JP2011000009A - 着色魚肉ソーセージの製造方法、着色魚肉ソーセージおよび魚肉ソーセージ用着色剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】レトルト加熱工程を経る魚肉ソーセージをクチナシ赤色素で着色し、従来より明るい赤色に着色する方法を提供すること。
【解決手段】魚肉すり身を主体とする練り肉に、クチナシ赤色素と還元剤とを加えた組成物を、ケーシング内に充填し、レトルト加熱することを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】魚肉すり身を主体とする練り肉に、クチナシ赤色素と還元剤とを加えた組成物を、ケーシング内に充填し、レトルト加熱することを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、着色魚肉ソーセージの製造方法、着色魚肉ソーセージおよび魚肉ソーセージ用着色剤に関し、さらに詳しくは明るい赤色に着色された魚肉ソーセージの製造方法、明るい赤色に着色された魚肉ソーセージおよび魚肉ソーセージ用着色剤に関する。
従来、大量に製造、消費されている魚肉ソーセージは、原料である魚肉すり身が灰色であり、見た目が悪く、色にばらつきがあることから、消費者の食欲を増すために赤色系着色料によってある程度の赤色に着色されている。従来、この着色には合成色素であるタール系色素あるいは天然系色素であるコチニール色素などを使用することが多く行われてきた。
上記タール系色素あるいはコチニール色素は、安価なうえ、熱あるいは光に対し非常に安定であり、また、食品に添加した場合の色調が鮮やかであるという特徴を有している。
しかしながら、タール系色素は化学的な合成品であること、コチニール色素はエンジ虫からの抽出物であることで、消費者が受けるイメージが悪いことから植物起源の代替色素が望まれている。しかし、従来のタール系色素やコチニール色素以外の赤色系色素は、pHによる色調変化があるか、熱あるいは光に不安定か、色調的にも鮮やかさがないのうち、1点かあるいは数点の弱点があることから、魚肉ソーセージを着色する場合の大きな障害となっている。
色素の中でクチナシ赤色素は、アカネ科クチナシ(Gardenia augusuta MERRILL var.grandiflora HORT., Gardenia jasminoides ELLIS)の果実より得られるイリドイド配糖体のエステル加水分解物とたんぱく質分解物の混合物に、β−グルコシダーゼを添加した後、分離して得られるものである。このクチナシ赤色素は、熱、光に対して比較的に強く、中性でも使用可能な赤色系色素として、従来は一般的な加工食品の着色に使用されているが、他の食品添加物の赤色系色素と比較して色が暗いという性質があった。
魚肉ソーセージは、スケトウダラなどの冷凍すり身に、豚脂、調味料、香辛料などを混ぜ、練り合わせたものをケーシングし、レトルト殺菌釜で高圧高温殺菌を行って製造されている。さらに必要に応じて上記練り物にデンプン、植物性タンパク、卵白などの結着剤を加えることもある。魚肉ソーセージは、すり身以外の成分が多いことと、レトルト加熱時に、高温加熱により成分間で各種反応が起き、同じようにすり身を原料とする蒲鉾などと比較して素地が暗いという課題がある。特許文献1には、アスコルビン酸を含有する果汁および液状調味料にクチナシ赤色素を使用することで安定に着色することが記載されている。しかし、これはアスコルビン酸を含有する果汁および液状調味料において、クチナシ赤色素は安定であるが他の赤色系色素は不安定であるという内容である。アスコルビン酸が存在する場合としない場合とを比較してクチナシ赤色素の挙動が変化するかどうかについては触れられておらず、アスコルビン酸がクチナシ赤色素の安定性を高めているとは言い切れない。従って対象が魚肉ソーセージでありアスコルビン酸のある場合と無い場合に色調が変化する本発明とは全く視点が異なる。しかも、特許文献1の着色は常温で行われており、レトルト加熱処理が必須である魚肉ソーセージに対する着色効果は不明である。
前記のように魚肉ソーセージは、タール系色素、コチニール色素以外の色素で着色されることが市場から要望されているが、すり身以外の成分が多い状態で、レトルト加熱処理されるために、レトルト加熱処理を行わない蒲鉾などと比較して素地が暗いことから、該着色にクチナシ赤色素を使用すると、暗い素地に暗い色素で着色することになり、最終製品としての魚肉ソーセージを、食欲がわく明るい赤色に着色することができないという課題がある。既にクチナシ赤色素で魚肉ソーセージを着色する例はあるが、この場合には明るさを補うために他の黄色色素を大量に混合しており、得られる魚肉ソーセージが、結果として黄味が強くなり、オレンジに近い色調となっている。
従って、本発明の目的は、レトルト加熱工程を経る魚肉ソーセージをクチナシ赤色素で着色し、従来のクチナシ赤色素を使用した場合より明るい赤色に着色された魚肉ソーセージを提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、魚肉すり身を主体とする練り肉に、クチナシ赤色素と還元剤とを加えた組成物を、ケーシング内に充填し、レトルト加熱することを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージの製造方法を提供する。
上記本発明においては、クチナシ赤色素の添加量が、練り肉固形分100質量部当たり、色値E(10% 1cm)50として0.01〜0.5質量部であること、還元剤の添加量が、練り肉固形分100質量部当たり0.006〜1質量部であること、および還元剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸および/またはそれらの塩、およびハイドロサルファイトから選ばれるひとつ以上であることが好ましい。
また、本発明は、上記本発明の着色魚肉ソーセージの製造方法で製造されたことを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージ、およびクチナシ赤色素(A)と還元剤(B)とからなり、かつA:Bの質量比が1:99〜99.8:0.2(AとBとの合計量を100質量部とする)であることを特徴とする魚肉ソーセージ用着色剤を提供する。
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意努力して実験を重ねた結果、クチナシ赤色素は、その色調が暗く、かつ着色対象の魚肉ソーセージの素地の色調も暗いという欠点のために、明るい赤色としては魚肉ソーセージの着色には使用できなかったが、上記本発明の構成により魚肉ソーセージを明るい赤色に着色でき、商品価値を高めることができることを見出した。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明において使用するクチナシ赤色素とは、アカネ科クチナシ(Gardenia augusuta MERRILL var.grandiflora HORT., Gardenia jasminoides ELLIS)の果実より、微温時水で抽出して得られるイリドイド配糖体のエステル加水分解物とたんぱく質分解物の混合物に、β−グルコシダーゼを添加した後、分離して得られるものである。また、本発明で使用するクチナシ赤色素は、上記抽出液を、例えば、噴霧乾燥などにより適宜粉末や乳化により油溶性に加工されたものでもよい。
本発明において使用するクチナシ赤色素とは、アカネ科クチナシ(Gardenia augusuta MERRILL var.grandiflora HORT., Gardenia jasminoides ELLIS)の果実より、微温時水で抽出して得られるイリドイド配糖体のエステル加水分解物とたんぱく質分解物の混合物に、β−グルコシダーゼを添加した後、分離して得られるものである。また、本発明で使用するクチナシ赤色素は、上記抽出液を、例えば、噴霧乾燥などにより適宜粉末や乳化により油溶性に加工されたものでもよい。
本発明で用いる還元剤とは、アスコルビン酸、エリソルビン酸および/またはそれらの塩、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウムおよびピロ亜硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。還元剤の形態は特に制限されず、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状、乳液状、ペースト状などの任意の形態として使用することができる。
本発明は、以下の知見に基づくものである。すなわち、クチナシ赤色素と還元剤とを、魚肉ソーセージに添加して着色したところ、レトルト加熱ではなく蒸煮加熱の場合は、還元剤の有無に関係なく加熱後の色調は同じであった。ところが、これをレトルト加熱したところ、還元剤が存在することにより還元剤が存在しないものと比較して明るい赤色に着色できることを見出した。
上記色調の変化の正しい理由は不明であるが、魚肉ソーセージをレトルト加熱する際に起きる種々の反応を還元剤の還元力により防止しているためと考えられる。また、クチナシ赤色素はある程度の分子量を有する高分子化合物であるとされており、この高分子化合物が還元剤の存在下でレトルト加熱されることにより、低分子量化し、暗い赤色(分子量が高い)が明るい赤色(分子量が低い)に変化したものと推察される。
本発明の着色対象である魚肉ソーセージの組成物とは、従来周知であり、例えば、スケトウダラなどの冷凍すり身に豚脂や植物油脂や牛脂などの油脂分、食塩や砂糖や各種エキスなどの調味料、香辛料、デンプンなどの副原料を混ぜ、練り合わせたものであり、該組成物は、通常50〜60質量%のスケトウダラなどの冷凍すり身を含んでいる。
本発明において、クチナシ赤色素の好ましい添加量は、練り肉の固形分100質量部当たり、色値E(10% 1cm)50として0.01〜0.5質量部であることが好ましい。クチナシ赤色素の添加量が上記範囲未満であると、着色効果が不十分であり、一方、クチナシ赤色素の添加量が上記範囲を超えると明るい赤色が得難い。
本発明において、還元剤の好ましい添加量は、練り肉の固形分100質量部当たり0.006〜1質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。還元剤の添加量が上記範囲未満であると、明色化効果が不十分であり、一方、還元剤の添加量が上記範囲を超えると、ソーセージの味に影響が出てしまう。
本発明の主たる特徴は、上記魚肉ソーセージの組成物に、後述の着色剤の配合割合で、クチナシ赤色素と還元剤とを同時にまたは別々に添加し、均一に混合後、得られた組成物をレトルト加熱する点にある。このレトルト加熱によって殺菌されるとともに、暗い赤色に着色された組成物が、明るい赤色に変化するという効果が得られる。上記着色された組成物は、それ自体公知である塩化ビニリデンなどから製造されたケーシングに充填され、レトルト釜中で110〜130℃で、4〜60分間程度加熱される。加熱温度が上記範囲未満であると殺菌効果が不十分であり、一方、加熱温度が上記範囲を超えると食品成分が変質したり、ケーシングが破裂したりする。このように加熱処理された組成物は還元剤を入れない場合と比べて明るい赤色に着色された魚肉ソーセージとして得られる。なお、本発明において明るい赤色とは、還元剤を使用しないでレトルト加熱処理を行った場合のL値と比較して絶対値としてL値が1.0〜10の範囲で高いことを意味している。
また、本発明の魚肉ソーセージ用着色剤は、前記クチナシ赤色素(A)と還元剤(B)とからなり、その配合比率はA:Bの質量比が1:99〜99.8:0.2(AとBとの合計量を100質量部とする)である。色素の割合が少な過ぎると着色剤としての効果がなく、一方、還元剤の割合が少な過ぎると本発明の効果が得られない。着色剤は、両者を単に混合しても得られ、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状、乳液状、ペースト状などの任意の形態でよく、さらには両者を混合せず、セット状に別体としてもよい。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制約されるものではない。なお、以下の文中の「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
比較例および実施例
無塩冷凍すり身100部(固形分約30%)に、氷水50部、食塩3部、砂糖2.5部、馬鈴薯澱粉2部、グルタミン酸ナトリウム0.5部、みりん2部、および適量の食用油、ゼラチン、エキス、香辛料、グルテンなどを加え、良く擂潰して魚肉ソーセージ用の練り肉を得る。
無塩冷凍すり身100部(固形分約30%)に、氷水50部、食塩3部、砂糖2.5部、馬鈴薯澱粉2部、グルタミン酸ナトリウム0.5部、みりん2部、および適量の食用油、ゼラチン、エキス、香辛料、グルテンなどを加え、良く擂潰して魚肉ソーセージ用の練り肉を得る。
上記練り肉に、表1に示すクチナシ赤色素(色値E(10% 1cm)50)および還元剤を加えて良く混合し、得られた組成物を直径3cm、長さ10cmのケーシングに充填し、95℃で30分間蒸煮(検体番号1〜3)あるいは121℃で20分間レトルト加熱(検体番号4〜14)後冷却し、検体番号1〜14の着色魚肉ソーセージを試作した。試作した魚肉ソーセージは、蒸し後にスライスし、断面を日本電色工業社製の色差計SE−2000で表面の色調(L、a、b)を測定し、表1の結果を得た。
表1中における検体番号1〜6は比較例であり、検体番号7〜14は実施例である。
表1中における検体番号1〜6は比較例であり、検体番号7〜14は実施例である。
表1において、Lの数値が大きいほど着色物の明度が高い。
aは、(+)側では数値が大きな程、着色物の赤の度合いが大きく、(−)側では数値が大きな程、着色物の緑の度合いが大きい。
bは、(+)側では数値が大きな程、着色物の黄の度合いが大きく、(−)側では数値が大きな程、着色物の青の度合いが大きい。
aは、(+)側では数値が大きな程、着色物の赤の度合いが大きく、(−)側では数値が大きな程、着色物の緑の度合いが大きい。
bは、(+)側では数値が大きな程、着色物の黄の度合いが大きく、(−)側では数値が大きな程、着色物の青の度合いが大きい。
表1によれば、色素無添加の検体番号1、4は何れもL値は高いが、当然赤色には着色されていない。検体番号2、5を比較すると、検体番号5は、より高温のレトルト加熱により、L値が検体番号2のL値より低下している。また、同様に検体番号3、10を比較すると、検体番号10は、レトルト加熱によりL値が検体番号3のL値より低下している。このことはより高温のレトルト加熱によりL値が低下していることを示している。
また、検体番号2、3を比較するとL値に違いはないが、検体番号7、10を比較すると、検体10の方がL値が高い。また、検体番号7〜10を比較すると、還元剤の使用および量に従ってL値が向上していることがわかる。また、検体番号5、6を比較すると、色素の使用量が増えた場合L値が低下している。以上のことから、本発明において還元剤は、蒸煮での効果がなく、レトルト加熱においてのみ効果を発揮しており、還元剤は退色を防止しているのではなく、魚肉ソーセージの色調を明るくしていると考えられる。
なお、前記実施例において、アスコルビン酸ナトリウムに代えて、エリソルビン酸ナトリウム、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを使用しても同様の結果が得られた。
本発明によれば、明るい赤色に着色された魚肉ソーセージを提供することができる。
Claims (6)
- 魚肉すり身を主体とする練り肉に、クチナシ赤色素と還元剤とを加えた組成物を、ケーシング内に充填し、レトルト加熱することを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージの製造方法。
- クチナシ赤色素の添加量が、練り肉固形分100質量部当たり、色値E(10% 1cm)50として0.01〜0.5質量部である請求項1に記載の着色魚肉ソーセージの製造方法。
- 還元剤の添加量が、練り肉固形分100質量部当たり0.006〜1質量部である請求項1または2に記載の着色魚肉ソーセージの製造方法。
- 還元剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸および/またはそれらの塩、およびハイドロサルファイトから選ばれるひとつ以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の着色魚肉ソーセージの製造方法。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の着色魚肉ソーセージの製造方法で製造されたことを特徴とする明るい赤色に着色された魚肉ソーセージ。
- クチナシ赤色素(A)と還元剤(B)とからなり、かつA:Bの質量比が1:99〜99.8:0.2(AとBとの合計量を100質量部とする)であることを特徴とする魚肉ソーセージ用着色剤。
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