JP2011006615A - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性樹脂を迅速に分解させることが可能となると共に、水分と接触したときの生分解性樹脂の分解が有効に抑制され、容器等の成形体の形態での使用が可能な生分解性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸に、エステル分解促進剤としてポリエチレンオキサレートまたはポリグリコール酸と、メチルエステル基を有するエステル分解抑制剤とを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸等の難加水分解性の生分解性樹脂を主成分として含有する生分解性樹脂組成物に関するものであり、より詳細には、生分解性樹脂の分解性が高められた生分解性樹脂組成物、該生分解性樹脂により形成された容器等の成形体、及び該生分解性樹脂組成物中の生分解性樹脂を分解する方法に関する。
最近に至って、各種分野で生分解性樹脂が環境問題などの観点から注目されている。特にポリ乳酸等の生分解性樹脂は、難加水分解性であり、水等と接触しても安定であるため、このような難加水分解性の生分解性樹脂を用いた各種の成形体が実用に供されている。例えば、特許文献1には、ポリ乳酸を主成分とする乳酸系樹脂組成物及びその成形加工品が提案されている。
ところで、ポリ乳酸等の生分解樹脂からなる成形体では、難加水分解性であるため、酵素の作用による分解に時間がかかり、特に容器等の成形体においては、成形体表面から酵素の作用による分解が進行するため、成形体を形成している生分解樹脂が完全に分解するに至るまで著しく時間を要することとなり、その生分解性という特性が十分に活かされていない。
このような問題を解決するために、本出願人は先に、ポリ乳酸等の生分解性樹脂にポリエチレンオキサレート等の脂肪族ポリエステルが配合された生分解性樹脂組成物を提案した(特許文献2参照)。
この生分解性樹脂組成物に配合されているポリエチレンオキサレート等の脂肪族ポリエステルは、易加水分解性であり、水と混合したときに容易に加水分解して酸を放出するため、エステル分解促進剤として機能する。即ち、放出された酸により、生分解樹脂の加水分解が促進されるため、酵素による生分解性樹脂の分解を著しく促進することができる。また、この生分解性樹脂組成物により形成されている容器等の成形体を酵素水溶液と混合したときには、該脂肪族ポリエステルの加水分解によって成形体中に亀裂が発生することとなり、この結果、酵素が成形体の内部に容易に浸透するため、成形体の内部からも生分解性樹脂の分解が進行することとなり、この結果、成形加工品の形態でも酵素による生分解性樹脂の分解が著しく促進されるという利点がある。
特開平11−116788号 WO2008−038648
しかしながら、エステル分解促進剤として機能する脂肪族ポリエステルを配合した生分解性樹脂組成物では、水分と接触したときに分解促進剤の分解が始まるため、その用途が著しく制限されてしまう。例えば、この生分解性樹脂組成物を容器に成形して使用に供したときには、容器内容物中に水が存在していると、容器内容物中に分解促進剤の加水分解により、その構成成分である酸が放出されてしまい、容器内容物の品質を劣化させてしまったり、場合によっては、生分解性樹脂組成物の分解により容器自体の崩壊が生じてしまうなどの致命的な問題があり、その実用化が阻まれているのが現状である。
従って、本発明の目的は、生分解性樹脂を迅速に分解させることが可能となると共に、水分と接触したときの分解促進剤の分解が有効に抑制され、容器等の成形体の形態での使用が可能な生分解性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の生分解性樹脂組成物を用いて成形された成形体、例えば容器を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記の生分解性樹脂組成物に含まれる生分解性樹脂の分解方法を提供することにある。
本発明によれば、難加水分解性の生分解性樹脂と、エステル分解促進剤と、非加水分解性エステル基を有するエステル分解抑制剤とを含有することを特徴とする生分解性樹脂組成物、及び該生分解性樹脂組成物を用いて成形された成形体が提供される。
本発明の生分解性樹脂組成物においては、
(1)前記エステル分解抑制剤が有しているエステル基がメチルエステル基またはアセテート基であること、
(2)前記エステル分解抑制剤が、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体或いはこれらの部分ケン化物及びポリメチルメタクリレートからなる群より選択された少なくとも1種であること、
(3)前記エステル分解促進剤が、酸放出性エステル分解促進剤であること、
(4)前記エステル分解促進剤が、ポリオキサレートまたはポリグリコール酸であること、
(5)生分解性樹脂100重量部当り、前記エステル分解抑制剤を0.01乃至30重量部及び前記エステル分解促進剤を0.01乃至30重量部の量で含有していること、
が好ましい。
本発明によれば、また、上記の生分解性樹脂組成物を、溶媒中、触媒の存在下で、前記エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱することにより、該樹脂組成物中に含まれる難加水分解性の生分解性樹脂を分解することを特徴とする方法が提供される。
本発明における生分解樹脂の分解方法においては、
(1)前記触媒として酵素を使用し、且つ前記エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤として、酵素の失活温度よりも低いガラス転移点(Tg)を有するものを使用し、該ガラス転移点以上且つ酵素の失活温度未満の温度に加熱して生分解樹脂の分解を行うこと、
(2)前記生分解性樹脂組成物は、成形体の形態で使用されること、
が好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物においては、エステル分解促進剤、具体的には、水分と接触することにより容易に加水分解してエステル分解触媒として作用し得る酸或いはアルカリを放出する成分が配合されているため、該組成物中の難加水分解性の生分解性樹脂の分解を促進させることができ、酵素等の触媒による生分解樹脂の分解を著しく促進させることができる。即ち、この生分解性樹脂組成物により成形された容器等の成形体を速やかに崩壊でき、ゴミの増大等の環境破壊を回避する上で極めて有利であるばかりか、使用済みの成形体を回収して、生分解樹脂の再利用、再資源化を図ることもできる。
また、上記エステル分解促進剤と共に、該エステル分解促進剤によるエステルの分解(生分解性樹脂の分解)を抑制するためのエステル分解抑制剤が配合されているため、この組成物が単に水分と接触した状態での分解促進剤の分解を有効に抑制することができ、例えば容器等の成形体に成形した状態での生分解性樹脂の分解や成形体の崩壊を有効に防止することができる。
さらに、本発明の分解方法では、溶媒中で、酵素等の触媒の存在下で容器等の成形体に成形されている生分解組成物中の生分解性樹脂の分解が行われるが、この分解に際して、エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のガラス転移点以上の温度に加熱されるため、エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤の運動性が高められ、この結果、酵素がエステル分解促進剤を加水分解し、さらにエステル分解抑制剤による拘束が緩和乃至解消され、そのエステル分解抑制効果が消失すると同時に、エステル分解促進剤による難加水分解性の生分解性樹脂の分解が促進され、生分解性樹脂の分解を極めて短時間で行うことが可能となる。
参考例1の加水分解前フィルムにおけるFT−IRの測定結果を示す。 参考例5の加水分解前フィルムにおけるFT−IRの測定結果を示す。 ポリ乳酸とエステル分解促進剤(ポリエチレンオキサレート)を含むブレンド物にエステル分解抑制剤(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物)を配合したときの水中へのシュウ酸溶出量を測定した実験例2の実験結果を示す図。 ポリ乳酸とエステル分解促進剤(ポリエチレンオキサレート)を含むブレンド物にエステル分解抑制剤(ポリ酢酸ビニル)を配合したときの水中へのシュウ酸溶出量を測定した実験例2の実験結果を示す図。 ポリ乳酸とエステル分解促進剤(ポリエチレンオキサレート)を含むブレンド物にエステル分解抑制剤(ポリメチルメタクリレート)を配合したときの水中へのシュウ酸溶出量を測定した実験例2の実験結果を示す図。 本発明の組成物の酵素による分解を、エステル分解促進剤のTgより高く且つエステル分解抑制剤のTgより低い温度で行ったときの重量変化を測定した実験例3の実験結果を示す図。 本発明の組成物の酵素による分解を、エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のTgより高い温度で行ったときの重量変化を測定した実験例4の実験結果を示す図。 HPLC(高速液体クロマトグラフ)のグラジエント条件を示す図。
本発明の生分解樹脂組成物は、難加水分解性の生分解性樹脂を主成分として含み、且つエステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤が配合され、さらに必要により、公知の添加剤が適宜配合され、これらの各成分を押出機等で溶融混練することにより調製される。
<生分解性樹脂>
本発明において、用いる生分解性樹脂は、難加水分解性のものであり、例えば、生分解性樹脂を凍結粉砕し粉体化した試料で、10mg/10ml濃度の水分散液を作製し、45℃で一週間インキュベート後、残液のTOC(総有機炭素量)が5ppm以下であるものをいう。さらに水溶性のポリエステルは含まない。このような難加水分解性の生分解性樹脂の例としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロースなどを例示することができ、これらは共重合体やブレンド物の形で使用することもできる。
また、ポリ乳酸は、100%ポリ−L−乳酸或いは100%ポリ−D−乳酸の何れであってもよいし、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の溶融ブレンド物でもよく、また、L−乳酸とD−乳酸とのランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
さらに、上記の生分解性樹脂は、その生分解性樹脂の特性が損なわれない限り、各種の脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが共重合された共重合体の形態で使用することもできる。
このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ポリエチレングリコールなどを例示することができる。
多塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸を例示することができる。
ヒドロキシカルボン酸としては、グルコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸を挙げることができる。
ラクトンとしては、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトン、グリコリド、マンデライドなどを挙げることができる。
また、上述した生分解性樹脂は、成形性の観点から、フィルムを形成するに足る分子量を有しているべきであり、一般に、重量平均分子量が5,000乃至1,000,000、特に10,000乃至500,000の範囲にあるのがよい。
本発明においては、容器等の包装材の分野で好適に適用されるという観点から、ポリ乳酸が最適である。
上述した生分解性樹脂は、難加水分解性であり、その分解に著しく長期間を要するために、以下に述べるエステル分解促進剤を配合し、且つエステル分解が促進されることにより生じる不都合を回避するために、以下に述べるエステル分解抑制剤が配合されるわけである。
<エステル分解促進剤>
エステル分解促進剤は、それ単独ではエステル分解能を示さないが、水分と混合したときにエステル分解の触媒として機能する酸或いはアルカリを放出するものであり、通常、生分解性樹脂の全体にわたって均一に分散し、エステル分解促進剤から放出される酸或いはアルカリによっての生分解性樹脂の加水分解を迅速に促進するために、ポリマーの形態を有するものが好適であり、例えば、その重量平均分子量が1000乃至200000程度のものが使用される。
このようなエステル分解促進剤において、アルカリ放出性のものとしては、アクリル酸ソーダ等のアクリル酸のアルカリ金属塩やアルギン酸ソーダ等を用いることができるが、アルカリ放出による悪影響が大きいため、特に容器等の包装材の分野に使用する場合には、酸放出性のものが好適に使用される。
酸放出性のエステル分解促進剤としては、特に、0.005g/ml濃度の水溶液乃至水分散液でのpH(25℃)が4以下、特に3以下を示すものであり、水と混合したときに容易に加水分解して酸を放出するポリマーが好適に使用される。
上記ポリマーとして、例えば、ポリオキサレート、ポリグリコール酸などが挙げられる。これらはコポリマー、単独での使用、2種以上を組み合わせての使用でもよい。
コポリマーを形成する成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アントラセンジカルボン酸などのジカルボン酸;グリコール酸、L-乳酸、D-乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;グリコリド、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
また本明細書では、ホモポリマー、共重合体、ブレンド体において、少なくとも一つのモノマーとしてシュウ酸を重合したポリマーをポリオキサレートとする。
特に、上記のポリオキサレートやポリグルコール酸は易加水分解性の生分解性樹脂であり、それ自体で生分解性を有している点でも好適に使用される。
また、上述したエステル分解促進剤は、そのガラス転移点(Tg)が生分解樹脂の分解に用いる酵素の失活温度(通常、50℃程度)よりも低いものが好適である。このような低ガラス転移点のものを使用することにより、生分解性樹脂の酵素による分解をより迅速に促進させることが可能となる。
本発明において、このようなエステル分解促進剤は、その種類によっても異なるが、一般に、前記生分解性樹脂100重量部当り、0.01乃至30重量部、特に1乃至10重量部の量で使用することが好ましい。エステル分解促進剤の使用量が少なすぎると、生分解性樹脂の分解を促進させることが困難となるおそれがあり、また必要以上に多量に使用すると、この樹脂組成物の調製段階或いは成形体として使用に供している段階で生分解性樹脂の分解が始まってしまうおそれがあるからである。
<エステル分解抑制剤>
エステル分解抑制剤としては、分解を抑制したいポリエステルのエステル基へ相互作用するものなら限りはなく、その相互作用として例えばエステル基への水素結合などが挙げられ、非加水分解性メチルエステル基またはアセテート基を含有する種々の化合物が使用される。即ち、この化合物は、難加水分解性であり、前述した難加水分解性の生分解性樹脂と同様、その水溶液乃至水分散液のpHは中性レベルであり、加水分解により酸を放出しないものであり、水溶性であってもよい。
このようなエステル分解抑制剤は、生分解性樹脂組成物中に分散させたときに、生分解性樹脂やエステル分解促進剤との親和性が高く、相溶化することもある。このため、エステル基の加水分解による酸の放出を有効に抑制するばかりか、酸やアルカリによる生分解性樹脂の分解を有効に抑制でき、例えば生分解性樹脂の製造段階や成形体としての使用段階での生分解性樹脂の分解を有効に抑制できる。
また、このエステル分解抑制剤も、成形性等の観点からポリマーの形態を有するものが好ましく、その重量平均分子量が1000乃至1000000程度のものが好適であり、特に、そのガラス転移点(Tg)が、エステル分解促進剤と同様、生分解樹脂の分解に用いる酵素の失活温度(通常、50℃程度)よりも低いものが好適である。このような低ガラス転移点のものを使用することにより、分解工程での加熱により、エステル分解抑制剤の作用を低減乃至消失させ、生分解性樹脂の酵素による分解をより迅速に促進させることが可能となるからである。
また、本発明において用いるエステル分解抑制剤としては、そのエステル基がメチルエステル基(−COO−CH)またはアセテート基(―OOC―CH3)であるものが好適であり、具体的には、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体或いはこれらの部分ケン化物、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸メチル等が好適に使用され、これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。即ち、上記のメチルエステル基またはアセテート基を有しているものがエステル分解抑制剤として、生分解性樹脂組成物中に配合されている場合には、生分解樹脂の加水分解を有効に抑制し、また、エステル分解促進剤が加水分解して酸等の放出をも有効に抑制することが可能となるのである。このようなメチルエステル基またはアセテート基のメチル基がエステルの分解抑制機能を示す理由は明確に解明されているわけではないが、本発明者等は、エステル基に結合しているメチル基が、生分解性樹脂やエステル分解促進剤中のエステル基と水素結合を形成するためではないかと考えている。
例えば、後述する実験例1に示されているように(表1参照)、上記のエステル分解剤であるポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(ケン化度60%)及びポリメチルメタクリレートを、ポリ乳酸とブレンドした組成物を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した場合、ポリ乳酸が加水分解しての乳酸溶出量が著しく低減され、一方、上記のようなエステル基を有していないエチレンビニルアルコール共重合体(ケン化度99%以上)では、乳酸溶出量が多い。なお、実験例1はアルカリ性、加熱条件下での加速試験である。参考例2において、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(ケン化度60%)は水溶性であり、アルカリ耐性が小さいため、分解抑制剤が分解し、基材の加水分解を抑制できず、乳酸溶出量が高くなったと考えられる。
即ち、この実験結果から、アセテート基を有するポリ酢酸ビニル及びメチルエステル基を有するポリメチルメタクリレートでは、メチルエステル基またはアセテート基がポリ乳酸のエステル基のカルボニル基の酸素原子と水素結合を形成し、この結果、ポリ乳酸のエステル基をアルカリから保護し、その加水分解を抑制しているものと信じられる。一方、メチルエステル基を有していないエチレンビニルアルコール共重合体では、自身の水素結合力(OH基同士の水素結合力)が強く、このため、ポリ乳酸との相互作用は全く認められず、この結果、アルカリ水溶液中でのポリ乳酸の加水分解を抑制することができないものと考えられる。
図1、2は、参考例1、5の加水分解前フィルムにおけるFT−IRの測定結果を示す。これは、参考例1、5のカルボニル基の伸縮振動によるピークを2次微分したスペクトルを示し、参考例5のポリ乳酸のカルボニル基のピーク(1743cm−1)が、参考例1のポリ酢酸ビニルとブレンドしたことにより、低波数域へシフトしている(1736cm−1)ことから、ポリ乳酸のカルボニル基がポリ酢酸ビニルと相互作用していることが分かった。
一般にポリエステルの加水分解はカルボニル基への求核攻撃または求電子攻撃により、エステル基が加水分解されることで生じる。つまり、カルボニル基へ相互作用を持つ成分とのブレンドで加水分解が抑制されたと考えられる。
また、後述する実験例2は、ポリ乳酸とポリエチレンオキサレート(エステル分解促進剤)、ポリ酢酸ビニルを、表2に示した種々配合量で、ブレンドし、フィルムに成形後、該フィルムを水中に浸した時のシュウ酸溶出量を測定したものである。この実験結果(図3参照)によれば、アセテート基を有するポリ酢酸ビニルの添加により、エステル分解促進剤であるポリエチレンオキサレートの加水分解も有効に抑制されていることが判る。即ち、上述したメチルエステル基またはアセテート基を有するエステル分解抑制剤の使用により、エステル分解促進剤の加水分解をも有効に抑制できるのであり、このことから、このメチルエステル基またはアセテート基は、エステル分解剤のエステル基(カルボニル基)の酸素原子とも水素結合を形成し、その加水分解を有効に抑制しているものと信じられる。
このように、メチルエステル基またはアセテート基を有するエステル分解抑制剤の使用により、難加水分解性の生分解樹脂の加水分解を有効に防止することができるばかりか、エステル分解促進剤の加水分解による酸の放出をも有効に防止することができる。
本発明において、エステル分解抑制剤は、そのエステル分解能が十分に発揮される程度の量で使用され、その使用量は、エステル分解抑制剤の種類によっても異なるが、一般に、前記生分解性樹脂100重量部当り、0.01乃至30重量部、0.01乃至15重量部、特に0.01乃至5重量部の量で使用される。
<他の配合剤>
本発明の生分解性樹脂組成物は、上述した各成分以外に、各種の樹脂用添加剤を適宜配合することもでき、例えば、生分解性樹脂の成形性や生分解特性を損なわない量で、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、充填材、離型剤、帯電防止剤、香料、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成材などを配合することができ、さらに必要に、他の熱可塑性樹脂をブレンドすることも可能である。
<用途>
上述した各種成分を含む本発明の生分解性樹脂組成物は、それ自体公知の成形法、例えば押出成形、射出成形、圧縮成形などによって種々の形状の成形体として使用に供せられるが、水分による分解が有効に抑制されていることから、包装材の分野でも好適に使用することができる。
例えば、包装材の分野では、上記の生分解性樹脂組成物を包装用のフィルム乃至シートとして使用することができるし、特にフィルムは、3方シールによる貼り合せなどの製袋によって袋状容器(パウチ)として使用することができる。また、フィルム乃至シートを真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形などによってカップ状、トレイ状の容器として使用することができる。さらに、射出成形等によって試験管形状のプリフォームとし、このプリフォームを用いてのブロー成形によってボトル形状の容器として使用することができる。
尚、上記のような各種形状の成形体においては、必要により、多層多重ダイを備えた押出機や複数の射出ゲートを備えた共射出機などを用いての成形によって、他の樹脂と積層した多層構造体として使用し得ることも可能である。
<分解方法>
本発明の生分解性樹脂組成物を用いて成形された容器等の成形体は、廃棄に際しては、そのまま分解槽に供給してもよいが、これを適宜、裁断、圧潰等によって小片状にした後、分解槽に供給して分解処理される。
この分解処理は、適宜の溶媒中で、触媒の存在下で行われる。かかる触媒としては、含水している固体酸触媒、例えば酸性白土やベントナイトなどのスメクタイト系粘土を酸処理して得られる高比表面積の活性白土などを使用することもできるが、酵素を使用することが好適である。即ち、環境に与える影響や廃棄物処理などの観点のみならず、酵素を触媒として用いた場合には、酵素が成形体(廃棄物)の内部にまで速やかに浸透し、成形体の内部からも生分解性樹脂の分解が生じ、短時間で成形体が完全に崩壊するまで分解することができるという点で極めて有利である。
上記のような酵素としては、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ等が挙げられ、これらの酵素は固定化していても固定化していなくてもよい。例えば和光純薬工業株式会社製のプロテアーゼKなどが水溶液の形で使用される。また微生物を入れ、その菌体外酵素を用いてもよく、その微生物が必要とする培地成分や栄養成分が添加されていてもよい。
上記のような分解処理中の溶媒は、酵素反応液のpHの変化を防止するためには、例えば反応液を交換したり、反応液に緩衝液を使用することにより行うことができ、このような緩衝液としてはグリシン−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸−リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液などが挙げられる。また、緩衝液の代わりに固体の中和剤を使用し、溶媒に水を用いてもよく、例えば炭酸カルシウム、キトサン、脱プロトンイオン交換樹脂などが挙げられる。反応液中に中和剤を加えておくことにより行うことができる。また必要に応じて、エタノールなどの有機溶媒を添加してもよい。
即ち、生分解性樹脂組成物の成形体の廃棄物を、分解槽中で酵素水溶液と混合攪拌することにより、分解処理を行うことが好適である。この際、酵素の使用量は、用いる酵素の活性によっても異なるが、一般には、難加水分解性の生分解樹脂100重量部当り0.01乃至10重量部程度の量でよく、分解槽中に充填された酵素水溶液中に成形体廃棄物を投入して攪拌することにより、分解処理が行われる。
尚、前述した固体酸触媒を用いる場合には、固体酸触媒が含水しているため、適宜の有機溶媒中に固体酸触媒を分散しておき、この分散液に成形体廃棄物を投入するのがよい。
このような分解処理においては、前述した生分解樹脂組成物中に含まれるエステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のガラス転移点(Tg)よりも高い温度に加熱すべきである。
即ち、本発明の生分解樹脂組成物中には、エステル分解促進剤と共に、エステル分解抑制が配合されているため、単に触媒溶液乃至触媒分散液と成形体廃棄物とを混合しただけでは、生分解樹脂自体の分解は緩やかに進行し、生分解樹脂が完全にモノマーレベルまで分解し、成形体の形状が完全に崩壊するまでにかなりの時間を要することとなる。例えば、後述する実験例3の実験結果(図6参照)では、エステル分解抑制剤が配合されている本発明の組成物での分解速度は、分解抑制剤のTgよりも低い温度では、PLAのみが配合されている組成物に比して、かなり遅いことが判る。
これに対して、エステル分解抑制剤が配合されている本発明の組成物において、エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のガラス転移点(Tg)よりも高い温度に加熱した時には、実験例4の実験結果(図7)に示されている。因みに、実験例4では、ガラス転移点(Tg)が72℃のポリメチルメタクリレート(PMMA)をエステル分解抑制剤として用いての実験も行っており、この場合での加熱温度は45℃であり、このPMMAのTgよりも低い。このため、分解速度は促進されていないことが判る。
このように、本発明においては、生分解樹脂の分解を、組成物中に配合されているエステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のTgよりも高い温度に加熱して分解を行うことにより、酵素がエステル分解促進剤を加水分解し、さらにエステル分解抑制能を消失させ、エステル分解促進剤の機能を十分に発揮させて分解が行われ、エステル分解抑制剤が配合されていない場合と同レベルにまで分解速度を高めることができるのである。即ち、Tg以上の温度に加熱することにより、エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤の分子の運動性が高められ、酵素がエステル分解促進剤を加水分解することで、エステル分解促進剤の水素結合による拘束が解消され、エステル分解促進剤の加水分解による酸等の放出によって生分解性樹脂の分解が促進されるのである。しかも、易加水分解性のエステル分解促進剤が生分解性エステル樹脂の分解に先立って加水分解して酸等を放出するため、成形体に多数のクラックが生成し、この結果として、触媒溶液(特に酵素水溶液)が成形体内部に浸透し、成形体の表面及び内部で生分解性樹脂の分解が進行し、極めて短時間で分解を完結させることが可能となる。
尚、触媒として酵素を用いて分解処理を行う場合には、当然のことながら、加熱温度は酵素の失活温度(通常、50℃程度)未満とすべきであり、このため、用いるエステル分解促進剤及びエステル促進抑制剤としては、そのガラス転移温度(Tg)が酵素の失活温度よりも低いものを選択する必要がある。
上記のようにして、分解が行われ、成形体が完全に崩壊すると、生分解樹脂は、これを構成するモノマー乃至オリゴマーにまで分解されており、分解槽中の液を廃棄してもよいし、必要により、蒸留、抽出等の分離操作によりモノマー乃至オリゴマーを回収し、これを生分解性樹脂の合成に再利用することもできる。
本発明を次の実験例で説明する。
尚、実験例で行った各種測定は、以下の方法による。
<ポリエチレンオキサレート (以下「PEOx」とも略す)の合成>
マントルヒーター、攪拌装置、窒素導入管、冷却管を取り付けた1Lのセパラブルフラスコにシュウ酸ジメチル354g(3.0mol)、エチレングリコール223.5g(3.6mol)、テトラブチルチタネート0.30gを入れ窒素気流下フラスコ内温度を110ºCからメタノールを留去しながら170ºCまで加熱し9時間反応させた。最終的に210mlのメタノールを留去した。その後内温150ºCで0.1-0.5mmHgの減圧下で1時間攪拌し、内温170℃〜190ºCで7時間反応後、取り出した。合成物のηinhは0.12だった。得られたPEOxの融点(m.p.)及びガラス転移温度(℃)は、m.p.172℃、Tg25℃であった。
溶液粘度(ηinh)の測定は、120℃で一晩真空乾燥させた合成したPEOxを用い、これをm-クロロフェノール/1,2,4-トリクロロベンゼン=4/1(重量比)混合溶媒に浸漬し、150℃で約10分溶解させ濃度0.4g/dlの溶液を作り、ついでウベローデ粘度計を用いて30℃で溶融粘度を測定した。(単位dl/g)
<融点(m.p.)及びガラス転移温度(℃)の測定>
サンプル量5〜10mgをアルミパンに加え、密封し、示差走査熱量測定装置DSC(セイコーインスツルメント株式会社製:DSC6220)を用いて測定した。測定条件は窒素雰囲気下、0℃〜200℃まで10℃/分の昇温速度で測定し、融点とガラス転移温度を求めた。
<フィルムの作製>
各種材料をドライブレンドし、超小型混練機(株式会社東洋精機製作所製)で成形温度190℃及びスクリュー回転速度50rpmにて混練し、ペレットを作製した。該ペレットを190℃で5分間融解後、40−50kgf/cmの圧力で加熱加圧(ホットプレス)し、フィルムを作製した。
<FT-IR測定>
株式会社デジラボ・ジャパン社製のFTS7000SERIESを用いて行った。フィルムに対して全反射測定法(ATR法)で行い、測定周波数:600cm−1〜4000cm−1とした。
<乳酸溶出量の測定>
上記方法で作製されたフィルムを2cm×2cm、重量60mgに切り出し、3%NaOH水溶液10mlを25mlのバイアル瓶内に入れ、50℃で20分放置した。20分後、2mol/lのHCl水溶液を1.5ml加えpHを酸性とした後、液2mlを取り出し、後述のHPLCで乳酸溶出量を測定した。
<シュウ酸溶出量の測定>
上記方法で作製されたフィルムを2cm×2cm、重量70〜80mgに切り出し、超純水10mlとを25mlのバイアル瓶に加え、40℃下で一週間放置した。一週間後残液2ml取り出し、後述のHPLCでシュウ酸溶出量を測定した。
<HPLC(高速液体クロマトグラフ)>
HPLCシステムにはJASCO製GULLIVER seriesを使用した。分析条件は、カラムはWaters製Atlantis dC18 5μm、4.6×250mmを40℃に保ったカラムオーブン内で用い、0.5%リン酸とメタノールで流速1mL/分となるように図8のとおりグラジエントをかけ、それを移動相としてサンプルを50μl注入した。検出には210nmのUV吸収を用い、標準サンプルとしてシュウ酸、またはL-乳酸(和光純薬工業社製)を精製したものを用いた。
<フィルムの分解率の測定及び分解性試験>
pH7の60mmol/lリン酸緩衝液10mlに、CLE酵素液(リパーゼ活性653U/mlを示すCryptococcus sp. S-2由来リパーゼ(独立行政法人酒類総合研究所:特開2004-73123))48μlを添加して分解液を作製した。なお、リパーゼ活性は基質としてパラニトロフェニルラウレートを用いて測定した。ここで、リパーゼ活性の1Uとは1μmol/minのパラニトロフェノールをパラニトロフェニルラウレートから遊離させた時の酵素量で定義される。
上記方法で作製されたフィルムを2cm×2cm、重量60〜80mgに切り出し、上記分解液10mlを25mlのバイアル瓶内に入れ、所定の温度(37 or 45℃100rpm)で7日間振とうさせた。なお、pHの極度な低下を避けるため、7日間を2日、2日、3日に分け、それぞれ分解液を交換して行った。7日後、フィルムを取り出し45℃オーブンで一晩乾燥させ、重量を測定した。フィルムの分解率は{(初期のフィルム重量)―(7日後のフィルム重量)/初期のフィルム重量}×100で求めた。
<外観評価>
上記方法で作製されたフィルムの外観を目視で評価し、良好なものを○、フィルムの一部にブツ(ゲル状物)が生じたものを△、フィルム全体にブツが生じたものを×とした。
(実験例1)
基材としてポリ乳酸(PLA)(Natureworks社製4032D(m.p.160℃、Tg58℃))、分解抑制剤としてポリ酢酸ビニル(PVAc)(ACROS ORGANICS社製:Tg30℃、Mw101600))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(和光純薬工業社製:Tg72℃)、けん化度60mol%ポリビニルアルコール(PVA60)(クラレ社製CP9000:Tg40℃)、エチレンコンテント32mol%エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH32)(クラレ社製F101:m.p.178℃、Tg57℃)を表1に示す配合量でブレンドして参考例1〜5のフィルムを作製した。得られたフィルムの乳酸溶出量の測定結果を表1に示す。
Figure 2011006615
(実験例2)
実験例1に使用した各材料を表2に示す配合量でブレンドして実施例1〜13、比較例1〜5のフィルムを作製した。得られたフィルムのシュウ酸溶出量、分解率の測定、外観評価の結果を表2、図3〜5に示す。
Figure 2011006615
(実験例3)
基材としてポリ乳酸(PLA)(Natureworks社製4032D:m.p.160℃、Tg58℃)100重量部、分解促進剤としてポリエチレンオキサレート(PEOx)5.5重量部に、分解抑制剤としてポリメチルメタクリレート(PMMA)(和光純薬工業社製:Tg72℃)、けん化度60mol%ポリビニルアルコール(PVA60)(クラレ社製CP9000: Tg40℃)をそれぞれ5.5重量部を配合したフィルムを作成し、分解液を37℃の条件下にてフィルムの分解性試験を行った。結果を図6に示す。
(実験例4)
分解液を45℃の条件下とし、分解抑制剤としてポリ酢酸ビニル(PVAc)(ACROS ORGANICS社製:Tg30℃、Mw101600))を5.5重量部配合したフィルムを作成した以外は、実験例3と同様に分解性試験を行った。結果を図7に示す。

Claims (11)

  1. 難加水分解性の生分解性樹脂と、エステル分解促進剤と、非加水分解性エステル基を有するエステル分解抑制剤とを含有することを特徴とする生分解性樹脂組成物。
  2. 前記エステル分解抑制剤が有しているエステル基がメチルエステル基またはアセテート基である請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 前記エステル分解抑制剤が、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体或いはこれらの部分ケン化物及びポリメチルメタクリレートからなる群より選択された少なくとも1種である請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 前記エステル分解促進剤が、酸放出性エステル分解促進剤である請求項1乃至3の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 前記エステル分解促進剤が、ポリオキサレートまたはポリグリコール酸である請求項4に記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 生分解性樹脂100重量部当り、前記エステル分解抑制剤を0.01乃至30重量部及び前記エステル分解促進剤を0.01乃至30重量部の量で含有している請求項1乃至5の何れかに記載の生分解性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の生分解性樹脂組成物を用いて成形された成形体。
  8. 容器である請求項7に記載の成形体。
  9. 請求項6に記載の生分解性樹脂組成物を、溶媒中、触媒の存在下で、前記エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤のガラス転移点(Tg)以上の温度に加熱することにより、該樹脂組成物に含まれる難加水分解性の生分解性樹脂を分解することを特徴とする方法。
  10. 前記触媒として酵素を使用し、且つ前記エステル分解促進剤及びエステル分解抑制剤として、酵素の失活温度よりも低いガラス転移点(Tg)を有するものを使用し、該ガラス転移点以上且つ酵素の失活温度未満の温度に加熱して生分解樹脂の分解を行う請求項9に記載の方法。
  11. 前記生分解性樹脂組成物は、成形体の形態で使用される請求項9または10に記載の方法。
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