以下、本発明の一実施の形態に係る食器洗い機について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、食器等の被洗浄物の洗浄およびすすぎに用いられる液体を洗浄水と称する。
(1)食器洗い機の構成
図1および図2は、本発明の一実施の形態に係る食器洗い機の構成を示す正面図および側面図である。図1の正面図においては、食器洗い機1の正面の一部が切り欠いて図示されている。また、図2の側面図では、食器洗い機1の内部が透過して図示されている。
図1および図2に示すように、食器洗い機1は筐体1aを備える。筐体1aの前面部には、開閉可能な扉16(図2)が設けられている。扉16の一部には窓部16a(図2)が形成されている。筐体1a内に、食器等の被洗浄物10の洗浄を行うための洗浄槽2が設けられている。
洗浄槽2の上段部には、上段食器かご8が前後方向に移動可能に設けられている。上段食器かご8は、洗浄槽2の一側面側に設けられる左収容部8a、および洗浄槽2の他側面側に設けられる右収容部8bを有する。左収容部8aは、右収容部8bよりも低い位置に設けられる。
洗浄槽2の下段部には、下段食器かご9が前後方向に移動可能に設けられている。下段食器かご9は、洗浄槽2の一側面側に設けられる左収容部9a、および洗浄槽2の他側面側に設けられる右収容部9bを有する。左収容部9aと右収容部9bとは同じ高さに設けられる。
上段食器かご8の左収容部8aおよび右収容部8b、ならびに下段食器かご9の左収容部9aおよび右収容部9bに、種々の被洗浄物10が収容される。
洗浄槽2の背面には、略十字状の固定洗浄ノズル5が配置されている。固定洗浄ノズル5は、上下方向に延びる縦ノズル部5aおよびその縦ノズル部5aの略中央部で横方向に延びる横ノズル部5bを有する。縦ノズル部5aの上端部は洗浄槽2の他側面に向かって横方向に屈曲し、屈曲部5cが形成されている。屈曲部5cに複数の液噴射口20aが形成されている。
また、縦ノズル部5aの上端部の直上に、濁度検出部60が設けられている。濁度検出部60の詳細については後述する。
洗浄槽2の一側面側において、固定洗浄ノズル5の横ノズル部5bから前方に延びるように、導水管6が取り付けられている。導水管6の先端部に、回転洗浄ノズル7が鉛直軸
周りに回転可能に取り付けられている。回転洗浄ノズル7は回転中心から一方向および逆方向に延びる羽根部を有し、それらの羽根部の上面に複数の液噴射口(図示せず)が形成されている。回転洗浄ノズル7は、上段食器かご8の左収容部8aの下方に配置される。また、洗浄槽2の他側面側における横ノズル部5bには、複数の液噴射口20bが形成されている。
洗浄槽2の底部には回転洗浄ノズル3,4が鉛直軸周りに回転可能に取り付けられている。回転洗浄ノズル3,4の各々は、回転洗浄ノズル7と同様に、回転中心から一方向および逆方向に延びる羽根部を有し、それらの羽根部の上面には複数の液噴射口(図示せず)が形成されている。回転洗浄ノズル3は、下段食器かご9の左収容部9aの下方に配置され、回転洗浄ノズル4は、下段食器かご9の右収容部9bの下方に配置される。
図2に示すように、下段食器かご9の下方における洗浄槽2の前面側には、被洗浄物10の洗浄またはすすぎに用いられる洗浄水を一時的に貯留する貯留部12が形成されている。
洗浄槽2の背面の下端近傍に、給水管31の一端が接続されている。給水管31は筐体1aの外部に延びるとともに、その他端が図示しない水道配管に接続される。筐体1aの内部において、給水管31には給水弁31aが介挿されている。給水弁31aが開くことにより、洗浄槽2内に洗浄水として水道水が導入される。洗浄槽2内に導入された洗浄水は、貯留部12に貯留される。
貯留部12には、貯留された洗浄水を加熱するため、および洗浄槽2内部の雰囲気を加熱するためのヒータ14が配置されている。また、洗浄槽2の底面の外壁には、温度センサ17が設けられている。温度センサ17は、洗浄槽2の底面の外壁を介して貯留部12に貯留された洗浄水の温度および洗浄槽2内部の雰囲気の温度を間接的に検出する。
貯留部12の底部には、排水口12aが形成されている。排水口12aの直上には、被洗浄物10から取り除かれた残菜を収集するための残菜フィルタ13が着脱可能に取り付けられている。なお、本実施の形態において、残菜とは、洗浄またはすすぎにより被洗浄物10から取り除かれた汚れのうちの固形物をいう。
排水口12aの下部には、洗浄水導入導出部Gが形成されている。洗浄水導入導出部Gには、配管11aを介してポンプ11が接続されている。これにより、ポンプ11の内部空間と洗浄水導入導出部Gの内部空間とが連通する。ポンプ11には、筐体1aの外部に延びる排水管32、および分水機構15が取り付けられている。なお、本実施の形態では、ポンプ11として可逆回転型のポンプが用いられる。排水管32は、図示しないトラップ構造を有する。
ポンプ11の側方には、乾燥機構72が設けられている。乾燥機構72は、例えばファン等を含み、図示しない気体導入管を通して洗浄槽2の背面から洗浄槽2の内部に気体を供給する。これにより、後述する被洗浄物10の乾燥工程で洗浄槽2の内部空間に気流が発生する。
上記の分水機構15には、複数の流路が接続されている。これらの複数の流路について説明する。図3は、図2の分水機構15に接続される複数の流路を説明するための図である。
図3に太い一点鎖線で示すように、分水機構15には、第1、第2、第3および第4の流路Ra,Rb,Rc,Rdが接続されている。第1の流路Raは分水機構15と回転洗
浄ノズル3とを接続する。この第1の流路Raは分水機構15内の洗浄水を回転洗浄ノズル3に供給するために用いられる。
第2の流路Rbは分水機構15と回転洗浄ノズル4とを接続する。この第2の流路Rbは分水機構15内の洗浄水を回転洗浄ノズル4に供給するために用いられる。
第3の流路Rcは固定洗浄ノズル5の内部に形成されている。具体的には、第3の流路Rcは、固定洗浄ノズル5の縦ノズル部5aを通して分水機構15と濁度検出部60とを接続する。また、第3の流路Rcは、固定洗浄ノズル5の縦ノズル部5aおよび屈曲部5cを通して分水機構15と複数の液噴射口20aとを接続する。さらに、第3の流路Rcは、固定洗浄ノズル5の縦ノズル部5a、および洗浄槽2の他側面側における横ノズル部5bを通して分水機構15と複数の液噴射口20bとを接続する。この第3の流路Rcは分水機構15内の洗浄水を濁度検出部60および固定洗浄ノズル5の複数の液噴射口20a,20bに供給するために用いられる。
第4の流路Rdも固定洗浄ノズル5の内部に形成されている。具体的には、第4の流路Rdは、固定洗浄ノズル5の縦ノズル部5a、洗浄槽2の一側面側における横ノズル部5b、および導水管6を通して分水機構15と回転洗浄ノズル7とを接続する。この第4の流路Rdは分水機構15内の洗浄水を回転洗浄ノズル7に供給するために用いられる。
分水機構15の内部には弁体が設けられている。本実施の形態において、弁体は、ポンプ11の動作に応じて分水機構15の内部空間を第1〜第4の流路Ra〜Rdのいずれかに選択的に連通させる。
具体的には、この弁体は、ポンプ11のモータが停止している状態からポンプ11のモータが一方向に回転する状態に移行するときに、分水機構15の内部空間と第1〜第4の流路Ra〜Rdとの連通状態を切り替える。これにより、ポンプ11のモータが断続的に一方向に回転する場合には、ポンプ11が停止状態から動作するごとに、第1、第2、第3および第4の流路Ra,Rb,Rc,Rdがこの順で分水機構15の内部空間に連通される。
食器洗い機1において、被洗浄物10の洗浄またはすすぎが行われる場合には、まず給水弁31aが開かれることにより給水管31から洗浄槽2の底面を通して貯留部12内に洗浄水(水道水)が供給される。
所定量の洗浄水が貯留部12内に貯留された後、ポンプ11のモータが一方向に回転する。これにより、貯留部12に貯留された洗浄水がポンプ11により吸引され、分水機構15に圧送される。分水機構15においては、ポンプ11から圧送された洗浄水が、弁体により第1〜第4の流路Ra〜Rdのいずれかに選択的に供給される。
洗浄水が第1の流路Raに供給されると、回転洗浄ノズル3の液噴射口から下段食器かご9の左収容部9aに収容された被洗浄物10に向けて洗浄水が噴射される。
洗浄水が第2の流路Rbに供給されると、回転洗浄ノズル4の液噴射口から下段食器かご9の右収容部9bに収容された被洗浄物10に向けて洗浄水が噴射される。
洗浄水が第4の流路Rdに供給されると、回転洗浄ノズル7の液噴射口から上段食器かご8の左収容部8aに収容された被洗浄物10に向けて洗浄水が噴射される。
回転洗浄ノズル3,4,7から洗浄水が噴射される際には、洗浄水の噴射に伴って羽根
部に作用する反力により回転洗浄ノズル3,4,7が鉛直軸周りに回転する。それにより、回転洗浄ノズル4から被洗浄物10への洗浄水の噴射方向が連続的に変化する。
洗浄水が第3の流路Rcに供給されると、固定洗浄ノズル5の液噴射口20a,20bから上段食器かご8の右収容部8bに収容された被洗浄物10に向けて洗浄水が噴射される。また、濁度検出部60に洗浄水が供給され、洗浄水の濁度が検出される。詳細は後述する。
上記の食器洗い機1において、被洗浄物10の洗浄またはすすぎが終了すると、ポンプ11のモータが逆方向に回転する。これにより、貯留部12に貯留された洗浄水および分水機構15に残留する洗浄水が、排水口12aおよび洗浄水導入導出部Gを通してポンプ11により吸引され、排水管32を通して洗浄槽2の外部に排出される。
(2)食器洗い機の動作概要
食器洗い機1の動作概要について説明する。図4は、食器洗い機1の動作概要を示すフローチャートである。
図4に示すように、まず、洗浄槽2内に残留する洗浄水が排出され、給水弁31aが開かれることにより給水管31から貯留部12内に水道水が供給される(ステップS1:排水/給水工程)。
次に、洗浄槽2内に供給された水道水に洗剤が溶解することにより洗浄水が得られ、その洗浄水がポンプ11により第1〜第4の流路Ra〜Rdに圧送される。これにより、回転洗浄ノズル3,4,7および固定洗浄ノズル5から被洗浄物10に洗浄水が噴射され、被洗浄物10の洗浄が行われる(ステップS2:洗浄工程)。
この場合、被洗浄物10に噴射された洗浄水は、洗浄槽2の壁面等を伝って貯留部12に流入し、再び貯留部12に貯留される。貯留部12に貯留された洗浄水は、再びポンプ11により第1〜第4の流路Ra〜Rdに圧送され、各ノズル3,4,5,7から被洗浄物10に噴射される。このように、被洗浄物10の洗浄時には、洗浄槽2の内部で洗浄水が循環する。
被洗浄物10の洗浄が終了すると、被洗浄物10の洗浄に用いられた洗浄水がポンプ11により排水管32を通して排出される。そして、給水弁31aが開かれることにより、洗浄槽2の貯留部12に再び水道水が供給される(ステップS3:排水/給水工程)。
次に、洗浄槽2内に供給された水道水が、洗浄水としてポンプ11により第1〜第4の流路Ra〜Rdに圧送される。これにより、各ノズル3,4,5,7から被洗浄物10に洗浄水が噴射され、被洗浄物10のすすぎが行われる(ステップS4:すすぎ工程)。
被洗浄物10のすすぎが終了すると、すすぎに用いられた洗浄水がポンプ11により排水管32を通して排出される。そして、給水弁31aが開かれることにより、洗浄槽2の貯留部12に再び水道水が供給される(ステップS5:排水/給水工程)。
次に、ヒータ14が動作することにより、貯留部12内に貯留された水道水が所定の温度に加熱される。そして、加熱された水道水が、洗浄水としてポンプ11により第1〜第4の流路Ra〜Rdに圧送される。これにより、各ノズル3,4,5,7から被洗浄物10に所定温度に加熱された洗浄水が噴射され、被洗浄物10の加熱すすぎが行われる(ステップS6:すすぎ工程)。
この場合、熱によって被洗浄物10の除菌を行うことができるとともに、後の乾燥工程における被洗浄物10の乾燥効率を高めることができる。
被洗浄物10の加熱すすぎが終了すると、加熱すすぎに用いられた洗浄水がポンプ11により排水管32を通して排出される(ステップS7:排水工程)。
最後に、ポンプ11の動作が停止され、図2の乾燥機構72が動作する。乾燥機構72は、洗浄槽2の内部空間に気流を発生させる。これにより、ヒータ14により所定温度に加熱された雰囲気が洗浄槽2の内部を循環する。それにより、被洗浄物10が乾燥される(ステップS8:乾燥工程)。被洗浄物10の乾燥が完了することにより、食器洗い機1における一連の動作が終了する。
なお、上記では言及していないが、実際には、ステップS2の洗浄工程においても洗浄水がヒータ14により所定の温度に加熱される。一方、ステップS4のすすぎ工程においては、洗浄水はヒータ14により加熱されない。しかしながら、洗浄条件が調整されることにより、ステップS4のすすぎ工程においても洗浄水がヒータ14により所定の温度に加熱される場合もある。
上記の一連の動作のうち、ステップS2の洗浄工程およびステップS3,S4のすすぎ工程の回数は、濁度検出部60により検出される洗浄水の濁度に応じて適宜変更することができる。また、洗浄工程およびすすぎ工程においては、濁度検出部60により検出される洗浄水の濁度に応じて洗浄水の温度、および洗浄時間またはすすぎ時間を適宜変更することができる。洗浄水の濁度に応じた食器洗い機1の制御については後述する。
(3)濁度検出部の詳細
濁度検出部60の詳細を説明する。図5は図1の濁度検出部60の組み立て斜視図であり、図6は図1の濁度検出部60の縦断面図である。
図5および図6に示すように、濁度検出部60は、主として下カバー610、パッキン620、センサ収容カバー630、センサ支持ケース640、上カバー650、プリント基板64P、光センサ64から構成されている。
下カバー610は、図1の洗浄槽2における天井面の一部を構成する。すなわち、洗浄槽2の天井面は、その一部が下方に突出するように形成されている。下カバー610の中央部には開口部611が形成されている。また、下カバー610には、開口部611に近接して2つのネジ孔612が形成されている。
洗浄槽2(図1)の背面、側面、底面、および天井面の材料としては、例えば遮光性を有するポリプロピレン(PP)樹脂が用いられる。また、洗浄槽2(図1)の前面を構成する扉16の窓部16a(図2)を除く部分の材料としてもポリプロピレン(PP)樹脂が用いられる。これに対して、扉16の窓部16a(図2)の材料としては、透光性を有するポリメチルペンテン(PMP)樹脂が用いられる。これにより、食器洗い機1の使用者は、扉16の窓部16aから洗浄槽2の内部を視認することができる。
濁度検出部60の組み立て時には、下カバー610の開口部611の内縁に沿うようにパッキン620が取り付けられる。この状態で、略船形状を有するセンサ収容カバー630がパッキン620を介して下カバー610の開口部611に嵌め込まれる。センサ収容カバー630の材料としては、例えばポリメチルペンテン(PMP)樹脂が用いられる。この場合、センサ収容カバー630は、透光性を有する。
センサ収容カバー630の中央部にはセンサ支持ケース640を収容するための収容空間630Sが形成されている。また、センサ収容カバー630には、収容空間630Sに近接して2つの貫通孔639が形成されている。
センサ収容カバー630が下カバー610に嵌め込まれた状態で、センサ収容カバー630の2つの貫通孔639を通して、下カバー610の2つのネジ孔612にネジNが取り付けられる。これにより、センサ収容カバー630が下カバー610に確実に固定される。また、パッキン620によりセンサ収容カバー630と下カバー610との間の水密性が確保される。図6に示すように、収容空間630Sを形成するセンサ収容カバー630の底面中央には、上方に窪んだ断面矩形の凹状部631が形成されている。
センサ支持ケース640には、プリント基板64Pおよび光センサ64が取り付けられる。本実施の形態において、光センサ64としては、透過型の光センサが用いられる。光センサ64は、発光ダイオードからなる発光素子64a、およびフォトダイオードからなる受光素子64bを含む。発光素子64aおよび受光素子64bの端子は、プリント基板64Pに接続される。
プリント基板64Pおよび光センサ64が取り付けられたセンサ支持ケース640がセンサ収容カバー630の収容空間630Sに収容される。この状態で、センサ支持ケース640により支持された発光素子64aおよび受光素子64bが、センサ収容カバー630の凹状部631を挟んで互いに対向する。
センサ支持ケース640の上端を押さえ込むように、上カバー650が取り付けられる。これにより、センサ支持ケース640が位置決めされるとともに、センサ支持ケース640がセンサ収容カバー630に固定される。それにより、発光素子64aおよび受光素子64bも位置決めされる。
上カバー650の上面は、洗浄槽2を覆う筐体1aの天井面に当接する。これにより、濁度検出部60の各構成部材が確実に固定される。
図1〜図3の固定洗浄ノズル5の上端部には、図6に示すように、濁度検出部60に向かって鉛直方向に延びる濁度検出ノズル5xが取り付けられている。濁度検出ノズル5xの先端部に、濁度検出部60に洗浄水を供給する液噴射口20cが形成されている。濁度検出ノズル5xの内部空間は、図3の第3の流路Rcの一部を構成する。
濁度検出ノズル5xの先端部の液噴射口20cは、センサ収容カバー630の凹状部631に対向するように位置決めされる。これにより、洗浄水が第3の流路Rcに供給される場合には、洗浄水が濁度検出ノズル5xから上方に向かって連続的に吐出されることにより凹状部631の内部に洗浄水が充填される。なお、凹状部631の内部に充填される洗浄水は、濁度検出ノズル5xから吐出される洗浄水により順次置換される。
この状態で、光センサ64が駆動される。上述のように、センサ収容カバー630は透光性を有する。したがって、発光素子64aにより発生された光は、センサ収容カバー630の凹状部631の側壁およびその凹状部631に充填された洗浄水を通して受光素子64bにより受光される。
これにより、発光素子64aの発光量が一定である場合には、受光素子64bの受光量は凹状部631に充填された洗浄水の汚れ(濁り)に応じて変化する。それにより、受光素子64bから出力される受光信号の電圧値に基づいて洗浄水の濁度が検出される。
第3の流路Rcへの洗浄水の供給が停止されると、凹状部631に充填された洗浄水がその内周面等を伝って下方に流れ落ちる。
(4)濁度検出部の特徴
(4−a)上述のように、特許文献1の食器洗い機においては、分水手段が洗浄ポンプとともに洗浄槽の下方に設けられ、洗浄水の濁度を検出する検出手段が分水手段に取り付けられている。すなわち、特許文献1の食器洗い機では、検出手段が洗浄槽の下方に設けられている。
この場合、洗浄槽の内部に洗浄水が存在する限り、分水手段の内部には常に洗浄水が存在する。そのため、分水手段の内表面が水垢等により経時的に汚れる場合がある。
また、洗浄槽への洗浄水の排水/給水が行われる際には、分水手段の内部で洗浄水の水位が変動する。具体的には、洗浄槽から洗浄水が排出される際には、分水手段の内部に残留する洗浄水も排出される。これにより、分水手段の内部で洗浄水の水位が下降する。このとき、洗浄水の液面に油が浮遊していると、その油は洗浄水の水位が下降することにより、分水手段の内表面に付着する。
これらの結果、分水手段の内表面は食器洗い機の経時的な使用により汚れやすい。そのため、分水手段で発生する汚れにより、検出手段による洗浄水の濁度の検出精度が低下する場合がある。
(4−b)これに対して、本実施の形態に係る食器洗い機1においては、濁度検出部60が貯留部12に貯留される洗浄水の最高水位よりも高い位置に設けられている。
これにより、洗浄水が第3の流路Rc以外の流路Ra,Rb,Rdに供給される際には、濁度検出部60における洗浄水の濁度の検出部分(凹状部631)に洗浄水が接触しない。また、洗浄槽2から洗浄水を排出する際には、濁度検出部60における洗浄水の濁度の検出部分(凹状部631)に洗浄水が残留しない。さらに、濁度検出ノズル5xの液噴射口20cから凹状部631に向かって洗浄水を噴射することのより、凹状部631表面に付着していた、洗浄水中に含まれている残菜や油などの汚れを除去することができ、セルフクリーニングの効果を奏することができる。また、このような食器洗い機1を製造する際に光センサ64の動作確認のために光センサ64を動作させるが、光センサ64が洗浄槽2の天面の凹状部631の両側に配置されているため、製造者が凹状部631に白紙などを挿入し、光センサ64の光の有無を確認することができるので、製造の際の動作確認も容易に完了することができる。
したがって、センサ収容カバー630の凹状部631に水垢および油等が付着することが防止される。その結果、洗浄水の濁度の検出誤差が低減され、長期に渡って正確に洗浄水の濁度を検出することが可能となる。
また、濁度検出部60は洗浄槽2の内部に設けられており、メンテナンスが容易である。したがって、仮に凹状部631が汚れた場合でも、使用者は容易にその汚れを取り除くことができる。
この食器洗い機1においては、濁度検出部60は、第3の流路Rcに供給される洗浄水の濁度を検出する。洗浄工程およびすすぎ工程では、濁度検出部60の検出結果に基づいて分水機構15の内部空間と第3の流路Rcとの連通状態を正確に検出することが可能である。詳細は後述する。
(4−c)上述のように、濁度検出部60においては、センサ収容カバー630の凹状部631に濁度検出ノズル5xから洗浄水が吐出される。そして、凹状部631の内部に洗浄水が充填されることにより、光センサ64で洗浄水の濁度が検出される。
ここで、濁度検出ノズル5xが鉛直方向に配置されかつ濁度検出ノズル5xの先端部に対向するように凹状部631が配置されている。それにより、凹状部631の天面632は、水平面に沿って広がりかつ下方を向いている。このような状態で、凹状部631に濁度検出ノズル5xから鉛直方向に洗浄水が吐出されると、凹状部631の天面632にほぼ均一な水圧が加わる。それにより、凹状部631に導入された洗浄水に気泡が混入している場合、その気泡は、水圧により凹状部631から下方に均一に押し出される。そのため、凹状部631に継続して洗浄水が吐出される場合、凹状部631には気泡等の気相がほとんど残留しない。
この場合、発光素子64aと受光素子64bとの間に導入される洗浄水に気相が存在しないので、洗浄水の濁度の検出誤差が低減される。
濁度検出ノズル5xを水平方向に配置しかつセンサ収容カバー630を凹状部631が濁度検出ノズル5xの先端部に対向するように配置した場合、凹状部631に濁度検出ノズル5xから洗浄水が吐出されると、重力の影響により、凹状部631の鉛直方向に沿った天面632に加わる水圧が均一になりにくい。そのため、凹状部631に導入された洗浄水に気泡が混入している場合には、その気泡は凹状部631の内部で上側に移動して滞留する可能性がある。
したがって、濁度検出ノズル5xおよびセンサ収容カバー630は、濁度検出ノズル5xが鉛直方向に配置されかつ凹状部631が濁度検出ノズル5xの先端部に対向するようにセンサ収容カバー630が配置されることが好ましい。これにより、上述のように濁度の検出誤差が低減される。
なお、洗浄水に混入する気泡が濁度の検出誤差にほとんど影響を与えない場合には、濁度検出ノズル5xを水平方向に配置しかつセンサ収容カバー630を凹状部631が濁度検出ノズル5xの先端部に対向するように配置してもよい。また、濁度検出ノズル5xを鉛直方向に対して傾斜するように配置しかつセンサ収容カバー630を凹状部631が濁度検出ノズル5xの先端部に対向するように配置してもよい。
この場合においても、濁度検出部60が貯留部12に貯留される洗浄水の最高水位よりも高い位置に設けられることにより、洗浄水が第3の流路Rc以外の流路Ra,Rb,Rdに供給される際には凹状部631に洗浄水が接触しない。また、洗浄槽2から洗浄水が排出される際にも凹状部631に洗浄水が残留しない。したがって、センサ収容カバー630の凹状部631に水垢および油等が付着することが防止される。
(4−d)上述のように、洗浄槽2(図1)の前面を構成する扉16(図2)の窓部16aは透光性を有する。これにより、図2の扉16が閉じられた状態で窓部16aから洗浄槽2内に外部の光が入射する。この場合、洗浄水の濁度の検出時に外乱光により光センサ64の検出精度が低下する可能性がある。
これに対して、濁度検出部60においては、洗浄水の濁度が検出される凹状部631が、下カバー610により取り囲まれている。上述のように、下カバー610は、洗浄槽2の天井面の一部を構成し、その天井面は遮光性を有する。
これにより、扉16が閉じられた状態で洗浄槽2の内部に外部の光が入射する場合でも
、その光が下カバー610の内側の凹状部631に入り込むことが防止される。その結果、洗浄水の濁度の検出時に外乱光による光センサ64の検出精度の低下が防止される。
(4−e)洗浄水を受けるセンサ収容カバー630の凹状部631の内表面が撥水性を有する場合、濁度検出ノズル5xから凹状部631への洗浄水の吐出が終了すると、凹状部631の内表面に洗浄水が液滴として付着しやすい。凹状部631の内表面に付着した液滴が乾燥すると、液滴に含まれる汚れが凹状部631の内表面で不均一に付着する。この場合、凹状部631の内表面が不均一に汚れることにより、光センサ64による濁度の検出が不安定となる。
したがって、洗浄水を受けるセンサ収容カバー630の凹状部631の表面は、親水性を有することが好ましい。例えば、凹状部631の内表面に親水性樹脂を被覆する。
この場合、濁度検出ノズル5xから凹状部631への洗浄水の吐出が終了した場合に、凹状部631の内表面に洗浄水が液滴として付着することが防止される。これにより、凹状部631の内表面に不均一に汚れが付着することが防止される。その結果、洗浄水の濁度の検出が行われるごとに凹状部631に付着した液滴により濁度の検出精度が低下することが防止される。
(5)食器洗い機の制御系
次に、本実施の形態に係る食器洗い機1の制御系について説明する。図7は、食器洗い機1の制御系の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、食器洗い機1は、制御部70を備える。制御部70は、CPU(中央演算処理装置)70a、メモリ70bおよびタイマ70cを含む。
制御部70には、濁度検出部60、温度センサ17、給水弁31a、ポンプ11、ヒータ14および乾燥機構72が接続される。
制御部70は、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出結果(電圧値)、および温度センサ17から与えられる洗浄水の温度または洗浄槽2内の温度の検出結果(電圧値)に基づいて給水弁31a、ポンプ11、ヒータ14および乾燥機構72の動作を制御する。
(6)洗浄水の濁度の検出例
以下の説明では、図1の洗浄槽2の内部のうち下段食器かご9の左収容部9aに対応する領域を洗浄領域Aとし、下段食器かご9の右収容部9bに対応する領域を洗浄領域Bとし、上段食器かご8の右収容部8bに対応する領域を洗浄領域Cとし、上段食器かご8の左収容部8aに対応する領域を洗浄領域Dとする(図3参照)。
洗浄工程およびすすぎ工程においては、CPU70aは、例えばポンプ11のモータを一方向に回転させるとともに、ポンプ11のモータを30secごとに一時停止させる。これにより、第1、第2、第3および第4の流路Ra,Rb,Rc,Rdに順番に洗浄水が供給され、洗浄領域A,B,C,Dには30secごとに順番に洗浄水が噴射される。したがって、本例では2minで洗浄領域A,B,C,Dでの被洗浄物10の洗浄またはすすぎが一巡する。
洗浄工程における洗浄水の濁度の検出結果について一例を説明する。図8は、洗浄工程における濁度検出部60の検出結果の一例を示すグラフである。図8のグラフにおいて、縦軸は濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出値(電圧値)を示し、横軸は時間を示す。なお、本例では、洗浄水の濁度が高い程、濁度検出部60による検出値(電圧値)は低
くなる。
図8に示すように、洗浄水の濁度の検出値は、時点t0から時点t1の期間、時点t2から時点t3の期間および時点t4以降でほぼ一定に維持され、時点t1から時点t2の期間および時点t3から時点t4の期間で大きく低下するとともに変動している。
ここで、本食器洗い機1においては、上記のように第1、第2、第3および第4の流路Ra,Rb,Rc,Rdに順番に洗浄水が供給される。したがって、洗浄水が第3の流路Rcに供給されない期間においては、図6の凹状部631内に洗浄水が存在しない。そのため、濁度検出部60による検出値はほぼ一定に維持される。
これにより、図8に示す検出結果が得られた場合には、濁度検出部60による検出値が大きく低下する期間(本例では時点t1から時点t2の期間および時点t3から時点t4の期間)で第3の流路Rcを通して洗浄領域Cに洗浄水が噴射されていると判定することができる。
上記では洗浄工程における洗浄水の濁度の検出結果について説明したが、すすぎ工程においてもほぼ同様の検出結果が得られる。したがって、すすぎ工程においても、濁度検出部60による検出値が大きく低下する期間で洗浄領域Cに洗浄水が噴射されていると判定することができる。
ここで、濁度検出部60による検出値が大きく低下する期間は、例えば次の方法で判定することができる。なお、以下の説明では、洗浄領域A,B,C,Dでの被洗浄物10の洗浄またはすすぎが一巡する期間を1サイクル期間と呼ぶ。
まず、1サイクル期間として予め定められた期間中、一定の時間間隔で洗浄水の濁度の検出値をサンプリングし、その1サイクル期間終了時にサンプリングされた検出値の平均値を算出する。
そして、次の1サイクル期間において、洗浄水の濁度の検出値が直前の1サイクル期間終了時に算出された平均値Av(図8の一点差線参照)に対して高いか否かを判別する。これにより、洗浄水の濁度の検出値が平均値Av以上である場合に、洗浄領域Cに洗浄水が噴射されていないと判定することができる。一方、洗浄水の濁度の検出値が平均値Avよりも低い場合に、洗浄領域Cに洗浄水が噴射されていると判定することができる。
上記のサンプリング処理、平均値の算出処理、および判別処理を1サイクル期間ごとに行うことにより、濁度検出部60による検出値が大きく低下する期間を検出することができる。
(7)食器洗い機の制御例
以下、洗浄工程およびすすぎ工程における食器洗い機1の制御例を説明する。以下の説明では、上述のように、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出値が大きく低下する期間を変動期間と呼ぶ。
(7−a)制御例1
図9は、洗浄工程およびすすぎ工程における食器洗い機1の一制御例を示すフローチャートである。
本例において、洗浄工程またはすすぎ工程が開始されると、CPU70a(図7)は、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出を開始する(ステップS11)。また、CPU
70aは、ポンプ11の断続駆動を開始する(ステップS12)。ここで、ポンプ11の断続駆動とは、上述のように、ポンプ11のモータを一方向に回転させるとともに、ポンプ11のモータを一定の時間間隔(本例では30sec)ごとに一時停止させることをいう。
ポンプ11の断続駆動が行われることにより、図3の第1〜第4の流路Ra〜Rdに順番に洗浄水が供給され、洗浄領域A〜Dに順番に洗浄水が噴射される。第3の流路Rcに洗浄水が供給されたときに、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出値が大きく低下する。
CPU70aは、濁度検出部60の検出値に基づいて上述の変動期間を検出すると(ステップS13)、その変動期間における濁度の検出値をメモリ70b(図7)に記憶する(ステップS14)。より具体的には、例えばCPU70aは、その変動期間中で最も高い濁度を示す検出値(最も低い電圧値)を、その変動期間における検出値としてメモリ70bに記憶する。
ポンプ11は、洗浄工程またはすすぎ工程ごとに予め設定された工程時間(洗浄時間またはすすぎ時間)中に断続駆動される。これにより、各流路Ra〜Rdへの洗浄水の供給が一巡し、再び第3の流路Rcに洗浄水が供給される際には、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出値が再び大きく低下する。
これにより、CPU70aは、濁度検出部60による検出値に基づいて再び変動期間を検出すると(ステップS15)、その変動期間における濁度の検出値をメモリ70b(図7)に記憶するとともに、その検出値と前の変動期間に記憶された検出値とを比較する(ステップS16)。この比較処理においては、2つの検出値の差が濁度の変化量として算出される。
そして、CPU70aは、算出された変化量が予め定められたしきい値以下であるか否かを判別する(ステップS17)。
変化量がしきい値以下である場合、CPU70aは、洗浄水の濁度の検出を終了し、ポンプ11を停止することにより洗浄工程またはすすぎ工程を終了する。一方、変化量がしきい値以下でない場合、すなわち変化量がしきい値よりも大きい場合、CPU70aはステップS15の処理に戻る。
ここで、各流路Ra〜Rdへの洗浄水の供給が一巡するごとに算出される洗浄水の濁度の変化量は、被洗浄物10の汚れに応じて変化すると考えられる。すなわち、被洗浄物10の汚れの度合いが大きい場合には、洗浄水の濁度の変化量も大きくなり、被洗浄物10の汚れの度合いが小さい場合には、洗浄水の濁度の変化量も小さくなると考えられる。
上記の制御例においては、濁度の変化量が予め定められたしきい値よりも大きい場合に、洗浄工程またはすすぎ工程が再度行われる。これにより、洗浄槽2内の被洗浄物10の汚れに応じて洗浄時間またはすすぎ時間が延長されるので、被洗浄物10が十分かつ確実に洗浄される。
(7−b)制御例2
図10および図11は、洗浄工程およびすすぎ工程における食器洗い機1の他の制御例を示すフローチャートである。
本例においては、洗浄工程またはすすぎ工程が開始されると、CPU70a(図7)は
、タイマ70c(図7)をスタートさせるとともに(ステップS20)、濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出を開始し(ステップS21)、ポンプ11の断続駆動を開始する(ステップS22)。
その後、上述のように第3の流路Rcに洗浄水が供給されることにより、洗浄水の濁度の検出値が大きく低下する。これにより、CPU70aは、濁度検出部60の検出値に基づいて上述の変動期間を検出すると(ステップS23)、その変動期間の初期の濁度の検出値をメモリ70b(図7)に記憶する(ステップS24)。
ここで、第3の流路Rcに洗浄水が供給される時点では、図6の凹状部631に洗浄水が十分に充填されていない可能性がある。この場合、洗浄水の濁度の検出値が不安定となる。したがって、実際には、変動期間を検出した場合には、変動期間の開始時点から所定時間(例えば、2sec程度)経過後の濁度の検出値を変動期間の初期の濁度の検出値としてメモリ70bに記憶することが好ましい。
続いて、CPU70aは、その変動期間中で最も高い濁度を示す検出値(最も低い電圧値)を、その変動期間における検出値としてメモリ70bに記憶する(ステップS25)。
そして、CPU70aは、変動期間が終了することにより(ステップS26)、変動期間の初期の濁度の検出値と変動期間中の最大濁度を示す検出値とを比較する(ステップS27)。この比較処理においては、2つの検出値の差が濁度の変化量として算出される。
次に、CPU70aは、算出された変化量が予め定められたしきい値以下であるか否かを判別する(ステップS28)。
変化量がしきい値以下である場合、CPU70aは、タイマ70cの計時結果に基づいて予め設定された工程時間(洗浄時間またはすすぎ時間)が経過したか否かを判別する(ステップS29)。
予め定められた工程時間が経過している場合、CPU70aは、洗浄水の濁度の検出を終了し、ポンプ11を停止することにより洗浄工程またはすすぎ工程を終了する。一方、予め定められた工程時間が経過していない場合、CPU70aは、ステップS23の処理に戻る。
上記のステップS28において、変化量がしきい値以下でない場合、すなわち変化量がしきい値よりも大きい場合、CPU70aは、再び変動期間を検出することにより(ステップS31)、一時的にポンプ11の駆動の停止間隔を長時間化し(ステップS32)、ステップS29の処理に進む。
これにより、ポンプ11のモータが駆動する時間が一時的に長くなる。そのため、洗浄領域Cへの洗浄水の噴射時間が、他の洗浄領域A,B,Dへの洗浄水の噴射時間に比べて長くなる。したがって、洗浄領域Cに汚れの度合いが大きい被洗浄物10が存在する場合には、その被洗浄物10の汚れに応じて洗浄時間またはすすぎ時間が延長される。その結果、洗浄領域C内の被洗浄物10が十分かつ確実に洗浄される。
(8)効果
(8−a)この食器洗い機1においては、濁度検出部60が貯留部12に貯留される洗浄水の最高水位よりも高い位置に設けられている。これにより、第3の流路Rcを流れる洗浄水の濁度が長期に渡って正確に検出される。
また、第3の流路Rcを流れる洗浄水の濁度を正確に検出することにより、その検出結果に基づいて複数の洗浄領域A〜Dにおける洗浄条件またはすすぎ条件を調整することができる。その結果、被洗浄物10の汚れに応じた適切な洗浄を行うことが可能となる。
(8−b)さらに、濁度検出部60による濁度の検出値から複数の洗浄領域A〜Dのうちの1つの洗浄領域Cで洗浄水の濁度の変化量を算出することができる。これにより、算出された変化量に基づいて、複数の洗浄領域A〜Dのうちの1つの洗浄領域Cの洗浄条件またはすすぎ条件を個別に調整することが可能となる。その結果、洗浄槽2内での被洗浄物10の配置状態および被洗浄物10の汚れに応じて適切かつ効率的な洗浄が可能となる。
(8−c)上記のように、洗浄工程およびすすぎ工程においては、第1、第2、第3および第4の流路Ra,Rb,Rc,Rdに順番に洗浄水が供給される。これにより、ポンプ11の最大能力で各流路Ra,Rb,Rc,Rdに洗浄水を供給することができる。その結果、洗浄領域A〜Dに十分に高い圧力で洗浄水を噴射することができるので、被洗浄物10のより効率的な洗浄が可能となる。
(9)変形例
(9−a)制御例1および制御例2においては、濁度検出部60により検出された洗浄水の濁度の検出結果に基づいて濁度の変化量を算出し、その変化量に基づいて洗浄条件またはすすぎ条件を調整しているが、これに限らず、濁度の程度に応じて洗浄条件またはすすぎ条件を調整してもよい。例えば、検出された濁度が高い場合には洗浄時間またはすすぎ時間を長く調整し、検出された濁度が低い場合には洗浄時間またはすすぎ時間を短く調整する。この場合においても、被洗浄物10の汚れに応じた適切な洗浄が可能となる。
(9−b)制御例1においては、洗浄水の濁度の検出結果に基づいて洗浄時間またはすすぎ時間を調整しているが、これに限らず、CPU70aが洗浄水の濁度の検出結果に基づいて図7のヒータ14を制御することにより、洗浄水の温度を調整してもよい。また、CPU70aが洗浄水の濁度の検出結果に基づいて洗浄工程またはすすぎ工程の回数を増減させてもよい。これにより、被洗浄物10の汚れに応じたより適切な洗浄を行うことが可能となる。
(9−c)制御例2においても、洗浄水の濁度の検出結果に基づいて洗浄領域Cにおける洗浄時間またはすすぎ時間を調整しているが、これに限らず、CPU70aが洗浄水の濁度の検出結果に基づいて図7のヒータ14を制御することにより洗浄水の温度を調整してもよい。これにより、被洗浄物10の汚れに応じたより適切な洗浄を行うことが可能となる。
(9−d)制御例2においては、洗浄領域Cにおける洗浄水の濁度の変化量を算出し、算出された変化量に基づいて洗浄領域Cにおける洗浄時間またはすすぎ時間を他の洗浄領域A,B,Dにおける洗浄時間またはすすぎ時間とは独立に調整しているが、これに限定されない。
これに加えて、CPU70aが上記のステップS25で記憶した最大濁度を示す検出値と、ステップS23またはステップS31で検出される次の変動検出期間の初期の濁度の検出値とに基づいて、洗浄領域A,B,Dにおける洗浄時間またはすすぎ時間を調整してもよい。これにより、洗浄槽2内での被洗浄物10の配置状態および被洗浄物10の汚れに応じてより適切かつ効率的な洗浄が可能となる。
(9−e)上記の食器洗い機1においては、第3の流路Rcに対応する1つの濁度検出部60が設けられている。これに限らず、第1〜第4の流路Ra〜Rdに対応して、複数の濁度検出部60が設けられてもよい。
この場合、複数の濁度検出部60による洗浄水の濁度の検出結果に基づいて、各洗浄領域A〜Dについて個別に洗浄条件またはすすぎ条件を調整することができる。
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、回転洗浄ノズル3,4,7および固定洗浄ノズル5が洗浄手段の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。