明部材2のインナコア収容凹部2bにインナコア5を収容した状態で支持部材6を射出成形により形成する。このとき、インナコア5の全体が確実にインナコア収容凹部2bの内側に収容され、インナコア5の背面が透明部材2の背面よりも内側(透明部材2の正面側)に配置されることになる。この結果、インナコア収容凹部2bの内壁面がインナコア5の背面よりもせり出すこととなり、支持部材6の形成材料を流し込んだ場合に、インナコア5がインナコア収容凹部2bから流れ出ることを確実に防止することができる。したがって、本実施形態のレーダカバー1の製造方法によれば、インナコア5が透明部材2に対して変位してしまうことを確実に防止することができる。
また、本実施形態のレーダカバー1及びレーダカバー1の製造方法においては、インナコア収容凹部2bの内壁面が屈曲して透明部材2の背面と接続されている。このため、インナコア収容凹部2bの内壁面が湾曲して滑らかに透明部材2の背面と接続される場合と比較して、インナコア5がインナコア収容凹部2bから流れ出すことをより確実に防止することができる。
また、本実施形態のレーダカバー1及びレーダカバー1の製造方法においては、上述のように、インナコア5が透明部材2に対して変位することを確実に防止することができる。このため、インナコア5の表層に電波を透過可能な不連続金属膜を形成した場合に、不連続金属膜が透明部材2の内壁面に擦れて傷つくことを抑止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、透明部材2の正面側から見て、インナコア収容凹部2bの形成領域の全域に、インナコア収容凹部2bに囲まれた空間であってインナコア5が配置されていない領域が形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、透明部材2の正面側から見て、インナコア収容凹部2bの形成領域の一部のみに、インナコア収容凹部2bに囲まれた空間であってインナコア5が配置されていない領域が形成された構成を採用することも可能である。
1……レーダカバー、2……透明部材、2a……凹部、2b……インナコア収容凹部(収容凹部)、2c……塗装凹部、2d……枠状部、2e……網状部、3……印刷層、4……塗料層、5……インナコア(有色コア)、6……支持部材、6b……突部、D……外側意匠部、E……エンブレム、R……印刷層形成領域、S……仮想面、X……レーダユニット

Claims (6)

  1. 車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーであって、
    背面側に正面に向かって窪む収容凹部が形成された板状の透明部材と、
    前記透明部材と別体とされかつ前記収容凹部の底面と当接された状態で前記収容凹部に嵌合配置された有色コアと、
    前記透明部材の背面に接合された支持部材と
    を備え、
    前記透明部材の正面側から見た前記収容凹部の形成領域の少なくとも一部において、前記収容凹部の深さ寸法が前記有色コアの厚さ寸法よりも大きく設定され、前記支持部材の一部が前記収容凹部に囲まれた空間の前記有色コアが配置されていない領域に充填されている
    ことを特徴とするレーダカバー。
  2. 前記収容凹部の内壁面が屈曲して前記透明部材の背面と接続されていることを特徴とする請求項1記載のレーダカバー。
  3. 前記有色コアは、表層に設けられかつ前記電波を透過可能な不連続金属膜を有することを特徴とする請求項1または2記載のレーダカバー。
  4. 車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーの製造方法であって、
    前記レーダカバーが、背面側に正面に向かって窪む収容凹部が形成された板状の透明部材と、前記透明部材と別体とされかつ前記収容凹部の底面と当接された状態で前記収容凹部に嵌合配置された有色コアと、前記透明部材の背面に接合された支持部材とを備え、
    前記透明部材の正面側から見た前記収容凹部の形成領域の少なくとも一部において、前記有色コアの厚さ寸法よりも深さ寸法が大きく設定された前記収容凹部を有する前記透明部材を形成する透明部材形成工程と、
    前記収容凹部の底部に当接させた状態で前記有色コアを配置する有色コア配置工程と、
    前記透明部材の背面側に射出成形により前記支持部材を形成する支持部材形成工程と
    を有することを特徴とするレーダカバーの製造方法。
  5. 前記透明部材形成工程にて、前記収容凹部の内壁面が屈曲して背面と接続された前記透明部材を形成することを特徴とする請求項4記載のレーダカバーの製造方法。
  6. 前記有色コア配置工程にて、表層に前記電波を透過可能な不連続金属膜を有する前記有色コアを前記収容凹部に配置することを特徴とする請求項4または5記載のレーダカバーの製造方法。
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