JP2011025873A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Yoshiyuki Shibata
由之 柴田
Yutaka Mori
豊 森
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Abstract

【課題】大型化を伴うことなく、より簡易な構成で十分なアシスト力を確保することができるパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング操作の方向に応じた回転方向で回転するステアリングシャフトに一体回転するように設けられたウォームホイール11と、ウォームホイール11と噛合するウォーム12と、ウォーム12に連係可能に設けられステアリング操作の方向に応じた回転方向でステアリングシャフトの回転をアシストする対のパワーアシスト部20,30とを備える。各パワーアシスト部20,30は、渦巻きばね24,34に弾性エネルギーを蓄積し、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えたときにクラッチ手段C1,C2により外側保持部21,31とウォーム12とを接続し、クラッチ手段C1,C2による接続に連動して渦巻きばね24,34に蓄積された弾性エネルギーを解放し、ウォーム12を回転させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置としては、例えばモータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)が知られている(例えば特許文献1など)。通常、このようなEPSでは、操舵系に付与するアシスト力の制御は、トルクセンサに検出されるステアリングシャフトの操舵トルクに基づき、モータ出力を制御することで電気的に行なわれる。
特開2004−338619号公報
ところで、EPSでは、例えば操舵力が大きくなる据え切り操舵のアシストに対応すべく、十分に大きなトルク(モータ出力)が必要である。つまり、このような大トルクは常に必要なものではなく、据え切り操舵時という限定的な状況下で必要になるものである。しかしながら、限定的ではあっても大トルクが必要である以上、これに対応し得る出力のモータを採用する必要があり、その分、モータの大型化を余儀なくされてしまう。この場合、装置全体としてのレイアウト自由度が低減することになる。また、EPSによるアシスト力の制御では、トルクセンサに検出される操舵トルクに基づいて、CPUによりアシスト力を演算し、駆動回路を通じてモータへの通電タイミング等を制御することになり、その制御を実現するための構成も自ずと複雑化することになる。すなわち、上記制御を実現する電子制御装置(ECU)の回路構成において、より高機能なCPUを採用する必要があり、あるいは駆動回路の製造のためにFET等を多用する必要がある。特に、近年、自家用車購入層の裾野が広がるに従って、より大胆な価格設定が求められるようになっていることから、コスト削減の観点からも、こうした電子部品を多用する従来の構成は見直しの余地が残されている。
なお、油圧式のパワーステアリング装置も知られているが、据え切り操舵に対応するために十分に大きなトルクが必要であることはEPS同様である。この場合、大トルクを出力し得る高圧の油圧を発生可能な油圧ポンプを採用する必要があり、その分、油圧ポンプの大型化を余儀なくされてしまう。従って、この場合であっても、装置全体としてのレイアウト自由度が低減することになる。
本発明の目的は、大型化を伴うことなく、より簡易な構成で十分なアシスト力を確保することができるパワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作の方向に応じた回転方向で回転するステアリングシャフトに一体回転するように設けられた第1ギヤと、前記第1ギヤと噛合する第2ギヤと、前記第2ギヤに連係可能に設けられ、ステアリング操作の方向に応じた回転方向で前記ステアリングシャフトの回転をそれぞれアシストする対のパワーアシスト部とを備え、前記各パワーアシスト部は、機械的エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えたときに、前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとを接続するクラッチ手段と、前記クラッチ手段による接続に連動して、前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放し、前記第2ギヤを回転させるエネルギー解放手段とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記各パワーアシスト部は、前記クラッチ手段による前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとの接続に連動して、前記エネルギー解放手段により前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放し、前記第2ギヤを回転させる。これにより、前記第2ギヤと噛合する前記第1ギヤの回転、即ち前記ステアリングシャフトの回転を該当のステアリング操作の方向に応じた回転方向でアシストすることができる。この場合、前記ステアリングシャフトの回転のアシストは、例えば据え切り操舵時など操舵トルクが所定トルクを超える限定的な状況下において、前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放することで実現されるため、例えばモータのトルクで前記ステアリングシャフトの回転をアシストする場合のように、大トルクに対応するための大型化を抑制することができる。また、前記ステアリングシャフトの回転のアシストは、操舵トルクが所定トルクを超えることを前提に、前記エネルギー解放手段により前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放する等、機械的な仕組みで実現できるため、例えば電気的な制御(モータ出力の制御)で実現する場合に比べてその構成をより簡易化することができる。
なお、特開2002−119017号公報には、ステアリングシャフトの回転をモータの回転力でアシストする際に、その回転軸の回転を利用して渦巻きばねに巻き上げ方向又は巻き戻し方向の回転力を蓄えることが記載されている。この場合、アシスト後にモータが停止されると、回転軸は渦巻きばねに蓄えられた回転力に補助されてアシスト前の状態へと速やかに戻ることができる。しかしながら、この構成であっても、ステアリングシャフトの回転のアシスト自体は、トルクセンサに検出される操舵トルクに基づくモータの駆動制御で行っており、依然としてその構成は複雑なものになっている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記操舵トルクが前記所定トルクを超えるまで、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの噛合に伴い発生するスラスト力に抗して該第2ギヤの軸方向への移動を規制する規制手段を備え、前記各クラッチ手段は、前記第2ギヤに設けられた従動側係合部材と、前記エネルギー蓄積手段に設けられ、前記規制手段による前記第2ギヤの軸方向移動の規制解除時に前記従動側係合部材と係合して前記エネルギー蓄積手段から解放された機械的エネルギーを前記第2ギヤに伝達する駆動側係合部材とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記各パワーアシスト部は、前記規制手段による前記第2ギヤの軸方向移動の規制解除時に前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材を係合させて、前記エネルギー蓄積手段から解放された機械的エネルギーを前記第2ギヤに伝達することで、該第2ギヤと噛合する前記第1ギヤの回転、即ち前記ステアリングシャフトの回転をアシストすることができる。一方、前記各パワーアシスト部は、前記規制手段により前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの噛合に伴い発生するスラスト力に抗することで、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが前記所定トルクを超えるまで、前記第2ギヤの軸方向への移動、即ち前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材の係合による前記ステアリングシャフトの回転のアシストを規制することができる。従って、前記ステアリングシャフトの回転のアシストが、例えば中高速走行中の操舵時など操舵トルクが小さいときに行われることを回避することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパワーステアリング装置において、前記規制手段は、前記第2ギヤの外周面に形成された周溝と、前記第2ギヤを回転自在に収容するハウジングに一方の端部が保持され、前記周溝に他方の端部が引っ掛けられて、前記両クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合しない所定の中立位置に前記第2ギヤの軸方向位置を付勢保持する付勢手段とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記規制手段は、前記ハウジングに一方の端部が保持された前記付勢手段の他方の端部を前記周溝に引っ掛けて前記第2ギヤの軸方向位置を前記所定の中立位置に付勢保持するという極めて簡易な構造で、前記操舵トルクが前記所定トルクを超えるまで前記第2ギヤの軸方向への移動を規制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のパワーステアリング装置において、前記第2ギヤの軸方向に沿って該第2ギヤに回転自在に挿通され、駆動源により回転駆動される貫通シャフトと、前記貫通シャフトの前記第2ギヤを貫通する一方の端部に回転自在に支持され、前記駆動源により前記貫通シャフトと逆方向で回転駆動される筒状シャフトとを備え、前記各エネルギー蓄積手段は、前記貫通シャフトに回転自在に支持され、前記駆動側係合部材の設けられたロータと、前記規制手段による前記第2ギヤの軸方向移動の規制時に前記ロータと係合して該ロータの回転を係止するストッパと、前記貫通シャフトの前記第2ギヤを貫通する他方の端部又は前記筒状シャフトに一方の端部が保持されるとともに前記ロータに他方の端部が保持され、前記ストッパによる前記ロータの回転係止時に前記駆動源による前記貫通シャフト又は前記筒状シャフトの回転駆動によって前記機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する渦巻きばねを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記渦巻きばね(各エネルギー蓄積手段)に前記機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する際に前記駆動源により回転駆動される前記貫通シャフト及び前記筒状シャフトは、共に前記第2ギヤの軸方向に沿って集約的に配置されることで、全体としてより小型化することができる。そして、前記各エネルギー蓄積手段は、前記ストッパによる前記ロータの回転係止時に前記駆動源による前記貫通シャフト又は前記筒状シャフトの回転駆動によって、前記機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積することができる。このように、前記各エネルギー蓄積手段(渦巻きばね)は、前記駆動源による前記貫通シャフト又は前記筒状シャフトの回転駆動によって巻き上げられるだけで、前記機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積することができ、その構造を極めて簡易なものにできる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパワーステアリング装置において、前記各エネルギー解放手段は、前記クラッチ手段による前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとの接続時に、前記従動側係合部材で前記駆動側係合部材を押圧移動させることにより、前記ロータと前記ストッパとの係合を解除して前記ロータの回転を許容し、前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放してなることを要旨とする。
同構成によれば、前記各エネルギー解放手段は、前記クラッチ手段による前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとの接続時に、前記従動側係合部材で前記駆動側係合部材を押圧移動させることにより、前記ロータと前記ストッパとの係合を解除して前記ロータの回転を許容するという極めて簡易な構成で、前記エネルギー蓄積手段(渦巻きばね)に蓄積された機械的エネルギー(弾性エネルギー)を解放することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のパワーステアリング装置において、前記規制手段は、前記第2ギヤの外周面に形成された周溝と、前記第2ギヤを回転自在に収容するハウジングに固定されたホルダと、前記第2ギヤの径方向に伸縮可能に前記ホルダに収容され、前記第2ギヤの径方向への付勢力を発生する付勢手段と、前記第2ギヤに臨んで前記ホルダから突出する前記付勢手段の先端部に設けられ、前記両クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合しない所定の中立位置で前記周溝に嵌入して前記第2ギヤの軸方向位置を保持する嵌入部とを備えたことを要旨とする。
同構成によれば、前記規制手段は、前記ホルダに収容された前記付勢手段の先端部に設けられた前記嵌入部を前記周溝に嵌入して前記第2ギヤの軸方向位置を前記所定の中立位置に保持するという極めて簡易な構造で、前記操舵トルクが前記所定トルクを超えるまで前記第2ギヤの軸方向への移動を規制することができる。
本発明では、大型化を伴うことなく、より簡易な構成で十分なアシスト力を確保することができるパワーステアリング装置を提供することができる。
パワーステアリング装置の概略構成図。 ウォーム及び両パワーアシスト部の断面図。 ウォーム及び両パワーアシスト部の動作を示す断面図。 (a)〜(c)は、外側保持部及びその周辺構造を示す正面図、断面図及び背面図。 (a)〜(c)は規制手段及びその動作を示す断面図であり、(d)はウォームにおける力とストロークとの関係を示すグラフ。 (a)(b)はクリックばねを示す断面図であり、(c)はクリックばねを示す斜視図。 (a)(b)は、別例の規制手段を示す断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のパワーステアリング装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角が変更される。
尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト8、インターミディエイトシャフト9及びピニオンシャフト10を連結してなる。そして、コラムシャフト8には、同コラムシャフト8と同心で第1ギヤとしてのウォームホイール11が一体回転するように固着されている。このウォームホイール11には、車体に固定された適宜のハウジング(図示略)に回転自在に収容・支持された第2ギヤとしてのウォーム12が噛合する。ウォームホイール11及びウォーム12は、減速機構(ウォームギヤ)を構成する。そして、ステアリング操作に伴ってコラムシャフト8がウォームホイール11と一体で回転すると、これに連動してウォーム12が回転する。このときのウォーム12の回転方向は、ステアリング操作の方向(操舵方向)に応じて切り替わる。一方、ウォーム12が回転する場合も、これに連動してウォームホイール11がコラムシャフト8と一体で回転する。このときのコラムシャフト8の回転方向も、ウォーム12の回転方向に応じて切り替わる。
図2に示すように、ウォーム12の軸方向両側には、同ウォーム12に連係可能な対のパワーアシスト部20,30が配設されている。これらパワーアシスト部20,30は、ウォーム12を通じてステアリング操作の方向に応じた回転方向でコラムシャフト8の回転をそれぞれアシストする。
すなわち、ウォーム12には、その回転軸をなすウォームシャフト12aの中央部を軸方向に連通する挿通孔12bが形成されており、同挿通孔12bには丸棒状の貫通シャフト13が挿通されている。この貫通シャフト13は、挿通孔12bの軸方向両端に固着された対の軸受B1,B2によりウォーム12に回転自在に支持されている。そして、貫通シャフト13のウォーム12を貫通する一方の端部13aには、円環状の内側保持部14が一体回転するように嵌合・固着されるとともに、貫通シャフト13のウォーム12を貫通する他方の端部13bには、平歯車からなる筒状シャフトとしての内側保持部15が対の軸受B3,B4により回転自在に支持されている。また、端部13bの先端には、平歯車からなるギヤ16が一体回転するように嵌合・固着されている。一方、ハウジング(車体)には、駆動源としてのモータ50が設置されており、その回転軸51には、ギヤ16及び内側保持部15に径方向で対向可能な軸方向の位置で平歯車からなるギヤ17,18が一体回転するように嵌合・固着されている。ギヤ17は、ギヤ16と噛合する平歯車からなるギヤ19と噛合しており、ギヤ18は、内側保持部15と噛合している。
従って、図2の左下に、軸方向に見た内側保持部15及びギヤ16〜19の噛合態様並びに各々の回転方向を併せ描画したように、モータ50の回転軸51が一方向に回転駆動されると、同回転軸51と一体でのギヤ17の回転がギヤ19に伝達されて同ギヤ19が逆方向に回転する。そして、ギヤ19の回転がギヤ16に伝達されて同ギヤ16が更に逆方向(回転軸51の回転方向)に回転する。つまり、ギヤ16の固着された貫通シャフト13(及び内側保持部14)は、回転軸51の回転方向に回転する。一方、モータ50の回転軸51が同じく一方向に回転駆動されると、同回転軸51と一体でのギヤ18の回転が内側保持部15に伝達されて同内側保持部15が逆方向に回転する。つまり、貫通シャフト13に回転自在に支持された内側保持部15は、回転軸51の回転方向とは逆方向に回転する。貫通シャフト13(内側保持部14)の回転駆動に係るギヤ17,19,16の回転伝達比と、内側保持部15の回転駆動に係るギヤ18及び内側保持部15(平歯車)の回転伝達比とは、互いに同等に設定されている。
一方のパワーアシスト部20は、軸受B6により貫通シャフト13の端部13aに回転自在に支持されたロータとしての外側保持部21を備える。この外側保持部21は、内側保持部14を内包する態様で有底円筒状に成形されている。外側保持部21(軸受B6)は、軸方向において内側保持部14の対向面との間に所定の間隙が設定されており、その間隙の範囲で貫通シャフト13に対する軸方向への移動が許容されている。また、外側保持部21の外周面には、等角度(90度:図4(a)〜(c)参照)間隔で配設された複数(4つ)の係止突部22が径方向外側に突設されている。そして、ハウジング(車体)には、係止突部22の回動軌跡を遮断可能に突設された爪状のストッパ23が設けられている。このストッパ23は、軸方向において外側保持部21が内側保持部14から離れて配置されているとき、係止突部22の回動軌跡を遮ることで外側保持部21の回転を係止する。また、ストッパ23は、軸方向において外側保持部21が内側保持部14に当接又は近接して配置されているとき(図3参照)、係止突部22の回動軌跡を解放することで外側保持部21の回転を許容する。
内側保持部14及び外側保持部21間に形成される環状の収容空間には、渦巻きばね24が収容されている。つまり、外側保持部21は、渦巻きばね24を収容するケースとしての機能を有する。この渦巻きばね24の内周側の端部は内側保持部14の外周部に嵌合・保持されており、外周側の端部は外側保持部21の内周部に嵌合・保持されている。そして、ストッパ23による外側保持部21の回転係止時に、モータ50の駆動により貫通シャフト13が一方向(以下、「A方向」ともいう)に回転駆動されると、これと一体で内側保持部14が同方向に回転することで、渦巻きばね24が巻き上げられる。これにより、渦巻きばね24は、機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する。また、この状態で、ストッパ23による外側保持部21の回転係止が解除されると、渦巻きばね24が巻き戻されるように弾性復帰することで、外側保持部21がA方向に回転する。つまり、渦巻きばね24に蓄積された弾性エネルギーは、外側保持部21の回転エネルギーに変換される。外側保持部21、係止突部22、ストッパ23及び渦巻きばね24は、一方のエネルギー蓄積手段を構成する。
外側保持部21の軸方向におけるウォーム12の対向面には、駆動側係合部材25が設けられている。この駆動側係合部材25は、外側保持部21の外周部に沿って周方向に等角度間隔に配設され、軸方向に凹凸する複数の鋸歯爪25aを有する。一方、ウォーム12には、軸方向において外側保持部21に対向する先端に、同外側保持部21の外径と同等の外径を有するフランジ26が一体形成されており、同フランジ26の軸方向における外側保持部21(駆動側係合部材25)の対向面には、従動側係合部材27が設けられている。この従動側係合部材27は、フランジ26の外周部に沿って周方向に等角度間隔に配設され、軸方向に凹凸する複数の鋸歯27aを有する。これら鋸歯爪25a及び鋸歯27aは、通常は軸方向において互いに干渉しないように離隔配置されており、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によってウォーム12が軸方向に移動することで噛合する(図3参照)。このとき、駆動側係合部材25(外側保持部21)が入力側としてA方向に回転すると、複数の鋸歯爪25aが複数の鋸歯27aに食い込んで従動側係合部材27に回転伝達される。そして、従動側係合部材27は、駆動側係合部材25と一体でA方向に回転する。このときの従動側係合部材27の回転方向(A方向)は、鋸歯爪25a及び鋸歯27aが噛合するようにスラスト力が発生するときのウォーム12の回転方向に一致する。一方、従動側係合部材27(ウォーム12)が入力側としてA方向に回転すると、複数の鋸歯爪25aが複数の鋸歯27aを乗り越えようとすることでウォーム12が軸方向に離れるように移動し、従動側係合部材27及び駆動側係合部材25の相対回転が許容される。そして、従動側係合部材27は、単独でA方向に回転する。駆動側係合部材25及び従動側係合部材27は、一方のクラッチ手段C1を構成する。
他方のパワーアシスト部30は、軸受B7により貫通シャフト13の端部13bに回転自在に支持されたロータとしての外側保持部31を備える。この外側保持部31は、内側保持部15を内包する態様で有底円筒状に成形されている。外側保持部31(軸受B7)も、前記外側保持部21に準じて貫通シャフト13に対する軸方向への移動が許容されている。また、外側保持部31の外周面には、等角度(90度:図4参照)間隔で配設された複数の係止突部32が径方向外側に突設されている。そして、ハウジング(車体)には、係止突部32の回動軌跡を遮断可能に突設された爪状のストッパ33が設けられている。このストッパ33も、前記ストッパ23に準じて外側保持部31の回転を係止又は許容する。
内側保持部15及び外側保持部31間に形成される環状の収容空間には、渦巻きばね24とは逆巻きとなる渦巻きばね34が収容されている。つまり、外側保持部31は、渦巻きばね34を収容するケースとしての機能を有する。この渦巻きばね34の内周側の端部は内側保持部15の外周部に嵌合・保持されており、外周側の端部は外側保持部31の内周部に嵌合・保持されている。そして、ストッパ33による外側保持部31の回転係止時に、モータ50の駆動により内側保持部15が他方向(以下、「B方向」ともいう)に回転駆動されると、渦巻きばね34が巻き上げられる。これにより、渦巻きばね34は、機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する。また、この状態で、ストッパ33による外側保持部31の回転係止が解除されると、渦巻きばね34が巻き戻されるように弾性復帰することで、外側保持部31がB方向に回転する。つまり、渦巻きばね34に蓄積された弾性エネルギーは、外側保持部31の回転エネルギーに変換される。外側保持部31、係止突部32、ストッパ33及び渦巻きばね34は、他方のエネルギー蓄積手段を構成する。渦巻きばね24,34から解放される回転エネルギーの方向が互いに逆向きであることはいうまでもない。
外側保持部31の軸方向におけるウォーム12の対向面には、駆動側係合部材35が設けられている。この駆動側係合部材35は、外側保持部31の外周部に沿って周方向に等角度間隔に配設され、軸方向に凹凸する複数の鋸歯爪35aを有する。一方、ウォーム12には、軸方向において外側保持部31に対向する先端に、同外側保持部31の外径と同等の外径を有するフランジ36が一体形成されており、同フランジ36の軸方向における外側保持部31(駆動側係合部材35)の対向面には、従動側係合部材37が設けられている。この従動側係合部材37は、フランジ36の外周部に沿って周方向に等角度間隔に配設され、軸方向に凹凸する複数の鋸歯37aを有する。これら鋸歯爪35a及び鋸歯37aは、通常は軸方向において互いに干渉しないように離隔配置されており、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によってウォーム12が軸方向に移動することで噛合する。このとき、駆動側係合部材35(外側保持部31)が入力側としてB方向に回転すると、複数の鋸歯爪35aが複数の鋸歯37aに食い込んで従動側係合部材37に回転伝達される。そして、従動側係合部材37は、駆動側係合部材35と一体でB方向に回転する。このときの従動側係合部材27の回転方向(B方向)は、鋸歯爪35a及び鋸歯37aが噛合するようにスラスト力が発生するときのウォーム12の回転方向に一致する。一方、従動側係合部材37(ウォーム12)が入力側としてB方向に回転すると、複数の鋸歯爪35aが複数の鋸歯37aを乗り越えようとすることでウォーム12が軸方向に離れるように移動し、従動側係合部材37及び駆動側係合部材35の相対回転が許容される。そして、従動側係合部材37は、単独でB方向に回転する。駆動側係合部材35及び従動側係合部材37は、他方のクラッチ手段C2を構成する。
前記ウォームシャフト12aの外周面には、フランジ36の近傍において、対の周溝41,42が形成されている。これら周溝41,42は、ウォーム12の軸方向に離隔配置されている。一方、図5に示すように、周溝41,42に径方向で対向するようにハウジング(車体)に一体に取り付けられたばね固定部材43には、両周溝41,42の離隔距離よりも長い開口幅を有する四角形の取付凹部43aが形成されている。そして、取付凹部43aには、その底壁の両端において、対の付勢手段としてのクリックばね44,45の一方の端部44a,45aがそれぞれ保持されている。端部44a,45aは、取付凹部43aの内壁面に沿って延出しており、同取付凹部43aの開口端から突出するクリックばね44,45の他方の端部44b,45bは、周溝41,42に向かって折曲される態様で同周溝41,42にそれぞれ引っ掛けられている。図6(a)〜(c)に示すように、各クリックばね44,45は、帯状の金属板を長手方向中央部で「く」の字に折曲するとともに、短手方向中央部で「く」の字に折曲してなる。そして、ウォーム12が、軸方向において駆動側係合部材25及び従動側係合部材27、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37が共に係合しない所定の中立位置にあるとき(図2参照)、図5(a)に示すように、両クリックばね44,45は、端部44b,45bが互いに内向きになるように配置されている。このとき、クリックばね44,45は、操舵トルクが所定トルクを超えるまで、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力に抗して同ウォーム12の軸方向への移動を規制する。両周溝41,42及び両クリックばね44,45は規制手段40を構成する。
また、一方向の操舵トルクが所定トルクを超え、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって軸方向に移動したウォーム12が、駆動側係合部材25及び従動側係合部材27の係合する所定の作動位置にあるとき(図3参照)、図5(b)に示すように、移動側のクリックばね44は更に深く折曲するとともに、反対側のクリックばね45は折曲方向が引っくり返るようにスナップ動作する。換言すれば、ウォーム12は、クリックばね45のスナップ動作によってステップ的に当該作動位置に移動する。そして、ウォーム12が、所定の中立位置に復帰すると、図5(c)に示すように、クリックばね45は再び折曲方向が引っくり返るように、即ち折曲方向が戻るようにスナップ動作する。尚、他方向の操舵トルクが所定トルクを超え、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって軸方向に移動したウォーム12が、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37の係合する所定の作動位置にあるとき、移動側のクリックばね45は更に深く折曲するとともに、反対側のクリックばね44は折曲方向が引っくり返るようにスナップ動作する。このとき、ウォーム12がステップ的に当該作動位置に移動することはいうまでもない。
図5(d)は、力(スラスト力)とストローク(ウォーム12の移動量)との関係を示すグラフである。同図に示すように、ウォーム12は、いずれか一方のクリックばね44,45のスナップ動作によってステップ的に移動する。そして、ウォーム12は、クリックばね44,45により、所定の中立位置及び両作動位置に付勢保持される。
次に、本実施形態の動作について総括して説明する。
まず、規制手段40によりウォーム12が所定の中立位置に付勢保持され、ストッパ23,33により外側保持部21,31の回転が共に係止されているものとして説明する。この状態でモータ50が駆動されると、前述の態様で渦巻きばね24,34が巻き上げられることで、これら渦巻きばね24,34に互いに逆方向の弾性エネルギーが蓄積される。
そして、一方向(例えば右切り方向)へのステアリング操作に伴い、コラムシャフト8がウォームホイール11ともども回転して、ウォーム12がA方向に回転したとする。このとき、規制手段40によりウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力に抗することで、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えるまで、ウォーム12の軸方向への移動、即ち従動側係合部材27及び駆動側係合部材25の係合等が規制される。これにより、例えば中高速走行中の操舵時など操舵トルクが小さいときに、コラムシャフト8の回転がアシストされることはない。
一方、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えると、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって、規制手段40によるウォーム12の軸方向移動の規制が解除されるとともに、同ウォーム12が軸方向に移動することで、従動側係合部材27及び駆動側係合部材25が係合する(図3参照)。この際、従動側係合部材27は、駆動側係合部材25を介して外側保持部21を押圧移動させることで、ストッパ23による外側保持部21の回転係止が解除される(エネルギー解放手段)。これにより、渦巻きばね24から解放された弾性エネルギーが回転エネルギーに変換されてウォーム12に伝達され、同ウォーム12と噛合するウォームホイール11の回転、即ちコラムシャフト8の回転がアシストされる。
尚、逆方向(例えば左切り方向)へのステアリング操作に伴い、ウォーム12がB方向に回転した場合についても、前記したパワーアシスト部20(外側保持部21等)側の動作をパワーアシスト部30側の動作に置き換えることで同様に説明される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、各パワーアシスト部20,30は、駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37(クラッチ手段C1,C2)による外側保持部21,31等(エネルギー蓄積手段)とウォーム12との接続に連動して、ストッパ23,33による外側保持部21,31の回転係止を解除することで、渦巻きばね24,34に蓄積された弾性エネルギーを解放し、ウォーム12を回転させる。これにより、ウォーム12と噛合するウォームホイール11の回転、即ちコラムシャフト8の回転を該当のステアリング操作の方向に応じた回転方向でアシストすることができる。この場合、コラムシャフト8の回転のアシストは、例えば据え切り操舵時など操舵トルクが所定トルクを超える限定的な状況下において、渦巻きばね24,34に蓄積された弾性エネルギーを解放することで実現されるため、例えばモータのトルクでコラムシャフト8の回転をアシストする場合のように、大トルクに対応するための大型化を抑制することができる。従って、より小型・低トルクのモータ50を採用することができ、ひいてはコストを削減することができる。また、コラムシャフト8の回転のアシストは、操舵トルクが所定トルクを超えることを前提に、渦巻きばね24,34に蓄積された弾性エネルギーを解放する等、機械的な仕組みで実現できるため、例えば電気的な制御(モータ出力の制御)で実現する場合に比べてその構成をより簡易化することができる。そして、モータ50を駆動制御する電子制御装置(ECU)は同モータ50をオン・オフする程度の機能を有すればよく、操舵トルクを検出するためのトルクセンサも不要であることから、コストを削減することができる。
(2)本実施形態では、各パワーアシスト部20,30は、規制手段40によるウォーム12の軸方向移動の規制解除時に駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37を係合させて、渦巻きばね24,34から解放された弾性エネルギーをウォーム12に伝達することで、同ウォーム12と噛合するウォームホイール11の回転、即ちコラムシャフト8の回転をアシストすることができる。一方、各パワーアシスト部20,30は、規制手段40によりウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力に抗することで、該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えるまで、ウォーム12の軸方向への移動、即ち駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37の係合によるコラムシャフト8の回転のアシストを規制することができる。従って、コラムシャフト8の回転のアシストが、例えば中高速走行中の操舵時など操舵トルクが小さいときに行われることを回避することができる。
(3)本実施形態では、規制手段40は、ハウジング(車体)に一方の端部44a,45aが保持されたクリックばね44,45の他方の端部44b,45bを周溝41,42に引っ掛けてウォーム12の軸方向位置を所定の中立位置に付勢保持するという極めて簡易な構造で、操舵トルクが所定トルクを超えるまでウォーム12の軸方向への移動を規制することができる。
(4)本実施形態では、ウォーム12は、駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37が係合する所定の作動位置で、該当するいずれか一方のクリックばね44,45がスナップ動作することで、その軸方向位置を保持することができる。従って、駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37の係合によるコラムシャフト8回転のアシストをより安定した状態で行うことができる。
(5)本実施形態では、渦巻きばね24,34に機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する際にモータ50により回転駆動される貫通シャフト13及び内側保持部15は、共にウォーム12の軸方向に沿って集約的に配置されることで、全体としてより小型化することができる。そして、渦巻きばね24,34は、ストッパ23,33による外側保持部21,31の回転係止時にモータ50による貫通シャフト13又は内側保持部15の回転駆動によって、弾性エネルギーを蓄積することができる。このように、渦巻きばね24,34は、モータ50による貫通シャフト13又は内側保持部15の回転駆動によって巻き上げられるだけで、弾性エネルギーを蓄積することができ、その構造を極めて簡易なものにできる。また、モータ50は、渦巻きばね24,34を巻き上げるために必要なトルクさえ確保できればよいため、より小型・低トルクのものを採用することができ、ひいてはコストを削減することができる。
(6)本実施形態では、駆動側係合部材25,35及び従動側係合部材27,37(クラッチ手段C1,C2)による外側保持部21,31等(エネルギー蓄積手段)とウォーム12との接続時に、従動側係合部材27,37で駆動側係合部材25,35を押圧移動させることにより、外側保持部21,31とストッパ23,33との係合を解除して外側保持部21,31の回転を許容するという極めて簡易な構成で、渦巻きばね24,34に蓄積された弾性エネルギーを解放することができる。
(7)本実施形態では、入力側としての駆動側係合部材25,35の回転時に複数の鋸歯爪25a,35aを複数の鋸歯27a,37aに食い込ませることで、駆動側係合部材25,35の回転を従動側係合部材27,37に伝達することができる。一方、入力側としての従動側係合部材27,37の回転時に複数の鋸歯爪25a,35aに複数の鋸歯27a,37aを乗り越えさせることで、例えば位置ずれ等で複数の鋸歯27a,37a及び複数の鋸歯爪25a,35aが噛み合ったとしても、従動側係合部材27,37の回転が駆動側係合部材25,35へと伝達されることを抑制することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図7に示す構造の規制手段60を採用してもよい。すなわち、図7(a)に示すように、この規制手段60は、前記ウォームシャフト12aの外周面に形成された周溝61を有するとともに、同周溝61に対し軸方向両側に所定距離だけ離隔されてウォームシャフト12aの外周面に形成された対の作動用周溝62,63を有する。一方、周溝61〜63に径方向で対向するようにハウジング(車体)に一体に取り付けられた有底筒状のホルダ65には、付勢手段としてのコイルばね66の一方の端部が保持されている。このコイルばね66は、ウォーム12の径方向に伸縮可能にホルダ65に収容されて、ウォーム12の径方向への付勢力を発生する。コイルばね66のウォーム12に臨んでホルダ65から突出する先端部には、周溝61〜63に選択的に嵌入可能な嵌入部としてのボール67が保持されている。規制手段60は、ウォーム12が軸方向において駆動側係合部材25及び従動側係合部材27、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37が共に係合しない所定の中立位置にあるとき、コイルばね66に付勢されたボール67を周溝61に嵌入することで、ウォーム12の軸方向位置を付勢保持する。このとき、規制手段60は、操舵トルクが所定トルクを超えるまで、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力に抗して同ウォーム12の軸方向への移動を規制する。
また、一方向の操舵トルクが所定トルクを超え、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって軸方向に移動したウォーム12が、駆動側係合部材25及び従動側係合部材27の係合する所定の作動位置にあるとき(図3参照)、これに伴い周溝61から外れたボール67が移動側の作動用周溝62に嵌入する。これにより、規制手段60は、当該作動位置でウォーム12の軸方向位置を付勢保持する。そして、ウォーム12が、所定の中立位置に復帰すると、これに伴い作動用周溝62から外れたボール67が再び周溝61に嵌入する。尚、他方向の操舵トルクが所定トルクを超え、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって軸方向に移動したウォーム12が、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37の係合する所定の作動位置にあるときも、作動用周溝62を作動用周溝63に置き換えることで同様に説明される。
このように変更することで、前記実施形態の(1)(4)〜(7)の効果に加えて、以下に示す効果が得られるようになる。すなわち、規制手段60は、ホルダ65に収容されたコイルばね66の先端部に設けられたボール67を周溝61に嵌入してウォーム12の軸方向位置を所定の中立位置に保持するという極めて簡易な構造で、操舵トルクが所定トルクを超えるまでウォーム12の軸方向への移動を規制することができる。また、ウォーム12は、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37が係合する所定の作動位置でボール67が対応する作動用周溝62,63に嵌入することで、その軸方向位置を保持することができる。従って、駆動側係合部材35及び従動側係合部材37の係合によるコラムシャフト8の回転のアシストをより安定した状態で行うことができる。
・また、図7(b)に示すように、周溝61と両作動用周溝62,63との間に、周溝61側に向かってウォームシャフト12aを徐々に縮径するテーパ68,69をそれぞれ形成してもよい。この場合、作動用周溝62,63から外れたボール67がテーパ68,69に沿って周溝61に案内されることで、同周溝61に円滑に嵌入することができる。
・前記実施形態において、車体(ばね固定部材43)に一方の端部が保持され、周溝(41,42)に他方の端部が引っ掛けられる板ばねによって規制手段を構成してもよい。この場合、板ばねは、操舵トルクが所定トルクを超えるまで、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力に抗して所定の中立位置にある同ウォーム12の軸方向への移動を規制する。また、操舵トルクが所定トルクを超えると、ウォームホイール11及びウォーム12の噛合に伴い発生するスラスト力によって、板ばねを撓ませつつ同ウォーム12が軸方向に移動する。尚、板ばね及び周溝は、1つずつあればよい。
・前記実施形態において、渦巻きばね24,34に代えて、板ばねやねじりコイルばね、トーションバーなどを採用してもよい。
・前記実施形態において、第1及び第2ギヤとしてのウォームホイール11及びウォーム12に代えて、例えば対のはすば歯車や傘歯車を採用してもよい。要は、両ギヤの噛合に伴いスラスト力が発生して回転のアシストされる側のギヤが軸方向に移動するものであればよい。
・前記実施形態において、クラッチ手段C1,C2の構成は一例であり、駆動側係合部材25,35を入力側とする回転を従動側係合部材27,37に伝達する適宜のワンウェイクラッチであればよい。
・前記実施形態において、ストッパ23,33による外側保持部21,31の回転係止の解除に連動して、モータ50(回転軸51)の回転を外側保持部21,31に伝達し、モータトルクをアシスト力としてウォーム12に付加するようにしてもよい。
・前記実施形態においては、機械的エネルギー(渦巻きばね24,34の弾性エネルギー)の蓄積を、モータ50による貫通シャフト13及び内側保持部15の回転駆動によって行ったが、例えばエンジンの出力軸や走行中の車輪の回転と連係させて行ってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項3に記載のパワーステアリング装置において、
前記周溝及び前記付勢手段は、前記第2ギヤの軸方向に離隔配置されて対で配設されており、
前記両付勢手段は、前記各クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合する所定の作動位置で、該当するいずれか一方がスナップ動作して前記第2ギヤの軸方向位置を付勢保持するクリックばねであることを特徴とするパワーステアリング装置。同構成によれば、前記第2ギヤは、前記各クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合する所定の作動位置で、該当するいずれか一方の前記付勢手段(クリックばね)がスナップ動作することで、その軸方向位置を保持することができる。従って、前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材の係合による前記ステアリングシャフトの回転のアシストをより安定した状態で行うことができる。
(ロ)請求項2〜5及び上記(イ)のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置において、
前記従動側係合部材は、周方向に等角度間隔で配設された複数の鋸歯を有し、
前記駆動側係合部材は、周方向に等角度間隔で配設され、該駆動側係合部材の回転時に前記複数の鋸歯に食い込んで前記駆動側係合部材の回転を前記従動側係合部材に伝達するとともに、前記従動側係合部材の回転時に前記複数の鋸歯を乗り越えて前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材の相対回転を許容する複数の鋸歯爪を有することを特徴とするパワーステアリング装置。同構成によれば、前記各クラッチ手段は、前記駆動側係合部材の回転時に前記複数の鋸歯爪を前記複数の鋸歯に食い込ませることで、前記駆動側係合部材の回転を前記従動側係合部材に伝達することができる。一方、前記各クラッチ手段は、前記従動側係合部材の回転時に前記複数の鋸歯爪に前記複数の鋸歯を乗り越えさせることで、例えば位置ずれ等で前記複数の鋸歯及び前記複数の鋸歯爪が噛み合ったとしても、前記従動側係合部材の回転が前記駆動側係合部材へと伝達されることを抑制することができる。
(ハ)請求項6に記載のパワーステアリング装置において、
前記周溝に対し軸方向両側に所定距離だけ離隔されて前記第2ギヤの外周面に形成され、前記両クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合する所定の作動位置で前記嵌入部がそれぞれ嵌入して前記第2ギヤの軸方向位置を保持する対の作動用周溝を備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。同構成によれば、前記第2ギヤは、前記各クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合する所定の作動位置で前記嵌入部が対応する前記作動用周溝に嵌入することで、その軸方向位置を保持することができる。従って、前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材の係合による前記ステアリングシャフトの回転のアシストをより安定した状態で行うことができる。
C1,C2…クラッチ手段、1…パワーステアリング装置、3…ステアリングシャフト、8…コラムシャフト、11…ウォームホイール(第1ギヤ)、12…ウォーム(第2ギヤ)、12a…ウォームシャフト、13…貫通シャフト、14…内側保持部、15…内側保持部(筒状シャフト)、20,30…パワーアシスト部、21,31…外側保持部(ロータ、エネルギー蓄積手段)、22,32…係止突部(エネルギー蓄積手段)、23,33…ストッパ(エネルギー蓄積手段)、24,34…渦巻きばね(エネルギー蓄積手段)、25,35…駆動側係合部材(クラッチ手段)、27,37…従動側係合部材(クラッチ手段、エネルギー解放手段)、40,60…規制手段、41,42,61…周溝、44,45…クリックばね(付勢手段)、50…モータ(駆動源)、62,63…作動用周溝、65…ホルダ、66…コイルばね(付勢手段)、67…ボール(嵌入部)。

Claims (6)

  1. ステアリング操作の方向に応じた回転方向で回転するステアリングシャフトに一体回転するように設けられた第1ギヤと、
    前記第1ギヤと噛合する第2ギヤと、
    前記第2ギヤに連係可能に設けられ、ステアリング操作の方向に応じた回転方向で前記ステアリングシャフトの回転をそれぞれアシストする対のパワーアシスト部とを備え、
    前記各パワーアシスト部は、
    機械的エネルギーを蓄積するエネルギー蓄積手段と、
    該当のステアリング操作の方向の操舵トルクが所定トルクを超えたときに、前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとを接続するクラッチ手段と、
    前記クラッチ手段による接続に連動して、前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放し、前記第2ギヤを回転させるエネルギー解放手段とを備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記操舵トルクが前記所定トルクを超えるまで、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤの噛合に伴い発生するスラスト力に抗して該第2ギヤの軸方向への移動を規制する規制手段を備え、
    前記各クラッチ手段は、
    前記第2ギヤに設けられた従動側係合部材と、
    前記エネルギー蓄積手段に設けられ、前記規制手段による前記第2ギヤの軸方向移動の規制解除時に前記従動側係合部材と係合して前記エネルギー蓄積手段から解放された機械的エネルギーを前記第2ギヤに伝達する駆動側係合部材とを備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
    前記規制手段は、
    前記第2ギヤの外周面に形成された周溝と、
    前記第2ギヤを回転自在に収容するハウジングに一方の端部が保持され、前記周溝に他方の端部が引っ掛けられて、前記両クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合しない所定の中立位置に前記第2ギヤの軸方向位置を付勢保持する付勢手段とを備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 請求項2又は3に記載のパワーステアリング装置において、
    前記第2ギヤの軸方向に沿って該第2ギヤに回転自在に挿通され、駆動源により回転駆動される貫通シャフトと、
    前記貫通シャフトの前記第2ギヤを貫通する一方の端部に回転自在に支持され、前記駆動源により前記貫通シャフトと逆方向で回転駆動される筒状シャフトとを備え、
    前記各エネルギー蓄積手段は、
    前記貫通シャフトに回転自在に支持され、前記駆動側係合部材の設けられたロータと、
    前記規制手段による前記第2ギヤの軸方向移動の規制時に前記ロータと係合して該ロータの回転を係止するストッパと、
    前記貫通シャフトの前記第2ギヤを貫通する他方の端部又は前記筒状シャフトに一方の端部が保持されるとともに前記ロータに他方の端部が保持され、前記ストッパによる前記ロータの回転係止時に前記駆動源による前記貫通シャフト又は前記筒状シャフトの回転駆動によって前記機械的エネルギーとしての弾性エネルギーを蓄積する渦巻きばねを備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 請求項4に記載のパワーステアリング装置において、
    前記各エネルギー解放手段は、前記クラッチ手段による前記エネルギー蓄積手段と前記第2ギヤとの接続時に、前記従動側係合部材で前記駆動側係合部材を押圧移動させることにより、前記ロータと前記ストッパとの係合を解除して前記ロータの回転を許容し、前記エネルギー蓄積手段に蓄積された機械的エネルギーを解放してなることを特徴とするパワーステアリング装置。
  6. 請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
    前記規制手段は、
    前記第2ギヤの外周面に形成された周溝と、
    前記第2ギヤを回転自在に収容するハウジングに固定されたホルダと、
    前記第2ギヤの径方向に伸縮可能に前記ホルダに収容され、前記第2ギヤの径方向への付勢力を発生する付勢手段と、
    前記第2ギヤに臨んで前記ホルダから突出する前記付勢手段の先端部に設けられ、前記両クラッチ手段の前記従動側係合部材及び前記駆動側係合部材が係合しない所定の中立位置で前記周溝に嵌入して前記第2ギヤの軸方向位置を保持する嵌入部とを備えたことを特徴とするパワーステアリング装置。
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