JP2011003313A - 金属気体電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、導電性材料を含有する気体極層を有する気体極と、アルカリ金属元素を有する負極活物質を含有する負極層を有する負極と、上記負極層および上記気体極層の間でアルカリ金属イオンの伝導を行う電解液と、を有する金属気体電池であって、上記気体極層は、上記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、放電および充電の少なくとも一方の進行に応じて、上記気体極層に対して上記電解液および気体の界面である浸漬面が相対的に移動するように形成されていることを特徴とする金属気体電池を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】図1
Description
しかしながら、上記気体極層が、電解液中に完全に浸漬した状態で用いられる場合、上記電解液中に溶存している酸素により上述した反応が進行されることになり、反応が進行しにくいといった問題があった。また、上記気体極層の一部が電解液に浸漬した状態で用いられる場合、上記気体極層の気液界面と接する領域またはその近傍の領域(以下、浸漬面付近領域とする場合がある。)では酸素が供給され易いため、放電初期の段階では良好な反応速度が得られるが、放電反応の進行に伴い上記気体極層の上述した浸漬面付近領域に放電生成物が生成し電解液との接触が困難になることから、放電反応の速度が低下し、結果として、全体の放電速度の向上に寄与しないといった問題があった。
本発明の金属気体電池は、上記気体極層が、上記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、放電および充電の少なくとも一方の進行に応じて、上記気体極層に対して上記電解液および気体の界面である浸漬面が相対的に移動するように形成されている態様(A態様)と、上記気体極層の負極層側界面が、上記電解液および気体の界面である浸漬面に対して平行を保つように形成されている態様(B態様)と、の2つの態様に分けることができる。以下、本発明の金属気体電池を、各態様に分けて説明する。
まず、本発明の金属気体電池のA態様について説明する。本態様の金属気体電池は、上記気体極層が、上記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、放電および充電の少なくとも一方の進行に応じて、上記気体極層に対して上記電解液および気体の界面である浸漬面が相対的に移動するように形成されているものである。
なお、放電時にのみその放電の進行に応じて上記気体極層に対して上記浸漬面を移動させるものである場合には、通常、充電完了時から放電開始時までの間に、上記浸漬面の位置を充電完了時の位置から、後述する放電開始時の位置に移動するものである。
また、充電完了時とは、予め設定された電位(充電完了電位)まで電位が上昇したときをいうものであり、放電開始時とは、上記充電完了電位の状態から放電を開始するときをいうものであり、放電完了時とは、予め設定された電位(放電完了電位)まで電位が低下したときをいうものである。ここで、予め設定された電位(充電完了電位および放電完了電位)については、本態様の金属気体電池の用途等に応じて適宜設定されるものである。
本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池であって、充放電に伴う上記気体極層での放電生成物の生成または分解を利用する態様である。
ここで、上記放電生成物の上記気体極層での生成または分解を利用するとは、上記気体極層での放電生成物の生成または分解に伴う体積変化、または、上記気体極層の密度変化を利用し、上記気体極層に対して浸漬面を移動させることをいうものである。
本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池であって、上記気体極層を上記電解液に対して浮力により保持させる態様である。
このように、放電および充電の進行に応じて上記気体極層を移動させることができることにより、上記気体極層に対して上記浸漬面を移動させることができるのである。
図1に例示するように、本態様の金属気体電池10は、負極集電体2と、負極集電体2に接続された負極リード2aと、負極集電体2上に形成され、アルカリ金属元素を有する負極活物質(例えば金属Li)を含有する負極層3と、導電性材料(例えばカーボンブラック)、触媒(例えば二酸化マンガン)および結着材(例えばポリフッ化ビニリデン)を含有する気体極層4、および気体極層4の集電を行い、カーボン材料から構成されている気体極集電体5を有する気体極6と、気体極集電体5に接続された気体極リード5aと、負極層3および気体極層4を浸し、有機溶媒電解液からなる電解液7と、負極層3、気体極6および電解液7を収納する電池ケース1と、を有するものである。
また、上記気体極6は、上記気体極集電体5を介して接続され、内部に密閉された空洞を有する中空体からなる浮力手段11を備えるものであり、この浮力手段11により上記気体極層4は、上記電解液7に対して浮力により保持されるものである。
なお、上記電解液および気体の界面である浸漬面とは、図1(a)においてAで示される電解液7および気体の界面をいうものである。
また、上記気体極層の一部が電解液に浸漬した状態で用いられる場合、上記気体極層の気液界面と接する領域またはその近傍である領域、すなわち、浸漬面付近領域では酸素が供給され易いため、放電初期の段階では良好な反応速度が得られるが、放電反応の進行に伴い上記気体極層の上述した浸漬面付近領域に放電生成物が生成し電解液との接触が困難になることから、放電反応の速度が低下し、電池特性が低いものとなるおそれがあった。
また、上記気体極層の一部が上記電解液に浸かっている状態から、放電の進行に応じて、上記気体極層に対して上記浸漬面を電解液側から気体側に移動させることができることにより、例え、高負荷がかかった場合であっても、上記気体極層の気体側表面が上記放電生成物により被覆され、上記気体極層への酸素輸送経路が閉塞されることのないものとすることができる。
また、上記気体極層を上記電解液に対して浮力により保持させることにより、上記気体極層に対する浸漬面の移動を、特に、他の手段を設けることなく行うことができることから、本態様の金属気体電池を簡便なものとすることができる。
以下、本態様の金属気体電池の各構成について説明する。
本態様に用いられる気体極は気体極層を有するものであり、通常、これに加えて、気体極集電体を有するものである。
本態様における気体極層は、上記電解液に少なくともその一部が浸漬されているものであり、かつ、少なくとも放電開始時において上記電解液に対して浮力により保持されているもの、すなわち、少なくとも放電開始時において上記電解液に浮いているものである。
なお、放電完了時においては、上記電解液に対して浮力により保持されているものであっても良く、例えば、後述するセパレータ上に載置される等することにより保持されるものであっても良い。
上記浮力手段が、上記気体極層外部に形成される場合には、上記気体極層に直接接するように形成されるものであっても良く、他の部材を介して接するものであっても良い。
また、浮力手段の形成場所としては、上記気体極層の内部であっても良い。具体的には、図2に例示するように、内部に密閉された空洞を有する中空体11を上記気体極層4の内部に配置するものとすることができる。なお、この例においては、上記気体極層は、内部に密閉された空洞を有する中空体である。また、図2中の他の符号については、図1のものと同一のものである。
このような方法としては、具体的には、上記気体極層を構成する気体極層構成材料の材料を選択する材料選択方法を挙げることができる。
また、上記材料選択方法としては、上記気体極層構成材料の選択により浮力を調整するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記気体極層構成材料として上記電解液よりも低密度な材料を選択する方法とすることができる。より具体的には、導電性材料として多孔質構造を有するものを選択する方法や、結着材として、発泡性樹脂を選択する方法を挙げることができる。
本態様に用いられる気体極集電体は、気体極層の集電を行うものである。気体極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。気体極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本態様においては、気体極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。集電効率に優れているからである。この場合、通常、気体極層の内部にメッシュ状の気体極集電体が配置される。さらに、本態様の金属気体電池は、メッシュ状の気体極集電体により集電された電荷を集電する別の気体極集電体(例えば箔状の集電体)を有していても良い。また、本態様においては、後述する電池ケースが気体極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
本態様における気体極の形成方法は、上述した気体極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。気体極の形成方法の一例としては、まず、導電性材料、触媒および結着材を含有する気体極層形成用の組成物を作製し、次に、この組成物を、気体極集電体上に塗布して、乾燥する方法等を挙げることができる。
本態様における電解液は、上記負極層および上記気体極層の間でアルカリ金属イオンの伝導を行うものである。
このようなリチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4およびLiAsF6等の無機リチウム塩;およびLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiC(CF3SO2)3等の有機リチウム塩等を挙げることができる。
上記有機溶媒電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mol/L〜3mol/Lの範囲内である。
このような疎水性イオン性液体の具体例としては、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「DEMETFSI」と記述することがある。)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「EMITFSI」と記述することがある。)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「BMITFSI」と記述することがある。)等を挙げることができる。
本態様に用いられる負極は、アルカリ金属元素を有する負極活物質を含有する負極層を有するものであり、通常、これに加えて、上記負極層の集電を行う負極集電体と、を有するものである。
本態様に用いられる負極層は、少なくとも、アルカリ金属元素を有する負極活物質を含有する。上記アルカリ金属元素としては、例えばLi、NaおよびK等を挙げることができ、中でもLiが好ましい。エネルギー密度の高い電池を得ることができるからである。
本態様に用いられる負極集電体は、負極層の集電を行うものである。負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等を挙げることができる。上記負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本態様においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
本態様における負極の形成方法は、上述した負極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。負極の形成方法の一例としては、箔状の負極活物質を、負極集電体上に配置して、加圧する方法を挙げることができる。また、負極の形成方法の他の例としては、負極活物質および結着材を含有する負極層形成用の組成物を作製し、次に、この組成物を、負極集電体上に塗布して、乾燥する方法等を挙げることができる。
次に、本態様に用いられる電池ケースについて説明する。本態様に用いられる電池ケースの形状としては、上述した気体極、負極、電解液を収納することができれば特に限定されるものではないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。また、電池ケースは、大気開放型の電池ケースであっても良く、密閉型の電池ケースであっても良い。大気開放型の電池ケースは、上述した図1に示すように、大気と接触可能な電池ケースである。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、気体(気体)の供給管および排出管を設けることが好ましい。この場合、供給・排出する気体は、酸素濃度が高いことが好ましく、純酸素であることがより好ましい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くすることが好ましい。
本態様の金属気体電池の種類としては、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、なかでも、二次電池であることが好ましい。さらに、金属気体電池の種類として、金属の種類の関係では、例えばリチウム気体電池、ナトリウム気体電池、マグネシウム気体電池、カルシウム気体電池およびカリウム気体電池等を挙げることができ、中でもリチウム気体電池が好ましい。また、本発明の金属気体電池の用途は、特に限定されるものではないが、例えば車両搭載用途、定置型電源用途、家庭用電源用途等を挙げることができる。
また、本態様の金属気体電池は、通常、図1に示すように、上記気体極層および負極層が、上記浸漬面に対して平行方向に配置されるものが用いられるが、特にこれに限定されるものではなく、上記各部材が垂直方向に配置されるものであっても良い。
本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池であって、上記電解液を上記気体極層を浸漬する気体極層側電解液と上記負極層を浸漬する負極層側電解液とからなるものとし、上記気体極層と負極層との間には、アルカリ金属イオン伝導性を有する固体電解質材料からなり、さらに、上記気体極層側電解液および負極層側電解液が混合しないように配置された固体電解質層を有するものとする態様である。
なお、本態様のように上記気体極層と上記負極層との間に上記気体極層側電解液および負極層側電解液を分離する固体電解質層を有さない一般的な構成の金属気体電池では、放電時および充電時のいずれの場合でも、一方の電極層(気体極層または負極層)の体積が増大した場合は他方の電極層の体積が減少するため、上記気体極層側電解液の界面変動を十分に引き起こすことができず、本態様のような効果は奏し得ないものである。
なお、図3中の他の符号については、図1のものと同一のものである。
また、このような構成とすることにより、上記気体極層に対する浸漬面の移動を、特に、他の手段を設けることなく行うことができることから、本態様の金属気体電池を簡便なものとすることができる。
さらに、充放電時に上記気対極層側電解液が分解されることにより分解成分が生じた場合であっても、このような分解成分が上記負極層と接触することを防ぐことができるため、上記分解成分が上記負極層と接触し絶縁膜となることを防ぐことができる。その結果、上記負極層で反応の阻害が生じることを防ぐことができるからである。
なお、上記負極、電池ケースおよびセパレータについては、上記「(a)第1態様」の項に記載した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。
本態様に用いられる固体電解質層は、アルカリ金属イオン伝導性を有する固体電解質材料からなり、上記気体極層と負極層との間に、上記気体極層側電解液および負極層側電解液が混合しないように形成されるものである。
具体的には、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、なかでも50μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、上記気対極層側電解液および負極層側電解液が混ざり合うことを安定的に防ぐことができるからである。
本態様に用いられる電解液は、上記負極層および上記気体極層の間でアルカリ金属イオンの伝導を行うものであり、上記気体極層を浸漬する気体極層側電解液と、上記負極層を浸漬する負極層側電解液からなるものである。
このような気体極層側電解液および負極層側電解液としては、具体的には、上記有機溶媒電解液および疎水性イオン性液体等の非水電解液を用いることができる。
また、上記気体極層側電解液および負極層側電解液は、同一であっても良く、異なっていても良い。
また、上記有機溶媒電解液は、金属イオン伝導性に優れるものであるため、電池特性を向上させることができる。このため、疎水性イオン性液体を気体極層側電解液として用い、有機溶媒電解液を上記負極層側電解液として用いることにより、金属イオン伝導性に優れ、かつ、上記浸漬面の制御に優れたものとすることができるからである。
本態様に用いられる気体極は気体極層を有するものであり、通常、これに加えて、気体極集電体を有するものである。
なお、気体極集電体については、上記「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様の金属気体電池は、通常、既に説明した図3に示すように、上記気体極層および負極層が、上記浸漬面に対して平行方向に配置されるものが用いられるが、特にこれに限定されるものではなく、上記各部材が垂直方向に配置されるものであっても良い。
また、本態様の金属気体電池の種類、用途については、上記「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
次に、A態様の金属気体電池のA−2態様について説明する。本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池において、上記浸漬面移動手段を用いる態様である。
なお、図4中の他の符号については、図1のものと同一のものである。
また、上記浸漬面移動手段を用いることにより、上記気体極層に対する浸漬面の移動を自由度高く設定することができるため、上記気体極層に対する上記浸漬面の相対的な移動の制御を容易なものとすることができる。
なお、上記電解液、負極、電池ケースおよびセパレータについては上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様における浸漬面移動手段としては、上記気体極層に対して上記浸漬面を相対的に移動させることができるものであれば限定されるものではないが、具体的には、上記気体極層を移動させる気体極層移動手段、または、上記浸漬面を移動させる浸漬面調整手段を挙げることができる。
本態様に用いられる気体極層移動手段としては、上記気体極層を移動させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、上記気体極層を把持する把持部と、上記把持部を支持する支持部と、上記支持部を上下に移動させることができる動力部とを有するものとすることができる。
上記動力部としては、上記支持部を上下に移動させることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記支持部に合わせて選択されるものであり、例えば、上記支持部がワイヤーである場合には、巻取り装置が用いられる。
また、本態様においては、上記気体極層移動手段が動力部を含まず、手動により上記気体極層を移動させるものであっても良い。
本態様に用いられる浸漬面調整手段としては、上記浸漬面を移動させることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記電池ケース内に上記電解液を供給・排出する供給排出手段、上記電解液中に、所定の体積の体積変更用部材を挿入または抽出する体積変更手段等を挙げることができる。
なお、図5中の他の符号については、図1のものと同一のものである。また、この例においては、放電および充電の進行状況を検知し、上記ポンプ23を制御する信号15aを送信することができる制御部15を有するものである。
なお、図6中の他の符号については、図1のものと同一のものである。また、この例においては、放電および充電の進行状況を検知し、上記動力部14を制御する信号15aを送信することができる制御部15を有するものである。
本態様においては、上記浸漬面移動手段による上記気体極層または浸漬面の移動を制御する制御部を有するものであっても良い。
このような制御部としては、放電および充電の進行に応じて、上記気体極層または浸漬面の移動を制御できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、放電および充電の進行を検知する検知手段を有し、検知した進行状況を信号として上記浸漬面移動手段に送信することができるものとすることができる。
このような検知手段としては、電圧計、電気化学ポテンショスタット等を挙げることができる。
本態様に用いられる気体極は気体極層を有するものであり、通常、これに加えて、気体極集電体を有するものである。
本態様に用いられる気体極層および気体極集電体については、上記「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様の金属気体電池は、既に説明した図4に示すように、上記気体極層および負極層が、上記浸漬面に対して平行方向に配置されるものであっても良いが、図7に例示するように、上記気体極層4および負極層3が垂直方向に配置されるものであっても良い。また、図7に示すように、上記気体極層4、電解液7および負極層3がこの順で配置された発電要素が複数積層されるものであっても良い。
なお、図7中の他の符号については、図4のものと同一のものである。また、この例においては、気体極層4および負極層3がセパレータ8により隔離されるものである。
また、本態様の金属気体電池の種類、用途については、上記「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
次に、本発明の金属気体電池のB態様について説明する。本態様の金属気体電池は、上記気体極層が上記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、上記気体極層の負極層側界面が、上記電解液および気体の界面である浸漬面に対して平行を保つように形成されているものである。
本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池において、上記気体極層が上記電解液に対して浮力により保持されている態様である。
図8に例示するように、本態様の金属気体電池10は、上記気体極集電体5を介して接続され、内部に密閉された空洞を有する中空体からなる浮力手段25を備える気体極層4を含む気体極6を有し、上記気体極層4を含む気体極6が上記電解液7に対して浮力により保持されているものである。
ここで、図8(a)に示すような上記金属気体電池が水平状態で用いられている状態から、図8(b)に示すような上記金属気体電池が傾斜状態で用いられる状態になった場合であっても、上記浮力手段25を有することにより、上記気体極層4が上記電解液7に対して浮力により保持されているため、上記気体極層4の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つことができる。
なお、図8中の他の符号については、図1のものと同一のものである。
また、本態様によれば、上記気体極層が上記電解液に対して浮力により保持されていることにより、上記気体極層の負極層側表面の上記浸漬面に対する平行を、特に、他の手段を設けることなく保つことができることから、本態様の金属気体電池を簡便なものとすることができる。
なお、上記電解液、負極、電池ケースおよびセパレータについては上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられる気体極は気体極層を有するものであり、通常、これに加えて、気体極集電体を有するものである。
なお、上記気体極集電体については、上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様の金属気体電池は、気体極層、電解液および負極層がこの順で配置された発電要素が、中間集電体を介して複数積層されているものであっても良い。
また、本態様においては、上記気体極層および負極層が、上記浸漬面に対して平行方向に配置されるものであることが好ましい。上記気体極層および浸漬面を平行に保つ効果をより効果的に発揮することができるからである。
本態様の金属気体電池の種類、用途については、上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本態様の金属気体電池は、上述した金属気体電池において、上記平行保持手段を用いる態様である。
図9に示すように、本態様の金属気体電池10は、上記平行保持手段として、上記電池ケース1を吊り下げる吊り下げ手段26を有するものである。
このような平行保持手段を有することにより、図9(a)のように、車両が平坦な路面を走行する場合であっても、図9(b)に示すように、車両が坂道を走行する場合であっても、上記気体極層4を水平状態に保つことができ、上記気体極層4の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つことができる。
なお、図9中の他の符号については、図1のものと同一のものである。
また、本態様によれば、上記平行保持手段を有することにより、上記気体極層の負極層側界面を上記浸漬面に対して平行を保つ制御が容易なものとすることができる。
なお、上記電解液、負極、電池ケースおよびセパレータについては上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられる平行保持手段は、上記気体極層を上記電解液に少なくともその一部を浸漬させ、かつ、上記気体極層の負極層側表面を、上記浸漬面に対して平行に保つことができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、金属気体電池が傾斜した場合に、上記電池ケース自体を傾斜させることにより、上記気体極層の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つ電池ケース平行手段、金属気体電池が傾斜した場合に、上記気体極層を上記電池ケースに対して傾斜させることにより、上記気体極層の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つ気体極層平行手段等を挙げることができる。
本態様における電池ケース平行手段としては、金属気体電池が傾斜した場合に、上記電池ケース自体をその傾斜の角度に応じて傾斜させることにより、上記気体極層の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、重力により常時上記電池ケースを水平に保つ電池ケース常時水平手段、動力により、上記電池ケースの傾きを変化させる電池ケース角度調整手段等を挙げることができる。
本態様に用いられる電池ケース常時水平手段としては、重力により常時上記電池ケースを水平に保つことができるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、既に説明した図9に示すような上記電池ケースを吊り下げる方法や、上記電池ケースが当該電池ケースの傾斜に応じて傾斜するように回転自在に支持された回転軸を有する方法等を挙げることができる。
本態様においては、電池ケース平行手段として上記電池ケース常時水平手段を用いることにより、他の手段を設けることなく上記電池ケースを水平に保つことができることから、本態様の金属気体電池を簡便なものとすることができるといった利点を有する。
本態様に用いられる電池ケース角度調整手段としては、動力により、上記電池ケースの傾きを変化させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記電池ケースに固定され、かつ、上記電池ケースの傾斜角度を変化させることができる回転軸と、上記回転軸を回転させる動力部と、からなるもの等を挙げることができる。
本態様においては、電池ケース平行手段として上記電池ケース角度調整手段を用いることにより、上記電池ケースの移動、角度変化を、自由度高く設定することができることから制御が容易なものとすることができるといった利点を有する。
このような傾斜制御部としては、上記電池ケースの傾きを水平に保つように制御することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、本態様の金属気体電池の傾斜状態を検知し、その状態を信号により送信することができる傾斜検知手段を有し、検知した傾斜状態を信号として上記電池ケース角度調整手段に送信することができるものとすることができる。
上記傾斜検知手段としては、本態様の金属気体電池の傾斜状態を精度良く検知できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ジャイロセンサ等を用いることができる。
本態様における気体極層平行手段としては、金属気体電池が傾斜した場合に、上記気体極層を上記電池ケースに対してその傾斜に応じて傾斜させることにより、上記気体極層の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、重力により常時上記気体極を水平に保つ気体極層常時水平手段、動力により、上記気体極を水平に保つ気体極層角度調整手段等を挙げることができる。
本態様に用いられる気体極層常時水平手段としては、重力により上記気体極層を水平に保つことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記電池ケース内において、上記気体極層を吊り下げる方法や、上記気体極層が当該気体極層の傾斜に応じて傾斜するように回転自在に支持された回転軸を有する方法等を挙げることができる。
本態様においては、上記気体極層平行手段として上記気体極層常時水平手段を用いた場合には、上記気体極層自身にかかる重力により、他の手段等を設けることなく上記気体極層の負極層側表面を上記浸漬面に対して平行に保つことができることから本態様の金属気体電池を簡便なものとすることができるといった利点を有する。
本態様に用いられる気体極層角度調整手段としては、上記気体極層の角度を変化させることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記気体極層に固定され、上記気体極層の傾斜角度を変化させることができる回転軸と、上記回転軸を回転させる動力部と、からなるもの等を挙げることができる。
本態様においては、上記気体極層平行手段として上記気体極層角度調整手段を用いることにより、上記気体極層の移動、角度変化を、自由度高く設定することができることから制御が容易なものとすることができるといった利点を有する。
このような傾斜制御部としては、上記気体極層の傾きを水平に保つように制御することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記「(i)電池ケース平行手段」の「b.電池ケース角度調整手段」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本態様に用いられる気体極は気体極層を有するものであり、通常、これに加えて、気体極集電体を有するものである。
なお、気体極層および気体極集電体については、上記「1.A態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様の金属気体電池は、気体極層、電解液および負極層がこの順で配置された発電要素が、中間集電体および中間リード線等を介して複数積層されているものであっても良い。
また、上記気体極層および負極層の、上記浸漬面に対する配置方法については、上記「(1)B−1態様」の項に記載した内容と同様とすることができる。
また、本態様の金属気体電池の種類、用途については、上記「1.A態様」の「(1)A−1態様」の「(a)第1態様」の項に記載の内容と同様とすることができる。
2…負極集電体
3…負極層
4…気体極層
5…気体極集電体
6…気体極
7…電解液
8…セパレータ
10…金属気体電池
Claims (10)
- 導電性材料を含有する気体極層を有する気体極と、
アルカリ金属元素を有する負極活物質を含有する負極層を有する負極と、
前記負極層および前記気体極層の間でアルカリ金属イオンの伝導を行う電解液と、
を有する金属気体電池であって、
前記気体極層は、前記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、
放電および充電の少なくとも一方の進行に応じて、前記気体極層に対して前記電解液および気体の界面である浸漬面が相対的に移動するように形成されていることを特徴とする金属気体電池。 - 前記浸漬面が、少なくとも放電の進行に応じて、前記気体極層に対して前記浸漬面が前記気体極層の前記電解液側から気体側に相対的に移動するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属気体電池。
- 放電完了時の前記浸漬面が、前記気体極層に生成した放電生成物を全て前記電解液に浸漬させた状態とする位置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属気体電池。
- 前記気体極層に対する前記浸漬面の相対的な移動が、放電および充電に伴う前記気体極層での放電生成物の生成または分解を利用するものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の金属気体電池。
- 前記電解液が、前記気体極層を浸漬する気体極層側電解液と、前記負極層を浸漬する負極層側電解液からなり、
前記気体極層と負極層との間には、アルカリ金属イオン伝導性を有する固体電解質材料からなり、さらに、前記気体極層側電解液および負極層側電解液が混合しないように形成された固体電解質層を有するものであることを特徴とする請求項4に記載の金属気体電池。 - 前記気体極層が前記電解液に対して浮力により保持されたものであることを特徴とする請求項4に記載の金属気体電池。
- 前記気体極層に対する前記浸漬面の相対的な移動が浸漬面移動手段によるものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の金属気体電池。
- 導電性材料を含有する気体極層を有する気体極と、
アルカリ金属元素を有する負極活物質を含有する負極層を有する負極と、
前記負極層および前記気体極層の間でアルカリ金属イオンの伝導を行う電解液と、
を有する金属気体電池であって、
前記気体極層は、前記電解液に少なくともその一部が浸漬されており、
前記気体極層の負極層側界面が、前記電解液および気体の界面である浸漬面に対して平行を保つように形成されていることを特徴とする金属気体電池。 - 前記気体極層が、前記電解液に対して浮力により保持されたものであることを特徴とする請求項8に記載の金属気体電池。
- 前記気体極層の負極層側界面の前記浸漬面に対する平行が、平行保持手段により保たれるものであることを特徴とする請求項8に記載の金属気体電池。
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